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東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

借地の更新・更新料・地代増額、それぞれの請求に関して、地主への回答

2022年03月17日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

(問)1995年、3階建ての堅固建物を再築した。30年契約の更新が近づいてきた。

 借地の契約上の期間満了が2022年1月1日なので、地主が2021年12月、借地の更新に当たって、借地の更新料504万6000円(1坪当たり約30万円)、「更新手続き後に改定地代5万3824円(地代1坪当たり2200円を3200円に増額請求)をお支払いください」と一方的に要求してきた。2022年1月15日までに回答を求めている。どう回答すればいいでしょうか。


(答)取敢えず、借地の更新は3年後であることを回答すればいいと思います。更新料、地代増額に関しては先延ばしにして、対抗策を考えることにするのが最善の策かと思います。以下が回答例の案文です。

借地の更新についての回答> 

(1) 借地借家法は平成4年(1992年)8月1日から施行されています。それ以前に設定された借地権については、「建物の滅失後の建物築造 による借地権の延長に関しては、従前の例による」(借地借家法7条)とされているので、当該借地権は旧「借地」法7条が適用されます。

(2) 「借地法」7条の趣旨は賃借人が残存期間を超える耐用年数のある建物を再築することに対し、賃貸人が遅滞ない異議を述べなかった場合、借地権は建物滅失の日から、堅固建物については30年間、その他の建物については20年間存続する。滅失建物再築による借地期間の延長を規定しています。

(3)ここでの「滅失」は「建物滅失の原因が自然的であると人工的であると、借地権者の任意の取り壊しであると否とを問わず、建物の滅失した一切の場合を含む」(最高裁昭和38年5月21日判決)。賃借人が再築するために旧建物を取り壊す 場合も滅失するに該当すると判示しています。

(4)なお、「借地法」7条の条文上は存続期間の起算点は「建物滅失の日」となっている。しかし、30年も時間が経過すると滅失日 が確定できない場合もある。そのような状況を考慮して、存続期間延長の起算点を「建物保存登記日」とする判例(東京地裁昭和48年7月25日判決)があります。この判例によれば、当該建物の滅失・保存登記日は1995年3月17日であり、「借地法」7条の規定から、当該堅固建物の場合、借地の存続期間は、建物滅失の1995年3月17日から30年間と法定され、3年の期間延長が認められます。

(5)借地契約書第2条に記載されている「平成4(1992)年1月1日から30箇年とする」によると借地期間30年の満了日は2021年12月31日になる。しかし、借地法7条の規定から再築による借地期間の延長によって2025年3月16日までの30年間と法定される。従って、2022年は更新年ではなく、2025年3月17日が更新日になる。これが今回の更新に関する回答です。

(6) 契約書の第2条に「更新料の額については甲乙協議により決定する」と記載されています。しかし、今回の文書では協議することもなく、一方的に合意事項を踏み躙り、更新料(504万6000円)の支払い請求を押し付ける姿勢・態度には納得できません。地代改定(更新後、1か月当たり2万6912円を5万3824円に増額)も協議も無く一方的に行う等、今後も同様の態度で臨むのであれば、当方も、それ相応の態度で応じざるを得ません。

 

東京・台東借地借家人組合

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