イギリスの二日目は、郊外に出かけ田園風景を満喫しようというもの。選んだ先は「コッツウォルズ」で、更にしぼり「ウィンザー城」・・・「ボートン・オン・ザ・ウォーター」・・・「ミル・ディーン・ガーデン」・・・そしてその夜はオックスフォードに泊まろうというコース。
ところがこれでも時間が足りず、どこも中途半端に終わった、という印象が強い。「イギリス未充足感」の一因でもあったのだ。
そもそもコッツウォルズというのは、とてつもない広大な地域だ。ロンドン西方に広がるこの台地は「総面積は2038平方キロメートル。東京都とほぼ同じ広さで、そのなかにおよそ100の村や町が点在している」(小野マリ著『英国コッツウォルズ』12頁)と言うのだ。
ウィンザー城は遠望するだけで通過、迷いながらもようやくたどり着いたボートン・オン・ザ・ウォーターでは、それまでの好天がくずれかなり強い雨となった。私は「これまで天気に恵まれたが、水郷は雨の方が似合ってるかもね」など軽口をたたいていたのであるが、神に聞こえたのか本当の雨になり、名所と聞く「音も無く流れる小川に架かる古い石橋」で一、二枚の写真を撮っただけで車に逃げ込み、計画のひとつ「田舎のパブでの『パブ・ランチ』」の余裕も無くミル・ディーン・ガーデンに向かった。
しかし、一番ゆっくりしたこのガーデンで,英国ガーデニングの極地に触れるとともに、《お目当ての猫ちゃん》の案内を受けたのは幸せであった。
実はこの旅の計画中、某民放の「ポチタマ」なる番組で、このガーデンの猫が訪問客を美しい庭に案内する光景が放映された。それを見た猫好きのワイフは、何としてもこのガーデンを訪ねたいと、主のミセス・ウェンディー・デァさんにメールし、「どうぞいらっしゃい」という快い返事を頂いていたのだ。
残念ながらウェンディー・デァさんは外出中で会えなかったが、二匹の猫とたっぷりふれあい、そのうちの一匹が庭を先立ち、美しいガーデンのかなりの距離を案内してくれた。それは私たちの先を歩きながら、庭の中の小道を先導する「心(?)のこもった案内」であった。
この猫とのふれあいは、ワイフにとっては「最も充足したイギリス」の一つであったのかもしれない。
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