旅のプラズマ

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理想と現実のはざまでーーオバマ大統領のノーベル平和賞受賞演説にふれて

2009-12-11 11:37:00 | 政治経済

 オバマ大統領のノーベル平和賞については、とかく議論のあるところであるが(私は極めてふさわしい受賞と思っているが)、それはさておき、昨日オスロ市庁舎で行なわれた授賞演説には、考えさせられることが多かった。(これまた、今後議論を呼ぶだろうが)

                  

 オバマ大統領は、「人類の到達点」という極めて現実的視点に立って、戦争と平和に対する氏の哲学を述べたと思っている。氏は、自分とオバマ政権を生み出したとする尊敬するキング牧師の、「暴力は決して恒久的な平和をもたらさない」という言葉を引用しながらも、

 「非暴力主義だけでは国家は指導できない」

とし、むしろケネディ大統領の「より現実的で達成可能な平和に集中しよう。それは人間の性質の突然の進化ではなく、人間の慣行の斬新的な進化に基づくものだ」という言葉を引用して、

 「特に軍事力が必要だと考えるのは、歴史や人間の不完全性、道理の限界を認識するからだ」

と述べた。(引用はいずれも1211日付毎日新聞一面記事より)

 人類はその誕生以来、戦争とともに存在してきた。現時点にあってもナチズムなどを生み、またテロを生み続けている。人類のこのような発展段階にあって、世界は悲しいことに「必要な戦争」を脱却できないでいる、というのが氏の主張のようだ。
 
一方われわれは、第九条という絶対的平和主義を掲げる日本国憲法を持つ。暴力は暴力を生み、ひとたび軍備を持てばその先は軍拡の道が待っているという歴史的教訓に基づくならば、世界平和への道は「全ての軍力を保持せず、国の交戦権を永久に放棄する」以外に道は無い、というのがその精神であろう。高邁な理想主義である。
 
オバマ氏自体、核廃絶の道を示すなど、究極的には恒久平和を希求する人物であると私は信じている。しかし人類の到達点に立脚した現実主義を採らざるを得ないとする。

 この現実主義と理想主義のはざまにあって、われわれはどうすればいいのだろうか?
                           


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