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【判例】*賃借権の無断譲渡を理由とする契約解除権が時効消滅した場合でも賃貸人は譲受人に対し明渡請求が出来るとした事例

2018年10月29日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

賃借権の無断譲渡を理由とする契約解除権が時効消滅した場合でも賃貸人は譲受人に対し明渡請求が出来るとした事例
(最高裁昭和55年12月11日判決 裁事131号285頁)


       主   文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人(賃借人)の負担とする。


       理   由
 上告(賃借人)代理人山崎利男の上告理由1及び2について
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、畢竟、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用できない。

 同3について
 原審の適法に確定したところによれば、上告会社(賃借人)は本件建物を譲り受けるとともに本件各土地の賃借権の譲渡を受けたが、右賃借権の譲渡については賃貸人である被上告人らの承諾を得ることがなく、また、右賃借権の無断譲渡について被上告人(賃貸人)らとの信頼関係を破壊するものと認めるに足りない特段の事情があるとはいえないというのであるところ、所論は、要するに、被上告人(賃貸人)らの右無断譲渡を理由とする契約解除権は、右賃借権が無断譲渡された昭和34年1月31日から既に10年の経過をもって時効により消滅したにもかかわらず、右契約解除権が時効により消滅したとは認められないとした原判決には民法166条の解釈適用を誤った違法があるというのである。

 しかし、賃借権の譲渡を承諾しない賃貸人は、賃貸借契約を解除しなくても、所有権に基づき、譲受人に対しその占有する賃貸借の目的物の明渡を求めることができるのであり(最高裁昭和25年(オ)第87号同26年4月27日判決・民集5巻5号325頁、同昭和25年(オ)第125号同26年5月31日判決・民集5巻6号359頁、同昭和41年(オ)第791号同年10月21日判決・民集20巻8号1640頁)、賃借権の譲渡人に対する関係で当該賃貸借契約の解除権が時効によって消滅したとしても、賃借権の無断譲受人に対する右の明渡請求権にはなんらの消長をきたさないと解するのが相当であるから(最高裁昭和52年(オ)第260号同年10月24日判決・裁判集民事122号63頁)、論旨は、畢竟、原判決の結論に影響を及ぼさない事項について違法をいうものにすぎず、採用できない。

 同4及び5について
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、畢竟、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は原審の認定に沿わない事実に基づいて原判決を論難するものにすぎず、採用できない。

 上告(賃借人)代理人松井順孝の上告理由について
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、畢竟、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は原判決の結論に影響を及ぼさない部分を論難するものにすぎず、採用できない。


 よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。


   最高裁裁判長裁判官本山亨、裁判官団藤重光、同藤崎萬里、同中村治朗、同谷口正孝

 

 

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【判例】*無断転貸を理由とする土地賃貸借契約の解除権の消滅時効の起算点

2018年10月26日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

無断転貸を理由とする土地賃貸借契約の解除権の消滅時効の起算点
(最高裁昭和62年10月8日判決 民集41巻7号1445頁)


       主   文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人の負担とする。


       理   由
 上告代理人菅生浩一云同葛原忠知、同川崎全司、同丸山恵司、同甲斐直也、同川本隆司、同藤田整治の上告理由第1点について
 所論の点についての原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、畢竟、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用できない。


 同第2点について
 賃貸土地の無断転貸を理由とする賃貸借契約の解除権は、賃借人の無断転貸という契約義務違反事由の発生を原因として、賃借人を相手方とする賃貸人の一方的な意思表示により賃貸借契約関係を終了させることができる形成権であるから、その消滅時効については、債権に準ずるものとして、民法167条1項が適用され、その権利を行使することができる時から10年を経過したときは時効によって消滅するものと解すべきところ、右解除権は、転借人が、賃借人(転貸人)との間で締結した転貸借契約に基づき、当該土地について使用収益を開始した時から、その権利行使が可能となったものということができるから、その消滅時効は、右使用収益開始時から進行するものと解するのが相当である。

 これを本件についてみるに、原審の適法に確定したところによれば、
(1)本件(A)土地の所有者である末正盛治は、大正初年ころ、六ノ坪合資会社(以下「訴外会社」という。)を設立し、同社をして右土地を含む自己所有不動産の管理をさせてきたものであるところ、上告人は、昭和34年6月22日、相続により、本件(A)土地の所有権を取得した、
(2)中村国義は、前賃借人の賃借期間を引き継いで、昭和11年7月29日、訴外会社から本件(A)土地を昭和15年9月30日までの約定で賃借し、同地上に3戸1棟の建物(家屋番号22番、22番の2及び22番の3)を所有していたものであるところ、被上告人中村慶一は、昭和20年3月17日、家督相続により中村国義の権利義務を承継した(右賃貸借契約は昭和15年9月30日及び同35年9月30日にそれぞれ法定更新された。)、
(3)被上告人伊藤染工株式会社(以下「被上告人伊藤染工」という。)は、昭和25年12月7日、被上告人中村から前記22番の3の建物を譲り受けるとともに、本件(A)土地のうち右建物の敷地に当たる本件(B)土地を訴外会社の承諾を受けることなく転借し、同日以降これを使用収益している、
(4)訴外会社は、昭和51年7月16日到達の書面をもって被上告人中村に対し、右無断転貸を理由として本件(A)土地の賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした、というのであり、また、被上告人伊藤染工及び同濱田を除くその余の被上告人らが、本訴において、右無断転貸を理由とする本件(A)土地の賃貸借契約の解除権の消滅時効を援用したことは訴訟上明らかである。以上の事実関係のもとにおいては、右の解除権は、被上告人伊藤染工が本件(B)土地の使用収益を開始した昭和25年12月7日から10年後の昭和35年12月7日の経過とともに時効により消滅したものというべきであるから、上告人主張に係る訴外会社の被上告人中村に対する前記賃貸借契約解除の意思表示は、その効力を生ずるに由ないものというべきである。これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、これと異なる見解に基づいて原判決を論難するものにすぎず、採用できない。


 同第3点について
 原判決が上告人の被上告人伊藤染工及び同濱田に対する請求に関して所論指摘の判示をしているものでないことは、その説示に照らし明らかであるから、原判決に所論の違法があるものとは認められない。論旨は、原判決を正解しないでその違法をいうものにすぎず、採用できない。


 同第4点について
 原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、被上告人伊藤染工は、訴外会社ひいて上告人に対抗できる転借権を時効により取得したものということができるから、これと同旨の原審の判断は、結論において是認できる。論旨は、畢竟、判決の結論に影響しない事由について原判決の違法をいうものにすぎず、採用できない。


 よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。


    最高裁裁判長裁判官佐藤哲郎、裁判官角田禮次郎、同高島益郎、同大内恒夫、同四ツ谷巖

 

 

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【判例】*賃借人が無断譲渡または無断転貸したときは、賃貸人は常に契約を解除できるのか

2018年10月25日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

賃借人が無断譲渡または無断転貸したときは、賃貸人は常に契約を解除できるのか
(最高裁昭和28年9月25日判決 民集7巻9号979頁)


       主   文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人(地主)の負担とする。


       理   由
 上告理由第1点について。
 原判決の確定したところによれば、被上告人X(借地人)はかって本件宅地上に建坪47坪5合と24坪との2棟の倉庫を建設所有し前者を被上告人Yの父Z(借家人)においてX(借地人)から賃借していたところ、昭和20年6月20日戦災に因り右2棟の建物が焼失したので、同21年10月上旬Z(借家人)はX(借地人)に対し罹災都市借地借家臨時処理法3条の規定に基き右47坪5合の建物敷地の借地権譲渡の申出を為し、X(借地人)の承諾を得てその借地権を取得した、そこでZ(借家人→転借地人)はX(借地人)の同一借地上である限り右坪数の範囲内においては以前賃借していた倉庫の敷地以外の場所に建物を建設しても差支ないものと信じ、その敷地に隣接する本件係争地上に建物を建築することとし、X(借地人)も亦同様な見解のもとに右建築を容認したというのである。


 元来民法612条は、賃貸借が当事者の個人的信頼を基礎とする継続的法律関係であることにかんがみ、賃借人は賃貸人の承諾がなければ第三者に賃借権を譲渡し又は転貸することを得ないものとすると同時に賃借人がもし賃貸人の承諾なくして第三者をして賃借物の使用収益を為さしめたときは、賃貸借関係を継続するに堪えない背信的行為があったものとして、賃貸人において一方的に賃貸借関係を終止せしめ得ることを規定したものと解すべきである。従って、賃借人が賃貸人の承諾なく第三者をして賃借物の使用収益を為さしめた場合においても、賃借人の当該行為が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情がある場合においては、同条の解除権は発生しないものと解するを相当とする。然らば、本件において、被上告人X(借地人)がZ(転借地人)に係争土地の使用を許した事情が前記原判示の通りである以上、X(借地人)の右行為を以て賃貸借関係を継続するに堪えない著しい背信的行為となすに足らないことはもちろんであるから、上告人(地主)の同条に基く解除は無効というの外はなく、これと同趣旨に出でた原判決は相当であって、所論は理由がない。

 次に所論特約の趣旨に関する原審の判断は正当であって何ら違法の点はないから、これを非難する所論も採用することはできない。

 同第2点について。
 論旨前半において指摘する原判示部分は判旨いささか明瞭を欠くきらいがあるけれども、要するに、X(借地人)がZ(転借地人)に係争土地の使用を許した前記行為を以て背信的行為とはなし得ないことの説明にすぎないことは判示自体に徴し明かである。そしてX(借地人)の右行為が背信的行為とはいえないとの判断自体が正当であることは前記の通りであるから、原判決中所論部分の説明の不備を捉えて、原判決に理由不備の違法ありとする所論は、到底採用できない。

 また論旨後半のX(借地人)に背信的行為ありとの主張は、本訴の請求原因とは無関係な事実に関する主張にすぎないから、もとより適法な上告理由となすに足りない。

 同第3点について。
 原判決が上告人(地主)の被上告人Y(転借地人Zの子)に対する請求を棄却した理由について首肯するに足る説明を与えていないことは、正に所論の通りである。しかしながら原審の確定した事実によれば、係争土地に建物を建築しその敷地を占有する者はZ(転借地人・Yの父)であって、その建築許可申請の便宜上被上告人Y(転借地人Zの子)の名義を使用したに過ぎないというのであるから、被上告人Y(転借地人Zの子)に対し不法占有を原因として建物収去土地明渡を求める上告人(地主)の請求はこの点において棄却を免れず、従って右請求を棄却した1審判決を維持した原判決は結局正当であるに帰し、論旨は理由がない。


 よって民訴396条、284条、95条、89条に従い主文のとおり判決する。


 この判決は藤田、霜山両裁判官の少数意見(略)を除き全裁判官一致の意見である。

    最高裁裁判長裁判官霜山精一、裁判官栗山茂、同小谷勝重、同藤田八郎、同谷村唯一郎

 

 

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【判例】*賃料不払を理由とする家屋賃貸借契約の解除が信義則に反し許されないものとされた事例

2018年10月24日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

賃料不払を理由とする家屋賃貸借契約の解除が信義則に反し許されないものとされた事例
(最高裁昭和39年7月28日判決 民集18巻6号1220頁)


       主   文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人(賃貸人)の負担とする。


       理   由
 上告代理人宮浦要の上告理由第1点について
 所論は、原判決には被上告人(賃借人)甲に対する本件家屋明渡の請求を排斥するにつき理由を付さない違法があるというが、原判決は、所論請求に関する第1審判決の理由説示をそのまま引用しており、所論は、結局、原判決を誤解した結果であるから、理由がない。


 同第2点について
 所論は、相当の期間を定めて延滞賃料の催告をなし、その不履行による賃貸借契約の解除を認めなかった原判決違法と非難する。しかし、原判決(及びその引用する第1審判決)は、上告人(賃貸人)が被上告人(賃借人)甲に対し所論延滞賃料につき昭和34年9月21日付同月22日到達の書面をもって同年1月分から同年8月分まで月額1200円合計9600円を同年9月25日までに支払うべく、もし支払わないときは同日かぎり賃貸借契約を解除する旨の催告ならびに停止条件付契約解除の意思表示をなしたこと、右催告当時同年1月分から同年4月分までの賃料合計4800円はすでに適法に弁済供託がなされており、延滞賃料は同年5月分から同年8月分までのみであったこと、上告人(賃貸人)は本訴提起前から賃料月額1500円の請求をなし、また訴訟上も同額の請求をなしていたのに、その後訴訟進行中に突如として月額1200円の割合による前記催告をなし、同被上告人(賃借人)としても少なからず当惑したであろうこと、本件家屋の地代家賃統制令による統制賃料額は月額750円程度であり、従って延滞賃料額は合計3000円程度にすぎなかったこと、同被上告人は昭和16年3月上告人(賃貸人)先代から本件家屋賃借以来これに居住しているもので、前記催告に至るまで前記延滞額を除いて賃料延滞の事実がなかったこと、昭和25年の台風で本件家屋が破損した際同被上告人(賃借人)の修繕要求にも拘らず上告人(賃貸人)側で修繕をしなかったので昭和29年頃2万9000円を支出して屋根のふきかえをしたが、右修繕費について本訴が提起されるまで償還を求めなかったこと、同被上告人(賃借人)は右修繕費の償還を受けるまでは延滞賃料債務の支払を拒むことができ、従って昭和34年5月分から同年8月分までの延滞賃料を催告期間内に支払わなくても解除の効果は生じないものと考えていたので、催告期間経過後の同年11月9日に右延滞賃料弁済のためとして4800円の供託をしたことを確定したうえ、右催告に不当違法の点があったし、同被上告人(賃借人)が右催告につき延滞賃料の支払もしくは前記修繕費償還請求権をもってする相殺をなす等の措置をとらなかったことは遺憾であるが、右事情のもとでは法律的知識に乏しい同被上告人(賃借人)が右措置に出なかったことも一応無理からぬところであり、右事実関係に照らせば、同被上告人(賃借人)には未だ本件賃貸借の基調である相互の信頼関係を破壊するに至る程度の不誠意があると断定することはできないとして、上告人(賃貸人)の本件解除権の行使を信義則に反し許されないと判断しているのであって、右判断は正当として是認するに足りる。従って、上告人(賃貸人)の本件契約解除が有効になされたことを前提とするその余の所論もまた理由がない。

 同第3点について
 所論は、被上告人(賃借人)乙及び同丙の本件家屋改造工事は賃借家屋の利用の程度をこえないものであり、保管義務に違反したというに至らないとした原審の判断は違法であって、民法1条2項3項に違反し、ひいては憲法12条29条に違反するという。しかし、原審は、右被上告人(賃借人)らの本件改造工事について、いずれも簡易粗製の仮設的工作物を各賃借家屋の裏側にそれと接して付置したものに止まり、その機械施設等は容易に撤去移動できるものであって、右施設のために賃借家屋の構造が変更せられたとか右家屋自体の構造に変動を生ずるとかこれに損傷を及ぼす結果を来たさずしては施設の撤去が不可能という種類のものではないこと、及び同被上告人(賃借人)らが賃借以来引き続き右家屋を各居住の用に供していることにはなんらの変化もないことを確定したうえ、右改造工事は賃借家屋の利用の限度をこえないものであり、賃借家屋の保管義務に違反したものというに至らず、賃借人が賃借家屋の使用収益に関連して通常有する家屋周辺の空地を使用しうべき従たる権利を濫用して本件家屋賃貸借の継続を期待し得ないまでに貸主たる上告人との間の信頼関係が破壊されたものともみられないから、上告人(賃貸人)の本件契約解除は無効であると判断しているのであって、右判断は首肯でき、その間なんら民法1条2項3項に違反するところはない。また、所論違憲の主張も、その実質は右民違を主張するに帰するから、前記説示に照らしてその理由のないことは明らかである。所論は、すべて採るを得ない。

 よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。


    最高裁裁判長裁判官田中二郎、裁判官石坂修一、同横田正俊、同柏原語六

 

 

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【判例】*敷金は賃貸建物の所有権移転に伴い新賃貸人に承継されるとされた事例

2018年10月23日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

敷金は賃貸建物の所有権移転に伴い新賃貸人に承継されるとされた事例
(最高裁昭和44年7月17日判決 民集23巻8号1610頁)


       主   文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人(賃借人)の負担とする。


       理   由
 上告代理人鈴木権太郎の上告理由について。

 原判決が昭和36年3月1日以降同39年3月1日までの未払賃料額の合計が54万3750円である旨判示しているのは、昭和33年3月1日以降の誤記であることがその判文上明らかであり、原判決には所論のごとき計算違いのあやまりはない。また、所論賃料免除の特約が認められない旨の原判決の認定は、挙示の証拠に照らし是認できる。

 しかして、上告人(賃借人)が本件賃料の支払をとどこおっているのは昭和33年3月分以降の分についてであることは、上告人(賃借人)も原審においてこれを認めるところであり、また、原審の確定したところによれば、上告人(賃借人)は、当初の本件建物賃貸人訴外亡甲に敷金を差し入れているというのである。思うに、敷金は、賃貸借契約終了の際に賃借人の賃料債務不履行があるときは、その弁済として当然これに充当される性質のものであるから、建物賃貸借契約において該建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があった場合には、旧賃貸人に差し入れられた敷金は、賃借人の旧賃貸人に対する未払賃料債務があればその弁済としてこれに当然充当され、その限度において敷金返還請求権は消滅し、残額についてのみその権利義務関係が新賃貸人に承継されるものと解すべきである。従って、当初の本件建物賃貸人訴外亡甲に差し入れられた敷金につき、その権利義務関係は、同人よりその相続人訴外乙らに承継されたのち、右乙らより本件建物を買い受けてその賃貸人の地位を承継した新賃貸人である被上告人に、右説示の限度において承継されたものと解すべきであり、これと同旨の原審の判断は正当である。論旨は理由がない。


 よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。


   最高裁裁判長裁判官入江俊郎、裁判官長部謹吾、同松田二郎、同岩田誠、同大隅健一郎

 

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【判例】*有益費支出後に賃貸人の交替があった場合は新賃貸人に償還請求する

2018年10月22日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

有益費支出後に賃貸人が交替したときは新賃貸人のみが有益費償還義務を負うとされた事例
(最高裁昭和46年2月19日判決 民集25巻1号135頁)


       主   文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人(賃借人)の負担とする。


       理   由
 上告(賃借人)代理人吉岡秀四郎、同緒方勝蔵の上告理由第1点及び第2点について

 建物の賃借人または占有者が、原則として、賃貸借の終了の時または占有物を返還する時に、賃貸人または占有回復者に対し自己の支出した有益費につき償還を請求しうることは、民法608条2項、196条2項の定めるところであるが、有益費支出後、賃貸人が交替したときは、特段の事情のないかぎり、新賃貸人において旧賃貸人の権利義務一切を承継し、新賃貸人は右償還義務者たる地位をも承継するのであって、そこにいう賃貸人とは賃貸借終了当時の賃貸人を指し、民法196条2項にいう回復者とは占有の回復当時の回復者を指すものと解する。そうであるから、上告人(賃借人)が本件建物につき有益費を支出したとしても、賃貸人の地位を訴外甲(新賃貸人)に譲渡して賃貸借契約関係から離脱し、かつ、占有回復者にあたらない被上告人(旧賃貸人)に対し、上告人(賃借人)が右有益費の償還を請求することはできないというべきである。これと同趣旨にでた原判決の判断は相当であり、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用できない。


 同第3点について
 建物の賃借人または占有者は、原則として、賃貸借の終了の時または占有物を返還する時に賃貸人または占有回復者に対し、自己の支出した有益費の償還を請求することができるが、上告人(賃借人)は被上告人に対しその主張する有益費の償還を請求することのできないことは、前記のとおりである。また、原判決は、上告人は被上告人(旧賃貸人)に対しては有益費の償還請求権を有せず、その消滅時効の点について考えるまでもなく上告人(賃借人)の請求は理由がないと判断したものであるから、有益費償還請求権の消滅時効に関する論旨は、原判決の判断しないことに対する非難である。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用できない。

 よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。


    最高裁裁判長裁判官色川幸太郎、裁判官村上朝一、同岡原昌男


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【判例】*増改築を制限する特約に違反しているにも拘らず契約解除が認められなかった事例

2018年10月19日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

増改築を制限する特約に違反しているにも拘らず契約解除が認められなかった事例
(最高裁昭和41年4月21日判決 民集20巻4号720頁)

 


       主   文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人(賃貸人)の負担とする。


       理   由
 上告代理人松井邦夫の上告理由1、2について。

 一般に、建物所有を目的とする土地の賃貨借契約中に、賃借人が賃貸人の承諾をえないで賃借地内の建物を増改築するときは、賃貸人は催告を要しないで、賃貸借契約を解除することができる旨の特約(以下で単に建物増改築禁止の特約という。)があるにかかわらず、賃借人が賃貸人の承諾を得ないで増改築をした場合においても、この増改築が借地人の土地の通常の利用上相当であり、土地賃貸人に著しい影響を及ぼさないため、賃貸人に対する信頼関係を破壊するおそれがあると認めるに足りないときは、賃貸人が前記特約に基づき解除権を行使することは、信義誠実の原則上、許されない。

 以上の見地に立って、本件を見るに、原判決の認定するところによれば、第1審原告(脱退)橋本ぢんは被上告人(借地人)に対し建物所有の目的のため土地を賃貸し、両者間に建物増改築禁止の特約が存在し、被上告人(借地人)が該地上に建設所有する本件建物(2階建住宅)は昭和7年の建築にかかり、従来被上告人(借地人)の家族のみの居住の用に供していたところ、今回被上告人(借地人)はその一部の根太および2本の柱を取りかえて本件建物の2階部分(6坪)を拡張して総2階造り(14坪)にし、2階居宅をいずれも壁で仕切った独立室とし、各室ごとに入口および押入を設置し、電気計量器を取り付けたうえ、新たに2階に炊事場、便所を設け、かつ、2階より直接外部への出入口としての階段を附設し、結局2階の居室全部をアパートとして他人に賃貸するように改造したが、住宅用普通建物であることは前後同一であり、建物の同一性をそこなわないというのであって、右事実は挙示の証拠に照らし、肯認できる。

 そして、右の事実関係のもとでは、借地人たる被上告人のした本件建物の増改築は、その土地の通常の利用上相当というべきであり、いまだもって賃貸人たる第1審原告(脱退)橋本ぢんの地位に著しい影響を及ぼさないため、賃貸借における信頼関係を破壊するおそれがあると認めるに足りない事由が主張立証されたものというべく、従って、前記無断増改築禁止の特約違反を理由とする第1審原告(脱退)橋本ぢんの解除権の行使はその効力がないものというべきである。

 しからば、賃貸人たる第1審原告(脱退)橋本ぢんが前記特約に基づいてした解除権の行使の効果を認めなかった原審の判断は、結局正当であり、論旨は、畢竟失当として排斥を免れない。

 よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官の一致で、主文のとおり判決する。


    最高裁判所裁判官松田二郎、同入江俊郎、同長部謹吾、同岩田誠

 

 

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【判例】*賃借地上にある建物の売主には、買主に対し、敷地賃借権譲渡承諾の取得義務がある

2018年10月18日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

賃借地上にある建物の売主(借地人)には、買主に対し、地主から敷地賃借権譲渡の承諾を得る義務があるとされた事例
(最高裁昭和47年3月9日判決 民集26巻2号213頁)


       主   文
 原判決中被上告人(売主)の請求を認容した部分を破棄する。
 右破棄部分につき本件を東京高等裁判所に差し戻す。


       理   由
 上告代理人大里一郎の上告理由第1点について。
 本件建物の売買契約締結の際、被上告人(売主)が上告人(買主)に対し、右建物の敷地の賃借権譲渡の承諾料金20万円を自ら負担して賃貸人に支払い、右賃借権譲渡につき賃貸人の承諾を得る旨の特約をしたこと、または、右売買契約締結の当時、建物の売主が、その敷地の賃借権譲渡の承諾料を自ら負担して賃貸人に支払い、右賃借権譲渡につき賃貸人の承諾を得るという慣行があったことは、いずれもこれを認めるべき証拠がない、とした原審の認定判断は、挙示の証拠関係及び本件記録に照らして、首肯することができないものではない。従って、本論旨のうち原審の右認定判断自体を非難するにすぎない部分は、その理由がない。

 しかし、賃借地上にある建物の売買契約が締結された場合においては、特別の事情のないかぎり、その売主は買主に対し建物の所有権とともにその敷地の賃借権をも譲渡したものと解すべきであり、そして、それに伴い、右のような。特約または慣行がなくても、特別の事情のないかぎり、建物の売主は買主に対しその敷地の賃借権譲渡につき賃貸人の承諾を得る義務を負うものと解すべきである。何故なら、建物の所有権は、その敷地の利用権を伴わなければ、その効力を全うすることができないものであるから、賃借地上にある建物の所有権が譲渡された場合には、特別の事情のないかぎり、それと同時にその敷地の賃借権も譲渡されたものと推定するのが相当であるし、また、賃借権の譲渡は賃貸人の承諾を得なければ賃貸人に対抗することができないのが原則であるから、建物の所有権とともにその敷地の賃借権を譲渡する契約を締結した者が右賃借権譲渡につき賃貸人の承諾を得ることは、その者の右譲渡契約にもとづく当然の義務であると解するのが合理的であるからである。

 ところで、上告人(買主)は、原審において、被上告人(売主)が上告人に対して負担する本件建物の敷地の賃借権譲渡につき賃貸人の承諾を得る義務と、上告人(買主)が被上告人(売主)に対して負担する右建物の残代金支払の義務とは、同時履行の関係に立つものであるから、被上告人(売主)が、自己の負担する右敷地賃貸人の承諾取得義務の履行ないしその提供をしないまま、上告人(買主)に対してなした右残代金支払の催告は無効であり、従って、被上告人(売主)が右催告の有効であることを前提としてなした右建物の売買契約解除の意思表示も無効である旨の抗弁を提出していたことは、原判文及び本件記録に徴して明らかである。

 してみれば、原審としては、本件建物の売買契約に関して前記のような特約または慣行の存在が認められないとしても、特別の事情のないかぎり、右建物の売主である被上告人はその買主である上告人に対しその敷地の賃借権譲渡につき賃貸人の承諾を得る義務を当然に負担するものであることを肯定したうえ、被上告人(売主)の負担する右敷地賃貸人の承諾取得義務と上告人(買主)の負担する右建物の残代金支払義務とが同時履行の関係に立つものであるか否かを検討すべきであり、そして、右両義務の間に同時履行の関係が認められる場合においては、さらに、被上告人(売主)が、その上告人に対する催告において指定した右残代金の支払期限である昭和41年4月24日までに、自己の負担する右敷地賃貸人の承諾取得義務の履行ないしその提供をしたか否かを検討することにより、上告人(買主)の右抗弁の当否を判断しなければならないものである。

 然るに、原審は、前記のような特約または慣行がなくても、特別の事情のないかぎり、被上告人(売主)が上告人(買主)に対し本件建物の敷地の賃借権譲渡につき賃貸人の承諾を得る義務を負担するものであることを看過し、従ってまた、以上の諸点について何ら検討することなく、単に前記のような特約または慣行の存在が認められないという理由だけで、上告人(買主)の右抗弁を排斥したものであることは、原判文上明らかであるから、原判決は、結局、賃借地上にある本件建物の売買契約の効果に関する法令の解釈適用を誤り、ひいては、審理不尽、理由不備の違法をおかしたものといわざるをえない。

 従って、本論旨のうち原判決の右違法を指摘すると解される部分は、その理由があり、その余の論旨について判断するまでもなく、原判決中被上告人(買主)の請求を認容した部分は破棄を免れない。


 よって、民訴法407条1項に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。


    最高裁裁判長裁判官下田武三、裁判官岩田誠、同大隅健一郎、同藤林益三、同岸盛一


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【判例】*借地上に居宅が存在し、それに接して別に庭として賃借する土地には対抗力がない

2018年10月17日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例


 借地上に居宅が存在し、それに接して別に庭として賃借する土地には「建物保護ニ関スル法律」第1条の対抗力を有しないとされた事例
最高裁昭和40年6月29日判決 民集19巻4号1027頁)

    

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。


         理    由
 上告代理人高梨克彦の上告理由第1点について

 原審の確定したところによれば、上告人(借地人)は、子のD(原審共同被控訴人)所有のa町b丁目c番のdの土地上に、登記を了した居宅を所有している者であるが、昭和30年1月当時、右土地に隣接するa町b丁目e番宅地(以下「本件土地」と略称する)のうち第一審判決添付図面(イ)(チ)線の生垣以南のA)地(その面積は後掲(B)地とあわせて12坪7合6勺3才)を、前示居宅利用の便益のため、その庭として使用するため、本件土地の所有者である訴外Eから期間の定めなく賃借し、本件土地のうち(B)地も、(A)地に従属する立場にあつたので、あわせて賃借し、右(A)(B)両地を契約の目的に従つて使用していたところ、昭和30年1月3日、被上告人(新地主)は、Eから本件土地を買い受けて所有権を取得し、昭和32年2月15日その旨の登記を経由したというのである。

 然るに、原判決によれば、上告人(借地人)の有する本件(A)(B)両地の賃借権について登記が存すること、または、右賃借権が建物所有を目的とするものであり、かつ、地上に上告人が登記した建物を有することについては、なんら主張立証がないというのであるから、上告人(借地人)は本件(A)(B)両地の賃借権をもつて被上告人(新地主)に対抗することはできないといわなければならない。たとい、上告人が本件土地に隣接するc番のdの土地上に登記を了した居宅を所有し、該居宅の庭として使用するため、本件(A)(B)両地を賃借し、現に契約目的に従つて使用しているとしても、その故に、建物保護ニ関スル法律一条の規定により、(A)(B)両地の賃借権を対抗しうると解することは相当でない。けだし、本件(A)(B)両地の賃借権は、当該土地を前示のような庭として使用するための権利であつて、同条にいう「建物ノ所有ヲ目的トスル土地ノ賃借権」に該当せず、また、「土地ノ賃借人ヵ其ノ土地ノ上ニ登記シタル建物ヲ有スル」場合にも当らないから、同条の要件を充足しないのみならず、同条は、地上建物を当該宅地上に存する状態において保全することを根本趣旨とするものであるところ、本件において、(A)(B)両地の賃借権に対抗力を賦与しなくても、上告人の所有居宅の敷地の使用権は、特段の事情がない限り、喪われることはないから、該居宅の保全には毫も欠けるところはなく、このような場合にまで同条の適用を肯定することは、かえつてその立法趣旨を逸脱すると考えられるからである。

 されば、叙上と同趣旨に出て、上告人の本件(A)(B)両地の賃借権の対抗力を否定した原審の判断は正当であり、所論は採用できない。


 同第2点について

 上告人は、原審において、本訴請求が信義則に違背し、権利の濫用に当るとの点については主張せず、そのため、原審も判断を示さなかつたのである。審理不尽、理由不備をいう所論は失当であり、採用できない。

 

 よつて、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。


     最高裁判所第三小法廷

最高裁裁判長裁判官五鬼上堅磐、裁判官石坂修一、同横田正俊、同柏原語六、同田中二郎
         

 

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【判例】更新料支払請求権は客観的に金額を算出できる具体的基準の定めが必要とされた事例

2018年10月16日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 


 地裁判例

更新料支払請求権は客観的に金額を算出できる具体的基準の定めが必要とされた事例
東京地裁平成23年3月31日判決

平成22年(ワ)第18362号 更新料請求事件

 

        主    文

   1 原告(地主)の請求を棄却する。
   2 訴訟費用は原告の負担とする。

 

        事    実

第1 請 求

   被告(借地人)は、原告に対し、393万8170円及びこれに対する平成20年6月13日から支払済みまで年5分の割合(年365日の日割り計算)による金員を支払え

第2 事案の概要 

   本件は、原告(地主)において、被告(借地人)との間で締結した土地の賃貸借契約を更新するに当たり、約定の更新料及びその遅延損害金の支払いを求めた事案である。

  1 前提事実(争いがない事実又は掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易認定することができる事実)

   (1)原告(地主)は、昭和31年6月23日、被告の母親であるA(以下「A」という。)との間で、建物所有を目的として、原告(地主)の所有する別紙物件目録記載の土地の一部36.13坪(以下「本件土地」という。)を賃貸する旨の契約(借地契約)を締結した。

   (2)原告(地主)とAは、昭和51年6月23日、賃貸期間20年(昭和51(1976)年6月23日~平成8(1996)年6月22日)として、上記(1)の賃貸借契約を更新することに合意した。Aは、この際、更新料として169万円を支払った

   (3)原告(地主)は、昭和63年12月14日、(借地人が建物を建替えるので改めて)被告(借地人)との間で、建物所有を目的として、次の約定により本件土地を賃貸する旨の契約(以下「本件賃貸借契約」という。)を締結した。被告(借地人)は、この際、更新料として350万円を支払った

    ア 賃貸期間 昭和63年12月14日から平成20年12月13日まで

    イ 賃料 1か月1万6740円

   (4)B(原告訴訟代理人。以下「B弁護士」という。)は、平成21年6月12日ころ、原告(地主)の代理人として、被告(借地人)に対し、書面(甲4)により、本件賃貸借契約の更新料として380万円の支払いを請求した

2 争 点

  被告(借地人)の更新料支払義務の有無

  (原告(地主)の主張)

   本件賃貸借契約では、契約更新に際し、契約当事者双方が協議の上で、賃貸人に更新料を支払うことが契約の重要な条件とされていた。

  (被告(借地人)の主張)

   否認ないし争う。本件賃貸借契約のおいて、契約更新に際し更新料を支払う旨の合意が成立したことがない。

 

第3 当裁判所の判断

   1 証拠(甲1~5、8、乙2、原告代表者、被告)及び弁論の全趣旨によれば、

    ① 本件賃貸借契約締結の際に取り交わされた契約書(甲3)はもとより、前提事実(1)及び(2)の各契約締結の際に取り交わされた契約書(甲1、2)にも、更新料の支払いに関する約定は存在しないこと、

   ② 前提事実(2)の更新料は、原告(地主)が近隣の不動産業者から更新料の相場につき意見を聴取し、これを参考にして金額を提示し、Aがこれに同意したものであること、

   ③ 本件賃貸借契約を締結した時点では、前提事実(2)の賃貸契約の賃貸期間が7年以上存在したが、被告(借地人)が本件土地内の建物を建て替えることになったことから、改めて本件賃貸借契約が締結されることになったこと、この際に支払われた更新料も、原告(地主)が近隣の不動産業者からの相場につき意見を聴取し、これを参考にして金額を提示し、被告(借地人)がこれに同意したものであるが、これは本件土地の更地価格の約3パーセントに相当する金額(借地借家人組合註)であったこと、

   ④ B弁護士は、書面により前提事実(4)の請求をした際、更新料の算出根拠について、本件土地の更地価格(5600万1500円)の7割を借地権価格として算出し、その1割程度を目安にした旨の説明をしていたこと、

   ⑤ 被告(借地人)は、平成21年6月17日ころ、B弁護士に対し、「借地権価格に1割」の根拠が良く分からないとして、その説明を求め、さらに、被告(借地人)が考えていた金額とはかなりの乖離がある旨記載した書面を送付したこと、

   ⑥ その後、B弁護士と被告(借地人)は、3回にわたって更新料の額につき交渉し、その中で、被告(借地人)は175万円の支払をする旨の提案をしたこともあったが、結局合意には至らなかったこと、以上の事実が認められる。

 以上の認定事実によれば、本件賃貸借契約締結の時点では、被告(借地人)においても、賃貸期間満了時に更新料の支払い及び額について、原告(地主)と協議することを念頭に置いてきたものと認められるものの、これらの事実から、原告(地主)と被告(借地人)との間で、賃貸借契約の更新に当たり、更新料を支払う旨の合意(黙示の合意を含む。)があったとまでは認められず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。

   なお、あえて付言するに、仮に、賃貸借契約の当事者間で更新料の支払につき合意がされたとしても、その法的性質についは種々の考え方があり得るところであって、更新料の法的性質からその算出基準ないし算出根拠が一義的に導かれるものではないから(この点で、賃貸借契約における賃料や、請負契約における請負代金等とは異なるといわざるを得ない。)、更新料の支払請求権が具体的権利性を有するためには、少なくとも、更新料支払の合意をする際に、裁判所において客観的更新料の額を算出することができる程度の具体的基準を定めることが必要であって、そのような基準が定められていない合意は、更新料支払請求権の発生原因とはなりえないものと解されるしかるに、原告(地主)と被告(借地人)との間で、更新料の額算出する具体的基準につき合意が成立していたことを窺わせる証拠はないのであるから(むしろ、上記①及び③ないし⑤の事実に照らせば、そのような基準は定められていなかったものと認められる。)、いずれにしても、原告(地主)の請求は理由がないことに帰する。

2 よって、原告(地主)の請求を棄却することとして、主文のとおり判決する。

  東京地方裁判所民事第41部

 

     裁判官   堂 薗  幹一郎

 


(借地借家人組合註)借地借家法17条の増改築許可の代諾許可の非訟手続で裁判所が提示する非堅固建物の建替承諾料は更地価格の2~5%の範囲 で決定される。全体の約85%が前記の範囲で立替承諾料は決定され、建て替えが許可される。

 

 

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【判例】*借地契約の更新拒絶に正当の事由がないとされた事例

2018年10月15日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

借地契約の更新拒絶に正当事由がないとされた事例
(最高裁平成6年6月7日判決 裁判集民事172号633頁)


       主   文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人らの負担とする。


       理   由
第1 上告人周藤末光代理人岡本好司、同鈴木銀治郎、上告人吉良縣子代理人高松薫の上告理由第1、第2について

1 原審の適法に確定した事実関係の概要は、次のとおりである。
(1) 第1審判決添付物件目録《略》(2)及び(3)記載の土地(以下、それぞれ「本件1土地」及び「本件2土地」という。)は、従前は1筆の土地(以下「従前地」という。)であって、根津育英会、次いで国土計画株式会社の所有であった。被上告人らの先代木塚芳次は、従前地を根津育英会から賃借し、その上に同目録(1)冒頭記載の建物(以下「本件建物」という。)を建築し、これを上告人らに賃貸してその賃料収入により生活していた。

(2) 上告人周藤末光は、従前地から分筆された本件1土地を、また上告人吉良縣子は、同じく本件2土地を、いずれも昭和56年3月17日ころ前所有者国土計画株式会社から買い受けて、それぞれその所有権を取得した。なお、上告人らは、芳次の借地権の存在を前提として、本件各土地を更地価格の2割程度の価格で買い受けたものである。

(3) 芳次の借地権は、平成元年6月30日に期間が満了することとなったところ、上告人周藤は昭和63年12月5日付け通知書により、上告人吉良は平成元年8月9日付け通知書により、それぞれ芳次に対し借地契約の更新拒絶の意思表示をした。

(4) 芳次は平成元年8月15日に死亡し、その妻(記録によれば、訴訟承継前の第1審被告であったが、第1審係属中の平成2年1月14日に死亡し、被上告人らがこれを承継したものである。)及びその子又は孫である被上告人らが芳次の本件各土地の借地権を相続したが、同人らが相続税の申告をしたところ、本件各土地の借地権の価格は1億9945万1397円と評価され、右借地権を含む芳次の遺産の相続については、1803万8500円の相続税が課せられることとなった。

(5) その後、被上告人らは、本件各土地の借地権を他に譲渡して前記相続税の支払等に充てることを意図して、東京地方裁判所に本件各土地の賃借権の譲渡許可を求める借地非訟事件の申立てをした。他方、上告人らは、同裁判所に本件建物の収去と本件各土地の明渡しとを求めて本訴を提起した。そして、平成2年8月31日に右借地非訟事件の申立てを認容する決定がされたが、右事件の鑑定委員会は、本件各土地の更地価格は10億8000万円、本件各土地の借地権の価格はその75パーセント程度と評価していた(なお、記録によれば、右決定は、被上告人らが裁判確定の日から3か月以内に、上告人周藤に対し460万4000円、上告人吉良に対し3495万6000円を支払うことを条件として、本件各土地の賃借権を他に譲渡することを許可していることが明らかである。)。

(6) 上告人らは、本件各土地上に隣接地主らと共同で高層建物を建築する計画を有しているのに対し、被上告人らは、前記のとおり、本件各土地の借地権を他に譲渡して前記相続税の支払等に充てる意向を有している。本件建物は、穂に上告人らの店舗、住宅として使用されており、いまだ朽廃の状態に至っているとはいえない。


2 ところで、借地法4条1項ただし書にいう正当の事由の有無は、土地所有者側の事情のみならず借地権者側の事情をも総合的にしんしゃくした上で、これを判断すべきものである(最高裁昭和34年(オ)第502号 同37年6月6日大法廷判決・民集16巻7号1265頁参照)。
 これを本件についてみるのに、前示事実関係によれば、本件建物の賃借人である上告人らが、芳次の借地権が存在することを前提として本件各土地を安価で買い受け、芳次に対して借地契約の更新拒絶の意思表示をしたという事情の下で、財産敵価値の高い借地権を相続したことにより多額の相続税の支払をしなければならない状況にある被上告人らが、その借地権を他に譲渡して得られる金銭を右相続税の支払に充てるために、右譲渡許可を求める借地非訟事件の申立てをしたというのであり、また、上告人らは、現に本件建物及びその敷地である本件各土地を自ら使用しているのであって、借地契約を終了させなくとも右の使用自体には支障がなく、本件各土地の借地権が譲渡されたとしても、その後の土地利用計画について譲受人らと協議することが可能であるなどの事情があることが明らかである。そうすると、右のような上告人らと被上告人ら双方の事情を総合的に考慮した上で上告人らの更新拒絶につき正当の事由があるということはできないとした原審の判断は、正当として是認することができ、その課程に所論の違法はない。論旨は採用採用できない。


第2 その余の上告理由について
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、違憲をいう点を含め、独自の見解に基づき若しくは原判決を正解しないでこれを非難するか、又は原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用できない。


 よって、民訴法401条、95条、89条、93条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。


   最高裁裁判長裁判官千種秀夫、裁判官園部逸夫、同可部恒雄、同大野正男、同尾崎行信

 

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【判例】*借地上の建物の譲渡担保権者が建物の引渡しを受けて使用収益をする場合は無断譲渡された事例

2018年10月12日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

借地上の建物の譲渡担保権者が建物の引渡しを受けて使用収益をする場合は民法612条の貸借権の譲渡又は転貸であるとした事例
(最高裁平成9年7月17日判決 民集51巻6号2882頁)


       主   文
 原判決を破棄する。
 被上告人(借家人または転借家人)の控訴を棄却する。
 控訴費用及び上告費用は被上告人の負担とする。


       理   由
 上告代理人内山辰雄、同巻嶋健治の上告理由1について
 1 原審の適法に確定した事実関係の概要は、次のとおりである。


 ① 上告人(賃貸人・地主)は、その所有する原判決添付物件目録1記載の土地(以下「本件土地」という。)を甲(賃借人・借地人)に賃貸し、甲は、同土地上に同目録2記載の建物(以下「本件建物」という。)を所有して、これに居住していた。なお、本件建物の登記簿上の所有名義人は、甲の父である乙となっていた。

 ② 甲(借地人)は、平成元年2月、本件建物を譲渡担保に供して丙から1300万円を借り受けたが、同月21日、乙をして、同建物を譲渡担保として丙に譲渡する旨の譲渡担保権設定契約書及び登記申請書類に署名押印させ、これらを丙に交付した。丙は、同日、甲から交付を受けた右登記申請書類を利用して、本件建物につき、代物弁済予約を原因として丙を権利者とする所有権移転請求権仮登記を経由するとともに、売買を原因として所有名義人を丙の妻である丁とする所有権移転登記を経由した。

 ③ 甲は、同月、本件建物から退去して転居したが、その後は、上告人に対して何の連絡もせず、丙との間の連絡もなく、行方不明となっている。

 ④ 被上告人(借家人または転借家人)は、同年6月10日、有限会社和晃商事(不動産業者)の仲介で本件建物を賃借する契約を締結して、それ以後、同建物に居住している。右の賃貸借契約書には、契約書前文に賃貸人として甲と丙の両名が併記され、末尾に「賃貸人甲」「権利者丙」と記載されているが、賃料の振込先として丙の銀行預金口座が記載されており、また、右契約書に添付された重要事項説明書には、本件建物の貸主及び所有者は丙と記載され、和晃商事は丙の代理人と記載されている。

 ⑤ 本件土地の地代は、従前は甲(借地人)が上告人(地主)方に持参して支払っていたところ、甲が本件建物から退去した後は、同年3月に丙から上告人の銀行預金口座に振り込まれ、これを不審に思った上告人が丙の口座に右振込金を返還すると、同年4月から12月まで丙から甲名義で振り込まれた。

 ⑥ 上告人は、本件建物につき丁名義への所有権移転登記がされていることを知り、丁に対し、平成2年4月13日到達の内容証明郵便により、同建物を収去して本件土地を明け渡すよう求めたところ、丙は、同年5月14日、丁名義への右所有権移転登記を錯誤を原因として抹消した。

 ⑦ 上告人(地主)は、甲に対して、平成4年7月16日に到達したとみなされる公示による意思表示により、賃借権の無断譲渡を理由として本件土地の賃貸借契約を解除した。


 2 本件請求は、上告人(地主)が、本件土地の所有権に基づき、同土地上の本件建物を占有する被上告人(借家人または転借家人)に対して、同建物から退去して同土地を明け渡すことを求めるものである。被上告人(借家人)は、抗弁として、本件土地の賃借人である甲から本件建物を賃借している旨を主張しているところ、上告人は、再抗弁として、民法612条に基づき甲との間の同土地の賃貸借契約を解除した旨を主張している。
 原審は、被上告人(借家人または転借家人)の抗弁について明示の判断を示さないまま、上告人(地主)の本件土地の賃貸借契約の解除の主張につき次のとおり判断し、上告人の請求を棄却した。

 ① 前記事実関係の下においては、丙は、甲に1300万円を貸し付け、右貸金債権を担保するために本件建物に譲渡担保権の設定を受け、貸金の利息として被上告人(借家人または転借家人)から同建物の賃料を受領している可能性が大きいということができるから、丙が本件建物の所有権を終局的、確定的に取得したものと認めることはできない。

 ② 甲(借地人)の丙(債権者)に対する右貸金債務は、弁済期が既に経過しているにもかかわらず弁済されていないが、丙が譲渡担保権を実行したと認めるに足りる証拠はないから、本件建物の所有権の確定的譲渡は未だされていない。

 ③ そうすると、本件土地の賃借権も、丙に終局的、確定的に譲渡されていないから、同土地について、民法612条所定の解除の原因である賃借権の譲渡がされたものとはいえず、上告人の本件賃貸借契約解除の意思表示は、その効力を生じない。


 3 しかし、原審の右判断は是認できない。その理由は、次のとおりである。

 ① 借地人が借地上に所有する建物につき譲渡担保権を設定した場合には、建物所有権の移転は債権担保の趣旨でされたものであって、譲渡担保権者によって担保権が実行されるまでの間は、譲渡担保権設定者は受戻権を行使して建物所有権を回復することができるのであり、譲渡担保権設定者が引き続き建物を使用している限り、右建物の敷地について民法612条にいう賃借権の譲渡又は転貸がされたと解することはできない(最高裁昭和39年(オ)第422号 同40年12月17日判決・民集19巻9号2159頁参照)。しかし、地上建物につき譲渡担保権が設定された場合であっても、譲渡担保権者が建物の引渡しを受けて使用又は収益をするときは、未だ譲渡担保権が実行されておらず、譲渡担保権設定者による受戻権の行使が可能であるとしても、建物の敷地について民法612条にいう賃借権の譲渡又は転貸がされたものと解するのが相当であり、他に賃貸人に対する信頼関係を破壊すると認めるに足りない特段の事情のない限り、賃貸人は同条2項により土地賃貸借契約を解除することができるものというべきである。何故なら、(1) 民法612条は、賃貸借契約における当事者間の信頼関係を重視して、賃借人が第三者に賃借物の使用又は収益をさせるためには賃貸人の承諾を要するものとしているのであって、賃借人が賃借物を無断で第三者に現実に使用又は収益させることが、正に契約当事者間の信頼関係を破壊する行為となるものと解するのが相当であり、(2) 譲渡担保権設定者が従前どおり建物を使用している場合には、賃借物たる敷地の現実の使用方法、占有状態に変更はないから、当事者間の信頼関係が破壊されるということはできないが、(3) 譲渡担保権者が建物の使用収益をする場合には、敷地の使用主体が替わることによって、その使用方法、占有状態に変更を来し、当事者間の信頼関係が破壊されるものといわざるを得ないからである。

 ② これを本件についてみるに、原審の前記認定事実によれば、丙は、甲から譲渡担保として譲渡を受けた本件建物を被上告人に賃貸することによりこれの使用収益をしているものと解されるから、甲の丙に対する同建物の譲渡に伴い、その敷地である本件土地について民法612条にいう賃借権の譲渡又は転貸がされたものと認めるのが相当である。本件において、仮に、丙が未だ譲渡担保権を実行しておらず、甲が本件建物につき受戻権を行使することが可能であるとしても、右の判断は左右されない。

 ③ そうすると、特段の事情の認められない本件においては、上告人の本件賃貸借契約解除の意思表示は効力を生じたものというべきであり、これと異なる見解に立って、本件土地の賃貸借について民法612条所定の解除原因があるとはいえないとして、上告人による契約解除の効力を否定した原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があり、この違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。論旨は理由があり、その余の上告理由について判断するまでもなく、原判決は破棄を免れない。そして、前に説示したところによれば、上告人の再抗弁は理由があるから、上告人の本件請求は、これを認容すべきである。右と結論を同じくする第1審判決は正当であって、被上告人の控訴は棄却すべきものである。


 よって、民訴法408条、396条、384条、96条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。


   最高裁裁判長裁判官藤井正雄、裁判官小野幹雄、同高橋久子、同遠藤光男、同井嶋一友

 

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【判例】*小規模閉鎖有限会社における実質的な経営者の交代は無断譲渡になるのか

2018年10月11日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

小規模閉鎖有限会社における実質的な経営者の交代は民法612条の賃借権の無断譲渡には当たらないとした事例
(最高裁平成8年10月14日判決 民集50巻9号2431頁)


       主   文
 原判決を破棄する。
 本件を東京高等裁判所に差し戻す。


       理   由
 上告人の上告理由第1点について
 (1) 本件は、土地の所有者である被上告人(賃貸人・地主)らが、右土地上に建物を所有して右土地を占有する上告人(賃借人・借地人)に対し、所有権に基づいて建物収去土地明渡しを求め、上告人の土地賃借権の抗弁に対して、賃借権の無断譲渡を理由とする賃貸借契約の解除を再抗弁として主張した事案であるところ、原審の確定した事実関係の概要は、次のとおりである。

 1 第1審判決別紙物件目録1ないし3記載の土地(以下「本件土地」という。)は、甲の所有であったが、昭和60年に同人が死亡し、その子である乙が右土地を相続した。
 平成3年12月4日、被上告人有限会社山梨重機は、同目録1及び2記載の土地を、同有限会社山梨興業は、同目録3記載の土地を、それぞれ乙から買い受けた。

 2 上告人(賃借人)は、昭和45年に甲との間で本件土地につき普通建物の所有を目的とする賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)を締結し、右土地上に前記目録4記載の建物(以下「本件建物」という。)を建築所有して、右土地を占有している。

 3 上告人(賃借人)は、貨物自動車運送事業等を目的とする資本金2000万円の有限会社であり、設立時以来の代表取締役である上告補助参加人が経営を担当し、上告人の持分はすべて上告補助参加人及びその家族が所有し、役員も同人らとその親族で占められていた。
 上告人は、一般区域貨物自動車運送事業の免許を受け、貨物自動車を保有し、本件建物を車庫として使用して、運送業を営んでいた。

 4 上告補助参加人及びその家族は、平成3年9月20日、その所有する上告人の持分全部を個人で運送業を営んでいた丙(上告人の現代表取締役)に売り渡し、同日付けで上告人の役員全員が退任し、丙がその代表取締役に、同人の家族がその他の役員に就任した。
 同日以後、丙が中心となって上告人の経営を行い、上告人は、従前からの自動車及び従業員に丙個人が運送業に使用していた自動車及び従業員を加え、本件土地建物を使用して従前と同様の運送業を営んでいる。

 5 被上告人(賃貸人)らは、平成4年8月25日の第1審口頭弁論期日において、上告人(賃借人)に対し、賃借権の無断譲渡を理由として本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした。

 

 (2) 原審は、右事実関係の下において、次のとおり判断して、被上告人らが主張した解除の再抗弁を認め、被上告人らの建物収去土地明渡請求を認容すべきものとした。

 1 上告人(賃借人)は、上告補助参加人の経営する個人会社であったところ、上告補助参加人が上告人の経営の一切を新たな経営者である丙に譲渡して上告人の経営から手を引いたものであり、右譲渡の前後を通じて上告人の法人格は形式的には同一性を保持しているとはいえ、小規模な個人会社においては、経営者と土地所有者との個人的な信頼関係に基づいて土地賃貸借契約が締結されるのが通常であり、経営者の交代は、その実質に着眼すれば、旧経営者から新経営者に対する賃借権の譲渡であるから、上告補助参加人から丙に対して本件土地の賃借権が譲渡されたものと解するのが相当である。

 2 乙が賃借権の譲渡を承諾した事実を認めることはできず、右譲渡が賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるということもできない。

 

 (3) しかし、原審の右1の判断は是認できない。その理由は次のとおりである。

 1 民法612条は、賃借人は賃貸人の承諾がなければ賃借権を譲渡することができず、賃借人がこれに反して賃借物を第三者に使用又は収益させたときは、賃貸人は賃貸借契約を解除することができる旨を定めている。右にいう賃借権の譲渡が賃借人から第三者への賃借権の譲渡を意味することは同条の文理からも明らかであるところ、賃借人が法人である場合において、右法人の構成員や機関に変動が生じても、法人格の同一性が失われるものではないから、賃借権の譲渡には当たらないと解すべきである。そして、右の理は、特定の個人が経営の実権を握り、社員や役員が右個人及びその家族、知人等によって占められているような小規模で閉鎖的な有限会社が賃借人である場合についても基本的に変わるところはないのであり、右のような小規模で閉鎖的な有限会社において、持分の譲渡及び役員の交代により実質的な経営者が交代しても、同条にいう賃借権の譲渡には当たらないと解するのが相当である。賃借人に有限会社としての活動の実体がなく、その法人格が全く形骸化しているような場合はともかくとして、そのような事情が認められないのに右のような経営者の交代の事実をとらえて賃借権の譲渡に当たるとすることは、賃借人の法人格を無視するものであり、正当ではない。賃借人である有限会社の経営者の交代の事実が、賃貸借契約における賃貸人・賃借人間の信頼関係を悪化させるものと評価され、その他の事情と相まって賃貸借契約解除の事由となり得るかどうかは、右事実が賃借権の譲渡に当たるかどうかとは別の問題である。賃貸人としては、有限会社の経営者である個人の資力、信用や同人との信頼関係を重視する場合には、右個人を相手方として賃貸借契約を締結し、あるいは、会社との間で賃貸借契約を締結する際に、賃借人が賃貸人の承諾を得ずに役員や資本構成を変動させたときは契約を解除することができる旨の特約をするなどの措置を講ずることができるのであり、賃借権の譲渡の有無につき右のように解しても、賃貸人の利益を不当に損なうものとはいえない。

 2 前記事実関係によれば、上告人(賃借人)は、上告補助参加人が経営する小規模で閉鎖的な有限会社であったところ、持分の譲渡及び役員の交代により上告補助参加人から丙に実質的な経営者が交代したものと認められる。しかし、上告人は、資産及び従業員を保有して運送業を営み、有限会社としての活動の実体を有していたものであり、法人格が全く形骸化していたといえないことは明らかであるから、右のように経営者が交代しても、賃借権の譲渡には当たらないと解すべきである。右と異なり、実質的には上告補助参加人から丙に賃借権が無断譲渡されたものとして被上告人らの契約解除の主張を認めた原審の判断には、民法621条の解釈適用を誤った違法があり、右違法が原判決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。この点をいう論旨は理由があり、その余の点につき判断するまでもなく、原判決は破棄を免れない。そして、記録によれば、被上告人らは、本件賃貸借契約につき他の解除事由をも主張していることが認められるから、この点について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻す。


 よって、民訴法407条1項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。


    最高裁裁判長裁判官根岸重治、裁判官大西勝也、同河合伸一、同福田博

 

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【判例】*借地法12条2項にいう「相当ト認ムル」賃料とは

2018年10月10日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

借地人の供託した賃料額が借地法12条2項の相当賃料と認められた事例
(最高裁平成5年2月18日判決 裁判集民事167号下129頁)


       主   文
 原判決中上告人(賃借人)敗訴部分を破棄し、第1審判決中右部分を取り消す。
 前項の部分に関する被上告人(賃貸人)の請求を棄却する。
 訴訟の総費用は被上告人(賃貸人)の負担とする。


       理   由
 上告代理人永原憲章、同藤原正廣の上告理由について
 (1) 原審の確定した事実関係の概要は、次のとおりである。

  1 上告人(賃借人)は、昭和45年5月23日、被上告人(賃貸人)から、第1審判決別紙物件目録1記載の土地(以下「本件土地」という。)を、建物所有を目的として、賃料月額6760円で賃借し、右土地上に同目録2記載の建物(以下「本件建物」という。)を所有している。

  2 被上告人(賃貸人)は、上告人(賃借人)に対し、本件土地の賃料を、昭和57年9月13日ころ到達の書面で同年10月1日から月額3万6052円に、昭和61年12月30日到達の書面で昭和62年1月1日から月額4万8821円に、それぞれ増額する旨の意思表示をした後、本件土地の賃料が右各増額の意思表示の時点で増額されたことの確認を求める訴訟を神戸地方裁判所に提起した(同庁昭和62年(ワ)第36号、以下「賃料訴訟」という。)。

  3 被上告人は(賃貸人)、上告人(賃借人)に対し、賃料訴訟の係属中の昭和62年7月8日到達の書面で、昭和57年10月1日から同61年12月31日まで月額3万6052円、昭和62年1月1日から同年6月30日まで月額4万6000円による本件土地の賃料合計211万4652円を同年7月13日までに支払うよう催告するとともに、右期間内に支払のないときは改めて通知することなく本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした。

  4 上告人は(賃借人)、被上告人(賃貸人)に対し、従前の月額6760円の賃料を提供したが、受領を拒絶されたため、昭和59年5月12日に同年6月分まで月額6760円、昭和62年1月28日に同59年7月分から同62年6月分まで月額1万140円、昭和62年7月10日に同年7月分から同年12月分まで月額2万3000円を、いずれも上告人(賃借人)において相当と考える賃料として供託した。

  5 昭和62年12月15日、賃料訴訟において、本件土地の賃料が昭和57年10月1日から同61年12月31日までは月額3万6052円、昭和62年1月1日以降は月額4万6000円であることを確認する旨の判決がされ、控訴なく確定した。昭和63年3月1日、上告人(賃借人)と被上告人(賃貸人)との間で、賃料訴訟で確認された同62年6月30日までの本件土地の賃料と上告人(賃借人)の供託賃料との差額及びこれに対する法定の年1割の割合による利息を支払って清算する旨の合意が成立し、上告人(賃借人)は右合意に従って清算金を支払った。

  6 被上告人(賃貸人)は、上告人(賃借人)に対し、前記の賃料増額の意思表示のほかにも、昭和47年1月から月額2万2533円に、同53年1月から月額2万6288円に、同55年7月から月額3万1546円に各増額する旨の意思表示をその都度したが、上告人(賃借人)はこれに応ぜず、前記のとおり昭和59年6月分まで当初の月額6760円の賃料を供託し続けた。また、上告人(賃借人)は、本件土地の隣地で被上告人(賃貸人)が他の者に賃貸している土地について、昭和45年以降数度にわたって合意の上で賃料が増額されたことの大要を知っていた。


 (2) 原審は、被上告人(賃貸人)の本件建物収去本件土地明渡等請求を認容した第1審判決は、賃料相当損害金請求に関する一部を除いて、正当であるとした。

その理由は、次のとおりである。
  1 借地法12条2項にいう「相当ト認ムル」賃料とは、客観的に適正である賃料をいうものではなく、賃借人が自ら相当と認める賃料をいうものと解されるが、それは賃借人の恣意を許す趣旨ではなく、賃借人の供託した賃料額が適正な賃料額と余りにもかけ離れている場合には、特段の事情のない限り、債務の本旨に従った履行とはいえず、さらに、そのような供託が長期にわたって漫然と続けられている場合には、もはや賃貸人と賃借人の間の信頼関係は破壊されたとみるべきである。

  2 一記載の事実関係の下において、上告人(賃借人)が相当と考えて昭和57年10月1日から同62年30日までの間に供託していた賃料は、賃料訴訟で確認された賃料の約5・3分の1ないし約3・6分の1と著しく低く、上告人(賃借人)は、右供託賃料が本件土地の隣地の賃料に比してもはるかに低額であることを知っていたし、他に特段の事情もないから、上告人(賃借人)の右賃料の供託は債務の本旨に従った履行と認めることはできず、上告人(賃借人)、被上告人(賃貸人)の数回にわたる賃料増額請求にもかかわらず、約12年余の間にわたり当初と同一の月額6760円の賃料を漫然と供託してきた事実を併せ考えると、当事者間の信頼関係が破壊されたと認めるのが相当であり、本件賃貸借契約は昭和62年7月13日の経過をもって賃料不払を理由とする解除により終了した。

 (3) しかし、被上告人(賃貸人)の請求は理由があるとした原審の右判断部分は、是認できない。その理由は、次のとおりである。
 借地法12条2項は、賃貸人から賃料の増額請求があった場合において、当事者間に協議が調わないときには、賃借人は、増額を相当する裁判が確定するまでは、従前賃料額を下回らず、主観的に相当と認める額の賃料を支払っていれば足りるものとして、適正賃料額の争いが公権的に確定される以前に、賃借人が賃料債務の不履行を理由に契約を解除される危険を免れさせるとともに、増額を確認する裁判が確定したときには不足額に年1割の利息を付して支払うべきものとして、当事者間の利益の均衡を図った規定である。

 そして、本件において、上告人は、被上告人(賃貸人)から支払の催告を受ける以前に、昭和57年10月1日から同62年6月30日までの賃料を供託しているが、その供託額は、上告人として被上告人(賃貸人)の主張する適正賃料額を争いながらも、従前賃料額に固執することなく、昭和59年7月1日からは月額1万140円に増額しており、いずれも従前賃料額を下回るものではなく、かつ上告人(賃借人)が主観的に相当と認める額であったことは、原審の確定するところである。そうしてみれば、上告人(賃借人)には被上告人(賃貸人)が本件賃貸借契約解除の理由とする賃料債務の不履行はなく、被上告人(賃貸人)のした解除の意思表示は、その効力がないといわなければならない。

 もっとも、賃借人が固定資産税その他当該賃借土地に係る公租公課の額を知りながら、これを下回る額を支払い又は供託しているような場合には、その額は著しく不相当であって、これをもって債務の本旨に従った履行ということはできないともいえようが、本件において、上告人(賃借人)の供託賃料額が後日賃料訴訟で確認された賃料額の約5・3分の1ないし約3・6分の1であるとしても、その額が本件土地の公租公課の額を下回るとの事実は原審の認定していないところであって、未だ著しく不相当なものということはできない。また、上告人(賃借人)においてその供託賃料額が本件土地の隣地の賃料に比べはるかに低額であることを知っていたとしても、それが上告人(賃借人)において主観的に相当と認めた賃料額であったことは原審の確定するところであるから、これをもって被上告人(賃貸人)のした解除の意思表示を有効であるとする余地もない。

 (4) そうすると、原判決には借地法12条2項の解釈適用を誤った違法があり、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、この点をいう論旨は理由がある。そして、以上によれば、被上告人(賃貸人)の請求は理由がないことに帰するから、原判決中上告人(賃借人)敗訴部分を破棄し、第1審判決中右部分を取り消した上、右部分に係る被上告人(賃貸人)の本訴請求を棄却すべきである。

 よって、民訴法408条、396条、386条、96条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。


   最高裁裁判長裁判官三好達、裁判官大堀誠一、同橋元四郎平、同味村治、同小野幹雄

 

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【判例】*立退料の支払いは正当事由の補強条件になるという事例

2018年10月09日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

移転料の提供により借家法1条の2の正当の事由の補強条件になるという事例
(最高裁昭和38年3月1日判決 民集17巻2号290頁)


       主   文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人(賃借人)の負担とする。


       理   由
 上告代理人坂上富男の上告理由第1点について。

 原審第6回口頭弁論調書によれば、被上告人(賃貸人)は所論訴状訂正の申立書により新たな解約申入をする趣旨であることを明確にしていることが認められ、かつ前解約申入と本解約申入に因る各請求は、その基礎に変更のないこというまでもない。所論は、原判決を正解せずこれに違法がある主張するものであって、採るをえない。

 同第2点について
 本件訴訟の経過に照し、期限到来後即時に上告人(賃借人)の履行が期待できないこと明らかであるから、被上告人(賃貸人)は予め請求する必要あるものというべく、この点に関する原判決の判断は正当であって、この判断に到達した具体的理由を判示しなければならないものではない。所論は理由なく、排斥を免れない。

 同第3点について
 原判決が、その認定した当時者双方の事情に、被上告人(賃貸人)が上告人(賃借人)に金40万円の移転料を支払うという補強条件を加えることにより、判示解約の申入が正当の事由を具備したと判断したことは相当であって、借家法1条の2の解釈を誤った違法や理由不備の違法は認められない。所論は独自の見解に立脚するものであって、採用しえない。

 よって、民訴401条、95条、89条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。


    最高裁裁判長裁判官池田克、裁判官河村大助、同奥野健一、同山田作之助、同草鹿浅之介

 

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