東京・台東借地借家人組合1

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【Q&A】 父親名義の借地に息子名義の建物を建てとどのような問題が生ずるか 

2005年08月09日 | 借地の諸問題

 (問) 借地契約の名義は父です。新築の建物は銀行融資の関係で息子である私の名義にしようと思っていますが、何か不都合がありますか。


 (答) 「借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる」(借地借家法第10条1項)。

 借地上の建物につき、借地人が登記をしておけば、土地の所有者が代わっても新所有者に対し、自分の借地権を主張できるので借地の明渡しを求められることはない。この建物登記が借地人本人の所有名義でなされていれば問題はない。

  だが、相談者の場合のように建物登記を長男名義にしなければならない場合も出てくる。また、借地人の死後の相続問題を顧慮して、借地上建物の登記名義を予め妻子名義にしておく場合もある。その場合、借地権を第三者(土地の新所有者)に対抗(主張)出来るのかという問題がある。

 従前は
①長男名義の建物登記(東京地裁1951年2月2日判決)、
②母名義の建物登記(同1952年6月5日判決)、
③未成年の子を名義とする建物登記(東京高裁1954年5月11日判決)、
に関しては第三者に対抗(借地権を主張)できると判断されていた。

 しかし、最高裁(大法廷)は、借地人が同居の長男名義で建物の登記をした場合について「地上建物を所有する賃借権者が、自らの意思に基づき、他人名義で保存登記をしたような場合に、当該賃借権者は、その賃借権を第三者に対抗する事はできない」(昭和41(1966)年4月27日判決・最高裁判所民事判例集20巻4号870頁)とした。
 このような登記は実質上の権利(建物所有権)と符合しない無効の登記であるからとして、その借地権の対抗力を否定した。1審・2審の借地人勝訴の判決を破棄し、借地人に建物収去・土地明渡を命じた。

 なお、最高裁大法廷の裁判官15名中6人の裁判官は、このような建物登記であっても借地権の対抗力は認められるべきという反対意見述べた。

 最高裁の多数意見の考え方には、<本来借地権の対抗要件は借地権自体の登記である。しかし、借地権の登記に際して地主の協力が得られない場合が殆どなので、例外的に借地人が自身の建物を登記をすれば、借地権の対抗要件として認めるというという代用的制度(借地借家法10条1項)である。このような例外的な制度なので、登記簿上の登記は実質的権利関係を正確に表示するものであり、その適用範囲は厳格に解釈しなければならないという建前論がある>。

 その後も最高裁は、
①妻名義の登記(昭和47(1972)年6月22日判決)、
②子名義の登記(昭和50(1975)年11月28日判決)、
③義母名義の登記(昭和58(1983)年4月14日判決)、
について大法廷判決の趣旨に従い終始一貫、借地権の対抗力を否定し続けている。

 こういう厳格な判例があるということを承知しておかないと危険である。最高裁の判例の変更がない限り、安全を期すのであれば、借地人としては、借地名義と借地上の建物名義を一致させる努力は必要である。

 結論としては、借地名義と一致しない家族名義の建物登記では第三者には対抗できないので、裁判になれば、最悪の場合、借地人は建物取壊し、土地明渡を命ぜられる危険がある。

 

 

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