東京・台東借地借家人組合1

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【Q&A】 契約期間満了後に定期借家契約の終了通知が届いた場合はどうなるのか

2008年07月30日 | 定期借家・定期借地契約

(問) 平成16年8月1日から契約期間2年の定期借家契約を締結し、マンションに入居した。2年後、貸主は再契約に関しては何も言わず、その後も毎月家賃を受領し続けたので、そのまま居住していた。
 期間満了後約1年5か月経過した平成19年12月になって定期建物賃貸借終了通知が送られて来た。内容は「平成20年6月30日で契約は終了しますので、期日までに建物の明渡しを完了して下さい」というものだ。貸主の要求に従わなければならないのか。


(答) 借地借家法38条4項は、1年以上の期間を定めた定期借家契約を期間満了により終了させるためには「建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6月前までの間(通知期間)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から6月を経過した後は、この限りでない」と規定している。

 尚、契約期間が1年未満の場合、終了通知は免除されている。

 法文上は「通知期間の経過後」とだけ定められ、通知期間の制限を定めていない。貸主は、通知期間を経過した場合の終了通知は期間満了後であっても、6か月の猶予期間を経過すれば、何年後であろうと貸主の好き勝手な日に契約を終了出来ると理解しているようである。

 しかし、終了通知は期間満了前にしなければならない。何故ならば、38条4項本文には終了通知は「期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知」となっており、「但書」の「その旨の通知」が「期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知」を指すのは明らかである。従って、期間満了前までに終了通知をすることは、法の趣旨からも当然である。

 定期借家契約は「更新」が無く、期間が満了すると確定的に契約が終了するものであり、従前の賃貸借が継続することは有り得ない。従前の賃貸借が更新(継続)するというのであれば、「期間の定めのない」定期借家契約ということになり、自己矛盾であり、更新が無いという定期借家契約の趣旨に反するものである。

 定期借家契約が成立するためには、借地借家法38条1~3項の法律要件を満たさなければならない。
 ①定期借家の再契約は「確定期間の定めのある契約」で、且つ、「更新しない契約」であることを貸主は、あらかじめ契約書とは別の書面を交付して説明しなければならない)(借地借家法38条2項)。 

 ②貸主がこれらの規定による上記①の説明をしなかった場合は、定期借家契約は無効になり、普通借家契約という扱いになる(同38条3項)。

 ③定期借家契約は、必ず公正証書等の書面による契約が必要である(借地借家法38条1項)。

 以上①~③の手続が踏まれていない場合は定期借家契約は成立しない。

 期間満了時に借地借家法38条1~3項の規定による再契約の手続きをしないで、貸主が契約期間満了後も借家人から家賃を受領し続けている場合は、定期借家契約自体は終了し、期間満了後の賃貸借契約は新たに民法619条1項の規定により期間の定めのない「普通借家契約」が成立する。

 そもそも、定期借家契約の成立要件は、①書面による契約で、②特約で契約の更新がなく、③契約期間が確定しており、期間満了により確定的に契約が終了することである。契約満了後も定期借家契約が継続し、家主がいつでも好き勝手な日に終了通知をすれば、6か月後に確定的に契約が終了すると考えることに無理がある。

 尚、契約期間満了後になされた「終了通知」は、解約申入れとみなされる。しかし、期間の定めのない賃貸借契約の場合は解約の申入れに際しては正当事由が必要とされている(借地借家法28条)。貸主が借家契約を解除するには正当事由を立証する必要であり、最終的には裁判所の判断に委ねられる。


) 平成12年2月1日 建設省建設経済局長・建設省住宅局長名で都道府県知事宛てに「定期賃貸住宅標準契約書に関する通達」が出されている。以下が借地借家法第38条2~3項関係の事項。

 「定期賃貸住宅契約を締結しようとするときは、あらかじめ賃貸人は賃借人に対し、契約の更新がなく、期間満了により終了することについて、その旨を記載した書面を契約書とは別に交付して説明しなければならないこととされており、それを怠った場合は、定期賃貸住宅契約とはならず、従来型の正当事由がない限り賃貸人からの更新拒絶ができない賃貸住宅契約となること。このため、書面の雛形である「定期賃貸住宅についての説明」の周知を図ること。」(「定期賃貸住宅標準契約書に関する通達」建設省経動発第10号、建設省住民発第1号)

 <追加>
 定期建物賃貸借(定期借家契約)が成立するには、「借地借家法38条2項において賃貸借契約の締結に先立ち契約書とは別に説明書面が交付」されていなければならないとしている(最高裁平成22年7月16日判決)。

「法38条2項所定の書面は、賃借人が、当該契約に係る賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず、契約書とは別個独立の書面であることを要するというべきである。」(最高裁平成24年9月13日判決

 参考法令
 「借地借家法」第38条
 (定期建物賃貸借)

第38条  期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。

2  前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。

3  建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。

4  第1項の規定による建物の賃貸借において、期間が1年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から6月を経過した後は、この限りでない。


民法
(賃貸借の更新の推定等)
第619条  賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第617条の規定により解約の申入れをすることができる。

(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)
第617条  当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
一  土地の賃貸借 1年
二  建物の賃貸借 3箇月
三  動産及び貸席の賃貸借 1日
2  収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない。 


参考 「Q&A 定期借家契約」」(東京借地借家人組合連合会編)より

Q1 定期借家契約とは
Q2 定期借家契約を結ぶ手続き
Q3 既存の居住用借家契約から定期借家契約への切り替え
Q4 既存の店舗借家契約から定期借家契約への切り替え
Q6 定期借家契約の相続・譲渡・転貸借
Q7 定期借家契約期間途中の解約
Q8 借家人は定期借家契約の途中で家賃の減額を請求できるか
Q9 定期借家契約の期間が満了で必ず建物を明渡さなければならないのか
Q10 同じ建物で定期借家契約が繰り返された場合は
Q11 新しく借家契約をするときの注意点

 

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固定資産税評価証明発行で都主税局が懇談拒否

2008年07月29日 | 借地の諸問題

 東京都主税局は、固定資産税課税台帳の評価証明と閲覧問題で「契約書が存在せず、賃料を供託している場合には、供託書の提示のみでは真に権利を有する賃借人であるかどうか確認できない」との見解を昨年10月に発表した。

 東借連では、昨年11月に主税局と交渉し、評価証明を発行できない法的根拠を求め、総務省及び法務省に照会するよう求め、今年2月に総務省固定資産税課と会談し、都主税局の見解について総務省の意見を聞いた。

 総務省は「借地借家人に対しては原則公開であり、真に賃借人であるかどうかの立証責任は税務当局にある」との説明がされた。

 6月19日に日本共産党曽根肇都議を通じ主税局に要請書を渡し懇談を申し入れたところ、6月24日になって主税局は「東借連への回答について総務省に確認したところ、そういう話はしていないといっている。事実と違う。東借連の要請内容では土台が違うので懇談には応じられない」と拒否してきた。

 6月27日に東借連の役員6名は、曽根都議と面会し、今後の対応について相談した。主税局が東借連との懇談を拒否してきたことは、総務省との協議で主税局の先の見解に矛盾が生まれ、追い詰められた証拠である。

 都主税局の見解は借地借家人に原則公開を認めた平成14年の地方税法改正の趣旨を逸脱するもので、東借連では引続き不当な見解の撤回を求めていく。現在多くの地方自治体では契約書がなくても供託書のみで評価証明を発行している。

 

東京借地借家人新聞より

 

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建物老朽化と耐震性を理由に新家主が明渡し請求 (東京・練馬区)

2008年07月28日 | 建物明渡(借家)・立退料

 練馬区桜台で、長屋形式の借家で、1階で電気店を営み2階で居室を賃借しているAさんは、この地で長年住み営業をしていた。当時の家主は親切で、安心して営業し生活をしていた。

 ところが、今年の2月に新しい家主が現れた。そして5月に「建物の老朽化と耐震性を理由に補修の努力を越える修繕が出来ず、賃貸人としての責任を全うできかねる」とし、来年の更新時に更新拒絶を通知してきた。

 この通知をみて心配で寝ることも出来なくなったAさんは池袋の西武百貨店の相談会にやってきた。正当事由のない明渡し請求には応じる必要のないことを説明され、Aさん「今日から安心して寝ることができる」と語った。

 

東京借地借家人新聞より

 

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賃貸借契約と破産・民事再生・会社更生 (レジメ)

2008年07月25日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

  レジメ


    賃貸借契約と破産・民事再生・会社更生 (2005年9月11日)

                                    弁護士 榎本 武光


一 賃貸借契約と破産

 1 賃借人が破産した場合

  ① 賃貸借契約はどうなるか
   
これまで、民法第621条で賃借人が破産すると、賃借期間があっても、賃貸人は賃貸借契約の解約の申入れができた。

 平成16年の法改正(平成17年3月1日施行)で、民法621条が削除された。

 その結果、賃借人が破産しても、賃貸人は賃貸借契約の解約申入れができなくなり、賃貸借契約は継続できることになった。

  ② 賃料はどうなるか
   賃借人が破産手続開始決定前に延滞していた賃料については、破産債権となる。=そうすると、賃貸人は、延滞賃料を全額回収することが困難となる。

 破産手続決定後の賃料については、財団債権となる。=この場合には、賃貸人は賃料の受領が保障される。


 2 賃貸人が破産した場合

  ① 賃貸借契約はどうなるか
   これまでの賃貸人に代わって、破産管財人が賃貸借契約の当事者になる。

   破産管財人は、賃借人が対抗要件=登記・引渡=を備えている場合には、賃貸借契約を解除できない。

   賃借人が対抗要件を備えていないときは、破産管財人から賃貸借契約を解除されて明渡さざるを得なくなる。

  ② 請求権の性質
   賃借人が破産管財人に対して有する請求権は、賃貸借契約の目的物を使用収益することができる権利であり、これは財団債権となる。(破産法56条2項)=このことは、賃借人が破産管財人から賃貸借契約が保護されることを意味する。

  ③ 賃料について
   賃借人は、破産管財人に対して、賃貸人に対して賃料を前払いしていたことを主張できる。=二重払いをする必要がない。

   賃貸人が破産手続開始決定前に賃料債権を他に譲渡していたときは、破産管財人はその賃料債権を取り立てることができない。=賃貸人は賃料債権の譲渡を破産管財人に対して対抗できる。

   したがって、賃借人は、賃貸人から第三者に対し賃料債権が譲渡された場合は、賃料債権の譲受人(第三者)に対して賃料を支払うことになる。

  ④ 賃借人の有する債権と賃料の相殺の可否について
    
賃借人が賃貸人に対して有する債権で、未払賃料債務あるいは将来の賃料債務を受働債権として相殺できる。=賃借人が賃貸人に対して債権を有する場合は、賃料債務と相殺することによって回収できる。

   * 但し、民事再生、会社更生の場合には、手続開始後に弁済期が到来すべき賃料債務のうち6か月分相当額についてのみ相殺できる。(民事再生法第92条2項、会社更生法第48条2項)=民事再生・会社更生のためには、賃借人の賃貸人に対して有する債権の回収が制限される。

  ⑤ 保証金・敷金について
    
賃借人から賃貸人に対する敷金返還請求権は、建物明渡を停止条件とする債権である。=賃借人は、建物を明渡さない限り敷金返還請求ができない。

    賃借人は、破産管財人に対して、賃料を支払う際に、敷金返還請求権の債権額の限度で、支払額の寄託を請求することができる。(破産法第70条)=そうしないと、建物明渡後、敷金請求をしても返還すべき敷金が不足している場合が起こりうる。

  ◎ 必ず、賃借人は破産管財人に対して、支払額の寄託を請求する必要がある。

  * 民事再生、会社更生の場合には、手続開始後に賃料債務を支払ったときは敷金の返還請求権は、賃料のの6か月分の範囲内における支払額を限度として共益債権とする。(民事再生法第92条3項、会社更生法48条3項)=民事再生、会社更生のためには、賃借人の賃貸人に対して有する敷金返還請求権が制限される。

  保証金について
   今後、保証金については、敷金として扱うよりも、貸金債権として扱った方が、ただちに賃料債務と相殺できるので有利となった。=◎ これまでは敷金として扱う方が保護されていたが、今後は保証金は貸金と主張する必要がある。


二 競売と賃貸借契約

 1 抵当権設定前の賃貸借契約について

   抵当権設定前の賃貸借契約については、対抗要件(登記・引渡)を有していれば、買受人に対して賃貸借契約を主張できる。


 
2 抵当権設定後の賃貸借契約について
 
   
① 民法395条の改正(平成16年4月1日施行)により、短期賃貸借の保護はなくなった。=従前は、短期賃貸借(建物賃貸借契約3年)は抵当権の登記後に引渡しを受けてたものであっても抵当権者に対抗することができた。

   ② 平成16年4月1日以降の賃貸借契約の場合は、買受人の買受の時から6か月を経過するまでは買受人に引渡すことを要しない。(改正民法395条1項)但し、競売手続の開始前から使用収益をなすものに限る。

   ③ また、買受人が、相当期間を定めて、使用の対価につき1か月分以上の支払いを催告したにもかかわらず、相当期間内に支払わなかった時は買受人に引渡すことになる。(改正民法395条2項)

   ④ 改正法施行前の短期賃貸借(建物賃貸借契約3年)については、なお従前の例による。(附則第5条=短期賃貸借契約に関する経過措置)=◎ 平成16年4月1日前の短期賃貸借契約については、短期賃貸借契約の保護がある。

   東借連夏季研修会「賃貸借契約と破産・民事再生・会社更生」要旨はこちら

 

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礼金ゼロ・敷金ゼロ物件要注意

2008年07月24日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

        実は鍵利用の一時使用契約

 敷金礼金ゼロいわゆる「ゼロゼロ物件」を扱う(株)スマイルサービスは、「施設付鍵の一時使用契約」として賃貸借契約を認めず、契約書には「本契約は賃貸借ではありませんので居住権、営業権は認められない」と明記し、会員制の「鍵利用権」としている。また、「一日でも利用料を遅延した場合は、違約金として利用料の10%を支払う」という内容を承諾書に記入している。

 これの違法性を問いただした利用者は、(株)スマイルサービスから違約金を取り戻した。遵法意識に欠けた企業から「取り戻せるお金は確実に回収しよう!」「一人の泣き寝入りも許さず最後まで徹底的に弾劾しよう!」と6月1日都内で「スマイルサービス相談会」が開かれた。

 相談会には反貧困ネットの湯浅誠氏をはじめ弁護士、マスメディア数社、青年達が始めた借家人組合準備会が参加し、今後の運動についても論議が交わされた。

 6月10日には(株)スマイルサービス本社近くの新宿大ガード下で宣伝行動を行なった。ビラを受け取った人は「スマイルとは違うゼロゼロ物件に住んでいるけど、注意しないとね」など声をかけてきた。

 弁護士は「裁判では原告を救うことしかできません。もっと被害に遭われている多くの方を救う為には皆さんのご協力がぜひ必要です」と拡声器で訴え、通行人の共感を呼んだ。青年達の連帯の力が、借地借家法逃れの「貧困ビジネス」に断罪を下すことは間違いない。

        (参考 HP悪徳不動産会社スマイルサービスとの闘い)

 

東京借地借家人新聞より

 

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3年半に亘る借家の明渡交渉が解決した (東京・江戸川区)

2008年07月23日 | 建物明渡(借家)・立退料

 江戸川区東小岩の平屋建て借家に住むMさん達3軒は3年前の05年3月5日に不動産屋から「戦後直ぐに建てた建物なので老朽が激しいため今回の契約期間満了で契約を解除するので更新しない」との文書が送りつけられ、5月11日に組合に入会した。

 当初1軒15万円の引越料が、10月には30万円になり、不動産屋は「そちらの要求額を提示してほしい」と言ってきたので、組合は金額を提示した。05年12月に不動産屋より1軒100万円の提示があり、その後も数回文書の交換と話し合いを重ねたが進展がないまま、業者がユアーズホームにかわった。

 2年後の07年8月、ユアーズホームは組合員宅に挨拶に来て「引越料の金額が決まった」と連絡。Mさんたちは「この件は全て組合に一任してある」と動じないため、同会社は組合に「話し合ってほしい」と電話を寄こした。何度か話し合いが行なわれ、2008年の4月22日組合事務所で「200万円でまとめてほしい」との条件をMさん達も了承し、今年の10月末迄に明渡すことで合意。3年半近くかかったが、組合員の粘りが実る結果で終わった。

 

東京借地借家人新聞より

 

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レオパレス21が強引な明渡請求裁判 (東京・府中市)

2008年07月22日 | 建物明渡(借家)・立退料

 レオパレス21は、全国各地で老朽借家の明渡しで家主の依頼を受け、明渡しを請求する事件を起こしている。ワンルームマンションを建設し、一括借上げで家賃等の管理を行なうというやり方で急成長しているが、明渡し請求でも強引なやり方で、組合にも相談がいくつか寄せられている。

 府中市*町に住むYさんとUさんは、40年以上今の借家に住んでいるが、2007年9月に家主とレオパレス21の社員が来て、ワンルームマンションを建てるので12月一杯で退去するよう求めてきた。Yさんたちにとって、あまりにも急な話で返答に困っていたところ、2008年5月に入り家主はレオパレスの専属弁護士を代理人に立て明渡しの裁判を東京地裁八王子支部に起こしてきた。

 裁判の日も迫り、途方にくれていた時、子どもさんがインターネットで組合を発見、5月に早速相談に来て組合に入会した。直ちに、組合の顧問弁護士と打合せを行い、2人で結束して裁判を闘うことになった。

 

東京借地借家人新聞より

 

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「敷金・礼金・仲介手数料ゼロ」 その裏に潜むとんでもない事態 (J-CASTニュース)

2008年07月19日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

 「敷金・礼金・仲介手数料・リフォーム費用0円」をうたう不動産会社・スマイルサービスに、家賃を滞納すると無断で鍵を交換され、違約金を支払わされたとして、同社の物件に入居する男性らが同社を提訴する。同社は「係争中」を理由に取材に応じていないが、提訴する弁護士からは「貧困層の若者らを狙った悪質な貧困ビジネス」という指摘まで出ている。

 「貧困層の若者等をターゲットにした悪質なビジネス」

 東京・西新宿にある不動産会社スマイルサービスは「敷金・礼金・仲介手数料・リフォーム費用0円」をうたっているが、同社が家賃を滞納した際に無断で鍵を交換し、「生存確認出張料」などと称した違約金を支払わされたとして、同社の物件に入居する男性らから提訴されることが2008年7月16日に明らかになった。

 「貧困層の若者等をターゲットにして、そういう人たちの困窮や無知につけ込んだ悪質な『貧困ビジネス』と思われる」

 この日会見した被害者弁護団の宇都宮健児弁護士はスマイルサービスの契約行為についてこのように述べた。弁護団によれば、家賃を1日滞納しただけで無断で鍵を交換され、違約金を支払わなければ部屋に入れなくなるケースが相次いでいるという。同社の物件に入居する男性ら4~5人が原告となり、住居侵入・消費者契約法違反・器物損壊などを理由に、同社を相手取って訴訟を起こす準備を進めている。

 弁護団などによれば、本来ならば借地借家法によって借主の保護が重視されている。同社は書面上で「施設付鍵利用契約」を借主と結び、それを理由に無断で鍵を交換するなどしているようだ。実際に、自分の家に帰って来たらいつの間にか鍵が交換され、荷物が部屋にあるのにネットカフェで過ごすことを余儀なくされたり、就寝中に突然部屋に侵入してきて違約金を請求されるなどのケースがあった。一日でも滞納すると「生存確認出張料」と称した1万500円に加え、違約金として家賃の10%を請求されるという。


 違法であることは会社も知っている?

 「契約を結んでいる人の多くは、把握している限りでは、若い人で収入が安定していない人、非正規雇用の人だ」とJ-CASTニュースに話すのは被害者弁護団の戸舘圭之弁護士。戸舘弁護士によれば、スマイルサービスが家賃の支払いが数日遅れただけで、家賃の30%以上もの違約金を請求するのは消費者契約法違反にあたるという。

 「こうした違約金が違法であることはむこう(スマイルサービス)も知っているので、違約金は請求すれば返還している。しかし、その違法性を認めておきながら、こうした契約を続けているのは悪質。実態は賃貸借なのだからこうした契約は脱法行為で、(住居侵入などは)犯罪行為に当たる」

 J-CASTニュースではスマイルサービスに取材を申し込んだが、「係争中なのでコメントを差し控える」としている。また、どういう契約を結んでいるのか聞いてみても「係争中」を理由に説明を拒んでいる。戸舘弁護士は「本来なら行政が住宅サービスなどセーフティネットを整えるべきだが、それが整っていないために、こうした貧困層を狙うかたちのビジネスが今後増える可能性がある」と指摘している。

 

J-CASTニュース 2008/7/17

 

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アパートの同居の契約者が退去し、75歳の高齢者が立退きを迫られる (東京・葛飾区)

2008年07月18日 | 建物明渡(借家)・立退料

 葛飾区に住む借家人のAさんは、アパートの明渡しを請求され、どのように対処したらよいか悩んで組合に相談に来た。

 事情を聴くと、契約者であった方と同居していたが契約者が1年前に退去し、その後はAさんが家賃を支払い続けている。

 弁護士に相談したところ、損害賠償を請求されるので明渡しに応じた方がよいと言われた。

 Aさんは、75歳と高齢で新たな契約をするための連帯保証人を頼める人もなく、アパートに居住し続けたいとの希望である。家賃はAさん名義で提供し、家主はこれを受領している。従って、賃貸借契約は成立していると解される。

 組合では頑張るようアドバイスしている。今後は、居住の権利を守って頑張っていくことになるのだが、Aさんと組合の意思の疎通が大事になっている。

 

東京借地借家人新聞より

 

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地上げ業者提示額の1/3で底地を買取る (東京・豊島区)

2008年07月17日 | 地上げ・借地権(底地)売買

 Bさんは、豊島区雑司ヶ谷で借地上の建物を数年前に購入し住むようになった。昨年、地主から底地を大阪の業者に売買したので今後はそちらに地代を支払うように通知された。

 その業者は、底地を買取るか、借地権を売却するか2つに1つと言ってきた。数年前に借地権付の建物を買取ったために買取る資金もなく、かといって売却して他に住むところも難しいと考えていたBさんにとって、相手の対応が怖く感じてきた。知人の紹介で組合に相談に来た。

 組合では、業者のいう2つに1つではなく、今までどおり借地として住み続けることができることを説明した。同時に相手の対応に恐怖を感じていたので、業者に組合事務所に来てもらうことにした。業者は、Bさんには直接面会しないこと、地代も組合事務所を通して集金に来ることを約束した。

 同時に、この同じ地域には弁護士も含め数人がいた。他の借地人はこの弁護士を通じて、数ヶ月で話合いをまとめ、底地を買取ったり、借地権を売却してしまった。

 Bさんは、組合と相談して、業者が提示した3分の1ならば買取れることを通告した。業者は、この価格では他の借地人との整合性が保てない、何とかしてくれないかと泣きついてきたが、この価格以上ならば、借地のままでいく事を繰り返し通告した。

 最後は、こちらの提示した価格で売買が成立した。Bさんは「こんなに安く買取ることができたのも組合のおかげです。」と語った。

 

東京借地借家人新聞より

 

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東京地裁は地主の更新料支払請求を否認 (東京・大田区)

2008年07月16日 | 更新料(借地)

 2008年4月25日、東京地裁は地主の土地の有効利用を理由にした土地明渡請求訴訟で借地人勝訴の判決を下した。また、地主の予備的請求である更新料支払い請求に対しても否認の判断を下し、請求を棄却した。

 大田区北糀谷*丁目に土地約64・4坪を賃借するKさんは、650万円の更新料を請求されて過去にない深刻な不況で支払いは困難と、知人の紹介で組合長に相談して入会した。借地法上建物が現存しており、法定更新もやむを得ないと更新料の支払いを拒否する旨をKさんは組合を介して地主に通告。

 地主はこれまで更新料を支払うか、土地を明渡すかと借地人らに求め、明渡しさせた土地は賃貸住宅建築する等の活用して来た。Kさんより通告を受けた地主は、待っていたとばかりに自ら土地の使用と有効利用を理由に更新拒絶明渡し、予備的請求として更新料を求めて東京地裁に提訴してきた。2年余に及ぶKさんの奮闘内容は、組合の集まりや定期総会で報告されて組合員の注目だった。

 地主の提示額か、裁判所提示の相当額と引き換えに土地明渡せとの求めに応じ、和解へと進み更新料での協議となる。当初の請求の半額以下の提示にも拒否するとさらに金額を下げて、過去の支払い事例を示されて苦悩する。Kさんは、組合長ら多くの組合員に激励されて、更新料不払いを主張して、弁護士の奮闘による判決を求めた。

 判決は、地主の土地使用の必要性は乏しく、借地人の土地を使用する必要性は相当に高く、地主には人を押し退けてまで使用する必要性はないことは明らかであると有効利用を否定した。

 また、東京都内においては更新料の支払いが一般的な慣習となっており、過去に2度の更新の際にも更新料を支払っており、当事者間の慣習に従うのが当然との地主の主張に対し、借地契約が法定更新される場合にも更新料の支払いがなされるという事実たる慣習があるとまでは、本件全証拠によっても未だに認めるに足りないというべきである。地主の請求をいずれも棄却する。

 以上のように東京地裁は見事な借地人勝利の判決を下した。

 

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 契約書の字句、内容のみでなく諸事情を考慮して一時使用と認めなかった事例

2008年07月15日 | 契約・更新・特約

 判例紹介


 契約書の字句、内容のみでなく、契約締結に至る経緯、地上建物の使用目的、その規模構造等の諸事情を考慮して、一時使用のための土地賃貸借であるとは認めることができないとした事例 東京高裁昭和61年10月30日判決、判例時報1214号)

 (事実)
 賃借人は昭和56年6月1日以降、軽量鉄骨造2階建を建築して家族と従業員10数名が居住して180坪の土地を使用していたところ、地主は、賃貸借は仮設作業所を建てることを目的とした一時使用の賃貸借であり、期間は1年の約束でその後契約をしたので、昭和60年5月31日に期間満了で終了した。よって、明渡せと要求した。

 一審の東京地裁では、判決文から理由はわからないが、借地人の敗訴であったが、高裁で逆転勝訴となった。

 (判決要旨)
 本件土地賃借権が建物所有を目的とすることは、弁論の全趣旨から明らかであるが、本件契約書には「土地一時使用契約書」なる表題が付せられている他、本件契約は借地法9条による一時使用のものであることを認めるなどの条項がある。しかしながら、賃貸借契約が一時使用を目的としたものであるかどうかは、契約書の字句、内容だけで決められるものではなく、契約書の作成を含めての契約締結に至る経緯、地上建物使用目的、その規模構造、契約内容の変更の有無等の諸事情を考慮して判断すべきものである。

 借地人は鉄筋工事の請負業者であるが、かねて近くの土地95坪を借地し、家族と従業員の宿舎を建てて居住していたが、そこの明渡を求められて、本件土地を賃借するようになった。契約書では、期間は昭和56年6月1日から1年間、賃料は月4万5000円とされ、その1年後には、賃料を月6万円、期間1年の再契約をし、その1年後には7万5000円、期間は2年間という再契約をし、それらの再契約のときには、特に本件土地の返還を要求することもなかった。

 以上の事実よりすれば、借地人は、契約の当初から短期間に限って土地を借りる意思ではなかったし、地主の方も、早期に本件土地の返還を受けるべき予定もなかったもので、その後の本件建物の建築及び土地の使用状況、借地人、地主の態度を考え合せれば、双方とも短期で契約を終了させる意思のもとに、一時使用の目的で本件契約の締結をしたことが明らかであるとは認められない。

 (解説)
 小さな工場や作業場などの土地賃貸借で期間5年、10年とかの法律に反するこういうケ-スを見かける。借地人は借りたい一心で不当な契約を受入れてしまう。一時使用の賃貸借を拡大しようとする借地借家法の改正は、このようなケースを助長することになろう。

(1987.05.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 土地の賃貸借契約が建物所有を目的であるとは認められなかった事例

2008年07月14日 | 契約・更新・特約

 判例紹介


 土地の賃貸借契約が、建物所有の目的でないとされた事例 (東京地裁平成6年3月9日判決、判例時報1516号101頁)

 (事実)
 貸主の先代は、昭和49年に、自己所有土地を賃貸した。

 借主はは、右賃借土地の隣接地を所有し、そこでフォークリフト等の販売・修理等営業を行い、本件賃貸土地を洗車場、更衣室、部品倉庫として使用してきた。

 その後、貸主・借主双方は、平成2年2月1日付賃貸借契約書を作製した。

 その内容は、賃貸借期間1年、自動車駐車場一時使用目的、付帯設備として24坪以内の既製品プレハブ建物を設置することができるというものであった。

 そして、平成3年11月に至り、貸主は、借主に対し、本件土地賃貸借契約の解約を申し入れて、本件土地の明渡を求めた。


 (争点)
 本件土地賃貸借契約が建物所有を目的とするものであるか否かである。


 (判決要旨)
 裁判所は、「本件賃貸借契約に当たっては権利金の授受がなく、賃貸借契約書において自動車駐車場の一時使用目的として、設置可能な建物を種類規模を限定していること他方、借主としても、本件土地を洗車場、更衣室兼部品倉庫として利用してきているもので、平成2年の契約の際も、もし短期間で明渡しを求めるものとすれば多大な経費をかけてプレハブ建物を設置し、賃料の増額に応じることもなかったであろうと考えられ、当然に契約のとおり契約を終了させる意思でなかったと推測されるが、その反面、本件土地を建物所有の目的出賃借する旨の合意があった事実が認められず、むしろ本件経緯に照らせば建物所有の目的では賃貸しないとの貸主の意図をある程度借主が了解していたものと考えられる。したがって、一時使用の目的とは言いえないものの建物所有の目的とするものであるとまでは認めることができない。」と判示した。


 (短評)
 借地上に建物が建築されたとしても、建物所有でないときは、旧借地法あるいは借地借家法の適用がなく、民法の賃貸借の規定が適用される。

 建物所有の目的と言い得るためには、借地上に建物を所有することが主たる目的になっていることを要し借地を使用する目的が別にあり、これに付随して建物を所有することが予定されている場合であっても、建物所有の目的と言えないとされる。

 本判決は、従前の借地の利用経過および契約書の文言を詳細に検討した上建物所有の目的でないと判断したもので参考となる。

(1995.05.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 借地の期間満了が近い時における借地条件変更許可の申立が棄却された事例 (3)

2008年07月10日 | 増改築・改修・修繕(借地)

 判例紹介

 借地非訟事件において、借地権の期間満了が近いときにおける借地条件変更許可の申立が、契約が更新される見込みが確実とは言えず、また緊急の必要性があるとも認められないとして棄却された事例 東京高裁平成5年5月14日決定、判例時報1520号94頁)

 (事案)
 (1)地主Xと借地人Yとの借地契約は非堅固建物(木造建物の類)所有の目的で平成7年3月31日に期間が満了する。

 (2)借地上には、A棟(昭和30年代の建築)、B棟(昭和34年頃の建築)、C棟(昭和39年頃の建築)があった。

 (3)借地はJR池袋駅近くにあり、商業地域、防火地域に指定され、高層ビルが建ち並んでいる。

 (4)借地人Yは、本件借地に近いところに宅地42坪及び同地上に5階建てのビルのうち4階部分を所有し、平成2年6月右C棟からここに転居した。

 (5)Yは、各建物が老朽化したので土地の有効利用を図り、建物の賃貸による収入を得るため、本件借地上に7階建の事務所兼居宅のビルを建築することを計画した。しかし地主Xの承諾が得られなかったため、借地条件変更(非堅固建物所有から堅固建物所有への変更)の許可の申立をした。

 (6)他方地主Xは自己居住地や本件土地等を所有しているが、平成7年3月31日に迫った本件借地の期間満了の際には、更新を拒絶し、土地の有効利用を図るため、ここに賃貸ビルを建築する予定でいる。

 (7)平成4年4月12日、C棟が突然焼失、A棟の1部にも類焼し建物としての効用を失った。A、C棟が借地の大半を占めている。またB棟は外壁などにかなりの老朽化が見られる。

 (決定要旨)
 (1)本件借地契約は、平成7年3月31日には期間が満了し、Xが更新を拒絶することは明らかである。このように期間満了が近い場合に本件申立を容認するためには、条件変更の要件を備えるほか、契約更新の見込みが確実であること及び現時点において申立を容認するための緊急の必要性があることを要するものと解される。

 (2)本件においては、XYとも居住の必要性からではなく、土地を有効利用し賃料収入を得るためビルを建築しようとしていることなど前記(1)から(7)までの事実を総合すると、平成7年の期間満了時において借地契約が更新される見込みが確実とはいえず、これを訴訟で解決することを待てないような緊急の必要性があるとも認められない。よってYの申し立ては理由がない。

 (若干のコメント)
 Yの申し立ては平成3年にされ、東京地裁は平成4年7月30日にこれを容認した。その後高裁に控訴中に前記(7)の火災が発生した。これがYの逆転敗訴に微妙に影響したものと思われる。この高裁の決定要旨(1)は、契約更新見込みの確実性と建築の緊急性の2つを要件とした点に特徴がある。

 これに対し増改築許可の申立の場合には、認容されても期間の延長はないので少し事情を異にするが、期間満了間際の申立には右2点は一応念頭に置いた方がよい。

(1995.06.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 


 

   参考法令 「借地借家法」第17条

 

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【判例紹介】 近い将来契約が満了する場合に借地条件変更の申立が棄却されて事例 (2)

2008年07月09日 | 増改築・改修・修繕(借地)

 判例紹介


 借地契約の存続期間が近い将来に満了する事案において、堅固な建物所有を目的とする賃貸借への借地条件変更の申立が棄却されて事例 東京高裁平成元年11月10日判決、判例タイムズ752号231頁)

 (事案)
 抗告人(地主)の先代は昭和25年7月1日に借地人の先代に、非堅固建物所有の目的で、期間20年の約定で土地を賃借していた。

 借地人先代は昭和25年9月頃建物を建築し、昭和35年にはこれを増築していた。

 本件賃貸借は昭和45年7月に更新され、平成2年6月30日に期間が満了する。

 昭和62年に借地人は既に相当程度老朽している建物を取壊して、鉄筋コンクリート造5階建の居宅兼共同住宅の建築を計画して、条件変更の申立をしていた。

 抗告人(地主)は更新を拒絶する正当事由があるとして争ったが、原審は借地人の請求を認めた。これに対して、抗告審は、原審決定を取消した事案である。

 (判旨)
 「借地契約の存続期間が近い将来に満了する借地契約につき、借地権者(借地人)から堅固な建物所有を目的とするものへの借地条件変更の申立が成された場合において、土地所有者が右存続期間満了の際には契約の更新を拒絶する意向を予め明らかにしているときに、その借地非訟手続において、更新拒絶に正当事由が認められないと判断した上、右借地条件変更の申立を容認しこれに伴って借地権の存続期間を変更の効力発生時から30年の延長するとの形成的処分を行うときは、土地所有者は、対審公開の民事訴訟手続において借地権の存否(更新の成否)の確定を求める途を与えられないまま、実際上極めて長期間にわたり借地を回復し得ない結果となるから、現時点において、将来の更新の見込みが確実であるといえる場合であるか、更新の成否について本案訴訟による確定を待つことなく、借地条件を堅固な建物所有を目的に変更しなければならない特段の事情の存する場合でない限り、右借地条件変更の申立を容認するのは相当でない、と解される。」

 (寸評)
 判旨は、従来からの実務の実勢に添ったものであり異論はないと思われる。但し、更新拒絶の正当事由の存否の判断が、微妙な事案についてすべて本案の判決を待たなければならないというべきか、検討を要するところである。

 非訟手続の申立によって、更新をくぐり抜けるという方法に問題があることを指摘するために本判例を紹介した。

(1992.02.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 


 

   参考法令 「借地借家法」第17条

 

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