東京・台東借地借家人組合1

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【Q&A】 父親名義の借地に息子名義の建物を建てとどのような問題が生ずるか (再)

2014年10月30日 | 借地の諸問題

 (問) 借地契約の名義は父です。新築の建物は銀行融資の関係で息子である私の名義にしようと思っていますが、何か不都合がありますか。


 (答) 「借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる」(借地借家法第10条1項)。

 借地上の建物につき、借地人が登記をしておけば、土地の所有者が代わっても新所有者に対し、自分の借地権を主張できるので借地の明渡しを求められることはない。この建物登記が借地人本人の所有名義でなされていれば問題はない。

   だが、相談者の場合のように建物登記を長男名義にしなければならない場合も出てくる。また、借地人の死後の相続問題を顧慮して、借地上建物の登記名義を 予め妻子名義にしておく場合もある。その場合、借地権を第三者(土地の新所有者)に対抗(主張)出来るのかという問題がある。

 従前は
①長男名義の建物登記(東京地裁1951年2月2日判決)、
②母名義の建物登記(同1952年6月5日判決)、
③未成年の子を名義とする建物登記(東京高裁1954年5月11日判決)、
に関しては第三者に対抗(借地権を主張)できると判断されていた。

 しかし、最高裁(大法廷)は、借地人が同居の長男名義で建物の登記をした場合について「地上建物を所有する賃借権者が、自らの意思に基づき、他人名義で保存登記をしたような場合に、当該賃借権者は、その賃借権を第三者に対抗する事はできない」(昭和41(1966)年4月27日判決・最高裁判所民事判例集20巻4号870頁)とした。
 このような登記は実質上の権利(建物所有権)と符合しない無効の登記であるからとして、その借地権の対抗力を否定した。1審・2審の借地人勝訴の判決を破棄し、借地人に建物収去・土地明渡を命じた。

 なお、最高裁大法廷の裁判官15名中6人の裁判官は、このような建物登記であっても借地権の対抗力は認められるべきという反対意見述べた。

  最高裁の多数意見の考え方には、<本来借地権の対抗要件は借地権自体の登記である。しかし、借地権の登記に際して地主の協力が得られない場合が殆どなの で、例外的に借地人が自身の建物を登記をすれば、借地権の対抗要件として認めるというという代用的制度(借地借家法10条1項)である。このような例外的 な制度なので、登記簿上の登記は実質的権利関係を正確に表示するものであり、その適用範囲は厳格に解釈しなければならないという建前論がある>。

 その後も最高裁は、
①妻名義の登記(昭和47(1972)年6月22日判決)、
②子名義の登記(昭和50(1975)年11月28日判決)、
③義母名義の登記(昭和58(1983)年4月14日判決)、
について大法廷判決の趣旨に従い終始一貫、借地権の対抗力を否定し続けている。

 こういう厳格な判例があるということを承知しておかないと危険である。最高裁の判例の変更がない限り、安全を期すのであれば、借地人としては、借地名義と借地上の建物名義を一致させる努力は必要である。

 結論としては、借地名義と一致しない家族名義の建物登記では第三者には対抗できないので、裁判になれば、最悪の場合、借地人は建物取壊し、土地明渡を命ぜられる危険がある。

 

 

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【Q&A】 借地契約が終了した場合、借地人は地主に借地上建物を強制的に売りつけることが出来る(再)

2014年09月27日 | 借地の諸問題

 更新拒絶で借地契約が終了した場合
      借地人に何か対抗する方法があるか

(問) 地主が土地の明渡しを求めてきた。借地人は地主に対して借地上の建物を買取らせることが出来るというが、どんな場合に出来るのか。


(答) 借地契約が終了した場合、本来ならば借地人は建物を取壊し、更地にして返却しなければならない(民法269条、598条、616条)。しかし、使用に耐えられる建物を壊すことは、社会経済的利益の保護及び借地人が建物のために投下した資本の回収が出来ない。

 そこで借地人に「建物買取請求権」(借地借家法13条1項(*))を設けて借地に投下した資本の回収を可能にした。また間接的に地主に経済的負担をかけることによって更新拒絶を遣難いものにする効果をもっている。

(*)「借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる」(借地借家法13条1項


 それでは、どんな場合に「建物買取請求権」を行使出来るのか。
 権利行使の要件
 ①借地期間が満了したこと
 ②契約の更新がないこと
 ③借地上に建物があることである。
 即ち、建物が存在し、借地契約の更新が出来なかった場合に建物買取請求権を活用することができる

 借地人が建物買取請求権を行使した場合、地主が買取を承諾しなくても、借地人の一方的な買取請求の意思が地主に通知されれば、それだけで強制的・自動的に建物の売買契約が成立する。このような単独の一方的な意思表示のみによって法律効果を生じさせることのできる権利を<形成権>と呼ぶ。借地の更新請求権(借地法4条1項・借地借家法5条1項)、賃料の増減請求権(借地借家法11条1項、同32条)も同様である。
 通知は口頭、手紙、FAX等でも有効であるが、後日通知の有無で争いになることも考えられるので、内容証明郵便で通知するのが好ましい。

 その結果、地主は買取を拒否できず、建物を時価で買取ることになる。換言すれば、借地人の建物を合法的に地主に押し売りすることができる。地主は買取りを拒否する自由がないので、借地人は建物を時価(買取を求めた時点での価格)で強制的に売りつけることが出来る。

  その結果、どんなに古い建物であっても、建物に借家人が居住していても、建物に抵当権が付いていても地主は建物を買取ることになり、地主の所有物となる。 これによって、借地人は建物を解体し、更地にして返還する必要がなくなる。建物の解体費用も勿論、借地人が負担する必要がなくなる。


 残る問題は、建物請求権を行使した時点での建物の買取価格である。

 建物の時価は、
①「建物が現存するままの状態における価格であって敷地の借地権の価格は加算すべきではないが、この建物の存在する場所的環境は参酌すべきものである」(最高裁1960年12月20日判決)。

②「建物自体の価格のほか、建物およびその敷地、その所在位置、周辺土地の関する諸般の事情を総合考察することにより、建物が現存する状態における買取価格を定めなければならない」(最高裁1972年5月23日判決)。

即 ち、最高裁判決では、<建物の時価は建物自体の価格等に場所的環境(場所的利益)が加算されたもので、借地権価格は加算すべきでない>としている。借地権価格自体を建物の時価に算入することは否定している。しかし、実際は場所的環境(場所的利益)として土地価格や借地権価格を考慮に入れて建物の買取価格を 算定している。 

 地主と借地人の間で買取価格について協議が纏まらなかった場合は、調停や裁判で適正な買取価格を決定してもらうことも出来る。

 なお、「場所的環境価格は、借地権価格の20~30%程度というのが裁判実務である」(「実務解説 借地借家法」澤野順彦編 青林書院59頁)
 

 また地代不払い等の債務不履行や契約違反で契約解除された場合も判例は一貫して建物買取請求権を否定している(最高裁1960年2月9日判決)。

 

解体費用 全国坪単価  参考1参考2参考3

 

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【Q&A】 借地内の空き地を利用して車庫を作ろうと思いますが

2012年11月28日 | 借地の諸問題

【問】 最近自動車を購入したので、自宅の空き地を車庫にしようと思うのですが、地主が車庫利用の承諾書を出してくれないので困っています。どうしたらよいでしょうか。


【答】 借地人は、借地内に自己の自動車を駐車する権利があるかどうかについてです。

 地主によっては、駐車場としては貸していないので、使わせないという人もいます。 しかし、借地人は、土地を建物所有の目的で借りており、建物は、住居や、事務所、店舗など人の生活の場となるわけですから、建物利用のために当然付随する土地利用については、借地契約の目的の範囲内ということになります。

 自動車を所有することは、現在ではごく当たり前のことですし、借地内に自動車を駐車したからといって、地主に損害を与えるものではありません。ですから、借地内に自分の自動車を駐車させることは、借地人の権利とした認められています。

 次に、地主が車庫利用の承諾書を出してくれないという点についてです。

 自動車の保管場所の確保等に関する法律3条は、自動車の保有者は、道路上の場所以外の場所において、自動車の保管場所を確保しなければならないと定めています。また、自動車を購入した時、陸運局に自動車の登録をしないと、自動車の運行ができません。

 ところが、その登録を申請するときに、申請する人が自動車の保管場所を確保していることの証明書(車庫証明)を警察からもらわないと、登録ができないことになっています(自動車の保管場所の確保等に関する法律4条)。

 そして、自動車の保管場所としては、
 ①当該自動車の使用の本拠の位置との間の距離が2キロメートルを超えないこと、

 ②道路から自動車を支障なく出入りさせ、かつ、自動車の全体を収容することができること、

 ③当該自動車の保有者が当該自動車の保管場所として使用する権原を有するものであること、

の3つの条件が必要とされています(自動車の保管場所の確保等に関する法律施行令1条)。

 地主が、車庫利用の承諾書を出さないという点は、上記の③の条件にかかわることです。

 車庫証明の申請を受けた警察は、当該自動車の保有者が申請した保管場所について、使用権原の有無をチェックをすることになります。

 借地人は、借地に自動車を駐車させる権利がありますから、自動車の保管場所として使用する権原があります。ですから、地主が、車庫利用の承諾書を出さなくても、借地契約書など借地権があることを証明する書類があれば、警察から車庫証明を発行してもらうことができます。

 この取扱については、警察庁の交通規制課が全国の警察署へ内部指示をして、指導しています。

 

東借連常任弁護団解説

Q&A あなたの借地借家法

(東京借地借家人組合連合会編)より


ここから先は東京・台東借地借家人組合が追加したものです。


自動車の保管場所の確保等に関する法律施行令

(保管場所の要件)
第1条  自動車の保管場所の確保等に関する法律 (以下「法」という。)第3条 の政令で定める要件は、次の各号のすべてに該当することとする。

1  当該自動車の使用の本拠の位置との間の距離が、2キロメートル(法第13条第2項 の運送事業用自動車である自動車にあつては、国土交通大臣が運送事業(同条第1項 の自動車運送事業又は第2種貨物利用運送事業をいう。)に関し土地の利用状況等を勘案して定める地域に当該自動車の使用の本拠の位置が在るときは、当該地域につき国土交通大臣が定める距離)を超えないものであること。

2  当該自動車が法令の規定により通行することができないこととされる道路以外の道路から当該自動車を支障なく出入させ、かつ、その全体を収容することができるものであること。

3  当該自動車の保有者が当該自動車の保管場所として使用する権原を有するものであること。

 

参考
 「権限」 、「権原」、「権利」との違いは?

 「権限」は、広く用いられる法令用語で、国、地方公共団体、各種法人又は個人の機関(又は代理人)が法律上若しくは契約上なし得る行為の能力又はその範囲をいう。或いは、法律上、ある法律関係を成立または消滅させ得る地位という意味。

  (例) 国の権限に属する行為   代理人の権限

 「権原」とは、「ある法律行為又は事実行為をすることを法律上正当化する根拠(原因)」のことである。民法上、所有権者に対し、地上権・賃借権などを有する者の法律関係を表す場合の用語として多く用いられる。

  (例) 借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる(建物買取請求権・借地借家法13条1項)。

  (例) 他人の土地に建物を建築する権原は、地上権、借地権等である。

 「権利」というのは、法律用語としては法規範によってつくり出される正当性、狭義にはみずからの意思によって法的救済を求めうる法的可能性の意味に用いられる。或いは、一定の利益を自分のために主張し、また、これを享受することができる法律上の能力をいう。

  (例) 私は飲酒運転による交通事故の被害者として、加害者及び飲酒運転を容認した同乗者の加害責任を追及する権利がある。

 

東京・台東借地借家人組合

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【Q&A】 借地上の建物を取り壊して有料駐車場にしたいが

2012年11月27日 | 借地の諸問題

1【問】 借地上の建物を取り壊して、有料駐車場にしたいと思いますが、問題はないでしょうか。


【答】 借地人が、建物所有の目的で借地した場合、通常、借地上に建物を建築して土地を利用することになりますが、その後何らかの事情で、建物を取り壊して跡地を有料駐車場にすることになると、地主との関係で、第一に、土地の無断転貸に当たるかどうか、第二に、借地の用法違反に当たるかどうかが問題となります。

 裁判所は、借地人が、借地を、有料駐車場にして他人に貸すことについては、転貸になるとしています。

 また、借地人が、借地を駐車場として使用することが用法違反になるかどうかについても、もともと、借地契約は、建物所有を目的とするものですから、駐車場として使用することについては、用法違反に当たるとしています。

 その上で、上記違反が、当事者の土地賃貸借契約の信頼関係を破壊するかどうかを検討しているのです。したがって、ご質問の場合、無断転貸、用法違反に当たるものの、問題は、当事者の土地賃貸借契約の信頼関係を破壊することになるなるか否かです。

 借地人が建物取り壊しに至った事情が、貸家としていたが空家状態が続き浮浪者が出入りして火事の危険があったためなど建物取り壊しに合理的な理由がある場合や、駐車場としての利用が、暫定的かつ小規模なもので原状回復が容易なものである場合には、信頼関係を破壊しないとされています(東京高裁平成2年4月26日判決)。

 他方、借地人が、「社宅、工場敷地」として使用する目的で借地したにもかかわらず、借地上に仕切り棚を設け、コンクリート敷の通路と洗車場を設置して、これを駐車場として使用し、その一部を第三者の車両の駐車場にしていたような場合には、用法違反として契約解除を認めた判決があります(東京地裁昭和50年3月31日判決)。

 このように、駐車場にするにしても、それぞれの事実関係によって、信頼関係が破壊されたか否かの結論は分かれていますが、駐車場としての利用が暫定的な場合、規模が小さい場合、原状回復が容易な場合には、信頼関係を破壊していないものとして、解除が認められないとされています。

 しかし、借地人が、借地上の建物を取り壊しして、有料駐車場にすることは、以上のように問題があり、これから有料駐車場にしようとするときには、あらかじめ地主の承諾をとる必要があるでしょう。

 その上、借地上の建物を取り壊しますと、万一、地主が借地している土地を、第三者に売買したり担保に入れたりなどした場合、新しい買主や担保権者に対抗できないことになりますので、この点からも建物取り壊しには注意する必要があります。 

 

東借連常任弁護団解説

Q&A あなたの借地借家法

(東京借地借家人組合連合会編)より

 

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【Q&A】 半地下の車庫を作りたいが

2011年12月21日 | 借地の諸問題

 【問】 借地上の建物を改築する際土地を半地下状に掘下げて車庫を作りたいと思うのですが、問題ないでしょうか。


 【答】 駐車スペースを設けるため建物の1階の高さを少し上げてその下に半地下になった車庫を作ることがあります。土地が狭い場合はこうでもしないと車庫を確保できないというわけです。

 しかし、この土地が借地であるときは、半地下にすることは、問題がないわけではありません。建物を所有するために借りる土地が借地ですが、借地人が土地を利用できる権限の範囲は、建物所有目的に限定されています。それ以上に、勝手に土地を利用することは、権限外のことになってしまいます。

 土地上に建物を建築するということは、ある程度は土地を掘下げることは当然です。そうでなければ、建物の基礎工事ができないわけですから、どの程度の規模と構造で地下工事をするのかは、地上に建つ建物が木造か、鉄骨か、その構造と規模でおおよそわかることなので、借地契約で定められた建物を建築するために必要な地下工事であれば、その工事は賃貸借契約の範囲内とみなされことになります。

 しかし、昔、木造建物の契約で借地をして、最近建物改築にともなって、地下工事をして車庫にするという場合は、車庫のために地下工作物を設置することが、借地契約の目的の範囲内かどうかは、明確ではありません。

 自動車の保有が一般的となり、自動車所有者は車庫を設けることが義務付けられていることから見て、半地下にして車庫を造ることも土地利用の方法として不当とはいえません。また車庫自体は、建物の基礎部分でこそありませんが、基礎と一体となった建物に一部分であることには違いないので、借地契約の目的に反するとはいえません。

 しかし、他方で、借地人は、借りた土地を正当に保管していなければならない義務があります。半地下とはいえ、地下に工作物を設けることは、当初の借地契約では予想していなかったことでもありますから、この保管義務違反になるおそれもあります。みだりに土地の現状を変更してもらいたくないと思う地主にとっては、契約違反を主張したくなることでもあります。ですから、工事の前に、一度地主と話合ってみることが必要でしょう。話合いの結果、どうしても地主の了解が得られないときは、増改築許可の裁判手続きをとったらよいと思います。

 ところで、ご質問の場合、建物の改築をするわけですから、借地契約に、増改築禁止の特約があるのかどうかも問題になります。土地賃貸借契約書に「建物を改築、増築するときには、地主の承諾を要する」という条項があれば、地主の承諾を得ないと改築工事ができません。無断で工事をすると、賃貸借契約を解除されるおそれがあります。

 このような増改築禁止特約があるときには、いずれ増改築について地主と協議しなければいけないので、そのときに、半地下の車庫のことも了解を取ったらよいでしょう。了解が取れなければ、増改築の許可の裁判手続きをとることができます。

 

東借連常任弁護団解説

Q&A あなたの借地借家法

(東京借地借家人組合連合会編)より

 

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明渡請求を拒否して35年供託中、その間非訟手続きで建替え (東京・大田区)

2011年10月14日 | 借地の諸問題

 都心から羽田の物流の要の産業道路に位置する大田区北糀谷地域で宅地約35坪を賃借している。Aさんは地主の息子が自宅を建てるとの強引な理由による明渡し請求を毅然と拒否して、35年余の歳月が経過しますが、地代の供託は今日も継続しています。

 この間、地主も借地人も世代が交代するが係争は継続されてきた。家屋の老朽化を心配するAさんは、建替えを計画し、所在不明となった地主を探し出して、承諾を申し出たが拒否された。建物新築の非訟手続きに移行するが、地主の建物朽廃によりすでに賃貸契約は終了しているとの主張で本訴となる。

 訴えによって行われた現地調査で裁判官立会いの下に、建物の 朽廃は否定されて契約の存続が認められた。建替承諾料と多少の地代の増額で承諾されての建物新築後も、地主は裁判所の意向を受け入れず地代の供託を今日も継続されています。

 Aさんは、地主の明け渡し請求を撤回させるまでがんばると家族で決意しています。

 

全国借地借家人新聞より

 

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【Q&A】 借地人が破産すると借地契約を解除され、退去しなければならないのか

2010年05月06日 | 借地の諸問題

(問) 借地人ですが、裁判所から破産手続開始決定がありました。借地契約はどうなるのですか、解約されてしまうのですか。


(答) 旧民法621条は「賃借人が破産宣告を受けたときは、賃貸借に期間の定めがある場合でも、賃貸人又は破産管財人は民法617条の規定に従って解約の申入れをすることができる」と定めていた。借地契約については解約の申入れ後1年経過後に契約は終了する旨規定されていた(民法617条)。

 しかし、借地人の破産という事実だけで、借地契約の解約を簡単に認めてしまうと、借地権という財産的価値が契約期間途中で一方的に奪われてしまい、借地人にとって酷な結果となる。また、借地人が生活基盤を喪失することは更に深刻な問題である。

 判例も借地に関しては、「賃貸人が民法621条に基づき賃貸借契約の解約申入れをするためには、正当事由が解約申入れの時から期間満了に至るまで存続することを要し、この正当事由を欠く時は解約申入れの効力は生じないと解すべきである」(最高裁昭和48年10月30日判決)とした。借地人が破産した場合でも、地主からの契約解除に正当事由を要求し、解除権に制限を加え、借地人の保護がなされている。

 破産による解除を認めなくても、仮に賃料の支払いの遅滞があれば債務不履行を理由に契約を解除できるから地主に不利益はない。借地人が破産をしても、地代の支払いが継続し、使用者、使用方法に変更がない限り、地主に経済的な悪影響を与えないので、契約解除権を地主に認める必要はないと言える。

 地主に解除権を認めると、借地人の破産を奇貨として借地権を消滅させるために破産制度を悪用する危険がある。それは地主が借地人の財産を掠奪することを合法化することであり、不当利得を正当化することである。

 そこで破産法(平成17年1月1日施行)の改正に伴い、民法621条が削除された。これに伴い、借地人の破産を理由とする地主からの契約解除を認めないことになった。

 また、借地人が借地上の建物を登記して対抗要件を具備している場合は、破産管財人からの解除権が行使できない規定が新設され、借地人の保護がなされた(破産法56条)。

 

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借地権付き住宅を購入したところ、隣地に建物が越境しているとクレームが (東京・荒川区)

2009年12月11日 | 借地の諸問題

 荒川区西日暮里に住むAさんは29年前に土地付き住宅を購入した。
 その後、平成17年6月に隣の借地権付き2階建て建物の住宅を購入し、合気道道場を開設した。
 その際に仲介業者から他の借地人との間も一切問題なしとの説明を受け、重要事項説明書 と物件状況等の報告書を受け取り、建物のリフォーム承諾も地主から取り、12月にリフォームが完成した。

 ところが翌年18年に突然地主が側の測量士が周りの測量を始め、Aさんが道場として使用している建物が隣の借地人の地所に1.62坪越境しているので建物を壊せと言ってきた。

 話合いは平行線でこの4年間はノイローゼになっていたところ組合を知り入会した。先日、組合立会いの上、地主・仲介業者・借地人と話し合いを行った結果、Aさんが改築するまで現状維持で行くことを確認した。

 

東京借地借家人新聞より

 

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地主が勝手に借地部分にブロック塀を造る (東京・荒川区)

2009年08月13日 | 借地の諸問題

 荒川区東尾久に住むAさんは、昭和7年から現在の土地を借地し、問題なく経過していました。

 地主から更新の話があったのは法定更新後の平成19年7月でした。更新料を支払えと要求され、また新しい契約書には大幅な変更がされており、これらを拒否しました。

 翌年の1月地主はAさんの借地を測量し、契約書に記載されている坪数より1.79坪分多いので、その分の地代の差額をこれから先支払えと要求してきました(*)。

 支払う必要がないとこれを拒否したところ、平成21年4月になって強引に借地内の家の壁から15㎝のところに5段のブロック塀を造り、なおかつ0.87坪分の地代を支払えと請求してきました。

 Aさんは、借地内に設置していたブロック塀やその他の設備を撤去するよう要求し、撤去に応じない地主に対し裁判で争う決意です。 

 

全国借地借家人新聞より

 



  (*)参考記事 
①「借地の契約面積と実測面積の違い

②「買った土地の面積が実際より広かった場合」(最高裁平成13年11月12日判決

 

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底地を買った途端に隣人が建物が越境しているとクレーム (東京・荒川区)

2009年07月10日 | 借地の諸問題

 荒川区荒川で数10年にわたり16・8坪の借地をしてきたBさんは、このたび隣近所の借地人と共に2人の地主と話し合いで土地の測量をした上で土地を買取った。16・8坪の借地上にはほぼ目一杯のBさんの木造2階建ての家が建っている。

 数日後、隣の主人が来て、「うちの土地に約1坪にお宅の家が越境しているので直ぐ土地を返してくれ」と言ってきた。Bさんは、隣に売った地主と伊藤さんに売った地主と3人で改めて実測したところ、Bさんが数10年前に借地をした時から越境し家を建てたことが判明した。

 しかし、Bさんは長期間16・8坪の地代を払い続け元の地主からも何の注意も受けずにいたので、何で今更と思い、今後も1坪の借地をしていく覚悟でいる。

 

 

東京借地借家人新聞より

 


参考> 民法
境界線付近の建築の制限
第234条  建物を築造するには、境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければならない。

 2  前項の規定に違反して建築をしようとする者があるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができる。ただし、建築に着手した時から1年を経過し、又はその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる。

所有権の取得時効
第162条  20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。

2  10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

 

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借地の明渡請求をされ、直ぐに借地の更新請求で回答した (東京・台東区)

2009年04月07日 | 借地の諸問題

 台東区鳥越で借地している田中さんは、昨年5月末日で借地契約の20年が満了した。地主は何らの正当な理由もないまま期間が満了したというだけで借地の明渡しを請求してきた。

 田中さんは知人の紹介で組合に相談した。組合役員から債務不履行などがなければ、また、当事者の合意で契約を解約しない限り、期限が満了しただけでは借地を明渡す必要がないことなどの説明を受けた。

 民法の規定では、借地期間が満了すると、借主は原状回復して土地を返還しなければならない(民法616条・598条)。従って、借地人は建物を取壊して土地を賃借した当時と同じ更地状態にして貸主に返さなければならない。

 しかし、それでは借地人が資金を投じて家を建て、そこを中心にして生活してきたのに、期間が満了したからといって、現在居住できる家屋を取壊して屑材木にしてしまうのは経済的見地からも社会的損失である。

 そこで借地法4条は、期間が満了しても、借地人が希望すれば、借地人の一方的な請求によって契約が更新される場合を定めている(借地法4条1項)。借地の更新請求によって、更に借地権を堅固な建物の場合は30年、その他の木造建物等については20年間存続すると規定されている(同法4条3項)。

 もし存続させることが不適当だとしても、強制的に地主に家を買取らせて、借地人の投下資金を回収出来るよう規定している。従って、借地人の費用負担で建物を取壊して更地にして、地主に返還する必要がなくなった。(同法4条2項)。

 早速、田中さんは地主宛に借地法4条1項に基づいて、「借地契約の存続期間は満了しましたが、宅地上にはなお建物が存在しておりますので、前の契約と同一条件で借地契約を更新して頂きたくご請求致します。従って、土地の明渡しには応じられません。」という趣旨の「借地の更新請求」を配達証明付き内容証明郵便で地主に送った。

 その後約1年が経過するが、地主からはその後、何の反論もなく、すんなり地代も従来通り地代受領している。


 参考法令
 民法

第598条  借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。
 
第616条  第594条第1項、第597条第1項及び第598条の規定は、賃貸借について準用する。

 借地法
第4条
 ①借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。
 
② 借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。

③ 存続期間は、更新の時から起算して、堅固建物については30年、非堅固建物については20年とする。ただし、建物がこの期間の満了前に朽廃したときは、借地権はこれによって消滅する。 
 

 

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境界問題は不満だが一応解決 (東京・大田区)

2009年03月16日 | 借地の諸問題

 大田区西蒲田*丁目の借地人のSさんの相談は、隣地の建替えの工事で一部に境界杭がないことがわかり、地主に連絡しても協力が得られないということでした。

 弁護士のアドバイスを得て、法務局から地主が申請した地積測量図を取り寄せる。地主に当時の測量士を尋ねるが死去してると我関知せずの態度。組合の協力で測量士の生存を確認でき相談。測量は隣地の同一借地人に底地売買が目的でした。測量図を見て驚く、19坪がが約2.4坪も狭くなっている。この事実を20数年も知らせなったのです。

 地主は測量士の説得で測量と境界杭入れには立会ったが、費用は負担しなかったのです。地主が責任を放棄したので、Sさんは面積減少の不満を押えて、権利を守るために杭を入れて境界問題はこの程解決しました。

 しかし、地主は3年前が更新であることを思い出したのか、更新料と地代の増額を不動産業者を介して請求。Sさんは更新料の不払いと、地主の不誠実な態度に厳しく対応する決意をしております。

 

東京借地借家人新聞より

 

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借地面積でトラブル (東京・渋谷区)

2009年03月13日 | 借地の諸問題

 渋谷区本町で66坪を借地しているHさんは、昭和26年に管理人を通じて地代1ヶ月345円を払って土地を借りた。

 昭和30年に地主から建物収去土地明渡しで調停申立てられ、和解をして土地の面積を66坪3合5勺として、借地内の間口4尺5寸、奥行11間93の土地を共用通路とすることを確認した。

 昭和37年に自宅を改築することになり、Hさんの父親が当時地主の管理人に騙されて借地の内の通路部分を地主に返したとして借地面積を54坪で契約してしまった。

 しかし、地代はその後も全く金額も変わらず、Hさんは一貫して66坪で地代を支払いつづけてきた。

 今年に入り地主は貸地部分の測量を行い、Hさんの借地部分を分筆し66・1坪で登記した。

 ところが、最近になって地主は66坪の内以前契約した54坪分以外の12坪は貸していないと主張。54坪で測量しなおすといってきた。

 Hさんが拒否すると、今度は地主は代理人を通してHさんの借地部分の通路に置いてある車を撤去せよ建物を無断で増改築したと因縁をつけてきた。Hさんは嫌がらせに負けず今後も頑張る決意だ。

 

東京借地借家人新聞より

 

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地主が無断で境界杭打 (東京・大田区)

2009年03月12日 | 借地の諸問題

 大田区下丸子*丁目所在の宅地48・51坪を賃借中のMさんは、今年11月の更新を控えて地主の突如の地代値上げにも、値上げ額下げさせて応じてた数ヵ月後の6月上旬でした。

 これまで無かった境界杭が何の説明も了承も得ずに打たれていたことに驚き、すでに組合員であったMさんは事務所へ相談にこられた。

 以前道路の調査の際測量士が他の杭等から推測して境界線とした目印の赤線よりも6cmもMさんの占有地に越境していたのです。地主は隣りの借地人が移転し、更地になった土地を不動産業者を介して売買したので杭を打ったとのこと。

 Mさんの抗議に対し、地主から依頼された不動産業者は、更新も近いので悪いようにはしないとか、越境分を金銭で補償したいという。Mさんは、指示どおり目印の所に杭を打ち直さない場合、組合と相談しているので境界確認の訴訟を起こすと伝えると、翌日業者とこの件に関わった測量士がMさんの主張を認めて境界杭を入れ直した。

 Mさんは約3日間の攻防であったが、組合員と知ってから地主・不動産業者等の豹変には驚いたという。

 

東京借地借家人新聞より

 

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借地が公売に (東京・足立区)

2009年01月05日 | 借地の諸問題

 足立区の組合事務所の近くに住むYさんは、借地の土地の公売通知を見てビックリ、とても買う資金も用意できず途方にくれていた。

 看板を見て組合に相談した。同じ地主の敷地内に19軒の借地人がいるが聞くことも出来ずにいた。共同入札等の入札の方法もあることを知り、勇気を出して18軒に声をかけ、組合の協力で相談会を開いた。

 全員一致の方向はとれなかったが、3軒が組合に加入し、今後もお互いに情報交換していくことになった。

 

東京借地借家人新聞より

 

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