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定期借家契約のビルの明渡しで立退料200万円(大阪・北区)

2008年09月30日 | 定期借家・定期借地契約

 天六阪急ビルは、北区天六交差点北側に茶色の8階建のビルで、大正15年に建設されました。かつてこの建物は、天六界隈のシンボル的存在で、阪急の終着駅であり繁華街でした。

 現在は、地下鉄ができ、一時ほどのにぎわいはありませんが、天神橋商店街の出入口として貸店舗として営業しています。

 奈良市内に住むYさんは、このビルを阪急電鉄から平成16年4月から平成21年3月までの期間で定期賃貸借契約を結びました。

 当時は、Yさんは定期賃貸借契約がどんな契約であるのか理解できませんでした。そして、契約前に阪急から、「定期賃貸借契約についての説明」なる書面に署名捺印をしました。

 今年4月になって、阪急から「築後80年が経ち老朽化が著しく建替をする」との理由から契約解除の通知を受け、今年12月末で解約することを通知してきました。

 相談を受けた北区借地借家人組合は、Yさんから事情を聞き検討した結果、「契約期間が来年3月末までの定期賃貸借契約であり、期間が終了すればいずれ解約しなければならなくなることから、残存期間もあり移転料を請求して見てはどうか」とアドバイスをしました。

 阪急側は、Yさんの要求を受け入れて、敷金を全額返還し、移転協力金として200万円の支払いを約束しました。

 

大借連新聞より

 

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【判例紹介】 賃料不払を理由にした契約解除を特段の事情があるとして解除を無効とした事例

2008年09月29日 | 借地の諸問題

 判例紹介

 約17か月分の賃料不払を理由とする借地契約の催告解除につき、背信行為と認めるに足りない特段の事情があったとして、右解除を無効とした事例 東京地裁平成元年12月27日判決、判例時報1359号78頁)

 (事案)
 借地人Yは地主Xの先代と昭和8年頃より借地関係を継続し、本件まで地代の遅滞等の紛争を起さなかった。地代は事実上年払が多く、Xが便宜取立てに赴く慣行もあった。

 Yは昭和61年12月28日、60年分の地代不足分約13万円と61年年分約170万円の支払を62年1月半ばまでの猶予を申出てXの了承を得た。しかしYはそれまでに支払わなかった。この間Yの次男が重病になった。

 Xは62年6月16日、同年5月分までの滞納地代総額約255万円を3日以内に支払うよう催告の上借地契約を解除した。Yは解除の前後を通じ誠意ある対応を採ったが、XはYに会うことを避けた。

 (判決要旨)
 遅延期間は支払猶予の時点から計算すれば5か月程度に過ぎない。この間に支払わなかったYは強く非難されるべきであるが、次男の病状のことや、事実上は原告が取立てに赴いたり、年末まで猶予したりする長年の慣行に照らすならば、この一時をもって数10年も続いている本件契約の解除を直ちに相当ならしめるほど高度の背信性があるとは言えない。しかも、Xの催告に対してYは催告期間内及び期間後直ちにX宅や事務所を訪ね真摯な対応をしており、催告期間内②弁済の事実が認められない点も催告金額と期間(3日間)及びそのための対応を考えると、やはり背信性が極めて高いとはいえない。

 以上のとおり、Yの背信性はさほど強いものではなく、加えてまた、XY間の賃貸借関係が長期に及んでおり、しかもその間正常な関係が保たれてきたこと、Yはその不注意を法律の無知から紛争を引き起こしたものの、その後供託もし経済的に問題もなく信頼関係の復旧に努めていることに照らせば、催告期間中ないしその直後にXがYに対し地代支払についてしかるべき協議に応じてやっておれば、正常な賃貸借関係の継続が十分可能であったと考えられる。そうすると、結局本件の解除についてはXY間の信頼関係を破壊しない特段の事情があるということができる。

 (寸評)
 判決はもとより正当である。こういう判例があるからといって賃料の支払がルーズであっていいわけでは決してない。5か月分の滞納で解除を認めなかった例もあれば、4か月分の滞納で解除を認めた例もある。いうまでもなく賃料債務は賃借人の最も重要な債務であり、Yの不払は重要な義務違反である。だから賃貸人側も契約解除し易い。

 当事者間の信頼関係を破壊すると認めるに足りない特段の事情があれば解除は認められないのが通説・判例だが、それはあくまで最後の砦だ。

(1990.12.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例】 定額補修分担金は、消費者契約法10条に違反し無効の判決(2008年7月24日)

2008年09月27日 | 敷金・保証金・原状回復に関する判例等

 2008年7月24日、京都地裁で定額補修分担金は、消費者契約法10条に違反し無効の判決があった。

 京都地裁2008年4月30日判決に次いで定額補修分担金は、消費者契約法10条に違反し無効の判決は2例目。

 関連記事  ①京都で定額補修分担金特約は違法として消費者団体訴訟

         ②定額補修分担金特約

         ③「定額補修分担金」は消費者契約法に違反(京都地裁)
           

 

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【判例紹介】 借家立退料の算定基準を貸主の受ける経済的利益を基準に判断した事例

2008年09月26日 | 建物明渡(借家)・立退料

 判例紹介

 賃貸人が賃貸借自体を否定して値上げをしていなかった事情のある建物賃貸借(賃料月額1万5000円)について、賃貸人の得る客観的な経済的利益を立退きの算定基準として500万円の立退料提供によっても解約申入れについて正当事由がないとされた事例 (福岡地裁平成元年6月7日判決、判例タイムズ714号193頁以下)

 (事案)
 本件は、賃貸人Xが賃借人Yに対し、主位的に賃料不払による契約解除を理由とし、予備的には、正当事由として①建物の老朽化(築後約80年経過)と②自己使用の必要性(自宅が手狭で長女・三女がアパート住まい)、③信頼関係の破壊(無断増改築等ほか)、④立退料500万円の提供を主張した。
 iまた、Yらは他に移転することの愛着などを理由に本件建物の必要性を主張して争った事案。
 結果は賃貸人Xの敗訴。

 (判決要旨)
 「本件賃貸借契約の解除の正当事由の有無を判断するに、原告側の事情を衡量すれば、そのままでは明渡しの正当事由があるものとは認められないが、賃借期間が29年に及び建物の老朽化も進んでいること、当初の賃借人は死亡し、被告人らのうち本件建物に現在も居住しているのはY①1人のみであり、適正な補償があれば移転が可能であること、本件建物周辺は土地利用の高度化の進んだ地域であり、本件建物の存在によって地価の高い敷地の有効利用が著しく妨げられていることなどに照らし、原告(賃貸人)が十分な金銭的補償をすれば正当事由があると認めることができる」、 
 「しかしながら、右の立退料の算定に当たっては、従前の賃料は原告が賃貸借自体を否定して値上げをしなかった結果であるから、これを算定の基礎とするのは妥当でなく、正当事由がやや弱い本件にあっては、本件の明渡し(その後の取壊し)によって土地の最有効利用が可能になるので、それによって得られる原告の客観的な経済的利益を主たる算定基準とすべきである」、

「・・・・・・を参酌すると正当事由を補完するために借家人に分与すべき経済的利益(立退料)は金700万円が相当である判断される」「原告は金500万円を上回る立退料を提供する意思を有しないので、右金額と引換給付判決をなすことはできなず、結局、原告の請求は理由がないことに帰する」。

 (寸評)
 判決の結論は実務の実状から見ると異なる判決もあり得るので、あまり参考にはならないが、いわゆる立退料の算定基準について賃借人側の受ける経済的利益を基準として判断している点は注目される。

 判決の考え方には恐らく貸主層から異論が出ると思われるが、有効利用を理由とした明渡しについては、それなりに合理性のある考え方であると思われる。

(1990.10.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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滞納家賃保証などを行うリプラスが破産

2008年09月25日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

 賃貸住宅の滞納家賃保証サービス事業などを行うリプラスは9月24日、東京地方裁判所に破産手続き開始の申し立てを行った。負債総額は325億7,057万992円。

 リプラスは、02年9月の設立。賃貸住宅に関する滞納家賃の保証サービス事業のほか、不動産私募ファンドのアセットマネジメント事業(不動産私募ファンド事業)、REIT事業(不動産投資法人の運用事業)を中核に据え、事業を行っていた。

 リプラスによると、同社は平成14年の設立。賃貸住宅での滞納家賃の保証サービス事業、不動産ファンド事業などを展開。中国への投資関連事業などにも手を広げた。

 だが、米の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の影響で金融機関の不動産融資が縮小し、資金調達が難しくなった。滞納家賃の代位弁済などの運転資金が確保できなくなり、行き詰まった。10月9日に上場廃止となる。


 

関連記事 大阪の賃貸保証会社 突然休業

 

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【判例紹介】 給排気設備の機能障害を考慮して適正家賃が2%減額された事例 

2008年09月24日 | 修理・改修(借家)

 判例紹介

 給排気設備の機能障害を考慮して適正家賃が2%減額された事例 (東京地裁平成元年8月31日判決、判例時報1346号)

 (事案)
 地下3階地上10階建のビルの地下1階にある約90軒の店舗の1つ。借家人は昭和49年10月から賃借し衣料販売を経営してきた。家主は、それまで月26万円だった家賃を昭和61年1月分から28万6000円、平成元年7月分から29万5000円に、それぞれ増額してきた。

 借家人(原告)は、本件店舗の給排気設備が使用不能の状態にあることなどを理由として、賃料増額は認められないと争った。

 (判決)
 給排気設備が使用不能の状態にあるのは集中構造配管の全般的な老朽化に伴うものであること、その修繕は商店街全体に関わるものであって、高額の費用がかかり、その工事自体も容易ではないこと、従って、本件店舗だけを所有しているだけに過ぎない原告(借家人)には現状では修繕は事実上ほとんど不可能であり、機能障害は一時的なものと認められる。

 そして、本件店舗は通路側の間口も全部開け放して営業する構造になっているが、それでも、給排気設備が使えないため、特に夏場の冷房時には不快感を感ずる程度には影響があることを認めることができる。

 ところで、借家法7条の賃料増減請求権は、固定資産税などの公租公課の負担の増減、敷地・建物の価格の昂低、比隣の建物の賃料と比較して不相当な額になったこと、これらの事由がある場合にそれに応じた客観的に相当な賃料額を形成できるようにする制度である。

 このような趣旨目的からすると、本件店舗の給排気設備に右のように機能障害がありその修繕ができない事情があるとしても、それだけでは賃料増額請求権の行使自体を許さないということはできない。

 しかし、右の機能障害は本件店舗の快適な使用に悪い影響を与えていないわけではなく、ひいては本件店舗の価値自体に消極的な影響を与えていないではないということができるから、この事実は、相当賃料額の認定に際して、幾分斟酌されるべき事情であるということができる。被告(家主)の主張はこの限りで理由がある。

 斟酌の程度は、本件店舗賃貸借の目的、経過、右機能障害の内容及び程度並びに右障害の無い場合の当面の相当賃料の金額自体に鑑みると、機能障害がない場合に比較して、2%減額するのが相当である。

 (短評)
 家賃は、その建物に家主がどういう設備を施しているかに当然影響される。従って、その設備が悪くなれば、それが家賃の減額に反映されるのは理の当然である。なにも「使用に悪い影響を与えていないわけではなく」とか、「消極的な影響を与えていないではない」などともってまわった言い方をする必要はない。

 本件は修繕不能の場合だが、可能の場合でも修繕するまでは同じ理屈が当て嵌まる。

   (1990.08.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 賃料を賃貸人に直接請求され、債権者不確知を理由とした供託の効力

2008年09月22日 | 弁済供託

 判例紹介

 
 賃貸用建物の管理委託会社に賃料を支払っていた賃借人が賃貸人から直接賃料の支払いを求められた場合に債権者不確知を理由として行った弁済供託の効力 (東京地裁平成15年2月19日判決、判例タイムズ1136号)

 (事案の概要)
 ①Xは平成10年2月、本件建物(賃貸用)を競売により取得し、従前からの賃借人Yに対する賃貸人の地位を継承した。

 ②同時にXはZに対し全面的に本件建物の管理を委託した。ZはYとの間で賃料を月額21万円に増額する旨合意した。

 ③XとZは管理をめぐって争いになり、Yは平成14年1月Zから、XがZを差し置いて賃料を請求してもXには支払わないでもらいたい旨要請され、他方、Xから直接Xに支払うよう要請されたため、債権者を確知できないとしてXZ両者を被供託者として同年2月3月分を供託した。

 ④これに対しXは、右は債権者を確知し得ない場合に当たらないから供託は無効であるとして、Yに対し右2か月分の賃料は無効であるとして、Yに対し右2か月分の賃料の支払いを求めた。

 (判決要旨)
 ①Zは本件建物の管理を全面的に委託され、その管理権限に基づいてYに明渡を求める調停を申立てたことがあること。

 ②調停を申立てる権限があることについてはXも了解済みであったと窺われること。

 ③Yが前賃貸人と取交わしていた賃貸借契約がXを賃貸人、Yを賃借人とする契約書に差し替えられていること。

 ④ZはYとの間賃料改定を行っている等をあわせ考えると、Yにおいて、Zを本件建物の賃貸人であるか、賃貸人でないとしても、自ら固有の権限で、訴訟上でも、その取り立てが可能な権限を有する立場にあると判断してしまうことは無理からないところというべきである。

 Zの立場が現に賃料の固有の取立権者であったとすれば、債権者不確知を理由とする弁済供託にいう「債権者」と同視して差支えなく、実際に固有の取立権限がなかったとしても、YがZを取立権者であると判断したことに過失はないといわなければならないから、本件供託は、少なくとも債権者であるYにおいて過失なく債権者である本件建物賃料の賃貸人ないしその取立権者を確知することができない場合であったとして、有効なものであったと認めるのが相当である。本訴請求は理由がない。

 (寸感)
 マンション・アパートや貸地を何件も持っている地主の管理人がどこまで権限を持っているのか、賃借人には分かりにくい。本件の事実関係のもとでは判決は妥当である。

 一般的には、どちらに賃料を支払ってよいか分からないとき、管理会社が賃貸人の代理である場合には、債権者不確知を理由とする供託は無効とされている。だれを相手に供託すべきか迷ったらちょっと慎重になった方がよい。

(2004.02.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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敷・礼なし「ゼロゼロ物件」トラブル続出、若者ら提訴へ (読売)

2008年09月19日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

 敷金・礼金なしでマンションやアパートが借りられるとして低所得者にも人気の「ゼロゼロ物件」。だが、「家賃の支払いが数日遅れただけで、部屋の鍵を交換された」といった苦情も多く、入居者への強引な措置が問題となっている。

 こうした中、同物件の入居者が10月、不動産会社に慰謝料など1人あたり数百万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こす。非正規雇用の拡大など収入の不安定な人が増える中、被害対策弁護団は「行き過ぎた『貧困ビジネス』は見過ごせない」と話している。

 提訴するのは、不動産会社「スマイルサービス」(東京)のゼロゼロ物件に入居する都内の男性ら20~30歳代の3人。弁護団によると、同社の物件では、敷金・礼金を払わなくていい代わりに、家賃の支払いが1日でも遅れると、家賃約6万円に「違約金」などの名目で約2万円が上積みされる決まりで、無断で部屋の鍵を換えられたり、留守中に荷物を処分されたりしたケースもあった。

 マンションに入居する場合、借地借家法に基づく賃貸借契約を結ぶのが一般的で、通常は正当な理由なく一方的に解約されない。しかし、同社は「鍵の一時使用」という特殊な契約形態を採り、契約書に「居住権は認められない」と記載していたため、いつでも解約できる内容になっていた。

 スマイルサービスから相談を受けている宮岡孝之弁護士によると、約4000件のゼロゼロ物件を展開する同社は現在、違約金徴収をやめ、契約も8月から賃貸借契約に順次切り替えを進めているという。宮岡弁護士は、「契約に望ましくない部分があったのは事実。提訴されれば、相応の賠償に応じる用意はある」と話している。

 一方、被害対策弁護団の宇都宮健児弁護士は「鍵の利用契約とするのは脱法行為で、低所得者の弱みにつけ込んだビジネスだ。他の業者に警告する意味でも、法的責任を明らかにしたい」と話している。

 今回、提訴を予定している30歳代の男性は、日雇い派遣として働いていた2年前、インターネットで同社の物件を見つけ、家賃5万8000円で、ロフト付きワンルーム(6畳)の部屋に入居した。しかし、仕事が少ない月には支払いが滞ることもあり、これまでに鍵を5回ほど勝手に交換され、違約金も10回以上支払った。「就寝中いきなり部屋に入ってきた業者に追い出され、ネットカフェで過ごしたこともある」という。

 「家賃滞納で住居侵入はやりすぎ」と提訴に踏み切ることにしたが、それでも、「ネットカフェや路上で暮らすのは絶対に避けたいので、ここに住み続けるしかない」と声を落とす。

 ゼロゼロ物件は東京の賃貸アパート大手が約20年前に始め、各地に広がった。初期費用が少なくて済むため、低所得の若者に人気だが、家賃滞納者への対応は厳しく、数か月の滞納で立ち退き訴訟を起こされることも多い。

 大手業者などは、強引な取り立てを行わないようにするなど、運用を改善しているとするが、弁護団が今年7月に実施した電話相談には計65件の相談が寄せられ、スマイルサービス以外の業者への苦情や相談も、42件に上った。
                   

(読売新聞) 2008年9月18日(木) 関連ニュース
「敷金・礼金・仲介手数料ゼロ」 その裏に潜むとんでもない事態 (J-CASTニュース

 

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居住貧困を加速させる定期借家制度

2008年09月18日 | 定期借家・定期借地契約

住宅セーフティネットの公営住宅にも定期借家制度の活用促す
礼金・敷金ゼロ物件の罠
短期の定期借家物件で居住が不安定に

 定期借家制度が2000年3月に導入されて9年が経過するが、民間賃貸住宅市場で依然として普及されていない。

 公営住宅や公社住宅などでは、条件つきながら導入される一方で、非正規雇用労働者などワーキングプアをターゲットにした礼金・敷金ゼロの1年間の短期の定期借家物件が増加傾向にあり、消費生活センターには家賃が相場より高いために家賃を滞納して退去を迫られる相談が増加しているという。

定期借家制度の内容知らない借家人
 定期借家制度について国土交通省が平成19年3月に行なった調査によると、新規契約に占める割合は普通借家契約95%に対し、定期借家契約は僅かに5%と民間の賃貸住宅市場においては全く活用されていない。

 「定期借家制度を活用しない理由」として、「賃借人にとって魅力に乏しく、空家になる可能性がある」45・8%、「普通借家契約に特段の不都合はないため」44・4%、「審査が厳格であれば、普通借家でもトラブルを防ぐことが可能であるため」22・8%と、賃貸物件を仲介している不動産業者からも定期借家制度は敬遠されている。

 「定期借家制度の認知状況」では、入居者の中で「内容の全部又は一部知っていた」33%、「制度があることは知っていた」34%、「全く知らなかった」33%で、制度の内容も知らない入居者が過半数を超えている。

定期借家が貧困ビジネスに
 多くの借家人が定期借家制度の内容について知らない状況の中で、アパート入居の初期費用を支払えないワーキングプアが短期の定期賃貸借契約(1年間)の礼金・敷金ゼロの「ゼロゼロ」物件をインターネットで探して契約するケースが増えている。実際には狭い1K物件で相場より家賃が高く、結局家賃を支払うのが困難で、退去せざるを得ない人も少なくないという。

 契約について知識の無い借家人に不当な契約条項を押し付けられる場合が多く、最近問題となった借地借家法の適用を認めない「施設付鍵利用契約」であったり、家賃を1日でも滞納すると部屋の鍵を交換し、再入室するのに高額な違約金を取られたという相談が組合にも寄せられている。

 全国消費生活協会の消費生活相談員の玉城恵子氏は「契約自由の原則があるが、非正規雇用労働者など経済的弱者は、居住権の制限された物権を選ばざるを得ない」と嘆く。

 定期借家制度を導入する目的として「良質な賃貸住宅の供給が増える」、「家賃が安くなり借主が借りやすくなる」が大義名分だったはずだが、大義そのものが怪しくなってきた。このまま放置しておくと住宅弱者が貧困ビジネスの餌食になるばかりだ。


公営住宅等に定期借家制度の活用がすすむ
 住宅困窮者のセーフティネットといわれる公営住宅についても、国土交通省は2007年9月の住宅セーフティネット基本方針で「公営住宅における定期借家制度(期限付き入居)の活用を図ることは必要である」と定め、定期借家制度の導入の方針を決めている。

 東京都では40歳以下の若年ファミリーを対象に期間10年の定期借家制度がすでに導入されている。住宅供給公社についても建替え対象の住宅については建替えの1年前までの期間の定期借家契約で募集し入居させている。

 機構住宅(公団住宅)については、「規制改革3カ年計画」の閣議決定で「定期借家制度を幅広く導入する」ことが決まり、機構住宅にも新規契約等に全面的に導入することが検討されようとしている。


法改悪の機会を窺う定期借家推進協議会
 不動産業界等で組織する定期借家推進協議会は、定期借家制度の見直しについて(1)家主の事前説明義務の廃止、(2)普通借家への切り替えの容認、(3)中途解約権の任意規定化以上3点の法改正に向けて自民党と連携し、国会への法案上程の機会を窺っている。

 東借連と全借連では、公団・公社・公営住宅の自治会や自由法曹団と共闘を強め、国会や政党への運動を継続して取組んでいる。定期借家制度の問題点や危険性を普及させる運動が急務となっている。

 

東京借地借家人新聞より

 

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借家の明渡裁判で借家人が全面勝訴 (神奈川・相模原市)

2008年09月17日 | 建物明渡(借家)・立退料

 神奈川県相模原市で2階建の借家56平米を借り8年前から住んでいるFさんは、家主から突然昨年4月に明渡しの裁判を東京地裁に申立てられました。

 明渡しの理由は、①契約更新時に「借主に不利な契約条項」について改定を求めたことが信頼関係破壊に当たる、②更新料を家賃の半額しか払わないのは債務不履行である、③建物が老朽化しているので建替えて家主の長男に住まわせるという内容でした。

  あまりにも理不尽な明渡し裁判ですが受けて立つしかなく、さらに家主の代理人の弁護士は膨大な訴状や書面を提出し、Fさんを困らせる目的だけでやっているとしか考えられない裁判だった。

 それでもFさんは、家族と生活を守るために、組合のアドバイスう受けながら弁護士をつけずに1年半にわたり全て答弁書や準備書面、証拠資料を自分で作成し裁判を闘いました。

 7月24日の判決は、「原告(家主)の請求はいずれも棄却する。」、「訴訟費用は原告の負担とする。」との内容でFさんの全面勝訴の判決が下りました。

 裁判所は②に関して、「更新料は不動産業者が半額でいいと合意したことは領収書でも証明されている事実から半額に減額合意されたもので更新料未払いの債務不履行には当らない」。

 ①の契約書の改定要求に対しては「そもそも、契約の更新時に契約内容を自らに有利に変更するよう求めることは、契約の一方の当事者である被告にとって当然の権利である」として、信頼関係の破壊に当るという家主の主張を退けています。

 また、③の老朽化についても「通常の使用に耐えないほど老朽化していると認めるに足りる証拠はない」、長男に住まわせたいとの原告の意向についても「被告による本件建物の現在の状況と比較すると、賃貸借の解約申入れの正当事由としては薄弱であることが否めない」として、家主の明渡し請求を否定しています。

 久しぶりに借家の正当事由をめぐる裁判で、こころがさわやかになる判決です。結局、家主は控訴せず、判決が確定し、Fさんにようやく平穏な生活が戻ってきました。

 

全国借地借家人新聞より

 

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エイブルが更新料と手数料2回分を請求 (茨城・つくば市)

2008年09月16日 | 更新料(借家)

 茨城県つくば市で借家をしているMさんは、4年前の3月に不動産屋から更新料と手数料の請求を受け、知人の紹介で荒川借地借家人組合に入会し、更新料等の支払いを拒否した。

 家主は業者をエイブルに替えた途端、2年前と4年前の2回の更新料と手数料を社員が執拗に取り立ての催促に来るようになった。

 森田さんは、4年前に法定更新をしているので、その後更新はない筈と厳しい請求にも対応。エイブル側は次第に語気を荒げる態度に変化し、滞納もないはずの水道料まで請求してくる始末。Mさんはエイブルの一方的な請求や態度に我慢できないと組合と相談し納得するまで闘う決意でいる。

 

東京借地借家人新聞より

 

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更新料185万円(坪当り約5万円)を請求される (東京・立川市)

2008年09月12日 | 更新料(借地)

 立川市錦町で36坪を借地しているYさんは、今年の6月末に20年の契約が切れ、地主から更新するなら更新料として185万円を支払うよう請求された。

 Yさんは体も弱く今回はとても更新料を支払うお金の余裕もなく困っていたら、たまたま組合事務所の前を通り過ぎ看板を見て組合に相談した。

 組合役員から「更新料を払わなくても法定更新すれば前契約と同一条件で更新ができる」と説明を受け、Yさんも安心した。

 地主と直接交渉することはやめて、地主に組合と話し合うよう連絡した。

 7月末に組合事務所に地主とコンサルタントが来たが、組合では更新料をキッパリと拒否した。

 

東京借地借家人新聞より

 

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借地非訟手続(借地権の譲渡承諾)を行い借地権を地主に買取らせる (東京・大田区)

2008年09月11日 | 借地権

 大田区久が原*丁目に宅地33・45坪を賃借していたYさんは、更新料支払いを拒否したところ、昭和63年10月分地代が受領拒否されて供託することになった。

 年末に地主の友人という弁護士から「世間並みの更新料」を支払わないとは何事かと、法的手続き取る旨の書面が届き組合に相談のうえ入会した。

 直ちに、借地法に基づき法定更新になっていることを指摘し、重ねて更新料の支払いを拒否した。さらに受領拒否により地代を供託していることを地主代理人弁護士に通告した。

 それから15年Yさんが死去し奥さんが相続して地代の供託を継続した。奥さんも2年前から体調を崩し入退院を繰り返すようになり、昨年には養老の老人ホームに入ることになった。その経費捻出のために借地権を処分したいと組合に相談された。

 約20年及ぶ地代供託の状況で地主の承諾は困難と考えつつ、組合知り合いの不動産業者を介しての地主交渉は不調。同業者を介して借地権の購入者を得て、借地非訟手続を行った結果、地主が借地権を買い取ることになり、裁判所の鑑定のための現地調査が行われて、今年5月和解が成立した。

 和解まで約7カ月経過したがこれまでの経費を差し引き手にした金額に、Yさんの奥さんは「安堵しています」と老人ホームから丁寧な挨拶があった。

 

東京借地借家人新聞より

 

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更新料(420万円)と手数料(10万円)及び地代(20%)値上げを要求される (東京・板橋区)

2008年09月10日 | 更新料(借地)

 板橋区中板橋に借地しているAさんは今年20年の期間満了で更新を迎えた。

 地主の代理人としての不動産会社から更新手続きの通知として「①20年前に支払った金額と同額の420万円を支払え。②現行地代の20パーセント値上げ。③更新事務手数料として10万円を支払え」という内容で送られてきた。

 当初は、不動産会社とはバブル時の買った物件で借金の返済で余裕がない中でこの更新料は払えきれない金額で、なんとか安くならないか交渉してきた。同時に、さまざまな法律相談などを訪ね相談したが納得のいく解答はなかった。

 そのときに組合の存在を知って相談に来た。組合で更新料については契約に特別の約束事がなければ、支払う必要のないことを説明された。

 組合から「①更新料支払いの法的根拠②更新料の算出根拠③更新事務手数料の根拠」などを質問する通知書を出したところ、不動産会社は回答不能に陥ってしまった。

 その後、直接地主が面会をしてきたが、組合の説明に反論も出来ず帰っていった。

 

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 駐車場の瑕疵につき損害賠償および礼金の一部返還ガ認められた事例 

2008年09月09日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 判例紹介

 駐車場の賃貸借契約にいて、貸主の修繕義務の不履行責任が認められ、駐車場の瑕疵につき損害賠償および礼金の一部返還ガ認められた事例 東京地裁平成5年10月1日判決、判例時報1497号82頁)

 (事実)
 地主から駐車場目的で土地を賃借し、使用を開始したところ、本件駐車場が舗装されれていないため、雨が2,3日続くとぬかるみになり、駐車中の車が脱出するためには他の車牽引を必要とする状態であった。

 そこで、借主は貸主に対し、再三にわたり本件駐車場に砂利をいれるなどして使用可能な状態に改善するよう催告したが、貸主は駐車場の一部に砂利を入れただけで、その他の部分については応じなかったので、借主は貸主に対し、本件土地賃貸借契約を解除し、債務不履行に基づく損害賠償および礼金の返還を求めた。

 (争点)
 貸主が本件駐車場の一部に砂利を入れたがその他の部分には砂利を入れなかった場合、これを債務不履行と認めるか、またはそれを認めた場合借主の損害額および礼金の返還額をどう算定するかである。

 (判決の要旨)
 裁判所は、本件駐車場は雨が降ると地盤が水を含んだ状態となり駐車車両が自力で脱出できなくなる事態が発生し、その都度他の駐車場から本件駐車場まで2トン車を持っていき脱出不能の車両を牽引せざるを得なかったのに地主は本件駐車場の入口付近に約2台分の砂利を入れたに過ぎなかったのでこれにより、本件駐車場の約半分の使用ができなかったとして賃料の半額相当分についての損害額を認定した。

 また、礼金の返還請求については、礼金の性格を契約期間中の本件駐車場の使用収益に対する対価の一部前払と解して、使用収益ができなかった分についての礼金の返還を認めた。

 (短評)
 貸主は借主に対して賃貸物件を使用収益させるべき義務を負い、右使用収益ができないときは、その使用収益に必要な修繕をすべき義務を負っているが、その修繕義務の具体的な内容および程度については、賃貸物件の種類、性質、使用収益の具体的な内容等によって異なる。

 本件は、修繕義務の具体的な内容程度について、具体的な事案に即して、綿密に算定したものであり、参考となる。

 また、事案によるが、敷金の返還請求以外に、本件において、礼金の返還請求を認めている点は評価できる。

(1994.10.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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