東京・台東借地借家人組合1

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【Q&A】 固定資産課税台帳を用いて借地人にも適正地代を計算することが出来るか

2008年11月06日 | 地代の算出方法

 (問) 適正な地代の算出方法はあるのか。


 (答) 地代の算定方式は法定されておらず、絶対的な算定方式というものは見当たらない。地代は当事者間の協議によって定めるのが原則であり、当事者間の合意額が適正地代であるというのが借地借家法の建前である。従って特段の事情がなければ地代は原則として公租公課を下回らない合意額であれば、それが適正地代であると言える。

 裁判では適正地代の算定方法として
 ①スライド方式
 ②積算方式
 ③差額配分方式
 ④賃貸事例比較方式
 ⑤公租公課倍率方式等がある。

 だが、どれも一長一短で、万人が納得するような算定方式はないというのが現状である。裁判の実務では複数の方式によって求められた地代を総合的に検討する総合方式が定着している。

 借地人が簡単に地代の目安を算定出来るというのは前記の方式では⑤であろう。地代と公租公課(固定資産税・都市計画税)の関係を統計調査して導きだされたもので東京23区の地代と公租公課の倍率は住宅地では概ね3倍前後で、商業地ではその2倍前後とされている。

 2003年4月1日から借地人・借家人等は、都税事務所で固定資産課税台帳の①「閲覧」及び②「土地評価証明書」の交付が受けられるようになった。

 交付を受ける場合、借地・借家人等であることを確認出来るものを持参する必要がある。例えば、賃貸契約書や賃借料の領収書等である。念のため身分証明書(運転免許証・健康保険証等)も持参した方がよい。

 代理人の場合は他に委任状が必要である。電話による委任確認に備えて委任者の電話番号も控えていった方がよい。東京都内23区の場合の交付手数料は、①「固定資産税台帳の閲覧」は300円で、②「固定資産土地評価証明書」は400円である。

 閲覧・証明の申請書には、土地の場合登記簿の地番、家屋の場合は家屋番号を書くようになっているが、住居表示と納税義務者(地主・家主)の住所と氏名を書込めば検索してくれる。

  ①も②固定資産課税台帳の記載事項をプリントしただけのものであり、内容的には同一だが、②には公印が表示される。

 固定資産課税台帳に記載が法定されているのは、課税標準額である。相当税額を記載するか否かは市町村の判断に任せられているで、自治体によって対応に差異がある。

 東京都内23区の場合は、税額は記載されていないが、
固定資産税額固定資産税課税標準額×1.4%(1.4/100)で求められる(年間)。

都市計画税額都市計画税課税標準×0.3%(0.3/100))で求められる(年間)。
 尚、都内23区では2/1の減額措置(200㎡以下の場合)が採られているので、都市計画税課税標準の特例額×0.3%(0.3/100)で求められる(年間)。
 
 ①と②の合算額を2~3倍すれば地代の概算額が算定出来る。この方式は東京簡易裁判所の調停にも使用され、地代の調停は、住宅地では3.1倍前後、商業地では2.4倍前後で成立している。

 

 (参考) 最高裁判所事務総局から1991(平成3)年12月付で「民事裁判資料第198号」として「民事調停の適正かつ効率的な運用に関する執務資料」が出されている。それは「各庁の民事調停事件処理要領(案)」(裁判官・書記官用)と「民事調停事件処理要領案」(裁判官・書記官用)の2つである。

 その1つに「民事調停事件処理要領案 (裁判官・書記官用)(東京地方裁判所 管内簡易裁判所」がある。

 そこには「最終合意賃料の公租公課との倍率(地代について)」として「最終合意賃料が公租公課の2~3倍に収まっているときは、加減要素として考慮しない。」(23頁)と記載されている。

 言い換えれば、地代は固定資産税と都市計画税との合算の2~3倍の範囲内であれば適正地代と言える。

 

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【判例紹介】 地代相当額の算定に当たり、スライド法のみを採用した事例 

2007年07月19日 | 地代の算出方法

 判例紹介

 地代相当額の算定に当たり、差額配分法及び利回り法採用せずにスライド法のみを採用した事例 ( 東京地裁平成9年2月4日判決、判例時報1623号96頁)

 (事実)
 地主は、昭和34年8月10日、豊島区池袋(以下略)の土地を、賃貸借期間30年、賃料1か月14000円、堅固建物目的で賃貸した。
 その後、賃料は順次増額され、称は55年以降1か月203000円、平成2年7月以降1か月452560円となった。
 そして、地主は、平成3年4月以降賃料を1か月497820円に増額請求し、その後、順次、平成4年4月以降同754500円平成5年3月以降同787600円、平成6年4月以降同879880円、平成8年4月以降同898012円に増額請求した。

 これに対し借地人は、従前額である1か月452560円を支払っていた。

 (争点)
 本件の争点は、各賃料増額請求時における相当賃料額はいくらかである。

 (判決要旨)
 裁判所は、賃料増額請求に対して、
 「利回り法は、賃料が前回(平成2年) の元本に対して一定の利回りにあることを基礎に、継続賃料を求める手法であるところ、この手法は、数年前の地価高騰時に求めた低い合意利回りを地価下落時の元本に乗じて継続賃料を求めるものであるから採用することが適当でない。

 また、差額配分法は、対象不動産の経済価値に即応した適正な実質賃料と実際支払賃料との間に発生している差額を貸主と借主に配分して試算賃料を求める手法であり、本件では、右実質賃料と各基準時の更地価格を基に算出している。

 ところで、正当な土地価格の変動を賃料に反映させることはそれなりに合理性があるが、一方、特に首都圏におけるバブル景気による投機的因子による地価の高騰と、その後の反動としてのバブル景気の崩壊による地価の下落は、土地の効用(収益力)の増額によって生じたものではなく、このような投機的価格部分に対応するものが相当賃料額に紛れ込むことを防止する必要がある。

 他方、スライド法は、純賃料を各種指数によってスライドし、これに公租公課を加算して求める手法で、継続賃料を求める手法としては適切なものといえ、本件では地代と関連性があると考えられる消費者物価指数家賃(区部)指数を採用しており、合理的なものであるといえる」とした。

 (短評)
 本件は、副都心池袋の高度商業地域における継続賃料相当額をどう算定するかが問題となった事案である。従来、差額配分法、利回り法、スライド法を総合して算定していたが、バブル景気とその崩壊に伴う地価の変動により、その手法が困難となり、結局、スライド法のみによる相当額の算定に当たって実務上参考となる判決である。

(1998.04.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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固定資産課税台帳の公開で税額と標準的な地代を計算してみた (東京・台東区)

2006年12月08日 | 地代の算出方法

       固定資産課税台帳の公開で
      地代減額請求の調停の申立へ

 台東区上野桜木は、JR鶯谷駅から5分位、緑の多い閑静な住宅地である。住環境に不満はないが地代には不満が残る。岩崎さんは、地代を1ヶ月49,600円(31坪)支払っている。坪当り1,600円である。近隣の地代に比較しても高過ぎる。

  2003年4月1日から借地借家人に固定資産課税台帳が開示された。そこで岩崎さんは借地契約書を持参し、都税事務所で「固定資産土地評価証明書」の交付(東京都内23区の場合、交付手数料400円)を受けた。 

 組合では、その「固定資産土地評価証明書」を基にして税額と標準的な地代を計算してみた。

   ◆ 【固定資産税額は固定資産税課税標準額×1.4%(1.4/100)で求められる。

 固定資産税課税標準額は「固定資産土地評価証明書」から31坪で年間、5,474,768円である。従って、1坪当りの固定資産税課税標準額は、5,474,768円÷31(坪)=176,605円(年間)

 比較し易いように1ヶ月/1坪当りの固定資産税課税標準14,717円(176,605円÷12ヶ月)で計算する。

     1ヶ月/1坪当りの固定資産税額は、14,717円×1.4%(1.4/100)=206円…(A)

   都市計画税額は都内23区では1/2(200㎡(60坪)以下の場合)の減額措置が採られているので、都市計画税課税標準の特例額×0.3%で求められる。】 

 特例額は「固定資産土地評価証明書」から、固定資産税課税標準額と同額である。

   従って、1ヶ月/1坪当りの都市計画税額は14,717円×0.3%(0.3/100)=44円…(B)

  公租公課倍率法では、住宅地では固定資産税都市計画税(A+B)の3倍前後、商業地では2倍前後が適正地代と言われている。税金は1ヶ月/1坪当り250円であるから、現行地代の坪当り1,600円は6.4倍である。住宅地として計算すると、地代は坪当り750円前後が妥当であるから、1ヶ月の標準的な地代(31坪)は23,2500円前後となる。現行の地代1ヶ月49,600円は高すぎる。

 「固定資産土地評価証明書」を根拠に岩崎さんは、簡易裁判所に近々地代の減額請求の調停を申立てる予定だ。

 

 (参考) 最高裁判所事務総局から1991(平成3)年12月付で「民事裁判資料第198号」として「民事調停の適正かつ効率的な運用に関する執務資料」が出されている。それは「各庁の民事調停事件処理要領(案)」(裁判官・書記官用)と「民事調停事件処理要領案」(裁判官・書記官用)の2つである。

 その1つに「民事調停事件処理要領案 (裁判官・書記官用)(東京地方裁判所 管内簡易裁判所」がある。

 そこには「最終合意賃料の公租公課との倍率(地代について)」として「最終合意賃料が公租公課の2~3倍に収まっているときは、加減要素として考慮しない。」(23頁)と記載されている。

 言い換えれば、地代は固定資産税と都市計画税との合算の2~3倍の範囲内であれば適正地代と言える。

 

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地代を値下げ(固定資産税路線価から地代を計算してみた) (東京・台東区)

2005年09月10日 | 地代の算出方法

現行地代は適正額の3倍なので地代の減額調停を申立

 地下鉄銀座線の稲荷町駅に程近い場所、JR上野駅400m位の場所に下谷神社がある。その神社の近辺が東上野3丁目になる。

 神社の裏手に居住する木村さんは最近同一地主の借地人達に、地代がどの程度かを尋ねて回った。その結果、近隣の地代に比べても高額であると気付いた。地代は、1ヶ月48800円(29坪)を支払っている。1坪当り約1700円である。

 地代の問題の他に更新料の問題もあるので、組合に加入して相談してみた。
 組合は、固定資産税の路線価を基にして地代を試算してみた。

 木村さんの家が面している通りの固定資産税評価の路線価は1㎡43万円 。1坪当り約142万円である。
 2002年度修正率はマイナス13%なので、1坪当りの固定資産税評価額は約125万円となる…(A)。

 固定資産税は、(A)×固定資産税率×軽減措置で計算出来る。
(1)固定資産税は固定資産税評価額×1.4%(1.4/100)(固定資産税率)×1/6(注1)
1坪当りの年間固定資産税は約2920円、1ヶ月当り約240円になる…(B)。

 都市計画税は、(A)×都市計画税率×軽減措置×23区の軽減措置で計算出来る。
(2)都市計画税は固定資産税評価額×0.3%(0.3/100)(都市計画税率)×1/3(注1)×1/2(注2)
 都市計画税は1坪当り年間約630円、1ヶ月当り約50円になる…(C)。

 1ヶ月当りの支払税額は(B)+(C)で1坪当り約290円。
 標準的な地代は(B)+(C)の2~3倍といわれている。(注3)

 借地面積は29坪であるから1ヶ月の地代は、16820~25230円となる。
木村さんの支払っている地代は、適正地代より約2~3倍高い。

 そこで、木村さんは簡易裁判所に地代の減額請求の調停を申立てた。話合いを続けた結果、1万円の値下げ案が提示されたが、地主側は肯首しなかった。このままでは調停が不調になってしまうので、今回は仕方なく7800円で妥協した。
 2003年4月以降に都税事務所で評価証明書をもらって、もう一度減額請求の調停をやる決意だ。

 (注1)軽減措置で200㎡(60坪)以下の場合は、(1)固定資産税は1/6で(2)都市計画税は1/3に減税。200㎡(60坪)以上の場合は、(1)固定資産税は1/3で(2)都市計画税は2/3に減税。

 (注2)200㎡(60坪)以下の場合、都内23区は軽減措置で1/2に減税されている。

 (注3)東京簡易裁判所の調停成立事例では住宅地は3.1倍前後、商業地は2.4倍前後という調査結果がある。

 

 (参考) 最高裁判所事務総局から1991(平成3)年12月付で「民事裁判資料第198号」として「民事調停の適正かつ効率的な運用に関する執務資料」が出されている。それは「各庁の民事調停事件処理要領(案)」(裁判官・書記官用)と「民事調停事件処理要領案」(裁判官・書記官用)の2つである。

 その1つに「民事調停事件処理要領案 (裁判官・書記官用)(東京地方裁判所 管内簡易裁判所」がある。

 そこには「最終合意賃料の公租公課との倍率(地代について)」として「最終合意賃料が公租公課の2~3倍に収まっているときは、加減要素として考慮しない。」(23頁)と記載されている。

 言い換えれば、地代は固定資産税と都市計画税との合算の2~3倍の範囲内であれば適正地代と言える。

 

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地代の値上げ(相続税路線価から地代を計算してみた) (東京・台東区)

2005年09月09日 | 地代の算出方法

   地代の増額請求調停 

 台東区東浅草の非組合員の森さん(借地28坪)は、簡易裁判所で地代値上げの調停中。地主は、現行地代1か月19,040円(1坪当り680円)を23,520円(坪当り840円)に値上げ請求している。

 調停は最終段階を迎え、森さんは現行額の1%増(28坪で190円)なら呑んでもいいと回答し、それ以上なら拒否するつもりでいる。しかし、森さんは確信が持てない。現在の地代が高いのか、安いのか、判断する根拠が解らないからだ。

 地代値上げを呑まずに調停が不調になって、本裁判になった時にどうするか、弁護士の手配・費用は等々、悩みは尽きない。 そこで、台東借地借家人組合へ電話を入れ、最終調停の前日組合事務所を訪ねた。

 組合は、インターネットで国税庁が公表している相続税路線価データを調べ、地代を推定してみた。正確な固定資産税と都市計画税は都税事務所の固定資産課へ行って評価証明書の交付を受けて、それに基づいて計算するのが基本である。 

 住所で調べた路線価は1㎡当り205,000円であった。1坪当りに換算すると676,500円である。国税庁が公表している相続税路線価は国土交通省の地価公示価格の80%に設定されている。

 従って、路線価÷0.8=地価公示価格であるから、推定公示価格845,625円になる。

 固定資産税評価額は公示価格の70%に設定されている。固定資産税評価額=公示価格×0.7

(1)1か月当りの固定資産税=固定資産税評価額(年間)×1/100×1.4(固定資産税率)×1/6(註1)×1/12〈か月)

(2)1か月当りの都市計画税=固定資産税評価額(年間)×1/100×0.3(都市計画税率)×1/3(註1)×1/2(註2))×1/12(か月)

 計算すると、(1)固定資産税と(2)都市計画税の合計は、1か月1坪当り139円となる。

 標準的な地代は(1)(2)の合計の2~3倍といわれている(註3)。例えば2.5倍とすれば、坪当たりの地代は347.5円となり、28坪で9,730円となる。

 地主の要求している23,520円は、かなり高額であると言える。現行でも割高であり、寧ろ値下げを要求すべきである。

 翌日の調停で、森さんは1%の値上げ以外は認められないと確信を持て主張した。地主側も要求額を譲らず、調停は不調に終った。

 しかし、地主側は調停の翌日、森さんの主張(1%の値上げ)を全面的に受け入れると連絡して来た。結局、現行地代の1%の値上げ190円で決着した。

 (註1)軽減措置で200㎡(60坪)以下の場合は、(1)固定資産税は1/6で(2)都市計画税は1/3に減税。200㎡(60坪)以上の場合は、(1)固定資産税は1/3で(2)都市計画税は2/3に減税。

(註2) 都内23区の軽減措置で1/2に減税されている。

(註3) 東京簡易裁判所の調停成立事例では住宅地は3.1倍前後、商業地は2.4倍前後という調査結果がある。

 

 (参考) 最高裁判所事務総局から1991(平成3)年12月付で「民事裁判資料第198号」として「民事調停の適正かつ効率的な運用に関する執務資料」が出されている。それは「各庁の民事調停事件処理要領(案)」(裁判官・書記官用)と「民事調停事件処理要領案」(裁判官・書記官用)の2つである。

 その1つに「民事調停事件処理要領案 (裁判官・書記官用)(東京地方裁判所 管内簡易裁判所」がある。

 そこには「最終合意賃料の公租公課との倍率(地代について)」として「最終合意賃料が公租公課の2~3倍に収まっているときは、加減要素として考慮しない。」(23頁)と記載されている。

 言い換えれば、地代は固定資産税と都市計画税との合算の2~3倍の範囲内であれば適正地代と言える。

 

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地代を値下げ(固定資産税台帳の閲覧で地代を計算してみた) (東京・台東区) 

2005年07月30日 | 地代の算出方法

  固定資産課税台帳の公開で
   地代減額請求の調停の申立

 台東区東上野3丁目の下谷神社の裏手に居住する木村さんは、約29坪を借地している。悩みは地代が高いことだ。前回の2002年の調停では1ヵ月4万8800円(坪1688円)の地代が4万1000円(坪1414円)に減額された。

 都税事務所で2003年4月1日から借地借家人に固定資産税課税台帳の閲覧及び評価証明書の交付が受けられるようになった。そこで都税事務所に行き固定資産税の評価証明書を交付してもらった。

 東京23区の場合、借地の固定資産税(A)は証明書の「課税標準の特例額」に1.4%を掛ければ、年間の税額が計算出来る。同様に都市計画税(B)は同じく特例額(東京23区の場合、1/2の減税措置が採られている)に0.3%を掛ければ求められる。

 計算すると1坪当りそれぞれ222円(A)と48円(B)となる。調査統計から地代は(A)+(B)の2~3倍なので540~810円。29坪の借地の1ヵ月の地代は1万5660~2万3490円が妥当な金額となる。減額後の坪1414円の地代は(A)+(B)の5.2倍ということでまだかなり高額である。

  そこで再度、簡易裁判所に地代の減額請求を申立てた。今回も地主は調停に一度も出席しなかった。総て弁護士任せという姿勢は前回と同様であった。立て続けの調停策に地主は困惑したのか、弁護士費用に閉口したのか、今後3年間減額請求を中止するという条件を呑むのであれば、地代の減額に応じる姿勢を見せた。

 今回の調停は1ヵ月の地代を3万3500円(坪1155円)に減額するという結果であった。(A)+(B)の約4.3倍でまだまだ高い。固定資産税は毎年下がっているので3年後に再度地代減額請求の調停を計画している。

 

 (参考) 最高裁判所事務総局から1991(平成3)年12月付で「民事裁判資料第198号」として「民事調停の適正かつ効率的な運用に関する執務資料」が出されている。それは「各庁の民事調停事件処理要領(案)」(裁判官・書記官用)と「民事調停事件処理要領案」(裁判官・書記官用)の2つである。

 その1つに「民事調停事件処理要領案 (裁判官・書記官用)(東京地方裁判所 管内簡易裁判所」がある。

 そこには「最終合意賃料の公租公課との倍率(地代について)」として「最終合意賃料が公租公課の2~3倍に収まっているときは、加減要素として考慮しない。」(23頁)と記載されている。

 言い換えれば、地代は固定資産税と都市計画税との合算の2~3倍の範囲内であれば適正地代と言える。

 

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【Q&A】 適正な地代算出方法は 

2005年06月04日 | 地代の算出方法

   借地人にも地代の目安を簡単に計算する事が
        出来る算定方法はあるのか

 (問) 適正な地代の算出方法はあるのか。


 (答) 地代の算定方式は法定されておらず、絶対的な算定方式というものは見当たらない。地代は当事者間の協議によって定めるのが原則であり、当事者間の合意額が適正地代であるというのが借地借家法の建前である。従って特段の事情がなければ地代は原則として公租公課を下回らない合意額であれば、それが適正地代であると言える。

  裁判では適正地代の算定方法として
 ①スライド方式
 ②積算方式
 ③差額配分方式
 ④賃貸事例比較方式
 ⑤公租公課倍率方式等がある。

 だが、どれも一長一短で、万人が納得するような算定方式はないというのが現状である。裁判の実務では複数の方式によって求められた地代を総合的に検討する総合方式が定着している。

 しかし、借地人が簡単に地代の目安を算定出来るというのは前記の方式では⑤であろう。地代と公租公課(固定資産税・都市計画税)の関係を統計調査して導きだされたもので東京23区の地代と公租公課の倍率は住宅地では概ね3倍前後で、商業地ではその2倍前後とされている。

 固定資産税等は都税事務所で申請すれば、固定資産税台帳の閲覧(コピー)及び評価証明書が交付される。そこに記載されている「固定資産税課税標準」に①固定資産税の場合は1.4%(1.4/100)を、②都市計画税の場合は「課税標準の特例額」(東京都23区の場合は減税措置で1/2に減額されている)に0.3%(0.3/100)を乗じれば、それぞれの年間税額が求められる。

 ①と②の合算額を2~3倍すれば地代の概算額が算定出来る。この方式は東京簡易裁判所の調停にも使用され、地代の調停は、住宅地では3.1倍前後、商業地では2.4倍前後で成立している。(参考