東京・台東借地借家人組合1

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裁判所に借地権譲渡許可を申立てて借地権を売却 (東京・台東区)

2005年08月21日 | 借地の諸問題

   借地権譲渡許可申立をして解決する

 桑田さんは借地(65・2坪)を地代1か月6万1300円で借りている。平成13年3月の更新の際に、建物を担保にして更新料615万円を支払った。

 借金までして更新料を払ったことに疑問を感じ、組合員の紹介で台東借組に加入した。
 負債を整理するため、借地権を売却するにしても建物の抵当権を抹消しなければならずその資金の目途も無い。それに加えて借地に対しては地主の債務に関する抵当権が設定されているので、第三者への譲渡は難しい。

 当事者間の協議で桑田さんは地主に対して借地権と建物の買取を要請し、6285万円を買取要求額として希望したが、地主は4300万円の買取額を提示して来た。結局当事者双方の妥協点が見出せなかった。

 そこで組合の顧問弁護士と相談して債務整理のために、台東借組組合員の「(株)R」の協力を得て、借地借家法19条1項による借地権譲渡許可申立書を2005年1月26日東京地裁に提出した。

 すると地主側は3月25日の答弁書で借地借家法19条3項の「介入権」行使の申立をして来た。 これは地主の先買権と呼ばれるもので地主が第三者に優先して借地上建物と借地権との譲受を認めるものである。地主の土地所有権回復の手段とされている。借地人は投下資本の回収を図ることが出来るのであるから買受人が地主であっても特に不利益はない。

 裁判所の調停で地主側は、買取価格として6200万円((株)Rの買取価格)から借地権譲渡承諾料10%(注)を差引いた5580万円を提示して来た。

 借地人側は借地権の相続に際し、支払い義務が無い名義書換料353万円を支払い済みであり、その点を充分考慮するように取敢えず訴えてみた。駄目元ということで言ってみたのだが、裁判所は5580万円に考慮分の110万円を上乗せした5690万円を提示した。

 結局、この価格で借地権を地主に売却することで2005年5月24日和解が成立した。借地と建物に抵当権が設定されているという悪条件にも拘らず、(株)Rの協力があって、桑田さんは、ほぼ希望の価格で借地を売却すること出来、満足している。

 (注)借地人は、借地権を第三者に譲渡すれば、地主に対して譲渡承諾料を支払う。譲渡承諾料は東京地裁では借地権価格の10%を基準としている。従って地主自身が譲り受ける場合は、その譲渡承諾料相当額を対価の額から控除すべきであると解されている。裁判例では、譲渡承諾料相当分として借地権価格の10%を控除するのがほぼ確立した基準となっている。



  借地借家法(土地の賃借権の譲渡又は転貸の許可)
第19条 借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、賃借権の譲渡若しくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又はその許可を財産上の給付に係らしめることができる。

 2 裁判所は、前項の裁判をするには、賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、賃借権の譲渡又は転貸を必要とする事情その他一切の事情を考慮しなければならない。

 3 第1項の申立てがあった場合において、裁判所が定める期間内に借地権設定者が自ら建物の譲渡及び賃借権の譲渡又は転貸を受ける旨の申立てをしたときは、裁判所は、同項の規定にかかわらず、相当の対価及び転貸の条件を定めて、これを命ずることができる。この裁判においては、当事者双方に対し、その義務を同時に履行すべきことを命ずることができる。

 4 前項の申立ては、第1項の申立てが取り下げられたとき、又は不適法として却下されたときは、その効力を失う。

 5 第3項の裁判があった後は、第1項又は第3項の申立ては、当事者の合意がある場合でなければ取り下げることができない。

 6 裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、第1項又は第3項の裁判をする前に鑑定委員会の意見を聴かなければならない。

 7 前各項の規定は、転借地権が設定されている場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。ただし、借地権設定者が第3項の申立てをするには、借地権者の承諾を得なければならない。

 

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