東京・台東借地借家人組合1

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供託中の評価証明書発行問題で都主税局交渉

2007年11月27日 | 借地・借家に共通の問題

 東京都主税局固定資産税課は契約期限が切れの契約書及び供託書のみでは、契約内容が確認できないとして評価証明書を発行することが出来ないとする見解を2007年10月5日に発表した。

 2007年11月1日午後2時から主税局交渉を行い、東借連から佐藤会長はじめ7名が参加し、日本共産党の曽根都議が列席。主税局からは飯田固定資産税課長等が応対した。

 東借連は、「契約書がなくても、供託書及び借地借家人であることが確認できれば評価証明書を発行すること」等先の見解を撤回するよう要求した。

 飯田固定資産税課長は「地主は正当事由があれば契約の更新を拒否できる。更新が出来るか否か都では判断できない以上、評価証明を発行すると地主側から守秘義務違反を問われる可能性がある」と説明した

 東借連では、主税局の見解は法の下の平等に反し、法定更新制度を否定するものと厳しく批判し、総務省と相談し、都の見解の法的根拠を明示するよう求めた。

 

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 法人売買の形式による賃借権の譲渡が無断譲渡に当たるとされた事例

2007年02月08日 | 借地・借家に共通の問題

 判例紹介

 賃借権の無断譲渡禁止特約のある建物賃貸借契約をしてキャバレーを経営していた会社代表者が法人売買の形式をとることにより、この特約を回避できると誤信して売買契約したが、賃貸契約が解除された買主が損害を被ったことに重過失による職務懈怠として損害賠償責任が認められた事例東京地裁平成4年10月13日判決、判例タイムズ83号199頁以下)

 (事案)
 キャバレー等の営業を目的とするA社は、B社から本件建物を賃借してキャバレーを経営していたが、X社は、A社からこの店舗の造作設備を含む営上の一切の権利及びA社の代表者Yから全株式を買受けた。AB間の建物賃貸借契約には賃借権の無断譲渡禁止の特約があったが、Yは法人の売買にすればB社の承諾を要せずに賃借権の譲渡ができるものと考え、B社の承諾を得ずに法人の売買の形式で行ったところ、B社から契約解除を受け、X社は建物の明渡しを余儀なくされ損害を受けた。そこで、X社はYに対し商法262条の3に基づき損倍賠償請求をした事案である。X社の請求を過失相殺5割にて一部容認。

 (判旨)
 「被告は本件売買契約が実質的には賃借権の譲渡と同一視されるものであるこを充分認識していたこと、及び被告は本件売買契約が賃貸人である札幌アルトに発覚すれば無断譲渡として本件賃貸借契約を解除される危険が高いことを予想することが容易に可能であったことを推認することができる」、「そうすると、被告が法人の売買という形式をとれば札幌アルトの承諾を得ることなく建物賃貸借権が譲渡できると信じて原告に対して本件売買契約の申込をして、同様に誤信した原告との間で本件売買契約を成立させたことは、会社の代表取締役として前記忠実事務に違反した任務懈怠であるというべく、かつ、右任務懈怠は被告の重大な過失によるものと解される。したがって、被告は原告に対し、原告が被告の右任務懈怠に被った損害について商法266条の3第1項の責任を免れないものと解するのが相当である」

 (寸評)
 判決は、原告が不動産業者であることから、賃貸人の事前承諾を要することは十分認識していなければならなかったこと等を理由に原告の過失も5割と認めた。法人売買の形式による賃借権譲渡については、法人格の同一性を理由に、賃借権の譲渡に当たらないとする判例もあるが、個人的色彩の強い中小・零細企業の場合には本件判決の同旨のように判断される危険が極めて高いので、あえて紹介した。

(1994.12.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 平成6年度の固定資産税評価が適正な時価を上回り違法とされた事例

2006年06月15日 | 借地・借家に共通の問題

 判例紹介

  固定資産税台帳に登録された平成6年度の価格が賦課期日における適正な時価を上回るものとして違法とされた事例 東京高裁平成12年4月19日判決、判例時報1729号38頁)

(事実)
 自治省は、平成6年度の土地の評価について、地価公示価格あるいは鑑定価格の7割程度を目途とする旨の平成4年1月22日自治省3号事務次官通達(いわゆる7割通達)を発した上、平成4年7月1日を鑑定時点とし、平成5年1月1日を価格認定時点とし、その間の地価下落率を勘案し、時価の7割を目途として、標準宅地の価格を認定すべき旨の通知を発した。(平成4年11月26日自治省28号税務局資産評価室長通知)

 これに対して、従前の評価水準が地価公示価格の2~3割であったのが、著しく高額な価格になったこと及び平成5年から6年にかけて大幅な地価下落があったことから、これらの点が評価基準に反映されていないとして都市部を中心に固定資産評価審査委員会に審査申出や審査決定に対する取り消し訴訟が相次いだ。

 本件は、原告らは、港区赤坂に所在する土地に係かる案件である。 1審の東京地裁判決は、平成5年1月1日から平成6年1月1日までの地価下落率を平成4年7月1日から平成5年1月1日までの間の地価下落率があるものと想定してこれを評価に反映させるのが相当としたが、東京都固定資産評価審査委員会は、これを不服として、東京高等裁判所に控訴を申立てた。

(争点)
 固定資産課税台帳に登録された価格が時価を上回るか否か。

(判決要旨)
 東京高栽判決は、平成5年1月1日から平成6年1月1日までの地価下落率33・5%が、最も地価下落率を正確に反映するものとして採用し、これを超える部分について審査の申出を棄却した決定を取り消した。

(短評)
 地方税法では、宅地に課せられる固定資産税は、賦課期日における価格に税率を乗じたものとされている。そして、価格については、「適正な時価」とされ、賦課期日については、3年毎の1月1日とされている。

 本判決は、7割通達について、登録価格が賦課期日における適正な時価を下回る場合には当該登録価格が是認されるが、登録価格が適正な時価を上回る場合には、その限度で取り消すとしたものである。このことは、7割通達が適正な時価を超えないよう控え目な算定をしていることを認めるものであり、結局、年間の地価下落率が3割を超えない限り違法にならないとしたものである。

 この結果、その後の平成9年、平成12年の評価替えについては、地価下落率が3割を超えない以上、違法の問題は発生しないことになる。なお、本件は最高裁に上告されており、今後の判断が待たれる。

(2001.02.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【Q&A】 土地・建物が共同所有に変わった場合

2006年04月06日 | 借地・借家に共通の問題

     共有による複数の貸主に対して賃料は 
           別々に持分割合に応じて払うのか

 (問) 建物や土地の所有者が死亡し、複数の相続人による共同相続になり、単独所有から共同所有によって建物や土地が共有に変わった。その場合、借主は賃料を各人に分割し、それぞれの相続割合に応じて各人にそれぞれ支払わなければならないのか。


  (答) 土地や建物の貸主が死亡した場合、相続人は土地や建物の所有権を相続すると同時に貸借関係についての貸主の地位を承継する。相続人が数人あるときは、相続財産は、共同相続人の共有に属する(民法898条)。

  最近は、不動産小口化商品の1つとして投資者等が細分化された建物の共有持分を買受けるケースが多くなっている。

  共同相続人や共有持分取得者が貸主人の地位を承継した場合貸主が複数になる。その場合、①借主は相続割合に応じて賃料を各人にそれぞれ分割して支払わなければならないのか、それとも、②貸主の内の1人に賃料を全額支払えば、それで全員に弁済したことになるのかが問題になる。

  この問題に対して、共有物件の賃料は「不可分債権」であるという判例(東京地裁1972年12月22日判決)がある。

  家賃・地代は金銭で支払う債務であるから一見したところは分割債務とするのが素直なように思われる。即ち分割が出来る可分債権に思える。しかし、共有賃料を可分債権とみなすと色々不都合が生じる。相続が確定するまでは、相続人の相続割合が判らない。賃料の分割割合が確定できないので、各相続人に相続に応じた賃料が支払えないことになる。

  そこで、この不都合を避けるために判例は、共有賃料はその性質上不可分債権とみなした。①不可分債権には性質上不可分給付と意思表示による不可分給付がある。②不可分債権においては、債権者の1人が債務者に履行を請求すると、総ての債権者が履行を請求したのと同様の効果が生じる。③債務者が債権者の1人に履行すると、総ての債権者に履行したものと同様の効果が生じる(①②③は民法428条)。

  このことから、共有賃料は共同貸主の内の1人に賃料の全額を支払えば、それで総ての貸主に弁済したことになる。弁済供託を行う場合も同様に考えればよいことが判る。

上記の「共有賃料はその性質上不可分債権とみなす」という考え方があった。借主には都合のいい判例であった。

 しかし、最高裁は従来の解釈を変更した。

 すなわち、最高裁平成17年9月8日判決は「相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる賃料債権は,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し、この賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けない」ということで賃料は不可分債権から分割債権へと判例が変更された。

 従って、相続開始後遺産分割の時までに、遺産である不動産から生ずる地代や家賃など法定果実は、遺産分割の対象にはならず各相続人が相続分に応じて取得することになる。

 前記最高裁の判決が出るまで、下級審では、①遺産分割協議の結果、そのマンションの所有者になった相続人が、相続開始後遺産分割までの賃料債権を取得する、という見解と、②相続開始後遺産分割までの賃料債権は、共同相続人がその相続分の割合で取得する、という見解に分かれていた。

 この両説の対立に終止符を打ったのが、前記最高裁判所判決である。民法898条の「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する」という規定で、この規定は、遺産分割協議の結果、マンションが1人の相続人に帰属することになっても、それまでは、マンションは共同相続人の共有であるのだから、その間に生ずる賃料債権も、共同相続人のものになる。賃料は可分債権なので、共有ではなく、共有の割合、つまり相続分に応じて分割されるという訳である。

 しかし、賃借人は相続の遺産分割協議が確定するまでは相続割合が判らない。従って、賃料の支払いは相続開始から遺産分割協議が確定するまでは民法494条に基づく「債権者不確知」(*)を理由とした「弁済供託」で対応しなければならないことになった。

 相続人の遺産分割協議が確定すれば、その後は相続分に応じて、それぞれに賃料を支払うことになる。

(*)相続や債権譲渡などがあったことによって真正な債権者が誰であるか確知出来ない場合である。

 

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「e(電子)内容証明」 (東京・台東) 

2005年09月26日 | 借地・借家に共通の問題

     インターネットを利用した(e(電子)内容証明]

 「e(電子)内容証明」とは、従来の内容証明郵便を電子化し、インターネットを利用したIT時代を象徴する便利な郵便サービスである。

 概要は次の通り。差出人がパソコンで作製した内容証明文書を郵便局の専用のホームページに送信。その後、日付印がその文書内に自動的に挿入され、『内容証明の証明文』『差出人宛ての謄本』『受取人宛て原本』をシステムが自動印刷。

さらに印刷時にはシステムが、文書が確実にプリントアウトされているか再電子化して差出人が作製した元の電子文書と突合せて全て確認。そして封筒に自動封入・封緘後、郵便物として発送される。

 ①余白②最小文字ポイント③最大頁数(5頁)の規定はあるが、現行の内容証明郵便より規定が緩和されている。従来の内容証明郵便3頁分の文字数が、電子内容証明文書なら1頁に収まる。

まず、事前に利用登録をして、利用者IDを取得し、パソコンのワープロソフト(ワードか一太郎)で文書を作成する必要があるが、24時間いつでも差出し可能。

 利用料金はクレジットカードか料金後納を選択。受付時に必要な内容証明文書3通が自動的に作製され、封筒も事前に準備する必要はなく、システムで用意されたものを使用し、宛名書き等もすべて自動で行われ、窓口で作製するより迅速に処理できる。詳しくは郵便局か「e内容証明サービス・ホームページ」で。

 

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固定資産税台帳の閲覧・証明書の発行 (東京・台東)

2005年08月17日 | 借地・借家に共通の問題

  借地借家人に課税標準額

(1)固定資産税台帳公開に関する地方税法の改正(2002年3月28日)により、固定資産課税台帳の縦覧制度の改正が行われた。従来の納税義務者本人に係る固定資産の縦覧制度は衣替えし、2003年4月1日から「固定資産課税台帳閲覧制度」として法定化された。

(2)従来の「固定資産税台帳の縦覧制度」は、昭和30年代までは一般に自由に公開されていた。しかし、法律的根拠に基づかない理由に因って昭和40年代以降、納税義務者本人以外は原則として台帳を公開しない扱いになった。

(3)今回の閲覧制度の法定化によって今まで縦覧制度の埒外にあった借地・借家人を固定資産税の実質的負担者として認め、その使用又は収益の対象となる部分について固定資産の課税標準額等の情報を開示することになった。それに伴って借地・借家人に対しての固定資産税台帳に記載されている事項の証明制度も法定化された。

   過去に遡って閲覧証明も可能
(1)借地・借家人は東京都の場合、都税事務所で固定資産税及び都市計画税の課税標準額の閲覧或は台帳記載事項の証明を受けることが出来る。

(2)その範囲は 
 ①借地人の場合、固定資産税台帳に記載されている「当該権利の目的である土地」、即ち、借地部の固定資産税の課税標準額及びその課税標準額の証明等である。 
 ②借家人の場合は「当該権利の目的である家屋及びその敷地である土地」即ち、建物と敷地に係る固定資産税の課税標準額とその課税標準額の証明等である。

(3)その場合、借地・借家人は、都税事務所に資格を証明する賃貸借契約書や賃料支払の領収書・供託書等を提示すれば閲覧・証明を受けられる。

(4)課税台帳の閲覧や証明については、請求出来る期間に制限が付いていないので常時行える。

(5)また対象年度は、固定資産税台帳に記載がある限り、過去に遡っての閲覧や証明は可能である。だが、固定資産税の賦課決定の期間制限5年があるので、遡れる上限は5年になるものと考えられる。

(6)閲覧・証明に際しての手数料に関して総務省は「徴収することは適切でない」との見解を発表している。だが、東京都は閲覧(300円)・証明(400円)を手数料とし徴収ている。

 

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【Q&A】 賃料を内金として受領すると言われた場合どうするか 

2005年07月26日 | 借地・借家に共通の問題

  内金として受け取ると言われたが、
          賃料を持ち帰って供託してもよいか

 (問) 賃料の増額を請求され、貸主のところに従来の賃料を持参したが「賃料の一部(内金)として受け取る」と言われた。賃料を持ち帰って供託してもよいか。


 (答) 賃料の増額請求をされた場合、借主が相当賃料として従前の額を提供し、貸主がこれを賃料の内金(一部)として受領するという事例は多い。

  このように貸主が内金として受領する旨を申出たことが民法494条の受領拒否に当るかということが問題になる。

 民法494条の受領拒否に当るかということが争われた事例では、「賃貸人が賃料を弁済の提供を受けた際内金(賃料の一部)として受領する旨述べることは、特段の事情のない以上、賃料の全額として提供されるのであればその受領を拒絶する趣旨を含むものと解すべきである」(東京高裁1986年1月29日判決 /同趣旨の判例は名古屋高裁1983年9月28日判決及び東京地裁1993年5月20日判決がある)として貸主が受領拒絶をしたと認定し、借主の弁済供託を有効とした。

 従って貸主が「内金(賃料の一部)として受け取る」という趣旨の申出は、賃料の受領拒絶の意思表示と認定され、借主が賃料を持ち帰って供託したことは適法な供託であるとした。

 しかし最高裁(1975年4月8日判決)は、内金として受領する旨の申出は民法494条の受領拒否に当たらないとする。また従前額の供託金については、一部弁済として受領する旨留保して供託金の還付を受けることも認められている。

 東京借地借家人組合連合会(東借連)弁護団会議では、この東京高裁1986年1月29日判決=貸主の内金受領が受領拒絶にあたるかが検討された。弁護団会議の最終結論は、貸主の内金受領が受領拒絶の意思表示であると一般化するのは問題があり、これを実行することには「債務不履行」で契約解除される危険が伴うので、従来通りの見解でいくというものであった。

 <東京借地借家人組合連合会の見解
「内金として受け取る。」といわれたとき

5、賃料の増額請求をされ、貸主のところに、従来の賃料を持参したところ、「内金として受け取る。」といわれた。持ち帰って供託してもよいか。

 「貸主が、内金であれ、賃料として受け取ると言った場合は、受領を拒否したものではないので支払わなければならない。それを、賃料全額としては受領を拒否したのだからと考えて供託するのは、供託理由がなくて供託することになるので、その供託は無効となり、賃料未払いとして、契約解除の危険がある。

 したがって、借主としては、従来賃料を支払い、念の為貸主に対して、その賃料額が全額であることを意思表示すればよいのである。(この意思表示は、内容証明郵便で出すのがのぞましい。)

 なお、受領証に、「内金として」と記載されても、それだけでは、賃料を増額されたことにはならない。」(3頁)

(「地代・家賃の供託」(研究借地借家第5号) 東京借地借家人組合連合会 より)

 

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借地借家人へ固定資産課税台帳公開 (東京・台東)

2005年06月19日 | 借地・借家に共通の問題

     地代家賃の値下げに強い味方
  固定資産課税台帳を借地借家人へ公開

 地方税法の一部を改正する法律(平成14年法律第17条)、地方税法施行令の一部を改正する政令(平成14年政令117号)、地方税法施行規則の一部を改正する省令(平成14年総務省令第44号)これらの改正により、「固定資産税台帳の閲覧制度」と「固定資産課税台帳記載事項の証明制度」の法定化がなされた。

 2003(平成15)年4月1日から借地人・借家人等は、東京の場合、都税事務所で固定資産課税台帳の①「閲覧」及び②「評価証明書」の交付が受けられるようになった。

 交付を受ける場合、借地・借家人等であることを確認出来るものを持参する必要がある(註)。例えば、賃貸契約書や賃借料の領収書等である。念のため身分証明書(運転免許証・健康保険証等)も持参した方がよい。

 代理人の場合は他に委任状が必要である。電話による委任確認に備えて委任者の電話番号も控えていった方がよい。

 閲覧・証明の申請書には、土地の場合登記簿の地番、家屋の場合は家屋番号を書くようになっているが、住居表示と納税義務者(地主・家主)の住所と氏名を書込めば検索してくれる。

 ①閲覧と②評価証明も固定資産課税台帳の記載事項をプリントしただけのものであり、内容的には同一だが、②評価証明には公印が表示される。東京都の場合申請手数料は、①閲覧は300円、②評価証明書は400円である。

 固定資産課税台帳に記載が法定されているのは、課税標準額である。相当税額を記載するか否かは市町村の判断に任せられているで、自治体によって対応に差異がある。

 東京都内23区の場合は、税額は記載されていない。ただし、固定資産税と都市計画税の課税標準額は記載してあるので、記載されている「固定資産税課税標準額」に固定資産税は1.4%、「課税標準の特例額」に都市計画税は0.3%を掛算すれば年間の相当税額になる。

  具体的な地代の算定方法は、当ブログ内の「適正な地代算出方法は」を参照して下さい。


 (註)「固定資産税における情報開示関係資料」(平成14年9月18日 総務省自治税務局固定資産税課資料3)の「固定資産税の情報開示に係る質疑応答について」によると次のように説明されている。

 (問)
 固定資産課税台帳の閲覧や固定資産課税台帳記載事項の証明を求めることができる者はどのような方法で確認すればよいのか。

 (答)
 
 地方税法においては、閲覧や証明を求める者の確認方法について規定していない。したがって、窓口において市町村の税務職員が、閲覧や証明を求める権利を有するものであることを確認できれば、どのような方法によっても差し支えないが、確認するための書類の例を掲げると次のとおりである。


 (1) 納税者
    当該年度の納税通知書、課税明細書等の納税者が保有すべき書類等による確認

 (2) 法に定められた固定資産課税台帳の閲覧や同台帳記載事項の証明を求めることができる者
     当該資格を証する書類等による確認(借地人・借家人の場合は、賃貸借契約書、地上権その他の権利の成立及び有効性を証する契約書等、契約書等に基づいて賃借料等を払い込んだことの領収書等の証明書等)

 (3) (1)及び(2)の掲げる書類等の提示がない場合でも、(1)及び(2)に準ずる書類等の提示があり、かつ、次に掲げる身分を確認できる書類等提示がある場合は、閲覧や証明に応じても差し支えない。
  ① 申請者が個人の場合
    身分証明書、パスポート、運転免許証、年金手帳、身体障害者手帳、健康保険証、国税・地方税の納税通知書、社会保険料の領収証等

  ② 申請者が法人の場合
    当該法人が作成した記名押印申請書(法人の代表者印が押捺されたもの)


 2 本人から閲覧又は証明申請に関する代理権を授与された者についても、閲覧又は証明を求めることができるが、閲覧又は証明の対象となる固定資産を特定し、かつ、閲覧又は証明申請に関する代理権を授与されたことを証する書類等及び代理人本人であることを確認できる前記1の書面を提出を求めることにより確認する。

 

参考記事
 課税台帳閲覧問題で総務省と懇談

 

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