東京・台東借地借家人組合1

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【Q&A】 私道を所有している地主が下水道工事の承諾をしません

2011年11月01日 | 承諾に関して

 【問】 私の借地は公道から私道を入った奥にありますが、今度水洗化工事をしようと思っています。ところが、私道を所有している地主が、地代の値上げとか・承諾料とかを要求して下水道工事を承諾してくれません。どうしたらいいでしょうか。


 【答】 下水道整備は地方自治体や政府の重要な施策になっていることはよく知られています。水洗化工事をしようとするとき、自分の土地だけで下水道管の埋設工事が出来ればいいのですが、ご質問のように他人の土地を使わしてもらわなければ工事が出来ないという場合もめずらしくありません。たいていの場合は、私道に下水道管を埋設することについて、近所の方々は了解してくれるものです。しかし、地主から不当な妨害を受けたとき、水洗化工事を諦めなければならないのでしょうか。諦める必要はないというのが結論です。

 借地人は、地主から建物を所有する目的で借地しています。借地上の建物には当然人が居住したり・営業したりするわけですから、地主としては、借地人に対して建物所有が全うできるように土地を貸す義務があります。昔は、下水道がなくともそれが当たり前であったでしょうが、現在は、下水道を引いて水洗トイレを使用することが普通の状況にあります。ですから、地主は、土地を貸すという義務の内容として、借地人が下水管埋設工事をすることに協力する義務があります。

 また、法律は隣地の土地利用について、いろいろな規定を設けています。例えば、塀や建物を作ったり修繕するときは隣の土地を使用することが出来る(民法209条)、袋地となった土地の人は他人の土地を通行することが出来る(民法210条)、一段高い土地の人は隣の低い土地を使って排水を流すことが出来る(民法220条)という具合です。

 私道の奥に居住する人はどうしても他人の土地を利用しなければ日常生活が出来ませんので、こういった法律を置いているわけです。さらに、下水道法という法律には、公共下水道が出来た場合、排水区域の土地所有者はその土地の下水を公共下水に流入させるために必要な配水管その他の排水設備を設置することが義務とされています(下水道法10条)。借地人にもこの義務があるわけです。その場合、他人の土地を使用しなければ下水を公共下水道に流入させることが出来ないときは、他人の土地に排水設備を設置することが出来る(下水道法11条)とされています。

 これらの法律の規定から見ても、地主が下水管埋設工事を拒否することは法律が認めていません。地主がどうしても承諾しないときは、裁判所に、承諾を請求したり、工事の妨害を禁止したりする法的手続きをとることが出来ます。

 

東借連常任弁護団解説

Q&A あなたの借地借家法

(東京借地借家人組合連合会編)より


(参考) 
 【判例紹介】 地主は借地人に下水道敷設につき承諾義務を負うとされた事例東京高裁平成9年8月30日判決、判例タイムズ1998年10月25日号134頁以下)

 

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【Q&A】 相続と名義書換

2011年09月28日 | 承諾に関して

 【問】 父親が死亡し、息子の私が相続しましたが、地主は契約書を書換えるから名義料を3.3㎡当り5万円払えといいます。契約書は地主側も先代の名前になっています。


 【答】 わが国では建物と土地は別個の不動産として取扱われていますので、借地上に建物があるときには、建物と借地権それぞれが相続の対象となります。借地権は、財産権の一つとして被相続人(父親の)財産の一つを構成することは間違えありませんので、借地権を相続人が取得したときに地主との関係でどのようなことが問題になるかを考えておくこととします。

 親が死亡しますと相続が開始されます(民法882条)。相続開始によって死亡者(父親)の有していた法律上の地位が当然に相続人に移る効果が発生します。このように死亡した者の法的地位が、一体として相続人に移転することを包括承継といいます。したがって、相続人は死亡者の権利・義務を死亡した時点から承継することになり、死亡者と同じ立場に立つということになります。たとえば売主の地位、買主の地位、本人の地位というものを承継するということになるのです。

 では、借地権者が死亡した場合、借地権を相続した相続人は地主との関係でどのような地位に立つのかということを考えて見ましょう。先ほど述べましたように、相続は死亡者の権利・義務を包括承継しますので、死亡者が地主に対して有していた権利・義務を一切引き継ぐことになります。

 別の言葉で言いますと、土地賃貸借契約の当事者である地主とあなたの父親の賃貸借契約に伴う権利・義務、たとえば地代支払義務、賃貸借期限等が、そのまま相続人であるあなたの権利・義務となるということです。したがって、相続人のあなたは父親が地主に約束した地代支払い等をしておれば、地主から借地人ではないから地代は受け取れないといって、土地を返してくれせという請求をはねつけることができるのことは勿論、父親が死亡したというので相続人が借地権を譲り受けたので承諾して欲しいと求める必要もありません。

 ご質問では、地主は名義書換料を3.3㎡当り5万円払えと言っているようですが、これまで述べてきたことから明らかなように、父親が死亡したことによってその時点から、父親と同じ地位をあなたは取得しているので、借地権を第三者に譲渡することに伴い地主から名義書換料の支払いを求められるのと異なり、借地権を相続した場合は名義書換えの問題は発生しませんので地主の要求を拒否することができます

 このように、地主の中には、法律上なんら地主の承諾を要しない場合にも、承諾料を請求する人がおり、ひどい場合には、先代の地主が死んで新しく地主になった相続人が、借地人に対し、「借地契約は、先代の地主とであっ、て自分は契約していないから、名義書換えをするから名義書換料をくれ」と請求することがありますが、これもまったく問題になりません。

 

東借連常任弁護団解説

Q&A あなたの借地借家法

(東京借地借家人組合連合会編)より

 

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【判例紹介】 クレーンの設置は建物所有の借地の利用目的外で契約解除を認めた事例

2009年06月08日 | 承諾に関して

 判例紹介

 クレーンを設置することは、建物所有の借地の利用目的の範囲外であり、地主の承諾を得ない設置につき契約解除を認めた事例 東京地裁昭和63年1月25日判決、未掲載)


 (事案)
 Y1(賃借人)は資源回収を業とする先代からこれら業務に供する倉庫、事務等の所有を目的とする土地賃貸借権を相続し、その後右建物等をY1が代表する有限会社Y2の資源回収業に供してきたところ、Yらは営業上の必要から借地上にクレーンを設置する必要に迫られ、従前存していたY1所有の倉庫等の大半を取壊し、その跡地に地下1.2mを下らない深さを掘ってレールを敷き、Y2所有の高さ10m(Y2は7mを主張)の移動式のクレーンを設置した。

 X(賃貸人)は右クレーンの設置を承諾したことはないと主張して契約を解除し、Y2はXから承諾を受けたこと、本件借地は古鉄解体業のため営業上の建物所有を目的として賃借してきたものであり、本件クレーンの設置は、本件土地の利用目的の範囲内のものであって、そもそもXの承諾の有無は問題にならないとして争った事案である。結果はXが勝訴。


 (判旨)
 「被告らは前記各建物を使用して資源回収を業としていたことは前記のとおりであるが、倉庫事務所89.52㎡及び倉庫19.87㎡を解体し、本件土地の南北西側に平行してクレーンを設置することは、従前の利用目的の範囲以内のものであるということはできず、原告の承諾を要する事柄であることは明らかである。」


 (寸評)
 本件の如く大型クレーンを設置することが、資源回収、古鉄解体事業の営業上の建物所有の借地の利用目的外であるとした例は、初めてであるが、先例として参考のために紹介した。
 同種の事例として、有料駐車場の開設や、大型機器の設置など本来の建物所有の目的と直接に結びつかない借地の利用に対しても生じうることである。判例の集積をまつ以外にないと思われる。

(1988.03.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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借地の相続で坪当り9万円の名義書換料を請求 (東京・大田区)

2009年02月25日 | 承諾に関して

 大田区西六郷、所在の宅地約32・5坪賃借のKさんは父名義の借地上の建物を息子名義で建替えるに当り、地主に承諾を求めたら建替え承諾料に更新料・名義変更さらに転貸料も含むと約1000万円を支払わされた。

 父の死去後、契約書を名義変更すると坪当たり9万円を請求する地主に、怒りを覚え組合に相談した。直ちに、賃借権者の変更は相続によるものであり、地主の承諾は必要としない旨を書面にて通告した。

 地元でも悪名高き地主、今度は地代増額を請求。すでに高額な地代を払っており、Kさんは厳しく対応する。地主の目の前で携帯電話で組合に相談。持参した従前と同額の地代を受領させた。しかし、年末には受領拒否されて供託に移行した。同一地主の借地人の入会は6世帯に増えている。

 

東京借地借家人新聞より

 

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【Q&A】 無断譲渡であっても違法性が低い場合には契約解除することが出来ない

2008年12月29日 | 承諾に関して

(問) 3年前に母が亡くなり、その後、父は40坪の借地上の建物に一人で暮らしていた。その父が先日、胃癌が原因で手術の甲斐もなく亡くなった。兄は別に家を持っているので、弟の私が借地権と建物を引継ぐことになった。その場合、名義書替料等を支払う必要があるのか。


 

(答) 相続人は、相続の開始の時から、相続財産に属した一切の権利と義務を承継する(民法896条)。相続財産は相続人が複数人いる場合、相続人全員が共同で相続する(民法898条)。その場合、法定相続分に応じて共有する。

 今回の場合、建物と借地権を兄弟二人が共同で2分の1ずつ共有することになる。このままの状態で借地上の建物を共有して使用する場合は、地主の承諾は不要である。

 しかし、分割協議の結果、相続人の一人が単独で所有する場合は、兄の相続持分が弟に譲渡されたことになる。従って地主の承諾が必要という結果になる。

 民法612条は、賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲渡し、または賃借物を転貸することが出来ないとしている。それに違反した場合は、契約の解除をすることが出来ると規定している。

 しかし、判例は、「共同相続された後に、地主の承諾を得ないで相続人の間で持分の譲渡があっても、無断譲渡を理由とする契約解除は出来ない。この場合、民法612条の無断譲渡・転貸には当たらない」(最高裁昭和29年10月7日判決)。

 「所有建物を同居する子との共有とし、これに伴い敷地の賃借権の持分を譲渡した場合には、賃借地の利用及び賃料支払い等の実質関係に前後に変わりがなければ、賃借権の持分の譲渡は、これについて貸主の承諾がなくても、民法612条2項による解除の事由とはならない」(最高裁昭和39年1月16日判決)。

 結論、判例に従えば、相談者が借地権と建物の所有権を単独で相続しても、無断譲渡に該当しないので、譲渡承諾料・名義書替料を支払う必要はない。

 しかし、このような遺産分割による特定の相続人に帰属するのが当然のこととされる相続の事前処理的な違法性の程度が低い内容でない場合は、借地借家法19条の地主の承諾に代わる裁判所の代諾許可の制度を選択した方が安全である。

 

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【判例紹介】 親子間の借地の転貸借について承諾料を転借地権価格の1%とした例

2008年06月03日 | 承諾に関して

 判例紹介


 親子間の借地の転貸借について、承諾料を転借地権価格の約1%とした例 (東京地裁平成4年9年25日判決、判例集未登載)


 (事案)
 BはAから宅地35坪を借地しているが、借地上の建物の建替(改築)を計画、しかしBは高齢で無職のためもはや住宅ローンを借りられない。同居を予定している二男Cが建築するしかない。

 この場合、①BからCに借地権を譲渡するか、②Bの借地をCに転貸するか、いずれかによることになる。①の場合は贈与税が気がかりだし、②の場合には無償使用の届出を税務署に提出しておけば贈与税はかからない(その代わりB死亡後B名義の借地権は相続の対象になる。しかし相続税の方が贈与税よりずっと安くてすむ)。

 そこでBCは②を選択。地主Aに改築と合わせて転貸借の承諾を求めたが、Aは間近に更新を控えているので(平成3年12年31日が期間満了)、先ず更新料を支払ってもらい更新契約を済ますことが前提だと主張して譲らない。

 BCは已む無く改築の許可と転貸の許可を求めて借地非訟の申立をした。(BCは新築後は同居する親子であるから、転貸の承諾又は承諾に代わる裁判所の許可がなくても無断転貸を理由とする借地解除が認められる可能性は極めて低いといえるが、そういったトラブル回避のため転貸の点も申立をした)


 (決定)
 1、改築承諾料は更地価格の約3%が相当である。

 2、転貸承諾料について、鑑定委員会は、本件転貸借を許可する場合の財産上の給付を、借地権を第三者に譲渡する場合の譲渡承諾料の慣行(借地権価格の10%程度)に照らし転借地権価格(更地価格の49%。すなわち借地権価格の70%の更にその70%)の約10%が相当だとする。

 しかし、当裁判所は、本件が第三者ではなく親子間の転貸借であること、転貸借後も申立人Bは本件土地の上に居住し土地の利用者に実質的な変更はないこと、転貸借の設定によりBに何ら権利金等の金銭的利益の生じていないことに照らし第三者への借地権譲渡の承諾料割合を用いるのは相当ではなく転借地権価格(前記のように更地価格の49%)の1%が相当と判断する(坪当り1万円強)。

 3、なお相手方Aは更新料の支払を命ずるべきだと主張するが、当事者間の利益を図るためには前記1、2及び賃料も改定することで足りるからAの主張は採用しない。


 (寸評)
 「決定」のうち1は判例通り、3も当然のこと。問題は2の転貸借承諾料であったが、本当はゼロでもよいと考えられる。裁判所が転借地価格の約1%(更地価格に対する割合にすりと0.49%)としたのは、親子間の場合には形式的名目的なものでよいということである。先例が見当らないのでご紹介する次第。

(1992.11.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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貸工場の全焼で建替承諾料(地価の3%)で合意 (東京・大田区)

2007年10月18日 | 承諾に関して

 大田区多摩川*丁目に居住のTさんは、95・5坪の土地を普通建物所有目的に借地して、自宅と貸工場を所有している。2年前には高額な更新料を支払い、合意更新し円満な環境にあった。

 今年春に借家人が原因の出火によって、貸工場が全焼した。共同住宅建設の承諾を求めたが、地主の代理人は執拗に等価交換を主張し、交渉は長期化した。組合に入会し交渉の結果、地価の3%の承諾料で合意し、建築工事に着工した。

 更新料を払って円満な状況でも、求めるものは当然のごとく求めるのが貸主であることの事例である。

 

東京借地借家人新聞より 

 


 

  (*)  火災後の再築に関しては、こちらも参照して下さい。

 

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貸したのは先代だと地主が借地の相続を拒否 (東京・江東区)

2007年09月26日 | 承諾に関して

 江東区大島4丁目で25坪の土地を借りているTさんは昨年先代が亡くなった後、相続を地主に通知した。

 地主は、「貸したのは、先代で、あなたとは契約していない」と言ってきたので心配になった。以前、区民センターで組合の相談会にでたことを思い出し、組合に相談に来た。

 Tさんの借地は、1970年から借りて、地代は年間21万6300円(坪・月額721円)の年払い。更新は、特別にせず、法定更新になっていた。

 相談の結果、Tさんは、地主に対して借地権の相続と今後も従前と同一の条件で賃借を続けたいという通知を出した。地主は、その後は黙ってしまった。年払いの地代も何も言わず受取った。

東京借地借家人新聞より

 

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非訟手続で堅固建物の許可を得る  (東京・東村山市)

2006年07月08日 | 承諾に関して

  大道路拡幅での建替えに
 地主が承諾せず裁判所に申立て

 東村山市栄町*丁目で、西武線の八坂駅の傍でパン屋を営業するAさんは、東京都の道路拡幅工事で建物と借地の一部112坪が買収されるため、拡幅後の残地176坪に堅固建物を建てるため地主に許可を求めた。

 地主は建替えを許可しないばかりか、道路拡幅の借地権の補償も5分5分を主張したため、Aさんは同じ借地人のBさんとともに東京地裁八王子支部に借地条件変更の申立てを行った。審理は長期化し、鑑定も2度行われた。昨年の5月8日にやっと裁判所の「決定」が下りた。

 決定は、Aさんの道路拡幅後の残地に鉄骨造地上4階建の堅固建物を建てることを認め、付随処分として条件変更に伴う財産上の給付として更地価格1708万円の1割170万8千円が相当であり地代は月額2万4844円(残地月額1万5167円)に変更することが決まった。

 裁判所の判断では、道路拡幅でAさんの店が全てなくなり、2階も居宅の6畳2間を失い営業も生活も出来なくなることから、4階建の堅固建物に改築することが必要であることが認められた。借地の一部についてのみ条件変更の申立てをすることは許されないとの地主の主張については、「相手側に不当な不利益は認められない」と退けた。

 

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 *法20条1項後段の付随的裁判で敷金の交付を命ずることが出来るとした事例

2006年07月02日 | 承諾に関して

 判例紹介

  地借家法20条1項後段の付随的裁判として敷金を差し入れるべき旨を定めその交付を命ずることが出来るとした事例 最高裁第2小法定・平成13年11月21日決定。判例タイムス1079号175頁)

(事案)
 借地上の建物を競売により取得した者が、借地借家法20条に基づき、賃借権の譲渡について借地権設定者である抗告人の承諾に代わる許可申立事件。

 抗告人は昭和57年10月14日、その所有土地を堅固な建物の所有を目的とし、期間を平成38年12月14日までと定めて、A会社に賃貸。Aは敷金1000万円を右契約によって生ずるすべての債務を担保するために、契約が終了し土地明渡し時に返還を受ける約定で、抗告人へ差し入れていた。

 その後、Aは借地上の建物について担保権の実行による競売をされ本件抗告の相手方が競落して建物の所有権を取得。右競売事件の物件明細書には、本件土地賃借権の期間は昭和57年10月14日から44年間、賃料月額19万1150円、敷金1000万円と記載されていた。

 借地非訟手続において抗告人は、申立の棄却を求めると共に、許可を与える場合には付随裁判として地代の増額と財産上の給付およびAが抗告人に交付したいたものと同額の敷金の交付を求めていた。また、Aの敷金返還請求権に対し、国は差押をしていた。

 原々審および原審は、敷金については借地借家法20条1項後段の付随的裁判としてその交付を命ずることができないとしていた。原決定を破棄、高裁に差し戻しを命じた。

(判旨)
 「土地の賃借人が賃貸人に敷金を交付していた場合に、賃借権が賃貸人の承諾を得て旧賃借人から新賃借人に移転しても、敷金に関する旧賃借人の権利義務関係は、特段の事情のない限り新賃借人に承継されるものではない(最高裁昭和53・12・22判決)。したがって、この場合に賃借権の目的である土地の上の建物を競売によって取得した第三者が土地の賃借権を取得すると、特段の事情がない限り、賃貸人は敷金による担保を失うことになる、そこで、裁判所は上記第三者に対し法20条に基づく賃借権の譲受けの承諾に代わる許可の裁判をする場合には、賃貸人が上記の担保を失うことになることをも考慮して、法20条1項後段の付随的裁判の内容を検討する必要がある。その場合、付随的裁判が当事者の利益の衡平を図るものであることや、紛争の防止という賃借権の譲渡の許可の制度の目的からすると、裁判所は旧賃借人が交付していた敷金の額、第三者の経済的信用、敷金に関する地域的な相場等の一切の事情を考慮した上で、法20条1項後段の付随的裁判の一つとして、当該事案に応じた相当な額の敷金を差し入れるべき旨を定め、第三者に対してその交付を命ずることができるものとするのが相当である。」

(2002.11.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 


 

 同じ最高裁判決(平成13年11月12日)を扱っている2006年7月18日の「判例紹介」も参照して下さい。

 借地借家法
第20条(建物競売等の場合における土地の賃借権の譲渡の許可)
 第三者が賃借権の目的である土地の上の建物を競売又は公売により取得した場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、借地条件を変更し、又は財産上の給付を命ずることができる。
2 前条第2項から第6項までの規定は、前項の申立てがあった場合に準用する。
3 第1項の申立ては、建物の代金を支払った後2月以内に限り、することができる。
4 民事調停法(昭和26年法律第222号)第19条の規定は、同条に規定する期間内に第1項の申立てをした場合に準用する。
5 前各項の規定は、転借地権者から競売又は公売により建物を取得した第三者と借地権設定者との間について準用する。ただし、借地権設定者が第2項において準用する前条第3項の申立てをするには、借地権者の承諾を得なければならない。

 

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【判例紹介】 *建物競売の場合に借地権譲渡許可の裁判で敷金の差し入れを命じた事例

2006年06月21日 | 承諾に関して

 判例紹介

 建物競売等の場合における借地権譲渡許可の裁判で、敷金(保証金)を差し入れることを命じた事例 最高裁平成13年11月21日決定、判例時報1768号86頁)

(事案の概要)
 YはAに対して、堅固建物所有を目的として、土地を賃貸し、Aはその土地上に5階建ビルを建築して所有していた。
 ところが、Aの建物について競売が申し立てられ、Xが借地権付建物として競落した。

 XはYに対して、借地権譲渡の承諾を求めたが、Yが承諾しなかったので、Xは、借地借家法第20条に基き、裁判所に対して地主の承諾に代わる許可を求める申立てをした。
 ところで、本件においては、もともとAがYに対して敷金(保証金)1000万円を差し入れていた経過がある。
 鑑定委員会は、申立てを容認するのが相当としたうえ、付随的裁判としてXに対して譲渡承諾料の支払をさせるほか、敷金として金1000万円を差し入れさせるのが相当であるとの意見を出した。

 大阪地裁及び大阪高裁は、借地権譲渡を許可し、付随的裁判として、譲渡承諾料の給付のみを命じ、敷金に関しては、借地借家法第20条1項後段の付随的裁判として敷金の差し入れを命ずることはできないと判示した。

 これに対し、Yは付随的裁判として敷金の差し入れを命ずべきであるとして、もしそれを命じないのであれば、申立てを棄却すべきであると抗告許可の申立てをした。

(裁判)
 最高裁は、「旧賃借人が交付していて敷金の額、第三者の経済的信用、敷金に関する地域的な相場等の一切の事情を考慮した上で、法20条1項後段の付随的裁判の1つとして、当該事案に応じた相当な額の敷金を差し入れるべき旨を定め、第三者に対してその交付を命ずることができるものと解するのが相当である」として原決定を破棄し、大阪高裁に差し戻した。

(短評)
 競売・公売により借地権付建物を取得した場合、競落人には譲渡の承諾に代わる許可の制度が設けられている。そして、許可の申立てを認容する場合、裁判所は当事者間の利益の衡平を図るため、必要があるときは、付随的裁判として借地条件を変更し、又は財産上の給付を命ずることができるとされている。(借地借家法第20条)

 ところで、これまで敷金(保証金)の差し入れを命ずることができるかどうかについては最高裁の判例がなかったところ、今回の決定により、敷金(保証金)の差し入れも借地条件の変更・財産上の給付とされたことから、今後は、競落に当たって、従前の敷金(保証金)の有無・金額を調査する必要があり、また、敷金(保証金)の差し入れを命じられることがあることを覚悟する必要が出てきた。

(2002.03.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【Q&A】 離婚による借地権分与は無断譲渡になるのか 

2005年07月13日 | 承諾に関して

  離婚による財産分与や夫婦間の
    無断借地権譲渡は契約解除原因になるか


 (問) 夫と協議離婚することになりました。離婚の条件として夫名義の建物を分与されることになりましたが、地主との関係はどうなりますか。


 (答) 民法621条は賃借権の譲渡および転貸の制限をしている。「①賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、または賃借物を転貸することができない。②賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用または収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。」(民法621条)。

 借地上の建物の所有名義を変更することは、借地人の変更を意味し、借地権の譲渡又は転貸があったことになる。借地人が借地権を第三者に譲渡する時は、地主の承諾を得ることが必要であり、それをせずに建物を財産分与して夫から妻への所有権移転登記をしたことが地主に露顕した場合、借地権の無断譲渡として借地契約の解除理由になる(民法612条)。

 しかし、賃貸人(地主)の承諾なく借地権が譲渡された場合でも、それが賃貸人に対する背信行為とならないときは、賃貸人は借地契約を解除した上で、建物収去土地明渡請求をすることが出来ない場合がある

 例えば、①夫が宅地を賃借し、妻はその借地上に建物を所有して同居生活をしていた事案。夫婦の離婚に伴い、夫が妻へ借地権を譲渡した場合、「貸主は同居生活及び妻の建物所有を知った上で夫に宅地を賃貸したものである等の事情があるときは、借地権の譲渡につき貸主の承諾が無くても貸主に対する背信行為とは認められない」(最高裁1969年4月24日判決)。特段の事情があるときは、借地契約の解除を認めていない。

 また、②借地人と共同して鮨屋を経営していた内縁の妻が夫の死亡後、その相続人から借地権の譲渡を受けたのに対して地主が無断譲渡を理由に借地契約を解除した事案。地主の承諾無く借地権が譲渡された場合でも、地主が借地人と内縁の妻が共同生活をしている事実を知っていったという事情がある時は、「賃貸人にたいする背信行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、賃貸人は民法612条2項による賃貸借の解除をすることができない」(最高裁1964年6月30日判決)。

 夫婦間の借地権の譲渡や転貸、離婚による財産分与としての借地権の譲渡は、土地の使用収益の実権を持つ主体が変化するのであるから、本来的には貸主との関係では無断譲渡や無断転貸となり、契約の解除原因となる。

 しかし、契約締結時、借地人に配偶者、内縁関係にある者があり、それらの者も借地を使用することを知って地主が貸した場合、その後借地人から借地権が移転しても最高裁の判例は地主との信頼関係を破壊しないと認められる特段の事情がある時は、地主の契約解除及び土地明渡請求を認めていない

 

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【Q&A】 借地権の相続、名義書換料の支払いは必要か 

2005年07月06日 | 承諾に関して

   借地人が死亡し借地権を相続する場合、名義書換料の支払いは必要か 
    また、建物を第三者に賃貸する場合に地主の承諾は必要だろうか


 (問) 父が亡くなり、私が借地権を相続することになりました。相続に当たり地主の承諾は必要ですか。地主は契約書の書換えと、名義書換料を要求してきています。それと、その建物を人に貸すことは出来ますか。建物を人に貸す場合は、地主の許可が必要ですか。 


  (答) 借地権も他の遺産と同様に法的に当然相続人が相続する。親が死亡すると相続が開始され、親の有していた法律的地位が当然に相続人に一体として移転することを包括承継と言う(民法第896条)。

 包括承継は相続法の基本原理とされ、遺産中の不動産・動産のみならず債権や債務を承継するもので、被相続人の地位の承継とも解される。従って相続人は死亡した親の借地権を承継し、地主に対する権利・義務も一切引継ぐことになる。

 地主との賃貸借契約の内容を誠実に履行していれば何らの問題も惹起されない。「土地を借りた本人が死亡したのだから、土地を返してもらいたい」と地主に要求されても、それに応じることはない。

 先ず、相談者の場合は、相続で借地権を譲り受けたので、名義書換の問題は発生しない。よって、地主の承諾は必要ない。名義書換料要求は不当であり、拒否しても何ら問題はない。勿論、契約書を新しく作り直す必要もないので、今まで通りでいい。相談者は、地主に「私が相続人になりました」と通知すればそれでいい。

 次に、借地上の建物を人に貸すことについてであるが、地主の承諾は必要ではない。借家を無断で他人に貸した場合は、転貸ということで契約解除の理由になる。しかし、借地人が地主から賃借しているのはあくまで土地であり、その土地上の建物は借地人の所有物であり、自由に使用収益することが出来る。

 借地契約は、借地人に建物を所有させることを目的とする契約だから、借地人が所有建物を貸して収益を上げることは借地契約の目的に反するものではなく、転貸にはならない。

 万が一、地主が「無断転貸をしている。契約違反だから承諾料を払え」等と言ってきても文句を言われる筋合いは無い。拒否すればいい。

 但し、借地上の建物を第三者に売却する場合は、借地の無断譲渡または無断転貸の問題が起きるので注意したい。  

 

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