東京・台東借地借家人組合1

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改築の定義

2016年07月02日 | 増改築・改修・修繕(借地)

 「改築」の定義は、建築基準法第2条第13号【建築】の項目と共に、昭和28年11月17日付住指発1400号という、旧建設省住宅局が発した通達に規定されている。 

 建築の法令上、「改築」とは、古い建物を壊して、新しい建物を建てることを意味している。但し、建替えることで、建物の用途 が変わらない、あるいは規模・構造が大きく変わらない場合のみ、「改築」という。一般的な住宅の建替えは殆どが「改築」と言われる。

 これに対して、「新築」とは、建築物が無かった敷地に、例えば分譲された土地に、建築物を建てることを意味する。また、建物を建替える場合で、従前の用途と違う、あるいは規模や構造が大きく違う建物を建替えする場合も、「新築」と呼ぶ。

 一戸建ての住宅を壊して、再度一戸建ての住宅を建てれば「改築」、もしアパートを建てることになったら「新築」ということになる。

 それでは、「増築」とは何か。
 一言で言えば、建物の床面積が増大することであり、一般的に言えば、同一建物に建て増しすることを意味する。

 それでは、同一敷地内で、例えば住宅の母屋が既に存在し、「物置」を別棟で新たに建てる場合も「増築」という。

 建築物の新築には間違 いないが、住宅の母屋と新しく建てる「物置」が密接な関係にあり、用途上不可分な関係にある場合、建築法令上は、「増築」という。

 

昭和28年住指発第1400号 改築の定義 昭和28年11月17日
建設省住宅局建築指導課長から国家消防本部総務課長宛
(照会)
改築の定義をされたい。
(回答)
改築とは、建築物の全部若しくは一部を除却し、又はこれらの部分が災害等によつて滅失した後引続きこれと用途、規模、構造の著しく異ならない建築物を建てることをいう。従前のものと著しく異なるときは、新築又は増築となる。なお、使用材料の新旧を問わない。


以上が「改築」の定義です。
改築定義の「一部を除却」とは、建物の一部を完全に除去してしまうことを指し、例えば、柱や屋根がなくなってしまう状態である。なお内部の間仕切を変更すること自体については、上記の通り「改築」の定義がから、「改築」とは言わない。例えば建物内部の間仕切り壁を解体し、間取りを変更する等の建物の外形線が残るような状態は「修繕」または「模様替」(「リフォーム」)に該当する。

 

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【Q&A】 借地の増改築の承諾料は

2013年01月23日 | 増改築・改修・修繕(借地)

(問) 借地上の建物が築後50年経過し、建替えの時期が来ました。建替えの承諾料はどのように計算するのでしょうか。契約書には無断増改築禁止の特約がある場合とない場合でどう違うのでしょうか。また、全面改築でなく増築する場合の承諾料はどのくらいですか。


(答) 借地上の建物を増改築する場合には、土地の賃貸借契約書に「賃借人が本件土地上に所有する建物を増改築する時は事前に賃貸人の書面による承諾を受けなければならない」との条項がある場合には、地主の承諾を得て増改築を行うこと必要です。

 地主が承諾してくれない時や莫大な承諾料を請求され話し合いがつかない時は、借地人は借地借家法第17条に基づき裁判所に増改築の許可の申立てをすることができます。「土地の通常の利用上相当とすべき増改築につき当事者間に協議が調わない時は、裁判所は借地権者の申立てにより、その増改築についての借地権設定者(地主)の承諾に代わる許可を与えることができる。」とされています。

 裁判所が代わって許可する付随処分としては、全面改築の場合で更地価格の3%~5%(註1)、増築の場合には程度に応じて1%~3%の承諾料が増改築の許可の条件になる場合が多いようです(註2)。

 増改築禁止の特約が契約書に一切なければ、地主の承諾は一切必要ありません。なお、土地が借地の場合には金融機関によっては建築資金の融資を受付けないところがありますので注意が必要です。借地の融資条件を改善させることが必要です。

 

東京借地借家人新聞より


(註)は東京・台東借地借家人組合です。

(註1) 建替承諾料の約85%は更地価格の2~5%で許可されている。

(註2) 増築の場合は、建物全面積のうちで増築する部分との面積比を求め、これを全部建替えの場合の原則的給付額に乗じて計算する方法がとられている。増築の規模・態様は、さまざまなので一定していないが、裁判例では更地価格に対する割合をみると、1~3%の範囲で決定されている。そのうち約50%は2%台である。

 木造等の非堅固建物から鉄骨・鉄筋建物等の堅固建物への建替承諾料は、ほぼ更地価格の10%で許可されている。なお、借地契約の残存期間が5年以下の場合は12~13%で許可されている。

 

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非訟手続きで裁判所の建物の建替許可が認められた (東京・大田区)

2012年10月16日 | 増改築・改修・修繕(借地)

 JR大森駅より羽田空港バスで25分余の糀谷地域で、約35坪の土地を賃借し木造平屋建を築造していたAさんは、これまで平穏にお付き合いしていた地主より明渡しを求められて、地代を供託して今年で約37年余の歳月が経過する。係争が長期に渡ると歳月の経過とともに家屋の老朽化が進み、建替えの必要性がAさんに新築を決意させた。

 係争中の地主宅を訪ねるが相続したという地主は移転し移転先は知らされず、人を介しての捜査で移転先を確認した。Aさんは、弁護士に依頼して建物の建替えの非訟手続に着手した。大地主の一族でいろいろと知恵を付けられたのか、地主は弁護士を立てて、建物の朽廃により土地の賃貸契約解除を執拗に主張されるに至る。

 建物の現状確認の現地調査をすることになったが、当日、Aさんと弁護士、組合の役員等が立ち会った。裁判官が到着しても、地主もその代理人の弁護士も姿を見せず、呆れた対応であった。裁判官は異議を述べた地主も弁護士も来ていないのだから調査するまでもなく、契約の継続と建替えが認められた。

 それから10数年地主の連絡はなく、地代の供託は継続している。

 

東京借地借家人新聞より

 

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震災で傾いた建物補修・補強工事を実施し、借地権を守る (東京・足立区)

2011年11月25日 | 増改築・改修・修繕(借地)

 東借連新聞5月号で3月11日の地震で傾いた足立区千住で22坪の土地を賃借しているAさんのその後を報告する。

 一級建築士のBさんのアドバイスで費用の面から3期に分けて工事することになった。前号でも報告したとおり契約書がなく、建物修繕には地主の承諾は必要ないと判断し、B建築士から紹介された業者に依頼して5月第1期工事に着手した。

 工事は1階の開閉扉の上部に新しく梁を渡し、十箇所の柱部分に筋交い構造の壁を設置した。以前は通し柱1本にかかっていた荷重をこの工事で分散でき、B建築士が言うには大きな余震でも倒壊の危険が少なくなり6月中旬第1期工事を完了、9月初旬には第2期工事も完了した。

 Aさんは業者にも恵まれ低価格で施工でき、これで一安心と喜んでいる。

 

東京借地借家人新聞より

 

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【Q&A】 息子名義で借地上建物の建替え

2011年05月25日 | 増改築・改修・修繕(借地)

【問】 私が借地している土地上の建物を息子がローンを借りて建替えることにしました。地主との関係や税金はどうなるのでしょうか。


【答】 息子といえども土地の賃貸借契約上は第三者になりますから、地主との関係では息子さんはあなたから借地権の譲渡を受けるか又貸し(転貸)を受けるかすることになります。いずれの場合も、あらかじめ地主の承諾を得なければなりません(民法612条1項)。

 また、建物を建替えるわけですから、もしあなたと地主との間の借地契約に増改築禁止の特約があれば、やはりこの点についても地主の承諾が必要となります。特約がなければ、自由に改築できるわけですから、借地権の譲渡又は転貸の承諾さえ得ておけば問題はないことになります。

 したがって、まずあなたとしては地主と交渉して、あらかじめ地主の承諾を得るよう努めることが大切です。その際一定の承諾料を要求されるのが普通でしょう。金額は双方の話し合いで決めるべきもので、法律でいくらと規定されているわけではありません。

 地主の承諾が得られないか、金額で話がつかない場合は、承諾に代わる許可を裁判所に求めることができます。その場合、増改築禁止の特約があるときは、借地権譲渡又は転貸許可の申立(借地借家法19条)と増改築許可の申立(借地借家法17条)を併合して申立てることになります。増改築禁止特約がない場合は、借地権譲渡又は転貸許可の申立だけをすることになります。

 地主との関係では、地主の承諾ないし地主の承諾に代わる裁判所の許可を得ないで、勝手に借地権(つまり借地上の建物)をたとえ息子といえども第三者に譲渡又は転貸しますと地主から借地契約を解除される恐れがあります。

 次に税金ですが、通常の個人間の借地権の無償の譲渡、転貸については、普通、贈与税が課税されます。しかし親から子が、その土地を使用貸借によって借受け、その土地に建物を建築した場合には、特例として贈与税はかからないことになっています。

 その場合、その貸借が使用貸借であることを確認するため、「借地権の使用貸借に関する確認書」(様式が決められています)によって、使用貸借による借受者、借地権者、土地所有者がそれぞれ事実を確認し、税務署に提出することになっています。

 

東借連常任弁護団解説

Q&A あなたの借地借家法

(東京借地借家人組合連合会編)より

 

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東日本大震災で家が傾き、耐震補強工事へ (東京・足立区)

2011年05月19日 | 増改築・改修・修繕(借地)

 今回の東日本大震災では足立区でも4月20日現在、罹災証明の申請が557件も出され、その内建物の一部損壊が大多数を占めている 足立借組で現在分かっているだけでも5人の組合員が被害を受けた。一人の組合員は建物には被害がなかったが、隣の公衆浴場の煙突が屈折したため、解体工事で10日間以上もホテルに避難を余儀なくされた。

 こんな中、千住地区で約22坪の土地を賃借しているAさんは、地震で建物が隣のベランダに寄りかかるように傾き、余震の揺れもひどくなった。組合への連絡では、体が絶えず揺れている感じで仕事にも差し障るので修繕を考えているとのこと。

 契約書もないので建物を修繕するのに地主の承諾は必要ないと判断し、組合は直ちに一級建築士のBさんを紹介して建物を診断し、補強箇所を指摘してもらった。

 Bさんからは、このまま放置しておくと大きな余震で道路側に倒壊する可能性が高いので最低限の耐震補強工事が必要とアドバイスを受けた。まもなく業者を選定して工事にかかる予定である。

 

 

東京借地借家人新聞より 

 

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【判例紹介】 増改築禁止特約に違反しても契約解除が認められなかった事例

2011年05月16日 | 増改築・改修・修繕(借地)

判例紹介

増改築禁止特約に違反しても契約解除が認められなかった事例 最高裁 昭和41年4月21日 判決 民集20巻4号720頁】

解説
 増改築禁止特約とは、通常、借地上の建物につき増改築する場合には予め地主の承諾を要し、違反した場合は催告なしで契約解除できるという特約です。このような特約に違反すれば債務不履行(契約違反)として契約の解除が認められそうです。しかし、継続的な契約である借地借家契約においては、賃借人に債務不履行があったとしても、債務不履行の内容が当事者間の信頼関係を破壊するおそれがあると認めるに足りない事情がある場合には、賃貸借契約の解除は認められないとの理論(信頼関係破壊理論)が判例上確立しています。この理論は賃料不払いや無断転借の場合にも採用されています。

事案
 判例の事案は、建物1階の根太(床の下地部分)及び柱を交換し、2階部分を取り壊したうえ、従前より広い2階を増築したというものです。

判決の要旨 
1審では解除が認められましたが、控訴審では、「この程度の修理は家屋の維持保存のため普通のことであるから特約をもってこれを禁止することはできない」とし、2階の増築については「この程度の増築は借地の効率的利用のため通常予想される合理的な範囲を出ない」として特約に基づく解除は認められないとし、最高裁も控訴審の判断を支持しました。

短評
 ところで、この特約は建物の増改築をする場合の特約ですから、工事の内容が建物の維持保全を目的とする修繕工事にとどまるのであれば、増改築禁止特約には違反しません。

 また、増改築禁止特約がある場合で、「土地の通常の利用上相当とすべき増改築につき当事者間に協議が整わないとき」は、裁判所に地主の承諾に変わる許可を求めることができます(借地借家法17条2項、借地法8条の2第2項)。しかし、修繕については地主の承諾に変わる許可が予定されていませんので、修繕工事に地主の承諾を要するとの特約は、上記規定に反する借地権者に不利な特約として無効と解されます(借地借家法21条、借地法11条参照)。

 他方、「修繕」か「増改築」か微妙な場合、まずは地主の承諾を求めて協議し、協議が整わない場合には裁判所に地主の承諾に変わる許可を求めることをおすすめします。

(2011.05.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【Q&A】 改築と承諾料

2011年04月15日 | 増改築・改修・修繕(借地)

【問】 建物が古くなったので建て直したいのですが、地主が莫大な承諾料を要求しています。地主の要求する承諾料を支払わなければ建て直しはできないでしょうか。


【答】 借地契約は、地主と借地人との間の土地を目的物とする賃貸借であり、地主は借地人に対し、土地を有効に使用収益できるようにする義務があります。借地人がその土地上に借地契約の目的に従い、いかなる建物を建築したり、また、その建物の全部または一部を改築したり、さらには、その建物に増築したりすることは、原則として自由です。

 しかし、借地契約において、建物の増改築をする場合は地主の承諾を要するという特約がある場合については、裁判所はこの特約は有効としています。

 ご質問の場合、増改築禁止の特約がなければ、地主の承諾は必要なく、自由に改築できるのです。したがって、承諾料を支払う必要はまったくありません。

 他方増改築禁止特約があったり、そうでなくとも例えば堅固でない建物から堅固な建物に改築するような借地条件を変更する場合には地主の承諾が必要になります。地主があまりにも莫大な承諾料を要求して、到底話し合いの余地がない場合には、裁判所に地主の承諾に代わる改築の許可の手続きを取られたらよいでしょう。

 この手続きは、増改築禁止の特約がある場合は、土地の通常の利用上相当な増改築について、地主の承諾しない場合に認められるもので、裁判所は、その申立に対し、借地権の残存期間、土地の状況、借地に関する今までの経過その他一切の事情を考慮して、当事者間の公平を図るため、必要あるときは、借地内容を変更したり、財産上の給付を命じることによってなされます(借地借家法17条)。

 非堅固建物から堅固建物に改築するような場合も、防火地域の指定や付近の利用状況の変化その他の事情が生じた場合に認められるもので同様な手続きを取ることができます。

 右の借地条件の変更というのは、存続期間を延長したり、あるいは、地代を改定することであり、財産上の給付というのは、承諾料として、いくら支払わせるかということです。裁判所では、増改築許可の場合、普通更地価格の3%の金銭給付を命じており、非堅固建物から堅固建物への条件変更の場合、普通更地価格の10%が命じられています。 

 

東借連常任弁護団解説

Q&A あなたの借地借家法

(東京借地借家人組合連合会編)より

 

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地震で建物に被害が・・・・修繕は地主の承諾は不要 (東京・荒川区)

2011年04月14日 | 増改築・改修・修繕(借地)

 3月11日に発生した東日本大震災で、荒川借組のO・Kさんから次のような地震被害の報告が組合にあった。

 我家は、平屋建てで築60年が経過し、かなりの部分が傷んでいたため、家の外壁が剥がれ落ち、畳の下の床が落ちたり、ドアの開閉も不自由となったり家の中で随所に被害が出てしまった。その後も大小あわせて何回も余震に見舞われ、家が倒壊するのではと落ち着かなかった。

 最近、修繕と耐震補強工事をしなければと思い、念のため借地契約書を確認したところ、修繕するにも地主の承諾を得るよう明記してあったため、組合に相談した。

 組合からは、借地人が家の修繕を行なうことは自由であり、地震で建物が全壊しても借地権は存続し、例え修繕や増改築の禁止条項があっても、倒壊前の借地権の存続期間中は家を建替える権利があり、倒壊前と同様な建物を建てるのであれば地主の承諾は必要としないとのアドバイス受け、速やかに家の修繕を行なった。

 「今後、借地契約期間が満了した時に地主が無断で修繕したことを理由に借地の明渡しを要求してきたとしても、私は堂々闘う決意です」。

 

東京借地借家人新聞より 


参考記事
【Q&A】 大災害時に借地上の建物が滅失

 

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【Q&A】 借地上建物の修繕

2011年04月13日 | 増改築・改修・修繕(借地)

【問】 雨漏りがひどいので、屋根を瓦葺からトタン葺に全面修繕しましたが、地主は無断でやったので、契約違反だから明渡せと言います。どうしたらよいでしょうか。


【答】 借地契約があり、借地関係が続いている間は、地主は借地人に対し、その土地を利用させる義務を有しているのであり、借地人としては、その対価として地代を支払っているのですから、その土地を契約に定めた用法に従って使用収益をすることは何ら差支えありません。

 借地契約における賃借の目的物は土地であり、その上に建っている建物ではないのですから、借地人が土地の形状に著しく変更を与える修繕したような行為をしない限り、建物についてどのような工事をしても、地主に対する保管義務に違反するものではないことは明らかです。

 ご質問のように、借地人が自己所有の建物について修繕したことについて、無断だとか、契約違反だから、明渡せというのはまったくの筋違いです。

 このように、借地人が自己所有の建物について、どのように工事をするかは自由です。そして、借地権が法定更新によって継続するためには建物が存続していることが必要ですから、借地人は普段から建物に手を入れ、良好な状態に維持管理していくことは、借地権を維持していくためにも重要なことです。

 借地人が自己所有の建物について修繕することについては自由なのですが、問題は、借地人が大修繕を加えたがために、今までの建物であれば朽廃の状態に達したであろう時期に、朽廃に達しないという場合です。このケースは、建物が老朽化し、通常の修繕では間に合わず、大修繕をしたような場合をいうのです。

 この問題については借地人が大修繕を加えても、通常加えられるべき程度の修繕を加えてもなお朽廃すべかりし時期に、借地権は消滅するという考え方もあります。

 何もせずに朽廃を待つよりは大修繕により建物の寿命が延びた場合であっても、建物の同一性を失う程度に至らないものの場合、つまり改築にあたらないものである限り、現実に大修繕後の建物が朽廃する時期まで、借地権は存続すると考えるべきです。

 これは、借地法が建物の存続する限りは借地権を存続させようとする趣旨で制定されているものであり、借地法中にも、修繕に関する規定はなく、当然建物の修繕は問題ないものとされていることから理由づけることができます。

 あるいは、地主は契約書に「無断増改築禁止特約」があることを理由に 契約違反を言っているのかもしれません。このような「増改築制限特約」は、借地人の増改築によって借地権の存続期間や建物買取請求がなされたときに、地主に不利益を及ぼす恐れがある可能性があるので、その限りでは合理的な理由があるとして有効とされているのです。

 ご質問の場合は、建物の修繕の域を出ないものであり、増改築に当たるような場合とはいえません。

 

東借連常任弁護団解説

あなたの借地借家法

(東京借地借家人組合連合会編)より

 

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4年前の介護の改修工事に難癖をつけて地代値上げ請求 (大阪・東住吉区)

2010年08月12日 | 増改築・改修・修繕(借地)

 大阪・東住吉区湯里で戦前から借地をしているMさんは、4年前に親の介護のために地主に無断でバリアフリーを確保するために改造したところ、地主から地代を倍額値上げの請求を受けました。あまりに高額なために、家を改造したことを理由にした地代の一方的な値上げに疑問を持ち応じませんでした。

 ところが、地主は隣接の戦前長屋を取得し空き家のまま放置し、その建物の屋根瓦が崩れ、今年の大雨で雨漏りが激しくMさんの住宅の共用の壁から雨水が流れ込みました。

 そこで、地主へ屋根を補強し雨漏りを防ぐよう話し合いを申し入れたところ、地主は弁護士を伴って来訪。4年前の改造したことを口実に地代をさかのぼって値上げするように要求され、話し合いは不調となりました。

 Mさんは、インターネットで大借連を知り相談の結果、このまま放置すれば住宅が朽廃する恐れもあり、弁護士を代理人にして、調停を申立てることを検討しています。

 

全国借地借家人新聞より

 

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地主が改築を妨害 借地非訟手続で建替え許可 (東京・大田区)

2009年06月12日 | 増改築・改修・修繕(借地)

 大田区大森西*丁目所在の宅地面積60㎡を賃借中のNさんは、家屋の建替えの承諾を求めたところ、地主は借地権の買取を提案してきた。

 平成6年の契約更新の際にも同様の問題が提起されて協議に2年の時間を費やした上、地主宅の南側に位置するNさんに対して2階建の建物の建築は認めない言われた過去がある。想定していたことなので直ちに非訟手続に着手した。

 東京地裁は増改築する木造2階建床面積1階47.9㎡、2階44.6㎡に関し、その規模・構造・敷地面積からして、土地の通常の利用上相当と認められる。さらに、隣地に対する影響から許可を不相当とするほどの事情はないして、承諾料を地価の5%と認定して建替えを承諾した。

 

東京借地借家人新聞より

 

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文句を言ってきた地主に「修繕は自由」と工事決行 (東京・台東区)

2009年03月18日 | 増改築・改修・修繕(借地)

 台東区松が谷2丁目で借地している山口さん所有建物の修繕工事は、昨年10月17日に無事に終わった。

 山口さんの今の気持ちは、正直に言って本当にほっとしたの一言である。もう少し時間が経てば、今回の実践を通じ、建物の修繕は借地人の当然の権利だということが実感できるに違いない。そして、今後は地主に対峙しても、諸々の問題でも、自信をもって対応出来るに違いないと確信している。

 山口さんが同じ地主から土地を借りている近所の借地人2名の仲間と一緒に組合に加入したのは昨年3月のことだ。きっかけは地代の問題だったが、それよりも頭に来ていたのは修繕の問題だ。

 地主は雨漏りの修繕や外壁の吹付け等にまで一々文句をつけ怒鳴り散らす。借地人の中には修繕を止めさせられ、修繕を諦めている人さえいる。

 組合加入後は、「借地借家法」の勉強会も何度か行われた。だから、「修繕は自由に行える」ということは頭の中では解っている。しかし、いざ修繕工事の実行となるとやはり不安だった。

 組合役員の励ましを受け、山口さんが修繕工事に取り掛かったのは10月2日だった。案の定、地主がやって来て修繕工事に対して文句をつけた。だが、組合との打合せ通り「総て組合に任せてある」ということで対応し、工事はそのまま続行した。

 翌日、直に組合は地主に厳重抗議を申入れた。その後、工事現場に地主は一度も現われず、修繕工事は15日間で無事に完了した。

 

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【判例紹介】 借地の期間満了が近い時における借地条件変更許可の申立が棄却された事例 (3)

2008年07月10日 | 増改築・改修・修繕(借地)

 判例紹介

 借地非訟事件において、借地権の期間満了が近いときにおける借地条件変更許可の申立が、契約が更新される見込みが確実とは言えず、また緊急の必要性があるとも認められないとして棄却された事例 東京高裁平成5年5月14日決定、判例時報1520号94頁)

 (事案)
 (1)地主Xと借地人Yとの借地契約は非堅固建物(木造建物の類)所有の目的で平成7年3月31日に期間が満了する。

 (2)借地上には、A棟(昭和30年代の建築)、B棟(昭和34年頃の建築)、C棟(昭和39年頃の建築)があった。

 (3)借地はJR池袋駅近くにあり、商業地域、防火地域に指定され、高層ビルが建ち並んでいる。

 (4)借地人Yは、本件借地に近いところに宅地42坪及び同地上に5階建てのビルのうち4階部分を所有し、平成2年6月右C棟からここに転居した。

 (5)Yは、各建物が老朽化したので土地の有効利用を図り、建物の賃貸による収入を得るため、本件借地上に7階建の事務所兼居宅のビルを建築することを計画した。しかし地主Xの承諾が得られなかったため、借地条件変更(非堅固建物所有から堅固建物所有への変更)の許可の申立をした。

 (6)他方地主Xは自己居住地や本件土地等を所有しているが、平成7年3月31日に迫った本件借地の期間満了の際には、更新を拒絶し、土地の有効利用を図るため、ここに賃貸ビルを建築する予定でいる。

 (7)平成4年4月12日、C棟が突然焼失、A棟の1部にも類焼し建物としての効用を失った。A、C棟が借地の大半を占めている。またB棟は外壁などにかなりの老朽化が見られる。

 (決定要旨)
 (1)本件借地契約は、平成7年3月31日には期間が満了し、Xが更新を拒絶することは明らかである。このように期間満了が近い場合に本件申立を容認するためには、条件変更の要件を備えるほか、契約更新の見込みが確実であること及び現時点において申立を容認するための緊急の必要性があることを要するものと解される。

 (2)本件においては、XYとも居住の必要性からではなく、土地を有効利用し賃料収入を得るためビルを建築しようとしていることなど前記(1)から(7)までの事実を総合すると、平成7年の期間満了時において借地契約が更新される見込みが確実とはいえず、これを訴訟で解決することを待てないような緊急の必要性があるとも認められない。よってYの申し立ては理由がない。

 (若干のコメント)
 Yの申し立ては平成3年にされ、東京地裁は平成4年7月30日にこれを容認した。その後高裁に控訴中に前記(7)の火災が発生した。これがYの逆転敗訴に微妙に影響したものと思われる。この高裁の決定要旨(1)は、契約更新見込みの確実性と建築の緊急性の2つを要件とした点に特徴がある。

 これに対し増改築許可の申立の場合には、認容されても期間の延長はないので少し事情を異にするが、期間満了間際の申立には右2点は一応念頭に置いた方がよい。

(1995.06.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 


 

   参考法令 「借地借家法」第17条

 

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【判例紹介】 近い将来契約が満了する場合に借地条件変更の申立が棄却されて事例 (2)

2008年07月09日 | 増改築・改修・修繕(借地)

 判例紹介


 借地契約の存続期間が近い将来に満了する事案において、堅固な建物所有を目的とする賃貸借への借地条件変更の申立が棄却されて事例 東京高裁平成元年11月10日判決、判例タイムズ752号231頁)

 (事案)
 抗告人(地主)の先代は昭和25年7月1日に借地人の先代に、非堅固建物所有の目的で、期間20年の約定で土地を賃借していた。

 借地人先代は昭和25年9月頃建物を建築し、昭和35年にはこれを増築していた。

 本件賃貸借は昭和45年7月に更新され、平成2年6月30日に期間が満了する。

 昭和62年に借地人は既に相当程度老朽している建物を取壊して、鉄筋コンクリート造5階建の居宅兼共同住宅の建築を計画して、条件変更の申立をしていた。

 抗告人(地主)は更新を拒絶する正当事由があるとして争ったが、原審は借地人の請求を認めた。これに対して、抗告審は、原審決定を取消した事案である。

 (判旨)
 「借地契約の存続期間が近い将来に満了する借地契約につき、借地権者(借地人)から堅固な建物所有を目的とするものへの借地条件変更の申立が成された場合において、土地所有者が右存続期間満了の際には契約の更新を拒絶する意向を予め明らかにしているときに、その借地非訟手続において、更新拒絶に正当事由が認められないと判断した上、右借地条件変更の申立を容認しこれに伴って借地権の存続期間を変更の効力発生時から30年の延長するとの形成的処分を行うときは、土地所有者は、対審公開の民事訴訟手続において借地権の存否(更新の成否)の確定を求める途を与えられないまま、実際上極めて長期間にわたり借地を回復し得ない結果となるから、現時点において、将来の更新の見込みが確実であるといえる場合であるか、更新の成否について本案訴訟による確定を待つことなく、借地条件を堅固な建物所有を目的に変更しなければならない特段の事情の存する場合でない限り、右借地条件変更の申立を容認するのは相当でない、と解される。」

 (寸評)
 判旨は、従来からの実務の実勢に添ったものであり異論はないと思われる。但し、更新拒絶の正当事由の存否の判断が、微妙な事案についてすべて本案の判決を待たなければならないというべきか、検討を要するところである。

 非訟手続の申立によって、更新をくぐり抜けるという方法に問題があることを指摘するために本判例を紹介した。

(1992.02.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 


 

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