東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

保証金/敷金トラブル/原状回復/法定更新/立退料/修繕費/適正地代/借地権/譲渡承諾料/建替承諾料/更新料/保証人

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を自ら守るために、
自主的に組織された借地借家人のための組合です。

東京・台東借地借家人組合

借地借家人組合に加入して、
居住と営業する権利を守ろう。

無料電話相談は050-3656-8224(IP電話)
受付は月曜日~金曜日(午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝日は休止 )

 尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
 

【判例】*家屋の譲渡に伴う賃貸人の地位承継があった後は旧賃貸人は賃貸借を解除することができないとされた事例

2017年06月06日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

家屋の譲渡に伴う賃貸人の地位承継があった後は旧賃貸人は賃貸借を解除することができないとされた事例
(最高裁昭和39年8月28日判決 民集18巻7号1354頁)


       主   文
 原判決を破棄する。
 本件を福岡高等裁判所に差し戻す。


       理   由
 上告代理人香田広一の上告理由第5点について。

  所論は、被土告人はすでに昭和34年9月28日本件建物を訴外甲に売り渡してその所有権を失っているのであるから、右売渡後の同年10月5日に同年9月末日までの延滞賃料の催告をなし、右賃料不払に基づいて被上告人のなした本件賃貸借契約解除はその効力を有しない筈であるのに、原審が右解除を有効と判断して被上告人の請求を認容したのは、借家法の解釈を誤まったものであるという。

 記録によれば、上告人が昭和35年2月16月午前10時の原審最終口頭弁論期日において、被上告人は昭和34年9月28日本件家屋を訴外甲に売り渡したからその実体的権利はすでに右訴外人に移転し被上告人はこれを失っている旨主張したのに対して、原審は右売却及びこれによる所有権喪失の有無につき被上告人に対して認否を求めないまま弁論を終結したことが明らかであり、原判決が、被上告人の本訴請求は賃貸借の消滅による賃貸物返還請求権に基づくものであるから仮に上告人主張のように被上告人が本件建物の所有権を他に譲渡してもこの事実は右請求権の行使を妨げる理由とはならないとして、被上告人の右請求を認容していることは、論旨のとおりである。

 しかし、自己の所有建物を他に賃貸している者が賃貸借継続中に右建物を第三者に譲渡してその所有権を移転した場合には、特段の事情のないかぎり、借家法一条の規定により、賃貸人の地位もこれに伴って右第三者に移転するものと解すべきところ、本件においては、被上告人が上告人に対して自己所有の本件建物を賃貸したものであることが当事者間に争が由ないのであるから、本件賃貸借契約解除権行使の当時被上告人が本件建物を他に売り渡してその所有権を失っていた旨の所論主張につき、もし被上告人がこれを争わないのであれば、被上告人は上告人に対する関係において、右解除権行使当時すでに賃貸人たるの地位を失っていたことになるのであり、右契約解除はその効力を有しなかったものといわざるを得ない。然るに、原審が、叙上の点を顧慮することなく、上告人の所論主張につき、本件建物の所有権移転が本訴請求を妨げる理由にはならないとしてこれを排斥したのは、借家法1条の解釈を誤まったか、もしくは審理不尽の違法があるものというべく、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由がある。

 従って、上告代理人香田広一のその余の論旨及び上告代理人清水正雄の論旨について判断するまでもなく、原判決は破棄を免れず、なお右の点について審理の必要があるものと認められるから、民訴407条1項に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。


    最高裁裁判長裁判官奥野健一、裁判官山田作之助、同城戸芳彦、同石田和外

 

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


【判例】*賃貸建物の新旧所有者が賃貸人の地位を旧所有者に留保する旨を合意した場合は

2017年06月01日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

賃貸建物の新旧所有者が賃貸人の地位を旧所有者に留保する旨の合意をしても、賃貸人の地位が新所有者に移転しない特段の事情があるとはいえないとされた事例 
(最高裁平成11年3月25日判決 裁判集民事192号607頁、判例時報1674号61頁)

      主   文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人の負担とする。


       理   由
 上告代理人工藤舜達、同林太郎の上告理由第2点、同坂井芳雄の上告理由第1点、及び同原秋彦、同洞雉敏夫、同牧山嘉道、同若林昌博の上告理由第2点について


一 本件は、建物所有者から建物を賃借していた被上告人が、賃貸借契約を解除し右建物から退去したとして、右建物の信託による譲渡を受けた上告人に対し、保証金の名称で右建物所有者に交付していた敷金の返還を求めるものである。

二  自己の所有建物を他に賃貸して引き渡した者が右建物を第三者に譲渡して所有権を移転した場合には、特段の事情のない限り、賃貸人の地位もこれに伴って当然に右第三者に移転し、賃借人から交付されていた敷金に関する権利義務関係も右第三者に承継されると解すべきであり(最高裁昭和35年(オ)第596号同39年8月28日判決・民集18巻7号1354頁、最高裁昭和43年(オ)第483号同44年7月17日判決・民集13巻8号1610頁参照)、右の場合に、新旧所有者間において、従前からの賃貸借契約における賃貸人の地位を旧所有者に留保す旨を合意したとしても、これをもって直ちに前記特段の事情があるものということはできない。何故なら、右の新旧所有者間の合意に従った法律関係が生ずることを認めると、賃借人は、建物所有者との間で賃貸借契約を締結 したにもかかわらず、新旧所有者間の合意のみによって、建物所有権を有しない転貸人との間の転貸借契約における転借人と同様の地位に立たされることとな り、旧所有者がその責めに帰すべき事由によって右建物を使用管理する等の権原を失い、右建物を賃借人に賃貸することができなくなった場合には、その地位を 失うに至ることもあり得るなど、不測の損害を被るおそれがあるからである。もっとも、新所有者のみが敷金返還債務を履行すべきものとすると、新所有者が無 資力となった場合などには、賃借人が不利益を被ることになりかねないが、右のような場合に旧所有者に対して敷金返還債務の履行を請求することができるかどうかは、右の賃貸人の地位の移転とは別に検討されるべき問題である。

三 これを本件についてみるに、原審が適法に確定したところによれば、
(一)被上告人は、本件ビル(鉄骨・鉄骨鉄筋コンクリート造陸屋根地下2階付10階建事務所店舗) を所有していたアーバネット株式会社(以下「アーバネット」という。)から、本件ビルのうちの6階から8階部分(以下「本件建物部分」という。)を賃借し (以下、本件建物部分の賃貸借契約を「本件賃貸借契約」という。)、アーバネットに対して敷金の性質を有する本件保証金を交付した、

(二)本件ビルにつき、平成2年3月27日、(1)売主をアーバネット、買主を中里三男外38名(以下「持分権者ら」という。)とする売買契約、
(2)譲渡人を持分権者ら、 譲受人を上告人とする信託譲渡契約、
(3)賃貸人を上告人、賃借人を芙蓉総合リース株式会社(以下「芙蓉総合」という。)とする賃貸借契約、
(4)賃貸人 を芙蓉総合、賃借人をアーバネットとする賃貸借契約、がそれぞれ締結されたが、右の売買契約及び信託譲渡契約の締結に際し、本件賃貸借契約における賃貸人の地位をアーバネットに留保する旨合意された、

(三)被上告人は、平成3年9月12日にアーバネットが破産宣告を受けるまで、右(二)の売買契約等が締結 されたことを知らず、アーバネットに対して賃料を支払い、この間、アーバネット以外の者が被上告人に対して本件賃貸借契約における賃貸人としての権利を主 張したことはなかった、

(四)被上告人は、右(二)の売買契約等が締結されたことを知った後、本件賃貸借契約における賃貸人の地位が上告人に移転したと主張したが、上告人がこれを認めなかったことから、平成4年9月16日、上告人に対し、上告人が本件賃貸借契約における賃貸人の地位を否定するので信頼関係が破壊されたとして、本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をし、その後、本件建物部分から退去した、というのであるが、前記説示のとおり、右(二)の合 意をもって直ちに前記特段の事情があるものと解することはできない。そして、他に前記特段の事情のあることがうかがわれない本件においては、本件賃貸借契 約における賃貸人の地位は、本件ビルの所有権の移転に伴ってアーバネットから持分権者らを経て上告人に移転したものと解すべきである。以上によれば、被上 告人の上告人に対する本件保証金返還請求を認容すべきものとした原審の判断は、正当として是認できる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用できない。

 その余の上告理由について
  所論の点に関する原審の認定判断は,原判決挙示の証拠関係に照らして是認することができ、その過程に所論の違法はない。所論引用の各判例は、案を異にし本件に適切でない。論旨は、違憲をいう点を含め、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に基づいて原判決の法令違背をいうものにすぎず、採用できない。

 よって、裁判官藤井正雄の反対意見(略)があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。


   最高裁裁判長裁判官大出峻郎、裁判官小野幹雄、同遠藤光男、同井嶋一友、同藤井正雄

 

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。