東京・台東借地借家人組合1

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保証金/敷金トラブル/原状回復/法定更新/立退料/修繕費/適正地代/借地権/譲渡承諾料/建替承諾料/更新料/保証人

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調停で地代40%減額に成功 (東京・足立区)

2012年12月25日 | 地代の減額(増額)

 本紙5月号で紹介した足立区内で借地をしているAさんは、裁判所から11月に地代減額の調停の結果が調書になって送られてきた。現在坪当1000円の地代が、坪600円に減額され月額7万5000円になった。申立の手続きから6回の調停を経て半年で和解が成立した。

Aさんは「我家は125坪の土地を借りて自宅とアパートを所有しています。母が度重なる地代増額請求に渋々支払う姿に疑問を抱き、押し入れに散乱したメモ・書類を収集、役所から取寄せた関係書類を整理し終えたのが昨年12月。今年4月に組合を訪ね、地代減額請求の申立てのやり方・姿勢を教えていただきました。組合から提供された近傍地代は有効な情報となり、地代を減額することができました。

 調停の要諦は二人の調停員に『魂の響く言動』と借地人の論理を伝えるメモを渡し、一貫した姿勢を取ったことに尽きると思います」との感想が寄せられた。

 

東京借地借家人新聞より

 

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更新料支払請求、更新料特約のない借地契約なのに。(埼玉県・北本市)

2012年12月21日 | 更新料(借地)

 2012年4月に地主から依頼を受けた不動産業者が借地している4軒に対し、6月1日で30年の契約期間が満了するので、①更新料として路線価の2,5%を請求、②地代の値上げ、2軒に対しては③名義書換料を要求してきました。

 Sさんは更新料として、50坪で79万円(坪当たり15,800円)、Mさんは70坪で110万円(坪当たり約15,700円)、Kさんは74坪で117万円(坪当たり約15,800円)、Nさんは60坪で95万円(坪当たり約15,800円)を請求されました。地代については坪当たり月225円を315円に値上げということでした。

 さっそく借地人4名に集まっていただき、組合を交えて相談しました。①「更新料は契約書にも書いてないので支払わない」、②「最高裁は地裁・簡裁への調停の指針として通達で租公課の2~3倍が妥当な地代としている。公租公課の3,19倍なので値上げは拒否する」、③「相続の場合、名義書換料は必要ない」と話し合いました。

 不動産業者は、駅から2~3分の便利な土地であることを理由に、地主を説得するために更新料の3分の2を要望してきましたが、5月下旬の話し合いの中で、更新料としてではなく提示額の半額を謝礼として支払うとの提案がありました。

 年末を迎えるにあたって、再度不動産業者から地主が納得しないからと、更新料と契約書の書き換えを言ってきました。組合としては、もうすでに借地法6条の規定により、6月に借地契約は法定更新されているのですから、どちらも応じる必要はないというのが結論です。

 

全国借地借家人新聞より

 

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店舗の定期借家契約への切り替えを拒否 (東京・豊島区)

2012年12月20日 | 定期借家・定期借地契約

 東京都の豊島区で飲食店を営んでいるAさんは、11月に家主の代理人の会社から更新にあたって定期借家契約に変更したいという通知と定期借家契約書が送られてきました。付属の文書には定期借家契約になれば今回支払うべき更新料は免除しますと書かれていました。

 Aさんは、組合に入会していたので、どうもおかしいと考えて組合に相談に来ました。組合では定期借家契約は期間が来たら問答無用で追い出されるもので借りている者の権利がない契約で、更新料の支払免除と引換に、結んではいけないとアドバイスしました。

 実際、この店舗が入居している雑居ビルは相当の年数も経過し、いつ建替問題が浮上するかわからないビルで、家主としては建替問題が出たら期限どおり立退きをさせることを考えていると思われます。

 同時に、この機会にAさんは組合の指導を受けて、更新に際して保証金の返還や更新料支払い特約の削除、更新事務手数料の支払い拒否、賃料の値下げなどを請求することにし、もし話し合いに応じないというのならば法定更新にすることにしました。

 

全国借地借家人新聞より

 

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前回、更新料を支払ったことが、次回の更新料支払の約束したことにはならない(東京・大田区)

2012年12月18日 | 更新料(借地)

 大田区大森西地域で約20坪を賃借しているAさんは、土地の所有権を取得したという業者が現れて、一時は驚いたが冷静に権利の移行や地代の支払い等を確認する。また、底地の買取を求められるが、建物の建築許可が下りない場所であるので、丁重に断り地代を指定通り支払ってきた。

 今年11月の契約期間満了を迎え、10月に地主の代理人弁護士より、契約書特約条項記載の更新料140万円を本書到達後7日以内に支払われない場合は法的手段をとると内容証明郵便にて通告された。

 直ちに、契約書に記載のある特約は「前回の更新の際に借地人が更新料を支払い地主が受領した」との記載であり、次の更新時の更新料支払の約定ではなく、最高裁判決も支払慣習を否定していることを書面で通告した。

 後日、代理人弁護士は昨年7月15日付の借家の約定更新料を合法とする最高裁の判決を運用して、再度支払を求めながら依頼者は直ちに訴訟の提起は考えていないので話し合いたいからと連絡を求めてきた。Aさんは、すでに支払拒否を通告しており、支払を求める地主側との話し合いには応じないことにしている。

 契約者の母に代わり毅然と対応する娘さんは「更新料解決マニュアル」本を一般書店から購入して学習中だ。

 

東京借地借家人新聞より

 

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大東建託、明渡撤回後は住民無視のマンション建設 (奈良県・奈良市)

2012年12月17日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 奈良市高畑地域の木賃住宅高畑アパートに居住する借家人3世帯は、(全借連新聞2010年11月号既報)の家主の代理人として大東建託(株)奈良支店から2010年10月ごろ一方的に立退きを迫られ、これを撤回させました。

 今年11月6日、高畑アパートの敷地の一部を活用し、3階建ての賃貸マンションを11月12日から着工すると建築予定の図面が届けられました。ところが、住民が受け取った図面を見ると、住民の戸口から80センチ前に新たに駐車場を設置することが判明しました。

 住民らは、大東建託が立退き請求をあきらめたものの、今度は排ガス騒音などの環境汚染と出入口に近接し家財道具の持ち出しを困難にし、避難口を封鎖する状態になっていることに怒っています。

 11月12日、住民らは船越康亘大借連事務局長と奈良市役所建築課へ出向き、建築確認の閲覧を申請したところ、「建築確認申請書は提出されているが、認可をしていない」との応答がありました。

 13日、住民は、大東建託が工事を着工していることを確認し、奈良市へ通報したところ、当日午後から担当者は現地へ出向き、「建築確認がされていない工事はできない。申請中の図面と住民に提供した図面が異なるので、現状では着工できない。また、駐車場の設置は、アパートから移動すること」を大東建託へ助言しました。

 住民は、駐車場の設置場所を変更し確認申請どおりの工事となるよう今後は監視を続けていきます。

 

全国借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 相場による更新料の支払特約は法定更新の場合に支払義務は発生しない

2012年12月14日 | 更新料(借地)判例

判例紹介

 相場による更新料の支払特約は法定更新の場合に支払義務は発生しないとされた事例 (東京地方裁判所平成23年7月25日判決 平成22年(ワ)第27854号 判決確定 新日本法規 Westlaw Japan)


 今回は、更新料を支払う必要がないとした結論自体は目新しいものではありませんが、葛飾の借地借家人組合の組合員の事件で完全勝利判決を得た事案であり、しかも、2011年7月15日の最高裁判決の後も、従前の判例を踏襲した結論であったという観点から、東京地方裁判所平成23年7月25日判決を紹介します。

【事案の概要】
 本件は、借地人が法定更新を主張して更新料の支払いを拒絶したところ、地主が、借地人を被告として、更新料不払いの債務不履行に基づく土地の賃貸借契約の解除を主張し、建物収去土地明渡しを求めてきた事案です。

 前回の更新の際に作成した賃貸借契約書には、特約条項として、手書きで「期間満了時に建物が存在するときは、当事者が協議のうえ更新することができる。契約が更新されたときは、賃借人は賃貸人に対して相場による更新料を支払わなければならない」との記載がありました。

 地主である原告は、第一に、更新が合意更新である旨主張した上で、仮に法定更新であったとしても、上記条項は法定更新の場合にも適用があるため、いずれにしても更新料の不払いは債務不履行に該当し、契約解除は有効と主張しました。

 これに対し、借地人である被告は、更新の合意などしたことはない、実際に契約書を新たに作成していないし、更新料を支払うという約束もしたことはない、と完全に否認した上で、契約書の更新料支払いの文言は、「当事者が協議のうえ更新する」場合、つまり合意更新の場合に更新料を支払うという内容であり、法定更新の場合はこれに該当しないなど主張して争いました。

【判決の要旨】
 判決は、原告(地主)が、本件更新料支払条項において相場とされる更新料の具体的金額や具体的な合意の内容等を明らかにしていないことを理由として、合意更新の存在を否定しました。

 また、上記更新料の支払条項は、「合意更新、法定更新を問わず適用されることが一義的に明らかであるとはいえ」ないとし、むしろ上記文言は、合意更新の場合だけに適用されるのが自然であるとして、更新料を支払っていないことは債務不履行にあたらないとして、結論として地主である原告の請求を棄却しました。

【寸評】
 もともと更新料は、法律上支払義務のないものです。前記2011年7月15日の最高裁判所判決に従っても、賃貸借契約書の一義的かつ具体的に記載された更新料の支払条項がある場合のみ例外的に更新料支払義務が発生するというのが合理的な解釈です。

 本件の場合、賃貸借契約書に、特約条項として手書きで更新料に関する記載がありましたが、「相場」という言葉は更新料の内容を一義的かつ具体的に表しているとは言い難く、上記判断も、「相場」による更新料を「支払う」という文言だけでは、上記一義的かつ具体的な支払条項という要件を満たさなかったと判断したものと思われます。

 契約書の更新料のことが記載されていても、必ずしも支払義務が発生するわけではない例といえます。  

(2012.12.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


 <関連>
【判例紹介】 借地の更新料の支払義務がないとされた事例 (東京地裁平成23年7月25日判決)
 

 

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【判例】 未払いNHK放送受信料は5年の短期消滅時効が適用される (千葉地裁 平成24年2月3日判決)

2012年12月13日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 判  例

平成24年2月3日判決言渡

平成23年(レ)第566号 放送受信料請求控訴事件(原審・松戸簡易裁判所平成23年(ハ)第1032号)

口頭弁論終結日 平成23年12月9日

 日本放送協会と受信者との放送受信契約に基づいて発生する受信料債権が民法169条所定の債権に当たり,その支払い期限から5年間を経過した債権は時効により消滅したとされた事例 千葉地方裁判所 民事第2部 平成24年2月3日判決

 


            判              決

            主              文

1 本件控訴を棄却する。

2 控訴費用は控訴人の負担とする。


             事  実  及  び  理  由

第1 控訴の趣旨

1 原判決中,控訴人敗訴部分を取り消す。

2 被控訴人は,控訴人に対し,1万1160円及びこれに対する平成23年10月1日から,支払済みの日が奇数月に属するときはその月の前々月末日まで,支払済みの日が偶数月に属するときはその月の前月末日まで2か月あたり2パーセントの割合による金員を支払え。

3 控訴費用は,第1,2審を通じ,被控訴人の負担とする。

第2 事案の概要

1 本件は,控訴人が,被控訴人との間の放送受信契約に基づき,被控訴人に対し,平成17年2月1日から平成23年3月31日までの放送受信料10万7110円及び約定遅延損害金(上記金額に対する,平成23年8月10日付け訴えの変更申立書が送達された日(同日)の属する月の翌々月の初日である平成23年10月1日から支払済みの日が奇数月に属するときはその月の前々月末日まで,支払済みの日が偶数月に属するときはその月の前月末日まで2か月あたり2パーセントの割合による金員)の支払を求める事案である。

 原審は,控訴人の本訴請求のうち,9万5950円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で認容し,その余を棄却したところ,控訴人が,敗訴部分の取消し及び同部分の請求の認容を求めて控訴した。

2 前提事実,争点及び当事者の主張は,原判決中の「第2 事案の概要」の2及び3に記載のとおりであるから,これを引用する。

第3 当裁判所の判断

1 争点(1) (本件受信契約における放送受信料と遅延損害金)及び(2)(本件受信契約が終了したか否か)について

原判決中の「第3 争点に対する判断」の1及び2に記載のとおりであるから,これを引用する。

2 争点(3) 放送受信料が民法169条所定の債権に該当するか否か)について

(1) 甲6ないし10号証及び弁論の全趣旨によれば,控訴人の放送受信料債権は,受信者との放送受信契約に基づいて,放送受信契約者に対して発生するものであり,その具体的金額は放送受信契約の内容となっている日本放送協会放送受信規約の規定により確定し,年又はこれより短い時期ごと(被控訴人については2か月ごと)に所定の方法で支払われるものである。

 このような控訴人の放送受信料債権は,基本権たる定期金債権から派生する支分権として,民法169条所定の債権に当たると解するのが相当である。

(2)ア 控訴人は,民法169条が適用される債権については,その基本権部分に民法168条が適用されることが前提となっているところ,放送法64条1項は,控訴人と受信設備を設置した者が放送受信契約を締結することを強制していることからすれば,放送受信料の債権の基本権部分は,20年間の不行使により時効消滅しないから,民法168条が適用されないと主張する。しかし,民法168条が適用されない永小作料,賃借料債権も民法169条の適用は認められており,民法168条の適用がないからといって当然に民法169条を適用する余地がないと解することはできず,上記主張は採用できない。

イ 控訴人は,放送受信料債権には,民法169条の立法趣旨が当てはまらないから同条の適用はないと主張する。しかし,同条が,年又はこれより短い時期によって定めた金銭等の給付を目的とする債権について5年間の短期消滅時効を定めた趣旨は,①弁済がないと直ちに債権者に支障が生ずる債権であるから速やかに請求され弁済されるのが通常であること,②通常それほど多額でないため受取証の保存が怠られがちであって後日の弁済の証明が困難であること,③定期金は長年放置された後に突然支払の請求をされると多額になって債務者が困窮することにあると解されるところ,これらの趣旨が,民法169条が適用されると解されている各債権と比して,放送受信料の債権に明らかに妥当しないとはいえず,控訴人の上記主張は採用できない。

 控訴人は,上記③につき,債権者の債権不行使の懈怠に対するサンクションという趣旨が含まれているところ,控訴人の放送受信料債権については,支払がない場合に,債権者である控訴人に,放送受信契約を解除したり,先取特権等により優先弁済を得たりするという保護の手段が与えられていないことから,放送受信料の債権を行使しないことは懈怠に当たらないと主張する。しかし,放送法により規定された放送受信契約や放送受信料の債権の性質上,債権者である控訴人が上記手段を採り得ないとしても,控訴人は,訴訟提起等により未払受信料を回収すること自体は当然に可能であり,かつ,民法169条が適用されている他の債権の中にも,上記のような保護手段を与えられていないものも存することからすれば,上記主張は理由がない。

ウ 控訴人は,放送受信料は「控訴人の豊かで,かつ,良い放送番組による国内放送」を行うこと(放送法15条)と対価性のない特殊な負担金であるから,民法169条を適用することは実質的に不当であると主張する。

 しかし,民法169条適用の前提となる定期金債権とは,年金債権のように,一定の金銭その他の代替物を定期に給付させることを目的とする債権をいうのであり,何らかの対価を要するものではないから,放送受信料の上記性格を前提としても,このことをもって,放送受信料に民法169条を適用することが不当であるということはできない。

3 争点(4) (時効の中断)について

争点(4)に対する判断は,原判決中の「第3 争点に対する判断」の4(1)及び(2)に記載のとおりであるから,これを引用する。

4 時効に関する判断のまとめ

上記2のとおり,控訴人の放送受信料債権の消滅時効期間は5年間と解すべきところ,被控訴人は,平成23年7月6日原審第2回口頭弁論期日において,控訴人に対し,本訴放送受信料債権につき,5年の消滅時効を援用する旨の意思表示をした。他方,上記3のとおり,本訴放送受信料債権については,平成22年11月18日,時効中断が生じている。したがって,本訴放送受信料債権のうち,同日の時点でその支払期限から5年が経過していない平成17年10月分以降の債権については消滅時効が完成していないが,同年9月分以前の債権は,時効により消滅したというべきである。

5 結論

 以上によれば,控訴人は被控訴人に対し,放送受信料合計9万5950円(平成17年10月から平成20年9月までの36か月における放送受信料5万0220円及び同年10月から平成23年7月までの34か月における放送受信料4万5730円)及びこれに対する各支払期限後である平成23年10月1日から支払済みの日が奇数月に属するときはその月の前々月末日まで,支払済みの日が偶数月に属するときはその月の前月末日まで,2か月あたり2パーセントの割合による約定遅延損害金の支払を求めることができる。

 よって,控訴人の本訴請求のうち,9万5950円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度でこれを認容し,その余を棄却した原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。

       千葉地方裁判所民事第2部

                裁判長裁判官    白  石  史  子

                     裁判官    村  松  悠  史

                     裁判官    酒  井  直  樹

 



関連判例

【判例】未払いNHK受信料、5年の短期消滅時効が適用される(旭川地裁平成24年1月31日判決)(1)

【判例】未払いNHK受信料、5年の短期消滅時効が適用される(旭川地裁平成24年1月31日判決)(2)

【判例】未払いNHK受信料、5年の短期消滅時効が適用される(旭川地裁平成24年1月31日判決)(3)

 

 

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【判例】 *最高裁平成11年7月13日 判決

2012年12月05日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 判  例

平成11年7月13日最高裁 第3小法廷判決 平成8年(オ)第539号 通行権確認等請求事件

【要旨】 公道に1.45メートル接する土地上の建築基準法施行前からあった建物が取り壊された場合に同土地の所有者につきいわゆる接道要件を満たすべき内容の囲繞地通行権が認められないとされた事例

【内容】 件名 通行権確認等請求事件(最高裁判所平成8年(オ)第539号平成11年7月13日 第3小法廷判決、一部破棄自判、一部差戻)
原審 大阪高等裁判所

 

                  主       文

 原判決を破棄し、被上告人の主位的請求を棄却する。

 被上告人の予備的請求につき本件を大阪高等裁判所に差し戻す。

 第1項の部分に関する訴訟の総費用は被上告人の負担とする。


                  理       由

 上告代理人中島三郎、同中島志津子の上告理由について

 1 所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らし、首肯するに足りる。これによれば、本件の事実関係の概要等は、次のとおりである。

 (1) 大西甚太郎は、昭和24年当時、第1審判決別紙物件目録5記載の土地(以下「A番1の土地」という。)、これに隣接する大阪府北河内郡***町大字***A番地の5の土地(以下「旧A番地の5の土地」という。)のほか、右各土地上に存在する木造の長屋を所有していたが、同年12月2日、被上告人に対し、A番1の土地を売却した。

 (2) 大西は、昭和32年5月28日、被上告人に対して旧A番地の5の土地のうち前記目録3及び4記載の各部分(以下、それぞれ、「本件東側通路」、「A番5の土地」といい、被上告人所有の各土地を合わせて「被上告人所有地」という。)並びに4戸から成る前記長屋のうち被上告人所有地上にある3戸(以下「旧被上告人所有建物」という。)を、高橋貞良に対して旧A番地の5の土地のうち公道と約13.42メートルにわたって接する残りの部分(以下「上告人所有地」という。)及びその上にある前記長屋のうちの残りの1戸(以下「旧上告人所有建物」という。)を売却した。右各売却に係る上告人所有地と被上告人所有地の位置関係は、第1審判決別紙図面(1)のとおりであり、右のころ、旧A番地の5の土地については前同所A番5及び同番9の各土地に分筆する登記が、前記長屋については右のとおり分棟する登記がされている。なお、旧被上告人所有建物の居住者は、公道との出入りに関し、幅員1.45メートルの本件東側通路のほか、上告人所有地のうち西側の前記目録2記載の幅員1.25メートルの部分(以下「本件西側通路」という。)を利用していた。

 (3) 上告人所有地及び旧上告人所有建物は、昭和38年3月25日、高橋から青諭に対して譲渡され、さらに、昭和43年6月3日、青から上告人に対して譲渡された。

 (4) 上告人は、昭和47年8月、旧上告人所有建物を取り壊し、同年11月、建物(以下「上告人所有建物」という。)を建築した。上告人所有建物は、上告人所有地を敷地とし、その東側の幅員約1.2メートルの部分(以下「玄関前部分」という。)及び本件西側通路を除く部分に、玄関を東向きに構えて配置され、玄関前部分の南端及び東端に沿って、コンクリートブロック塀(以下「本件ブロック塀」という。)が設置された。

 (5) 被上告人は、平成2年、旧被上告人所有建物が老朽化したため、これを取り壊した。

 (6) 現在、上告人所有建物は、第三者に賃貸されて飲食店として利用されており、被上告人所有地は、更地となっている。なお、上告人所有地及び被上告人所有地の付近は、いわゆる住宅地となっている。

 2 本件において、被上告人は、主位的請求として、建築基準法43条1項本文は建築物の敷地は原則として同法所定の道路と2メートル以上接しなければならない旨定めているところ(以下、右規定が定める原則を「接道要件」という。)、被上告人所有地は、接道要件を満たしておらずその用法に従って宅地として使用することができないから、袋地に当たり、被上告人は上告人所有地のうち玄関前部分に含まれる原判決別紙係争地目録記載の幅員0.55メートルの部分(以下「本件係争地」という。)につき囲繞地通行権を有すると主張し、上告人に対し、右の旨の確認、本件ブロック塀のうち本件係争地上に存在する部分の収去等を求めている。

 原審は、次のように判示して、被上告人の主位的請求を認容した。

 (1) 被上告人所有地は、宅地として利用することがその用法に最もかなっているが、現状のままでは、接道要件を満たさないため、建築物を建築することができない。したがって、被上告人所有地は、袋地状態にあるというべきである。

 (2) 本件東側通路は従前からいわゆる生活道路として使用されていたこと、本件ブロック塀のうち本件係争地上に存在する部分の収去に要する費用は20万4000円程度にすぎず被上告人はこれを負担することを申し出ていること、被上告人は本件係争地を通路として確保することができれば本件西側通路の通行権に関する主張を放棄することを申し出ていること、本件係争地が使用できなくなると上告人所有建物の出入口はやや手狭になり建物の印象が低下するおそれがあるものの、本件係争地を通路に提供することによる損害については上告人は被上告人に対して償金を請求することも可能であることなどを考慮すると、被上告人の本件係争地に関する囲繞地通行権の主張には、理由がある。

 3 しかしながら、原審の右判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。

 民法210条は、相隣接する土地の利用の調整を目的として、特定の土地がその利用に関する往来通行につき必要不可欠な公路に至る通路を欠き袋地に当たる場合に、囲繞地の所有者に対して袋地所有者が囲繞地を通行することを一定の範囲で受忍すべき義務を課し、これによって、袋地の効用を全うさせようとするものである。一方、建築基準法43条1項本文は、主として避難又は通行の安全を期して、接道要件を定め、建築物の敷地につき公法上の規制を課している。このように、右各規定は、その趣旨、目的等を異にしており、単に特定の土地が接道要件を満たさないとの一事をもって、同土地の所有者のために隣接する他の土地につき接道要件を満たすべき内容の囲繞地通行権が当然に認められると解することはできない(最高裁昭和34年(オ)第1132号同37年3月15日第1小法廷判決・民集16巻3号556頁参照)。

 ところで、本件において被上告人が囲繞地通行権を主張する理由は、被上告人がその所有地と公道との往来通行をするについて支障が存在するからではなく、現存の通路幅では本件係争地の奥にある被上告人所有地上に建築物を建築するために必要な建築基準法上の接道要件を満たすことができないという点にある。しかしながら、前記の事実関係の下において、被上告人が平成2年に旧被上告人所有建物を取り壊し被上告人所有地に対して接道要件に関する規定が適用されることとなった当時、本件係争地は既に建築基準法上も適法に上告人所有建物の敷地の一部とされていたのであって、後に、もし、これを重ねて被上告人の建築物の敷地の一部として使用させたならば、特定の土地を一の建築物又は用途上不可分の関係にある2以上の建築物についてのみその敷地とし得るものとする建築基準法の原則(同法施行令1条1号参照)と抵触する状態が生じ、上告人所有建物は同法所定の建築物の規模等に関する基準に適合しないものとなるおそれもある。そのような事情をも考慮するならば、右被上告人の主張を直ちに採用することのできないことは明らかであり、原審の前記判断は、奥の土地の所有者の必要を配慮する余り、法令全体の整合性について考慮を欠くものといわなければならない。

 以上の次第で、原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるものというべく、右違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。この点をいう論旨は理由があり、その余の論旨について判断するまでもなく、原判決は破棄を免れず、右に説示したところに徴すると、被上告人の主位的請求は理由がないから、これを棄却すべきである。しかし、被上告人の予備的請求については、更に審理を尽くさせる必要があるから、同請求につき本件を原審に差し戻すこととする。

 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

 (裁判長裁判官 千種秀夫 裁判官 元原利文 裁判官 金谷利廣 裁判官 奥田昌道)

 

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【判例】 更新料支払請求裁判 (東京地裁平成24年11月15日判決)

2012年12月04日 | 更新料(借地)判例

 判  例

東京地方裁判所 平成24年11月15日 判決言渡
平成22年(ワ)第41587号更新料等請求事件

 

           主           文

1 原告(賃貸人)の請求をいずれも棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

           事 実 及 び 理 由

第1 (賃貸人の)請求

 1 主位的請求

(1) 被告(賃借人)は、原告(賃貸人)に対し、247万6000円を支払え。

(2) 原告(賃貸人)と被告(賃借人)間の別紙物件目録記載1の土地の賃借権は普通建物所有を目的とする賃借権であることを確認する。

 2 予備的請求

  被告(賃借人)は、原告(賃貸人)に対し、別紙物件目録記載2の建物を収去して、同目録記載1の土地を明け渡せ。

第2 事案の概要 

  本件は、土地の所有者である原告が、その借地人である被告に対し、主位的に、被告所有の借地上の建物が普通(非堅固)建物(以下「普通建物」という。)であるとして、その確認と土地賃貸借契約更新に伴う更新料の支払いを求め、仮に同建物が堅固建物である場合には、予備的に、土地賃貸借契約の更新を拒絶するとして、同建物の収去、土地明渡を求める事案である。 

 1 前提事実(争いのない事実、証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)

(1) 賃貸人(原告の夫、以下Xという。)は、賃借人(被告の父、以下Yという。)に対し、昭和21年11月5日、別紙物件目録記載1の土地(以下「本件土地」という。)を賃貸した(以下「本件賃貸借契約」という。)。

(2) X(賃貸人)とY(賃借人)は、昭和41年11月5日、本件賃貸借契約を下記内容で更新した(甲3の1)。 

     賃貸借期間  同日から昭和61年11月4日まで

     賃     料  月額1860円

     目     的  普通建物所有

(3) Y(賃借人)は、X(賃貸人)に対し、昭和53年1月17日ころ、本件と地上の建物を耐火構造(簡易耐火構造)に建て替えることを申し出、X(賃貸人)は、承諾料85万6000円の支払いを条件に、これを承諾した(甲の2)。

(4) Y(賃借人)は、昭和53年12月12日、本件と地上に別紙物件目録記載2の建物(以下「本件建物」という。)を新築した(甲4)。

(5) X(賃貸人)とY(賃借人)は、昭和64年1月1日、本件賃貸借を下記内容で更新した(甲3の3)。

      賃貸期間  同日から昭和83年(平成20年)12月31日まで

      賃   料  月額2万3300円

      目   的  普通建物所有

(6) X(賃貸人)は、平成15年6月14日死亡し、原告が相続により本件土地の所有権を取得し、本件賃貸借契約の賃貸人の地位を承継した。

(7) Y(賃借人)は、平成16年2月24日死亡し、被告が相続により本件建物の所有権を取得し、本件賃貸借の賃借人の地位を承継した。

2 争点及び当事者の主張

  本件の争点は、①本件建物が堅固建物か否か、②本件建物が普通建物である場合に、借地法7条の適用があるか、③本件建物が堅固建物のである場合に、更新拒絶の正当事由があるのかである。

(1) 本件建物が普通建物である場合(借地法7条の適用の有無・更新料支払いの合意の有無)

【原告(賃貸人)の主張】

 ア 被告は本件建物が堅固建物であると主張しているが、本件建物は普通建物である。

 イ X(賃貸人)とY(賃借人)は、本件賃貸借契約において、更新料を支払うと口頭で合意していた。

 ウ 本件賃貸借契約は、普通建物を目的とするものであるから、昭和64年1月1日に更新された後、平成20年12月31日に期間が満了した。

 エ 更新料の額は、坪単価132万円の1割で計算すれば、247万600円となる。

 オ なお、本件建物は、昭和53年12月12日に建て替えられており、借地法7条によれば、普通建物については滅失の日から20年間借地権が存在することになるので、平成10年12月12日が満了日となるが、借地非訟事件及び不動産取引の実務では、借地法7条の適用はないとの取り扱いがなされており、上記のとおり、昭和64年1月1日契約更新により、平成20年12月31日に期間が満了したというべきである。

 カ よって、原告(賃貸人)は、被告(賃借人)に対し、更新料として247万6000円の支払を求め、さらに、本件賃貸借に基づく借地権が普通建物所有を目的とするものであることの確認を求める。

【被告(賃借人)の主張】

 ア 本件建物は堅固建物である。

 イ 借地法7条は、強行規定であり(同11条)、適用がないとする根拠がない。

 ウ 仮に、平成20年12月31日に期間満了を迎えたとしても、X(賃貸人)とY(賃借人)が、更新料を支払うと口頭で合意した事実はなく、更新料を求める根拠はない。

(2) 本件建物が堅固建物である場合(契約更新拒絶の正当事由の有無)

【原告(賃貸人)の主張】 

 ア 本件建物は、昭和53年12月12日に建て替えられているが、その際に本件建物が堅固建物となったとすれば、借地法7条により、建て替え後30年を経た平成20年12月12日に借地権の期間が満了する。

 イ 原告(賃貸人)は、被告に対し、平成21年1月5日通知書で本件土地の使用継続について異議を述べた。

 ウ 原告(賃貸人)による更新拒絶には次のとおり正当事由がある。

 原告(賃貸人)の長男は、昭和35年生まれであって、妻と長女(小学校3年生)、長男(小学校1年生)の4人で、原告(賃貸人)の住所地から17から18分のところに1戸建て住宅を月22万5000円の家賃で賃借して、原告(賃貸人)所有の不動産を管理している。

 原告(賃貸人)は、本件土地から徒歩5分程度の至近距離に居住しているものであるが、現在78歳で要介護の状況にある。

 原告(賃貸人)としては、本件土地の返還を受けて、長男に自宅建物を建築させ、安心して将来にわたり、長男夫婦から介護を受けられるようにしたいと希望している。

 Y(賃借人)は、本件建物に建て替えるにあたって、普通建物に建て替えると偽って堅固な建物に建て替えたものであって、そのような事実は正当事由に斟酌されるべきである。

 原告(賃貸人)は、正当事由の補完として、1000万円及び20%を限度とする裁判所の裁量による増額の給付を申し出る。

【被告(賃借人)の主張】

 原告(賃貸人)による更新拒絶には正当事由がない。

 原告(賃貸人)、その長男、次男は、本件土地の近隣に複数の土地建物を所有しており、本件土地を自己使用する必要性がない。

 他方、被告(賃借人)及びその親族は、祖父母の代から70年近く本件土地で居住してきたものであり、現在は、心筋梗塞を患ったこともある祖母(74歳)とともに、被告(賃借人)夫婦、次男(22歳)、長女(20歳)とともに本件建物を生活の本拠としており、他にめぼしい不動産を所有していない。

 また、被告(賃借人)は、本件建物1階で建築プロデュース業を約20年営んできた。

 このように、被告(賃借人)は、本件土地を自己使用する必要性が高く、原告(賃貸人)がいくら補完金を給付しても、正当事由が存在するとは到底いえない。

第3 当裁判所の判断

 1 本件建物が堅固建物か否か

(1) 前記前提事実、文中引用の証拠及び弁論の全趣旨からすれば、
①本件建物は昭和53年1月17日ころに耐火構造(簡易耐火構造)に建て替えるために建築されたものであること、
②不動産登記簿上に建物の構造として鉄骨造陸屋根4階建とされていること(甲4)、
③建物の外観上も鉄骨造陸屋根4階建と矛盾する点はないこと(乙1の1、2)、
④本件建物の設計図面には、部材の使用材料として鉄骨が用いられており、その形状として種々のH型鋼が指示されていること(乙3の10)、
⑤梁と柱に同鉄骨を使用するよう指示されていること(乙3の8、9)、
⑥同図面には鉄骨を溶接するよう指示があり(乙3に10)、また、住宅として使用する建物であることからすれば、本件建物は堅固建物であると認められる。

(2) そして、借地法7条における堅固建物と普通建物の区別は新築された建物についての区別であって本来の借地権が目的としていた建物についての区別ではないと解すべきであるから、堅固建物を目的とした借地権として更新されたと認められる。

(3) 本件建物の前の建物がいつ解体されて滅失したかは証拠上判然としないが、本件建物が昭和53年12月12日に建て替えられているから、遅くとも同日までに滅失したというべきであり、同日を借地法7条の起算日と認めるのが相当である(当事者も明示的に争っていない。)。

(4) また、原告は、本件建物が普通建物であれば借地法7条が適用されず、堅固建物であれば適用されるべきであると主張するが、同条は、片面強行法規であって(同法11条)、土地所有者である原告の上記恣意的な主張は認められないというべきであり、同法7条の適用がある。

(5) したがって、普通建物を前提とする原告(賃貸人)の主位的請求はいずれも理由がないというべきである。

 2 契約更新拒絶の正当事由の有無

(1) 上記のとおり、本件建物は堅固建物であると認められるところ、原告(賃貸人)は、本件賃貸借契約に基づく借地権は、平成20年12月12日に満了したところ、被告が本件土地を使用継続しているため、平成21年1月5日に異議を述べたと主張している。

 そこで、本件賃貸借契約が法定更新されているか否か、借地法4条1項但し書きに規定する正当事由が存するか検討する。

(2) 原告(賃貸人)による本件土地の使用の必要性

 原告(賃貸人)は、
①要介護状況にあるところ、原告(賃貸人)の自宅から徒歩5分程度の至近距離にある本件土地を被告から返還してもらいたい、
②原告(賃貸人)の自宅から17ないし18分程度の借家に住む原告(賃貸人)の長男に、本件土地上に自宅を建築させ、長男夫婦から介護を受けられるようにするため、本件土地を使用する必要性があると主張する。

 この点、証拠(証人原告の長男、文中引用の証拠)及び弁論の全趣旨によれば、
①原告(賃貸人)は79歳で寝たきりではないが定期的に病院に行く必要があり、原告の長男が送っていること、
②原告(賃貸人)は、浅草A丁目に所在する223平方メートルある自宅マンションに次男と2人で居住していること(乙5)、
③次男は独身で原告の介護を行うのは困難であること、
④原告(賃貸人)と長男は、浅草周辺に土地を所有し、少なくも70から80人程度の借地人に土地を貸すなどしていること、
⑤このうち、少なくても、原告(賃貸人)は、浅草B丁目に所在する6階建てのマンション1棟(乙7)を、浅草B丁目に所在する3筆の不動産(乙11の2ないし4)を所有していること、
⑥原告(賃貸人)の長男は浅草A丁目、同B丁目に宅地を所有していること(乙11の5、12の2)、
⑦原告(賃貸人)の次男は原告(賃貸人)が居住するマンションに6室と駐車場を所有していること(乙6、13に1、2)、
⑧原告(賃貸人)は、もともと、被告に対して、更新料の支払いを求めており(甲6)、
⑨これに対して被告(賃借人)が本件建物が堅固建物であると主張して更新料の支払いを拒否したことから、初めて異議を述べたこと(甲8の1)が認められる。

 そうすると、
①原告(賃貸人)は一定の介護を要するとはいえ、病院の送迎等のために通いで対応可能な程度の状況にあり、常時介護の必要が切迫しているわけではないこと、
②原告(賃貸人)及びその子らは、多数の不動産を原告の自宅付近に所有していること、
②原告(賃貸人)の長男は、現状でも、原告の自宅とさほど遠くない場所に居住しており、更に近隣に転居する方が便利であるとしても、不動産を賃借したり、あるいは、原告が居住するマンションで同居したり、別室を確保したりするなど、代替手段があり、本件土地に自宅を新築する必然性がないこと、
③原告(賃貸人)はもともとは、更新料の支払があれば被告(賃借人)に本件土地を使用継続を認める意向だったことが認められ、原告(賃貸人)に本件土地の使用を必要とする事情はかなり乏しいといわざるをえない。

(3) 被告(賃借人)による本件土地の使用の必要性

 証拠(乙8、10、被告本人)及び弁論の全趣旨によれば、
①被告(賃借人)は、74歳の母親、妻、2人の子供の5人で本件建物に居住していること、
②被告(賃借人)の祖父母の代に遡ると遅くとも戦後間もなくして同所で居住していること、
③被告(賃借人)は本件土地周辺には不動産を有していないこと、
④被告(賃借人)は平成5年から本件建物の1階でインテリアの会社を経営していることが認められれ、本件土地を自宅土地、会社として現に使用し、今後も使用する必要があると認められる。

(4) 上記からすれば、被告(賃借人)に本件土地を自己使用する必要性が認められるのに対し、原告(賃貸人)にはその必要性がほとんど認められない

 また、本件建物が堅固建物であるのに、建築時には非堅固であることを前提としていたとしても、昭和53年に建てた建物の性質がいかなるものであるかは、平成20年12月段階での正当事由の判断において、斟酌すべき事由にはならないというべきであるし、建築後30年も原告及びその被相続人は何等異議を述べてこなかったのであるから、なおさら正当事由を基礎づける事情とはならないというべきである。

 そうすると、そもそも、金銭的な補償をもってしても、正当事由を補完することはできないというべきである。

 以上からすれば、正当事由を認められない。

(5) したがって、本件賃貸借契約は法定更新されているから、原告(賃貸人)の明渡請求は理由がなく、予備的請求も認められない。

  よって、原告(賃貸人)の請求は、いずれも理由がないから、主文のとおり判決する。


   東京地方裁判所民事第25部

            裁 判 官        西   村          修

 

 

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