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【判例】*更新料支払義務が生ずる旨の商慣習ないし事実たる慣習は存在しない

2016年07月29日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

宅地賃貸借契約の法定更新に際し賃借人が賃貸人に対し更新料を支払う旨の商慣習又は事実たる慣習は存在しないとした事例
(最高裁昭和51年10月1日判決 裁判集民事119号9頁)


       主   文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人の負担とする。


       理   由
 上告代理人小林宏也、同本多藤男、同長谷川武弘の上告理由第1点について
 原審が適法に確定した事実関係によれば、被上告人の所論所為をもって、未だ本件賃貸借契約の継続を不可能又は著しく困難ならしめるものとは認めるに足りないとした原審の判断は、正当として是認できる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用できない。


 同第2点について
  宅地賃貸借契約における賃貸期間の満了にあたり、賃貸人の請求があれば当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商慣習ないし事実たる慣習が存在するものとは認めるに足りないとした原審の認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして、是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、畢竟、独自の見解を主張するものであって、採用できない。


 同第3点及び第4点について
 記録及び原判決事実摘示に照らし、所論の点に関する原審の認定判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用できない。


 よって、民訴法410条、95条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。


   最高裁裁判長裁判官大塚喜一郎、裁判官岡原昌男、裁判官吉田豊、裁判官本林譲、裁判官栗本一夫

 

 

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【判例】*無断転貸を理由とする土地賃貸借契約の解除権の消滅時効と起算点

2016年07月27日 | 譲渡・転貸借

最高裁判例

無断転貸を理由とする土地賃貸借契約の解除権の消滅時効の起算点
最高裁 昭和62年10月8日 判決 民集41巻7号1445頁)



       主   文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人の負担とする。


       理   由
 上告代理人菅生浩一云同葛原忠知、同川崎全司、同丸山恵司、同甲斐直也、同川本隆司、同藤田整治の上告理由第1点について
 所論の点についての原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、畢竟、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用できない。

 同第2点について
  賃貸土地の無断転貸を理由とする賃貸借契約の解除権は、賃借人の無断転貸という契約義務違反事由の発生を原因として、賃借人を相手方とする賃貸人の一方的な意思表示により賃貸借契約関係を終了させることができる形成権であるから、その消滅時効については、債権に準ずるものとして、民法167条1項が適用さ れ、その権利を行使することができる時から10年を経過したときは時効によって消滅するものと解すべきところ、右解除権は、転借人が、賃借人(転貸人)と の間で締結した転貸借契約に基づき、当該土地について使用収益を開始した時から、その権利行使が可能となったものということができるから、その消滅時効は、右使用収益開始時から進行するものと解するのが相当である。

 これを本件についてみるに、原審の適法に確定したところによれば、
(1)本件(一)土地の所有者である末正盛治は、大正初年ころ、六ノ坪合資会社(以下「訴外会社」とい う。)を設立し、同社をして右土地を含む自己所有不動産の管理をさせてきたものであるところ、上告人は、昭和34年6月22日、相続により、本件(一)土地の所有権を取得した、

(2)中村国義は、前賃借人の賃借期間を引き継いで、昭和11年7月29日、訴外会社から本件(一)土地を昭和15年9月30日までの約定で賃借し、同地上に3戸1棟の建物(家屋番号22番、22番の2及び22番の3)を所有していたものであるところ、被上告人中村慶一は、昭和20年3月17日、家督相続により中村国義の権利義務を承継した(右賃貸借契約は昭和15年9月30日及び同35年9月30日にそれぞれ法定更新された。)、

 (3)被上告人伊藤染工株式会社(以下「被上告人伊藤染工」という。)は、昭和25年12月7日、被上告人中村から前記22番の3の建物を譲り受けるとと もに、本件(一)土地のうち右建物の敷地に当たる本件(四)土地を訴外会社の承諾を受けることなく転借し、同日以降これを使用収益している、

(4)訴外会 社は、昭和51年7月16日到達の書面をもって被上告人中村に対し、右無断転貸を理由として本件(一)土地の賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした、と いうのであり、また、被上告人伊藤染工及び同濱田を除くその余の被上告人らが、本訴において、右無断転貸を理由とする本件(一)土地の賃貸借契約の解除権の消滅時効を援用したことは訴訟上明らかである。

以上の事実関係のもとにおいては、右の解除権は、被上告人伊藤染工が本件(四)土地の使用収益を開始した昭和25年12月7日から10年後の昭和35年12月7日の経過とともに時効により消滅したものというべきであるから、上告人主張に係る訴外会社の被上告人中村に対する前記賃貸借契約解除の意思表示は、その効力を生ずるに由ないものというべきである。これと同旨の原審の判断は、正当として是認することがで き、原判決に所論の違法はない。論旨は、これと異なる見解に基づいて原判決を論難するものにすぎず、採用できない。

 同第3点について
 原判決が上告人の被上告人伊藤染工及び同濱田に対する請求に関して所論指摘の判示をしているものでないことは、その説示に照らし明らかであるから、原判決に所論の違法があるものとは認められない。論旨は、原判決を正解しないでその違法をいうものにすぎず、採用できない。

 同第4点について
  原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、被上告人伊藤染工、訴外会社ひいて上告人に対抗できる転借権を時効により取得したものということができるから、これと同旨の原審の判断は、結論において是認できる。論旨は、畢竟、判決の結論に影響しない事由について原判決の違法をいうものにすぎず、採用でき ない。

 よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。


    最高裁裁判長裁判官佐藤哲郎、裁判官角田禮次郎、裁判官高島益郎、裁判官大内恒夫、裁判官四ツ谷巖

 

 

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【判例】*賃借人が個人企業を会社組織に改め賃貸人の承諾なく同会社に賃借家屋を使用させた場合

2016年07月25日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

賃借人が個人企業を会社組織に改め賃貸人の承諾なく同会社に賃借家屋を使用させた場合に民法612条の解除権が発生しないとされた事例
(最高裁 昭和39年11月19日判決 民集18巻9号1900頁)


       主   文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人らの負担とする。


       理   由
 上告代理人樫本信雄、同浜本恒哉の上告理由第1点について。

  賃借人が賃貸人の承諾を得ないで賃借権の譲渡又は賃借物の転貸をした場合であっても、賃借人の右行為を賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情のあるときは、賃貸人に民法612条2項による解除権は発生しないものと解するを相当とする(昭和25年(オ)第140号、同28年9月25日判決、民 集7巻9号979頁、昭和28年(オ)第1146号、同30年9月22日判決、民集9巻10号1294頁参照)。

 ところで、本件について原審の確定した事実によれば、被上告人は、昭和22年7月の本件家屋の賃借当初から、階下約7坪の店舗でP商会という名称でミシンの個人営業をしていたが、税金対策のため、昭和24年頃株式会社Pミシン商会という商号の会社組織にし、翌25年頃にはこれを解散してSミシン工業株式会社を組織し、昭和30年頃Uミシン工業株式会社と商号を変更したものであって、各会社の株主は被上告人の家族、親族の名を借りたに過ぎず、実際の出資は凡て被上告人がしたものであり、右各会社の実権は凡て被上告人が掌握し、その営業は被上告人の個人企業時代と実質的に何らの変更がなく、その従業員、店舗の使用状況も同一であり、また、被上告人は右Uミシン工業株式会社から転借料の支払を受けたことなく、かえって被上告人は上告人甲らの先代乙に対し本件家屋の賃料を同社名義の小切手で支払っており、被上告人は同会社を自己と別個独立のものと意識していなかったというのである。

 されば、個人である被上告人が本件賃借家屋を個人企業と実質を同じくする右Uミシン工業株式会社に使用させたからといって、賃貸人との間の信頼関係を破るものとはいえないから、背信行為と認めるに足りない特段の事情あるものとして、上告人らが主張するような民法612条2項による解除権は発生しないことに帰着するとした原審の判断は正当である。右と異なる見解に立って原判決を非難する論旨は、採用できない。

 同第2点について。

  上告人甲らの先代丙がその代理人たる丁を通じて本件賃料の増額をしたことにより、右丙は被上告人の本件家屋増築を暗黙に承諾したものである旨の原審の認定判断は、その挙示する証拠関係に照らして首肯できないことはなく、その判断の過程に所論違法は認められない。所論は、畢竟、原審の認定と相容れない事実を前提として、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実認定を非難するに帰し、採用できない。


 よって、民訴401条、95条、89条、93条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。


    最高裁裁判長裁判官長部謹吾、裁判官入江俊郎、裁判官松田二郎、裁判官岩田誠

 

 

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【判例】*鉄道高架下施設の一部分の賃貸借契約に借家法の適用があるとされた事例

2016年07月21日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

鉄道高架下施設の一部分の賃貸借契約に借家法の適用があるとされた事例
(最高裁 平成4年2月6日判決 裁判集民事164号45頁)


       主   文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人の負担とする。


       理   由
 上告代理人深田源次の上告理由について

 原審は、
(一) 本件施設物は、鉄道高架下施設であるが、土地に定着し、周壁を有し、道高架を屋根としており、永続して営業の用に供することが可能なものであるから、借家法にいう建物に当たる、

(二) 本件店舗は、本件施設物の一部を区切ったものであるが、隣の部分とはブロックにベニヤを張った壁によって客観的に区別されていて、独立的、排他的な支配が可能であるから、借家法にいう建物にあたる、

(三) 本件店舗での営業に関する亡大井慶寿と被上告人との間の本件契約は、経営委託契約ではなく、本件店舗及び店舗内備品の賃貸借契約であって、借家法の適用がある、

(四) 本件契約は、期間満了後、期間の定めのない賃貸借として更新されている、

(五) 亡慶寿の相続人として同人の地位を継承した上告人がした本件契約の解約申入れに正当事由はない、として、上告人の本件請求を棄却しているが、原審の右認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。

 諭旨は、 畢竟、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は原判決を正解しないで若しくは独自の見解に立ってこれを論難するものにすぎず、採用できない。

 よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。


    最高裁裁判長裁判官大内恒夫、裁判官大堀誠一、裁判官橋元四郎平、裁判官味村治

 

 

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【判例】*建建物買取請求権行使による抵当権付き建物の時価

2016年07月19日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

建物買取請求権行使によって成立する売買と民法577条の適否と価額
(最高裁 昭和39年2月4日 判決 民集18巻2号233頁)


ア 借地法10条に基づく建物買取請求権行使によって成立する売買と民法577条の適否
イ 同建物に抵当権が設定されている場合と同建物の時価


       主   文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人の負担とする。


       理   由
 上告代理人名尾良孝の論旨1について。
  抵当不動産の買主がその売主に対し滌除権を取得するには、その所有権を取得したことを以って足るのであって、右所有権取得につき登記を経ることを要件としないものと解するを相当とする。従って、被上告人は、原判示の如く、借地法に基づく上告人の買取請求の意思表示によって本件抵当建物の所有権を取得した以上、未だその取得につき登記を経て居らなくても、売主である上告人に対し滌除権を有するものとなすべきである。被上告人が本件抵当建物につき滌除権を有しないとする上告人の主張は、独自の見解であって、正当でない。

 又、本件において、上告人が所論買取請求権の行使をしたのは、昭和35年6月24日の原審口頭弁論においてであって、この意思表示により、直ちに、上告人と被上告人との間に、上告人を売主、被上告人を買主とする本件抵当建物の売買が成立し、同時に、その所有権が被上告人に移転したものとなすべきである(大審院昭和6年(オ)第1462号同7年1月26日判決、民集11巻169頁、同院昭和13年(オ)第1780号同14年8月24日判決、民集18巻877頁、当裁判所 昭和28年(オ)第759号、同30年4月5日判決、民集9巻439頁参照)から、右口頭弁論の時において既に、実体的に、被上告人は、右抵当建物につき、所有権と共に滌除権をも取得し了ったものであって、これを訴訟において予備的請求原因として主張したからといって、右権利取得に何等の消長をもきたさないものである。右口頭弁論の時以後においては、何時でも、売主より民法577条但書の滌除の催告をなすことがあり得べく、また、買主において売主の代金支払請求に対し滌除を前提として同条本文の代金支払拒絶を主張することもあり得るとするに何等妨げがない。従って、予備的請求原因として、買取請求権行使 の効果が主張せられる場合に、民法577条の適用は考えられないとすることも亦、独自の見解であって、失当である。

 論旨は、結局、すべて、前提において既に失当であって、採るを得ない。

 同2について。
 借地法に基づく買取請求権行使によって成立する売買の代価は、その行使当時における建物の時価により客観的に定まるものであって、所論の如くに、買主が主観的に算定して定めるものではない。又、論旨が引換給付判決として主文に売買代金額が掲記せられない限り右時価は定まらないとするは、独自の見解に過ぎない。
 従って、論旨は、すべて、前提において既に失当に帰するものであって、採るを得ない。

 同3について。
 論旨は、滌除の制度を以って、不動産の時価が抵当債権を完済し得ない場合にのみ効果を発揮するものであるとし、或は抵当債権額が不動産の時価より少い場合には、その差額についてのみ売主に留置権及び同時履行の抗弁が生ずるものであるとするけれども、いずれも独自の見解に過ぎない。論旨は、結局、これ等独自の見解を前提として、原審が借地法10条に基づく本件買取請求による売買に民法577条を適用すべきものとしたことを非難するにつきる。

 論旨は、すべて、前提において既に失当に帰するものであって、採るを得ない。

 同4について。
 原審が所論建物の時価を530,625円と算定判示したことは、所論の如くに、無意味不必要ではない。そもそも、借地法10条による買取請求の対象となる建物の時価は、その請求権行使につき特別の意思表示のない限り、その建物の上に抵当権の設定があると否とに拘りなく定まって居るものと解するを相当とするから、原審が、本件買取請求権行使当時の本件建物の時価は、所論根抵当権の負担あることを考量に入れない鑑定価格に基づき530,625円である旨認定判示したのは、正当であり、判断についての右の立場を明示する意味においても、原審が右具体的価額を判示したことに意義がある。されば、原審が本件建物の時価を具体的に判示したことを無意味不必要とし、これを前提として本件に民法577条を適用する余地がないとする論旨は、前提において既に失当である。

 更に、反対債権たる代金請求権は、当該訴訟における訴訟物とならず、従って、これが引換給付判決の主文に掲記せられて居る場合においても、その存在及び数額について既判力を生ずる余地はないのであるから、原審が判決主文においてこれとの引換給付を命じなかったことが所論代金請求権の存否につき既判力を生ぜしめない結果を招いたとして原審判断を非難する論旨も亦、前提において既に失当である。

 その他の点につき論旨は縷々主張するところがあるけれども、原審の認定判示に添わないことを仮定して原審の判断を非難するものであって、上告適法の理由とならない。

 論旨は、すべて、採るを得ない。

 よって、民訴401条、95条、89条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。


  最高裁裁判長裁判官石坂修一、裁判官横田正俊、

  裁判官河村又介は退官につき署名捺印できない。裁判長裁判官石坂修一

 

 

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【判例】*建物買取請求権における時価

2016年07月15日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

借地法10条の建物の時価の算定
(最高裁 昭和35年12月20日判決 民集14巻14号3130頁)

 


       主   文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人の負担とする。


       理   由
 上告代理人長谷川毅の上告理由第一点について。

  借地法10条にいう建物の「時価」とは、建物を取毀った場合の動産としての価格ではなく、建物が現存するままの状態における価格である。そして、この場合 の建物が現存するままの状態における価格には、該建物の敷地の借地権そのものの価格は加算すべきでないが、該建物の存在する場所的環境については参酌すべ きである。何故なら、特定の建物が特定の場所に存在するということは、建物の存在自体から該建物の所有者が享受する事実上の利益であり、また建物の存在する場所的環境を考慮に入れて該建物の取引を行うことは一般取引における通念であるからである。

 されば原判決において建物の存在する環境によって異なる場所 的価値はこれを含まず、従って建物がへんぴな所にあるとまた繁華な所にあるとを問わず、その場所の如何によって価格を異にしないものと解するのが相当であると判示しているのは、借地法10条にいう建物の「時価」についての解釈を誤ったものといわなければならない。

 しかし、原判決を熟読玩味すれば、原判決に おいて判定した本件建物の時価は、建物が現存する状態における建物自体の価格を算定しており、本件建物の存在する場所的環境が自ら考慮に入れられていることを看取するに難くないから、原判決における上記瑕疵は結局判決に影響を及ぼすものでないといわなければならない。論旨は結局理由がない。

 よって,民訴396条、384条、95条、89条に従い、裁判官全員一致で、主文のとおり判決する。


    最高裁裁判長裁判官 高橋潔、裁判官島保、裁判官河村又介、裁判官石坂修一 

    裁判官垂水克己は病気につき署名押印することができない。 裁判長裁判官高橋 潔

 

 

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【判例】*有料社宅の使用関係は賃貸借

2016年07月13日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

有料社宅(近隣の家賃相場よりかなり低額の場合)の使用関係は賃貸借ではないとされた事例
(最高裁 昭和29年11月16日 判決 民集8巻11号2047頁)


       主   文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人(従業員)の負担とする。


       理   由
 上告代理人高橋銀治の上告理由(後記)について。

  会社とその従業員との間における有料社宅の使用関係が賃貸借であるか、その他の契約関係であるかは、画一的に決定し得るものではなく、各場合における契約の趣旨いかんによって定まるものと言わねばならない。原判決がその理由に引用した第1審判決の認定によれば、被上告人会社は、その従業員であった上告人に 本件家屋の1室を社宅として給与し、社宅料として1か月金36円を徴してきたが、これは従業員の能率の向上を図り厚生施設の一助に資したもので、社宅料は維持費の一部に過ぎず社宅使用の対価ではなく、社宅を使用することができるのは従業員たる身分を保有する期間に限られる趣旨の特殊の契約関係であって賃貸借関係ではないというのである。

 論旨は、本件には賃借権の存在を証明し得る証拠があるにかかわらず、原判決はこれを無視してその存在を否定し法律関係の認定を誤った違法があるというのであって、帰するところ原審の適法にした証拠の取捨判断、事実の認定を非難するにほかならないので採用できない。

 よって、民訴401条、95条、89条に従い、裁判官全員一致で主文のとおり判決する。


    最高裁裁判長裁判官井上登、裁判官島保、裁判官河村又介、裁判官小林俊三、裁判官本村善太郎

 

 

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【判例】*従業員専用の寮の使用関係は賃貸借か

2016年07月11日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

従業員専用の寮の使用関係(世間並みの賃料額相当を支払っている場合)は賃貸借であるとされた事例
(最高裁 昭和31年11月16日判決 民集10巻11号1453頁)

 

       主   文

 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人の負担とする。


       理   由

 上告代理人時田至の上告理由について。

  本件家屋の係争各6畳室に対する被上告人等の使用関係については、原判決は、判示各証拠を綜合して、その使用料は右各室使用の対価として支払われたもので あり、被上告人等と訴外会社との間の右室に関する使用契約は、本件家屋が訴外会社の従業員専用の寮であることにかかわりなく、これを賃貸借契約と解すべきであるとしていることは原判文上明らかである。およそ、会社その他の従業員のいわゆる社宅寮等の使用関係についても、その態様はいろいろであって必ずしも 一律にその法律上の性質を論ずることはできないのであって本件被上告人等の右室使用の関係を、原判決が諸般の証拠を綜合して認定した事実にもとづき賃貸借関係であると判断したことをもって所論のような理由によって、直ちにあやまりであると即断することはできない。論旨は、畢竟,原判決の右判断の某礎となった事実の認定を争うに帰し採用することはできない。

よって、民訴4401条、95条、89条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。


    最高裁裁判長裁判官小谷勝重、裁判官藤田八郎、裁判官谷村唯一郎、裁判官池田克

 

 

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【判例】*地主は所有権移転登記を経由しないと、借地人に対抗できない  

2016年07月07日 | 登記

最高裁判例

賃貸中の宅地を譲り受けた者は、その所有権の移転につき登記を経由しないかぎり、賃貸人たる地位の取得を賃借人に対抗できないとした事例 最高裁 昭和49年3月19日 判決


裁判年月日 昭和49年3月19日
法廷名 最高裁判所第三小法廷
事件番号 昭和47(オ)1121
民集 第28巻2号325頁

 

 

        主    文
 被上告人の本訴請求中上告人に対し第1審判決添付目録第1記載の宅地につき昭和29年9月12日大阪法務局江戸堀出張所受付第12514号所有権移転請求権保全仮登記に基づく所有権移転登記完了と同時に同第2記載の建物の収去を求める部分に関する原判決を破棄し、右破棄部分を大阪高等裁判所に差し戻す。
 上告人のその余の上告を棄却する。
 前項の上告費用は、上告人の負担とする。


         理    由
 上告代理人樫本信雄、同竹内敦男の上告理由第1点について。
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決の挙示する証拠に照らして肯認することができ、その過程に所論の違法は認められない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものであつて、採用することができない。

 同第2点及び第3点について。
 原判決は、訴外Dは昭和25年4月原審控訴人Eから第1審判決添付目録第1記載の宅地(以下本件宅地という。)を買い受けたがその所有権移転登記をしなかつたところ、昭和29年3月本件宅地を被上告人に売り渡したが、その所有権移転登記は中間を省略してEから直接被上告人に対してされる旨の合意が右三者間に成立し、被上告人は同年9月12日主文第一項記載の仮登記を経由したこと、一方、上告人は本件宅地上に右目録第2記載の建物(以下本件建物という。)を所有しているが、そのうち家屋番号a番のb、c木造瓦葺2階建店舗1棟床面積1階7坪6合9勺、2階7坪9勺については昭和27年7月4日これを他から買い受けるとともに、当時本件宅地の所有者であつたDから本件宅地を建物所有の目的のもとに賃借し、右建物につき同月5日所有権移転登記を経由したこと、被上告人は昭和46年6月15日到達の書面をもつて上告人に対し昭和29年9月14日以降昭和46年5月末日までの賃料を4日以内に支払うよう催告し、上告人がこれに応じなかつたので、同年6月21日到達の書面をもつて上告人に対し賃貸借契約を解除する旨の意思表示をしたことを、それぞれ確定したうえ、右賃貸借契約は同日解除されたとして、被上告人が土地所有権に基づき主文第1項の所有権移転登記完了と同時に上告人に対して本件建物の収去を求める本訴請求を認容したものである。

 しかしながら、本件宅地の賃借人としてその賃借地上に登記ある建物を所有する上告人は本件宅地の所有権の得喪につき利害関係を有する第三者であるから、民法177条の規定上、被上告人としては上告人に対し本件宅地の所有権の移転につきその登記を経由しなければこれを上告人に対抗することができず、したがつてまた、賃貸人たる地位を主張することができないものと解するのが、相当である(大審院昭和8年(オ)第60号同年5月9日判決・民集12巻1123頁参照)。

 ところで、原判文によると、上告人が被上告人の本件宅地の所有権の取得を争つていること、また、被上告人が本件宅地につき所有権移転登記を経由していないことを自陳していることは、明らかである。それゆえ、被上告人は本件宅地につき所有権移転登記を経由したうえではじめて、上告人に対し本件宅地の所有権者であることを対抗でき、また、本件宅地の賃貸人たる地位を主張し得ることとなるわけである。したがつて、それ以前には、被上告人は右賃貸人として上告人に対し賃料不払を理由として賃貸借契約を解除し、上告人の有する賃借権を消滅させる権利を有しないことになる。そうすると、被上告人が本件宅地につき所有権移転登記を経由しない以前に、本件宅地の賃貸人として上告人に対し賃料不払を理由として本件宅地の賃貸借契約を解除する権利を有することを肯認した原判決の前示判断には法令解釈の誤りがあり、この違法は原判決の結論に影響を与えることは、明らかである。


したがつて、この点に関する論旨は理由があるから、その余の論旨について判断を示すまでもなく、原判決中本判決主文第1項掲記の部分は破棄を免れない。そして、右部分につきなお審理の必要があるから、これを原審に差し戻すのが相当である。

 よつて、民訴法407条1項、396条、384条、95条、89条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。


     最高裁判所第三小法廷

         裁判長裁判官    関   根   小   郷

            裁判官    天   野   武   一

            裁判官    坂   本   吉   勝

            裁判官    江 里 口   清   雄

            裁判官    高   辻   正   己

 

 

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【判例】* 借地の期間を10年と定めた場合、借地法2条により存続期間が30年であると認められた事例

2016年07月05日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

 
期間を10年と定めた普通建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約につき、借地法2条により期間が30年であると認められた事例
最高裁 昭和45年3月24日 判決 判時593号37頁)


裁判要旨
 普通建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において期間を10年と定めた場合には、存続期間の約定は借地法11条により、その定めがなかつたものとみなされ、賃貸借の存続期間は、同法2条1項本文により契約の時から30年と解すべきである。

 

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。


         理    由
 上告代理人磯崎良譽、同磯崎千壽の上告理由第1点および第2点について。
 本件において、被上告人は、昭和19年2月1日本件土地を普通建物所有の目的で期間の定めなく賃借したものであると主張し、本件土地に対する賃借権の確認を求めたのに対し、上告人らは、右賃貸借の期間は昭和19年2月1日から20年と定められたのであるから、賃貸借は昭和39年2月1日終了したものであり、被上告人は本件土地に対する賃借権を有しないと抗弁したものである。

 ところで、いわゆる普通建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において期間を10年と定めた場合には、右存続期間の約定は、借地法11条により、その定めがなかつたものとみなされ、右賃貸借の存続期間は、同法2条1項本文により、契約の時から30年と解すべきであることは、当裁判所の判例とするところである(最高裁判所昭和41年(オ)第1356号、昭和44年11月26日大法廷判決、裁判所時報534号10頁参照)。

 そして、被上告人が昭和19年2月1日本件土地を普通建物所有の目的で期間を10年と定めて賃借したものであることは原審の適法に確定した事実であるから、被上告人の本件土地に対する賃借権の存続期間は、右昭和19年2月1日から30年と解すべきである。そして、本件土地を昭和19年2月1日普通建物所有の目的で期間の定めなく賃借したものであるから本件土地に対し被上告人が賃借権を有することの確認を求めるという被上告人の主張のなかには、本件土地に対するDと被上告人との間の賃貸借契約における期間の約定が借地法11条によりなされなかつたものとみなされ、同法2条によりその期間が30年とされる場合においても、被上告人が現に本件土地の賃借権を有するとの主張をも含むものと本件記録から認められる以上、たとえ明示的には後者の主張がなくても、裁判所が該主張の事実を認定しても、当事者の主張しない事実を認定したものとはいえない。

 したがつて、以上に説示したところにより、上告人らの期間満了の抗弁は理由がなく、被上告人が現に本件土地に対し賃借権を有することは明らかである。原判決は、右に述べたところと理由を異にするが、その結論において正当である。論旨は採用できない。

 よつて、民訴法401条、95条、89条、93条に従い、上告代理人磯崎良譽、同磯崎千壽の上告理由第1点および第2点に対する期間を10年と定めた普通建物所有を目的とする土地の賃貸借契約の存続期間についての裁判官田中二郎の反対意見があるほか、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

 裁判官田中二郎の反対意見は、次のとおりである。
 本件土地の賃貸借契約における賃借権の存続期間は契約の時である昭和19年2月1日から20年と解すべきであると考える。その理由は、最高裁判所昭和41年(オ)第1356号、昭和44年11月26日大法廷判決の反対意見(裁判所時報534号11頁参照)のとおりであるから、ここにそれを引用する。したがつて、被上告人の本件土地に対する賃借権は、昭和19年2月1日から20年を経過した時において消滅したものというべきである。そして、被上告人の右賃借権消滅後の本件土地の使用につき上告人らが遅滞なく異議を述べないときは、被上告人の右賃借権は法定更新されることとなるが、上告人らが借地法6条により遅滞なく異議を述べたときは、右賃借権は法定更新されないこととなる。そうとすれば、原審は、すべからくこの点について釈明し、審理を尽くすべきであつたのである。しかるに、この点について、単に被上告人は本件土地に対する期間の定めのない賃借権を有するとした原判決には、借地法2条の規定の解釈適用を誤り、釈明権不行使、審理不尽、理由不備の違法があり、破棄を免れないものと考える。

     最高裁判所第三小法廷

         裁判長裁判官    関   根   小   郷

            裁判官    田   中   二   郎

            裁判官    下   村   三   郎

            裁判官    松   本   正   雄

            裁判官    飯   村   義   美

 

 

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改築の定義

2016年07月02日 | 増改築・改修・修繕(借地)

 「改築」の定義は、建築基準法第2条第13号【建築】の項目と共に、昭和28年11月17日付住指発1400号という、旧建設省住宅局が発した通達に規定されている。 

 建築の法令上、「改築」とは、古い建物を壊して、新しい建物を建てることを意味している。但し、建替えることで、建物の用途 が変わらない、あるいは規模・構造が大きく変わらない場合のみ、「改築」という。一般的な住宅の建替えは殆どが「改築」と言われる。

 これに対して、「新築」とは、建築物が無かった敷地に、例えば分譲された土地に、建築物を建てることを意味する。また、建物を建替える場合で、従前の用途と違う、あるいは規模や構造が大きく違う建物を建替えする場合も、「新築」と呼ぶ。

 一戸建ての住宅を壊して、再度一戸建ての住宅を建てれば「改築」、もしアパートを建てることになったら「新築」ということになる。

 それでは、「増築」とは何か。
 一言で言えば、建物の床面積が増大することであり、一般的に言えば、同一建物に建て増しすることを意味する。

 それでは、同一敷地内で、例えば住宅の母屋が既に存在し、「物置」を別棟で新たに建てる場合も「増築」という。

 建築物の新築には間違 いないが、住宅の母屋と新しく建てる「物置」が密接な関係にあり、用途上不可分な関係にある場合、建築法令上は、「増築」という。

 

昭和28年住指発第1400号 改築の定義 昭和28年11月17日
建設省住宅局建築指導課長から国家消防本部総務課長宛
(照会)
改築の定義をされたい。
(回答)
改築とは、建築物の全部若しくは一部を除却し、又はこれらの部分が災害等によつて滅失した後引続きこれと用途、規模、構造の著しく異ならない建築物を建てることをいう。従前のものと著しく異なるときは、新築又は増築となる。なお、使用材料の新旧を問わない。


以上が「改築」の定義です。
改築定義の「一部を除却」とは、建物の一部を完全に除去してしまうことを指し、例えば、柱や屋根がなくなってしまう状態である。なお内部の間仕切を変更すること自体については、上記の通り「改築」の定義がから、「改築」とは言わない。例えば建物内部の間仕切り壁を解体し、間取りを変更する等の建物の外形線が残るような状態は「修繕」または「模様替」(「リフォーム」)に該当する。

 

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