保証金/敷金トラブル/原状回復/法定更新/立退料/修繕費/適正地代/借地権/譲渡承諾料/建替承諾料/更新料/保証人
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敷金返還の少額訴訟で取り戻す
有村さんは、台東区三ノ輪のマンションに7年4か月暮らしていた。家賃は1か月11万円、管理費8000円であった。日本提に新築のマンションを見つけ、引っ越すことになった。
4月28日の退室当日、不動産会社の人の立会いで、部屋を点検した。指摘されたのは、洋室の壁の陥没3箇所と、破れた障子2面。それらについては、修繕費を負担する覚悟でいた。その他は、補修・交換の必要なしとのことだった。
ところが不動産会社から届いた5月22日の敷金精算書には、原状回復費用20万円とあり、敷金22万円から差し引いて残金2万円を返金すると書かれていた。費用の内訳には、指摘個所の補修費用約3万円の他に、台所と洋室のクロスの全面張替費用と、クリーニング費が追加されていた。
賃貸契約書の第21条に原状回復特約があり、賃借人の費用負担で入居時の状態まで回復させる義務があるとされている。台所と洋室のクロスの全面張替費用を賃借人が全額負担しなければならないことには納得がいかない。
そのことに関して、不動産会社に文句を言ったが原状回復特約を結んでいるのだから仕方が無いの一点張りで埒があかない。敷金返還要求の内容証明郵便も送り付けたが不動産会社に無視された。
手詰まり状態を打開するために組合に相談した。組合は「通常の用法に従った使用に必然的に伴う汚損・損耗は原状回復義務の対象にならない」(東京地裁1994年7月1日判決)というのが判例の確定した考え方であると説明した。
東京簡易裁判所の判決に次のようなものだある。即ち「建物賃貸借契約に原状回復条項があるからといって賃借人は建物賃借当時の状態に回復すべき義務はない。賃貸人は賃借人が建物を通常の状態で使用した場合に時間の経過にともなって生じる自然の損耗・汚れによる損失は賃料として回収しているのであって賃借人に負担させるべきでなく、原状回復条項は賃借人が故意・過失によて又は通常ではない使用をしたために建物の棄損等を発生させた場合の損害の回復について規定したものと解するのが相当である」(東京簡易裁判所1995年8月8日判決)。
以上、判例の考え方から言えば洋室壁穴補修工事と障子2面の修繕は賃借人が負担しなけばならない。この28560円は控除されるのは仕方が無いが、それ以外は家主が負担すべきである。
不動産会社と交渉するのは時間の無駄というのが組合の結論であり、家主を相手に組合が薦める少額訴訟に踏み切った。訴状は組合作成の少額訴訟のサンプルと組合の説明を基にして自分で書き、必要書類を添付して東京簡易裁判所に提出した。
後日、少額訴訟の決着は約2時間でついた。納得できない所もあたが、敷金の80%が戻ることになり、やってよかったと思っている。
東京・台東借地借家人組合
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