昨年末から年初にかけて、株式相場は上昇しっぱなしである。バブル期の3万円越えに近づきつつある。それに応じて、2012年12月から拡大局面に入った日本経済は、ついに「いざなぎ景気」(1965年11月から1970年7月まで)を超え、戦後2番目となったとの発表もある。
しかし、果たして実体経済は、言われるように好調に推移しているのだろうか? 少なくとも一般国民の生活実感には、そのような好調さの気配さえない。それは以下の数字が示しているとおりである。
・設備投資の伸び:いざなぎ景気では24.9%に対し今回景気3.2%
・個人消費の伸び:いざなぎ景気では9.6%に対し今回景気0.6%
その結果、実質賃金は12年~16年の4年連続前年比マイナス、16年にわずか0.4%プラスとなったがその後はマイナス気味。家計消費支出も16年まで3年連続前年比マイナス。(以上は、1月5日付しんぶん赤旗の東京工大工藤昌宏名誉教授の発言による)
株価の高騰は、日銀の異次元緩和によるジャブジャブ資金と、年金資金のつぎ込みなどによるもので、経済の実態を反映したものではなく、一部金持ちと大企業を潤わせるだけとなっている。実質賃金はマイナス、消費支出は伸びない一般国民の生活に比して、金持ちや大企業はもうかる…、その結果は膨大な格差を現出する。
・大企業の内部留保:初の400兆円台(財務省法人企業統計)
・ワーキングプア :史上最多1139万人(国税庁給与実態統計)
大企業は国家予算に近い内部留保をため込んできたが、その反面にはワーキングプア(年収200万円以下の労働者)1140万人近くを生み出しているのである。働かないのならまだしも、一生懸命働いても年収200万円以下というワーキングプアが、実に全労働者の24%、4人に一人の割合に達しているのである。
この格差と貧困問題をどうするか? これは今年だけでなく、前回の政治課題とともに、「21世紀の市民革命の課題」(浜矩子同志社大学大学院教授)と言えるのであろう。