東京・台東借地借家人組合1

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【Q&A】 借地内の空き地を利用して車庫を作ろうと思いますが

2012年11月28日 | 借地の諸問題

【問】 最近自動車を購入したので、自宅の空き地を車庫にしようと思うのですが、地主が車庫利用の承諾書を出してくれないので困っています。どうしたらよいでしょうか。


【答】 借地人は、借地内に自己の自動車を駐車する権利があるかどうかについてです。

 地主によっては、駐車場としては貸していないので、使わせないという人もいます。 しかし、借地人は、土地を建物所有の目的で借りており、建物は、住居や、事務所、店舗など人の生活の場となるわけですから、建物利用のために当然付随する土地利用については、借地契約の目的の範囲内ということになります。

 自動車を所有することは、現在ではごく当たり前のことですし、借地内に自動車を駐車したからといって、地主に損害を与えるものではありません。ですから、借地内に自分の自動車を駐車させることは、借地人の権利とした認められています。

 次に、地主が車庫利用の承諾書を出してくれないという点についてです。

 自動車の保管場所の確保等に関する法律3条は、自動車の保有者は、道路上の場所以外の場所において、自動車の保管場所を確保しなければならないと定めています。また、自動車を購入した時、陸運局に自動車の登録をしないと、自動車の運行ができません。

 ところが、その登録を申請するときに、申請する人が自動車の保管場所を確保していることの証明書(車庫証明)を警察からもらわないと、登録ができないことになっています(自動車の保管場所の確保等に関する法律4条)。

 そして、自動車の保管場所としては、
 ①当該自動車の使用の本拠の位置との間の距離が2キロメートルを超えないこと、

 ②道路から自動車を支障なく出入りさせ、かつ、自動車の全体を収容することができること、

 ③当該自動車の保有者が当該自動車の保管場所として使用する権原を有するものであること、

の3つの条件が必要とされています(自動車の保管場所の確保等に関する法律施行令1条)。

 地主が、車庫利用の承諾書を出さないという点は、上記の③の条件にかかわることです。

 車庫証明の申請を受けた警察は、当該自動車の保有者が申請した保管場所について、使用権原の有無をチェックをすることになります。

 借地人は、借地に自動車を駐車させる権利がありますから、自動車の保管場所として使用する権原があります。ですから、地主が、車庫利用の承諾書を出さなくても、借地契約書など借地権があることを証明する書類があれば、警察から車庫証明を発行してもらうことができます。

 この取扱については、警察庁の交通規制課が全国の警察署へ内部指示をして、指導しています。

 

東借連常任弁護団解説

Q&A あなたの借地借家法

(東京借地借家人組合連合会編)より


ここから先は東京・台東借地借家人組合が追加したものです。


自動車の保管場所の確保等に関する法律施行令

(保管場所の要件)
第1条  自動車の保管場所の確保等に関する法律 (以下「法」という。)第3条 の政令で定める要件は、次の各号のすべてに該当することとする。

1  当該自動車の使用の本拠の位置との間の距離が、2キロメートル(法第13条第2項 の運送事業用自動車である自動車にあつては、国土交通大臣が運送事業(同条第1項 の自動車運送事業又は第2種貨物利用運送事業をいう。)に関し土地の利用状況等を勘案して定める地域に当該自動車の使用の本拠の位置が在るときは、当該地域につき国土交通大臣が定める距離)を超えないものであること。

2  当該自動車が法令の規定により通行することができないこととされる道路以外の道路から当該自動車を支障なく出入させ、かつ、その全体を収容することができるものであること。

3  当該自動車の保有者が当該自動車の保管場所として使用する権原を有するものであること。

 

参考
 「権限」 、「権原」、「権利」との違いは?

 「権限」は、広く用いられる法令用語で、国、地方公共団体、各種法人又は個人の機関(又は代理人)が法律上若しくは契約上なし得る行為の能力又はその範囲をいう。或いは、法律上、ある法律関係を成立または消滅させ得る地位という意味。

  (例) 国の権限に属する行為   代理人の権限

 「権原」とは、「ある法律行為又は事実行為をすることを法律上正当化する根拠(原因)」のことである。民法上、所有権者に対し、地上権・賃借権などを有する者の法律関係を表す場合の用語として多く用いられる。

  (例) 借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる(建物買取請求権・借地借家法13条1項)。

  (例) 他人の土地に建物を建築する権原は、地上権、借地権等である。

 「権利」というのは、法律用語としては法規範によってつくり出される正当性、狭義にはみずからの意思によって法的救済を求めうる法的可能性の意味に用いられる。或いは、一定の利益を自分のために主張し、また、これを享受することができる法律上の能力をいう。

  (例) 私は飲酒運転による交通事故の被害者として、加害者及び飲酒運転を容認した同乗者の加害責任を追及する権利がある。

 

東京・台東借地借家人組合

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【Q&A】 借地上の建物を取り壊して有料駐車場にしたいが

2012年11月27日 | 借地の諸問題

1【問】 借地上の建物を取り壊して、有料駐車場にしたいと思いますが、問題はないでしょうか。


【答】 借地人が、建物所有の目的で借地した場合、通常、借地上に建物を建築して土地を利用することになりますが、その後何らかの事情で、建物を取り壊して跡地を有料駐車場にすることになると、地主との関係で、第一に、土地の無断転貸に当たるかどうか、第二に、借地の用法違反に当たるかどうかが問題となります。

 裁判所は、借地人が、借地を、有料駐車場にして他人に貸すことについては、転貸になるとしています。

 また、借地人が、借地を駐車場として使用することが用法違反になるかどうかについても、もともと、借地契約は、建物所有を目的とするものですから、駐車場として使用することについては、用法違反に当たるとしています。

 その上で、上記違反が、当事者の土地賃貸借契約の信頼関係を破壊するかどうかを検討しているのです。したがって、ご質問の場合、無断転貸、用法違反に当たるものの、問題は、当事者の土地賃貸借契約の信頼関係を破壊することになるなるか否かです。

 借地人が建物取り壊しに至った事情が、貸家としていたが空家状態が続き浮浪者が出入りして火事の危険があったためなど建物取り壊しに合理的な理由がある場合や、駐車場としての利用が、暫定的かつ小規模なもので原状回復が容易なものである場合には、信頼関係を破壊しないとされています(東京高裁平成2年4月26日判決)。

 他方、借地人が、「社宅、工場敷地」として使用する目的で借地したにもかかわらず、借地上に仕切り棚を設け、コンクリート敷の通路と洗車場を設置して、これを駐車場として使用し、その一部を第三者の車両の駐車場にしていたような場合には、用法違反として契約解除を認めた判決があります(東京地裁昭和50年3月31日判決)。

 このように、駐車場にするにしても、それぞれの事実関係によって、信頼関係が破壊されたか否かの結論は分かれていますが、駐車場としての利用が暫定的な場合、規模が小さい場合、原状回復が容易な場合には、信頼関係を破壊していないものとして、解除が認められないとされています。

 しかし、借地人が、借地上の建物を取り壊しして、有料駐車場にすることは、以上のように問題があり、これから有料駐車場にしようとするときには、あらかじめ地主の承諾をとる必要があるでしょう。

 その上、借地上の建物を取り壊しますと、万一、地主が借地している土地を、第三者に売買したり担保に入れたりなどした場合、新しい買主や担保権者に対抗できないことになりますので、この点からも建物取り壊しには注意する必要があります。 

 

東借連常任弁護団解説

Q&A あなたの借地借家法

(東京借地借家人組合連合会編)より

 

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【判例】 *定期借家契約の成立要件は契約書と別個の書面の交付による説明が必要 ・最高裁判決

2012年11月26日 | 定期借家・定期借地契約

最高裁判例

■ 事件番号・・・・・・ 平成22(受)1209

■ 事件名・・・・・・・・ 建物明渡請求事件

■ 裁判所・・・・・・・・ 最高裁判所第一小法廷

■ 裁判年月日・・・・・平成24年9月13日判決

■ 原審裁判所・・・・・東京高等裁判所

■ 原審事件番号・・・平成21(ネ)6078

■ 原審裁判年月日・・平成22年3月16日

【事案の概要】・・・・・本件は、建物を上告人(賃借人)に賃貸した被上告人(賃貸人)が、建物の賃貸借は借地借家法38条1項所定の定期建物賃貸借であり、期間の満了により終了したなどと主張して上告人(賃借人)に対し、本件建物の明渡し及び賃料相当損害金の支払を求める事案である。


【裁判要旨】・・・・・・・借地借家法38条2項所定の書面は、賃借人が、その契約に係る賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず、契約書とは別個独立の書面であることを要する。

 

 

 平成22年(受)第1209号 建物明渡請求事件

 平成24年9月13日 第一小法廷判決

 


                 主        文

            原判決を破棄し,第1審判決を取り消す。

            被上告人の請求を棄却する。

            訴訟の総費用は被上告人の負担とする。

 

                 理        由

 上告人の上告受理申立て理由について

1 本件は,第1審判決別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)を上告人に賃貸した被上告人が,本件建物の賃貸借(以下「本件賃貸借」という。)は借地借家法(以下「法」という。)38条1項所定の定期建物賃貸借であり,期間の満了により終了したなどと主張して,上告人に対し,本件建物の明渡し及び賃料相当損害金の支払を求める事案である。上告人は,同条2項所定の書面を交付しての説明がないから,本件賃貸借は定期建物賃貸借に当たらないと主張している。

2 原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。

(1) 被上告人は,不動産賃貸等を業とする会社である。

上告人は,貸室の経営等を業とする会社であり,本件建物において外国人向けの短期滞在型宿泊施設を営んでいる。

(2) 被上告人は,平成15年7月18日,上告人との間で,「定期建物賃貸借契約書」と題する書面(以下「本件契約書」という。)を取り交わし,期間を同日から平成20年7月17日まで,賃料を月額90万円として,本件建物につき賃貸借契約を締結した。本件契約書には,本件賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了する旨の条項(以下「本件定期借家条項」という。)がある。

(3) 被上告人は,本件賃貸借の締結に先立つ平成15年7月上旬頃,上告人に対し,本件賃貸借の期間を5年とし,本件定期借家条項と同内容の記載をした本件契約書の原案を送付し,上告人は,同原案を検討した。

(4) 被上告人は,平成19年7月24日,上告人に対し,本件賃貸借は期間の満了により終了する旨の通知をした。

3 原審は,上記事実関係の下で,次のとおり判断して,本件賃貸借は定期建物賃貸借であり,期間の満了により終了したとして,被上告人の請求を認容すべきものとした。

 上告人代表者は,本件契約書には本件賃貸借が定期建物賃貸借であり契約の更がない旨明記されていることを認識していた上,事前に被上告人から本件契約書の原案を送付され,その内容を検討していたこと等に照らすと,更に別個の書面が交付されたとしても本件賃貸借が定期建物賃貸借であることについての上告人の基本的な認識に差が生ずるとはいえないから,本件契約書とは別個独立の書面を交付する必要性は極めて低く,本件定期借家条項を無効とすることは相当でない。

4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。

 期間の定めがある建物の賃貸借につき契約の更新がないこととする旨の定めは,公正証書による等書面によって契約をする場合に限りすることができ(法38条1項),そのような賃貸借をしようとするときは,賃貸人は,あらかじめ,賃借人に対し,当該賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて,その旨を記載した書面を交付して説明しなければならず(同条2項),賃貸人が当該説明をしなかったときは,契約の更新がないこととする旨の定めは無効となる(同条3項)。

 法38条1項の規定に加えて同条2項の規定が置かれた趣旨は,定期建物賃貸借に係る契約の締結に先立って,賃借人になろうとする者に対し,定期建物賃貸借は契約の更新がなく期間の満了により終了することを理解させ,当該契約を締結するか否かの意思決定のために十分な情報を提供することのみならず,説明においても更に書面の交付を要求することで契約の更新の有無に関する紛争の発生を未然に防止することにあるものと解される。

 以上のような法38条の規定の構造及び趣旨に照らすと,同条2項は,定期建物賃貸借に係る契約の締結に先立って,賃貸人において,契約書とは別個に,定期建物賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了することについて記載した書面を交付した上,その旨を説明すべきものとしたことが明らかである。そして,紛争の発生を未然に防止しようとする同項の趣旨を考慮すると,上記書面の交付を要するか否かについては,当該契約の締結に至る経緯,当該契約の内容についての賃借人の認識の有無及び程度等といった個別具体的事情を考慮することなく,形式的,画一的に取り扱うのが相当である。

 したがって,法38条2項所定の書面は,賃借人が,当該契約に係る賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず,契約書とは別個独立の書面であることを要するというべきである。

 これを本件についてみると,前記事実関係によれば,本件契約書の原案が本件契約書とは別個独立の書面であるということはできず,他に被上告人が上告人に書面を交付して説明したことはうかがわれない。なお,上告人による本件定期借家条項の無効の主張が信義則に反するとまで評価し得るような事情があるともうかがわれない。

 そうすると,本件定期借家条項は無効というべきであるから,本件賃貸借は,定期建物賃貸借に当たらず,約定期間の経過後,期間の定めがない賃貸借として更新されたこととなる(法26条1項)。

5 以上と異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は以上と同旨をいうものとして理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,以上説示したところによれば,被上告人の請求は理由がないから,第1審判決を取り消し,上記請求を棄却することとする。

 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。


( 裁判長裁判官  白木 勇、  裁判官  櫻井龍子、  裁判官  金築誠志、  裁判官 横田尤孝、  裁判官  山浦善樹)


関連 最高裁平成22年07月16日判決
 【判例】 *定期借家契約は契約書とは別に説明書面が交付されなければ、その効力認められない(最高裁)

(定期建物賃貸借)
第38条 

1項
期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。

2項 
前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。

3項 
建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。

 

 

東京・台東借地借家人組合

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【Q&A】 地代・家賃の供託とは何か

2012年11月22日 | 弁済供託

(問) 地代や家賃を供託するとはどういうことですか。方法について教えて下さい。


(答) 明渡しや更新料等を要求されて借主(借地人・借家人)が応じないと、貸主(地主・家主)は賃料(地代・家賃)の受領を拒否する場合があります。賃料を供託することは借主としては契約の継続の意思表示になる大切な行為になります。

 貸主の受領拒否により賃料支払義務が果たせなくなるので、東京都の23区は東京法務局供託課(区内以外は所管の法務局主張所)に賃料を供託することで不払いは免れます(民法494条)。また、貸主が受領できない場合とか、貸主を知ることが出来ない場合も供託はできます。注意点は、借主が貸主は賃料を受け取らないだろうと勝手に供託しても無効となることです。

 供託は、賃料を貸主宅へ持参払いの場合、貸主の所在地を所管する法務局か、または、その主張所で行い、貸主が借主宅を訪ね、集金している場合は借主の所在地を所管する法務局か、その出帳所に供託します。

 供託する金額は、明渡しや更新料請求等の場合は支払っている現行額で供託します。賃料増額を請求された場合に、いくらか値上げするときはその増額分を加算することもできます。増額請求そのものに不承知ならば現行額で供託します(借地借家法11条・32条)。

 和解により、供託金を払戻す場合、貸主(被供託者)が手続きをする場合は還付と言い、借主(供託者)は取戻しと言います。いずれのの場合もその手続きには当事者の実印と印鑑証明(註1)に住民票が必要です。日本銀行発行の小切手が交付されます。供託書は借主が取戻す場合に添付(註2)が必要であり、賃料支払の証にもなりますので大切に保管して下さい。賃料の持参払いの場合、土地建物売買や相続により貸主が変更されると、新たな貸主の所在地を管轄する法務局か出張所が供託先となります。

 

東京借地借家人新聞より


 (註)は東京・台東借地借家人組合

 (註1) 請求者が個人であって、請求者本人が直接窓口で請求する場合は、提示した運転免許証(または、顔写真入りで官公署が発行した身分証明書)等で本人確認ができる場合には印鑑証明の添付は不要。ただし、実印である必要はないが、印鑑は必要である。住民票も不用。ただし、供託書記載欄の(被)供託者の住所・氏名が変更しているときには、住民票や戸籍抄本等が必要。

 (註2) 供託金払渡請求書に供託書の右上の供託番号を記載するだけで、供託書の添付は不要である。

 

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地主の代理人が高額な更新料と地代値上げを請求 (東京・板橋区)

2012年11月21日 | 更新料(借地)

 板橋区清水町に住むAさんは、親の代から借地して住んでいた。30年目に地主に承諾料を支払って、堅固な建物(鉄骨3階建)を建築した。今年に入って、地主の代理人の不動産会社から更新の時期を迎えたので一度事務所に来てくださいと通知を受けた。

 訪問すると「契約には更新料を支払って更新することが出来ると書いてありますので、更新する際には350万円の更新料と地代の20%値上げをしてほしい」と言われた。言われるままに「わかりました」と返事してしまったが、これは地主の請求についてはわかりましたという意味で承諾した意味ではないことははっきりしていたが、その後地主の代理人からは早く契約書を作成するよう請求された。困ったAさんはデパートの無料の相談会に相談に来た。

 当初の相談は、「地主との関係を悪くしたくない。更新料をもう少し安くできないか。地代の値上げをやめさせることはできないか」ということだった。しかしながら組合の「更新料解決マニュアル・その更新料支払う必要ありません」の本や相談員の説明を受けて、更新料の支払いについても明確な合意がないので支払う必要がない、地代の値上げも阻止で頑張ってみることにした。その第一弾として地主に対して「建物が存在していますので借地契約を更新して住み続けるつもりです。今後は借地借家人組合に入会し相談していく」を通知した。

 この借地は30年前に所有していた地主が平成16年に競売物件となり、2年後に売却された。その後、買いとった大手のM不動産から地主の実弟が買い戻してもので、今後は売却の話も含め対応していくことにした。

 

東京借地借家人新聞より

 

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入居後、4か月で明渡請求 (千葉・船橋市)

2012年11月20日 | 建物明渡(借家)・立退料

 千葉県船橋市内でアパートの1室を平成23年10月に借りたAさんは、平成24年2月に不動産業者から8月末日で契約を終了したいといわれ、理由を聞くとアパートの老朽化と建て替えを予定しているとのことでした。契約から4か月しかたっていないので納得がいかず、業者に引越しはできませんと伝えました。

 その後、8月に入りアパートの前に宅地開発事業計画公開板が建てられ、平成24年10月に建て替え工事を行うとのことでした。Aさんは、消費者センターから紹介され組合の無料相談会に来られました。Aさんとの話し合いで、貸主に文章で明渡しの理由を回答してもらうことにしました。合わせて、組合に入会し業者との話し合いをしていくことにしました。

 9月30日になっても家賃が引き落としされず、不審に思って業者に問い合わせると、現在貸主と相談中とのことでした。Aさんは、契約して1年もたたないで明渡には応じられないと伝えました。駅から近く死後にも買い物にも便利なので引き続き住みたいとのことでした。

 

全国借地借家人新聞より

 

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大東建託の口車に乗せられ、何の補償もなしに借家から放り出される (大阪・高槻市)

2012年11月19日 | 建物明渡(借家)・立退料

 大阪高槻市の借家に昭和54年ごろから住んでいるMさん宅へ、今年9月3日午後7時ごろ「家屋が老朽し、解体撤去するので明渡せ」と通知書を持って大東建託(株)の社員2名がきました。

 対応したMさんは、大東建託の「来年2月末までを期限にして立退きを」との話に動転し、立退き補償の条件は家主と大東建託と借家人の三者で今後話合うというので、とりあえず「退去同意書」を作成させられました。

 大東建託は、立退き補償について何等話合わず、Mさんが頼みもしないのに移転先の仲介や敷金の返済を行いました。不安に感じたMさんは知合いから大借連を紹介されました。

 大借連は、Mさんから経過を聴き、大東建託の2名の社員の名刺に宅建免許番号が明記されていないこと、話し合いの機会を約束していないこと、敷金を全額返還されていること、「退去同意書」を提出していること、などから、かつての地上げ屋の不当な明渡し行為を大東建託がはじめているものと思われ、Mさんの疑問に応えました。

 その後、Mさんは、日頃から親しくしていた家主と話合い、明渡しに応じることになりました。Mさんは、無知であったため大東建託の口車に乗せられた悔しさから大借連へ入会し、高槻市で借地借家人組合を再建するために頑張ると語っています。

 

全国借地借家人新聞より

 

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地主が底地を地上げ屋に売却か (東京・足立区)

2012年11月16日 | 地上げ・借地権(底地)売買

 足立区島根は日光街道西側と環七通りの外側に面した地域で島根ばやしや島根神社神楽が行われる鷲神社や古刹国土安隠寺がある。

 この地で同じ地主から借地しているAさんたち7名は平成11年に地代等の問題で組合に入会した。それからは年末に会合を持ち地代額を協議し、代表者が1年分の地代を地主宅に持っていく慣わしになっていた。

 この夏いきなりS社の社員を名乗る男が、「このたび土地をS社に譲渡しましたので、今後のことはS社と話し合っていただきたい」と地主がS社に底地を譲渡したという文書を持って訪ねてきた。Aさんはすぐに組合に相談した。

 組合では地主が代わろうが権利関係は今まで通りであること。S社が本当に土地を買い取ったか登記簿謄本を持ってくるように申し入れ、新地主かどうか判らない時点では会う必要のないこと。また、底地の売買は任意の契約であり、地主に買い取ってほしいと言われても借地人がこれを買い取る義務を負うわけではないことを説明した。

 今のところAさんらは従前の借地契約を申し入れ、対応する考えでいる。

 

東京借地借家人新聞より

 

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宅建業者(地上げ屋)が借地の譲渡を強要 (東京・葛飾区)

2012年11月15日 | 地上げ・借地権(底地)売買

 葛飾借地借家人組合に入会し5年になるAさんは更新料請求裁判や建物修繕問題等々諸々組合と相談の上解決してきた。ここにきて宅建業者がAさん宅を来訪し、「この土地を買い取ったので明渡すか、買い取るかどちらかにしろ」と主張。地上げ業者がよく言う台詞である。Aさんは80歳も間近で、業者への反論もままならず、苦しい日々を送っていた。

 組合は本人の事情を考慮して、交渉対応は組合で行うことにした。業者から連絡が組合にあり、対応する。組合は底地を買い取る意思がない旨を明確に主張した。業者は買取を求めながら金額を示すことなく、ただ、損する話ではない旨主張するのみだった。約1時間10分ねばられたが、二言はないとお帰り頂いた。

 なお、業者は買受けたと言いながら、いまだに土地の所有権移転登記はしていないことを認めた。この譲渡強要は宅建業法・弁護士法にも反する行為である旨も強く主張しておいた。

 第2回目の業者の対応は、組合事務所に来所するなり組合で取り持ってもらえないかと今までの行為を土下座して謝ったが、答は一つ二言はないと拒否した。

 今後、あきらめることなく譲渡強要を続けるのであれば、宅建業者を管轄する官庁に通報ししかるべき措置を行ってもらう旨を通告し、20分で帰って頂いた。

 組合では借地人の居住の権利を守るため頑張る所存である。この件は現在進行形である。

 

東京借地借家人新聞より

 

東京・台東借地借家人組合

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【Q&A】 供託者は5年の短期消滅時効した供託金を取戻することが出来るのか

2012年11月09日 | 弁済供託

(問) 建物の明渡請求をされ、供託所(法務局)に賃料15万円を20年間弁済供託をしています。ところで、供託金は民法169条の「定期給付債権の短期消滅時効」で5年間経過すれば消滅するということになっています。なので、貸主(被供託者)が20年間供託金の還付請求をしていなければ、時効消滅した供託金は供託者からの取戻請求で供託所から払渡しを受けられるのですか。


 (答) 「債権者が供託を受諾せず、又は供託を有効と宣告した判決が確定しない間は、弁済者は、供託物を取り戻すことができる。この場合においては、供託をしなかったものとみなす」(民法496条1項)。

 被供託者が供託金の還付請求をしていなければ、供託者は取戻請求権を行使して払渡しを受けることが出来る。しかし、その場合は「供託をしなかったものとみなす」ということになり、賃料不払い状態になる。被供託者(賃貸人)と和解が成立し、取戻請求の了解が得られている場合でなければ、債務不履行を理由にした契約解除明渡請求の危険があるので、供託事由が消滅するまでは賃借人が取戻請求権を行使して供託金の払渡しを受けないのが通常である。

 この相談者への回答の参考になる判例がある。現在、長期間に亘って弁済供託している供託者には朗報で画期的な最高裁平成13年11月27日判決があるので、検討してみる。

 賃貸人が死亡し、その相続人等複数の人間から賃料請求を受けた賃借人は、過失なくして債権者を確知することができないとして賃料の供託をし、後にその取戻しを請求したところ、法務局から供託金取戻請求権は供託の時から10年の時効期間の経過により消滅したとして却下された。その処分を不服として法務局を相手に却下処分の取消を求めた事案である。この裁判では、「債権者不確知を理由にした弁済供託」における供託金取戻請求の消滅時効の起算点が問題になった。

事件の概要
 ① 賃借人は賃貸人A所有の建物を家賃1か月14万円で借りていた。家賃は前払いであった。
 ② Aは昭和52年10月に死亡した。
 ③ Aの相続人であると主張するBら3名と、Aから建物を贈与されたと主張するCから家賃の支払請求を受けた賃借人は、昭和52年12月以降、債権者不確知を理由に法務局へ弁済供託をした。
 ④ Bら3名とCとの紛争は昭和62年12月に裁判上の和解が成立した。その後、賃借人はBから平成7年1月、建物明渡請求を提起された。
 ⑤ 賃借人は平成7年8月に法務局に対して供託金の取戻請求をした。だが、法務局は昭和52年12月分から昭和60年8月分までの供託金については供託後10年が経過しおり、取戻請求権の消滅時効は完成しているとして、賃借人の請求を却下した。
 ⑥賃借人は却下処分を不服とし、法務局を相手に、その処分の取消を求めて提訴した。

裁判での賃借人の主張
 賃借人は「供託物の取戻請求権の消滅時効の起算点は、供託の基礎となった債務について紛争解決などによってその不存在が確定するなど、供託者が免責の効果を受ける必要が消滅した時である」とした最高裁昭和45年7月15日判決を引用して、次のように主張した。

 Bが賃借人に建物明渡を提起した時(平成7年1月)が消滅時効の起算点になる。すなわち、賃借人が初めて賃料債務の消滅時効を援用することが可能となった時点が供託による免責の効果を受ける必要がなくなった時ということになり、供託物の取戻請求権の消滅時効の起算点となる。

裁判での法務局の主張】 
 賃借人が引用した最高裁判決は、債権について争いのある事案を前提としたものである。債権者不確知を理由とした弁済供託の場合は、供託者が取戻請求権を行使したとしても、自己の主張を撤回したものと解されるおそれがないのであるから、本件には妥当しない。また、供託物の取戻請求権は供託者の自発的意思に基づき行使できるのであるから、その消滅時効は供託の時から進行する。

最高裁の判決の要旨
 弁済供託は、債務者の便宜を図り、これを保護するため、弁済の目的物を供託所に寄託することによりその債務を免れることができるようにする制度である。供託者が供託物取戻請求権を行使した場合には、供託をしなかったものとみなされるのであるから、供託の基礎となった債務につき免責の効果を受ける必要がある間は、供託者に供託物取戻請求権の行使を期待することはできない。「供託物取戻請求権の消滅時効が供託の時から進行すると解することは、上記供託制度の趣旨に反する結果となる。そうすると、弁済供託における供託物の取戻請求権の消滅時効の起算点は、過失なくして債権者を確知することができないことを原因とする弁済供託の場合を含め、供託の基礎となった債務について消滅時効が完成するなど、供託者が免責の効果を受ける必要が消滅した時と解するのが相当である」(最高裁昭和40年(行ツ)第100号 昭和45年7月15日大法廷判決・民集24巻7号771頁)。

 本件においては、各供託金取戻請求権の消滅時効の起算点は、その基礎となった賃料債務の各弁済期の翌日から民法169条所定の5年の時効期間が経過した時と解すべきであるから、これと同旨の見解に基づき、その時から10年が経過する前にされた供託に係る供託金取戻請求を却下した処分が違法である」(平成13年11月27日 最高裁判所第三小法廷判決)。

 

 この判決は「債権者不確知」に対するものであるが、最高裁の論旨は「受領拒絶」、「受領不能」等、弁済供託全般に当て嵌まるものであり、供託物の取戻請求権の消滅時効の統一判断を示している。供託実務への影響が大であり、重要な判例である。

 従来の実務では供託時から10年で時効消滅と解されていたものが、本来の賃料債務の5年間での時効消滅後さらに10年間は取戻請求権を行使できるということになる。即ち、供託者は、弁済供託時から、民法169条の定期給付債権の短期消滅時効の5年が経過すれば、供託金の時効消滅が完成する。消滅時効を援用して債務の消滅を主張することは必要である。これを行っていれば、取戻請求権を行使することに何の不都合はない。供託金を取戻しても「供託をしなかったものとみなす」(民法496条)ということにならない。債務不履行(賃料不払い)にならないということである。

 上記の裁判例で具体的に検討すれば、賃借人は平成7(1995)年8月に法務局へ取戻請求権を行使した。5年の短期消滅時効は平成2(1990)年8月に完成しているから、その時から10年遡る昭和55(1980)年8月までの供託金(昭和55年8月分~平成2年8月分の10年間分)は払渡しを受けられる。

 相談者の貸主が20年間供託金の還付請求をしていなければ、民法169条の「定期給付債権の短期消滅時効」によって借主は5年が経過すれば、供託金を法務局から問題なく取り戻すことが出来る。5年間の短期消滅時効後、10年以内に取戻請求権を行使して時効消滅した分の供託金を供託所(法務局)の窓口で払渡しを受けられるということである。

 結論、例えば、相談者が平成24(2012)年11月に法務局に取戻請求を行使すれば、民法169条の「5年の短期消滅時効」が平成19(2007)年11月で完成する。そこから10年間は取戻請求が行使することが出来るので、平成9(1997)年11月~平成19(2007)年11月の10年間分の供託金(15万円×12か月×10年=1800万円)が取戻せる。しかし、平成9(1997)年11月以前の供託金は時効消滅しているので取戻請求は出来ない。

 5年を経過した供託金は、次々と民法169条の「5年の短期消滅時効」によって毎月順繰りに時効消滅してゆくことになる。平成24年12月になれば、5年前の平成19年12月分の供託分が取戻請求ができる。このように毎月、5年の短期消滅時効で時効消滅した供託金が取戻せることになる。

 従って、平成24年12月分の供託をする場合、時効消滅した供託金(平成19年12月分)の取戻請求をして戻された供託金(日本銀行発行の小切手で払渡される)を平成24年12月分に充当するという奇策も可能である。貸主が還付請求をしてこなければ、このようなことを毎月繰り返すことが出来る。取戻す手続きの手間と時間を考えると余り薦められる方法ではないが、こんな遣り方もあるということで紹介した。

 

東京・台東借地借家人組合

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