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滋賀県野洲市の賃貸マンションを約6年半借りた男性会社員(33)=大阪市=が入居継続時に支払う更新料計26万円の返還を貸主に求めた訴訟の控訴審判決が29日、大阪高裁であった。三浦潤裁判長は「更新料は借り主にとって一方的に不利益とはいえず、消費者契約法に違反しない」と述べ、更新料を適法とする判断を示した。その上で、1審・大津地裁判決(今年3月)同様、請求を棄却した。原告側は上告の方針。
更新料を巡る訴訟では、8月、大阪高裁で「消費者の利益を一方的に害する」として貸主に返還を命じる判決が出ており、高裁レベルで判断が分かれた。
更新料について、1審判決は「賃料の一部前払いとしての性質がある」として適法と認定。これに対し、三浦裁判長は「賃貸借期間が長くなった際に支払われるべき対価の追加分ないし補充分」との判断を示し、「貸主にとって必要な収益で、更新料がなければ賃料が高くなっていた可能性がある」と指摘した。
◇原告側代理人の増田尚弁護士の話
実情に合っておらず、不当な判断だ。
毎日新聞 2009年10月30日
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賃貸住宅の契約更新時に入居者から「更新料」を徴収する契約条項は消費者契約法に照らして無効だとして、借り手の男性会社員(33)=大阪市=が家主に支払い済みの更新料26万円の返還を求めた訴訟の控訴審判決が29日、大阪高裁であった。三浦潤裁判長は、訴えを退けた3月の一審・大津地裁判決を支持し、借り手側の控訴を棄却した。借り手側は上告する方針。
更新料をめぐっては、別の裁判長による8月の大阪高裁判決が「無効」とし、高裁レベルで判断が分かれる形になった。最終判断は最高裁に持ち越されることになる。
高裁判決は、今回の更新料について、2年ごとの契約更新の際、約5万~約10万円を支払っているが、入居時に支払った礼金20万円より低いことから「適正」と判断。賃貸契約を延長するために借り手側が支払う「対価」とみなした。また、更新料を禁じると家賃に上乗せされる可能性があるとも述べ、「借り手にとって一方的に不利益になることはない」と結論づけた。
判決によると、会社員は00年、滋賀県野洲市のマンションに月約5万円の家賃で入居。07年に退去した。
判決後、会社員は「消費者保護の流れをせき止める判決」と批判。家主側の代理人弁護士は「更新料の意義を認めた妥当な判断」と話した。
2009年10月30日 asahi.com(朝日新聞社)
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京都や滋賀、首都圏を中心に広く定着し、全国の賃貸物件100万件以上の契約にあるとされる更新料条項。8月に「無効」としたばかりの大阪高裁が今度は「有効」と異なる判断を示したことにより、決着は最高裁に持ち越される。
無効とした8月の大阪高裁判決は、更新料には賃料補充の性質はなく、1年更新で家賃2カ月分余りと高額だったことを背景に「一見安い賃料という印象を与え、借り主を誘引する効果がある」と指摘していた。
しかし、今回の判決は、更新料がなくなれば家賃を上げざるをえず、敷金礼金などの初期費用がかさむようになり、かえって消費者の不利益となりかねない-という従来の家主側の主張に沿った判断を示した。
過去の訴訟では更新料が有効とされてきたが、初めて無効と認めた7月の京都地裁判決以降、潮目が変わったとの見方もあっただけに、関係者に与えた衝撃は大きかったようだ。
会見した家主側の伊藤知之弁護士は「契約の実態通り更新料の意義を認めており、バランスの取れた判決」と評価。一方、借り主側の増田尚弁護士は「消費者保護に正面から答えておらず不当な判断。ナンセンスだ」と憤った。
2009年10月30日 産経新聞
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賃貸マンションの更新料条項は違法かつ無効として、大阪市東淀川区の男性会社員(33)が家主に支払った更新料26万円の返還を求めた訴訟の控訴審判決が29日、大阪高裁であった。三浦潤裁判長は「礼金より金額が抑えられており適正」として、原告側の請求を棄却した1審大津地裁判決を支持、控訴を棄却した。
7月の京都地裁判決以降、更新料を無効とする司法判断は計5件続いたが、今回の「有効」判決で高裁段階での判断が分かれた。原告側は上告する方針。
原告側は、更新料条項について、消費者の利益を一方的に害する契約条項を無効と定めた消費者契約法10条に違反するとした上で、「中途解約しても精算されず、賃料の二重取りに当たる」「借り主が趣旨を理解しないまま承諾させられた」と主張していた。
これに対し、三浦裁判長は更新料を礼金と同様、返還を前提としない「賃借権の対価」に当たると認定。金額も月当たり5千円未満と低いうえ「契約条項の押しつけとは認められない」との判断を示した。
判決によると、男性は平成12年12月、滋賀県野洲市のマンションに月5万2千円の家賃で入居。2年ごとの更新で毎回家賃2カ月分を支払うとの条項があり、1回は半額にしてもらって6年間で計3回、26万円を支払った。
2009年10月30日 産経新聞
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賃貸住宅の「更新料」支払いを義務付ける契約条項が有効かどうかが争われた訴訟の控訴審判決で大阪高裁は29日、一審大津地裁と同様「有効」との判断を示した。大阪高裁は8月、別の訴訟で「無効」の判決を言い渡しており、高裁レベルで判断が分かれる形となった。
敗訴した入居者側は上告する方針。8月の判決では敗訴した家主側が上告しており、結論は最高裁の判断に委ねられた。
判決理由で三浦潤裁判長はまず「更新料は礼金と同様、入居者としての地位を得る対価の追加分で、家主には必要な収益だ」と位置付け、「礼金と比べて適正な金額にとどまるならば、入居者に一方的に不利益とは言えない」と判断。
その上で「更新料がなかった場合、家賃が高くなった可能性もある。入居者も契約時に更新料が返還されないことを認識していた」と指摘。「家主が押し付けた不利な条項で消費者契約法に照らし違法」と返還を求めた入居者の主張を退けた。
判決によると、原告の男性は2000年12月、滋賀県野洲市のマンションに入居。「2年ごとに家賃2カ月分の更新料を支払う」という契約で、07年4月の退去までに3回更新、計26万円を支払った。
更新料をめぐる訴訟では京都地裁などで入居者側の敗訴が続いたが、7月に同地裁で入居者側が初めて勝訴。8月には大阪高裁が「入居者と家主とは情報量に大きな格差があり、対等な立場で契約条件を検討できない」などとして無効と判断を示し、その後は入居者側勝訴が続いていた。(共同)
2009年10月29日 東京新聞
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賃貸マンションの契約継続時に更新料を負担させるのは違法として、男性会社員(33)が滋賀県の家主に支払い済みの計26万円を返還するよう求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁の三浦潤裁判長は29日、「賃借権延長の対価で違法ではない」として、一審大津地裁に続き請求を棄却した。原告側は上告する方針。
同種訴訟では、更新料を無効とする司法判断が続き、8月の大阪高裁判決も「消費者契約法に違反する」と認定したが、高裁段階で判断が分かれた。
時事通信 2009年10月29日(木)
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賃貸住宅の「更新料」支払いを義務付ける契約条項が有効かどうかが争われた訴訟の控訴審判決で大阪高裁は29日、一審大津地裁と同様「有効」との判断を示した。
大阪高裁は8月、別の訴訟で「無効」の判決を言い渡しており、高裁レベルで判断が分かれる形となった。敗訴した入居者側は上告する方針。8月の判決では敗訴した家主側が上告しており、結論は最高裁の判断に委ねられることに。
共同通信 2009年10月29日(木)
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救済法案、政府が提出方針…大手銀は柔軟に対応
景気低迷で、住宅ローンの返済が苦しくなる人が目立ってきた。
政府は、ローン返済の条件変更などに応じるよう金融機関に促す法案を臨時国会に提出する方針で、大手銀行も相談件数の急増を受けて柔軟な相談体制の整備を進めている。
三菱東京UFJ銀行は、今春は毎月300件前後だった住宅ローンに関する相談件数が、夏以降、500件程度に急増している。リストラなどで返済が困難になった人が増えているためとみられ、住宅ローンの相談に乗る専任の担当者を9月以降、二十数人に倍増した。相談の結果、返済期間を延長して毎月の返済額を減らすといった返済条件の変更を、相談者の半数程度に対し、既に実施している。
11月からは、すべての住宅ローン利用者に案内文を送り、返済が苦しくなった際に早めの相談を呼びかけるほか、来年1月からは、インターネット経由で相談の申し込みを受け付けるようにする。
三井住友銀行も9月から、相談を受ける際の注意点をまとめたマニュアルを全国の支店に配布し、無理のない返済計画を立てるよう現場に徹底している。
みずほ銀行は、住宅ローン返済の相談があった際、支店長ら幹部が状況を把握することで、対応に漏れがないように配慮している。
メガバンクなどは、ローン返済の条件変更などに応じるよう金融機関に促す法案が成立すれば、相談体制を一層強化することも視野に入れている。
前年同期比4割増 国民生活センターによると、「失業して返済できなくなった」などの住宅ローンの相談は、4月から先週末までで1755件と前年同期より約4割増えた。
金融機関も延滞の増加に警戒感を強めており、住宅金融支援機構が金融機関を対象に7月に実施したアンケートでは、87・8%が「景気低迷による延滞の増加」を懸念材料と回答。昨年の73・5%、一昨年の52・7%に比べて急増している。
同機構は今年6月から、経済対策の一環として、頭金がなくても長期固定ローン「フラット35」を借りられる取り組みをスタート。同月以降、申込件数が前年同月比で毎月3~6割増と大きく伸びている。同機構は、「借りやすくなったことに加え、民間金融機関の融資姿勢が厳しいことも影響している」とみている。
2009年10月27日 読売新聞
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国民生活センターによると、「失業して返済できなくなった」などの住宅ローンの相談は、4月から先週末までで1755件と前年同期より約4割増えた。
金融機関も延滞の増加に警戒感を強めており、住宅金融支援機構が金融機関を対象に7月に実施したアンケートでは、87・8%が「景気低迷による延滞の増加」を懸念材料と回答。昨年の73・5%、一昨年の52・7%に比べて急増している。
同機構は今年6月から、経済対策の一環として、頭金がなくても長期固定ローン「フラット35」を借りられる取り組みをスタート。同月以降、申込件数が前年同月比で毎月3~6割増と大きく伸びている。同機構は、「借りやすくなったことに加え、民間金融機関の融資姿勢が厳しいことも影響している」とみている。
2009年10月27日 読売新聞
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伊丹市に住むOさんは、昨年からの不況の影響で勤め先の警備会社の仕事も今年の春ごろまでは週2~3日あり、どうにか家賃を支払ってきましたが、仕事がまったくなくなった後家賃を3か月分滞納してしまいました。
その後、家賃保証会社は容赦無く訪問、電話電報で家賃の支払の催促を受け、さらに家賃支払損害金を取立てられ、思い余ったOさんは、尼崎借地借家人組合へ救援を求めてきました。
保証会社は、Oさんが生活保護申請中であり支払猶予を申し入れても、信用もせずに家賃の支払を強要しました。一方行政側も身元調査を理由に支払決定を引き延ばし、この間、生活支援金で生活をしてきました。
組合は、地元の市会議員に要請し、行政と折衝し、生活保護の申請が受理され、申請月に遡って生活保護手当が支給され、家賃の支払の目処がつき9月分の家賃から払うことで解決をしました。
Oさんは、「個人では高額な家賃支払の損害金を支払い、相手の言いなりになるところでした。、市会議員と組合の支援でホームレスにならなくて助かりました」と喜んでいました。
全国借地借家人新聞より
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トラブルが相次いで発覚した無料低額宿泊所を巡る厚生労働省の制度見直し案が明らかになった。事業者が高額な家賃を徴収して営利を図ることを防ぐため、入所者に支給される住宅扶助を施設に応じて減額し、悪質な場合は打ち切ることを検討する。金銭管理の外部委託や優良施設への財政支援も行う方針。今年度中に正式決定し悪質業者の排除と施設運営の透明化を図る。
住宅扶助は生活保護費の一つで、アパートなどに入居する受給者に一定範囲内で家賃など実費を支給する。無料低額宿泊所が集中する都市部の単身者は4万~5万円台が多い。
居室の多くは3~4畳半程度で風呂やトイレは共同だが、事業者は施設の家賃を住宅扶助の上限とほぼ同額に設定、徴収額と施設所有者に支払う賃貸料との差額を運営費に充てるケースが多い。差額の使途が不明朗な施設も多く、悪質な「貧困ビジネス」につながると指摘されている。
こうした現状を踏まえ、厚労省は居室に見合う金額に住宅扶助を見直すことを検討する。悪質な場合は扶助を打ち切り、別施設への転居を促す。一部施設が入所者の金銭を無断で管理していることが発覚したため、社会福祉協議会などに金銭管理を委託することも計画している。
住宅扶助費を減額すると、施設の採算が悪化して入所者の待遇に影響したり、施設側が家賃以外の名目で金銭を徴収して入所者の手元に残る金額が減る恐れも出てくる。このため施設の人件費を住宅扶助と切り離して支給できるよう検討する。
さらに、宿泊所を▽介護施設の入居待機者向けの「介護型」▽若年層が就職を目指す「自立支援型」――などの機能別に分類、自立可能な人には入所期間に制限を設けて転居を促す案も浮上している。
山井和則政務官を中心とする検討チームが自治体の意見を聞きながら、社会福祉法や同省の指針の改正作業を進める。来年度予算の事項要求には、宿泊所に自立支援のための指導員を配置するモデル事業費も盛り込んだ。
■無料低額宿泊所見直し案
・住宅扶助の支給額見直し
・施設人件費を別枠で支給
・金銭管理を公的機関に委託
・優良施設への財政支援
・施設を機能別に分類
・自立可能な人の入所期間を制限
◇解説 悪質「貧困ビジネス」にメス
厚生労働省の無料低額宿泊所見直し案の全容が明らかになった。厚労省の調査によると、無料低額宿泊所は都市部を中心に全国で439カ所ある。6畳程度の部屋をベニヤ板で間仕切りして「個室」と称し、生活保護受給者を詰め込む施設も少なくない。事業者は入所者の生活保護費から利用料を徴収しているが、その運営実態が不明朗な業者が後を絶たない。厚労省の制度見直し案はこうした「貧困ビジネス」にメスを入れるものだ。
強制的な調査権限のない自治体にとって、実際の経費と徴収額の差額が何に使われているかを解明することは困難だ。規制強化を求める自治体からの声も受け、厚労省は生活保護費を実態に合わせて支給し施設運営の透明化を図ることにした。
こうした規制強化の一方で、厚労省は優良事業者への財政支援も検討している。「アメ」と「ムチ」を使い分け、雇用情勢の悪化などで増え続ける生活困窮者の自立支援機能を強化したい考えだ。
2009年10月23日 毎日新聞
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刑事事件の時効について「犯人が国外にいる場合は進行を停止する」と定めた刑事訴訟法の規定をめぐり、最高裁第一小法廷(桜井龍子裁判長)は「一時的な海外渡航でも適用される」という初判断を示した。これまでは、短期間の旅行のような場合はカウントされないという学説が有力だったが、最高裁が逆の立場を採用する形となった。
判断は、土地購入をめぐって99年に知人女性から約3300万円をだまし取ったとして、07年に詐欺罪で起訴された高知県の男性(57)=一、二審で実刑=の上告を棄却した20日付の決定で示された。詐欺罪の時効は7年だが、検察側は男性が犯行から起訴までの7年10カ月余りの間に数日間の海外渡航を56回繰り返し、計324日を「国外」で過ごしていたため、この期間を除くと時効が完成していないとしていた。
弁護側は上告審で「国外にいる場合に時効を停止するのは、起訴状を送達することが困難なためだ」という学説を引用し、「一時的な海外旅行の場合はすぐに帰国し、起訴状を受け取ることができるため、時効の停止を認めるべきでない」と主張した。しかし、第一小法廷は「国外にいる間は、一時的な渡航による場合でも、時効の進行を停止する」と判断し、起訴が適法だったと結論づけた。(中井大助)
2009年10月23日 asahi.com(朝日新聞社)
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短期の海外旅行でも公訴時効の進行が停止する要件となる「国外にいる場合」にあたるかが争われた詐欺事件の上告審で、最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)は、「一時的な渡航でも停止する」との初判断を示し、被告側の上告を棄却する決定をした。決定は20日付。詐欺罪に問われ、無罪主張していた団体役員の被告(57)について、懲役1年2月とした2審高松高裁判決が確定する。
短期の海外滞在には時効の停止規定を適用しないとの解釈が有力な説となっているため、決定は捜査実務にも影響しそうだ。
2審判決などによると、被告は平成11年8~9月、不動産投資に絡み、女性から約3300万円をだまし取った。
詐欺罪の公訴時効は7年で、平成18年9月に時効が完成するはずだったが、被告は事件後に56回渡航。ほとんどが10日未満の渡航だったが、検察側は計324日間は「国外にいる場合」にあたると判断、時効は19年8月まで伸びるとして、同年7月に起訴した。
弁護側は「犯人が一時的に国外旅行をしても捜査に支障はなく、10日を超えない程度の渡航では停止しない」と、起訴時点では時効が成立していたなどと主張していた。
2009年10月22日 産経ニュース
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生活保護受給者に居住スペースを提供する無料低額宿泊所などの問題に取り組んでいる「無届・無料低額宿泊所問題弁護団」(団長・宇都宮健児弁護士)は21日、生活保護費の大半を不当に天引きしていたとして、千葉市で施設を運営する2業者を、業務上横領などの疑いで28日に千葉県警に告訴・告発すると発表した。
告訴・告発状によると、東京都内で野宿生活をしていた水谷正勝さん(61)は06年11月ごろ、無料低額宿泊所を営む千葉市の業者に声をかけられて入居した。業者は明確な説明をしないまま、生活保護の受給証明の申請書や銀行口座の申込書を偽造し、月額約12万円の保護費から約9万円を別の口座に移して天引き。2年余りで計約216万円を横領したという。水谷さんは毎月、残り約3万円だけを現金で渡されていた。
また、別の無届けの業者のあっせんで千葉市のアパートに住んでいた男性(64)は業者が銀行カードを管理。08年7月~09年6月の間、毎月の保護費から10万円を天引きされ、毎月約2万円と米10キロが渡されていたという。弁護団は少なくとも家賃相当額を除く5万円ほどはピンハネされたとしている。
弁護団は、埼玉県の別の無届け業者についても業務上横領の疑いで告訴する準備を進めている。いずれのケースも、不当利得の返還請求など、民事訴訟の準備も合わせて進めていくという。
2009年10月21日 asahi.com(朝日新聞社)
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千葉市稲毛区で無料低額宿泊所を運営するNPO法人「厚銀舎」(東京都北区)が入所者の銀行口座を無断で開設したとされる問題で、元入所者で横浜市中区寿町、電気修理業、水谷正勝さん(61)が21日、厚銀舎の施設長らを業務上横領や有印私文書偽造・同行使などの容疑で近く千葉県警に告訴すると発表した。
告訴状によると、厚銀舎の飯島利夫代表らは07年1月5日ごろ、銀行口座開設に必要な市長名の「生活保護受給証明書」を入手するため、水谷さんが記入すべき申請書に同意を得ないまま日付、住所、氏名などを記入、押印して稲毛区役所に提出し、証明書を入手したとされる。また、水谷さんの口座に振り込まれた保護費のうち約216万円を、07年2月~09年4月に別の口座に24回に分けて送金し横領したとされる。
水谷さんは「税金で賄われている保護費が宿泊所に食いものにされている」と話した。厚銀舎担当者はこれまでの取材に「本人の同意を得ており、問題はない」としている。
一方、千葉市花見川区の任意団体「シナジーライフ」(大和田正弘代表)からアパートを紹介され、生活保護費を申請した元入居者(64)も21日、保護費の大半を流用されたとして、大和田代表を業務上横領容疑で近く同県警に告訴すると発表。埼玉県内で、任意団体「東京都連」(東京都足立区)が運営する宿泊所の元入所者も1年間に保護費約100万円を流用されたとして、団体幹部を同容疑で近くさいたま地検に告訴することを、代理人が明らかにした。
毎日新聞 2009年10月21日
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