東京・台東借地借家人組合1

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【判例紹介】 借家の保証人契約が合意更新の場合も効力が存続するとされた事例

2008年10月29日 | 連帯保証人

 判例紹介

 建物賃貸借が更新された場合に当初の保証契約の効力が更新後も存続するとされた事例 東京地裁昭和62年1月29日判決、判例時報1259号68頁)


 (事案)
 家主Xは借家人Aに対しその所有するマンションを英語教室として使用する目的で、期間2年、賃貸借契約終了後はAの費用で原状に回復し居住用マンションとして明渡すこと等の約定で賃貸し、YがAの一切の債務について連帯保証人になった。

 XとAは、その後賃料を改定し、その他の条件は従前のままとして、Yを加えることなく合意更新した。XとAはその後合意解約しAはXにマンションを明渡したが、Aには13カ月の賃料滞納があり、原状回復もしなかった。そこでXがAの保証人Yに滞納賃料と原状回復費用を請求した。

 Yは当初のXとの保証契約は賃貸借の合意更新後には及ばない、家主X には借家人Aの賃料不払いを保証人に通知すべき信義則上義務があり通常考えられる程度の延滞額を超える請求は無効である、といてXの請求を争った。

 (判例要旨)
 建物賃貸借は期間満了後も存続するのが原則であること、保証人も継続的に保証するものであることを認識していた筈であること、保証人の債務もほぼ一定しており更新後の債務について保証の効力を認めても保証人に酷ではないこと、などからしてXY間連の連帯保証契約の効力は合意更新後にも存続する。また、賃貸人には賃借人の賃料不払を保証人に通知すべき信義則上の義務はなく、仮にXがYにAの賃料不払いを通知したとしてもAが弁済しない限りYは全額を支払わなければならない。

 (短評)
 民法619条2項には「前賃借につき当事者が担保を供したるときはその担保は期間の満了により消滅す。但し敷金はこの限りにあらず」とある。これをそのまま適用すれば、当初契約の際保証人(保証人のことを人的担保という)になった人は、その契約に定められた期間内の債務についてのみ責任があり、更新後は関係ないと言えそうである。

 しかし、実際上は借家関係は更新により存続することが常識化されており、保証人も当然このことなどを理由に、借家権の続く限り保証責任も存続する、その考え方が判例上も支配的になっている。

 この判例は、保証人の責任は法定更新のみならず合意更新の場合も同じであるとしたものである。

 借家人には直接関係ない事例であるが(といっても保証人が支払えば借家人は保証人からの請求を免れ得ない)<保証人になるのは怖いですよ>ということを再認識するには好例と思い紹介する次第。

(1988.06.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 土地賃貸借契約で建物への抵当権設定禁止の特約を無効とした事例

2008年10月28日 | 契約・更新・特約

 判例紹介

 建物所有を目的とする土地賃貸借契約における建物への抵当権設定禁止の特約を無効であるとした事例 浦和地裁昭和60年9月30日判決、判例時報1179号103頁以下)

 (事案)
 AはBから建物所のを目的で借地をする際、地上建物には抵当権を設定することが出来ず、若し、これに反した場合には無催告で契約解除ができるという特約をしていた。

 しかるに、Aは第三者Cに対し、建物について代物弁済の予約、抵当権、停止条件付貸借権の各設定登記(仮登記も含む)をしたほか、各種権利に基づく所有権移転請求権をAから別の第三者Dに譲渡した。

 そこで、Bは、Aの行為が特約に反するものとしてそして、権利移転は、賃貸借契約における信頼関係を破壊するという理由で、契約解除し建物収去土地明渡を求めた事案である。

 (判例要旨)
 (1)本件契約は、建物所有目的の土地の賃貸借契約であるから、借地法の適用を受けるものであるところ、本件特約は、抵当権の設定行為を禁止するものであり、借地法第9条の3が保護している建物競売等の場合の賃借権の譲渡許可の裁判を競落人等が受け得ることにより、借地人が容易に建物に抵当権を設定しえ、金員を借入し得るという借地人の利益を予め放棄させる意味を有するものである。

 (2)同法9条の3は、借地法の片面強行法規を定める同法11条には掲げられていないが、それは、単に同法9条の3が競落人等と貸地人との関係を定めているもので、貸地人と借地人が同法9条の3が定める競落人等の権利を奪う合意としても、その合意の効力が競落人等には及ばないからというに過ぎず、同法9条の2が定める譲渡転貸の許可の裁判の場合に比べて、抵当権を設定しようとする借地人の利益を軽く扱っているからでない。

 (3)従って、同法9条の3が定める建物の競落以前の段階足る借地人の抵当権設定そのものを禁止する本件特約には、同法11条の趣旨が及び、本件特約は、借地人が所有建物に抵当権を設定して金員を借入れようとすることを妨げる点において借地権者に不利益であるといえるから、無効であるといわなければならない。

 (4)以上のとおり、本件特約は、原告の危惧により付与されたものに留まり、被告の本件特約に反する行為も抵当権を設定し、それが第三者に譲渡されたというに過ぎず、本件土地の利用状態に変化はないから、前記判示の本件特約が無効である旨の判断を左右しない。

 また、本件特約は、借地法9条の3及び11条の趣旨により無効であり、同法は、貸地人の、特定の借地人との信頼関係を保ち続ける利益と借地人の所有建物の利用の利益を調整する目的を有する法規であるから、同法により無効とされる特約に反する行為及び抵当権の移転登記と信頼関係を破壊する行為ということはできない。

 (短評)
 本事案は地主側に特約を必要とする過去の経過が会ってが、その経緯を問わず特約の内容自体が無効であるとしたところに意義がある。事案としても珍しいので参考までに照会した。判決趣旨には異論がない。

(1986.10.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 有益費償還請求権を予め放棄する特約を有効とした事例

2008年10月27日 | 借家の諸問題

 判例紹介

 有益費償還請求権を予め放棄することは借家法6条、民法90条に違反しないとされた事例 (東京地裁昭和61年11月18日判決、金融商事判例773号)


 (事案)
 賃借人は、ビルの一室を賃借して店舗内装を一切自分で行い、パブを営業していたが、8か月分の家賃(約570万円、共益費含む)を滞納してしまった。家主は契約を解除して明渡の訴訟を提起した。

 裁判で、賃借人は、店舗内装工事に4654万円を掛けたので、その有益費の償還を受けるまでは明渡す義務はないと争った。

 家主は、賃貸契約書には、有益費償還請求権を予め放棄する特約をしているので、賃借人には、有益費償還請求権がないと反論した。

 そこで、有益費とは何か、造作と何か、有益費償還請求権も放棄できるかが論点となった。


 (判決要旨)
 賃借人は有益費償還請求権は借家法5条6条に照らし、予め放棄することは許されないと主張するので検討する。

 造作買取請求権は、賃借人が建物に付加した造作について、特にこれが独立の存在を有し、賃借人の所有に属することに着目して特に借家人保護のため強行法規とする。

 これに対し、有益費償還請求権は、借家人が建物の改良に支出した有益費を償還せしめるものであって、借家人が右支出によって建物に付加した部分は独立の存在を有するものではない。従って当該部分の所有権は借家人ではなく、建物と一体となって建物所有者に帰属するものである。

 有益費償還請求権の本質は任意法規でである不当利得返還請求権に由来しているものであり、両者は賃借人の建物に対する投下資本の回収という点では共通するものの、法律的にはその根拠ないし本質を異にする。

 造作買取請求権の場合にはその目的物が賃貸人の同意を受けて付加したものに限られるのに対し、有益費償還請求権については有益費という限度があるほか、賃貸人の意思如何を問わず認められるものである。

 従ってこれを強行法規と解すると、賃借人に過酷な結果を強いることになり、かえって建物賃貸借の円滑な設定を阻害するおそれもあるので、有益費償還請求権について明文の規定がないのに単に経済的には同一の作用を営む点だけをとらえて造作買取請求権と同様に強行法規であると見ることはできない。


 (感想)
 有益費償還請求権の法規の条項を入れた契約書が、よく取交される。本件では賃料不払のケースであるが、そうではなく期間満了あるいは合意解約で明渡す場合は矛盾が出る。
 賃借人の負担で建物の価値を増し、その質を高めて賃貸人にも利益を与えたのに、特約を入れさすれば、その費用償還が認められないというのは不公平であるし、良質な建物を供給するという社会的利益にも反する。 

(1987.12.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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修繕費用は敷引きの中に含まれる (大阪・城東区)

2008年10月24日 | 敷金(保証金)・原状回復・消費者契約法

 「敷引特約」に関する判例の動きを窺い見ると、2001年4月1日施行の「消費者契約法」の影響が大きいことが判る。加えて、「敷引特約」自体が消費者契約法に反して無効という流れが定着してきたことが実感出来る。約7年間で裁判所の「敷引特約」に関する考え方が大きく変わったことがよく判る。今回紹介する事例は、消費者契約法が適用される以前のものである。


 大阪簡裁は、敷金返還請求少額訴訟で、「敷引き額は、賃借人の債務不履行による損害や家屋の修繕費用等をあらかじめ概括的に定めたものであると解することができる」として敷金から新たに修繕費用として差し引くことはできないとして30万円の返還を命ずる判決を下しました。

 大阪市城東区で、平成6(1994)年11月から賃貸マンションを借りているNさんは、敷金80万円を支払い、退去時30万円を返還することを条件に入居しました。

 平成13(2001)年2月に契約を解約したところ、1か月後に敷金を返還す約束になっていたにもかかわらず、汚れや染み等があることを口実にして、家主は修繕費用23万8455円を請求し、30万円の敷金返還を拒否してきました。

 そこで、Nさんは、引っ越し先の旭区借地借家人組合の支援で大阪簡裁へ少額訴訟を起こしました。その約1か月後に公判が開かれ、1回で結審し、その1週間後に前記の判決が出ました。

 勝訴したNさんは、「弁護士もつけずに自分で裁判を起こすことに決断がいったが、裁判に勝てたのは本当に嬉しい。組合から提供された建設省住宅局の『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』は、大きな励みになた」と語っていました。

 

全国借地借家人新聞より

 

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敷引特約条項は無効 (消費者団体訴訟) 京都地裁

2008年10月22日 | 敷金(保証金)・原状回復・消費者契約法

 消費者団体訴訟制度で初の解決
   敷引特約条項は無効

 NPO法人(特定非営利活動法人)「京都消費者契約ネットワーク」は、消費者団体訴訟制度に基づき、京都地裁に「敷引特約」は消費者契約法違反として、不動産賃貸会社「大和観光開発」(京都市)に特約条項の使用差し止めを求め提訴した。

 その訴訟の第1回口頭弁論が10月21日、京都地裁(瀧華聡之裁判長)で開かれた。大和観光開発は京都消費者契約ネットワークの請求を全面的に受け入れ、すでに契約を結んだ入居者に敷引条項を破棄することを通知した。同社は答弁書で条項を使用しないことを約束し、現在の入居者12人の敷金は差し引かない方針を示した。

 京都地裁は確定判決と同じ効力を持ち、原告勝訴判決と同じ効力がある「認諾調書」を作成する。「認諾調書」には「大和観光開発は今後賃貸借契約に「敷引特約」を使用しない」という趣旨のものが明記される。

 消費者保護のため改正消契法とともに2007年6月に始まった消費者団体訴訟制度を活用し、訴訟上の解決に至ったのは初めてだ。しかし、契約用紙の破棄を巡っての対立があり、今後も訴訟は継続する。

 大和観光開発は「世の中が消費者の利益を重視する流れになっており、抵抗する考えはない」とコメントした。

 「敷引特約」条項は、賃貸物件の解約時に敷金から主に原状回復費として、一定額(大和観光開発は35万円)を一方的に貸主が差し引いて借主に返還するもので 、本来借主に原状回復義務のない通常損耗分まで費用負担させていた。その原状回復費の精算がアバウトで不透明なことからトラブルが多発していた。

 敷引特約は、関西圏、中国地方、九州の一部で慣行化されている。

 

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【判例紹介】 地主が新築したビルに再入居する場合地代を継続賃料で算定した事例

2008年10月22日 | 地代の減額(増額)

 判例紹介

 地主のビル建築のために、土地を明渡した借地人が、新ビルに区分所有者としてはいる場合の地代は継続賃料として算定すべきとされた事例 (東京地裁昭和60年4月25日判決、判例時報1178号)

 (事実関係)
 4人の借地人は古くから、それぞれ借地していたが、地主は4つの借地をまとめて再開発を計画して交渉し、昭和54年4月に渋谷簡易裁判所、「借地人らは、各自の建物を撤去して、一時立退く。地主は、『並木橋ビル』という自分が建築するビルの一部を、区分所有として各借地人に再入居させる」即決和解をした。

 土地は、ビル区分所有を目的とする借地権であることが合意されたが、地代については、入居後に協議するとされた。ところがその話し合いが延び延びにされたため、借地人たちは、昭和56年11月、地代確定調停を申立てたが、話しがつかず、本裁判となった。

 裁判で問題になったことは、
(1)本件は地代増額訴訟ではない。

 そもそも、裁判所に地代を決める権限があるのかどうか。
(2)借地人は、地代は継続地代(坪670円)であるべきと主張し、地主は、新規賃料(坪2491円)のはずと主張した。

 (判決要旨) 
 「借地人と地主との間には、区分所有建物を目的とする土地賃貸借の合意は成立しているものの、賃料額は後日協議により決定することとされたままで、その後当事者間で合意が成立しない状態にあることが認められる。このような場合、民法388条但書を類推適用して、裁判所は、当事者の請求により適正な賃料額を確定した上で、それに基づいて当事者間の権利関係を判断することができるものと解される。」

 「昭和54年4月渋谷簡裁での即決和解が成立したときまでに、旧木造建物の所有を目的とする本件土地の賃借権(旧賃借権)を、その同一性を維持したまま並木橋ビル内の建物部分の区分所有を目的とする賃借権(新賃借権)に変更することを合意した事実を認めることができる。もっとも、旧賃借権と新賃借権とは、地主主張のように、設定契約も、対象となっている土地の範囲も異なっているが、それは、即決和解が成立し、借地人らの同意の下に旧木造建物の取壊しと並木橋ビルの新築が行われた経緯に照らして当然であるから、右認定を左右するものではない。」

 (解説)
 土地と建物を所有する人が、その1つだけに抵当権をつけて競売されてしまったとき、自動的に地上権が設定される制度(法定地上権)があり、そのときの地代は、裁判所が決める、というのが、判決のいう民法388条但書である。

 地主、家主が新築するビルに賃借人が再入居するというケースで、いつも問題になるのが、新しい賃借条件である。それが継続賃料でよいとした本判決は参考になると思う。

(1986.06.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 固定資産税額の3倍の地代改定特約違反でも契約解除が否定された事例

2008年10月21日 | 地代の減額(増額)

 判例紹介

 地代を固定資産税の3倍とする自動改定特約違反があっても契約解除が否定された事例 (東京地裁平成6年11月28日判決、判例タイムズ886号)


 (事案)
 借地人は昭和58年3月建物所有を目的で借地した。借地契約には、地代は固定資産税の3倍とするという特約があった。借地人は昭和62年度分までは右特約どおりの地代を支払っていたが、昭和63年以降は特約で計算した賃料を支払わず、相当と認める賃料のみ支払っていた。地主は平成5年5月、賃料不払を理由に借地契約を解除して、土地明渡を求めた。借地人は、地代の自動改定特約は借地法に違反すると争った。


 (判決要旨)
 本件賃料自動改定特約は固定資産税の年額の3倍の12分の1を月額賃料としている。旧借地法12条が賃料増減額の要件として、「土地に対する租税その他の公課の増減」を挙げていること、及び従前土地の年額賃料は概ね固定資産税額ないし公租公課の2ないし3倍を1つの目安とする考えも相当行われていたことからして、定め方自体不合理であるとはいえない。

 本件特約による年額賃金は、
 昭和60年で16.3%増、
 昭和61年で6.3%増、
 昭和63年で397.6%増、
 平成元年で20.12%増、
 平成2年12.7%増、
 平成3年で22.3%増、
 平成4年で22.7増、
 平成5年で16.5%増となる。

 右賃料のうち昭和63年の増加は、一挙に約4倍になっている。しかし、右増加は、賃借人が借地上の建物を商業用のビルに建て替えたために小規模住宅用地に対する課税標準の特例が受けられなくなった結果と認められ、そのことは賃借人も予想すべきであるから、当事者の予測を超えた異常事態のため賃料が上昇したとは言えないので、本件改定特約が事情変更によって無効になったとまでは言えない。

 本件特約による賃料が通常の継続賃料としては賃借人に相当過酷な結果になっているが、賃借人は本件借地上の商業ビルを賃貸して多額の賃料収入を得ていることを勘案すると著しく不利益な改定特約とまでは言えない。

 賃借人は、本件特約賃料を支払わないが、従前賃料の2倍を支払い、その後も賃料増額と本件特約の改定を求める話し合いを求めた。しかし、賃貸人から具体的な対応もないまま、本件賃貸借契約を解除したものであるから、賃借人の賃料不払については、未だに信頼関係を破壊するに至らない特段の事情があり、本件解除は無効である。


 (説明)
 公租公課の3倍を地代とする地代改定特約の効力が争われた。判決は、借地人が堅固建物に建替えた結果税額が上昇した点、商業ビルとして賃貸している点をとらえて賃料改定特約の有効性を認めた。しかし、そのような事情がないとき、地代増額特約が否定されることがあるという余地を残した判決となっている。

(1996.02.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 借家人が建物修繕費を支出したことが値上げ請求で考慮されなかった事例

2008年10月20日 | 修理・改修(借家)

 判例紹介

 賃借人が建物修繕費を支出したことが、建物賃貸人からの賃料増額請求にあたり考慮すべき事項であるとはいえないとされた事例 (大阪地裁平成元年12月25日判決、判例タイムズ748号)

 (事案)
 家主は、複数の賃貸建物の借家人6人に対して、昭和63年6月1日以降の家賃増額を請求した。借家人等は、建物は戦前に築造され、現在では老朽化が進み、修繕を必要とする部分が各所にあり、それにもかかわらず、家主は本件建物を修繕しなかったので、借家人らが自分の費用で屋根、壁、塀等を修繕してきた。

 だから、このことは賃料額決定に際して考慮されるべきである、と争った。なお、従前賃料と値上げの額がいくらかだったかは、掲載からは不明。

 (判決要旨)
 被告らは、原告が本件各建物の修繕を怠っていたので、被告らあ自らの出損で修繕してきたという事実を賃料額決定に際して考慮すべきである旨主張する。

 本件各建物について修繕が必要な部分があることや、被告らが本件各建物を修繕してきたことの証拠はあるし、本件各建物がいずれも戦前に築造されたことは当事者間に争いがない。

 しかしながら、仮に被告らが自らの支出で修繕をしたとしても、そのことは適正賃料の相当性の判断に影響を及ぼすべき特殊な事情に当たらない。

 (説明)
 賃料と修繕の関係については、いろいろな問題がある。

 ①家主の値上げ請求に対して、建物の修繕がされていないことを理由に値上げ額を争う場合。
 ②同じく、賃借人が修繕したことを理由に値上げ額を争う場合。
 ③同じく、賃借人が行った修繕の費用を逆請求をして争う場合。
 ④修繕をしない家主に対して、借家人が家賃の値下げ請求をして争う場合。
 ⑤家賃値上げの機会とは関係なく、賃借人が行った修繕費を家主に請求する場合。
 ⑥借家人行った修繕の費用を、賃料から差引いてしまう場合。

 本件は②の場合であるが、本判決は、賃借人が修繕をしても家賃を安くする理由にはならないと判断した。修繕費は別途請求すればよいという考え方であり、裁判例の中では一般的なものである。

(1991.04.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 前回更新料を支払ったことが直ちに更新料支払約定の成立とは認められないとした事例

2008年10月17日 | 更新料(借地)判例

 判例紹介

  立続けの地代値上請求が否認され、前回更新料を支払ったことが直ちに更新料支払約定の成立とは認められないとした事例 (東京地裁平成4年12月25日判決、判例集未掲載)


 (事案)
 借地人は台東区上野3丁目に31.6坪の土地を借地して木造建物を所有していたが、地主は、昭和60年以降大幅な値上げ請求を繰り返し、本件地代は、
昭和60年4月には月額3万8870円、
昭和61年4月には月額5万8870円、
昭和61年10月には月額7万8870円、
昭和62年4月には月額9万6327円(坪3048円)となっていた。

 借地期間は昭和63年9月1日であったが、地主はそれに先立つ昭和63年4月、地代を月額19万7617円(坪5660円)に値上げ請求し、更新料として215万6000円を請求した。


 (判決要旨)
 「本件土地はJR山手線上野駅の東方約300メートルに位置し、商業地域に属し、同駅前の高度商業地域の背後至近にあって交通事情も良好であること、地価は昭和61年から62年にかけ急激に上昇したが、翌年に入ると鈍化傾向を強めたこと、本件賃料も昭和60年以降急激に増額されていること、昭和62年4月の値上げは、値上げに応じなければ土地を売ると言われ、当時地上げ屋が横行していたこともあってやむなく増額に応じたこと、現行地代9万6337円は、鑑定により昭和63年9月当時の比準賃料として算出された額8万3000円よりも高額であり、昭和62年当時の公租公課の5.169倍になっており、近隣地域の比率が4倍であることに比べても高率であること。以上の事実を前提に判断すると、鑑定が適正賃料を10万円としていること近隣地域では1年ないし2年で賃料の改訂がされるのが多いことを考慮しても、本件現行賃料は、昭和63年9月時点ですでに比準賃料と比較しても高水準となっており、昭和62年以降は地価の上昇も鈍化している上、昭和61年からの賃料増額の経過、ことに同年中にはわずか6か月で増額されていること等の事情に照らすと、本件現行賃料が昭和63年9月において不相当となっているとはいえない。」

 「更新料の請求については昭和63年9月1日時点における更新が法定更新であるところ、昭和43年9月の更新の時に50万円の更新料が払われたことから直ちに、その後の更新時には更新料を支払う約定が成立したものとは認められない。


 (解説)
 本件は当組合員の事例であり、東借連常任弁護団の2名が担当した。賃料値上げを一切認めない判決は非常に少なく、短期間の間の立て続けの増額のうえ、更なる増額を請求した地主に対し、厳しい判断を下したものである。

(1993.04.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 


 

  更新料の支払請求にに関しては、判決では前回の更新時に更新料を支払った事実があったからといって、それが直ちに更新料の支払の合意をしたことにはならないとして地主の更新料支払請求を認めなかった。今回と同趣旨の判例はこちらから

 

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50年以上前の増改築を無断との理由で家主が建物明渡訴訟 (京都・伏見区)

2008年10月16日 | 建物明渡(借家)・立退料

 2007年9月、京都市伏見区で借家住まいのAさんは、京都・伏見簡裁で勝利判決を勝ち取ったところ、家主から50年以上も前に行った家屋の改築を取り上げ、「無断増改築」との難癖をつけ、「契約解除・建物明渡請求」の裁判を京都地裁へ提訴されました。

2008年8月7日、京都地裁は、借家人のAさんへ「原告(家主)の請求を棄却する」という完全勝利の判決を下しました。

 判決理由では、「被告の生活(居住及び収入源である営業)を維持する最も基本的な条件である本件建物の賃貸借の継続を危険に陥れるような選択をするとは考えがたい・・・被告が(その後の明確に承諾を得てした小修繕)工事よりも大掛かりな工事である本件改築工事について、賃貸人の承諾を得なかったとは考えがたい」として、「被告は、本件改築工事を施行するにあたり、賃貸人の承諾を得たと認めるべきであるから、本件賃貸借契約に解除理由はなく、原告がした本件解除の意思表示は効果を有さない。」と契約解除の請求を棄却しました。

 その後、家主が不当にも大阪高裁へ控訴し、Aさんは引続き係争中になりました。

 

全国借地借家人新聞より

 

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更新料を拒否すると不動産業者は「それならば裁判にするぞ」と捨て台詞 (東京・板橋区)

2008年10月15日 | 更新料(借地)

 板橋区南常盤台に住むAさんのところに 、今年の7月に地主の娘から「母親に代わって更新についての話を一任されたのでご連絡ください」という通知が来た。

 Aさんは不安になって、様々なところに行って相談したが、最後に知り合いから紹介されて組合事務所に来た。

 相談された組合では今年末に更新の期間が満了になるので「貴殿から賃借している土地には当方が所有している建物が存在しますので更新し、引き続き住み続けるつもりです」という回答書を出すことにした。

 回答書が到着した9月はじめにAさんに「地方にいる地主の娘が東京に出てくるので話合いを持ちたい」とこの娘の代理人という近所の不動産業者から電話があった。それならば、こちらも窓口を組合としたいと再回答した。

  早速、この業者から組合に電話が入ってきた。この業者、地主から委任されたといって更新料の請求と地代の値上げを請求した。

 対応した組合では、「更新料支払いは最高裁の判決でも支払い義務はないですが、それでも支払いを請求する法的根拠はあるのですか」という問いに対して、「それは旧借地借家法の考え方で現在は新法の時代で、しかも20年前の昔の古い契約で、今の時勢『払わない』という考え方はおかしい」と訳のわからないことを主張してきた。

 最後には捨て台詞のように「それならば裁判にするぞ」といって電話をきった。Aさん「この不動産屋は最近、代替わりしたばかりで、実績を上げようと必死なのではないか」と話していた。

 

東京借地借家人新聞より

 

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地主は底地の買取りを希望、駄目なら業者に売却すると脅す (東京・豊島区) 

2008年10月14日 | 地上げ・借地権(底地)売買

 豊島区の池袋駅から徒歩で20分位の住宅街の一画で10数軒が一人の地主から借地して住んでいました。

 今年の7月に地主から「この度、親が死去し、その相続税を支払うことが困難で、この土地を処分することにしました。ついては底地の買取りを希望する人は連絡をいただきたい。又、買取ることが出来ない場合は、業者に売買いたします。その場合、今後何が起きるか分かりません」という手紙が送られてきました。

 びっくりした借地人は、以前からその存在を知っていた組合に相談にきました。組合では相続税の支払いというならば、まず地主に物納をすることを提案し手紙を送ることにしました。

 しかしながら、すでに何軒かの借地人のところには地主の代理人である地元の不動産屋が売買の話をしに来ていました。不安を感じた借地人、10数人で組合の相談会を開催し、説明を受けました。

 組合の豊富な相談事例から、底地を買取る業者の実態を理解し、万が一に業者に売買されても、全員が組合に入会して団結して頑張ることにしました。入会した人は「お話を聞いて安心しました。なんとか頑張れそうです」と語りました。

 

全国借地借家人新聞より

 

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家主が交代すると即時明渡調停を提起されたが (東京・足立区)

2008年10月11日 | 建物明渡(借家)・立退料

 足立区江北町に住むAさんは、昨年8月に借地人の家主が業者にかわった。

  早速、家屋の老朽化を理由に明渡しを要求されたが、少ない年金とパート収入で生計を維持しているため、他へ移転すると生活できない。地元の議員さんを介して組合に相談に来た。組合を通じて業者に対して「都営住宅に入居するまで明渡しはできない」と回答した。賃料の受領を拒否され、直ちに供託した。

 今年の2月、弁護士を介して調停に持ち込まれたが、Aさんは病気で入院中のため出廷を拒否したところ、調停は不調となった。

 

東京借地借家人新聞より

 

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地主が更新料支払請求(約500万円)の調停を申立 (東京・大田区)

2008年10月10日 | 更新料(借地)

 横浜市に在住のBさんは、大田区大森西5丁目の宅地6・55坪の借地権付き共同住宅を相続した。

 昨年11月末の契約更新を迎えて、更新料に底地買取、明渡しに地代増額等地主の矛盾したメチャクャ内容の請求にも誠意を持って対応してきたが、益々ひどい事態となって知人の紹介で組合に入会。

 直ちに、借地法に基づく契約更新の請求と、更新料支払い拒否を内容証明郵便にて通告した。受領済の地代を返却されて供託した。この程地主は、過去の更新料支払いを理由に、当初の約半額の500万円余の更新料を請求する調停裁判を起こしてきた。

 最高裁判決や今年4月の当組合員の地裁判決を学んだBさんは、調停初日に更新料の支払義務もないことを宣告し、調停は不調にしたとの報告が組合にあった。

 

東京借地借家人新聞より

 

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僅か2万円の立退料で明渡せとは (東京・荒川区)

2008年10月09日 | 建物明渡(借家)・立退料

 荒川区西尾久7丁目の4階の1室を昭和55年8月から借りている。Aさんは昨年7月に突然家主から明渡してほしいと口頭で言われた。

 マンション全体で14部屋のところ、次々と入居者が立退き現在Aさんを含めて2世帯しか住んでいないので採算が取れないというのが明渡の理由だ。

 Aさんは、9月に入って引越しの条件を話し合うよう申し入れた。3日後家主から連絡が入り「ネット等で調べたが、Aさんは夫婦2人暮らしで家財道具はあまりない筈なので2万円位でどうですか」と回答が来た。Aさんは、馬鹿にするも甚だしいと一蹴した。

 その後今年の8月に内容証明が来た。「法定更新は認めない。建物が老朽化している」と前回と異なる理由をつけて来た。Aさんは他の1人も誘って組合に入会した。勝手な家主の考えで住まいが脅かされると徹底して権利を守り抜く決意でいる。
 

 

東京借地借家人新聞より

 

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