東京・台東借地借家人組合1

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借家の立退き交渉 (東京・大田区)

2009年03月31日 | 建物明渡(借家)・立退料

 昨年9月組合事務所を尋ねて来たAさんは、居住する大田区久が原*丁目所在の木造瓦葺2階建共同住宅の建物の老朽化を理由に、建替えるからと明渡しを請求され、家主が不動産業者を連れて来て立退料5万円を提示し、印鑑を押すようにと強要されたが拒否して頑張っているということだった。

 約16・5平方メートルの部屋を月額4万円の家賃と管理費1000円で借りているが、1ヵ月程度の立退料では、移転は出来ないのは明らかにも関わらず、この現実を考慮せずに補償内容が他の賃借人に波及することをいやがる家主とこの家主に追随する業者の説得が課題だった。

 Aさんは組合に一任したと伝え、業者との交渉となった。業者を理解させて渋る家主の同意を得るのに5ヵ月を経過。この間の家主の厭味三昧に負けず、Aさんは充分納得出来る約25ヵ月分の補償内容で合意し、この程無事移転することが出来た。

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 値上げ請求に対する地代供託が著しく低額のため背信行為ありとされた事例 

2009年03月30日 | 弁済供託

 判例紹介

 値上げ請求に対する地代供託が著しく低額である場合、背信行為ありとして、契約解除を認めた事例 (千葉地裁昭和61年10月27日判決、判例時報1238号)

 (事案)
 賃借人は昭和37年10月木造建物所有を目的として借地した。昭和43年4月の地代は坪当り月額90円であったが、昭和45年3月頃、120円に上げるよう請求を受けた。賃借人が断ると地主は、90円の地代受取を拒否したため、90円で供託を始めた。その後もずっと、90円で供託していたところ、地主は、昭和59年12月19日、無断増改築と、地代供託が低額すぎることを理由に、契約解除の通知をしてきた。


 (判決)
 借地法12条2項は、賃料の増額請求がなされても、当事者間に協議が整わないときは、借地人は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、「相当と認める地代」を支払えばよい旨規定している。「相当と認める地代」とは、客観的適正額ではなく、原則として、「借地人が相当と認める地代」出よいと解される。しかし、「借地人が相当と認める地代」でよいといっても、その額がいくらでもよい、というわけではなく、その額が特段の事情もないのに従前の地代額よりも低い額であったり、適正地代額との差があまりに大きいとき等には、債務の本旨に従った履行という評価をすることができず、背信行為ありとして契約解除の効力を認めるべき場合もあり得る。

 本件についてみると、賃借人は昭和45年より15年間に亘って坪90円で供託を続けているが、昭和48年の時点で右供託金額は、地代家賃統制額坪当り349円の4分の1という著しい低額であることが認められる。非常に長い期間に亘って一見して「著しい低額」であると認識しうべき金額を漫然と供託しつづける賃借人の態度は、、常識を欠いたものである。地主においても、昭和46年8月に市川簡易裁判所に対し賃料増額調停を申立たものの、何等の成果も見られないまま取下げ、以後増額請求裁判を提起する等の行為に出ていないのは、落度として非難に値しようが、そのことを考慮に入れても、尚、賃貸借関係に要求される信頼関係が破壊されたものというほかない。


 (短評)
 紛争が長引いていると、供託額が据え置かれることになりやすい。
 著しい低額で供託をすると、本件のような問題が発生する。公租公課を調べながら、供託額の見直しを適宜行う必要がある。

 判決の一般論はやむ得ないとしても、「著しい低額」の判定基準に地代家賃統制令による地代額をもってきている点は、問題である。適正地代が統制地代額以下であることは、珍しいことでも何でもない。

(1987.08.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 参考法令
 借地法
第12条
 地代又ハ借賃カ土地ニ対スル租税其ノ他ノ公課ノ増減若ハ土地ノ価格ノ昂低ニ因リ又ハ比隣ノ土地ノ地代若ハ借賃ニ比較シテ不相当ナルニ至リタルトキハ契約ノ条件ニ拘ラス当事者ハ将来ニ向テ地代又ハ借賃ノ増減ヲ請求スルコトヲ得
 但シ一定ノ期間地代又ハ借賃ヲ増加セサルヘキ特約アルトキハ其ノ定ニ従フ

2 地代又ハ借賃ノ増額ニ付当事者間ニ協議調ハサルトキハ其ノ請求ヲ受ケタル者ハ増額ヲ正当トスル裁判ガ確定スルニ至ルマテハ相当ト認ムル地代又ハ借賃ヲ支払フヲ以テ足ル
 但シ其ノ裁判ガ確定シタル場合ニ於テ既ニ支払ヒタル額ニ附則アルトキハ不足額ニ年1割ノ割合ニ依ル支払期後ノ利息ヲ附シテ之ヲ支払フコトヲ要ス

 地代又ハ借賃ノ減額ニ付当事者間ニ協議調ハサルトキハ其ノ請求ヲ受ケタル者ハ減額ヲ正当トスル裁判ガ確定スルニ至ルマデハ相当ト認ムル地代又ハ借賃ノ支払ヲ請求スルコトヲ得
 但シ其ノ裁判ガ確定シタル場合ニ於テ既ニ支払ヲ受ケタル額ガ正当トセラレタル地代又ハ借賃ヲ超ユルトキハ超過額ニ年1割ノ割合ニ依ル受領ノ時ヨリノ利息ヲ附シテ之ヲ返還スルコトヲ要ス

 

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【判例紹介】 20年に亘り著しく低額な地代の供託によって契約解除された事例

2009年03月27日 | 弁済供託

 判例紹介

 地主から地代増額請求に対し20年に亘り著しく低廉の供託をしていたことなどが、地主・借地人の信頼関係を破壊したとして契約解除が認められた事例 横浜地裁昭和62年12月11日判決、判例時報1289号)


 (事案)
 判決の認定事実は次のとおり。
 ①地主Xと借地人Yとの借地契約は昭和25年に開始。41年に1坪当り月額10円、42年以降は公租公課の増減・近隣状況を勘案して協議の上定めるとの調停が成立、しかしこの協議がうまくいかずYは43年から供託。

 ②この借地の適正賃料は、55年が224円、56年が254円、57年が284円、58年が302円、59年が308円、60年が314円である。

 ③Yの供託額は、右の期間公租公課の1・1倍以内にとどまり、しかし56年、57年度は公租公課にもみたず、②の適正賃料額の28~36%程度にしかすぎない。収益は1坪当り1か月3円にも満たない。
 ④Yは公租公課の額を知っていたと推認されるし、借地上建物に抵当権を設定しているところからからするとこの土地の価格も知っていた。
 ⑤Yは供託後49年まで協議の申入れはしていない。49年、57年に協議の申入れをしたが、それは従前の差額地代の免除、土地所有権と借地権の交換を内容とするものであり、それまでの供託状況に照らすと必ずしも協議可能とはいえない。長期供託の原因はYの側は少なからず存在する。


 (理由)
 (1)「一般的に相当額の供託とは主観的なそれで足り、右主観的な相当額とは従前賃料の供託で足りると解されているが、右供託額は適正賃料額に比して著しく低額であるときにはその供託は借地法12条2項にいう「相当額の供託」とはいえないものと解するのが相当である」。前記③の供託額は②の適正賃料額に比し著しく低く、「右供託は不当なものである」。
 (2)このことを前記①、④、⑤の事実に見られるように「借地人Yは20年間に亘り不相当に低額の供託を漫然と続けていること、さらにYにおいてかかる定額の供託であることについて認識があったこと、ないし認識の可能性のあったことなどからすると、XとYとの借地契約における信頼関係は破壊されてたものと言わざるを得ない」。よって、契約解除は正当な権利行使である。


 (感想)
 判決文を一読した限りでは、地主・借地人とも供託解消に向けてそれほど積極的だったとは思われない。⑤の事実認定はやや地主側の肩を持ってたという印象。地代に関してはその支払義務者である借地人どうしても厳しい目が注がれる。借地人としては「(イ)20年間(つまり長期間)に亘り、(ロ)不相当に低額の供託を、(ハ)漫然と続けている」といわれないように、とくに(ロ)と(ハ)については組合などの専門家の助言を受けることが大切。

(1989.06.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 


 

 参考法令
 借地法
第12条
 地代又ハ借賃カ土地ニ対スル租税其ノ他ノ公課ノ増減若ハ土地ノ価格ノ昂低ニ因リ又ハ比隣ノ土地ノ地代若ハ借賃ニ比較シテ不相当ナルニ至リタルトキハ契約ノ条件ニ拘ラス当事者ハ将来ニ向テ地代又ハ借賃ノ増減ヲ請求スルコトヲ得
 但シ一定ノ期間地代又ハ借賃ヲ増加セサルヘキ特約アルトキハ其ノ定ニ従フ

2 地代又ハ借賃ノ増額ニ付当事者間ニ協議調ハサルトキハ其ノ請求ヲ受ケタル者ハ増額ヲ正当トスル裁判ガ確定スルニ至ルマテハ相当ト認ムル地代又ハ借賃ヲ支払フヲ以テ足ル
 但シ其ノ裁判ガ確定シタル場合ニ於テ既ニ支払ヒタル額ニ附則アルトキハ不足額ニ年1割ノ割合ニ依ル支払期後ノ利息ヲ附シテ之ヲ支払フコトヲ要ス

 地代又ハ借賃ノ減額ニ付当事者間ニ協議調ハサルトキハ其ノ請求ヲ受ケタル者ハ減額ヲ正当トスル裁判ガ確定スルニ至ルマデハ相当ト認ムル地代又ハ借賃ノ支払ヲ請求スルコトヲ得
 但シ其ノ裁判ガ確定シタル場合ニ於テ既ニ支払ヲ受ケタル額ガ正当トセラレタル地代又ハ借賃ヲ超ユルトキハ超過額ニ年1割ノ割合ニ依ル受領ノ時ヨリノ利息ヲ附シテ之ヲ返還スルコトヲ要ス

 

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【判例紹介】 家賃増額請求で長期間著しく低額の供託継続で契約解除された事例

2009年03月26日 | 家賃の減額(増額)

 判例紹介

 家賃増額請求に対し、長期間にわたり、著しく低額の供託を継続していたことが信頼関係を破壊するとして、賃料不払を理由とする賃貸借契約の解除が認められた事例 横浜地裁平成元年9月25日判決、判例時報1343号71頁以下)


 (事案)
 昭和35年1月19日、本件建物について、家賃月額1000円の建物賃貸借契約が結ばれた。
 その後、家主は、物価及び本件建物敷地の地代の上昇(昭和56年4月分の本件建物敷地相当分の地代は月額5982円であった。)等を理由として、昭和56年5月分以降月額2万円へ家賃の増額請求をした。

 ところで、家主は、本件建物賃貸借契約当初から家賃の増額を求めていたが、借家人はこれに応じず、昭和54年4月分から、月額2000円を供託しており昭和56年5月分からの増額請求にも応じず、引続き月額2000円を供託している。

 そこで、家主は、借家人が8年余にわったて、適正賃料額の1割にも満たない著しく低額の賃料の供託を継続したことが信頼関係を破壊するものと主張して、本件建物明渡を請求した。


 (判示)
 裁判所は、「本件建物の適正家賃額は昭和56年4月当時、少なくとも家主の増額請求額の月額2万円であり、これに対し、被告の供託賃料額は、10分の1と著しく低額である。

 たとえ借家人が主観的に相当と認める額であっても、従前の賃料より、定額であったり、適正賃料額に比べて著しく低額である場合には、その供託を相当額の供託ということはできず、したがって、債務の本旨に従った履行と評価することはできないものといわなければならない。

 これを本件について見るに、被告のした供託は、適正賃料との差が著しく大きく極めて低額であるから、相当性がないものといわざるをえず、これを債務の本旨に従った履行ということはできない。」と判示した。


 (短評)
 借家法第7条2項本文は、賃料増額について当事者間に協議が調わない場合には、借家人は増額を正当とする裁判が確定するに至るまで、「相当ト認ムル借賃」を支払えば足りるとし、右の「相当ト認ムル借賃」とは、同項但書の趣旨に照らし、原則として借家人が主観的に相当と認める額でよく、必ずしも、客観的な適正賃料額に一致する必要はないと解されている。

 しかしながら、右支払家賃額が著しく低額のときは、賃料としての対価性がないといわなければならない。

 賃料増額をめぐって長期間供託している場合、しばしば著しく定額になることがあるので、随時見直し、増額供託する等注意する必要がある。 

(1990.07.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 


 

参考法令
 借家法
第7条
 建物ノ借賃カ土地若ハ建物ニ対スル租税其ノ他ノ負担ノ増減ニ因リ、土地若ハ建物ノ価格ノ昂低ニ因リ又ハ比隣ノ建物ノ借賃ニ比較シテ不相当ナルニ至リタルトキハ契約ノ条件ニ拘ラス当事者ハ将来ニ向テ借賃ノ増減ヲ請求スルコトヲ得
 但シ一定ノ期間借賃ヲ増加セサルヘキ特約アルトキハ其ノ定ニ従フ

 借賃ノ増額ニ付当事者間ニ協議調ハサルトキハ其ノ請求ヲ受ケタル者ハ増額ヲ正当トスル裁判ガ確定スルニ至ルマデハ相当ト認ムル借賃ヲ支払フヲ以テ足ル
 但シ其ノ裁判ガ確定シタル場合ニ於テ既ニ支払ヒタル額ニ不足アルトキハ不足額ニ年1割ノ割合ニ依ル支払期後ノ利息ヲ附シテ之ヲ支払フコトヲ要ス

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地代減額請求調停で10%値下げ (大阪・東大阪市)

2009年03月25日 | 地代の減額(増額)

 大阪府東大阪市末広町の15世帯の借地人は、10年以上も前から地主の請求する地代を2年に1度坪月当たり100円の増額を無条件に応じてきました。

 2008年3月借地人の中で地代があまりにも高いのではないかと調べてみると、地価は下落し、固定資産税は減額され、周辺の地代に比べると倍額以上の高い地代を払い続けていることがわかりました。

 とりわけ、固定資産税が毎年減額されているにもかかわらず2年毎に大幅な値上げは不当で、しかも税額の11倍にもなっていることから地代の値下げを地主へ申し入れ、再三再四話合いで解決するよう申し入れましたが全面的に拒否され、08年9月東大阪簡裁へ減額請求の調停を申し立てました。

 簡裁の窓口では、減額調停の申立てに対して、借地人へ難ぐせをつけなかなか受理しようとしませんでした。

 借地人の役員が中心になり、簡裁へ調停申立ては、借地人の権利だと強く申入れ、10月になって調停が開始されました。

 地主は、不動産鑑定の結果、減額の合理的根拠はないとの減額請求を拒否してきましたが、借地人側は、周辺の地代の実態調査を地図にしたり、固定資産税の負担の推移や地代と税負担の割合、最高裁の継続地代適正な基準の指針(公租公課の2~3倍)などを資料にし、簡裁へ提出しました。

 当初、減額などについて毛頭考えていなかった調停委員は、資料を見るや「これは参考になる」と一変して借地人の減額請求の合理性に理解を示しました。

 2008年12月の第3回調停で「今年1月分から現行地代の1割を減額する」との和解案を示し、2月18日に和解が成立しました。

 この和解によって、15世帯全体で年額約60万円の地代が減額される成果を上げました。また、地代値下げ交渉の中で、更新料支払いの特約を解消し、今後更新料は請求しないとの確認書を地主が提出し大きな成果を上げたと15世帯の借地人は大喜びです。

 役員のTさんは「借地人が団結することによって得られた成果であり、大借連や弁護士さんの支援がなかったらこんな大きな成果をあげることはできなかった」と語っています。

 

全国借地借家人新聞 より

 

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【判例紹介】 建物の隣人との間にトラブルがあることについての不動産仲介業者の説明義務

2009年03月23日 | 仲介手数料・不動産業者とのトラブル

 判例紹介


 本件は、購入した建物について隣人との間にトラブルがあることを買い主に説明しなかった不動産仲介業者に、説明義務違反があったとして、不動産の価値下落分(売買代金の2割)の損害賠償が認められた事例である。(大阪高等裁判所平成16年12月2日判決 『金融・商事判例』1223号15ページ(上告後和解))



事件の概要
X(原告):建物の買い主(消費者)
Y(被告):不動産仲介業者
A(被告):建物の売り主(2人の個人)
B(関係者):不動産仲介業者
C(関係者):購入する土地の隣接地に住む者(個人)

 XとAとの間において、平成14年3月16日に、Aが所有する建物およびその敷地である土地を代金2280万円でXに売り渡す旨の契約が成立した。Xは、この建物を居住の目的で購入したものである。この売買契約は、いずれも宅地建物取引業者であるYおよびBの仲介で成立した。Yは、Aとの間の媒介契約に基づいてAのために売買の成立に尽力することとなったものであり、また、Bは、Xとの間の媒介契約に基づいてXのために売買の成立に尽力することとなったものである。

 Aは、平成11年10月に、この事件の土地と建物を購入した。その際、引っ越しの翌日に、隣地に住むCから、「子どもがうるさい」などと苦情があり、さらに洗濯物に水をかけられる被害があった。Xについても、売買契約締結後に、建物を訪れた際に、Cから、「あんたのガキうるさいんじゃ!」「Aみたいに追い出したるわ!」などと言われる事態となり、引っ越しを断念した。また、Yの従業員は、平成14年3月3日に、Xではない購入希望者とともに建物を内覧したことがあったが、やはりCが「うるさい!」と苦情を言い、購入話が流れていた。

 このような経緯から、Xが、Cとのトラブルがあるため建物が居住の用に耐えないとし、Yに対し、YのXに対する説明義務違反があったことを理由として、不法行為に基づく損害賠償請求として2800万円余の請求をしたのが、この事件である。第一審判決はXの請求を棄却した。これに対し、控訴審判決は、Yの説明義務違反により不法行為が成立することを認めた。ただし、Xの被った損害については、Cの存在による不動産の価格の低下を売買代金の2割相当であるものと認定し、その限度においてXの請求を認容している。

 

理由
 Yは、宅地建物取引業者として、売り主たるA両名の依頼により本件土地売買契約の仲介を行うに際し、買い主たるXに対して、本件売買契約における重要な事項について説明すべき義務を負う。そして、宅地建物取引業法35条1項は、一定の重要な事項につき、宅地建物取引業者に説明義務を課しているが、宅地建物取引業者が説明義務を負うのは同条所定の事項に限定されるものではなく、宅地建物取引業者は、購入希望者に重大な不利益をもたらす恐れがあり、その契約締結の可否の判断に影響を及ぼすことが予想される事項を認識している場合には、当該事項について説明義務を負うと解するのが相当である(宅地建物取引業法47条1項1号参照)。

 Xのように、土地建物を家族とともに居住する目的で購入しようとする者が、当該建物において平穏に居住することを願うことは当然であるから、当該建物の隣人から迷惑行為を受ける可能性が高く、その程度も著しいなど、当該建物において居住するのに支障を来す恐れのあるような事情がある場合には、そのような事情は当該建物を購入しようとする者に重大な不利益をもたらす恐れがあり、その契約締結の可否の判断に影響を及ぼすことが予想されるというべきである。したがって、居住用不動産の売買の仲介を行おうとする宅地建物取引業者は、当該不動産の隣人について迷惑行為を行う可能性が高く、その程度も著しいなど、購入者が当該建物において居住するのに支障を来す恐れがあるような事情について客観的事実を認識した場合には、当該客観的事実について説明する義務を負うと解するのが相当である。

 

解説
 住宅の購入に際し、近隣の環境がどのようになっているか、ということは買い手にとっての関心事の一つであり、とりわけ隣接して居住する者が問題のある言動を繰り返すことで生活の平穏が脅かされることになるとすると、それは、法的な問題として取り上げなければならないものとなる。具体的には、不動産の取引に関与した宅地建物取引業者の説明義務違反の責任が、まず問題となる。

 もっとも、宅地建物取引業者の責任といっても、いくつか注意をしておかなければならない問題がある。(1)宅地建物取引業法が必要としている重要事項説明の明示事項の中に隣人の言動などが掲げられてはおらず(宅地建物取引業法35条1項参照)、しかも(2)重要事項説明をするべきものとされているのは宅地建物取引業者自身ではなく、そこに置かれている宅地建物取引主任者であり、また、そもそも(3)重要事項説明を怠るという行政取締法規違反が直ちに民事責任を肯定する決め手となるものではなく(宅地建物取引業法35条の重要事項説明義務違反に基づく行政監督処分を受ける可能性について同法65条2項2号)、また、(4)業者が売り手と買い手のどちらをサポートする立場にあるか、も一応は検討を要する。

 これらの理論的な諸障害のうち、まず(1)は、宅地建物取引業法35条1項の柱書(注1)に「少なくとも」とあるから、法文に明白に掲げられていなくても当事者が重視をする事項であることが事案の経過に即して明らかであるならば、説明の義務が肯定されるべきである。

 (2)は、法律上は別のものであるにしても、宅地建物取引業者とそこに置かれている宅地建物取引主任者は、一体として考えるべきである。いちいち履行補助者とか使用者責任のような法律的構成を挟まなくても、両者を区別せずに論じられることは少なくない。

 (3)は、たしかに行政取締法規違反と民事責任は理屈のうえで別であるとしても、後者を判断するうえで、重要事項説明義務違反ということがもつ意味は重い。

 そして、そのことは、(4)の業者の関与の態様の論点にも関係する。売り手との間で媒介契約を結び売り手をサポートする業者を元付といい(この事件のY)、同じく買い手側の業者を客付という(この事件のB)が、問題は、重要事項説明をめぐるトラブルが、しばしば買い手からみて直接の契約関係にない元付との間で起こることである。そこでの不法行為責任を考えるに当たり、しかし判例は、この点について、専門家としての責任を加味した「業務上の一般的注意義務」(最高裁昭和36年5月26日判決(参考判例3)(注2) として、決して軽くはないものとしてとらえている。この事件もまた、専門家責任を認める方向での事例を一つ加えるものにほかならない。

 なお、本件は、売り主が事業者でないから、たとえ近隣事情が消費者契約法にいう重要事項に当たる場合であっても、同法に基づいて契約を取り消すことはできない。仮に売り主が事業者であった場合には、重要事項について、元付業者による不利益事実の不告知があり、これによって消費者が誤認して売買契約が締結されたならば、買い主たる消費者は、消費者契約法4条2項・5条に基づき売買契約を取り消すことができる(松本恒雄・畔柳達雄・高崎仁著『Q&A消費者契約法解説』(平成12年、三省堂)、21ページ松本恒雄氏のいう「不動産仲介業者が、分譲業者の委託を受けて、消費者に新築マンションの販売を媒介する場合」と同じ)。

 なお、この場合の元付業者・売り主間の媒介契約を買い主は取り消すことができないことが強調されることがあるが〔経済企画庁国民生活局消費者行政第一課編『逐次解説 消費者契約法』平成12年、商事法務研究会、121~124ページ〕、むしろ重要であるのは、この事件でも問題とされている買い主から元付業者に対する損害賠償請求の可能性である。


 
注1
柱書:「号」がある条項のうち各号以外の部分

注2
参考判例(3)において、最高裁は、宅地建物取引業者につき、「直接の委託関係はなくても、業者の介入に信頼して取引をなすに至った第三者一般に対しても、信義誠実を旨とし、権利者の真偽につき格別に注意する等の業務上の一般的注意義務がある」と判示した。

 

参考判例
(1)東京地方裁判所平成7年8月29日判決  『金融・商事判例』1012号27ページ
(2)東京地方裁判所平成9年10月20日判決 『判例タイムズ』973号184ページ
(3)最高裁昭和36年5月26日判決『最高裁判所民事判例集』15巻5号1440ページ

 

参照条文
*宅地建物取引業法35条1項(柱書)
「宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(略)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。」


*宅地建物取引業法47条1項1号
「宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
一  重要な事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為 」

 

国民生活センターHPより)

 

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派遣切り労働者の住居 借地借家法で守られている!

2009年03月19日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 全借連が緊急提言

 2009年2月24日
 全国借地借家人組合連合会常任理事会

 派遣・期間雇用者の既存住宅における持続可能な居住の権利提言


 全借連は、2月24日開かれた第7回常任理事会で、派遣・期間切れなどから解雇された労働者が即日住まい失い、路頭にさまようことで住み続けられる権利を失う事態に憂慮し、別項のとおり「派遣・期間雇用者の既存住宅における持続可能な居住の権利」をまとめ、現行法でも居住の権利が守られることを明らかにし、政府と労働者へ居住の権利を守るよう訴えることにしました。

 昨年末、自動車および家電メーカーを中心に大企業は、「派遣切れ」「期間工の雇い止め」を理由にして大量の非正規労働者を一方的に解雇し大きな社会問題となりました。職を失った人々は、大量の非正規雇用を生み出した原因が人権を無視した雇用形態にあり、政治災害であると訴えました。

 そして、住まいを失い雨つゆや風雪に見舞われ路頭にさまよいながら、職と住まいの確保を求めています。

 今年3月末には、このような職を奪われる非正規雇用の人々が約40万人を上まわることが報道されています。

 しかも、「職と居住」を同時に失う事態は、40数年居住の権利を守る運動に取り組んできた全借連がかって経験しなかった非常事態でもあります。

 全借連は、「住まいは人権」のスローガンを掲げて「人間が人間らしく住み続けられる住居を」求めて運動に取り組んできましたが、大量の失業者が同時に住まいを失い居住不安に陥ることを放置することはできません。

 憲法第25条は、「健康で文化的な生活を営む権利」をすべての国民へ生存権として保障しなければならないことになっています。

 今日の事態は、この憲法で保障された居住の権利を軽々しく放棄していたことを示すものです。

 全借連は、このような居住の権利の侵害から、住まいを失った人々、居住不安に脅え生活基盤を失った人々と連帯し、「住まいは人権」として政府へ居住保障を求めて運動を強めていくことを決めました。

 そこで、全借連は、解雇されると同時に住まいも失う人々の居住の権利が現行法の下でも確保されなければならないとの視点から次の事項を訴えます。


   [記]
(1)世界人権宣言・ILO(国際労働機構)の労働者住宅に関する勧告・経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約・第2回国連人間居住会議の「居住の権利宣言」など国際的に認知された「住宅の権利・誓約」の理念を可及的速やかに最大限実行することを政府へ要求する。

(2)居住の安定を前提に、すべての公的賃貸住宅の空家を早期に開放することを、政府と地方自治体及び関係事業主体へ要求する。

(3)民法及び借地借家法・労働基準法・消費者契約法などが適用されることを退去を求められている居住者へ周知徹底することを要求する。

(4)既存契約で住み続けられる具体的な事例については、次のとおりである。

 ①解雇予告期間30日以内は、労働基準法によって居住できる。この間に、住み替え先及び家賃の確保の準備を行なうこと。

 ②派遣会社へ家賃を支払っている場合は、派遣切れになっても、借地借家法により賃借権が継続し既存住宅に住み続けられる。

 ③家賃支払い不能となった場合であっても、民法や消費者契約法などで一定期間住み続けられる。法的手続きによらない限り、強制的に明け渡しや追い出し行為はできない。

 ④賃貸人は、借家の寮を解約する場合居住者へ正当事由が必要であり、その場合であっても6ヶ月前から1年以内に賃貸借契約の解約通知をしなければならない。従って、解雇即日明け渡しにはならない。

 ⑤家賃の支払い資金が確保できない場合は、早急に生活保護制度を活用すること。

 

 

全国借地借家人新聞より

 

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文句を言ってきた地主に「修繕は自由」と工事決行 (東京・台東区)

2009年03月18日 | 増改築・改修・修繕(借地)

 台東区松が谷2丁目で借地している山口さん所有建物の修繕工事は、昨年10月17日に無事に終わった。

 山口さんの今の気持ちは、正直に言って本当にほっとしたの一言である。もう少し時間が経てば、今回の実践を通じ、建物の修繕は借地人の当然の権利だということが実感できるに違いない。そして、今後は地主に対峙しても、諸々の問題でも、自信をもって対応出来るに違いないと確信している。

 山口さんが同じ地主から土地を借りている近所の借地人2名の仲間と一緒に組合に加入したのは昨年3月のことだ。きっかけは地代の問題だったが、それよりも頭に来ていたのは修繕の問題だ。

 地主は雨漏りの修繕や外壁の吹付け等にまで一々文句をつけ怒鳴り散らす。借地人の中には修繕を止めさせられ、修繕を諦めている人さえいる。

 組合加入後は、「借地借家法」の勉強会も何度か行われた。だから、「修繕は自由に行える」ということは頭の中では解っている。しかし、いざ修繕工事の実行となるとやはり不安だった。

 組合役員の励ましを受け、山口さんが修繕工事に取り掛かったのは10月2日だった。案の定、地主がやって来て修繕工事に対して文句をつけた。だが、組合との打合せ通り「総て組合に任せてある」ということで対応し、工事はそのまま続行した。

 翌日、直に組合は地主に厳重抗議を申入れた。その後、工事現場に地主は一度も現われず、修繕工事は15日間で無事に完了した。

 

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建物の老朽化で明渡し請求、補償と期日で希望どおりの合意 (東京・大田区)

2009年03月17日 | 建物明渡(借家)・立退料

 大田区南蒲田*丁目所在、木造2階建共同店舗兼居宅の一角を賃借し、天ぷらの店を営んでいたKさん。高齢のため廃業してしばらくした昨年秋ごろ、建物の老朽化を理由に家主は、建設業者を介して明渡し求めてきた。

 建物の相当古い現実を踏まえて交渉に応じたが、補償金を出し渋り、明渡し期日は業者の都合での強制で進行せず、4月や6月の期日を押し付けられる状況となって、相談先が見つかり6月末入会。

 組合は業者に正当性がないにも係わらず、明渡しを求めるならばKさんの希望に応えることが望ましいと伝え、賃料の約30ヵ月分の補償金と明渡し期日は9月末との組合提示の条件で合意した。

 2日間という短時間の交渉で合意に至ったことは、業者が建設工事着工の遅れを懸念したことと、借家人に対するこれまでの対応を反省してのことだろうと思います。

 こんなに早く自分の希望が叶えられてうれしい。「組合はほんとに頼りになる。組合をもっと早く知っていればよかった」とKさんの一言。

 

東京借地借家人新聞より

 

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境界問題は不満だが一応解決 (東京・大田区)

2009年03月16日 | 借地の諸問題

 大田区西蒲田*丁目の借地人のSさんの相談は、隣地の建替えの工事で一部に境界杭がないことがわかり、地主に連絡しても協力が得られないということでした。

 弁護士のアドバイスを得て、法務局から地主が申請した地積測量図を取り寄せる。地主に当時の測量士を尋ねるが死去してると我関知せずの態度。組合の協力で測量士の生存を確認でき相談。測量は隣地の同一借地人に底地売買が目的でした。測量図を見て驚く、19坪がが約2.4坪も狭くなっている。この事実を20数年も知らせなったのです。

 地主は測量士の説得で測量と境界杭入れには立会ったが、費用は負担しなかったのです。地主が責任を放棄したので、Sさんは面積減少の不満を押えて、権利を守るために杭を入れて境界問題はこの程解決しました。

 しかし、地主は3年前が更新であることを思い出したのか、更新料と地代の増額を不動産業者を介して請求。Sさんは更新料の不払いと、地主の不誠実な態度に厳しく対応する決意をしております。

 

東京借地借家人新聞より

 

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借地面積でトラブル (東京・渋谷区)

2009年03月13日 | 借地の諸問題

 渋谷区本町で66坪を借地しているHさんは、昭和26年に管理人を通じて地代1ヶ月345円を払って土地を借りた。

 昭和30年に地主から建物収去土地明渡しで調停申立てられ、和解をして土地の面積を66坪3合5勺として、借地内の間口4尺5寸、奥行11間93の土地を共用通路とすることを確認した。

 昭和37年に自宅を改築することになり、Hさんの父親が当時地主の管理人に騙されて借地の内の通路部分を地主に返したとして借地面積を54坪で契約してしまった。

 しかし、地代はその後も全く金額も変わらず、Hさんは一貫して66坪で地代を支払いつづけてきた。

 今年に入り地主は貸地部分の測量を行い、Hさんの借地部分を分筆し66・1坪で登記した。

 ところが、最近になって地主は66坪の内以前契約した54坪分以外の12坪は貸していないと主張。54坪で測量しなおすといってきた。

 Hさんが拒否すると、今度は地主は代理人を通してHさんの借地部分の通路に置いてある車を撤去せよ建物を無断で増改築したと因縁をつけてきた。Hさんは嫌がらせに負けず今後も頑張る決意だ。

 

東京借地借家人新聞より

 

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地主が無断で境界杭打 (東京・大田区)

2009年03月12日 | 借地の諸問題

 大田区下丸子*丁目所在の宅地48・51坪を賃借中のMさんは、今年11月の更新を控えて地主の突如の地代値上げにも、値上げ額下げさせて応じてた数ヵ月後の6月上旬でした。

 これまで無かった境界杭が何の説明も了承も得ずに打たれていたことに驚き、すでに組合員であったMさんは事務所へ相談にこられた。

 以前道路の調査の際測量士が他の杭等から推測して境界線とした目印の赤線よりも6cmもMさんの占有地に越境していたのです。地主は隣りの借地人が移転し、更地になった土地を不動産業者を介して売買したので杭を打ったとのこと。

 Mさんの抗議に対し、地主から依頼された不動産業者は、更新も近いので悪いようにはしないとか、越境分を金銭で補償したいという。Mさんは、指示どおり目印の所に杭を打ち直さない場合、組合と相談しているので境界確認の訴訟を起こすと伝えると、翌日業者とこの件に関わった測量士がMさんの主張を認めて境界杭を入れ直した。

 Mさんは約3日間の攻防であったが、組合員と知ってから地主・不動産業者等の豹変には驚いたという。

 

東京借地借家人新聞より

 

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更新料払ったばかりなのに、業者から底地買取を強要 (東京・世田谷区)

2009年03月11日 | 地上げ・借地権(底地)売買

 世田谷区松原*丁目で昭和40年代から37・5坪を借地しているPさんは、地主から今年1月8日付で挨拶状が届いて大変驚いた。

 地主が相続税を滞納し、利子を含め現在13億340万円にも達し、平成6年には当時の大蔵省から抵当権が設定。困った地主は不動産業者に相談。挨拶状は業者と取引のある底地買取専門業者に土地を一括売却するか、個々に買い取るか選択を迫る内容だった。

 先日、不動産業者から呼び出され底地を買取るよう強要された。Pさんは、昨年暮に更新料を支払って更新したばかり、買取なんか考えられなかった。隣家の方にも話し、2人で組合に入会し一緒に頑張ることになった。

 

東京借地借家人新聞より

 

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更新料の支払を拒否すると地主が調停に (東京・豊島区)

2009年03月10日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 豊島区上池袋で借地している上島さんは今年、20年の更新を迎えた。

 20年前に更新したときにはバブルが崩壊しはじめた直後でもあり、上島さんは、地主の言うとおりに地代の値上げや、借地契約にない地主の言うところの更新料(当方はそのような認識ではない旨主張)の支払いに応じてしまった。

 地主は、昨年夏に、更新料の支払い(200万円)と地代の一割以上の値上げを請求してきた。上島さんは、更新料については特段の約束もないものについては支払う義務がないという昭和53年()の最高裁の判決を示し、支払う意思のないこと又、地代についても固定資産税など公租公課の約5.5倍の地代であることから値上げも拒否することを通知した。その後、何回かの話合いを行ったが、双方の主張は平行線のままだった。

 今年に入り、地主は調停にかけてきた。上島さんは、調停の場でも地主の数字の間違いなどずさんな請求に対してきちんと資料を提供し説明した。調停委員もその資料のコピーを申出るなどしていたが、調停委員は、最終的にはいくらかでも更新料を支払ったほうが今後裁判なると大変だといって合意するよう圧力をかけてきた。しかし納得のいかない上島さんはあらためて最高裁の判決を提示してこの調停を不調に終わらせるように頑張ることにした。

 

東京借地借家人新聞より

 


 


最高裁昭和53年1月24日判決
  「建物所有を目的とする土地賃貸借契約における賃借期間満了に際し賃貸人の一方的な請求に基づき当然に賃借人に賃貸人に対する更新料支払義務を生じさせる事実たる慣習が存在するものとは認められない」

 

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地上げ屋が土地を買ったといって訪問してきた (東京・品川区)

2009年03月09日 | 地上げ・借地権(底地)売買

 品川区東大井*丁目で借地をして商売をしているMさん宅に突然地上げ屋が訪れた。

 「今度、自分たちの会社が土地を買ったので、地代は会社に支払え」と言ってきた。

 本当に、地上げ屋の会社が土地を買ったのかどうかを法務局で調べたところ、土地の所有権は今まで通り従前の地主のままであった。Mさんは隣りのHさんにも組合を紹介し、組合に加入してもらった。

 MさんとHさんは土地の所有権が従前の地主名であり、所有権の移転登記がなされていなから地代は会社には支払えないと通告した。

 地代は従前の地主の銀行口座にいままで通りに支払った。Mさん・Hさんは、長年今の場所で商売をやっているので、簡単に移転などできない。

 

東京借地借家人新聞より

 


 

  参考記事地代を誰に払えばいいのか判らない場合

 

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