東京・台東借地借家人組合1

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【Q&A】 大規模災害で建物が滅失してしまった場合、借地権と再築はどうなるのか

2016年12月24日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

   大規模災害で建物が滅失してしまった場合
       借地権と再築はどうなるのか

 (問) 借地上の建物が地震による倒壊・焼失、また津波による流失等の大災害により滅失した場合、或いは、大規模火災で焼失した借地人の権利はどうなるのか。


  (答) 借地契約が借地借家法施行(1992(平成4)年8月1日)前に設定された借地権(建物滅失後の建物築造)に関しては借地法7条が適用される(借地借家法附則7条)。

 借地権の存続期間が終了する前に地震・火事・台風等による災害によって借地上の建物が滅失した場合は借地権自体は消滅しない。借地法7条は建物が滅失しても建物を再築することが出来ることを規定している。

 仮に、借地法7条の規定に反して再築をを禁止する特約があったとしても、判例上、借地法11条の規定によって借地権者に不利益なものとして無効とされる(最高裁1958(昭和33)年1月23日判決・民集12巻1号72頁)。

 他の判例でも「建物を新築する時は、地主の承諾を得る旨の特約があるとしても、この特約は消失した建物を再築する際にも地主の承諾が必要である趣旨ではない」(東京高裁1958(昭和33)年2月12日判決)としている。従って災害による滅失の場合は増改築を制限する特約があっても地主の承諾は不要と言うことになる。

 問題は、借地人の建物が滅失している間(例えば建物の再築が資金繰等で長引いている場合)に、地主が第三者に土地を売却してしまった場合である。

 本来、借地人は借地上の建物を登記しておけば土地所有者が代っても新所有者に対して自分の借地権を対抗(主張)することが出来、借地の明渡しを求められることはない。

 しかし、建物が滅失している間に土地を取得した新所有者に対しては原則的には借地権を主張することは出来ないのが原則である。

 「借地借家法」は借地人の救済の措置として、建物の滅失の原因を問わずに借地人が建物を特定する事項・建物の滅失の日・建物建築予定等を掲示することによって建物が無くても旧建物の滅失の日から2年に限って新所有者に対抗することが出来る借地借家法10条2項)という救済規定を定めている。但し、対抗力の維持は滅失建物が登記されていたことが条件になる。

 以前は大規模災害があった場合、政令で適用地域を定めて罹災都市借地借家臨時処理法が適用された。1995(平成7)年1月17日の阪神大震災の場合は20日後に処理法が指定された。

 罹災都市法は、災害時にも適用され、これまで30回程度にわたって適用事例がある。平成7年に発生した阪神・淡路大震災にも適用されたが、戦後の臨時立法当時の法体系と現代の借地借家の実情に整合しないなど様々な問題点が指摘され、罹災都市借地借家臨時処理法は、2013(平成25)年に廃止された。


新たに施行された大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法(2013(平成25)年6月26日法律第61号)では、

 大規模な災害の被災地において、災害により借地上の建物が滅失した場合における借地人の保護等を図るための特別措置を定めた法律で借地借家法に優先する。当該災害を「特定大規模災害」として政令で指定され、適用すべき措置及び地区が指定される。(第2条)

建物滅失後の借地権対抗力 

借地権の対抗力の特例では、借地借家法第10条第1項の場合において建物の滅失があっても、その滅失が特定大規模災害によるものであるときは、政令の日から6か月間は第3者に対抗することができる。
 なお、6か月が経過した後は、借地権者がその建物を特定するために必要な事項等を土地の上の見やすい場所に掲示する時は、政令の日から起算して3年間は借地権を第3者に対抗することができることになった。(第4条)
 なお、借地借家法10条2項は第三者に2年間対抗できるとなっている。

地主が借地権の譲渡又は転貸に反対している場合

 特定大規模災害で建物が滅失していても借地権を譲渡又は転貸することができるようになった。ただし政令施行から1年以内借地人は裁判所に申し立てを行なえば、地主が譲渡・転貸に反対していても、裁判所が地主に変わって朱諾する規定が設けられた。(第5条)

従前借家人への通知制度

 特定大規模災害で借家人が借りている建物が滅失した場合、従前の賃貸人がその敷地上に新たに建物を築造し、または築造しようとする場合、政令施行の日から3年以内にその建物の賃貸借契約の締結を勧誘しようとするときは、賃貸人は従前の賃借人のうち知れている者に対し、遅滞なくその旨を通知する義務が生まれる(第8条)。

 

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