goo blog サービス終了のお知らせ 

東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

保証金/敷金トラブル/原状回復/法定更新/立退料/修繕費/適正地代/借地権/譲渡承諾料/建替承諾料/更新料/保証人

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を自ら守るために、
自主的に組織された借地借家人のための組合です。

東京・台東借地借家人組合

借地借家人組合に加入して、
居住と営業する権利を守ろう。

無料電話相談は050-3656-8224(IP電話)
受付は月曜日~金曜日(午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝日は休止 )

 尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
 

【判例紹介】 管理会社の従業員の不法な追い出し行為に165万円の損害賠償が認められた事例

2012年06月19日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

判例紹介

 貸人から貸室の管理を委託されている管理会社の従業員が、当該貸室内にあった賃借人の家財道具等を搬出し、玄関鍵のシリンダーを交換して賃借人を追い出した行為(以下「本件行為」と言います。)について、①管理会社の当該従業員の不法行為について管理会社に使用者責任を、及び②賃貸人に共同不法行為責任を認めた事例 (大阪高裁 平成23年6月10日判決 判時2145.32)。

【事案の概要】 
 賃借人は本件貸室を賃料月額3万5000円で賃借したものの、平成21年5月からの6か月分の賃料を滞納しました。これに対し管理会社は「入金の無い場合は、鍵をロックして解約させていただきます」との督促状を3回に渡り送りつけました。賃借人は当時、失業中であり、同年9月には生活保護開始決定を受けました。そのような中、同年10月、管理会社の従業員(賃貸人の子でもある)は、同行したリフォーム業者とともに本件行為に及びました。

 
 大阪地裁は、本件行為につき不法行為を認め管理会社の使用者責任を肯定したものの、賃貸人の共同不法行為責任を否定しました。また損害として、家財道具について4万300円、慰謝料として15万円の限度で認めたにすぎませんでした。

【判決の要旨】  
 控訴審である大阪高裁は、原審同様、従業員の本件行為が不法行為に該当するのは明らかとし、管理会社の使用者責任を肯定しました。

 他方で原審と異なり、賃貸人が本件貸室を含むマンションの所有者であり、管理会社に管理を委託し、本件賃貸借契約について管理会社にその管理権を行使するのに必要な代理権を包括的に授与していたこと、従業員が賃貸人の子であり、賃貸人が管理会社の取締役に就任していることを考慮し、管理会社が賃貸人から授与されていた包括的な代理権に基づき、賃貸人の子が管理会社の従業員として本件行為に及んだことについて、賃貸人も事前に包括的な承諾を与えていたと認められるとし、賃貸人の共同不法行為責任を認めました。

 また損害については、家財道具の損害について詳細に検討し計70万、慰謝料についても80万円を認容し、弁護士費用15万円とあわせ合計165万円を認めました。


【解説】
 上記引用判例時報の判例解説では、違法な自力救済(賃貸借契約が解除されている場合の実力行使)、違法な不動産侵奪(賃貸借契約が解除されていない場合の実力行使)が社会問題になるほど頻発しているとし、その違法はいうまでないことであり、「私人間の紛争であっても、法治国家である以上、その責任の厳然とした追及とその防止に向けた毅然とした対応とが求められるはず」(引用判時33頁)としています。

 このような中、上記事実関係をもとに共同不法行為責任を認めた点は、裁判所として本件問題に「毅然とした対応」を示したものと言えるでしょう。そもそも法治国家である以上、違法な実力行使が許されるわけでないことは言うまでもないことです。また本件の賃借人のような状況に置かれている人は、いまのご時世、決して珍しくありません。本件行為はその弱みにつけ込む行為とも言えます。「厳然とした追及」と「毅然とした対応」がなされた事案として紹介します。

 

(2012.06.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


【判例紹介】 保証委託契約の解除更新料特約は消費者契約法に違反し無効とされた事例

2012年04月12日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

判例紹介

 借家人が家賃支払を遅滞した場合に、保証委託契約が一度自動的に解除された上で更新され、その際に解除更新料を支払うなどとされた借家人と保証会社との保証委託契約における特約が消費者契約法10条により無効とされた事例 名古屋地裁平成23年4月27日判決・最高裁判所ウェブサイト及び消費者法ニュース88号208頁掲載)

【事案の概要】
 
原告は、平成19年11月、個人で居住用の部屋を、訴外B(賃貸人)から家賃7万円で借り、保証委託会社である被告(資本金3億3200万円)に部屋の賃貸借契約の連帯保証人となることを委託した。

 原告と被告との保証委託契約には、「原告が賃料の支払を1回でも滞納した場合、本件保証委託契約は、B及び原告の承諾の有無にかかわらず無催告で自動的に債務不履行解除された上で、自動的に同一条件で更新される。この解除更新の場合、原告は、被告に対し、その都度1万円の更新保証委託料を支払う」という特約があった(これを「解除更新料特約」という)。

 賃貸借契約自体は続いているのに、保証委託契約だけが、1回滞納毎に解除・更新され、その都度1万円の保証委託契約の更新料が生じるというものである。原告は、平成21年6月ころ、部屋を明け渡したが、平成20年1月から12月の間に、解除更新料1万円を合計7回、合計7万円支払わされていた。原告は、この7万円の返還及び強引に明け渡しに追い込まれたことの慰謝料・弁護士費用の支払い等を求めて提訴した。

【判決の要旨と注目点】
 
名古屋地裁は「解除更新料特約は、消費者の権利を制限しかつ消費者の義務を加重するものであるし、信義誠実の原則(民法1条2項)に反して消費者の利益を一方的に害するものであって、消費者契約法10条により無効」と判決して原告の請求を認め、被告が受領した7万円は不当利得であるとして年6分の利息を付して返還するよう被告に命ずる判決をした。

 さらに、この判決は、不当な保証委託契約を結ばせて解約更新料を徴収したことを被告の不法行為とし、原告に対する慰謝料20万円、弁護士費用5万円の支払をも命じている。

 消費者契約法10条は、「消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする」という条文である。

 現在の建物賃貸借契約の多くでは、保証委託会社を連帯保証人として実質的に強制することが行われ、その保証委託契約の内容も、消費者である賃借人に不利益で不当な特約が横行している。この判決は、解除更新料特約という、まことに奇妙な特約条項を消費者契約法によって無効と判断した重要なものである。

 

(2012.04.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


家賃滞納で強制退去は違法 (東京地裁)

2012年03月10日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

 マンションの家賃を滞納したところ、家財を残したまま退去を強制されたとして、埼玉県所沢市の男性が約1060万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(唐木浩之裁判官)は9日、マンション管理会社(西東京市)などに220万円の支払を命じた。

 判決によると、男性は2002年8月に賃料5万6千円のマンションに入居した。04年に勤務先の人員整理で退職。07年2月分から滞納した。そのため、同年6月に管理会社から退去を迫られた。会社側は家財を廃棄。男性は3カ月間の路上生活を強いられた。

 判決は会社側の対応について「脅迫行為がなくても、負い目のある借り手に法的手続きをとらず、着の身着のままで退去を迫るのは社会的相当性を欠く」と述べ、違法と認定した。


(朝日新聞 2012年3月10日)

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


【判例紹介】 保証会社の組織的な追い出し行為が不法行為として慰謝料を命じた事例

2011年11月16日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

 判例紹介

 借家人が家賃支払を遅滞した場合に、保証委託契約が一度自動的に解除された上で更新され、その際に解除更新料を支払うなどとされた借家人と保証会社との保証委託契約における特約が消費者契約法10条により無効とされるとともに、保証会社が根拠不明の金銭を含め借家人に過分な支払をさせる行為や退去勧告を組織的に行っていたことが不法行為に該当するとされた事例 名古屋地裁平成23年4月27日判決

【事案の概要】
 甲(借主)とA(貸主)は、平成19年11月、マンション一室の賃貸借契約を締結した。この契約に際し、賃貸住宅等の入居者の保証人受託業務等を目的とする株式会社乙が甲との間で保証委託契約を締結して甲の連帯保証人となったが、同契約には、甲が賃料の支払を1回でも滞納した場合、保証委託契約が無催告で自動的に債務不履行解除された上で、自動的に同一条件で更新され、乙に対しその都度1万円の更新保証委託料を支払うという条項(解除更新料特約)が含まれていた。この特約に基づき、甲は乙へ解除更新料として合計10万円を支払った。また、乙は、「手数料」名目での金銭請求や約5分間に10回以上の不在着信を残すなどの甲への執拗な督促や退去の勧告等を何度も行った。

【判旨】
1、解除更新料特約は、甲(委託者)が初回保証委託料を支払って乙(受託者)に対する債務を履行しているのに、乙が自ら受託した保証債務を履行する前に自動的に債務不履行解除されることになり、明らかに契約の趣旨及び信義則に反するから、消費者契約法10条により無効である(既払解除更新料10万円の返還を認める)。

2、乙が、根拠の明らかでない金銭も含め甲に過分な支払をさせていたことや、甲とAとの間の信頼関係が破壊されたと認められる状況には至っていないにもかかわらず賃貸物件から出て行くように働きかける行為等を組織的に行っていたことは、社会通念上許容される限度を超え不法行為に該当する(慰謝料として20万円の支払いを認める)。

【寸評】
 物件を借りるに際して連帯保証人を用意することができない賃借人のための賃貸保証委託会社が急増しているが、賃借人の立場の弱さにつけ込み、賃借人に過大な義務を負わせたり、不当な要求に及ぶ業者は少なくない。本事例は、そのような業者の行為を組織的な違法行為と認め慰謝料の支払いを命じたものであり、悪質業者への警鐘となると思われる。

 

(2011.11.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


【判例】 家賃保証会社の保証委託契約による「取立て・追い出し行為」が不法行為に該当するという事例

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


【判例】 ①家賃保証会社の保証委託契約による「取立て・追い出し行為」が不法行為に該当するという事例

2011年10月27日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

 判  例

事件番号・・・・平成21(ワ)4345

事件名・・・・・・不当利得返還等請求本訴,立替金請求反訴事件

裁判所・・・・・・名古屋地方裁判所 民事第8部

裁判年月日・・・平成23年4月27日

(判決の要旨)
 借家人が家賃支払を遅滞した場合に,保証委託契約が一度自動的に解除された上で更新され,その際に解除更新料を支払うなどとされた借家人と保証会社との保証委託契約における特約が消費者契約法10条により無効とされるとともに,保証会社が根拠不明の金銭を含め借家人に過分な支払をさせる行為や退去勧告を組織的に行っていたことが,社会通念上許容される限度を超えたもので,不法行為に該当するとされた事例


平 成 2 1 年 ( ワ ) 第 4 3 4 5 号 不 当 利 得 返 還 等 請 求 事 件

平 成 2 1 年 ( ワ ) 第 6 0 5 9 号 立 替 金 請 求 反 訴 事 件


判        決
主        文

1 被 告(家賃保証会社) は , 原 告(賃借人) に 対 し , 7 万 1 9 3 1 円 及 び う ち 7 万 円 に 対 す る 平 成2 0 年 1 2 月 2 7 日 か ら 支 払 済 み ま で 年 5 分 の 割 合 に よ る 金 員 を 支 払え 。

2 被 告 は , 原 告 に 対 し , 2 5 万 3 6 7 5 円 及 び こ れ に 対 す る 平 成 2 1年 8 月 2 0 日 か ら 支 払 済 み ま で 年 5 分 の 割 合 に よ る 金 員 を 支 払 え 。

3 原 告 の そ の 余 の 請 求 を い ず れ も 棄 却 す る 。

4 被 告 の 請 求 を 棄 却 す る 。

5 訴 訟 費 用 は , 本 訴 及 び 反 訴 を 通 じ , 3 分 の 1 を 被 告 の 負 担 と し , その 余 を 原 告 の 負 担 と す る 。

6 こ の 判 決 は , 第 1 項 及 び 第 2 項 に 限 り 仮 に 執 行 す る こ と が で き る 。た だ し , 被 告 が 3 0 万 円 の 担 保 を 供 す る と き は , 第 1 項 及 び 第 2 項 の仮 執 行 を 免 れ る こ と が で き る 。


事 実 及 び 理 由

第 1 請 求
1 本 訴
( 1 ) 被 告 は , 原 告 に 対 し , 1 0 万 5 0 2 8 円 及 び う ち 1 0 万 円 に 対 する 平 成 2 1 年 7 月 2 5 日 か ら 支 払 済 み ま で 年 5 分 の 割 合 に よ る 金 員を 支 払 え 。

( 2 ) 被 告 は , 原 告 に 対 し , 1 2 5 万 3 7 2 5 円 及 び こ れ に 対 す る 平 成2 1 年 8 月 2 0 日 か ら 支 払 済 み ま で 年 5 分 の 割 合 に よ る 金 員 を 支 払え 。


2 反 訴
 原 告 は , 被 告 に 対 し , 1 6 万 0 8 6 1 円 及 び こ れ に 対 す る 平 成 2 1年 1 0 月 2 3 日 か ら 支 払 済 み ま で 年 5 分 の 割 合 に よ る 金 員 を 支 払 え 。


第 2 事 案 の 概 要
 1 本 件 は , 借 家 人 の 債 務 の 保 証 委 託 契 約 に 関 し て , 借 家 人 で あ る 原 告が , 保 証 会 社 で あ る 被 告 に 対 し , 不 当 利 得 の 返 還 ( 本 訴 請 求 1 ) , 不法 行 為 に 基 づ く 損 害 賠 償 ( 本 訴 請 求 2 ) 及 び 債 務 不 履 行 に 基 づ く 損 害賠 償 ( 本 訴 請 求 3 ) を 求 め ,被告が , 原 告 に 対 し , 保 証 人 の 求 償 権 に基 づ く 債 務 の 履 行 ( 反 訴 請 求 ) を 求 め る な ど し た 事 案 で あ る 。

2 前 提 事 実 ( 争 い の な い 事 実 並 び に 証 拠 ( 甲 1 な い し 3 , 6 , 1 1 )及 び 弁 論 の 全 趣 旨 に よ り 容 易 に 認 定 で き る 事 実 )
( 1 ) 原 告 は , 昭 和 5 6 年 6 月 2 6 日 生 の 女 性 で あ り , 平 成 1 7 年 3 月1 8 日 生 の 子 ( A ) が い る 。

( 2 ) 被 告 は , 平 成 1 1 年 3 月 5 日 会 社 成 立 , 資 本 金 3 億 3 2 0 0 万 円の 賃 貸 住 宅 , 店 舗 及 び オ フ ィ ス 等 の 入 居 者 の 保 証 人 受 託 業 務 等 を 目的 と す る 株 式 会 社で あ り , 平 成 1 9 年 1 1 月 1 2 日 の 変 更 よ り 前 には ,信 用 保 証 ,金 銭 債 権 買 取 ,金 融 業 ,質 屋 業 等 を 目 的 と し て い た 。

( 3 ) 原 告 は , 株 式 会 社 B か ら , 平 成 1 9 年 1 1 月 7 日 , 以 下 の 約 定 等で , 名 古 屋 市 ( 以 下 略 ) 所 在 の △ △ O 階O 号 室 ( 以 下 「 本 件 建 物 」と い う 。 ) を 賃 借 し ( 甲 1 。 以 下 「 本 件 賃 貸 借 契 約 」 と い う 。 ) ,本 件 建 物 の 引 渡 し を 受 け た 。

① 期 間 平 成 1 9 年 1 1 月 7 日 か ら 平 成 2 1 年 1 1 月 6 日 ま で

② 賃 料 及 び 共 益 費 ( 以 下 「 賃 料 等 」 と い う 。 )
1 か 月 7 万 8 0 0 0 円 ( 賃 料 7 万 円 , 共 益 費 8 0 0 0 円 )支 払 期 日 毎 月 末 日 限 り 翌 月 分 を 支 払 う 。

③ 原 告 が 賃 料 等 の 一 部 で も 支 払 を 遅 延 し た 場 合 , 原 告 は 遅 延 し た金 額 と こ れ に 支 払 日 の 翌 日 か ら 支 払 を な し た 日 ま で 年 1 4 %( 1 年を 3 6 5 日 と し た 日 割 計 算 )の 割 合 に よ る 遅 延 損 害 金 を 付 し て B に支 払 う 。

( 4 ) B , 原 告 及 び 被 告 は , 平 成 1 9 年 1 1 月 7 日 , 以 下 の 約 定 を 含 む「 住 み 替 え か ん た ん シ ス テ ム 」 の 契 約 ( 甲 3 。 以 下 , こ の 契 約 全 体を 「 本 件 住 み 替 え か ん た ん 契 約 」 と い う 。 ) を 締 結 し て , 原 告 は ,被 告 に 対 し , 本 件 賃 貸 借 契 約 に 基 づ く 原 告 の B に 対 す る 債 務 の 連 帯保 証 を 委 託 し ( 以 下 「 本 件 保 証 委 託 契 約 」 と い う 。 ) , 被 告 は , Bに 対 し , 同 日 , 本 件 賃 貸 借 契 約 に 基 づ く 原 告 の B に 対 す る 債 務 を 連帯 保 証 し た ( 以 下 「本 件 連 帯 保 証 契 約 」 と い う 。 ) 。

① 期 間 平 成 1 9 年 1 1 月 7 日 か ら 平 成 2 0 年 1 1 月 6 日 ま で

② 初 回 保 証 委 託 料 4 万 0 5 0 0 円

③ 原 告 は ,被 告 に 対 し ,本 件 保 証 委 託 契 約 締 結 後 1 年 経 過 ご と に ,1 万 円 の 更 新 保 証 委 託 料( 以 下「 経 過 更 新 料 」と い う 。)を 支 払 う 。

④ 原 告 が 賃 料 の 支 払 を 1 回 で も 滞 納 し た 場 合 , 本 件 保 証 委 託 契 約は ,B 及 び 原 告 の 承 諾 の 有 無 に か か わ ら ず 無 催 告 で 自 動 的 に 債 務 不履 行 解 除 さ れ た 上 で ,自 動 的 に 同 一 条 件 で 更 新 さ れ る( 以 下「 解 除更 新 特 約 」 と い い , こ の 更 新 を 「 解 除 更 新 」 と い う 。 ) 。

⑤ 解 除 更 新 の 場 合 , 原 告 は , 被 告 に 対 し , そ の 都 度 1 万 円 の 更 新保 証 委 託 料( 以 下「 解 除 更 新 料 」と い う 。)を 支 払 う( 以 下「 解 除更 新 料 特 約 」 と い う 。 ) 。

⑥ 被 告 は , 原 告 が 2 か 月 分 以 上 賃 料 の 支 払 を 滞 納 し た と き 又 は 原告 が 2 か 月 以 上 更 新 保 証 委 託 料 の 支 払 を 滞 納 し た 場 合 は ,B 及 び 原告 の 意 向 に か か わ ら ず ,被 告 単 独 に て 本 件 賃 貸 借 契 約 を 解 除 す る こと が で き る ( 以 下 「 単 独 解 除 特 約 」 と い う 。 ) 。

⑦ B 及 び 原 告 は , 前 記 ⑥ の 場 合 , 被 告 が B 及 び 原 告 の 意 向 に か かわ ら ず 本 件 賃 貸 借 契 約 に つ い て の 契 約 解 除 権 を 行 使 す る こ と に 異議 を 述 べ な い 。

⑧ 原 告 が 本 件 賃 貸 借 契 約 に 基 づ き 負 担 す る 債 務 の 履 行 の 全 部 又 は一 部 を 遅 滞 し た た め ,被 告 が B か ら 本 件 連 帯 保 証 契 約 に 基 づ く 債 務( 以 下「 本 件 連 帯 保 証 債 務 」と い う 。)の 履 行 を 求 め ら れ た と き は ,被 告 は 原 告 に 対 し て 民 法 所 定 の 事 前 の 通 知 を す る こ と な く ,本 件 連帯 保 証 債 務 の 履 行 ( 代 位 弁 済 ) を す る こ と が で き る 。

⑨ 被 告 が 本 件 連 帯 保 証 債 務 の 履 行 を し た と き は , 原 告 は , 被 告 に対 し ,そ の 弁 済 額 ,弁 済 に 要 し た 費 用 そ の 他 被 告 が 負 担 し た 費 用 の全 額 を 速 や か に 償 還 す る 。

⑩ 被 告 は , 本 件 賃 貸 借 契 約 が 解 除 そ の 他 の 事 情 に よ っ て 消 滅 ・ 終了 し た と き は ,B に 対 し ,被 告 の 費 用 負 担 を も っ て 速 や か に 原 告 を本 件 建 物 か ら 退 去 さ せ て 建 物 を 明 け 渡 さ せ る よ う に 努 力 す る 。

⑪ 原 告 は , 被 告 に 対 し , 被 告 が 前 記 ⑩ 等 に 基 づ き 本 件 建 物 の 明 渡し 手 続 を と る た め に 必 要 な 限 度 に お い て ,ド ア 施 錠 の 解 除 及 び 取 替並 び に 本 件 建 物 内 へ の 入 室・家 財 道 具 等 の 動 産 類 の 搬 出・保 管 を 行う こ と を 予 め 許 諾 す る 。

⑫ 契 約 期 間 満 了 1 か 月 前 ま で に , B 又 は 被 告 か ら の 書 面 に よ る 解約 の 申 出 が な い 場 合 に は ,本 件 住 み 替 え か ん た ん 契 約 は 当 然 に 1 年間 更 新 さ れ , そ れ 以 降 も 同 様 と す る 。

( 5 ) 原 告 は , B な い し 仲 介 業 者 に 対 し , 平 成 1 9 年 1 1 月 2 日 こ ろ まで に , 本 件 賃 貸 借 契 約 に つ い て 1 1 月 分 の 賃 料 5 万 6 0 0 0 円 及 び共 益 費 6 4 0 0 円 , 家 財 保 険 料 2 万 1 0 0 0 円 , 室 内 殺 菌 消 毒 ・ 消臭 セ ッ ト 代 2 万 1 0 0 0 円 , 安 心 入 居 サ ポ ー ト 代 1 万 5 7 5 0 円 ,事 務 手 数 料 3 万 1 5 0 0 円 , 本 件 保 証 委 託 契 約 の 初 回 保 証 委 託 料 4万 0 5 0 0 円 ( B な い し 仲 介 業 者 を 通 じ て , 被 告 に 支 払 わ れ た も のと 認 め ら れ る 。 ) の 合 計 1 9 万 2 1 5 0 円 を 支 払 っ た 。

( 6 ) 原 告 は ,B に 対 し ,平 成 2 1 年 6 月 こ ろ ,本 件 建 物 を 明 け 渡 し た 。

( 7 ) 原 告 は , 名 古 屋 市 O 区 社 会 福 祉 事 務 所 長 か ら , 平 成 2 1 年 5 月 20 日 , 就 労 収 入 の 喪 失 に よ り , 保 護 開 始 の 決 定 を 受 け , 同 年 6 月 1日 , 児 童 手 当 を 認 定 さ れ た 。

3 本 訴 請 求 1 に つ い て
( 1 ) 原 告
 原 告 は , 被 告 に 対 し , 以 下 の ア な い し ウ ( 「 原 告 主 張 ア 」 な ど とい う 。 以 下 同 様 。 ) の と お り 主 張 し て , 1 0 万 5 0 2 8 円 及 び う ち1 0 万 円 に 対 す る 平 成 2 1 年 7 月 2 5 日 か ら 支 払 済 み ま で 民 法 所 定の 年 5 分 の 割 合 に よ る 利 息 の 支 払 を 求 め て お り , 後 記 ( 2 ) エ 及 びオ の 被 告 の 相 殺 の 抗 弁 に 対 し て , 以 下 の エ 及 び オ の と お り 認 否 す るな ど し て 争 っ て い る 。

 ア 原 告 は , 被 告 に 対 し , 平 成 2 0 年 中 に , 以 下 の と お り 解 除 更 新料 合 計 1 0 万 円 を 支 払 っ た 。
 ① 1 月 2 2 日   1 万 円
 ② 2 月 2 9 日   1 万 円
 ③ 3 月 2 8 日   1 万 円
 ④ 5 月 2 7 日   1 万 円
 ⑤ 7 月 1 1 日   1 万 円
 ⑥ 8 月 2 6 日   1 万 円
 ⑦ 1 0 月 6 日   1 万 円
 ⑧ 1 0 月 3 0 日 1 万 円
 ⑨ 1 2 月 1 日   1 万 円
 ⑩ 1 2 月 2 6 日 1 万 円

 イ 解 除 更 新 料 は , 実 質 的 に 委 託 を 受 け た 連 帯 保 証 人 ( 被 告 ) に 対す る 損 害 賠 償 の 予 定 な い し 違 約 金 で ,解 除 更 新 に よ る 平 均 的 損 害 は存 在 し な い か ら ,そ の 全 部 が 平 均 的 損 害 の 額 を 超 え る し ,解 除 更 新特 約 は , 貸 主 ( B ) に 対 す る 賃 料 支 払 義 務 を , 連 帯 保 証 人 ( 被 告 )に 対 す る 義 務 に も す る と と も に ,解 除 更 新 料 特 約 は ,上 記 の と お り連 帯 保 証 人( 被 告 )に 対 す る 損 害 賠 償 の 予 定 等 を 定 め る も の で ,義務 を 加 重 し て い る し ,解 除 更 新 特 約 は ,賃 借 人( 原 告 )の 債 務 不 履行 に よ り 自 動 的 に 解 除 さ れ る も の と し て ,相 当 期 間 を 定 め た 催 告 及び 解 除 の 意 思 表 示 を 不 要 と し ,賃 借 人 の 解 除 か ら 免 れ る 機 会 を 喪 失さ せ て 権 利 の 制 限 を し て お り ,当 事 者 相 互 の 信 頼 関 係 を 基 礎 と す る継 続 的 契 約 に つ い て の 信 頼 関 係 破 壊 の 法 理 に も 反 し て い る し ,さ らに ,被 告 は ,原 告 に ,初 回 保 証 委 託 料( 4 万 0 5 0 0 円 ),経 過 更新 料( 1 年 ご と に 1 万 円 )及 び 求 償 の 際 の 年 1 4 .6 % の 割 合 に よる 遅 延 損 害 金 を 支 払 わ せ る の に 加 え ,解 除 更 新 料( 毎 回 1 万 円 )を支 払 わ せ る な ど ,解 除 更 新 特 約 及 び 解 除 更 新 料 特 約 は ,消 費 者 契 約法 9 条 1 号 及 び 1 0 条 に 反 す る も の で ,公 序 良 俗( 民 法 9 0 条 )にも 反 し て お り , 無 効 で あ る 。

 ウ 被 告 は , 前 記 ア の 解 除 更 新 料 ( 合 計 1 0 万 円 ) を 不 当 利 得 し てお り ,本 件 住 み 替 え か ん た ん 契 約 締 結 の 時 点 で ,解 除 更 新 特 約 及 び解 除 更 新 料 特 約 が 無 効 で あ る こ と を 認 識 し て い た か ら ,悪 意 の 受 益者 で あ っ て ,利 息 を 計 算 す る と 別 紙 更 新 保 証 委 託 料 計 算 書 記 載 の とお り と な る 。

 エ 後 記 ( 2 ) エ は , 否 認 な い し 争 う 。

 オ 後 記 ( 2 ) オ は , 争 う 。

( 2 ) 被 告

 こ れ に 対 し , 被 告 は , 以 下 の ア な い し ウ ( 「 被 告 主 張 ア 」 な ど とい う 。 以 下 同 様 。 ) の と お り 認 否 す る な ど し , エ 及 び オ の と お り 相殺 の 抗 弁 を 主 張 し て 争 っ て い る 。

 ア 原 告 主 張 ア の う ち , 原 告 か ら 被 告 に ① な い し ⑥ , ⑧ 及 び ⑩ の 合計 8 万 円 の 支 払 が あ っ た こ と ,① な い し ⑥ 及 び ⑩ の 合 計 7 万 円 の 支払 が 解 除 更 新 料 の 支 払 で あ っ た こ と は 認 め る が ,そ の 余 は 否 認 す る 。原 告 主 張 ア ⑧ の 1 万 円 の 支 払 は 経 過 更 新 料 の 支 払 で あ っ た 。

 イ 原 告 主 張 イ の う ち , 被 告 が 原 告 か ら , 初 回 保 証 委 託 料 ( 4 万 05 0 0 円 ),経 過 更 新 料( 1 年 ご と に 1 万 円 ),解 除 更 新 料( 毎 回1 万 円 )及 び 求 償 の 際 に 年 1 4 .6 % の 割 合 に よ る 遅 延 損 害 金 の 支払 を 受 け た こ と は 認 め る が , そ の 余 は 否 認 な い し 争 う 。

 遅 延 損 害 金 の 請 求 は , 被 告 内 部 の シ ス テ ム 変 更 等 に よ る 混 乱 によ り ,原 告 と の 間 で は 合 意 が な い の に ,誤 っ て 行 わ れ た も の で あ る 。被 告 は ,解 除 更 新 料 特 約 を ,賃 料 の 滞 納 事 故 を 繰 り 返 す 入 居 者 に 対し て 自 ら よ り 安 い 賃 料 の 物 件 へ の 転 居 を 促 す 目 的 で 導 入 し た が ,シス テ ム 上 の 問 題 な ど も 相 ま っ て 所 期 の 目 的 と は 異 な る 効 果 や 問 題が 生 じ た た め ,平 成 2 0 年 1 2 月 以 降 廃 止 し ,そ れ ま で の 約 1 年 間に 受 領 し た 解 除 更 新 料 は ,順 次 返 還 又 は 相 殺 し て 処 理 し て い る( 前記 ア で 認 め た 解 除 更 新 料( 7 万 円 )に つ い て も ,後 記 オ の と お り 相殺 す る 。 ) 。

 ウ 原 告 主 張 ウ は , 否 認 な い し 争 う 。

 エ 被 告 は , 原 告 が 支 払 を 遅 滞 し た 本 件 賃 貸 借 契 約 の 平 成 2 1 年 4月 分 な い し 6 月 分 の 賃 料 等 に つ い て ,各 月 と も 2 8 日 に 7 万 8 0 00 円 ず つ( 合 計 2 3 万 4 0 0 0 円 )を B に 支 払 い ,各 月 と も 振 込 手数 料 2 1 0 円( 合 計 6 3 0 円 )を 要 し た の で ,原 告 に 対 し ,合 計 23 万 4 6 3 0 円 の 求 償 金 債 権 を 有 し て い る 。

 オ 被 告 は , 前 記 ア で 認 め た 7 万 円 の 解 除 更 新 料 の 返 還 債 務 と 前 記エ の 求 償 金 債 権 と を 対 当 額 で 相 殺 す る 。


4 本 訴 請 求 2 に つ い て
( 1 ) 原 告
 原 告 は , 被 告 に 対 し , 以 下 の と お り 主 張 し て , 合 計 1 2 5 万 円 及び こ れ に 対 す る 訴 状 送 達 の 日 の 翌 日 で あ る 平 成 2 1 年 8 月 2 0 日 から 支 払 済 み ま で 民 法 所 定 の 年 5 分 の 割 合 に よ る 遅 延 損 害 金 の 支 払 を求 め て い る 。

 カ 被 告 は , 原 告 に 対 し , 原 告 の 無 知 及 び 窮 迫 に 乗 じ , 法 律 上 の 原因 が な い こ と を 知 り な が ら ,解 除 更 新 料 等 の 徴 収 に 根 拠 が あ る か のよ う に 装 い ,ま た ,被 告 が 正 当 に 原 告 に 退 去 を 求 め る こ と が で き るか の よ う に 装 っ て ,原 告 に 解 除 更 新 料 1 0 万 円 等 の 理 由 の な い 支 払を さ せ ,さ ら に ,毎 月 の 支 払 期 日 前 後 に ,約 5 分 間 に 1 0 回 以 上 の不 在 着 信 を 残 す な ど の 原 告 へ の 執 拗 な 請 求 や 退 去 の 勧 告 等 を 何 度も 行 っ た 。

 キ 原 告 は , 被 告 の 前 記 カ の 行 為 に よ り , 被 告 の 請 求 や 退 去 の 勧 告等 が 正 当 な も の だ と 誤 信 し て ,幼 い 子 を か か え な が ら ,罪 の 意 識 に苛 ま れ ,経 済 的 に 苦 し い 中 で ,根 拠 の な い 部 分 を 含 め 精 一 杯 の 支 払を し ,被 告 の 攻 撃 的 な 電 話 に よ る 督 促 等 に 悩 ま さ れ ,睡 眠 障 害 や うつ 病 に 陥 り ,そ の 結 果 ,生 活 保 護 を 受 け ざ る を 得 な く な る な ど ,多大 な 精 神 的 苦 痛 を 被 っ た 。

 ク 前 記 カ 及 び キ の 被 告 の 原 告 に 対 す る 不 法 行 為 に よ る 慰 謝 料 と して は 1 1 0 万 円 が 相 当 で あ り ,弁 護 士 費 用 と し て は 1 5 万 円 が 相 当で あ る 。

( 2 ) 被 告
 こ れ に 対 し ,被 告 は ,以 下 の と お り 認 否 す る な ど し て 争 っ て い る 。

 カ 原 告 主 張 カ は , 被 告 が 原 告 か ら 被 告 主 張 ア の 限 度 で 支 払 を 受 けた こ と ,被 告 が 原 告 に 求 償 金 の 請 求 を し た り ,賃 料 が 安 い 物 件 へ の転 居 を 促 し た こ と は 認 め る が ,執 拗 な も の で は な か っ た し ,保 証 会社 で あ る 被 告 と し て は ,解 除 権 の 定 め は 必 須 な も の で あ り ,本 件 住み 替 え か ん た ん 契 約 で は ,賃 貸 人 か ら 解 除 の 意 思 表 示 が さ れ ,信 頼関 係 破 壊 の 法 理 に よ り そ れ が 有 効 と 判 断 さ れ る で あ ろ う 場 合 に のみ 限 定 し て 解 除 権 を 定 め て い る も の で ,被 告 が ,単 独 解 除 特 約 に 基づ き ,本 件 賃 貸 借 契 約 の 解 除 を 主 張 し て 退 去 を 求 め た の は ,正 当 な権 利 行 使 で あ る 。

 キ 原 告 主 張 キ は , 不 知 な い し 否 認 す る 。

 ク 原 告 主 張 ク は , 争 う 。

5 本 訴 請 求 3 に つ い て
( 1 ) 原 告
 原 告 は , 被 告 に 対 し , 以 下 の と お り 主 張 し て , 合 計 3 7 2 5 円 及び こ れ に 対 す る 訴 状 送 達 の 日 の 翌 日 で あ る 平 成 2 1 年 8 月 2 0 日 から 支 払 済 み ま で 民 法 所 定 の 年 5 分 の 割 合 に よ る 遅 延 損 害 金 の 支 払 を求 め て い る 。

 ケ 原 告 は , 被 告 に 対 し , 平 成 2 1 年 4 月 こ ろ , 本 件 保 証 委 託 契 約に 関 す る 原 告 か ら 被 告 へ の 入 金 履 歴 の 開 示 を 請 求 し た と こ ろ ,本 件保 証 委 託 契 約 に は 開 示 手 数 料 の 規 定 は な い の に ,被 告 は ,開 示 手 数料 2 1 0 0 円 を 支 払 わ な け れ ば 開 示 し な い と し て 開 示 を 拒 絶 し た 。さ ら に ,原 告 は ,被 告 に 対 し ,同 年 5 月 3 0 日 到 達 の 内 容 証 明 郵 便で 入 金 履 歴 の 開 示 を 請 求 し た が ,被 告 が 同 様 の 理 由 で 開 示 を 拒 絶 した た め ,2 1 5 0 円( 5 0 円 は 過 振 込 )を 振 り 込 ん で 開 示 を 請 求 した 。

 コ 前 記 ケ の 被 告 の 拒 絶 行 為 は , 本 件 保 証 委 託 契 約 の 受 任 者 の 義 務に 反 す る も の で あ り ,原 告 は ,こ れ に よ り ,前 記 ケ の 内 容 証 明 郵 便の 代 金 1 4 7 0 円 並 び に 振 込 金 2 1 5 0 円 及 び そ の 手 数 料 1 0 5円 ( 合 計 3 7 2 5 円 ) の 損 害 を 被 っ た 。

( 2 ) 被 告
 こ れ に 対 し , 被 告 は , 以 下 の と お り 認 否 す る な ど し て , 争 っ て いる 。

 ケ 原 告 主 張 ケ は , 認 め る 。

 コ 原 告 主 張 コ は , 争 う 。

 

6 反 訴 請 求 に つ い て
( 1 ) 被 告
 被 告 は , 原 告 に 対 し , 前 記 3 ( 2 ) の 被 告 主 張 エ の と お り 主 張 して , 被 告 主 張 オ で 相 殺 後 の 残 金 1 6 万 0 8 6 1 円 及 び こ れ に 対 す る反 訴 状 送 達 の 日 の 翌 日 で あ る 平 成 2 1 年 1 0 月 2 3 日 か ら 支 払 済 みま で 民 法 所 定 の 年 5 分 の 割 合 に よ る 遅 延 損 害 金 の 支 払 を 求 め て い る 。

( 2 ) 原 告
 こ れ に 対 し , 原 告 は , 前 記 3 ( 1 ) の 原 告 主 張 エ の と お り 認 否 する な ど し て 争 っ て い る 。


【判例】 「②家賃保証会社の保証委託契約による「取立て・追い出し行為」が不法行為に該当するという事例」へ続く 


【判例】 ②家賃保証会社の保証委託契約による「取立て・追い出し行為」が不法行為に該当するという事例

2011年10月27日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

第 3 当 裁 判 所 の 判 断

1 本 訴 請 求 1 に つ い て
( 1 ) 原 告 か ら 被 告 に 原 告 主 張 ア ① な い し ⑥ , ⑧ 及 び ⑩ の 合 計 8 万 円 の支 払 が あ っ た こ と は , 当 事 者 間 に 争 い が な い が , 原 告 主 張 ア ⑦ 及 び⑨ の 支 払 に つ い て は , こ れ を 認 め る に 足 り る 証 拠 が な い 。

 ま た , 原 告 主 張 ア ① な い し ⑥ 及 び ⑩ の 合 計 7 万 円 の 支 払 が 解 除 更新 料 の 支 払 で あ っ た こ と は 争 い が な い が , 原 告 主 張 ア ⑧ の 支 払 に つい て は , 本 件 保 証 委 託 契 約 締 結 か ら 約 1 年 後 の 支 払 で あ り , そ の 時期 か ら す る と 経 過 更 新 料 の 支 払 で あ っ た 可 能 性 も あ り , 解 除 更 新 料の 支 払 で あ っ た と 認 め る に 足 り る 証 拠 は な い 。


( 2 ) 前 記 前 提 事 実 の と お り , 解 除 更 新 特 約 は , 原 告 が 賃 料 の 支 払 を 1回 で も 滞 納 し た 場 合 , 本 件 保 証 委 託 契 約 が , B 及 び 原 告 の 承 諾 の 有無 に か か わ ら ず 無 催 告 で 自 動 的 に 債 務 不 履 行 解 除 さ れ た 上 で , 自 動的 に 同 一 条 件 で 更 新 さ れ る と い う も の で あ る 。

 し か し , 前 記 前 提 事 実 及 び 証 拠 ( 甲 3 ) に よ れ ば , 本 件 保 証 委 託契 約 に つ い て は , 「 お 家 賃 の 引 き 落 と し が 間 に 合 わ な か っ た 場 合 にオ ー ナ ー 様 へ お 家 賃 を お 立 て 替 え す る サ ー ビ ス で す 。 」 と さ れ , 初回 保 証 委 託 料 が 4 万 0 5 0 0 円 と さ れ ( 前 記 前 提 事 実 の と お り , 原告 は 被 告 に こ れ を 支 払 っ て い る 。 ) , 契 約 締 結 後 1 年 経 過 ごと に ,1 万 円 の 経 過 更 新 料 を 支 払 う こ と と さ れ て い る も の で , 継 続 的 契 約で あ る 本 件 賃 貸 借 契 約 の 借 主( 原 告 )の 債 務 を 保 証 す る も の で あ る 。

 そ れ に も か か わ ら ず , 上 記 の よ う に , 原 告 が 賃 料 の 支 払 を 1 回 滞 納し た だ け で , B 及 び 原 告 の 承 諾 の 有 無 に か か わ ら ず 無 催 告 で 自 動 的に 債 務 不 履 行 解 除 さ れ る と い う の は , 原 告 ( 委 託 者 ) が 初 回 保 証 委託 料 4 万 0 5 0 0 円 を 支 払 っ て , 被 告 ( 受 託 者 ) に 対 す る 債 務 を 履行 し て い る の に , 被 告 が 自 ら 受 託 し た 保 証 債 務 を 履 行 す る 前 に , 自動 的 に 債 務 不 履行 解 除 さ れ る こ と に な る の で あ っ て , 明 ら か に 契 約の 趣 旨 に 反 す る も の で あ り ( ま た , こ の 時 点 に お い て , 被 告 と の 関係 で 「 債 務 不 履 行 」 と い う の も 虚 偽 の 論 理 で あ る 。 ) , そ の 場 合 自動 的 に 同 一 条 件 で 更 新 さ れ る と さ れ て は い る が , 原 告 は そ の 都 度 1万 円 の 解 除 更 新 料 を 支 払 わ な け れ ば な ら な い と さ れ て い る も の で ある か ら , 解 除 更 新 特 約 及 び 解 除 更 新 料 特 約 は , 消 費 者 の 権 利 を 制 限し か つ 消 費 者 の 義 務 を 加 重 す る も の で あ る し , 信 義 誠 実 の 原 則 ( 民法 1 条 2 項 )に 反 し て 消 費 者 の 利 益 を 一 方 的 に 害 す る も の で あ っ て ,消 費 者 契 約 法 1 0 条 に よ り , 無 効 と い う べ き で あ る 。

( 3 ) 被 告 は , 賃 貸 住 宅 , 店 舗 及 び オ フ ィ ス 等 の 入 居 者 の 保 証 人 受 託 業務 等 を 目 的 と す る 株 式 会 社 で あ り , 上 記 目 的 が 目 的 と さ れ た 平 成 19 年 1 1 月 1 2 日 よ り 前 に お い て も , 信 用 保 証 , 金 銭 債 権 買 取 , 金融 業 , 質 屋 業 等 を 目 的 と し て い た の で あ る か ら , 少 な く と も 本 件 住み 替 え か ん た ん 契 約 締 結 の 時 点 で は , 前 記 ( 2 ) の と お り , そ れ 自体 が 明 ら か に 本 件 保 証 委 託 契 約 の 趣 旨 に 反 し て い る 解 除 更 新 特 約 及び 解 除 更 新 料 特 約 が 消 費 者 契 約 法 1 0 条 に よ り 無 効 で あ る こ と を 知っ て い た も の と 推 認 さ れ , こ れ を 覆 す に 足 り る 証 拠 は な い 。

 そ れ に も か か わ ら ず ,被 告 は ,前 記( 1 )の と お り ,原 告 か ら 解 除更 新 料 ( 合 計 7 万 円 ) の 支 払 を 受 け , こ れ を 不 当 利 得 し て い た の であ っ て , 悪 意 の 受 益 者 と 認 め ら れ る 。

( 4 ) 被 告 は , 原 告 に 対 し て 負 担 す る 解 除 更 新 料 ( 合 計 7 万 円 ) の 返 還債 務 と , 原 告 に 対 し て 有 す る 求 償 金 債 権 と を 対 当 額 で 相 殺 す る と して , 原 告 が 支 払 を 遅 滞 し た 本 件 賃 貸 借 契 約 の 平 成 2 1 年 4 月 分 な いし 6 月 分 の 賃 料 等 に つ い て , 各 月 と も 2 8 日 に 7 万 8 0 0 0 円 ず つ( 合 計 2 3 万 4 0 0 0 円 ) を B に 支 払 い , 各 月 と も 振 込 手 数 料 2 10 円 ( 合 計 6 3 0 円 ) を 要 し た の で , 被 告 は , 原 告 に 対 し , 合 計 23 万 4 6 3 0 円 の 求 償 金 債 権 を 有 し て い る 旨 主 張 し , 乙 1 号 証 及 び2 号 証 を 提 出 す る 。

 し か し ,原 告 は こ れ を 争 っ て お り ,被 告 が 原 告 に 開 示 し た「 ご 入 金明 細 書 」 ( 甲 5 ) 並 び に こ れ と 同 様 の も の と し て 被 告 が 証 拠 と し て提 出 し た 乙 1 号 証 及 び 2 号 証 は ,い ず れ も 相 互 に 異 な る 部 分 が あ り ,「 預 り 金 」 ( 甲 5 ) , 「 余 剰 金 」 ( 乙 1 ) な ど と い う 名 目 で , 不 明瞭 な 処 理 を 行 っ て い た の で あ る し ( 乙 2 号 証 で は こ れ ら の 名 目 は なく な っ て い る が , 乙 2 号 証 は 本 件 本 訴 の 提 起 か ら 1 年 以 上 経 過 し た第 5 回 弁 論 準 備 手 続 期 日 ( 平 成 2 2 年 1 0 月 2 5 日 ) に 提 出 さ れ たも の で あ り , そ れ よ り 前 の 処 理 が 杜 撰 で あ っ た こ と を 否 定 で き る もの で は な い 。 ) , こ の よ う な 状 況 に あ り な が ら , 被 告 は , 「 集 金 代 に お け る お 家 賃 お 振 込 み 明 細 書 」 と 題 す る 管 理 会 社 に 対 し 振 り 込ん だ 入 居 者 ご と の 金 額 が 記 載 さ れ た 振 込 情 報 の 一 覧 表 等 は 証 拠 と して 提 出 し な い な ど と し て い る ( 平 成 2 2 年 5 月 6 日 付 け 被 告 準 備 書面 5 ) の で あ っ て , 乙 1 号 証 及 び 2 号 証 や 甲 5 号 証 の 記 載 は 直 ち に採 用 す る こ と が で き ず , 他 に 被 告 の 上 記 主 張 を 認 め る に 足 り る 証 拠は な い 。

( 5 ) 以 上 に よ れ ば , 別 紙 ( 添 付 省 略 ) 判 決 計 算 書 記 載 の と お り の 利 息計 算 と な り , 原 告 の 本 訴 請 求 1 は , 7 万 1 9 3 1 円 及 び う ち 不 当 利得 金 7 万 円 に 対 す る 平 成 2 0 年 1 2 月 2 7 日 か ら 支 払 済 み ま で 民 法所 定 の 年 5 分 の 割 合 に よ る 利 息 の 支 払 を 求 め る 限 度 で 理 由 が あ り ,そ の 余 は 理 由 が な い 。


2 本 訴 請 求 2 に つ い て

( 1 ) 前 記 前 提 事 実 及 び 前 記 1 の 認 定 事 実 等 に 証 拠 ( 甲 5 , 1 4 な い し1 6 , 乙 1 , 2 。 た だ し , 原 告 の 陳 述 書 ( 甲 1 6 ) に つ い て は , 以下 の 認 定 に 反 す る 部 分 を 除 く 。 ) 及 び 弁 論 の 全 趣 旨 を 総 合 す る と ,被 告 は , 消 費 者 契 約 法 1 0 条 に よ り 無 効 で あ る こ と を 知 り な が ら ,原 告 に , 解 除 更 新 特 約 及 び 解 除 更 新 料 特 約 を 含 ん だ 本 件 住 み 替 え かん た ん 契 約 を 締 結 さ せ て , 解 除 更 新 料 合 計 7 万 円 を 支 払 わ せ , こ れに 加 え て , 原 告 に , 年 1 4 . 6 % の 割 合 に よ る 遅 延 損 害 金 を 支 払 わせ て 自 ら こ れ を 取 得 し , さ ら に は , 前 記 1 ( 4 ) の よ う な 不 明 瞭 な処 理 を 行 い , B へ の 家 賃 等 の 振 込 手 数 料 2 1 0 円 の ほ か に , 「 振 込手 数 料 」 と し て 8 4 0 円 , 「 そ の 他 ・ 別 途 振 込 手 数 料 」 と し て 3 49 6 円 ( 甲 1 5 ) な ど と , 根 拠 の 明 ら か で な い 金 銭 も 含 め 原 告 に 過分 な 支 払 を さ せ て い た こ と , 原 告 が 何 回 か 支 払 を 遅 滞 し た 後 は , 原告 と B と の 間 の 信 頼 関 係 が 破 壊 さ れ た と 認 め ら れ る 状 況 に は 至 っ てい な い に も か か わ ら ず , 本 件 建 物 か ら 出 て 行 く よ う に 働 き か け て いた こ と , 被 告 は , 資 本 金 3 億 3 2 0 0 万 円 の 賃 貸 住 宅 , 店 舗 及 び オフ ィ ス 等 の 入 居 者 の 保 証 人 受 託 業 務 等 を 目 的 と す る 株 式 会 社 で , 本件 住 み 替 え か ん た ん 契 約 の 契 約 書 ( 甲 3 ) や 「 ご 入 金 明 細 書 」 ( 甲5 ) は 被 告 の 上 記 業 務 に つ い て の 一 連 の シ ス テ ム の 中 で 作 成 さ れ たも の で あ り , こ の よ う な 不 当 な 請 求 や 退 去 の 勧 告 を 組 織 的 に 行 っ てい た こ と が 認 め ら れ , 社 会 通 念 上 許 容 さ れ る 限 度 を 超 え た も の で ,不 法 行 為 に 該 当 す る も の と い う べ き で あ る 。

 ま た , 上 記 証 拠 等 に よ れ ば , こ れ ら の 被 告 の 行 為 に よ っ て , 原 告は , 被 告 の 請 求 す る 金 額 ( た だ し , 上 記 の と お り , 過 大 な い し 根 拠の 不 明 確 な も の を 含 む 。 ) を 支 払 え な い こ と や , 本 件 建 物 か ら の 退去 の 勧 告 に , 精 神 的 に 圧 力 を 感 じ , 心 身 の 不 調 を き た す な ど , 少 なか ら ぬ 精 神 的 苦 痛 を 被 っ た こ と が 認 め ら れ る 。

 し か し ,原 告 は ,原 告 本 人 尋 問 の 申 出 を し て お き な が ら ,そ の 後 ,心 身 の 状 況 に よ る 可 能 性 は あ る も の の , 原 告 訴 訟 代 理 人 ら か ら も 連絡 が 取 れ な い 状 態 に し て 放 置 し て い る の で あ っ て ,原 告 の 陳 述 書( 甲1 6 ) に 記 載 が あ る か ら と い っ て , 反 対 尋 問 を 経 な い ま ま 直 ち に これ を 採 用 す る こ と は で き な い の で あ り , そ の 余 の 原 告 主 張 カ 及 び キの 事 実 に つ い て は , こ れ を 認 め る に 足 り る 証 拠 は な い 。


( 2 ) 以 上 に よ れ ば , 被 告 の 前 記 ( 1 ) の 不 法 行 為 に よ り , 原 告 が 被 った 精 神 的 苦 痛 に 対 す る 慰 謝 料 と し て は , 2 0 万 円 が 相 当 で あ り , 弁護 士 費 用 と し て は , 5 万 円 が 相 当 で あ る 。

 そ う す る と , 原 告 の 本 訴 請 求 2 は , 被 告 に 対 し , 2 5 万 円 及 び これ に 対 す る 訴 状 送 達 の 日 の 翌 日 で あ る 平 成 2 1 年 8 月 2 0 日 か ら 支払 済 み ま で 民 法 所 定 の 年 5 分 の 割 合 に よ る 遅 延 損 害 金 の 支 払 を 求 める 限 度 で 理 由 が あ り , そ の 余 は 理 由 が な い 。


3 本 訴 請 求 3 に つ い て

( 1 ) 原 告 が , 被 告 に 対 し , 平 成 2 1 年 4 月 こ ろ , 本 件 保 証 委 託 契 約 に関 す る 原 告 か ら 被 告 へ の 入 金 履 歴 の 開 示 を 請 求 し た こ と , 本 件 保 証委 託 契 約 に は 開 示 手 数 料 の 規 定 が な い こ と , 被 告 は , 原 告 の 上 記 開示 請 求 に 対 し , 開 示 手 数 料 2 1 0 0 円 を 支 払 わ な け れ ば 開 示 し な いと し て 拒 絶 し た こ と , 原 告 は , 被 告 に 対 し , 同 年 5 月 3 0 日 到 達 の内 容 証 明 郵 便 で 入 金 履 歴 の 開 示 を 請 求 し た こ と , 被 告 は , 上 記 内 容証 明 郵 便 に よ る 開 示 請 求 に 対 し て も , 上 記 と 同 様 の 理 由 で 開 示 を 拒絶 し た こ と , そ の 後 , 原 告 は , 被 告 に 対 し , 2 1 5 0 円 ( た だ し ,5 0 円 は 過 振 込 ) を 振 り 込 ん で 開 示 を 請 求 し た こ と は 当 事 者 間 に 争い が な い 。

( 2 ) 被 告 は , 本 件 保 証 委 託 契 約 の 受 任 者 と し て , 委 任 者 で あ る 原 告 から 請 求 が あ る と き は , 委 任 事 務 の 処 理 の 状 況 を 報 告 す る 義 務 が あ り( 民 法 6 4 5 条 ) , 本 件 保 証 委 託 契 約 は 有 償 で , 原 告 は 初 回 保 証 委託 料 4 万 0 5 0 0 円 を 被 告 に 支 払 っ て お り , 種 々 の 詳 細 な 規 定 を おい て い る 中 で , 開 示 に 関 す る 手 数 料 に つ い て は 規 定 し て い な い の であ る か ら , 原 告 の 請 求 が 濫 用 に わ た る よ う な 特 段 の 事 情 が あ る 場 合を 除 き , 被 告 は , 原 告 の 請 求 に 対 し , 手 数 料 な し に 入 金 履 歴 等 の 開示 を す る 義 務 が あ る と い う べ き で あ る 。

( 3 ) と こ ろ が , 被 告 は , 前 記 ( 1 ) の と お り , 手 数 料 2 1 0 0 円 を 要求 し て 原 告 の 請 求 を 拒 み , し か も , 原 告 が 手 数 料 を 振 り 込 ん だ 後 ,「 ご 入 金 明 細 書 」( 甲 5 )に よ り こ れ を 開 示 し た も の の ,前 記 1( 4 )の と お り , 後 に 内 容 を 乙 1 号 証 , 乙 2 号 証 と 順 次 変 更 し て い る よ うに , そ の 正 確 性 に 疑 問 の あ る 履 歴 し か 開 示 し な か っ た の で あ っ て ,こ れ は , 被 告 の 債 務 不 履 行 で あ り , そ の た め , 原 告 は , 支 出 せ ざ るを 得 な か っ た 内 容 証 明 郵 便 の 代 金 1 4 7 0 円 並 び に 振 込 金 2 1 5 0円 の う ち 被 告 が 開 示 手 数 料 と し て 要 求 し た 2 1 0 0 円 及 び そ の 振 込手数料 1 0 5 円 ( 合 計 3 6 7 5 円 ) の 損 害 を 被 っ た こ と が 認 め ら れる 。 し か し , 原 告 が 誤 っ て 振 り 込 ん だ 5 0 円 に つ い て は , 不 当 利 得と な り 得 る 可 能 性 は あ る も の の , 被 告 の 上 記 債 務 不 履 行 と 相 当 因 果関 係 の あ る 損 害 と は 認 め ら れ な い 。

( 4 ) 以 上 に よ れ ば , 原 告 の 本 訴 請 求 3 は , 被 告 に 対 し , 3 6 7 5 円 及び こ れ に 対 す る 訴 状 送 達 の 日 の 翌 日 で あ る 平 成 2 1 年 8 月 2 0 日 から 支 払 済 み ま で 民 法 所 定 の 年 5 分 の 割 合 に よ る 遅 延 損 害 金 の 支 払 を求 め る 限 度 で 理 由 が あ り , そ の 余 は 理 由 が な い 。

4 反 訴 請 求 に つ い て
 被 告 は , 原 告 が 支 払 を 遅 滞 し た 本 件 賃 貸 借 契 約 の 平 成 2 1 年 4 月 分な い し 6 月 分 の 賃 料 等 に つ い て , 原 告 に 対 し , 合 計 2 3 万 4 6 3 0 円の 求 償 金 債 権 を 有 し て い る 旨 主 張 し て , そ の 一 部 で あ る 1 6 万 0 8 61 円 及 び こ れ に 対 す る 遅 延 損 害 金 の 支 払 を 請 求 し て い る が , 前 記 1( 4 ) の と お り , 上 記 被 告 の 主 張 を 認 め る に 足 り る 証 拠 は な く , 被 告の 反 訴 請 求 は 理 由 が な い 。

5 よ っ て , 原 告 の 本 訴 請 求 は , 被 告 に 対 し , 本 訴 請 求 1 に つ き , 7 万1 9 3 1 円 及 び う ち 7 万 円 に 対 す る 平 成 2 0 年 1 2 月 2 7 日 か ら 支 払済 み ま で 年 5 分 の 割 合 に よ る 金 員 の 支 払 , 本 訴 請 求 2 及 び 3 に つ き ,合 計 2 5 万 3 6 7 5 円 及 び こ れ に 対 す る 平 成 2 1 年 8 月 2 0 日 か ら 支払 済 み ま で 年 5 分 の 割 合 に よ る 金 員 の 支 払 を 求 め る 限 度 で 理 由 が あ り ,そ の 余 は い ず れ も 理 由 が な く , 被 告 の 反 訴 請 求 は 理 由 が な く , 主 文 のと お り 判 決 す る 。


名 古 屋 地 方 裁 判 所 民 事 第 8 部

裁 判 官 長 谷 川 恭 弘

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


『全国追出し屋対策会議』の設立2周年の集会、 一日も早い規制法案の成立を

2011年03月18日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

 2月19日に東京の文京区で『全国追出し屋対策会議』の設立2周年の集会が開かれました。

 当日は、北海道大学大学院法学研究科教授・日本居住福祉学会理事の吉田邦彦教授が「住宅政策の貧困と居住福祉学―ハウジングプア・貧困ビジネスの現実と同法学の問題意識及び諸問題」というテーマで基調報告を行いました。「昨今の経済事情の不況による居住不安が表面化した。これに民法学は対応できているのかと考えると心許ない。しかし、『反貧困ネット』や『全国追出し屋対策会議』の運動は貴重な存在である。日本では居住問題を市場原理にまかせてしまっている。このような住まいにおける間違ったマインドコントロールを打破していくことが必要である。そのためにも公的保証制度が大事になっている」と述べました。

 昨年参議院では通過し、今現在衆議院で継続審議しとなっている「追出し屋規制法案」について全国会議の代表幹事の増田弁護士が情勢報告を行いました。国会の混乱で審議が行われていない結果、いまだに保証会社による追出し行為などの被害が後を絶たない。衆議院で速やかに審議し、一刻も早い法案成立を求めるとともに居住の安定をつくるうえで、家賃補助制度の確立など根本的な住生活の転換を求めていくことを訴えました。同時に、この法案がもっている家賃滞納者のデーターベース化については信用保証会社や携帯電話のクレジットカード利用状況の悪用などによる問題を指摘し、禁止をするよう求めていくことを訴えました。

 その後、実際に被害のあった当事者から、問答無用で部屋のカギを交換され、室内の荷物を処分された生々しい実態が報告され、参加者からは、その時の心境などが質問されました。また、東京日野市の高幡台団地でUR都市機構が住民に対して、耐震不足を理由に明渡を強要している問題を居住者が報告し、段ボール一箱分の裁判文書を送られてきたなどと報告しました。

 諸団体からは全借連の佐藤副会長、住まいの貧困ネットの稲葉代表、住まい連の坂庭代表幹事が連帯の挨拶を行いました。

 

 

全国借地借家人新聞より

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


家賃2か月滞納で家賃保証会社から退去請求され、分割支払いで合意 (兵庫・尼崎市)

2011年02月14日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

 尼崎市内でスナックを経営するAさんは2年前に店の近くの1DKのマンション賃貸借契約し、5万円の家賃で入居していました。

 長引く不況の影響で収入が激減し、売掛金もボーナスが入れば全額入金する予定がボーナスがカットされ払えなくなった人が数名あり、年末の支払予定ができなく11月と12月の家賃が滞納になりました。

 今年の1月に入り、賃貸借保証会社より2ヵ月分10万円の家賃の未払を「1月中旬までに支払わなければマンションを出て行け」と通告された。

 Aさんは滞納分を分割して払うので強制退去は何とかしてほしいとお願いしましたが、聞き入れてもらえず尼崎借地借家人組合に相談が持込まれました。

 組合で早速保証会社と交渉、保証会社が家賃の2ヵ月を家主に代位弁済をしても賃家を追い出す権利がない事、滞納家賃を4回に分けて支払うことで話し合いが出来、合意書を交わし解決しました。

 Aさんは女一人がこの寒い冬に家を出されもう死ぬしかないと思っていたのにまさに地獄に佛ですと喜んでいました。

 

全国借地借家人新聞より

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


【Q&A】 更新時に新保証会社にすると言われたが納得ができない

2011年02月01日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

(問) 12月に賃貸契約書の更新になります。契約の連帯保証人は、R保証会社です。今回、不動産管理会社から「更新後はC保証会社にするので、初期費用7万円、更新時は2万円となる」との連絡がありました。契約時、わたしはR保証会社に初回保証委託料4万円を支払い、更新時に2万円と説明を受けました。管理会社のいうようにC保証会社に変更しないと住めないのでしょうか。


(答) 管理会社は、あなたと合意なく契約内容を変更し、更新を求めることはできません。あなたが拒み、そのまま住み続ければ、契約は基本的に法定更新されます(借地借家法26条)。法定更新後は、退去して欲しい場合、貸主は6か月前に借り手に終了通知をする必要があります(同27条)。また、貸主が自分で住むなどの「正当な事由」がなければ、退去させることはできません(同28条)。

 保証会社の中には、家賃の滞納時、貸主や不動産管理会社に「代位弁済請求書」の提出を求め、滞納発生後の借家人との交渉は、全て保証会社に任せるように助言しています。

 悪質な取立てや追出し屋行為が社会問題となり、国会で「賃借人の居住の安定を確保するための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律案」(追い出し屋規制法案)が審議されていますが、臨時国会が会期切れとなり、継続審議扱いとなりました。

 全借連や全国追い出し屋対策会議などは、家賃滞納データベース事業の禁止など必要な修正を要求し、成立に向け運動しています。

 

全国借地借家人新聞より

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


不動産会社シンエイエステートが東京都から29日間の業務停止処分命令 (東京・立川市)

2011年01月27日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

 東京都立川市に本社のある不動産会社シンエイエステートは、敷金・礼金ゼロなどの「ゼロゼロ物件」を宣伝に1都3県にまたがって1万3,000件の物件を扱っている。

 この会社、保証人のいない方、休職中・失業中の人など貧困層や高齢者をターゲットに、「誰でも入居可能」が謳い文句だ。ところが、この会社の契約書は悪質で、「支払いを滞った場合は、請求書の配布、電話連絡等の甲の負荷業務に伴う費用として、督促手数料3000円を支払うものとします」(註1)と家賃の支払いが翌月の初めに支払っても、3000円を徴収する。多摩借組にも「給料の支払いが遅れるので、30回以上督促手数料支払った」という相談も寄せられている。

 また、入居時に数万円の「退室立会費」なるものを予め徴収し、一切返金しない明記されている(註2)。極めつけは「賃借人に賃料の未払いが生じた場合、賃貸人の請求にも関わらず、指定の期日までに支払いを行わなかった場合に、賃貸人が強制退室を行う」(註3)と追い出し行為を明記している。

 組合も参加している住まいの貧困に取り組むネットワークでは、2年前(2009年9月)に同社に対して、徴収された督促手数料の返還や追い出し行為を止めるよう要請し、立川市内をデモ行進したりして同社の悪質な行為を社会的に訴えた。

 また、東京都に対して保証人のいない入居者への「短期一時契約書」は違法ではないか、消費者契約法に反する契約書の作成を止めるよう、「東京都」と消費者団体の「消費者機構日本」に対して申入れを行った。

 この結果、東京都は同社から意見徴収を行った上で、2010年6月9日~7月7日までの29日間、同社に業務停止処分が下された。

 また、「消費者機構日本」からも「賃貸契約書」と「短期一時契約書」に対して、2009年の12月に10項目にわたって是正の申入れが行われた結果、2010年4月に「督促手数料」と「退室立会費」条項の削除、「自然損耗であっても賃借人は畳・クロス・襖の張替費用を半額負担する」原状回復条項についても削除すると回答してきた。また、同社は「強制退室」条項は当然のことながら削除すると回答した。

 しかし、すでに支払った督促手数料や退室立会費については未だに返還してこない。尚、追い出し行為の被害者との訴訟では、和解に応じ賠償金を支払っている。

 

東京借地借家人新聞より


(註1) 第4条(家賃・管理費・駐車場料の支払い)
4.入金方法に関わらず、前月末日までに乙(借主)が甲(貸主)へ当月分の支払いを滞った場合は、請求書の配布、電話連絡等の甲の負荷業務に伴う費用として、乙は甲に督促手数料3千円を支払うものとします

 ⇒督促手数料という名目をとっていたとしても、支払期日を遅延した際に支払う金銭としては、滞納違約金と同様であることは疑いようがない。消費者契約法9条2号では支払期日のある金銭の違約金として上限を年率14.6%と定めており、また、滞納期間に関わらず、一律に3000円の支払いを義務付けることは、消費者の利益を一方的に害する条項であり、消費者契約法10条に反して違法である。


(註2) 第15条(退室立会費)
1.乙の本物件の入居期間に関わらず、乙の退室の際は、甲により必ず本物件の点検を行うものとします。乙は甲の行なう点検に立会うものとし、その点検及び立会いに伴う費用は、乙の負担とします。

2.点検及び立会いに伴う費用は「退室立会費」として、乙は本契約締結時に前払いで甲に支払うものします。

3.乙は本契約の解約時に、新規契約時及び更新契約時の契約書、またはそれに添付の覚書に基づいて、ルームクリーニング代、シャワーカーテン代交換代等を甲に支払うものとし、乙から甲に預託中の敷金がある場合は、第5条3項に基づき、敷金との相殺にて支払うことができるものとします。但し、本契約締結時に乙が甲に退室立会費を支払済みの場合には、ルームクリーニング代等は発生しないものとします。

5.甲が乙より受領する退室立会費は、解約の理由を問わず、返金されないものとします。

 ⇒入居時に敷金ゼロ礼金ゼロで契約した入居者の多くは、仲介業者にて「退室立会費」なる名目で、本契約締結時に前払いで数万円を徴収されている。これは、3項でルームクリーニング代、シャワーカーテン代交換代等に充当するものとされている。預託中の敷金がある場合には、敷金との相殺にて支払うとされていることからも、敷金ゼロを謳うが、「退室立会費」は実質的には敷金の趣旨である。

 ⇒自然損耗・通常損耗について賃借人に原状回復義務を負担させる旨の特約は、消費者契約法10条に該当し、無効である。


(註3) 第19条(特約)
乙に賃料の未払いが生じ、甲及び株式会社シンエイエステートの請求にも関わらず、乙が指定の期日までに支払いを怠る、または約束不履行の際、甲は「強制退室」の処置を行うものとします。」

 ⇒法的手続きに則らない自力救済行為は法治国家では基本的に認められておらず、違法である。


その他に問題になるものに念書がある。

 <念書

 「 賃貸借契約を締結するにあたり、契約条項第11条の連帯保証人を選任せずに契約入居することの許可をお願い致します。

 上記物件を賃借するにあたり、契約条項を遵守し、特に賃料の滞納しないこと、物件・付属設備等を故意に破損しないことを約束致します。

 万が一、賃料滞納等の事故が発生し、当月の賃料を10日までに支払わなかった場合には何らかの督促を要せずに玄関ドアのシリンダー鍵の交換、室内の家具等残存物処分にも異議申し立て致しません。

 なお、今回賃貸借契約を締結するにあたり、敷金(家賃2ヵ月分)を預け入れ致します。」

⇒保証人が不要であるとホームページなどで謳っていながら、保証人をつけることができない入居者に対しては、実際には上記「念書」を書かせている。

⇒「万が一、賃料滞納等の事故が発生し、当月の賃料を10日までに支払わなかった場合には何らかの督促を要せずに玄関ドアのシリンダー鍵の交換、室内の家具等残存物処分にも異議申し立て致しません」という条文は、法治国家では認められていない自力救済行為を認める条項である。実行された場合は、住居侵入罪(刑法130条)や窃盗罪(刑法235条)、器物損壊罪(刑法261条)にも該当する刑事犯罪となる。・・・・(東京・台東借地借家人組合)

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


追い出し規制法案はまだか 民主迷走で宙に 被害続く (朝日)

2011年01月06日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

 家賃滞納者を強引に追い出す行為を禁じる「追い出し規制法案」が、たなざらしになっている。参院では与野党が法案成立を全会一致で可決したが、民主党の内紛や尖閣衝突ビデオ流出問題で衆院での審議は先送りされたまま。この間、被害はなお続き、法案に不満を持つ不動産業界からは、内容の修正を働きかける動きも出ている。

 建材配送会社で配達員として働く東京都中野区の男性(50)は昨年11月末、家賃4万9千円を期限までに支払えなかった。すると、途端に1日10回以上、催促の電話が鳴り始めた。部屋の管理を委託された保証会社からだ。

 「今日中に支払え」「カギを交換するぞ」。電話は深夜まで鳴り続けた。

 北海道函館市で長年、自動車教習所の教員をしていたが解雇された。公用車の運転や道路のパトロールをしながら住宅ローンや高校2年の長男の教育費を賄ってきたが、2009年に安定した収入を求めて上京。従業員寮のあるタクシー会社で運転手になった。ただ、稼ぎは毎月10万円余り。半年ハローワーク通いを続け、ようやく今の仕事を見つけた。

 月給は30万円近いが、住宅ローンに加え、都内で部屋を借りる際の敷金や礼金20万円の返済もあった。「来月10日の給料日まで待ってほしい」と頼んだが、保証会社の担当者は「じゃあ会社に出してもらうぞ」。本当に職場に電話がかかり始めた。

 消費者センターに紹介された弁護士の仲介で、催促の電話は止まった。だが、弁護士が、法律ができれば深夜の取り立てや一方的なカギの交換は禁止されると説明すると、保証会社の担当者は「まだ法律、成立してないんでしょ」と開き直ったという。

 最近まで追い出し行為を続けてきた大阪市の不動産会社の元社員は証言する。「保証会社と契約する多くの入居者は、家族や友人、知人に頼れない。勝手に鍵を交換したり家財道具を処分したりしても泣き寝入りするパターンがほとんど。追い出し行為は法律ができるまで続く」

 家主からすれば、家賃滞納者を退去させるための明け渡し訴訟は手間も裁判費用もかかる。一刻も早く追い出して次の入居者を入れたいのが本音だという。

 法律家でつくる支援団体「全国追い出し屋対策会議」(代表幹事・増田尚弁護士)によると、これまで追い出し被害に遭った入居者が起こした訴訟は全国で計34件。表面化するのは氷山の一角との指摘もある。

   ◇

 法案が、当時の鳩山内閣で閣議決定されたのは昨年2月23日。同4月、参院では本会議で全会一致で可決した。しかし、衆院での審議は先送りされたままだ。

 一方で、不動産業者ら10万2千社が加盟する政治団体の全国不動産政治連盟は昨年11月、小規模な個人家主を法案の規制対象から外すことなどを求め、12万5千人分の署名を集めて民主、自民、公明の各党に出した。山田守会長は「家賃を払わない人ばかり保護する法律は不公平。一部の悪徳業者を規制するために、善良で零細な個人家主まで対象にするのは納得できない」と話す。

 全国賃貸住宅経営協会政治連盟も昨秋、自民党国会議員106人が名を連ねる賃貸住宅対策議員連盟に、同様の要望を出した。同議連会長の石破茂・党政調会長は、参院で問責決議を受けた馬淵澄夫国土交通相が出す法案の審議には応じられないとの立場だ。ただ、法案そのものには、「参院ではいったん賛成している以上、『廃案にせよ』とまでは言わないが、どんな行為をすれば違反になるか、家主が納得できるように基準を明確にすべきだ」と語る。

    ◇

 業界団体の動きに、国交省幹部の一人は「法案を事実上、骨抜きにする動き」と警戒を強める。

 同省によると、賃貸住宅の貸主の8割は小規模な個人家主。個人家主だけを例外にすると、一部の悪質な業者が個人家主を装って取り締まりから逃れようとするからだ。

 法案成立後、国交省は賃貸住宅の管理業者を国への登録制にして、これまで野放しにされてきた悪質な業者を排除していく予定だったが、登録制の導入も見送られたままだ。(歌野清一郎、室矢英樹)

    ◇

 〈追い出し規制法案〉 賃貸住宅の貸主や、借り主の連帯債務を請け負う家賃保証業者が規制の対象。深夜や早朝に家賃の支払いを督促したり、部屋から追い出すために鍵を交換したりすることや、「人を威迫し、私生活の平穏を害する言動」が違法とされ、2年以下の懲役刑が科される。

2011年1月6日 asahi.com  

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


家賃滞納リスト着々 ブラックリスト化懸念 (朝日)

2010年12月21日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

 賃貸住宅に入る際、過去の家賃滞納状況などをデータベース(DB)で調べ、契約判断の参考にするケースが広がる。住まいを奪う「ブラックリスト」として懸念する声が高まるなか、早ければ来年にも100万人分といわれる巨大データベースが動き出す。

 「不動産業者に理由も告げられず、6件も入居を断られた。思い当たる節がない」

 生活困窮者を支援するNPO法人「ほっとポット」(さいたま市)に、ビル管理会社で働く50代の男性から相談が寄せられた。代表理事の藤田孝典さんが事情を聴くと、男性は3年前に自己破産していた。藤田さんは「これが理由だ」と思った。自己破産情報は官報に載るからだ。

 2008年秋のリーマン・ショック後、同様の相談が増えた。調べると、相談者には自己破産か、家賃滞納か、服役した過去があった。藤田さんは「ブラックリストがあるとしか思えない」と言った。

 確かに自己破産や滞納歴、連帯保証人などの情報を売る業者がいる。そうした業者のうたい文句は「入居後のトラブルを未然に防ぐ」だ。

 滞納者への強引な追い出し行為が批判を浴び、政府が悪質行為に刑事罰を科す規制法の成立を目指すなか、関西のある不動産業者は「追い出しが難しくなれば、入居で絞るのは当然だ」と言った。

 これまで出回っていたDBは、個別企業が集めた情報などが主で、対象地域や情報量に限りがあった。しかし、来年にも全国的なDBが動き出そうとしている。

 入居者の連帯保証を請け負う家賃保証会社などが設立した「全国賃貸保証業協会(LICC(リック))」は昨年9月、長期滞納の抑制を狙い、加盟会社の情報をDB化して入居審査に使う方針を打ち出した。

 LICC加盟の13社は運用開始に向け、契約者の同意を得て情報を蓄積する。名前、生年月日、旧住所、電話番号、運転免許証番号・・・・・・。運用までに100万人の情報が集まるとみられている。

 滞納がなければ登録情報は退去後5年で消えるが、滞納した場合はその情報が書き加えられ、保証会社が立て替えた家賃を完済してから5年たたないと消えない。LICC側は「家賃を払った証明で、外国人や高齢者は借りやすくなる」とし、一時的に滞納した人が入居する際は「安易に拒否しない」としている。

 ただ、情報の目的外使用などを警戒する政府は、滞納DBを監視下に置く方針だ。先の臨時国会で、DB事業者の登録義務付けなどを盛り込んだ法案を成立させる予定だったが、閣僚の問責決議などをめぐって国会が空転し、継続審議になってしまった。

 日本賃貸住宅管理協会のアンケートによると、回答した318社が扱う物件での1カ月以上の家賃滞納率は、3月末現在で3.2%だった。

 DBが解雇や派遣切りなどで家賃が払えない人たちを締め出す「ブラックリスト」になることを懸念する日本弁護士連合会は9月、全面禁止を求める会長声明を出した。

 11月11日には東京都内でDB化反対の会があり、出席者は「余儀なく滞納した人たちが住まいを確保できなくなる」と懸念を表明した。

 国土交通省によると、低所得層が増えたことなどで個人による連帯保証が立ちゆかない現実を背景に、家賃保証会社はこの10年で急成長した。現在、全国に約100社あり、約1300万戸ある民間賃貸住宅の入居者の4割が契約を結んでいるとされる。

 路上生活者ら約1700人の入居時に連帯保証をしたNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」(東京)の稲葉剛・代表理事は、低所得者らの入居を支援する「公的保証」の必要を訴える。

 国交省は「家賃保証は民間が担っており、適正に運用させる」として、新たな制度の創設に否定的だが、稲葉代表理事は「民間まかせだと、排除される人が出てくる。国が本気で取り組めば、できないわけがない」と言った。

2010年12月20日 asahi.com 関西 

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


貧困ビジネスへの定期借家契約の導入と保証会社の個人情報のデーターベース化で住まいの差別化を拡大

2010年12月15日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

 定期借家制度は議員立法による拙速な審議(註1)により無理矢理導入されたため、現在でも民間賃貸住宅市場において新規供給物件で5%程度しか普及されておらず、様々問題が起きています。

 定期借家契約の契約期間が満了しても、6ヶ月から1年前に賃貸借契約の終了の通知をしないと期間の定めのない定期借家契約が継続するという問題が生じます(註2)。

 そのため、終了通知の必要のない1年未満の定期借家契約がゼロゼロ物件などでよく見かけられます。

 ゲストハウスなどは保証人無しで入居できる一方、定期借家契約のため期間が短く、期間満了で一方的に家賃を値上げされ、明渡しを求められるなどのトラブルが発生しています。低所得の若者がインターネットで安易にこうした契約に引っかかっています。ゲストハウスは法律の規制がなく、劣悪な居住条件の物件が出回っています。

 民間の賃貸住宅では現在4割ぐらいが家賃保証会社を使っています。不動産屋が保証会社と提携して保証契約を押し付けてくる事例が増えています。

 保証会社等の悪質な家賃の取立て行為が社会問題となる中で、法律で追い出し屋規制法が国会で審議されています。家賃保証会社13社が加入する全国賃貸保証業協会(LICC)は、今年2月から借家人の様々な個人情報をデーターベース化し、情報を提供された家主や不動産屋は過去に1回でも家賃滞納等のある借家人を住宅から排除しようとしています。

 これは借家人の人権を蹂躙する大問題であり、全借連ではデーターベースの禁止を求めて11月末に国会議員への要請を行ないました。

 

全国借地借家人新聞より
 


註1)借地借家法の所轄の委員会は法務委員会である筈なのに、実際の審議を行ったのは借地借家法とはお門違いな衆議院が建設委員会であり、参議院が国土・環境委員会で審議がされた。専門委員がいないので、法的な問題点の詳しい論議がないまま、僅か衆議院2日、参議院1日、計3日の超スピードでまともな審議も無く成立した。
 なお、定期借家契約は平成12(2000)年3月1日施行された。

註2)文面の趣旨、文章の前後の繋がり具合から、「期間の定めのない定期借家契約」は「期間の定めのない普通借家契約」の間違いと思われる。そうでないと「そのため、終了通知の必要のない1年未満の定期借家契約がゼロゼロ物件などでよく見かけられます。」の文章と齟齬を来たす。

 1年以上の契約期間がある定期借家契約の場合、契約期間が満了の1年前から6か月前までの間に賃貸人は賃貸借契約の終了の通知をしないと賃借人に契約期間内の終了を主張出来なくなる(借地借家法38条4項)。終了通知を契約期間満了前までしていない場合には、民法619条1項の規定から定期借家契約は契約期間の定めのない普通借家契約が成立する。その契約を終了させるためには借地借家法28条の正当事由が必要になる。

 定期借家契約は契約期間が満了すれば、家主に特別な理由がなくても、確定的に契約が終了し、契約の更新がない。契約を継続するためには、借地借家法38条1項~3項の規定に従って再契約しなければならない。

 ① 確定期限を定め、更新がない旨定めた書面による契約(借地借家法38条1項)
 ② 契約書とは別の説明書面を契約締結前に交付して、定期借家契約であることを賃貸人が説明する(借地借家法38条2項)
 ③ 賃貸人が38条2項の説明をしなかったときは定期借家契約は無効になる(借地借家法38条3項)

 これら①~③法的要件を1つでも欠いた場合は定期借家契約としては成立しない(最高裁平成22年7月16日判決を参照)。従って、期間の定めのない定期借家契約が継続するという問題は惹起し得ない。

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


追い出し屋規制法案のデーターベース禁止を求める要請書

2010年11月27日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

全借連は、11月25日衆議院国土交通委員に、追い出し屋規制法案の悪質な取立て行為について個人家主を適用除外とすることに反対し、家賃等弁済情報のデーターベース禁止を求める要請書を送りました。

2010年11月25日
衆議院国土交通委員会議員各位

 〒160-0022
 東京都新宿区1-5-5 
 電話03-3352-0448
 全国借地借家人組合連合会
        会長 河岸 清吉

 

追い出し屋規制法案の悪質な取立て行為について個人家主を適用除外とすることに反対し、家賃等弁済情報のデーターベース禁止を求める要請書
 
 議員各位におかれましては、日頃より国民生活を守るためにご活躍されておられることに敬意を表します。さて、国会審議が予定されています「賃借人の居住の安定を確保するための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律案(通称追い出し屋規制法案)」について、全国不動産政治連盟は法案61条の不当な取立て行為の禁止に関して、一定の規模の個人家主を適用除外とするなど法案の修正を求めて動いています。
 
 しかし、鍵の交換や動産類の搬出保管、深夜未明の訪問・電話等の追い出し行為は一部の悪質業者だけでの問題ではなく、個人家主においても起きている問題であり、例外を設けることは規制を意味のないものにするものです。

 法で禁止をするのは、居住の安定確保を妨げる悪質な取り立て行為であり、賃借人の生活の平穏を脅かすことのない適正な家賃の督促や集金行為まで禁止するものでないことは明白です。

 これまで、家賃保証会社や管理会社の悪質な行為が社会問題になる以前にも、個人家主の中には家賃を滞納した借主の家から家財道具等を無断で運び出し、滞納家賃を支払わないまで家財道具を返さない等の悪質な行為が発生していました。

 これらの行為は現行法では処罰ができず、多くの賃貸住宅居住者は泣き寝入りしていたのが実態です。法案1条の家賃債権の不当な取立て行為を規制する目的の意義を家主の規模の大小で例外をもうけて緩和することのないよう要請いたします。
 
 また、法案57条から60条の家賃等弁済情報のデーターベースの登録制度に関しては、データーベースによる賃借人のブラックリストづくりに利用され、あらたな入居差別と住居喪失の危険性をまねき、結果として賃借人の居住の安定確保に反するものです。

 法案62条では、保証委託契約を拒否されため賃貸住宅への入居が困難となった者に対して、国や自治体は他の家賃債務保証会社又は保証委託契約の締結を必要条件としない賃貸住宅に関する情報の提供や公営住宅・公的な賃貸住宅への入居等必要な措置を講ずるよう努めるとされています。

 これらの措置が全く整備されていない現状においてデーターベースづくりのみが先行され、このままでは家賃滞納等に伴って入居を拒まれ路頭に迷う賃借人が続出し、居住不安が拡大することになりかねません。家賃を滞納したというだけで、賃貸住宅への入居を拒まれることは人権擁護に反して許されないことです。

 これらの家賃等弁済提供事業者が賃貸人のリスク排除のためにあらゆる賃借人の個人情報を収集し、入居差別を拡大することに直結する問題であり、データーベースの禁止を強く求めます。
 


大東建託が事実無根の書面で追い出しを画策 (奈良県・奈良市)

2010年11月15日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

 奈良教育大学や新薬師寺の近隣の奈良市高畑町の木造住宅に住む4世帯の借家人へ、今年8月上旬「家主から委任を受けた。老朽家屋で危険であるので10月末までに明け渡せ」と大東建託(株)奈良営業所社員2名が住民へ迫ってきました。

 一人暮らしの90歳を超える住民の1人へは、身内へ、「お母様の現況について」との書面を送り、「最近近隣を徘徊なされておられ近隣先から何回となく連絡が来ている」「7月初旬に市役所に相談しましたところ、一度本人と面談します」などと書かれていました。

 驚いた身内は、母親に事情を聞いたところそのような事態でもなく、市役所との面談もなくまったくの事実無根であることが明らかになりました。また、近隣の住民は、「おばあちゃんから色々教わることが多く大切な人で日ごろからコミニュティーが充実しているので徘徊するなどは考えられない」と業者の追い出しのためには何でもありという動きに怒っています。

 住民4人は、大借連(全大阪借地借家人組合連合会)事務所で住み続けられる権利があることを知り、家主へこれまでの大東建託の追い出し行為について内容証明で通知し、団結して居住の権利を守ろうと大借連へ入会しました。

 内容証明郵便で通知後は、しばらくの間家主からも大東建託からも明け渡しを求める動きもなくなり、元の平和な暮らしに戻ったと安心して暮らしていましたが、10月中旬大東建託の社員が借家周辺を住民へ威嚇するかのようにうろつきはじめています。

 

全国借地借家人新聞より

 

東京・台東借地借家人組合

無料電話相談は 050-3656-8224 (IP電話)
受付は月曜日~金曜日 (午前10時~午後4時)
土曜日日曜日・祝祭日は休止 )
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。