東京・台東借地借家人組合1

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【Q&A】 原状回復特約は消費者契約法に違反 

2005年05月31日 | 敷金・保証金・原状回復に関する判例等

  自然損耗の原状回復費用を
   借主に負担させる特約は消費者契約法に違反

 (問) 最近、敷金返還訴訟で注目される判決があったというがどんな内容のものだったのですか。


 (答) 2004年3月16日京都地裁で「自然損耗及び通常の使用による損耗について賃借人に原状回復義務を負担させる特約は消費者契約法10条により無効である」として特約自体の違法性を認定する画期的な判決があった。今後の敷金返還運動に与える影響は大きい。

 〈事案の概要〉
  借主は平成10年7月1日に1年契約で敷金20万円を貸主に預託してマンションに入居した。契約書には自然損耗及び通常の使用による損耗について借主に原状回復義務を負担させる特約があった。その後2回の合意更新を繰返して、平成14年6月9日に部屋を明渡した。借主は敷金の返還を家主に請求したが、貸主は原状回復特約を理由に敷金の返還を拒否したことから裁判となった。

  〈裁判では〉
 
原告の借主は、「消費者契約法は平成13年4月1日施行された。本契約は平成13年7月1日に合意更新されているで消費者契約法の適用があり、原状回復特約は消費者契約法10条により無効である」と主張した。

  貸主側は「原状回復特約は消費者契約施行前に締結されており、同法の施行後、本件更新合意されたが、本件更新合意は新たな契約の締結でないから、消費者契約法の適用がない」と反論した。

 裁判は①消費者契約法施行前に締結された賃貸借契約にも同法の適用の有無と②本件原状回復特約は消費者契約法10条により無効か否かで争われた。

  裁判所は
 ①については「消費者契約法施行前に締結された建物賃貸借契約が同法施行後に当事者の合意により更新された場合、更新後の賃貸借契約には消費者契約法の適用がある」という注目すべき結論を下した。

 ②に関しては「自然損耗等による原状回復費用を賃借人に負担させることは、契約締結にあたっての情報力及び交渉力に劣る賃借人の利益を一方的に害するものといえる。以上によれば、本件原状回復特約は消費者契約法10条により無効である」との判断を下した。
 「原状回復特約は無効であるから、借主には自然損耗等による原状回復費用の支払義務はない」として貸主に敷金20万円の返還を命ずる判決があった。

 

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原状回復特約を消費者契約法10条で無効に (東京・台東) 

2005年05月30日 | 敷金・保証金・原状回復に関する判例等

              2004年6月11日京都地裁判決

 通常損耗・自然損耗を含めた原状回復費を総て賃借人の負担とする不当特約が京都地裁で争われた。
 賃貸人はマンション管理と賃貸の株式会社長栄である。長栄は京都・滋賀エリアでは最大手の不動産会社である。賃借人は京都の借地借家人組合の組合員である。

 1999年11月に期間2年、家賃6万5千円、敷金20万円の契約で伏見区のマンションに入居した。2年後に合意更新し、2003年3月31日に退去した。長栄に敷金20万円の返還を求めたが拒否され、京都地裁で争われることになった。

 裁判の争点は
①原状回復義務に関する特約の成否と②特約の効力とが中心として争われた。

 裁判所は①に関しては「自然損耗も含めて賃貸借契約開始時の原状に回復しなければならない(家賃には原状回復費用は含まれない)。」という原状回復特約の横の余白部分に不動文字で「第9条1項を一読し、理解致しました」と書かれ、確認欄に賃借人の署名・捺印があることから「特約についての合意は有効に成立したものと推認される」として特約の成立を認定した。

 しかし、裁判所は「原状回復義務の範囲は、賃借人が付加した造作等の除去義務のほか、通常の使用の限度を超える方法により賃貸目的の価値を減耗させた場合の復旧義務及び賃借人の故意過失により賃借物を毀損・汚損した場合の債務不履行による損害賠償義務」以上の3点であり、それ以外の経年劣化による減価分及び通常利用による賃借目的物の価値低下は賃料に含まれ「その減価を賃料以外の方法で賃借人に負担させることはできない」として経年劣化(自然損耗)と通常損耗は、原状回復の対象とはならず、特約内容に問題があると認定した。

 ②に関しては「特約は民法の任意規定による賃借人の目的物返還義務を加重するものといえる」として、この義務の加重の程度が信義則に反するほど消費者の利益を一方的に害するものであるかを検討した上で「本件特約は、消費者契約法10条により無効と解すべきである」と判示した。敷金20万円から水道料の精算金3886円を控除した残金を返還するよう命ずる賃借人勝訴の判決が2004年6月11日京都地裁であった。

 この判決で注目されるのは、消費者契約法施行(2001年4月1日)前に締結された契約でも、更新前と更新後の契約は別個の契約であるとして、施行後に契約が更新された場合は消費者契約法が適用されると認定したことである。

 

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東京都の賃貸住宅紛争防止条例 (東京・台東) 

2005年05月29日 | 敷金(保証金)・原状回復・消費者契約法

 東京版ガイドラインは1章で「賃貸住宅紛争防止条例」を解説している。東京に居住する世帯の約4割、205万世帯が民間賃貸住宅に居住している。賃貸住宅に関するトラブルで1番多いのが退去時の原状回復(敷金の精算)トラブル、次が入居時の修繕等の管理に関するトラブルである。東京都はこれらのトラブルを防止するために「紛争防止条例」を制定し、2004年10月1日から既に施行している。

 条例では宅建業者が代理・媒介をする場合、契約前にトラブルの未然防止を図るために、
 ①入居中の修繕及び退去時の原状回復は貸主の費用負担で行うのが原則であること
 ②借主の故意・過失や通常の使用方法に反する使用の場合は借主の費用負担となること
 ③特約がある場合は借主の負担する具体的な内容を明記すること
 ④入居期間中の設備の修繕及び維持管理に関する連絡先
 以上の事項を記載した書面を交付して借主に十分理解できるように説明することが義務付けられている。

宅建業者が説明義務に違反した場合、知事は指導、勧告、社名を公表することが出来る。問題は、この条例に違反しても宅建業に対する罰則規定はなく、業務停止、免許取消などの行政処分は行われず、条例の実効性が危ぶまれる点である。

 次の問題点は、条例が適用されるのは宅建業者が代理・媒介を行う東京都内にある居住専用の賃貸住宅に限定されていることだ。従って店舗、事務所、倉庫等の事業用は対象外となっている。貸主と直接契約を結ぶ賃貸住宅も対象から外れる。

 東京版ガイドライン2頁には、条例の適用があるのは平成16年10月1日以降の新規賃貸借契約で更新契約を除くと書かれている。だが、このガイドラインの見解は根拠のないものだ。「賃貸住宅紛争防止条例」には新規契約に限られる或は、更新契約に適用しないという規定はどこにも存在しない。 トラブル防止を主眼とする条例を広く普及させるのであれば当然更新契約にも適用されるべきであろう。

 

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建物賃貸借の仲介手数料は家賃の0.5か月が原則 (東京・台東)

2005年05月27日 | 仲介手数料・不動産業者とのトラブル

 不動産業者は居住用建物の賃貸借の仲介料として家賃の1か月分相当の報酬を借主に充分な説明もせずに当然のように要求する。しかしこれは宅建業法に違反する不当行為である。
 建設省は、建設省計画局不動産業室長名で、昭和48年2月26日付で宅地建物取引業法により禁止されている不当行為を行わないよう都道府県へ業界の指導監督を強めるように通知した。


  〈昭和48年2月26日、建設省計宅業発第16号〉

  賃貸借の媒介に関する報酬の遵守について
 宅地建物取引業者が宅地建物の売買、交換又は貸借の代理、又は媒介に関して受けることのできる報酬の額については、宅地建物取引業法第46条第1項の規定に基づき、昭和45年10月23日建設省告示第1552号で定められ、同年12月1日から施行され数年を経過したところであるが、これが必ずしも遵守されていない。

 特に同告示第3の居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関する報酬の額については、依頼者である借主の承諾の有無にかかわらず借主に対し借賃の1か月に相当する金銭を報酬として当然に要求、受領する事例が多く見受けられる。また借主から媒介の報酬として借賃の1か月相当分を支払うことにつき承諾を得た場合であっても、その取引経過から見て必ずしも借主の自由な意思に基づく承諾がなされたと認められない取引もある。特に媒介者が契約の締結に際し、媒介の報酬として借賃の1か月分に相当する金銭を支払う旨の特約を一方的に定め、物件説明書等に記載してる場合には、正規の報酬が原則として1か月の借賃の2分の1であることを説明しないこととあいまって承諾が借主の無知に乗じてなされる結果となっている。

 したがって、報酬額の制限を超過して受領した場合、及び承諾を得て借賃の1か月相当分を報酬として受領した場合であっても、当該承諾が借主の無知に乗じ不当になされたと認められる場合には、宅地建物取引法第46条第2項、違反又は第65条第2項第5号の規定に該当するものとして厳重な監督処分を行うので当該告示の遵守について留意されたい。


  賃貸借物件の管理について
 最近、賃貸借物件の仲介あっせんの延長として、賃料の集金をはじめ賃料値上げの手続きその他貸主の代理としての賃借人との交渉事項を含めた賃貸借物件の総合管理を貸主より受託している業者が増加している傾向があり、そのために賃貸借物件の管理、特に賃料の値上げ交渉を中心とするトラブルに宅地建物取引業者が介在することについての苦情相談が増加している。

 もとより賃貸借物件の管理そのものは、宅地建物取引法の適用外のことであり、基本的に民事上のことと判断できるが、その管理に際して対応する賃借人は、宅地建物取引業者としての仲介あっせんにより、入居されている顧客であることを考えると、専門的な知識を有する宅地建物取引業者が一方的に代理として貸主の側に立って賃料値上げ等の交渉を行ってトラブルを生ずることは、宅地建物取引業法第31条に規定している業務処理の原則に背くものであるといわざるを得ない。

 したがって、賃貸借物件の管理については、一方に偏することのないよう十分留意の上業務に当られたい。


宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額

(昭和45年10月23日建設省告示第1552号)

最終改正 平成16年2月18日国土交通省告示第100号
 

第1 定義

 この告示において、「消費税等相当額」とは消費税法(昭和63年法律第108号)第2条第1項第9号に規定する課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する金額をいう。 

第4 貸借の媒介に関する報酬の額

 宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)の合計額は、当該宅地又は建物の借賃(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該媒介が使用貸借に係るものである場合においては、当該宅地又は建物の通常の借賃をいう。以下同じ。)の1月分の1.05倍に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の1月分の0.525倍に相当する金額以内とする。
 

第5 貸借の代理に関する報酬の額

 宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の代理に関して依頼者から受けることのできる報酬の額(当該代理に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)は、当該宅地又は建物の借賃の1月分の1.05倍に相当する金額以内とする。ただし、宅地建物取引業者が当該貸借の相手方から報酬を受ける場合においては、その報酬の額と代理の依頼者から受ける報酬の額の合計額が借賃の1月分の1.05倍に相当する金額を超えてはならない。

第6 権利金の授受がある場合の特例

 宅地又は建物(居住の用に供する建物を除く。)の賃貸借で権利金(権利金その他いかなる名義をもってするかを問わず、権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないものをいう。)の授受があるものの代理又は媒介に関して依頼者から受ける報酬の額(当該代理又は媒介に係る消費税等相当額を含む。)については、第4又は第5の規定にかかわらず、当該権利金の額(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとする。)を売買に係る代金の額とみなして、第2又は第3の規定によることができる。


 

第7 第2から第6までの規定によらない報酬の受領の禁止

(1) 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関し、第2から第6までの規定によるほか、報酬を受けることができない。ただし、依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額については、この限りでない。
(2) 消費税法第9条第1項本文の規定により消費税を納める義務を免除される宅地建物取引業者が、宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関し受けることができる報酬の額は、第2から第6までの規定に準じて算出した額に105分の100を乗じて得た額、当該代理又は媒介における仕入れに係る消費税等相当額及び(1)ただし書に規定する額を合計した金額以内とする。

 

  附則

1 この告示は、昭和45年12月1日から施行する。
2 昭和40年4月建設省告示第1174号は、廃止する。
3 宅地又は建物の売買、交換又は貸借の契約でこの告示の施行前に成立したものの代理又は媒介に関して宅地建物取引業者が受けることのできる報酬の額については、なお従前の例による。

  附則(平成元年2月17日建設省告示第263号)

 この告示は、平成元年4月1日から施行する。

  附則(平成9年1月17日建設省告示第37号)

 この告示は、平成9年4月1日から施行する。

  附則(平成16年2月18日国土交通省告示第100号)

 この告示は、平成16年4月1日から施行する。

 

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賃貸住宅トラブル防止ガイドライン (東京・台東)

2005年05月26日 | 敷金(保証金)・原状回復・消費者契約法

   原状回復トラブル防止の為に、東京都がガイドラインを作成  

 トラブル防止を目的として2004年、東京都は「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」(東京版ガイドライン)を発表した。ガイドラインはインターネットを使えば東京都のホームページから全文ダウンロード出来る。尚、全国の書店で「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」(住宅新報社)が1冊290円で販売されている。

 東京版ガイドラインは国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン改訂版」に基づいて作られているので原則や基本的な考え方は踏襲されている。

 東京版は原状回復を次のように説明している。
 「借主に義務として課されている『原状回復』とは退去時に、借主の故意・過失や通常の使用方法に反する使用など、借主の責任によって生じた損耗やキズなどを復旧することです」(7頁)。

 従って通常損耗や経年変化は原状回復の対象にはならない。国交省ガイドラインの基本見解に立っている。

 東京版は、原状回復をレンタカーを数か月間借りた例で説明している。

 「数か月も乗っていれば、タイヤもすり減ったりするでしょう。だからといって、車を返す時にレンタカー料金以外にその復旧費用を別途請求されることはありません。一方、不注意で車をぶつけてしまった場合などは、レンタカー料金以外に復旧費用を請求されることになります。賃貸住宅における『原状回復』も同じように考えていただければよいと思います」(7頁) 

 特約についても特約の「①必要性があり、かつ暴利的でないなど客観的合理的理由の存在が必要で、②特に賃借人がこの義務について認識し、③義務負担の意思表示をしたことが必要である」(伏見簡判1995年7月18日及び1997年2月25日)の判例を基にして以上の3要件が必要であると解説している(10頁)。

 「東京版ガイドライン」(9頁の表)と「国交省ガイドライン別表2」(22~23頁)を比較すると内容は同一である。だが、東京版の「経過年数等の考慮」欄を見ると、国交省版にある「6年で残存価値10%となるような直線(または曲線)を想定し、負担割合を算定する」が削られ、そこに「経過年数を考慮し、負担割合を算定する」という曖昧な文章に替えられている。

 東京版ガイドラインでは経過年数を考慮することになっているが、基準となる1年間の減価割合が書かれていない。算定の明確な「基準」がないので具体的な負担割合が把握出来ない。このように東京版ガイドラインは費用負担割合を確定するための明確な規準が欠落しているのでトラブルを防止するための具体的・合理的な負担割合を算定出来ないという致命的な問題点がある。
 これは、「国交省のガイドライン改訂版」の白眉である経過年数による減価割合の考え方が東京版ガイドラインでは意識的に抹殺されていることに基因する。  

 

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借地借家法の改悪の検討 (東京・台東) 

2005年05月25日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

      正当事由の緩和へ政府自民党の「規制改革」 

 政府自民党は規制改革の一環として借地借家法を改悪しようとしている。借地借家法38条(定期借家制度)と同法28条の「正当事由」の規制緩和を目論んでいる。

 具体的には
 ①居住用建物については当事者が合意した場合は普通借家から定期借家への切替を認める
 ②貸主の事前説明義務の廃止
 ③200㎡以下の居住用借家の借主の解約権の廃止
 ④借地借家法の正当事由の緩和と立退料の低減化を検討
     (「規制改革推進3か年計画」2003年3月28日閣議決定)

 《①について》
 現在、居住用建物に関しては既存の普通借家契約から定期借家契約への切替は、仮に当事者の合意の上でも禁止されている(特別措置法附則3条)。

 定期借家推進論者は、現行の定期借家制度が居住用住宅に関しては新規契約のみに摘要され、制度として不徹底であったことが効果を上げられない原因であるとしてその禁止措置の廃止を主張する。

 国土交通省の「定期借家契約の実態調査」(2004年1月16日発表)で切替えを認めるべきではないという事業者の約67%がこの禁止措置の歯止めが無くなると契約の理解が不充分なまま定期借家契約へ切替えられる危険があるとしている。

 但し、店舗・事務所等の非居住用建物の場合は現在でも当事者の合意があれば定期借家契約への切替は可能である。

 《②について》
 貸主は定期借家契約締結まえに定期借家契約の内容を説明する義務と説明文書(契約書とは別)の交付義務がある。貸主義務を果していない場合は定期借家契約は無効になり、普通借家契約として扱われる。 
 貸主の事前説明義務の廃止は、貸主の便宜のみに配慮し、トラブルを未然に防止することを放棄したものである。前記調査で廃止に反対する事業者の63%が書面説明は紛争回避に繋がると回答。

 貸主の説明義務と宅建業者の重要事項説明と重複するとの理由で廃止すべきとしている。だが、不動産業者が当事者双方の仲介を行いながら貸主の代理として説明を行うということは双方代理禁止の観点からも問題である。宅建業法31条に規定する業務処理の原則にも背くものである。

 《③について》
 改悪のポイントは、200㎡未満の居住用住宅に認められて中途解約権を強行規定から任意規定に変更するか、200㎡未満の制限を撤廃して中途解約権を全廃する。
 任意規定であれば特約で中途解約を制限する条項を加えて実質的に中途解約を排除することが出来る。

 現行の200㎡以下の居住用住宅及び店舗等の非居住用は、一切中途解約権は無いので注意したい。前記調査は事業者の約60%・居住者の78%が中途解約権を存続すべきと回答。

 《④について》
定期借家推進協議会の虫のいい提言は次のようになっている。
 ①自己使用
 ②建替
 ③土地の高度利用等の理由があれば単独でも正当事由を認め、立退料は不要とする。
 以上の事項に該当しない場合でも家賃の数か月分払えば更新を拒絶出来る制度を創設する。

 最後に、定期借家制度は期間が満了すると貸主は契約を一方的に終了させ、立退料を支払うことなく確定的に明渡を完了させられる。借主にとっては非常に危険な契約である。

 前記調査の中に平成14年の定期借家契約7111件の内で再契約が出来なかったのは3911件で55%という結果がある。

 言い換えると55%の借主が再契約を一方的に拒否されて無条件で居室から立退かざるを得なかったという事実は注視しなければならない。

 

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原状回復特約に警鐘  (東京・台東)

2005年05月24日 | 敷金・保証金・原状回復に関する判例等

        敷金訴訟で全面勝訴
          県住宅公社に不当な費用の返還請求

 尼崎借地借家人組合顧問の吉村勇さんは、1995年1月17日の阪神大震災で被災した。自宅を建替える期間、兵庫県と他の6市の出資による特殊法人である兵庫県住宅供給公社が一括借上げして管理する尼崎市の賃貸マンション「エスポワール園田」に1年6か月入居していた。
 入居していたマンションは住宅金融公庫から融資を受け、且つ尼崎特定有料賃貸住宅制度に基づいて建設費用の補助と入居者の家賃補助が行われている特定優良賃貸住宅である。賃貸借契約には特優賃法と公庫法の適用がある。

 敷金は家賃の3か月分約37万円が差入れられていたが、退去時に原状回復費用としてふすま貼替、畳表替、クロス貼替、玄関鍵取替等工事費用として約21万円が差引かれた。

 退去跡補修工事は通常損耗分の修繕費であり、賃貸人である公社が負担すべきで、賃借人に通常損耗分の費用を負担させることは、法律上・社会通念上の義務とは別個の新たな義務を負担させるものである。
 従って、そのような合意の成立は、その義務の具体的な内容を理解認識した上で、その義務負担の意思表示がされることが必要である。

 しかし、住宅供給公社は費用負担の説明義務を履行していない。また、通常損耗費用及び鍵取替費用の負担をするという同意をしていないので原状回復特約は成立しないと吉村さんは主張し、公社に対して不当な費用負担分の約21万円の返還を求めて提訴した。

 裁判の争点は、
 ①公社との賃貸借契約について、通常損耗分及び玄関の鍵の取替を賃借人の負担とする合意が成立したか、
 ②仮に成立したとして、原状回復特約が特優法・公庫法に違反し、公序良俗違反として私法上の効力が否定されるかであった。

 契約書本文では通常損耗分は賃貸人である公社の費用負担と記載されている。しかし、別冊である「修繕費用負担区分表」・「住まいのしおり」では賃借人の費用負担と記載されており、両者に齟齬がある。これに関して公社は「区分表」と「しおり」に基づいて通常損耗について賃借人負担とする原状回復特約は成立すると主張した。

 一審の神戸地裁尼崎支部は特約の成立を認め、特優賃法・住宅金融公庫法に定める限度内の家賃の範囲であれば、退去時に通常損耗費用を控除する方式も問題はないとして吉村さんの請求を棄却した。吉村さんは判決を不服として大阪高裁に控訴した。

 2003年11月21日大阪高裁は、「区分表は、本件賃貸借契約の別冊であり、その一部であって特則ではないから、これをもって本件特約の成立を認めることは出来ない」として通常損耗の修繕費用を借主に負担させる特約は成立しないという判断を下した。
 
そして「特優法及び公庫法の規定の趣旨にかんがみると、本件特約の成立は、賃借人がその趣旨を十分に理解し、自由な意思に基づいてこれを同意したことが積極的に認定されない限り、安易にこれをみとめるべきではない」と結論づけている。
 その結果、住宅供給公社の主張する原状回復費用借主負担の特約の成立を否認し、一審判決を取消し、借主の請求をほぼ全額認める判決を言い渡した。

 兵庫県住宅供給公社は、この判決を不服として最高裁へ上告した。
 2004年6月10日、最高裁判所は「当裁判所は裁判官全員の一致の意見で次のとおり決定する。主文 本件を上告審として受理しない。申立費用は申立人の負担とする。」として申立人である兵庫県住宅供給公社の上告を退ける決定を出した。この最高裁の上告棄却によって、大阪高裁判決が確定し、吉村勇さんの全面勝訴が決定した。

 この判決は全国の公社が管理する約3万戸に大きな影響を与えることは必定である。自然損耗分は貸主の費用負担は判例の主流であり、国土交通省も「標準契約書」「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」等によって自然損耗(通常損耗・経年変化)を借主に負担させないように指導している。また、東京都は2004年10月1日より、退去時の原状回復費用負担のトラブルを防止する「賃貸住宅紛争防止条例」を施行する。

 

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借家の更新料支払特約 (東京・台東)

2005年05月23日 | 更新料(借家)

 京都で借主勝訴判決
 法定更新の場合は更新料の支払不要
 
 2004年5月18日京都地裁で更新料支払特約が有っても契約が法定更新された場合は、特約は適用されず、更新料の支払義務が無いという借主勝訴の判決があった。

 

 勝訴したのは京都借地借家人組合の組合員である。更新料支払が慣習化している京都では約定更新料支払義務無しの判決は初めてであり、京都の家主側に衝撃を与えた。

 元来関西圏は礼金・更新料の支払慣習が無い地域であるが、京都と滋賀は例外である。
 例えば、京都の中心部の1Kタイプ(約20㎡)の賃貸マンションの場合は
 ①家賃(5~6万円)、
 ②礼金(15~20万円)、
 ③敷金(15~20万円)、
 ④更新料(家賃の2ヶ月分)、
 ⑤管理費(5000~1万円)、
 契約期間1年というものが多い。
 京都と滋賀の敷金の精算は通常損耗も敷金でカバーする関西式の「敷引き」であるが、余りがある場合は原則返金するのが特徴である。

 京都地裁で争った借主の場合は1Kタイプのマンションで契約期間1年、家賃(6万2000円)、管理費(8510円)特約として更新料(家賃の2ヵ月分)、更新手数料(1万5000円)を支払うという契約で入居した。借主は先の例と同程度の礼金・敷金も支払っている筈である。家主の代理人の管理会社は、契約満了の1ヵ月前に前回と同一の契約内容の書類に署名・押印を求め、更に特約の更新料と更新手数料を請求してきた。

 契約内容に不満があるので借主は、①契約期間2年、②特約の更新料と③原状回復の承諾条項の削除を求めたが、管理会社に一蹴された。更新料支払か解約かを強要されたが、借地借家法に基づいて契約は法定更新された。だが、家主はあくまで特約に基づく更新料と手数料の合計13万4500円の支払いを求めて提訴した。

 裁判では法定更新された場合、更新料支払特約は有効なのか否かが争点となった。即ち借主の更新料支払義務の有無が争われた。

 (ア)家主は、更新料約定は有効であり、合意更新に限らず、法定更新にも適用される。従って借主は更新料等の支払義務があると主張した。

 (イ)借主は、更新料約定は合意更新を前提としたもので無効であり、法定更新には適用されない。従って更新料等の支払義務は無い。そもそも更新料約定は、消費者契約法10条によって無効であると主張した。

 (ウ)裁判所は「更新約定は全体としても、合意更新を前提としたものであって、法定更新には適用されない」として家主が特約に基づき「更新料及び更新手数料の支払いを求めることはできない」という判断を下した。

 この裁判で注目されたのは借主側が更新料支払義務無しの根拠として、今までにない消費者契約法10条を適用した点である。

 更新料約定は借主(消費者)に民法・借地借家法の適用上は存在しない更新料支払義務を課し、更に1年契約で2ヵ月分の賃料相当額という高額の更新料を課す暴利的なものである。これは借主の権利を制限し、又は借主の義務を加重する条項であって借主の利益を一方的に害するものは無効であるとする消費者契約法10条に違反する特約条項であると主張した。

 これに対して、京都地裁は「それが消費者契約法10条に違反するものとして無効であるかどうかはさておく」と判断を回避してしまったのは残念である。

  

 

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借地の約定更新料は支払義務無し (東京・台東) 

2005年05月22日 | 更新料(借地)

    約定更新料で新判断―最高裁が地主の上告を棄却

 合意無ければ支払義務無し 
法務省の司法統計によると「借地紛争」が多発したのは、1965年(昭和40年)前後と1985年(昭和60年)前後である。統計的に予測される次の「借地紛争」多発の時期は戦後60年に当る2005年(平成17年)である。「借地紛争」の実体は、借地人側から見ると更新料問題である。

 更新料の授受は慣習に多く頼っており、地域差が非常に大きいという理由から「借地借家法」(1992年8月1日施行)においても更新料の規定は置かれなかった。更新料については法律には何の規定もない。従って法律上は、賃借人が更新料支払の義務を負っている訳ではないし、また賃貸人が更新料を請求する権利を持っている訳でもない。

 最高裁は更新料に関して「賃借期間満了に際し賃貸人の一方的な請求に基づき当然に賃借人に賃貸人に対する更新料支払義務を生じさせる事実たる慣習が存在するものとは認められない」(最高裁1978年1月24日判決・同趣旨の最高裁1976年10月1日判決)(としている。
 即ち、予め更新料の支払約束が無い場合は賃貸人が賃借人に対して更新料を請求することが出来ないというのが判例の主流である。実際、前記最高裁判決後、借地・借家に関して更新料支払合意が無い場合に更新料支払義務を認めた判例は存在しない。

  約定更新料は支払義務無し
 それでは、契約書に更新料支払の特約がある場合、賃借人は更新料の支払義務を負うのか。
 借家に関しては、既に更新料支払約定があっても法定更新された場合には借家人に更新料支払義務がないという最高裁判決(1982年4月15日)<「借地・借家 更新料について」資料3>(東京借地借家人組合連合会 頒価500円送料別がある。

 借地に関してはどうだろうか。
 地主が借地人に対して契約で合意した(約定)更新料の支払を求めて東京地裁に訴えた事例を検討してみたい。これは江東借地借家人組合の会員の場合である。
 裁判では法定更新の場合、借地人の約定更新料の支払義務の有無が争点になった。

 東京地裁は「更新料支払合意が契約の法定更新の場合を除外する趣旨のもの」とは認められないとして借地人は法定更新しても約定更新料の支払義務を負うと判示し、借地人に更新料約76万円(坪当り約25,600円)の支払いを命じた(2000年3月13日判決)。

  しかし、地主は更新料が低額であるとして東京高裁へ控訴した。東京高裁は「法定更新された本件においては、本件更新料支払合意は効力を有するとは認められず、したがって、右合意を根拠とした控訴人(地主)らの本件請求は本来理由のないもの」(2000年9月27日判決)として地主の請求を根拠が無いと否認した。

 地主はこの判決を不服として最高裁へ上告した。
 最高裁は地主の上告を棄却し、予め合意された更新料支払の約定は法定更新の場合には適用されず、借地人の更新料支払義務を負わないとする東京高裁の判決趣旨を是認した(最高裁2002年2月22日判決)。

 借地人の「2005年問題」の闘いに・更新料不払実行に有利な判決がまた一つ追加された。

 (注)
「宅地賃貸借の期間満了にあたり、賃貸人の請求があれば当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商習慣ないし事実たる慣習が存在するものとは認めるに足りない」 最高裁1976年10月1日判決判例時報83563頁<「借地・借家 更新料について」資料1>(東京借地借家人組合連合会 頒価500円送料別

 「建物所有を目的とする土地賃貸借契約における賃借期間満了に際し賃貸人の一方的な請求に基づき当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生じさせる事実たる慣習が存在するものとは認められない」 最高裁1978年1月24日<「借地・借家 更新料について」資料2>(東京借地借家人組合連合会 頒価500円送料別

 

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原状回復特約に“否”の判断 (東京・台東) 

2005年05月21日 | 敷金・保証金・原状回復に関する判例等

      大阪高裁の敷金返還裁判
          消費者契約法で原状回復特約に“否”の判断

 経年変化による自然損耗や通常損耗は家賃によってカバーされるもので、特約で家賃以外の方法で負担させることは家賃の二重払いになる。従って自然損耗や通常損耗は原状回復の対象にならないというのが従来の判例の考え方である。

 2004年の12月17日及び2005年1月28日に大阪高裁で退去時に通常・自然損耗を含めた復旧費用を一方的に賃借人に負担させる原状回復特約は消費者契約法10条に反し無効とする判決があった。両裁判は敷金の全額が返還されるという賃借人全面勝訴の判決であり、賃貸業者・不動産業者に強い衝撃を与えるものであった。

 大阪高裁の二つの判決が画期的である点は、特約の成立を認定した上で、原状回復特約を消費者契約法10条によって不当条項として特約自体の違法性を認定したことである。

 従来の判例は原状回復特約に対して特約の成立条件に制限を設け、その要件を充たさない場合は特約の有効性を否定した。

 即ち特約が認められるのは
①特約の必要性、合理的理由が存在すること
②特約によって通常の義務を超えた修繕等の義務を負うことを認識していること
③賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること、
以上の要件を具備していることが必要である。

 これらの三要件を充たしていない場合は特約は無効とされる。判例は特約成立の要件の不備を理由にして特約の効力を否定して多くの賃借人の救済を図って来た。これらの判例理論は国交省や東京都の「ガイドライン」に取入れられ、特約トラブルの歯止めとして活用されている。

 しかし最近では賃貸業者も判例や「ガイドライン」等を研究し、その裏を行く契約書を用い、特約の無効を回避する対策を実行している。

 例えば契約時に原状回復の説明書を契約書に添付して説明の随処に理解確認の署名・捺印欄を設ける。加えて別紙で復元基準表を添付して原状回復費の単価表を明示して具体的な費用が算定出来るようになっている。

 「入居の期間の長短を問わず通常の使用方法による汚れ(いわゆる自然損耗)のみの場合であっても、別紙復元基準表に沿って賃借人が原状回復の義務を負担することについて承諾した」等が初めから印刷されておりそこに署名・捺印欄があり、確認を求められる。

 それらによって契約時に
 ①特約の内容の説明を受けなかった
 ②費用負担の具体的な内容説明を受けていない
 ③原状回復義務の承諾の意思表示をしていない
 という賃借人からの反論を封じている。賃貸業者はこのような対抗策を採用して原状回復特約の不成立を防ぐ努力をしている。

 二つの裁判で敗訴した不動産管理会社は特約を盾にして敷金(20万円)返還を拒んでいた。一審の京都地裁で敗訴し、大阪高裁へ控訴して争われていたのが前記の裁判である。従来の判例理論では救済が難しいと思われた事例である。

 両裁判での争点は主に
①原状回復義務に関する特約の成否と
②原状回復特約の効力が中心に争われた。

 大阪高裁2004年12月17日判決では
①に関しては特約の成立を消極的に認める判断をしている。その上で
②に関して「本件原状回復特約、即ち、自然損耗等についての原状回復義務を賃借人が負担するとの合意部分は、民法の任意規定の適用による場合に比し、賃借人の義務を加重し、信義則に反して賃借人の利益を一方的に害しており、消費者契約法10条に該当し、無効である」としている。

 一方、大阪高裁2005年1月28日判決では
①に関しては確認の署名・捺印などが有ることから、「本件特約が成立したことが認められると判断する」。その上で
②に関して「当裁判所も、本件特約は消費者契約法10条の適用により無効であると判断する」。

 両判決は原状回復特約が違法な特約であると認定している。

 これら大阪高裁の判決は、これからの敷金返還裁判や敷金返還の少額訴訟等に重大な影響を与えることは間違いない。特に重要なのは、消費者契約法施行(2001年4月1日)前に締結された契約でも、施行後に契約が更新された場合は消費者契約法が適用されると認定されたことである。

 東京都は原状回復トラブルを防止するために2004年10月1日より「賃貸住宅紛争防止条例」を施行している。だが条例の適用は施行後の新規契約に限られるとしている。施行後に結ばれた更新契約を何の根拠も無く一方的に条例の適用から除外しているが、東京都の姿勢は疑問である。

 

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【判例】 *家賃の不払実行で実質的な敷金回収を是認する画期的な最高裁判決(2002年3月28日)

2005年05月20日 | 敷金・保証金・原状回復に関する判例等

 判例紹介

 

  〔2002年3月28日最高裁判決全文〕
 
平成14年03月28日 第一小法廷判決 平成12年(受)第836号

 取立債権請求事件

(要旨)
 敷金が授受された賃貸借契約に係る賃料債権につき抵当権者が物上代位権を行使してこれを差し押さえた場合において,当該賃貸借契約が終了し,目的物が明け渡されたときは,賃料債権は,敷金の充当によりその限度で消滅する


(内容)
件名   取立債権請求事件
       (最高裁判所 平成12年(受)第836号 平成14年03月28日 第一小法廷判決 棄却)
原審   東京高等裁判所 (平成11年(ネ)第3350号)

 

主    文

 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。

理    由

 上告代理人池田靖,同桑島英美,同相羽利昭,同蓑毛良和,同田川淳一,同堂野達之の上告受理申立て理由について

 本件は,抵当不動産について敷金契約の付随する賃貸借契約が締結されたところ,抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえ,取立権に基づきその支払等を求めた事案であり,賃貸借契約が終了し,目的物が明け渡された場合における敷金の賃料への充当は,上記物上代位権の行使によって妨げられるか否かが争点となっている。

 賃貸借契約における敷金契約は,授受された敷金をもって,賃料債権,賃貸借終了後の目的物の明渡しまでに生ずる賃料相当の損害金債権,その他賃貸借契約により賃貸人が賃借人に対して取得することとなるべき一切の債権を担保することを目的とする賃貸借契約に付随する契約であり,敷金を交付した者の有する敷金返還請求権は,目的物の返還時において,上記の被担保債権を控除し,なお残額があることを条件として,残額につき発生することになる(最高裁昭和46年(オ)第357号同48年2月2日第二小法廷判決・民集27巻1号80頁参照)。

  これを賃料債権等の面からみれば,目的物の返還時に残存する賃料債権等は敷金が存在する限度において敷金の充当により当然に消滅することになる。このような敷金の充当による未払賃料等の消滅は,敷金契約から発生する効果であって,相殺のように当事者の意思表示を必要とするものではないから,民法511条によって上記当然消滅の効果が妨げられないことは明らかである。

 また,抵当権者は,物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえる前は,原則として抵当不動産の用益関係に介入できないのであるから,抵当不動産の所有者等は,賃貸借契約に付随する契約として敷金契約を締結するか否かを自由に決定することができる。したがって,敷金契約が締結された場合は,賃料債権は敷金の充当を予定した債権になり,このことを抵当権者に主張することができるというべきである。

 以上によれば,敷金が授受された賃貸借契約に係る賃料債権につき抵当権者が物上代位権を行使してこれを差し押えた場合においても,当該賃貸借契約が終了し,目的物が明け渡されたときは,賃料債権は,敷金の充当によりその限度で消滅するというべきであり,これと同旨の見解に基づき,上告人の請求を棄却した原審の判断は,正当として是認することができ,原判決に所論の違法はない。論旨は,採用することができない。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。


 (裁判長裁判官 井嶋一友  裁判官 藤井正雄  裁判官 町田 顯  裁判官 深澤武久)

 

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