昨日は、二つの悪いニュースで心の重い一日であった。
朝起きると、毎日新聞の世論調査の結果が目に飛び込んできた。参院選の序盤情勢調査の結果、「自民、単独過半数の勢い」でその結果「改憲勢力2/3うかがう」情勢だということだ(同紙一面トップ見出し)。
戦後民主主義が守り育ててきた貴重な成果はいくつかあるが、その最たるものは、世界に冠たる日本国憲法、とくに9条を中心とした平和条項を守り続けてきたことではないか。自民党は60年前の結党以来、この憲法の改憲を党是としてきたが、長く自民党政治が続くなかでも、この改憲発議の条件だけは許さなかった。私はここに日本国民の誇りを見てきたのであるが、その守りは崩されようとしている。
午後になって、それに追い打ちをかけるようなニュースが海外から飛び込んできた。
「イギリスの国民投票でEU離脱派が勝利」というニュースだ。これも私は予想していなかった。いろいろあるが、結局は欧州統一という高い理念が「残留」に導くものと思っていた。世の政治が理念だけで動くという短絡的な思いを持っているつもりはないが、「戦いよりも平和を望む」、「分列よりも統一を願う」という人類普遍の道理は、最後には勝つと思うからだ。
二度の世界大戦にまみれ、しかも近代兵器による戦争が国民皆殺しを招く惨状を見て、「平和と経済発展」を求めて構築してきたのが、EC―EUの歴史であった。私はその理念を高く評価し、困難はあっても歴史を後戻りさせることはないと信じていた。
ただ、力の政策でアメリカと軌を一にするイギリスには、他の欧州諸国と異質なものを感じていたが、図らずもそれが芽を吹いたということであろうか? この稿でも何度も書いたが、21世紀は平和と統一を一層進める世紀になるだろうと予想していたが、現実は戦争と分裂の方向を歩いている。これは私の予想が一番外れた側面だが、その恐れがまた露呈したというのだろうか?
ただ、いずれも全てが確定したわけではない。参議院選挙は始まったばかりだ。情勢はどう動くかわからない。イギリスのEU離脱も、国民の意思が示されたばかりだ。これから2年にわたってEUとの交渉が続く。その中で、長く偉大な歴史を誇るイギリスはじめ欧州諸国が、どんな知恵を働かせるかは分からない。
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