東京・台東借地借家人組合1

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家主の明渡請求を断念させる (東京・国分寺市)

2006年09月29日 | 建物明渡(借家)・立退料

       突然訪問し3時間も粘る家主の
       明渡請求を断念させた

 国分寺市並木町に住むAさんは夫婦と長男の3人家族。2年前の04年5月に木造2階建4DKの貸家を家賃月額10万円、敷金2か月分、礼金1か月分を支払って契約した。

 去年の夏に家主が突然死亡し、5月の初めに家主の奥さんが突然訪ねてきた。新しい家主となった奥さんの話によると、ご主人の入院先が遠いため転居したが、主人が亡くなったので元の家に住みたいので退去して欲しいとのこと。契約は更新しないと言ってきた。

 Aさんは、契約更新間際になって突然言われても出て行くことはできないと断ったが、3時間も粘られて一方的に話をされ、ほとほと困ってしまった。

 Aさんは、インターネットで検索し、立川市に組合があることがわかり、早速に相談に行った。

 「家主は解約するには1年前から半年前まで解約の通告をしないと契約は従前と同一の条件で更新される(借地借家法第26条)ので、明渡しの話には一切応じる必要はない」とアドバイスを受け、今度家主と会う約束をしているのであれば、面会を断り、「今後の交渉は組合に任せている」と伝えることにした。

 家主から早速組合に連絡が入り、電話でのやり取りだけだったが、今回の明渡しを家主は断念。

 この度、更新契約書の作成を求めてきたが、契約書の内容が前より借主に不利であるため突き返すことにした。

 

東京借地借家人新聞より

 

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地上げ業者が借地人にしつこく底地の買取要求 (東京・豊島区)

2006年09月28日 | 地上げ・借地権(底地)売買

     相続で業者が底地を買収
    底地の買取請求には資金が無いと断り続ける

  豊島区目白に借地しているAさんの底地は、平成16年に地主が相続のために業者に売買した。その後、代理人として大阪のB業者が訪問し「この地域の更地価格は200万円する5対5で買取れ」と迫った。Aさんは怖くなって組合に入会した。

 借地の売買及び契約については組合を窓口にして行うことを通知した。B業者は底地の売買について、7対3にするなどの案を提案してきたが、Aさんは、このまま借地として住み続けたいし、買取る資金もないと断ることにした。

 その後、B業者は1年以上にわたって、組合事務所に地代の集金にきて売買の話を持ち出したが、折り合いはつかなかった。いつのまにか担当者が替わり、Aさんに面会を強要するようになった。「いるのはわかっているんだ」「はやくでてこい」などと声を荒げて何度も戸をたたいた。ただちに警察に通報するよう指導し、現場に出向いた。今後は、警察などと連絡を密にし対応することにすると共に必要ならば法的手段も検討することにした。

 

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 *2筆の借地の一方にのみ登記ある建物がある場合の明渡請求は権利濫用

2006年09月25日 | 土地明渡(借地)

 判例紹介

 一体として利用されている2筆の借地のうち一方の土地上にのみ借地権者所有の登記されている建物がある場合において両地の買主による他方の土地の明渡請求が権利の濫用に当たるとされた事例最高裁平成9年7月1日判決、判例時報1614号)

 (事案)
 ガソリンスタンド会社を兄弟で設立した。兄が代表取締役で弟が監査役。2筆の土地の所有者は弟で、会社が弟から借地をした。
 会社は、奥の土地(A地)に3階建の事務所建物を建築して、所有権保存登記をしたが、道路側の土地(B)には建物はなく、地下にガソリン貯蔵タンク、地上に給油設備、ポンプ室があった。

 兄弟不仲となり、弟がAB両地とも不動産業者に時価の約10億円で売却してしまった。買取った不動産業者が、会社に土地明渡の要求。
 争いとなった点は、建物がないB地の借地権を土地購入者である不動産業者に対抗できるか、ということであった。

 東京地裁は、A地の借地権対抗力がB地にも及ぶという理由で、借地権者を勝訴させたが、東京高裁は、B地は借地権を対抗できず、買主の明渡請求は権利濫用でもないとして、逆転敗訴。
 本判決は、借地権は対抗できないが不動産業者が明渡を要求することは権利の濫用で許されないと判断した。

 (判決要旨)
 「A地とB地は、ガソリンスタンドであり、社会通念上相互に密接に関連する一体として利用されている。B地を利用できなければガソリンスタンドの営業が不可能になるので借地人はその土地を利用する必要性が強い。反面、買主は、AB地につき格別の利用目的があるわけでない。買主は、AB地が賃貸借ではなく使用貸借であるとの説明を受けて買ったものではある。土地はガソリンスタンドとして利用されていたのであるから、借地人がその土地の明渡に直ちに応じると考えたことは、なお落ち度があった。借地人は、B地上には、給油施設の他・ポンプ室を有していたが、その規模から見て独立の建物と考えず、登記しなかったこともやむを得なかった。買主が、本件土地を時価で買い取ったことを考慮しても、なお本件明渡請求は権利の濫用に当たり許されない。」

 (説明)
 2筆の借地と自宅用に借地して建物の登記をしたが庭部分の借地が別の筆になっていて、建物が存在しないという場合があり得る。この場合、庭部分の借地権は、土地の買主に対抗できないことがこの判決の前提になっている(参考、最高裁昭和44年10月28日判決、判例時報576号)。

 その上で、買主からの明渡請求が権利濫用になるかどうかを問題とした。高裁判決は権利濫用にならないと判断し、本最高裁判決は権利濫用になると判断したように、権利濫用の判断は微妙なものがある。

(1998.02.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 貸主から契約解除された転借人は転貸人に家賃の支払を拒否出来る(1)

2006年09月22日 | 譲渡・転貸借

 判例紹介

 賃貸人が賃借人(転貸人)との賃貸借契約解除を理由に建物明渡を求められた場合、転借人は転貸人に対して家賃の支払を拒絶できるとした事例 東京地裁平成6年12月2日判決、判例時報1551号96頁)

 (事実)
 A(建物所有者)、B(賃借人=転貸人)、C(転借人)とする。

 AはBに対し、Bの賃料不払を理由として建物賃貸借契約を解除しBおよびCに対し建物明渡を求めた。
 そこで、CはBに対する建物明渡を求められていることを理由に家賃の支払を拒絶した。
 その後、AはBに対する建物明渡請求事件に勝訴したので、CはBとの間の建物賃貸借契約を解除し、あらためてAとの間で直接建物賃貸借契約を結んだ。そこで、CはBに差し入れていた保証金返還請求権が発生したので、未払家賃と相殺したと主張した。

 (争点)
 本件の争点は、基になる賃貸人から賃借人(転貸人)に対する賃貸借契約解除を理由に転借人に対して明渡請求があった場合、転借人は転貸人に対し、賃料の支払を拒絶できるかである。

 (判決要旨)
 裁判所は、『Aは、本件建物所有権を有するものであり、Cに対して賃借物に対する権利に基づき明渡しを請求できる地位にあるところ、一般に、賃貸人の賃借人に対する目的物を使用収益させる義務には単に目的物を事実上使用可能の状態に置くことだけにとどまらず、その使用によって賃借人が第三者からの不当利得返還請求あるいは不法行為に基づく損害賠償請求を負うことがないようにする義務も含むものと解すべきである。本件においては、CはAから直接賃料の支払請求、その後明渡請求と賃料相当損害金の支払を求められている以上、Aから権利を主張された以降の賃料の支払を拒絶できるものである。なお未払い賃料については、保証金により当然充当されるものであり改めての相殺の意思表示は要するものでない。』と判示した。

 (短評)
最高裁は、賃借人が、所有権など賃借物に対する権利に基づく明渡請求できる第三者から賃借物の明渡を求められた場合には、それ以降の賃料の支払を拒絶できるとしている最高裁昭和50年4月25日判決、判例時報778号62頁)

 賃借人が賃借物を現実に使用収益を継続しているのに賃料の支払拒絶できる理由は、賃借人が真の権利者から不当利得返還請求または損害賠償請求を受ける客観的危険があるからである。
 本件は、バブル崩壊後多発しているケースであり、賃借人がとるべき措置の上で実務上参考になるものである。

(1996.04.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 


 

 (*)参考 こちらでも東京地裁平成6年12月2日判決を扱っています。

 

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【判例紹介】 *転貸人の賃料不払で契約解除する場合、転借人に通告等をしなくてもよい

2006年09月21日 | 譲渡・転貸借

 判例紹介

 適法な転貸借関係が存在する場合、賃貸人が賃料の不払を理由として賃貸借契約を解除するには、特段の事情のない限り、転借人に通知等をして賃料の代払の機会を与えなければならないものではない 最高裁第2小法廷平成6年7月18日判決、判例タイムズ888号118頁)

 (事案)
 Y(転借人)は、X(賃貸人)から土地を賃借していたA(賃借人・転貸人)から土地の半分を転借し、その土地上に建物を所有していた。Aが賃料の支払を怠ったため、XはAに対し、賃料支払の催告をしたうえ、契約を解除し、Yに対して建物収去土地明渡を求めた。

 Yは、転貸借がある場合には、賃貸人が賃料不払を理由に契約解除するためには、転借人に対して通告をするなどして、未払賃料の支払をする機会を与えなければならないと主張して争った。原審はXの請求を認めたためYが上告していた事案である。Yの上告棄却。

 (判旨)
 「土地の賃貸借契約において、適法な転貸借関係が存在する場合に、賃貸人が賃料の不払を理由に契約を解除するには、特段の事情のない限り、転借人に通知等をして賃料の代払の機会を与えなければならないものではない

 (寸評)
 最高裁は、本件の先例として、昭和37年3月29日第1小法廷判決。昭和49年5月30日第1小法廷判決等で、本判決と同旨の判断をしていた。

 Yはこの判例の変更を求めたが棄却された。賃貸人と賃借人(転貸人)が基本賃貸借契約を合意解除した場合については、最高裁は、転借人に対抗し得ないとしていた(昭和37年2月1日第一小法廷判決)が、賃料不払などの債務不履行による解除については、転借人に対抗できるとして、転借人の主張を悉く認めて来なかった。

 これまでの学説では、信義則あるいは公平の原則に照らして転借人に対して賃料不払の事実の通知をして、代払の機会を与えるべきであるとするものがあり、多数説となっている。本判決では、この学説に従った少数意見が出されており、注目される。

 転借人の保護を重視する立場にはもっともな面があるが、転貸借が元の賃貸借の存在を前提としている限り、その理論上の拘束は厳しく、判例の変更は期待すべきではなかろう。

(1996.11.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 *賃貸人の承諾ある転貸借は賃貸人が転借人に明渡を請求したときに終了する

2006年09月20日 | 譲渡・転貸借

 判例紹介

 賃借人の債務不履行により賃貸借契約が解除された場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に終了するとされた事例 最高裁平成9年2月25日判決。判例時報1599号69頁)

 (事案の概要)
 X(転貸人)は、A(所有者で賃借人)から建物を賃借し、これをAの承諾のもとにY(転借人)に転貸していたが、Aに対する賃料の支払を怠ったため、Aから昭和62年1月に賃貸借契約を解除された。Aは同年2月、XYを被告として建物明渡請求訴訟を提起し、勝訴判決得て、平成3年11月、強制執行により建物明渡しを受けた。

 その後、Xは、Yが昭和63年12月以降Xに転借料を支払っていなかったので、Yに対して、昭和63年12月から明渡まで未払転借料の支払を求めた。第1審及び第2審はXの請求を認めたが、Yはこれを不服として上告した。

 (判決の概要)
 本判決は、「賃貸人の承諾のある転貸借においては、転借人が目的の使用収益につき賃貸人に対抗し得る権限(転借権)を有することが重要であり転貸人が、自らの債務不履行により賃貸借契約を解除され、転借人が転借権を賃貸人に対抗し得ない事態を招くことは、転借人に対して目的物を使用収益させることを怠るものにほかならない。そして、賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合において、賃貸人が転借人に対して直接目的物の返還を請求したときは、転借人は賃貸人に対し、目的物の返還義務を負うとともに、遅くとも右返還請求を受けた時点から返還義務を履行するまでの間の使用収益について、不法行為による損害賠償義務又は不当利得返還義務を免れないこととなる。他方、賃貸人が転借人に直接目的物の返還を請求するに至った以上、転貸人が賃貸人との間で再び賃貸借契約を締結するなどして、転借人が賃貸人に転借権を対抗し得る状態を回復することは、もはや期待し得ないものというほかなく、転貸人の転借人に対する債務は、社会通念及び取引通念に照らして履行不能というべきである。したがって、賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合は、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了すると解するのが相当である」と判示し、昭和63年12月の時点では転貸借契約は終了していたとしてXの請求は棄却した。

 (寸評)
 賃貸借契約が転貸人の債務不履行で解除された場合、賃貸人の承諾のある転貸借契約がどうなるかについては、判例もあいまいであったが、本判決は賃貸人が転借人に明渡を請求したときに終了すると明確な判断を下したもので、今後の指針となるものである。

(1997.08.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 賃料減額で和解した4ヵ月後に再度の減額請求は許されないとした事例

2006年09月18日 | 家賃の減額(増額)

 判例紹介

  建物賃貸借契約の賃料減額請求訴訟で賃料額につき訴訟上の和解が成立した4ヵ月後に再び賃料減額請求をすることが信義則に反し権利濫用に当たり許されないとされた事例東京地裁平成13年2月26日判決判例タイムズ1072149頁)

(事案の概要)
 XとYは、平成9年1月24日、賃料1ヵ月100万円で建物賃貸借契約(以下本件契約という)を締結したが、Xは同年8月分の賃料からXが適正と考えた1ヵ月47万5000円の賃料を支払うとともに、同年10月、賃料減額の調停を申し立て、これが不調に終わったため平成10年2月に賃料減額訴訟を提起した(前訴①)。

 この事件については、平成11年8月30日、「賃料は平成9年9月1日から月61万9100円である」旨確認する判決が下され、Yは控訴した。

 他方、Yは、賃料は月100万円の約束なのにXが月47万5000円の賃料しか支払わないので、賃料不払いを理由に本件契約を解除し、建物明渡請求訴訟を提起した(前訴②)。

 この事件については、平成10年11月18日、明渡を認める判決が下され、Xは控訴した。
 平成11年12月7日、前訴①の控訴審で、「平成9年9月から賃料は月80万円、Yは前訴②を取下げる」との和解(以下本件和解という)が成立した。

 平成12年2月14日、Xは賃料減額の調停を申し立てたが不調となったので、賃料が平成12年4月1日から月49万5200円であることの確認を求める訴訟を提起した。

(判決)
 本判決は、「本件和解は、Xにとっては建物明渡という決定的に不利な事態を回避するため、Yにとっては次のテナントが入居するための時間的空白を回避するために、当初約定の月100万円と前訴①の1審判決の月61万9100円の中間の月80万円で合意したもので、私的自治が妥当する民事訴訟の解決として一定の合理性ある決着であった」とした上で、Xが本件和解からわずか4ヵ月もたたぬ段階で賃料減額請求をすることは、「建物の明渡しという決定的に不利な事態を封じておいて、なお、賃料額の決定について、いわれのないリターンマッチを試みようとするもので、本件和解の内容に抵触する方向での法的行動にほかならず、本件減額請求は当事者間の信義則に反し権利濫用に当たる」としてXの請求を棄却した。

(寸評)
 和解から提訴までの期間の短さ、和解の経緯などの事実関係に照らせば妥当な判決であるといえよう。

(2002.02.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 ビルの賃貸借で借主から貸主に対する電気料金の水増分の返還が認められた

2006年09月17日 | 契約・更新・特約

 判例紹介

 ビルの賃貸借契約において、賃借人から賃貸人に対する電気料金の不当利得返還請求が認められた事例 (東京地裁平成14年8月26日判決、判例タイムス1119号)

 (事案の概要)
 賃借人は、宝石・貴金属の加工販売をするため、ビルの7階部分を賃借していたが、契約が終了した後、契約期間中、電気料金を払いすぎていた、として返還請求訴訟を提起した。

 貸主は、1階から8階までの各テナント部分及びエレベーター等の共用部分の電気使用料を各テナントに割り振って徴収していた。本件賃借人は、自分の賃借部分以外の共用部分の電気料金合計111万円は支払義務がなかった、と主張。

 本件では、賃借人が支払わなければならない電気料金は、本件事務所内で使用した電気料金だけか、それとも、ビル全体の共用部分についての受電配電設備の保守点検費、受電配電設備の維持管理修繕費用、検針費用等の費用をも分担して支払わなければならないのか、という点が問題になった。

  (判決の要旨)
 本件賃貸借契約においては、月額賃料は32万9000円のままとするが、管理費、共益の負担を求めない条件で契約が成立したこと、賃借人が遵守しなければならない管理規定によれば、本件事務所内で使用する電気料金は賃借人が負担し、その電気料金の支払い方法については、東京電力によるその月分の検針日を基準として、設置メーターの検針量により実費計算して請求することとされていたこと、本件管理規定によれば、共用部分で使用する照明、その他動力に使用する電気料金は、管理費に含めるものとすることとされていたことが認められる。以上の認定事実によると、本件事務所の賃借人は、本件事務所内で使用した電気料の負担をすればよく、本件ビルの管理に要したあるいは要する費用、共益費については支払い義務がないという条件で本件賃貸借契約を締結したと認めるのが相当である。そうだとすると、共用部分についての負担金等は通常管理費に含まれるものとして、これらを電気料金に含めて請求する賃貸人の主張は理由がないというべきである。

 (解説)
 テナントビルの賃借について、家主がビル全体の電気料、水道料等の光熱費、管理費などを賃借人から徴収し、賃料値上や解約時の保証金清算時に、賃借人が、その計算方法や徴収方法について、不明朗さを問題にすることがある。賃借部分以外の共用の光熱費について、支払い義務があるかどうかは、賃貸者契約においてどのように定められているかが判定の第一基準である。本件では共用費用の負担の約束がないという点で賃借人勝訴となったが、契約書には支払義務規定があるが、その解釈が問題になるケースもある。

(2004.03.)

(東借連常任弁護団)

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【判例紹介】 賃貸人が転貸借契約承継の特約ある時賃貸人は転貸人の地位を承継する

2006年09月16日 | 譲渡・転貸借

 判例紹介

 賃貸人の承諾の下に建物が転貸されている場合において、賃借人の債務不履行を理由に賃貸借契約が解除されたとしても、賃貸借契約終了した場合は、賃貸人が転貸借契約を承継する旨の特約があるときには、賃貸人は、転貸人の地位を承継し、転借人が差し入れた保証金返還義務を負うとされた事例東京高裁平成11年12月21日判決、判例タイムズ1023号)

  (事案)
 建物所有者は不動産開発会社に転貸の承認をした上で賃貸したが、開発会社が賃料不払いをしたので契約を解除した。本件建物は転借人が使用中で、1億5543万円の保証金を入れていた。所有者と開発会社との賃貸借契約には契約が終了した場合には、建物所有者は転貸借契約を承継する。」という特約があった。

そこで、転借人は、所有者が転貸借契約を承継したとして、建物所有者に対して転借契約の解除を申し入れ、保証金の返還を請求した。

 建物所有者は、転借人とは賃貸借契約はないと言って返還拒否したので、転借人は提訴した。東京地裁では転借人敗訴、控訴判決である本判決で転借人が逆転勝訴した。

 (判決要旨) 
 「サブリース契約というものは、不動産のデベロッパー等が、土地の利用方法の企画、事業資金の提供や融資斡旋、建設する建物の設計、施工、監理、完成した建物の賃貸営業、監理運営等、その事業の全部又は一部を受託して、土地・建物の所有者等にその所有権や借地権を残したままで、賃貸目的の建物を一括借り受ける等の方式をとることによって、その事業収益を所有者等に保障する形態で行う事業の目的のために当事者間で締結されるものである。

 このようなサブリース契約における建物賃貸借契約は、基本契約、建物建築請負契約、管理委託契約等一連の契約の一部をなしており、「建物利用権を取得する」ためではなく、「建物を転貸して収益をあげる権限」だけを取得するためのものである。そこで、共同事業が終了、解体する場合には、その後も収益事業の継続を図るためにデベロッパーが締結した第三者との転貸借契約を所有者に承継させる必要が生じ、本件承継特約がなさるものである。

したがって、転借人は、本件特約は第三者たる転借人のためになされているものであり、その効力を当然に受けることができる。そうすると、建物所有権者はデベロッパーと転借人との転貸借契約を承継したものであるから、保証金返還義務も承継したものである。」

 (説明)
 不動産開発会社が賃借人となって貸し出す物件が増えている。転借人の地位は、建物所有者との間で何の契約もないので不安定である。本判決は、サブリースという契約関係の実態に基づいて、承継特約の合理的解釈をして転貸借契約を建物所有者に承継させたものであるが、この種の問題の判決は分かれている。

(2000.06.)

(東借連常任弁護団)

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【判例紹介】 賃料債権差押後に物件が売却されても借主は債権者に賃料支払義務あり

2006年09月15日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 判例紹介

 不動産の賃料債権の差押があった後に当該不動産が第三者に譲渡されても賃借人は債権者の取立てに応じなければならない。東京高裁平成10年3月4日判決、判例タイムズ1009号)

 (事案)
 負債を抱えていた賃貸人は、債権者から自分が賃貸した賃料を差し押えられてしまった。その後、賃貸人は、賃貸建物を他人に譲渡して名義変更をした。賃借人は、賃料を新しい建物名義人に支払い、差し押さえた債権者への賃料支払を拒絶した。そこで、債権者が賃借人に対して、差し押さえた賃料を取り立てる訴訟を起こした。

 判決は、賃借人は、賃料を新建物所有者に支払ったとしても、債権者への支払を拒絶できないと判断した。

 (判決の要旨)
 「不動産の賃料債権に対する差押の効力が生じた後に、右不動産が第三者に譲渡され、所有権移転登記がされた場合には、右賃貸借関係は譲受人に引き継がれるが、差押の効力はそのまま継続し、譲受人たる新賃貸人を拘束すると解するのが相当である。

 不動産の賃料債権について差押の効力が生じた後に執行債務者(賃貸人のこと)が、その賃料債権を第三者に譲渡した場合、差押債権者には対抗できない。その不動産が第三者に譲渡された場合には、その賃貸人の地位は当該第三者に移転する。賃貸人の地位は、賃料債権者たる地位と不動産を賃借人に使用収益させる債務を負担する地位とから成るが、この場合の賃料債権の移転は、すでに差押があるから差押債権者が優先する。(不動産を賃借人に使用収益させる債務を負担する地位だけが新所有者に移動する。) 不動産の譲渡による賃貸人の交代の場合には、賃料債権について引き続き差押の拘束を受けることにしても賃借人が何ら不利益を受けるものではない。」

 (説明)
 賃料が賃貸人の債権者によって差し押さえられるケースが、最近では多いので、係争事例の一つとして紹介する。賃料が差し押さえられた場合の注意点は、賃料を二重に請求されることがないようにすること、処置を誤って賃料不払いとなり契約を解除されることがないようにすることである。

  本件では、賃借人は6人いたが、賃料差押後に賃貸建物が譲渡されたため、新しい所有者に賃料を支払ったことから、賃料を差し押さえていた債権者から二重に賃料の支払請求を受けたケースである。

  判決は、賃料が差し押さえられた後に建物が譲渡されても賃料差押の効力は続くので、新所有者に支払ってはならないと述べている。
 

 この取り扱い自体は通常のことである。賃料が差し押さえられたとき、賃貸人からさまざまな働きかけを受けることがあり、その説明がどこまで正確なのかの判断が付きにくいこともあるから、組合とよく相談して対処することが必要である。

(1999.12.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

東京・台東借地借家人組合

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【判例紹介】 マンションの一室を借りた居酒屋の深夜営業の禁止等が認められた事例

2006年09月14日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 判例紹介

 マンションの1階を居酒屋を営業する目的で区分所有者から賃借した者が、管理規約に反して、厨房換気ダクト・造作・看板等を設置し、深夜まで営業を行ったことが、管理規約に違反し、区分所有者の共同の利益に反するとして、管理組合の賃借人に対する換気ダクト・造作・看板等の撤去請求、深夜営業の禁止請求が認められた事例 神戸地裁尼崎支部平成13年6月19日判決。判例時報1781号131頁)

 (事案の概要)
 Yは、Zが区分所有する本件マンション1階部分をZから賃借し、厨房換気ダクト・造作・看板等を設置し、年中無休で毎日深夜1時頃まで居酒屋を営業していた。本件マンションの管理組合Xは、厨房ダクト・造作・看板等の設置並びに毎日深夜1時頃までの営業は、管理規約に違反し、区分所有者の共同の利益に反するとして、YとZに対して、①厨房換気ダクトや集塵機・造作・看板等の撤去、②日曜・祝祭日及び平日の午後10時以降深夜までの営業禁止(Yに対してのみ)、③管理規約上の債務不履行による清掃費・修繕費・弁護士費用等金300万円の損害賠償を求め、提訴した。

  (判決)
 ①について。本判決は、厨房換気ダクトや集塵機・造作・看板等の設置が管理規約に違反していると認定した上で、厨房換気ダクトや集塵機については、ダクト等から排出される油煙や臭気により本件マンションの住民が迷惑や不快感を示していることを理由に区分所有者の共同の利益に反すると認定し、造作・看板等については、管理規約を軽視して他の区分所有者の利害を顧慮することなく管理規約違反の造作・看板等を設置した事情に照らし、区分所有者の共同の利益に反すると認定して、Yに対し、厨房換気ダクトや集塵機・造作・看板等の撤去を命じた。Zに対しては、ZがYに管理規約を遵守させ、違反を是正させる義務があることは認めたが、Yの所有物を勝手にZが処分することは出来ないとして、撤去を命じなかった。
 ②について。本判決は、深夜1時までの営業は、住民の安眠を妨害すること、管理規約では騒音について特段の配慮が明記され、「苦情が出ない程度」という特に厳しい基準をもって対処するものとされていることなどに照らし、区分所有者の共同の利益に反すると認定した上で、平日と日曜・祝祭日とを特段に区別する理由はないとして、午後11時以降の夜間の営業を禁止した。
 ③については、本判決は、Yについては管理規約違反、ZについてはYに遵守するよう指導する義務違反を理由にYZ双方に損害賠償を認めたが、清掃費・修繕費等の損害については立証がないとして弁護士費用100万円だけを認めた。

(寸評)
 マンションの1室を賃借して飲食店を営業する例も多いが、当然のことながら、賃借人にも管理規約を遵守する義務がある。事前に管理規約を入手するなり、管理組合に説明するなりして、造作等の設置や営業形態が管理規約に違反しないようにすべきである。

(2002.07.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 


 

 今回紹介した判例は、こちらの「判例紹介」で扱ったものと同一のものです。     

 

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【判例紹介】 転貸人が家主に契約更新拒絶通知をすると転貸借も終了するとした事例

2006年09月13日 | 譲渡・転貸借

 判例紹介

 建物賃貸借契約が賃借人の更新拒絶・期間満了によって終了した場合、通知後6ヵ月を経過し、期間が満了したときには、転貸借関係も終了するとされた事例 東京高裁平成11年6月29日判決判例時報1694号90頁)

 (事実)
 A(賃貸人)は、昭和51年12月1日、B(賃借人・転貸人)に対し、本件ビルを期間20年と定めて賃貸した。 C(転借人・再転貸人)は、Bから右ビルの一部を転借し、D(再転借人)及びE(再転借人)に対し再転貸していた。 Bは、採算が悪化したため、平成6年2月21日、Aに対し、本件賃貸借契約の期間満了後は賃貸借契約を更新しない旨の通知をした。

 そこで、Aは、平成7年2月頃、BCDEに対し、本件賃貸借は期間満了により終了し、BCDEの転貸借も終了する旨通知し、BCDEの転借権が右通知後6ヵ月を経過し、かつ、本件賃貸借の期間が満了した平成8年11月30日をもって終了したとして、所有権に基づき、BCDEに対し建物明渡しと賃料相当損害金の支払を求めた。

 (争点)
 賃貸借が賃借人の更新拒絶・期間満了によって終了した場合に、賃借人が賃借権を放棄した場合あるいは賃貸人と賃借人が合意解除した場合と同様に、転貸借が終了しないと解することができるか。

 (判決要旨)
 東京高等裁判所は、1審判決を取り消して次の理由でAの請求を認めた。
 『建物の賃貸人は、賃借権の放棄、賃貸借の合意解除など信義則上建物の転貸借関係を終了させるのを相当としない特段の事情がない限り、賃貸人は、建物の賃貸借の終了をもってその転借人に対抗することができると解される。』とし、

 『BCDEの転借権及び再転借権は、Aが賃貸借の終了を通知した後6ヵ月を経過し、かつ、本件賃貸借の期間が満了した平成8年11月30日の経過とともに終了したから建物を明渡すべきである。』と判示した。

 (短評)
 本件も、サブリース契約に関するものである。
 基となる賃貸借契約が期間満了によって終了する場合には、転貸借も終了する。このことは借地借家法34条(借家法4条)に規定するところであるが、転借人が賃借人・転貸人の行動によって建物を明渡さなければならなくなるケースの一つである。
 本件の場合、賃借権の放棄、賃貸借の合意解除と同様に考えられないか検討する余地があろう。

(2000.03.)

(東借連常任弁護団)

 

東京借地借家人新聞より 

 


 

 借地借家法
 建物賃貸借終了の場合における転借人の保護
第34条 建物の転貸借がされている場合において、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときは、建物の賃貸人は、建物の転借人にその旨の通知をしなければ、その終了を建物の転借人に対抗することができない。

 建物の賃貸人が前項の通知をしたときは、建物の転貸借は、その通知がされた日から6月を経過することによって終了する。

 今回紹介した東京高裁の判例は借地借家法34条の原則に従ったものである。しかし、賃貸人と賃借人とが基本賃貸借を「合意解除」した場合は、転借人がそのことを了承しているなどの事情がない限り、適法な転借人に対しては合意解除を対抗することが出来ないとするのが判例の確立した態度である(最高裁昭和38年4月12日判決)。従って、終了の通知があっても、転借人は転貸借契約に従って使用収益を続けることが出来るものと解されている。

 契約期間満了による基本賃貸借契約の終了が当然に転貸借契約の終了を導くものと解することに疑問を呈する見解があり、期間満了に当たって転借人の事情も考慮されるべきであるとの主張が展開されている。このような状況から最高裁は賃貸借契約の期間満了で終了した場合、その終了を再転借人には対抗できないという新判断を示した(最高裁平成14年3月28日判決)。   

           

 

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借家の明渡調停 (東京・府中市)

2006年09月09日 | 建物明渡(借家)・立退料

   借家の解約合意書を撤回
   家主は調停を取り下げ

 府中市宮西町で昭和初期から借地の店舗と借家の住宅を両方同じ地主から借りて商売をしているAさんは、今年の2月に突然借家の明渡しで立川簡易裁判所に調停を申し立てられた。

 家主側は、Aさんの借地の建替えを無条件で認める条件で借家の明渡しの合意があったと主張をした。昨年5月にAさんは、「貸家賃貸借解約合意書」に作成し、平成16年12月13日に明渡すことを一旦約束した。

 その後、家主が会社名義で契約をしなおしたいと言ってきたが、今度はAさんは拒否し解約合意書を白紙撤回した。

 それというのも、家主の代理で来た業者に騙されて、建替え承諾付の定期借地契約書を結んでしまったからで、50年で契約が満了し更新ができないこともAさんは理解できないまま契約してしまった。

 調停は、2回目を迎える前に家主側が調停を取り下げ終了した。その後、家主の方からは何事もなく地代と家賃は受け取っている。

 

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競落した新家主が建物の明渡を要求 (東京・立川市)

2006年09月08日 | 建物明渡(借家)・立退料

   超安値で競落した新家主は
   現家賃の7倍値上げを請求

 立川市錦町1丁目で立川市役所の近くに住むAさんは、親の代の昭和31年5月から木造平屋建に入居している。家主はこの間3人替わり、平成2年に土地と建物を買い取った不動産業者は5億6000万円の抵当権を設定した。立川市周辺で派手な地上げを行った業者だが、バブル崩壊で会社は倒産、社長も行方不明となった。

 その後、平成13年に土地と建物が差押となり、東京地方裁判所八王子支部で競売開始決定がされた。平成14年1月に発表された最低売却価格は2356万円とされたが、買主が現れず、再度期間入札の手続きがとられ、結局8月に国立の競売を専門に扱う不動産業者が1713万円で落札した。

 競売の売却価格は通常より3割ほど安く、当物件は占有権限に借家権が認められているため、さらに25%減価されている。今回新家主が買った45坪の土地は、坪単価37万7000円となり、近隣の公示価格が109万円と比べても超安い値段だ。

 新家主は明渡し交渉を地上げ業者に依頼した。業者は「Aさんが移転しなければ家賃が月額2万5000円から14万円に値上げして貰わないといけない」と脅したりしたが、Aさんが組合に加入したことを知り、家主直々10月初めに組合事務所に訪ねてきた。Aさんと直接面会し、Aさんはこれまで経緯を説明し、借家権が認められ借家人が住んでいることを承知の上で買ったからといって明渡しには応じられない旨を伝えた。

 家賃を受領する意思があるかどうか聞いたところ、「家賃は受領しないので供託していただいて結構です」との返事が返ってきた。Aさんは、早速8月分以降の家賃を供託し、今後の家主の出方を見守ることにした。

 

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ペット可のマンションで犬の鳴声が喧しと僅か2ヶ月で契約を解除される (東京・台東区)

2006年09月07日 | 敷金(保証金)・原状回復・消費者契約法

 犬を飼いたくて、ペット可のマンションを探し当てた。家賃6万9000円、礼金2ヶ月、敷金3ヶ月の計34万5000円を支払い今年5月に引越しを完了した。

 ところが入居してすぐに家主から複数の他の入居者から犬の鳴声が喧しいと苦情が出ているので契約を解除する。7月末までに部屋を明渡して欲しいと通告された。納得できないまま7月末でマンションを退去した。

 8月中旬、不動産屋から敷金の清算書が届き、室内クリーニング代・床張替等の原状回復費が差引かれ、8万5800円が返金されることになっていた。僅か2ヶ月で契約を解除され、高額の費用を負担させられ、何とも納得がいかない。

 インターネットで組合を知り、相談した。組合は、引越費用、仲介手数料等は別途請求することにして、取敢えず、34万5000円を少額訴訟で取り返すための準備をした。

           

 

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