東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

保証金/敷金トラブル/原状回復/法定更新/立退料/修繕費/適正地代/借地権/譲渡承諾料/建替承諾料/更新料/保証人

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を自ら守るために、
自主的に組織された借地借家人のための組合です。

東京・台東借地借家人組合

借地借家人組合に加入して、
居住と営業する権利を守ろう。

無料電話相談は050-3656-8224(IP電話)
受付は月曜日~金曜日(午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝日は休止 )

 尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
 

普通借家契約から定期借家契約への切替えは無効 (東京・目黒区)

2013年06月13日 | 定期借家・定期借地契約

 目黒区東ヶ丘に住むAさんは、この一軒家を借りて18年になった。最初の契約を結んだあとは合意更新契約を管理する不動産会社からこのままでいいと言われ、法定更新となって、15年が経過した。3年前に、家主が高齢となっていつ相続が発生するかわからないから弁護士が家主の代理人となって、定期借家契約を結びたいと言ってきた。Aさんは、家主との関係はなんのトラブルもなく相続したら大変と考え、普通賃貸契約から定期借家契約の切り替えに同意した。

 今年の10月に期間が満了するので明渡しの通知が5月に送付されてきた。今まで通りに生活できると考えていたAさんは地方にいる親の知り合いで借地借家人組合の役員がいるので相談したところ東京の組合を紹介された。 

 相談員が確認したところ定期借家契約書、定期借家契約についての説明の文書、期間満了にともなう通知書とそろっていた。しかし、最初の契約が、定期借家権が導入された「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」が施行する2000年3月1日以前の契約で、付則第3条に基づき普通借家契約から定期借家契約への切り替えは無効と主張することができると説明した。納得したAさんは「この趣旨を生かし、相手と交渉してみます」と語った。 

 なお、附則第3条の規定は店舗・事務所等の契約の場合は定期借家契約への切替は有効なので注意が必要である。

 

東京借地借家人新聞より

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


定期借家契約のUR梅田団地 (大阪・北区)

2013年05月20日 | 定期借家・定期借地契約

 「2014年の2月に立ち退きしなければならないが、いま近くの病院で心臓病の治療をうけていて、遠くにはいけないので困っている」という相談がありました。賃貸契約書をみせてもらうと、1960年2月から60年契約の借地上に建設されたUR住宅です。3年間の定期借家契約になっていました。

 梅田団地といって繁華街の中にあり、話を聞くと、古い住宅なので賃料も安く(1DK・4万5000円)、便利なので空きが出てもすぐに入居者があるそうです。どんどん入居させているということは、具体的な計画(建て替えや転売など)がたつまでは、再契約を繰り返し、計画が持ち上がると再契約を拒否できるようにしていると思われます。

 今すぐ立ち退きにはならないだろうということで、安心されましたが、平成32(2020)年借地契約が満了するころには、再契約拒否の可能性があります。更新の保証がない賃貸契約で不安を与え住まいの権利を奪う制度を公共住宅に適用することへの怒りをあらためて実感しました。

 

全国借地借家人新聞より

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


【判例】 *定期借家契約の成立要件は契約書と別個の書面の交付による説明が必要 (再)

2013年05月16日 | 定期借家・定期借地契約

最高裁判例


事件番号
・・・・・・・・平成22(受)1209
事件名・・・・・・・・・・ 建物明渡請求事件
裁判所 ・・・・・・・・・・最高裁判所第一小法廷
裁判年月日 ・・・・・・平成24年9月13日
原審裁判所 ・・・・・・東京高等裁判所
原審事件番号 ・・・・平成21(ネ)6078
原審裁判年月日 ・・平成22年3月16日

【事案の概要】
 本件は、建物を上告人に賃貸した被上告人が、本件建物の賃貸借は借地借家法38条1項所定の定期建物賃貸借であり、期間の満了により終了したなどと主張して、上告人に対し、本件建物の明渡し及び賃料相当損害金の支払を求める事案である。

 【裁判要旨】
 借地借家法38条2項所定の書面は、賃借人が、その契約に係る賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず、契約書とは別個独立の書面であることを要する。

 

        平成22年(受)第1209号  建物明渡請求事件
        平成24年9月13日  第一小法廷判決


                    主      文

          原判決を破棄し,第1審判決を取り消す。

          被上告人の請求を棄却する。

          訴訟の総費用は被上告人の負担とする。

 

                    理      由

 上告人の上告受理申立て理由について
 1 本件は,第1審判決別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)を上告人に賃貸した被上告人が,本件建物の賃貸借(以下「本件賃貸借」という。)は借地借家法(以下「法」という。)38条1項所定の定期建物賃貸借であり,期間の満了により終了したなどと主張して,上告人に対し,本件建物の明渡し及び賃料相当損害金の支払を求める事案である。上告人は,同条2項所定の書面を交付しての説明がないから,本件賃貸借は定期建物賃貸借に当たらないと主張している。

 2 原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。

 (1) 被上告人は,不動産賃貸等を業とする会社である。
 上告人は,貸室の経営等を業とする会社であり,本件建物において外国人向けの短期滞在型宿泊施設を営んでいる。

 (2) 被上告人は,平成15年7月18日,上告人との間で,「定期建物賃貸借契約書」と題する書面(以下「本件契約書」という。)を取り交わし,期間を同日から平成20年7月17日まで,賃料を月額90万円として,本件建物につき賃貸借契約を締結した。本件契約書には,本件賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了する旨の条項(以下「本件定期借家条項」という。)がある。

 (3) 被上告人は,本件賃貸借の締結に先立つ平成15年7月上旬頃,上告人に対し,本件賃貸借の期間を5年とし,本件定期借家条項と同内容の記載をした本件契約書の原案を送付し,上告人は,同原案を検討した。

 (4) 被上告人は,平成19年7月24日,上告人に対し,本件賃貸借は期間の満了により終了する旨の通知をした。

 3 原審は,上記事実関係の下で,次のとおり判断して,本件賃貸借は定期建物賃貸借であり,期間の満了により終了したとして,被上告人の請求を認容すべきものとした。

 上告人代表者は,本件契約書には本件賃貸借が定期建物賃貸借であり契約の更新がない旨明記されていることを認識していた上,事前に被上告人から本件契約書の原案を送付され,その内容を検討していたこと等に照らすと,更に別個の書面が交付されたとしても本件賃貸借が定期建物賃貸借であることについての上告人の基本的な認識に差が生ずるとはいえないから,本件契約書とは別個独立の書面を交付する必要性は極めて低く,本件定期借家条項を無効とすることは相当でない。

 4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
 期間の定めがある建物の賃貸借につき契約の更新がないこととする旨の定めは,公正証書による等書面によって契約をする場合に限りすることができ(法38条1項),そのような賃貸借をしようとするときは,賃貸人は,あらかじめ,賃借人に対し,当該賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて,その旨を記載した書面を交付して説明しなければならず(同条2項),賃貸人が当該説明をしなかったときは,契約の更新がないこととする旨の定めは無効となる(同条3項)。

 法38条1項の規定に加えて同条2項の規定が置かれた趣旨は,定期建物賃貸借に係る契約の締結に先立って,賃借人になろうとする者に対し,定期建物賃貸借は契約の更新がなく期間の満了により終了することを理解させ,当該契約を締結するか否かの意思決定のために十分な情報を提供することのみならず,説明においても更に書面の交付を要求することで契約の更新の有無に関する紛争の発生を未然に防止することにあるものと解される。

 以上のような法38条の規定の構造及び趣旨に照らすと,同条2項は,定期建物賃貸借に係る契約の締結に先立って,賃貸人において,契約書とは別個に,定期建物賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了することについて記載した書面を交付した上,その旨を説明すべきものとしたことが明らかである。そして,紛争の発生を未然に防止しようとする同項の趣旨を考慮すると,上記書面の交付を要するか否かについては,当該契約の締結に至る経緯,当該契約の内容についての賃借人の認識の有無及び程度等といった個別具体的事情を考慮することなく,形式的,画一的に取り扱うのが相当である。

 したがって,法38条2項所定の書面は,賃借人が,当該契約に係る賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず,契約書とは別個独立の書面であることを要するというべきである。

 約書とは別個独立の書面であるということはできず,他に被上告人が上告人に書面を交付して説明したことはうかがわれない。なお,上告人による本件定期借家条項の無効の主張が信義則に反するとまで評価し得るような事情があるともうかがわれない。

 そうすると,本件定期借家条項は無効というべきであるから,本件賃貸借は,定期建物賃貸借に当たらず,約定期間の経過後,期間の定めがない賃貸借として更新されたこととなる(法26条1項)。

 5 以上と異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は以上と同旨をいうものとして理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,以上説示したところによれば,被上告人の請求は理由がないから,第1審判決を取り消し,上記請求を棄却することとする。

 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。


(裁判長裁判官  白木 勇、   裁判官  櫻井龍子、   裁判官  金築誠志、   裁判官 横田尤孝、   裁判官  山浦善樹)


 

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


【判例紹介】 *定期借家契約の成立要件は契約書と別個の書面の交付による説明が必要

2013年05月14日 | 定期借家・定期借地契約

判例紹介

 定期借家契約が有効に成立するための要件として、契約前に、契約書とは別個に「契約更新がなく、期間満了により契約終了となる旨を記載した書面」を交付して説明することが必要とした事例 最高裁平成24年9月13日判決)。

 【事案の概要】
 貸室事業を営む会社と不動産会社が建物賃貸借契約を結んだ。その契約書には、契約期間、賃料など通常の契約内容に加え、本件契約は更新がなく、期間満了により終了することが定められていた(定期借家条項)。本事件は契約期間満了により、不動産会社が定期借家契約の成立を主張して建物明け渡しを求めた事案である。

 【判旨】
不動産会社の請求を認めず。
① 借地借家法38条1項が、定期借家契約を結ぶには書面によることが必要と定めたことに加え、同条2項が定期借家の内容を説明した書面を交付し説明することを要すると定めたのは、契約の前に、賃借人になろうとする者に対し、定期建物賃貸借の内容を理解させ、契約をするか否かの意思決定のために十分な情報提供をすること、そして書面に基づいて説明させることによって紛争発生を未然に防止するためである。

 ② 以上のような借地借家法38条の趣旨からすると、定期借家条項のある契約書が交付され、賃借人が定期借家条項の存在を知っていても、定期借家契約の内容を説明した書面を契約書とは別個に交付し説明すべきと解するのが相当。

③ 別個の説明書面を交付しなかった場合は、契約書に定期借家条項があっても通常の期間の定めのある賃貸借契約と理解すべきである。よって、契約期間満了後は法定更新され、期間の定めのない賃貸借契約となる。

 【解説】
 定期借家契約の成立要件として契約書とは別個の書面を要するとの結論は、平成22年7月716日最高裁判決東借連新聞2010年10月号判例紹介参照)で既に実質的に出ていたが、契約書の定期借家条項の存在、契約締結経緯、契約内容について賃借人の認識の有無、理解の程度など具体的事情は考慮されず、形式的、画一的に説明書面が必要であることを明示した最初の判例である。
 

(2013.05.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


店舗の定期借家契約への切り替えを拒否 (東京・豊島区)

2012年12月20日 | 定期借家・定期借地契約

 東京都の豊島区で飲食店を営んでいるAさんは、11月に家主の代理人の会社から更新にあたって定期借家契約に変更したいという通知と定期借家契約書が送られてきました。付属の文書には定期借家契約になれば今回支払うべき更新料は免除しますと書かれていました。

 Aさんは、組合に入会していたので、どうもおかしいと考えて組合に相談に来ました。組合では定期借家契約は期間が来たら問答無用で追い出されるもので借りている者の権利がない契約で、更新料の支払免除と引換に、結んではいけないとアドバイスしました。

 実際、この店舗が入居している雑居ビルは相当の年数も経過し、いつ建替問題が浮上するかわからないビルで、家主としては建替問題が出たら期限どおり立退きをさせることを考えていると思われます。

 同時に、この機会にAさんは組合の指導を受けて、更新に際して保証金の返還や更新料支払い特約の削除、更新事務手数料の支払い拒否、賃料の値下げなどを請求することにし、もし話し合いに応じないというのならば法定更新にすることにしました。

 

全国借地借家人新聞より

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


【判例】 *定期借家契約の成立要件は契約書と別個の書面の交付による説明が必要 ・最高裁判決

2012年11月26日 | 定期借家・定期借地契約

最高裁判例

■ 事件番号・・・・・・ 平成22(受)1209

■ 事件名・・・・・・・・ 建物明渡請求事件

■ 裁判所・・・・・・・・ 最高裁判所第一小法廷

■ 裁判年月日・・・・・平成24年9月13日判決

■ 原審裁判所・・・・・東京高等裁判所

■ 原審事件番号・・・平成21(ネ)6078

■ 原審裁判年月日・・平成22年3月16日

【事案の概要】・・・・・本件は、建物を上告人(賃借人)に賃貸した被上告人(賃貸人)が、建物の賃貸借は借地借家法38条1項所定の定期建物賃貸借であり、期間の満了により終了したなどと主張して上告人(賃借人)に対し、本件建物の明渡し及び賃料相当損害金の支払を求める事案である。


【裁判要旨】・・・・・・・借地借家法38条2項所定の書面は、賃借人が、その契約に係る賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず、契約書とは別個独立の書面であることを要する。

 

 

 平成22年(受)第1209号 建物明渡請求事件

 平成24年9月13日 第一小法廷判決

 


                 主        文

            原判決を破棄し,第1審判決を取り消す。

            被上告人の請求を棄却する。

            訴訟の総費用は被上告人の負担とする。

 

                 理        由

 上告人の上告受理申立て理由について

1 本件は,第1審判決別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)を上告人に賃貸した被上告人が,本件建物の賃貸借(以下「本件賃貸借」という。)は借地借家法(以下「法」という。)38条1項所定の定期建物賃貸借であり,期間の満了により終了したなどと主張して,上告人に対し,本件建物の明渡し及び賃料相当損害金の支払を求める事案である。上告人は,同条2項所定の書面を交付しての説明がないから,本件賃貸借は定期建物賃貸借に当たらないと主張している。

2 原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。

(1) 被上告人は,不動産賃貸等を業とする会社である。

上告人は,貸室の経営等を業とする会社であり,本件建物において外国人向けの短期滞在型宿泊施設を営んでいる。

(2) 被上告人は,平成15年7月18日,上告人との間で,「定期建物賃貸借契約書」と題する書面(以下「本件契約書」という。)を取り交わし,期間を同日から平成20年7月17日まで,賃料を月額90万円として,本件建物につき賃貸借契約を締結した。本件契約書には,本件賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了する旨の条項(以下「本件定期借家条項」という。)がある。

(3) 被上告人は,本件賃貸借の締結に先立つ平成15年7月上旬頃,上告人に対し,本件賃貸借の期間を5年とし,本件定期借家条項と同内容の記載をした本件契約書の原案を送付し,上告人は,同原案を検討した。

(4) 被上告人は,平成19年7月24日,上告人に対し,本件賃貸借は期間の満了により終了する旨の通知をした。

3 原審は,上記事実関係の下で,次のとおり判断して,本件賃貸借は定期建物賃貸借であり,期間の満了により終了したとして,被上告人の請求を認容すべきものとした。

 上告人代表者は,本件契約書には本件賃貸借が定期建物賃貸借であり契約の更がない旨明記されていることを認識していた上,事前に被上告人から本件契約書の原案を送付され,その内容を検討していたこと等に照らすと,更に別個の書面が交付されたとしても本件賃貸借が定期建物賃貸借であることについての上告人の基本的な認識に差が生ずるとはいえないから,本件契約書とは別個独立の書面を交付する必要性は極めて低く,本件定期借家条項を無効とすることは相当でない。

4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。

 期間の定めがある建物の賃貸借につき契約の更新がないこととする旨の定めは,公正証書による等書面によって契約をする場合に限りすることができ(法38条1項),そのような賃貸借をしようとするときは,賃貸人は,あらかじめ,賃借人に対し,当該賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて,その旨を記載した書面を交付して説明しなければならず(同条2項),賃貸人が当該説明をしなかったときは,契約の更新がないこととする旨の定めは無効となる(同条3項)。

 法38条1項の規定に加えて同条2項の規定が置かれた趣旨は,定期建物賃貸借に係る契約の締結に先立って,賃借人になろうとする者に対し,定期建物賃貸借は契約の更新がなく期間の満了により終了することを理解させ,当該契約を締結するか否かの意思決定のために十分な情報を提供することのみならず,説明においても更に書面の交付を要求することで契約の更新の有無に関する紛争の発生を未然に防止することにあるものと解される。

 以上のような法38条の規定の構造及び趣旨に照らすと,同条2項は,定期建物賃貸借に係る契約の締結に先立って,賃貸人において,契約書とは別個に,定期建物賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了することについて記載した書面を交付した上,その旨を説明すべきものとしたことが明らかである。そして,紛争の発生を未然に防止しようとする同項の趣旨を考慮すると,上記書面の交付を要するか否かについては,当該契約の締結に至る経緯,当該契約の内容についての賃借人の認識の有無及び程度等といった個別具体的事情を考慮することなく,形式的,画一的に取り扱うのが相当である。

 したがって,法38条2項所定の書面は,賃借人が,当該契約に係る賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず,契約書とは別個独立の書面であることを要するというべきである。

 これを本件についてみると,前記事実関係によれば,本件契約書の原案が本件契約書とは別個独立の書面であるということはできず,他に被上告人が上告人に書面を交付して説明したことはうかがわれない。なお,上告人による本件定期借家条項の無効の主張が信義則に反するとまで評価し得るような事情があるともうかがわれない。

 そうすると,本件定期借家条項は無効というべきであるから,本件賃貸借は,定期建物賃貸借に当たらず,約定期間の経過後,期間の定めがない賃貸借として更新されたこととなる(法26条1項)。

5 以上と異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は以上と同旨をいうものとして理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,以上説示したところによれば,被上告人の請求は理由がないから,第1審判決を取り消し,上記請求を棄却することとする。

 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。


( 裁判長裁判官  白木 勇、  裁判官  櫻井龍子、  裁判官  金築誠志、  裁判官 横田尤孝、  裁判官  山浦善樹)


関連 最高裁平成22年07月16日判決
 【判例】 *定期借家契約は契約書とは別に説明書面が交付されなければ、その効力認められない(最高裁)

(定期建物賃貸借)
第38条 

1項
期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。

2項 
前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。

3項 
建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。

 

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


【Q&A】 普通借地契約から定期借地契約への切り替え

2012年07月31日 | 定期借家・定期借地契約

(問) 私は父親の代から土地を借りています。借りた時期は戦前で、契約書は作成していません。平成7年に借地上の建物の改築を地主にお願いした際に、地主から契約書を新たに作成すること、建替えの承諾料を支払うことを要求され、地主指定の不動産業者の仲介で契約書を作成しました。
  
 契約書について法律知識もなく、言われるままに契約書に署名捺印しました。最近になって契約書を見てみると、確定期限付土地賃貸借契約書となっていて、契約期間が50年で契約の更新ができないと書いてあることが分かりました。契約書に署名捺印した以上、50年経ったら土地を返さないといけないのでしょうか。


(答) あなたの場合は、戦前から借地していたということは契約の更新に関しては旧借地法が適用されます。平成3年に借地法が改正され、平成4年8月1日から借地借家法(新法)が施行され、借地借家法では第22条で存続期間50年以上の契約の更新の規定のない定期借地契約を締結することが可能となりました。

 しかし、旧法の借地契約を新法の定期借地契約へ切り替えが合意の上でできるかといえば、借地借家法では附則第6条「この法律の施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関しては、なお従前の例による」と定めてある通り旧借地法が適用され、このような更新のない確定期限付土地賃貸借契約は旧借地法第11条により更新に関する借地権者に不利な契約に当り無効(強行規定違反)になります。契約期間については、建物再築による借地権の期間の延長により、旧借地法7条に基づき建物滅失時から20年間の契約期間が延長されています。

 なお、消費者契約法が施行された平成13年4月1日以降に消費者の無知に付け込んで結んだ契約は、消費者契約第4条の取消しや同法10条で無効にすることも可能です。

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


【Q&A】 定期借家契約とはどんな契約

2012年02月07日 | 定期借家・定期借地契約

 最近、若い人からの相談で、「更新を拒絶され、再契約できないと言われた。引越しして2年しかたっていないので、あと1回くらい更新をしたいのだが、どうしてもだめですか」という中身で同じような電話相談を何件か受けました。

 よくよく話を聞いてみると、普通借家契約ではなく定期借家契約であることが判明しましたが、本人たちは普通借家契約と定期借家契約の違いもわからず、契約時のどのような書類に署名捺印したかも忘れていました。最近は非正規で働く人が増加しているために、このような若者向けに定期借家契約の物件が増えてきているという話です。

 あらためて定期借家契約について知っておきたい豆知識を紹介いたします。

 その1、通常の借家契約と異なり、更新がなく契約終了と同時に退去しなければいけないということです。(借地借家法第38条1項)期間が満了すれば、再契約もできますという不動産会社の口頭の説明をうのみにしてはいけません。あとでどのようにでも言い訳できます。

 その2、定期借家契約は定期借家契約であるという説明した文書を交付した上で説明が必要です。(同38条2項)定期借家契約書だけでは、定期借契約は成立致しませんので注意が必要です。何年か前の相談ではこのような文章がなかった事例もありますので注意しましょう。

 その3、契約期間が一年以上の場合は、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に通知をしなければいけないことになっています。(同38条4項)その通知がない場合は、あらためて通知が来てから6ヶ月後に契約は終了となります。最後に、このように定期借家契約は借主にとって極めて不利な契約ですのでこのような契約物件は避けるべきです。

 

東京借地借家人新聞より


 ここからの文章は、東京・台東借地借家人組合。

 2011年6月号の借地借家豆知識の欄で、 
 「その3、契約期間が一年以上の場合は、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に通知をしなければいけないことになっています。(同38条4項)その通知がない場合は、あらためて通知が来てから6ヶ月後に契約は終了となります」と説明している。

 上記の説明(赤字部分)は、正確でないし、誤解を生む。この説明では、「賃貸人が終了通知を通知期間内(期間満了の1年前から6か月前まで間)にしなくても、後日、期間に限定されることなく、任意の日に終了通知をすれば、期間満了後であっても、その日から6か月後に契約が終了する」ということになる。

 換言すれば賃貸人が意識的に定期借家契約の満了日までに終了通知を出さなければ、以後、賃借人とトラブル等があれば、賃貸人は正当事由なしに任意の日に「終了通知」をすれば、6か月後に契約を確定的に解除出来るという貸主には好都合な説明になる。

 定期借家契約は契約の更新がなく、確定期限で契約は終了する契約である。それにも拘らず、前記の例であれば、期間満了後の契約形態は、自動更新された期間の定めのない「定期」借家契約ということになる。

 確かに、貸主から期間満了の1年前から6か月前までの通知期間内に終了通知がなくても、通知期間経過後から契約期間の満了日までに終了通知があれば、その通知の日から6か月が経過すると、貸主は定期借家契約が終了したことを主張できる。

 しかし、期間満了後の終了通知の場合も、6か月後に契約が終了するのか、契約期間満了後の終了通知が果たして有効なのかが問題である。このことは、借家人の居住権に係わる重大な問題である。

 このことに関しては、次の記事を参照
   【Q&A】 契約期間満了後に定期借家契約の終了通知が届いた場合はどうなるのか

 Q9 定期借家契約の期間が満了で必ず建物を明渡さなければならないのか<あなたの借地借家法別冊 「Q&A 定期借家契約」 (東京借地借家人組合連合会編)>

 借家人の居住権を守るための重要な保護制度である「正当事由制度」及び「法定更新制度」を適用除外させた借家契約が定期借家契約(平成12年3月1日施行)である。借家人の保護制度を無力化するために拙速に作られた条文であるから、杜撰な面がある。この条文は衆議院・参議院の法務委員会で審議されたのではなく、お門違いの衆議院の建設委員会(平成11年11月24日)、参議院の国土・環境委員(平成11年12月7日)で審議された。借地借家法に関しては、全くの門外漢による数時間のスピード法案審議で法案化されたもので、厳密さがないのは当然かもしれない。その代表が38条4項の「但書き」である。

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


【判例紹介】 *定期借家契約は賃借人に対し書面の交付の説明がない限り定期借家契約の効力は認められない

2010年10月12日 | 定期借家・定期借地契約

 判例紹介

 定期借家契約は賃借人に対し書面の交付の説明がない限り定期借家契約の効力は認められないとして原審(高裁)の判決が取り消された最高裁判決

 定期借家契約につき賃貸人から賃借人に対して借地借家法38条2項所定の書面の交付があったとした原審(東京高裁)判決が取り消された事例 最高裁第2小法廷平成22年7月16日裁判所WEB掲載)

 【事案の概要】
 賃貸人は、平成15年10月29日賃借人と定期賃貸借建物契約書で期間を同年11月16日から平成18年3月31日まで賃料を月額20万円とする契約を締結し、同月31日定期建物賃貸借公正証書が作成された。賃貸人は期間満了後に本件は借地借家法38条所定の定期建物賃貸借であり期間の満了により終了したと建物明渡し及び賃料相当損害金の支払を求め提訴。賃借人は法38条2項所定の書面(「説明書面」)の交付及び説明がなく定期建物賃貸借に当たらないとして、本件建物につき賃借権を有することの確認を求め提訴。

 地裁、高裁とも賃借人敗訴。東京高裁は「公正証書に『賃貸人が賃借人に対し、本件賃貸借には契約の更新がなく、期間の満了によって終了することについて、あらかじめ、その旨記載した書面を交付して説明したことを相互に確認する』との条項があり、同証書末尾に『公証人役場において本件公正証書を作成し、賃貸人及び賃借人に閲覧させたところ、各自これを承認した』との記載があるので、本件につき説明書面の交付があったと推認するのが相当であり、本件賃貸借は借地借家法38条所定の定期建物賃貸借であり期間満了により終了した」として、賃借人の請求を認容し、賃借人の控訴を棄却した。

 【裁判所の判断】
 最高裁は、「賃貸人は、本件賃貸借の締結に先立ち説明書面の交付があったことにつき主張立証をしていないに等しく、それにもかかわらず、単に、本件公正証書に上記条項があり、賃借人においてその公正証書の内容を承認していることのみから、法38条2項において賃貸借契約の締結に先立ち契約書とは別に交付するものとされている説明書面の交付があったと原審の認定は、経験則又は採証法則に反する」として、高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。

 【寸評】
 定期建物賃貸借契約が成立するのは、「賃貸借契約の締結に先立ち契約書とは別に説明書面が交付されていなければならない」ことは、借地借家法38条1項とは別に同条2項が説明書面の交付を要求していることから本来明白である。

 しかし、従来下級審の中には賃借人が契約書において定期建物賃貸借であり更新がないことを具体的に認識していた場合は契約書と別個独立の説明書面を要しないとするもの(東京地裁平成19年10月29日民事50部 判例タイムズ1275号206頁)があった。

 今回の最高裁の判決は、賃貸人は契約書とは別個独立の説明書面を交付していない限り定期建物賃貸借契約の効力(更新がないこと)を主張できないことを改めて最高裁として明示した点で、このような緩やかな解釈を排斥した点で、実務上重要である。

 

(2010.10)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


【判例】 *定期借家契約は契約書とは別に説明書面が交付されなければ、その効力認められない(最高裁)

2010年10月07日 | 定期借家・定期借地契約

 判  例

♦事件番号・・・・・・平成21(受)120

♦事件名・・・・・・・・建物明渡等,賃借権確認請求事件

♦裁判所・・・・・・・・最高裁判所第二小法廷

♦裁判年月日・・・・平成22年07月16日判決

♦結果・・・・・・・・・・破棄差戻し

♦原審裁判所・・・・・東京高等裁判所

♦原審事件番号・・・平成20(ネ)3048

♦原審裁判年月日・・平成20年09月25日

裁判要旨・・・・・・・・賃貸人から賃借人に対して借地借家法38条2項所定の書面の交付があったとした原審の認定に経験則又は採証法則に反する違法があるとされた事例

 

 

 


主         文 

 

         原判決を破棄する。

         本件を東京高等裁判所に差し戻す。

 

理          

 上告代理人小島衛の上告受理申立て理由第1,第2について

 1 本件は,① 第1審判決別紙物件目録記載の建物部分(以下「本件建物部分」という。)を上告人に賃貸した被上告人が,被上告人と上告人との間における賃貸借は借地借家法(以下,単に「法」という。)38条所定の定期建物賃貸借であり,期間の満了により終了したなどと主張して,上告人に対し,本件建物部分の明渡し及び賃料相当損害金の支払を求める訴えと,② 上告人が,法38条2項所定の書面(以下「説明書面」という。)の交付及び説明がなく,上記賃貸借は定期建物賃貸借に当たらないと主張して,被上告人に対し,本件建物部分につき賃借権を有することの確認を求める訴えとが併合審理されている事案である。

 2 原審の確定した事実関係の概要は,次のとおりである。

 (1) 被上告人は,平成15年10月29日,上告人との間で,「定期賃貸借建物契約書」と題する契約書を取り交わし,期間を同年11月16日から平成18年3月31日まで,賃料を月額20万円として,本件建物部分につき賃貸借契約(以下「本件賃貸借」という。)を締結した。

 (2) 本件賃貸借について,平成15年10月31日,定期建物賃貸借契約公正証書(以下「本件公正証書」という。)が作成された。本件公正証書には,被上告人が,上告人に対し,本件賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了することについて,あらかじめ,その旨記載した書面を交付して説明したことを相互に確認する旨の条項があり,その末尾には,公証人役場において本件公正証書を作成し,被上告人代表者及び上告人に閲覧させたところ,各自これを承認した旨の記載がある。

 (3) 被上告人は,期間の満了から約11か月を経過した平成19年2月20日,上告人に対し,本件賃貸借は期間の満了により終了した旨の通知をした。

 3 原審は,上記事実関係の下で,説明書面の交付の有無につき,本件公正証書に説明書面の交付があったことを確認する旨の条項があること,公正証書の作成に当たっては,公証人が公正証書を当事者に読み聞かせ,その内容に間違いがない旨の確認がされることからすると,本件において説明書面の交付があったと推認するのが相当であるとした上,本件賃貸借は法38条所定の定期建物賃貸借であり期間の満了により終了したと判断して,被上告人の請求を認容し,上告人の請求を棄却した。

 4 しかしながら,原審の上記認定は是認することができない。その理由は,次のとおりである。

 前記事実関係によれば,本件公正証書には,説明書面の交付があったことを確認する旨の条項があり,上告人において本件公正証書の内容を承認した旨の記載もある。しかし,記録によれば,現実に説明書面の交付があったことをうかがわせる証拠は,本件公正証書以外,何ら提出されていないし,被上告人は,本件賃貸借の締結に先立ち説明書面の交付があったことについて,具体的な主張をせず,単に,上告人において,本件賃貸借の締結時に,本件賃貸借が定期建物賃貸借であり,契約の更新がなく,期間の満了により終了することにつき説明を受け,また,本件公正証書作成時にも,公証人から本件公正証書を読み聞かされ,本件公正証書を閲覧することによって,上記と同様の説明を受けているから,法38条2項所定の説明義務は履行されたといえる旨の主張をするにとどまる。

 これらの事情に照らすと,被上告人は,本件賃貸借の締結に先立ち説明書面の交付があったことにつき主張立証をしていないに等しく,それにもかかわらず,単に,本件公正証書に上記条項があり,上告人において本件公正証書の内容を承認していることのみから,法38条2項において賃貸借契約の締結に先立ち契約書とは別に交付するものとされている説明書面の交付があったとした原審の認定は,経験則又は採証法則に反するものといわざるを得ない。

 5 以上によれば,原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな違法がある。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり,その余の点について判断するまでもなく,原判決は破棄を免れない。そこで,更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。

 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

 (裁判長裁判官  竹内行夫  裁判官  古田佑紀  裁判官 須藤正彦  裁判官 千葉勝美)

 

 

 PDF 最高裁2010年7月16日判決 全文

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


普通借家契約から定期借家契約への変更を迫られる (千葉・千葉市)

2010年07月14日 | 定期借家・定期借地契約

 千葉市に住むMさんは2年前、Pハウスの仲介でマンションの賃貸借契約をしました。

 今年6月に1回目の更新となりましが、5月にMホームより更新の手続という文書が送られてきました。内容は、仲介の不動産業者が変更になったことと、契約を普通借家契約から定期借家契約に変更して欲しいとのことです。

 Mさんは、仕事の合間をぬって何回も電話で従来通りの契約を希望すると言っても、業者は応じません。困ってしまい、組合に相談に来ました。

 組合は、「貸主が一方的に条件変更することは認められない。更新時に条件変更で合意できない場合は、法定更新を選択すればいい」と説明しました。

 MさんはMホームと話し合いをして、問題が発生したときは、再び組合に相談することになりました。

 

全国借地借家人新聞より  

 


関連記事
【Q&A】 契約の更新に際し、契約条件の改悪を要求されたら法定更新を選択する

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


公営住宅へ定期借家制度 規制改革会議が全面的導入を提言

2009年12月25日 | 定期借家・定期借地契約

 12月4日、政府の規制改革会議(議長草刈隆郎日本郵船(株)取締役)は、「更なる規制改革の推進に向けて」~今後の改革課題~を内閣へ提言しました。

 この提言「住宅・土地分野で改革の課題の一つに「公営住宅における新規入居者への定期借家契約の全面的な導入等」をあげています。

 そして、「住宅困窮者に対して住居を提供するという公営住宅の本来の目的を適確に果たすために、入居後の収入の超過等、入居基準に関するチェックを定期的に行い、入居基準を満たさない入居者への住み替えを促す仕組みとして、定期借家契約の締結は極めて有効であり、その全面的な導入を図る。併せて収入超過者に課せる割増家賃の設定にあたっては、市場家賃水準以上とし、収入超過者の自主的な住み替えを促すインセンティブとすべきである。」と提言でその理由を述べています。

 10年前に定期借家制度が国会で審議された時、当時の建設大臣は、「定期借家制度は、公営住宅制度の性格上なじまない。公営住宅には適用しない」と答弁し、その後もこの建設大臣の方針を全借連は確認しました。

 万一、公営住宅の居住者へ定期借家制度が適用されることになれば、住宅セーフティネットはなくなり、ハウジングプアが急増し深刻な住宅貧困の原因となりかねません。

 

全国借地借家人新聞より

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3012-8687 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


定期借家契約裁判で和解 (東京・大田区)

2009年12月14日 | 定期借家・定期借地契約

 大田区南蒲田に所在する木造トタン葺き2階建て店舗兼共同住宅の内、階下正面左側店舗面積約4坪を平成17年12月に契約期間2年の定期建物賃貸借契約を締結したMさんは契約締結の際に不動産業者から2年で終わりではないと言われていた。

 2年目の平成19年12月の期間満了になっても家賃は受領するので、このまま契約は継続されるものと思っていたら、平成20年9月に家賃を持参したら、家主代理人の仲介業者から期間満了しているのだから早めに建物を明渡すようにとMさんは通告された。

 知人の紹介で組合に入会し頑張ることを決意し、家主の明渡予告通知を怠ったことを理由に明渡を拒否した。即刻、裁判となるが判決でなく、和解の席で家主より家賃の30か月分の補償金が提示されて、年明けの1月末に明渡すことでこの程合意した。

 Mさんは、家主側のミスで補償させることができたが、定期借家制度は家主の権利を保障する制度であり、「定期」という契約は拒むことが肝心である。

 

東京借地借家人新聞より

 

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


雇用能力開発機構が居住者に定期借家契約を押しつける (大阪・八尾市)

2009年12月01日 | 定期借家・定期借地契約

 大阪府八尾市にある雇用促進住宅別宮団地は、独立行政法人雇用・能力開発機構(以下「機構」)から「耐震強度不足」を理由に平成20年3月末までに、退去するよう契約解除通知を受け、現在7世帯となりました。

 退去した多くの居住者は「機構」の「耐震強度不足」の理由を鵜呑みにし、「機構」が提供した代替住宅へ移転しましたが、その契約条件は、期間2年の定期借家契約となり、居住者から居住不安が訴えられています。

 「機構」は、別宮団地居住者へ、「明渡しに至るまでの期間は、損害金として家賃相当額の倍額を請求し、法的手段に則って対処する」との「解約の終了と住戸の明渡しについて」の通知を毎月内容証明郵便で送付し、居住不安を煽り立ち退きを迫ってきました。

 居住者は、弁護士を代理人にし、不当な明け渡しには応じられない旨の回答をしてきましたが、「機構」はこの回答を無視して、居住者へ直接通知文書を送り続けてきました。

 残された居住者は、「機構」へ責任ある担当者の来訪を要求し、11月4日「機構」と直接接触しました。
 当日「機構」側は、同市内の雇用促進住宅へ、「多くの民間住宅でも定期借家契約が採用されている」ことを文書で説明し、2年間の定期借家契約で住み替えを提示してきました。

 この面談に参加していた船越康亘大借連会長は、「多くの民間住宅で定期借家契約であるとの根拠を具体的に示せ〉と追及すると、「根拠はありません」と答え、「居住者を騙してきたのか。これは社会問題となる」と取り消しを要求し、「これでは誠意を持って対応するということすら信頼できない」と代替住宅への住み替えを拒否しました。

 居住者は、公営住宅への入居を「機構」が責任を持って斡旋するか、耐震強度をクリアしている住宅へ移転させることを要求しました。

 「機構」側は、代理人抜きの通知をしたことを謝罪し、今後は弁護士を窓口にして話合いをすることになりました。

 

全国借地借家人新聞より

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


1万人が怒りの声を上げた『ベルク』立ち退き騒動とは?

2009年11月26日 | 定期借家・定期借地契約

 たった15坪の小さなビア&カフェが、大きな反響を呼んでいる。新宿の名物店として知られる『ベルク』が、家主であるルミネから立ち退きを求められているからだ。

 発端は、06年4月にベルクが入店している駅ビル「マイシティ」の家主だった新宿ステーションビルディングが、同じJRグループのルミネに吸収合併されたこと。名称も「ルミネエスト」へと変更したのに伴い、各フロアで店舗のリニューアルなどが進められてきたが、そんなルミネからベルク副店長の迫川尚子さんが呼び出しを受けたのは07年2月。そこでの話の内容は、「契約を新たに結び直したい」というものだった。

「ただ、この新しい契約が"くせもの"なのです」(迫川さん)

 ルミネ側が提示した新しい契約とは、一定の契約期間が満了すれば貸主がテナントを自由に入れ替えられる「定期借家契約」と呼ばれるもの。それまでの賃貸借契約では、特別な事由がない限り、貸主が契約更新を拒否することはできなかったが、不動産、とりわけショッピングセンター業界の強い希望に応えるかたちで00年に行われた借家借地法の改正により可能になった契約形式だ。まだ一般にはあまり周知されておらず、実際、それを知らずに定期借家契約に結び直した結果、契約の更新はもちろん、再契約できずに、泣く泣くビルから出て行った店もあるという。事前にそうした話を耳にしていたベルクが、ルミネ側から求められた契約の変更を拒否し続けたところ、立ち退きを求められた──というのがコトの経緯だ。

「私たちには新しい契約を拒否する権利がありますし、法的にも出て行く必要はないはずです。それでもやっぱり、個別に密室に呼び出された中でサインを拒むのは勇気がいりました。退店を迫られたことを公表するまでも3カ月間悩みましたが、こうした定期借家契約を迫るやり方に警鐘を鳴らす意味も込めて、声を上げることにしました」(迫川さん)

 07年11月、店内で配布していた「ベルク通信」とホームページ上で窮状を訴えると、客の反応は早かった。すぐさまファンによる応援サイト「LOVE! BERG!」が立ち上げられ、営業継続を求める署名は半年で1万人超集まった。

「今回の件が起こる前までは寡黙にコーヒーを飲んでいた常連のお客さんが、ある日、レジで『(ルミネ側の対応は)許せない。頑張って』と励ましてくれたり、素敵な経験をさせてもらっています」(迫川さん)

 こうした客の声をルミネはどのように受け止めているのか。取材を申し込むと、「契約にかかわることなのでお答えできない」(同社広報)との返答。だが、その一方で、ベルク側には、契約が切れる来年3月までに退店するようにとの文書を9月末日付けで送付していた。そして文書には、「退店しなければ、賃貸料を大幅に値上げする」との一文も付記されているという。既に届けられた先の1万人分の署名は無視された格好だが、迫川さんは、年内中にもう一度、新たに集まった署名を提出する予定だと話す。店長も、裁判に訴えずに、あくまでルミネ側の理解を求めていく意向とのことだが、強硬姿勢を貫くルミネにその思いは伝わるのか。成り行きを注視したい。
(編集部)

 

日刊サイゾー  (2008年11月20日 )

 

 


参考 「Q&A 定期借家契約」」(東京借地借家人組合連合会編)より

Q1 定期借家契約とは
Q2 定期借家契約を結ぶ手続き
Q3 既存の居住用借家契約から定期借家契約への切り替え
Q4 既存の店舗借家契約から定期借家契約への切り替え
Q6 定期借家契約の相続・譲渡・転貸借
Q7 定期借家契約期間途中の解約
Q8 借家人は定期借家契約の途中で家賃の減額を請求できるか
Q9 定期借家契約の期間が満了で必ず建物を明渡さなければならないのか
Q10 同じ建物で定期借家契約が繰り返された場合は
Q11 新しく借家契約をするときの注意点

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。