東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

保証金/敷金トラブル/原状回復/法定更新/立退料/修繕費/適正地代/借地権/譲渡承諾料/建替承諾料/更新料/保証人

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短期賃貸借・建物の明渡し (東京・台東区)

2005年08月10日 | 建物明渡(借家)・立退料

     競売の買受人が突然現われ
          建物の即時明渡請求を迫る

 川越市の金沢さんは2001年12月から旧い一戸建ての建物を家賃5万円で借りている。期間満了は本年11月30日である。

 4月中旬に突然、競売物件を専門に扱う不動産会社の社員が来訪し、建物を競売で買受けたので5月31日までに立退きを完了して貰いたい。この条件が呑めるのであれば5月分の家賃の支払は猶予する。それに加えて立退料20万円を支払う。それ以上、立退きが延びるのであれば立退料は一切支払わない。

 金沢さんは現在、失業中で雇用保険だけで生活している。11月には雇用保険も打切られる。すぐ引越し出来ない理由を縷々説明した。居座りは認めないの一点張りで10日間だけ回答を猶予すると言って社員は帰っていった。

 翌日、市の消費者相談室へ相談すると担当者がインターネットで検索して東京借地借家人組合連合会(東借連)を紹介した。巡って台東借地借家人組合への電話相談となった。

 組合は、競売になったのであるから当然、建物に抵当権が設定されていた筈である。建物の抵当権設定登記の日付と、不動産会社に所有権移転登記が終了しているのか法務局へ行って登記簿の閲覧をするように説明した。

金沢さんから再び電話があり、建物の移転登記は未だ完了していないが、建物に抵当権が1997年5月に設定されているという。抵当権設定後に賃貸借契約を結んでいる所謂、「短期賃貸借」であり、新家主に対抗出来る。

2004年4月1日に短期賃貸借保護制度は廃止された。だが経過措置で、短期賃貸借の保護制度は適用される。しかし、居住権が保護されるのは契約期間満了日(2005年11月30日)までの約7か月間であること、家賃は二重払いの危険があるので1か月程様子を見ること、敷金は新家主から返還されることを説明した。

<この物件を仲介した不動産業者は、建物に抵当権が付いていることを知りながら故意に隠して契約していた事実が今回の事で浮かび上がった。不動産屋は、地元業者として、この物件の競売に参加し、落札出来なかったと悔しがっていたことを相談者は不動産屋本人から伝え聞いている。この事実からも不動産業者の悪質さが窺え知れる。>

 平成16(2004)年4月1日をもて民法395条の短期賃貸借保護制度が廃止され、その経過措置として抵当権設定登記後に設定された賃借権でも、平成16年3月31日までに対抗要件を備えた短期賃貸借は抵当権者に対抗できる。2004年4月1日以後も「短期賃貸借保護規定」の適用を受ける。即ち、2004年4月1日以降に契約(期間3年以内の契約及び法定更新した契約の場合)を更新しても同じように「短期賃貸借保護規定」の適用を受ける。

(*1)「短期賃貸借に関する経過措置」(「担保物権及び民事執行法の改善のための民法等の一部を改正する法律」附則第5条 平成15年8月1日法律第134条
  「この法律の施行の際現に存する抵当不動産の賃貸借(この法律の施行後に更新されたものを含む。)のうち民法第602条に定める期間を超えないものであって当該抵当不動産の抵当権の登記後に対抗要件を備えたものに対する抵当権の効力については、なお従前の例による。」

 

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【Q&A】 父親名義の借地に息子名義の建物を建てとどのような問題が生ずるか 

2005年08月09日 | 借地の諸問題

 (問) 借地契約の名義は父です。新築の建物は銀行融資の関係で息子である私の名義にしようと思っていますが、何か不都合がありますか。


 (答) 「借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる」(借地借家法第10条1項)。

 借地上の建物につき、借地人が登記をしておけば、土地の所有者が代わっても新所有者に対し、自分の借地権を主張できるので借地の明渡しを求められることはない。この建物登記が借地人本人の所有名義でなされていれば問題はない。

  だが、相談者の場合のように建物登記を長男名義にしなければならない場合も出てくる。また、借地人の死後の相続問題を顧慮して、借地上建物の登記名義を予め妻子名義にしておく場合もある。その場合、借地権を第三者(土地の新所有者)に対抗(主張)出来るのかという問題がある。

 従前は
①長男名義の建物登記(東京地裁1951年2月2日判決)、
②母名義の建物登記(同1952年6月5日判決)、
③未成年の子を名義とする建物登記(東京高裁1954年5月11日判決)、
に関しては第三者に対抗(借地権を主張)できると判断されていた。

 しかし、最高裁(大法廷)は、借地人が同居の長男名義で建物の登記をした場合について「地上建物を所有する賃借権者が、自らの意思に基づき、他人名義で保存登記をしたような場合に、当該賃借権者は、その賃借権を第三者に対抗する事はできない」(昭和41(1966)年4月27日判決・最高裁判所民事判例集20巻4号870頁)とした。
 このような登記は実質上の権利(建物所有権)と符合しない無効の登記であるからとして、その借地権の対抗力を否定した。1審・2審の借地人勝訴の判決を破棄し、借地人に建物収去・土地明渡を命じた。

 なお、最高裁大法廷の裁判官15名中6人の裁判官は、このような建物登記であっても借地権の対抗力は認められるべきという反対意見述べた。

 最高裁の多数意見の考え方には、<本来借地権の対抗要件は借地権自体の登記である。しかし、借地権の登記に際して地主の協力が得られない場合が殆どなので、例外的に借地人が自身の建物を登記をすれば、借地権の対抗要件として認めるというという代用的制度(借地借家法10条1項)である。このような例外的な制度なので、登記簿上の登記は実質的権利関係を正確に表示するものであり、その適用範囲は厳格に解釈しなければならないという建前論がある>。

 その後も最高裁は、
①妻名義の登記(昭和47(1972)年6月22日判決)、
②子名義の登記(昭和50(1975)年11月28日判決)、
③義母名義の登記(昭和58(1983)年4月14日判決)、
について大法廷判決の趣旨に従い終始一貫、借地権の対抗力を否定し続けている。

 こういう厳格な判例があるということを承知しておかないと危険である。最高裁の判例の変更がない限り、安全を期すのであれば、借地人としては、借地名義と借地上の建物名義を一致させる努力は必要である。

 結論としては、借地名義と一致しない家族名義の建物登記では第三者には対抗できないので、裁判になれば、最悪の場合、借地人は建物取壊し、土地明渡を命ぜられる危険がある。

 

 

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【Q&A】 家賃の値下げ請求をした場合であっても従前家賃額で供託する 

2005年08月08日 | 家賃の減額(増額)

 家賃の減額請求をしても勝手に
        主張する金額で支払うのは危険である

 (問)家賃15万円の賃貸マンションを借りている。最近、隣の入居者が月13万円の家賃で借りていることを知った。同じ間取りあるにも拘らず、2万円も安い家賃というのは納得が出来ない。月末に13万円の家賃を持参し、家主に家賃の値下げを交渉したが、家賃は受領して貰えなかった。家主に家賃の受領を拒否された時は供託をしないと家賃の不払で契約を解除されると聞いたが、どうしたらいいのか。


  (答)民法494条「供託」は「債権者が弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、弁済することができる者は、債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる」と規定している。借家人は賃料額を法務局に供託して措けば債務を履行した(家賃を支払った)ことになる。

 家賃の値下げに関して、借地借家法32条3項は「建物の借賃の減額については当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる」と規定している。

 即ち、借家人から家賃の値下げを請求された場合、裁判で適正な家賃が確定するまでの係争期間中の家賃は、家主(その請求を受けた者)が相当と認める額を借家人に請求することが出来る。

 それでは家主が「相当と認める額」に関しては、東京地裁1998年5月29日判決で「裁判が確定までの間は賃借人には『賃貸人が相当と認める額』の賃料支払義務がある」として、その賃料は「特段の事情のない限り、従前の賃料と同額であると推定することが相当である」としている。

 借家人が家賃の値下げ請求をしても、借家人は家主が「相当と認める額」(家賃15万円)を暫定的にせよ係争期間中は支払わなければならない。家主の請求する額を下回り、自己の主張する家賃額(13万円)の供託を継続した場合、家賃不払い(債務不履行)を理由に契約を解除され、建物明渡を要求される恐れがある。

 従って相談者は納得し難いであろうが従前の家賃額を支払い、借地借家法32条3項に基づいて、家主に配達証明付き内容証明郵便で家賃の減額請求を行う。その後、簡易裁判所に民事調停を申し立てて正当な家賃を決定して貰う方法を考慮すべきである。

 (借賃増減請求権)
第32条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

2 建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。

3 建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年1割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

 

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敷金を返せ (東京・台東区) 

2005年08月07日 | 敷金(保証金)・原状回復・消費者契約法

     償却特約も無いのに勝手に
            敷金から2ヵ月分を差引く

  今年の4月に10年間住んでいた台東区竜泉のマンションを引越した。差入れていた40万円(家賃の5ヵ月分)の敷金の返還を家主に請求した。

  後日、敷金清算書が郵送されて来た。そこには、原状回復工事費として15万3000円。工事明細は①カーペット張替②クロス張替③ルームクリーニング④シャワーカーテン交換⑤床凹み補修等である。それに加えて、契約書には償却特約など書かれていないにも拘らず勝手に家賃の2ヵ月分(16万円)を償却している。その結果、敷金から工事代金と償却分が差引かれ、残金8万7000円と書かれていた。

  確かに原状回復条項はある。しかし、多くの判例は「建物賃貸借契約に原状回復条項があるからといって、賃借人は建物賃貸開始当時の状態に回復すべき義務はない」と結論を下している。原状回復は故意・過失・通常ではない使用による損害に対するもので通常使用による損耗や経年変化による自然損耗は原状回復の対象にならない。

  原状回復工事としているものは総て耐用年数を超えた減価償却されたものばかりである。例えば財務省の原価償却資産の耐用年数の省令によるとカーペットやクロスの償却年数は6年である。このような資産証価の無くなったものを新品に交換してその代金を請求するのは暴利行為だ。

 そもそも、これらのものは家賃で回収すべきものであり、賃料の二重取りであり、支払う理由のないものだ。

 

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不動産屋の執拗な立退き要求 (東京・台東区)

2005年08月06日 | 建物明渡(借家)・立退料

   法定更新しているにも拘らず
          不当建物明渡請求をされる

 木田さんは台東区橋場で2階建一軒家(約20坪)を月9万円で借家している。家主は建物が老朽化していて強い地震があると倒壊の危険があるので契約が終了する5月31日以降に建物を明渡すよう不動産屋を通じて伝えて来た。家主は明渡しに関して立退料として30万円、敷金(3月分)は全額返金すると説明した。

 6月になると不動産屋から連日明渡要求の執拗な電話攻勢を受けた。対抗上、留守電にして電話には出なかった。すると今度は自宅へ引切り無しに押掛けて来るようになった。契約が終っているのに何故退去しないのだ。威圧的に明渡要求を繰返されて精神的に追込まれ、ストレスから病院通いもした。そんな折、友人から借地借家人組合を紹介され相談した。

 組合は木田さんに法定更新制度の説明をした。契約は法律上自動的に更新され、法律の定めに拠って前契約と同一の条件で継続される。従って契約は終了していない。家主が契約する意思がないと反証を挙げて更新を拒否しても法的に更新を覆すことは出来ない。

 後日、組合は明渡要求を繰返す不動産屋に対して
①木田さんは引越す意思がないこと
②契約は借地借家法26条の規定により既に法定更新されていると通告した。

 今後、家主の側に一方的に偏した代理として違法な明渡請求を繰返す場合は、宅地建物取引業法31条「業務処理の原則」違反で東京都住宅局民間住宅部指導課へ通報すると警告した。

 その後、不動産屋の連日の明渡要求は嘘のようにぴたりと止んでしまった。家主も立退きのことを何も言って来ない。既に半年が経つが何の変化も起きていない。

 

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トラブル解決・家賃の値下げ (東京・台東区)

2005年08月05日 | 家賃の減額(増額)

         水道代を水増し請求

 台東借組に加入したばかりの組合員の島村さんから、家主との話合いに立ち会って欲しいとの要請があった。2年契約の期間満了が近づいている。家主は、更新料の支払いを約束していないにも拘らず10万円の更新料を請求してきたのだ。家主との間にはトラブルが他にもある。

 島村さんは、2年前家賃10万円で風呂付一戸建て住宅に入居した。入居時からガス給湯器とガス釜が故障していて、使用出来ない状態であった。修理を依頼すると、「修理出来る程の家賃を貰っていない」と逃げの一手。結局、風呂は2年間使えない状態で、銭湯に行かざるをえなっかた。ガス給湯器は仕方なく新品に付替えた。

 もう一つ、島村さんには腑に落ちない事があった。水道メーターは家主と共用で、風呂を使っていなに拘らず料金が高過ぎるのだ。そこで水道局に過去3年間に遡り料金の開示請求をした。すると島村さんが入居する前の家主の水道料金は基本料だけ支払う状態であったことが解った。家主は、島村さんに水道料金の殆ど(今年に入ってからは、全額)を払わせていたことが判明した。

 こんな悪徳家主の所には居たくはないが、何もせずにこのまま引越してしまうのでは口惜しすぎる。そこで組合に相談ししてみた。組合役員が話合いに立合うことにした。

 組合が立会い家主と話合をしたその結果、1か月大人2人分の銭湯代2万円を考慮して家賃は今後8万円とする。更新料10万円は無し。水道代は、島村さんが入居する前の金額を勘案して、不当と思われる差額分を2年間遡って返金する。給湯器の交換代金4万円は家主が負担する。以上の如く決着した。

 

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7万円の家賃を12万円への大幅値上げ請求 (東京・台東区) 

2005年08月04日 | 家賃の減額(増額)

           大幅値上げ請求の
       e内容証明郵便を受け取った

  今年4月、台東区浅草の井田さんは、家主の代理人の弁護士によるe内容証明郵便を受け取った。

 「賃料は、1月当り金7万円を毎月末限り翌月分を支払うとのお約束となっております。…その間土地建物に対する租税その他の公課は増額され、土地建物の価格は上昇し、又近傍類似の賃料に比較すると、上記賃料は不相当であります。よって、上記賃料を本書面到達の日の翌日より1月当り金12万円に増額させていただきます。」という驚くべき内容であった。

  こんな大幅で理不尽な家賃の値上げは認められないので、5月分の家賃は、現行の7万円で支払った。勿論家賃の受け取りは拒否され、法務局へ供託した。

  その後、弁護士から家賃値上げの調停手続がとられた。6月に第1回の調停があり、値上げの根拠を具体的に示すよう弁護士に要請した。それには何も応えない。弱点を衝かれたのか、逆上した弁護士は「こんな調停、やってられるか、止めだ、止めだ。」と叫んで退席してしまった。

  結局、調停は1回で不調に終わってしまった。

 

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家賃3万円の値下げ (東京・台東区) 

2005年08月03日 | 家賃の減額(増額)

         店舗の更新料と手数料がゼロに

 東上野で居酒屋を営業している望月さんが組合へ電話をかけてきたのは、11月末のことであった。

 契約の更新を不動産屋が言ってきた。家賃を5000円値上げするという内容。この不況下に値上げは呑めない。不動産屋は、契約更新の条件として家賃は15万5000円に、更新料は家賃の2ヶ月分、更新手数料は家賃の1ヶ月分、それぞれに消費税、契約期間は3年を提示している。

 組合としては不動産屋を除外して、家主に直接交渉して家賃減額を実現するのが近道とアドバイスした。

 家主との交渉時、望月さんは、法定更新制度の説明をし、既に契約は更新されているので更新料の支払いの意思がないことを言い切った。更に、固定資産税・都市計画税も上昇していない。寧ろ、毎年下がっているのが現状だ。坪1万円の家賃は高すぎる。組合で調べてもらったら、近隣店舗の相場は坪8000円ということだ。

 それに今回から家賃に消費税をかけているが、家主は非課税業者の筈だ。もし課税業者なら『消費税課税事業者届出書』を提示してもらいたい。それでなければ、家賃の便乗値上げなので消費税分は支払わないと付け加えた。

 交渉の結果、更新料・更新手数料『0』、家賃は3万円減額、消費税も無しでOKになった。

 契約書がないと金融機関や区の公的融資を受ける場合不利になる。店舗改装資金の借入が困難なので、契約書は必要だった。そこで、家主には、「法定更新しているのだから契約書は不要だが、そちらも契約書がないと不安でしょう」と言って契約書を作らせた。

 

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建築業者が手抜き (東京・台東区) 

2005年08月02日 | 増改築・改修・修繕(借地)

     建築後5年で床が鳴るようになり業者に遣り直しをさせる


 台東区下谷の木村さんは、5年前に地主と擦った揉んだの末、借地上の自宅を建替えた。最近、部屋・廊下など所々で床が鳴るようになった。

 そこで、請負の建築業者(大手家電メーカー傘下のPホーム)に、調べさせた結果、床の合板と根太を留めている釘が緩んでの摩擦音だと判明。根太と床板の浮きを木ネジで締め付ければ床鳴りは解決するという。

 手抜きをせずに、初めから床の合板を木ネジで確実に固定すれば問題は起きない。だが最近時間短縮のため、空気圧縮式の釘打器を使う業者が多い。その釘は、従来のものと違い寸胴で釘の頭の部分が無いので緩み易い。

 民法の634条は、請負人の完成した仕事が不完全であった場合の責任の規定で、仕事の目的物に瑕疵(欠陥)があるときは、注文者は請負人に対し、相当の期間を定めて、その欠陥の修補を請求することが出来ると定めている。更に、同条2項で注文者は、欠陥の修補に代え、またはその修補と共に、損害賠償の請求をすることが出来るとなっている。民法638条の規定から堅固建物の場合は引渡しから10年間、木造等の非堅固建物の場合は5年間無料で業者に修理させることが出来る。だから、建築業者Pホームは、今回の補修工事も当然無料で行う義務がある。

 業者はクロスを全部剥がし、更に床の合板も剥がしてその下の根太の浮きまで点検した。床板の取り付を総てネジ留めに遣り直し、勿論無料でクロスも新規に全部張替えた。

 

 参考法令 
 民法
 第634条 仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。

 2 注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第533条の規定を準用する。


 第638条 建物その他の土地の工作物の請負人は、その工作物又は地盤の瑕疵について、引渡しの後5年間その担保の責任を負う。ただし、この期間は、石造、土造、れんが造、コンクリート造、金属造その他これらに類する構造の工作物については、10年とする。

 

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敷金返還請求 (東京・台東区)

2005年08月01日 | 敷金(保証金)・原状回復・消費者契約法

     特約事項を盾に18万円償却
            原状回復費用25万円を要求

 台東区谷中の大塚さんは、今年4月に三筋のマンションから引越した。

 三筋のマンションは家賃が1ヶ月9万円で、敷金36万円を差入れていた。契約期間は平成15年8月1日から2年間であった。
 ①「敷金は中途解約による明渡の場合は2か月分を償却するものとする。」という特約事項が書かれていた。
 ②また契約書の第15条には、契約が終了したときは、「賃借人は賃貸借物件を原状に回復し、賃貸人より賃貸借物件の検査を受けたうえ、賃貸者に明渡すものとします。」と書かれていた。

 家主は契約書の①の特約と②の第15条とを根拠にして、25万円を原状回復費用として請求してきた。家賃の4ヶ月分の敷金を返金しないで、更に原状回復費用の不足分7万円を追加払いしろというのである。

 敷金の2ヶ月分の償却は、問題があるが、取敢えず、家主に残りの敷金の返還請求を以下のような文面で行なった。
 「賃借人は建物を既に明渡しておりますが、預けてあった敷金18万円をまだ返還して頂いておりません。本年5月20日までに当方の口座にお振込下さるようお願い致します。期日までにお返し頂けない場合は、東京簡易裁判所に訴訟手続をとります。」

  5月18日、不動産屋から、敷金18万円を返しますが、原状回復工事の不足分7万円を払ってもらいたいという返事があった。

 それに対して「通常の用法に従った使用に必然的に伴う汚損・損耗は原状回復義務の対象にならない」(東京地判1994年7月1日)とあるように、原状回復費用を賃借人が負担すべき謂れはないとして、工事代金の支払いを拒否する返事をし、少額訴訟の手続をすると伝えた。

 

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