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【Q&A】 昭和30年に口約束で土地を借り、借地契約書が無いままである

2015年11月24日 | 契約・更新・特約

 昭和30年から契約書がないまま借地しているが、
 地主に土地の明渡しを要求された


 (問) 地主から、平成27年(2015年)8月に借地期間が満了するから明渡してくれと言われた。土地を借りた当初から、借地の契約書は作られていなかった。亡父の話しでは、土地を借り、暫らく後の昭和30年(1955年)11月に木造の家を建てて住み始めたと聞いていた。今回、登記簿謄本を調べたところ、亡父の言うとおり、建物の保存登記は昭和30年(1955年)11月20日になっている。地主の請求に対し、どう対処したらいいか。


 (答) 借地契約は、貸主と借主が土地の賃借に合意すれば、口約束であっても成立する。契約書を作成しなくても借地契約は立派に成立する。

 相談者の借地契約は平成4年(1992年)以前に締結されたものであり、その後も継続されている借地契約である。従って、借地の更新に関しては、借地借家法(平成4年8月1日)「施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関しては、なお従前の例による」(<経過措借地契約の更新に関する経過措置>借地借家法附則6条)により、旧「借地法」が適用される。

 借地権を設定する際に、当事者の間で存続期間を定めなかった場合には、その借地権の存続期間を「借地法」で法定している。即ち、期間を定めなかった場合、借地法第2条1項の規定により「堅固な建物の所有を目的とするものについては60年、その他の建物の所有を目的とするものについては30年とする」と規定されている。非堅固の木造建物の場合、借地期間は30年となる。

 口約束で契約した場合、契約日が特定できない場合が多い。そのような場合、判例では、その存続期間の起算点は建物の保存登記日になる(東京地裁 昭和48年5月25日判決)。従って、借地契約は昭和30年(1955年)11月20日から30年の存続期間になる。

(*) なお、契約で建物の種類、構造を定めていないときは、「借地権は堅固な建物以外の建物の所有を目的とするものとみなす」(借地法第3条)と規定されている。

 従って、30年後の昭和60年(1985年)に契約期間は満了する。その契約更新時点で建物が存続し、借地人が土地の使用を継続している場合は、地主がその使用に対し、遅滞なく異議を述べないと、借地契約は前契約と同一の条件をもって設定されたものとして扱われる(借地法第6条1項)。従って契約書が無 くても法律上、借地契約は更新されたものとして取扱われる。それを法定更新といい、借地契約は自動更新され、その場合の期間は木造の場合は20年と法定される(借地法第5条1項)。

 そうすると、昭和60年(1985年)に借地契約は1回目の法定更新(自動更新)がなされ、借地の存続期間20年が確定される。更に、借地契約は平成17年(2005年)に再び法定更新(自動更新)され、借地の存続期間は2025年までが確定されている。

 但し最高裁の判例昭和39(1964)年10月16日判決)では、借地契約が40年以上も前になされ、契約書も無く関係者も死亡して、借地契約の始期を明確に知り難い事情が有ったという事案において、裁判所の審理の結果判明した満了時より1年半を経過して述べ られた異議も遅滞の無いものとして、「遅滞なく」を緩やかに解した判例もある。

 しかし、相談のケースでは、借地契約書も無く、地主の方でも先代の地主が死亡したりして、正確な更新時期がよく解らないとしても10年も経過している以上、遅滞なく異議を述べたとは言えないことは勿論である。借地契約は既に法定更新され、存続期間20年が法定されている。契約は2025年まで確定している以上、土地の明渡に応じる必要はない。借地人に債務不履行等がない限り、地主が一方的に契約を解除することはできない。


 地主側は、第1回目の更新を昭和50年(1975年)、2回目の更新を平成7年(1995年)として、20年後の平成27年(2015年)が契約の満了と考えているのであろう。

  なお、契約期間(2025年)が満了し、借地上に建物が存在すれば、地主から遅滞なく更新拒絶の異議の申立てがあった場合でも、地主の述べる異議には正当事由が必要である(借地法第4条1項、第6条2項)。正当事由の立証責任は地主側にある。
 正当事由があるか否かは、 裁判所によって借地関係の存続を希望する借地人と、終了を望む地主との双方の土地を使用する事情等を総合的に考慮して判断される。裁判所は地主の正当事由を簡単には認めていないので、借地の明渡が認められる事は先ず有り得ない。

 

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【Q&A】 20年の借地契約の途中で堅固建物へ建替えると契約期間は30年に自動的に延長される

2015年06月24日 | 契約・更新・特約

 (問)  平成7(1995)年に父名義で借地の更新をした。その3年後に父が亡くなり、私が借地権を相続した。建物が老朽化していたので、平成15(2003)年に建替承諾料290万円を 支払って木造2階建てから鉄骨4階建てへ建替えた。だが、借地契約書は父名義・存続期間20年のままで、契約書を書換えずにいた。
 地主は20年経ったので借地の更新だと言って坪10万円の更新料を請求してきた。建替承諾を受けて堅固建物を建てたのだから、契約書を取交わさなくても、存続期間 30年の契約に自動的に延長されるのではないか。


 (答) 借地借家法は平成4年8月1日から施行されている。それ以前に設定された借地権については「建物の滅失後の建物築造による借地権の期間の延長に関してはなお、従前の例による。」(借地借家法附則7条)とされている。この場合には旧「借地法」が適用される。

  借地法7条は借主が残存期間を超える耐用年数のある建物を再築することに対して貸主が遅滞ない異議を述べなかった場合、借地権は建物滅失の日から、堅固な 建物については30年間、その他の建物については20年間存続する。但し、残存期間がこれよりも長い時はその期間による。このように建物再築による期間延 長を規定する。即ち再築による法定更新を定めている。

 ここでの「滅失」は「建物滅失の原因が自然的であると人工的であると、借地権者の任意の取壊しであると否とを問わず、建物が滅失した一切の場合を含む」(最高裁昭和38年5月21日判決)。即ち、火事による建物の焼失や地震・台風による建物の倒潰の他に借主が再築のために建物を取壊す場合も含まれる。

 借地法7条にある貸主の異議申立ては、貸主の正当事由は必要がないが、存続期間の延長を妨げるだけのものである。貸主が異議を述べても借主は建物を取り壊す必要はない。従来の存続期間が満了した時は、借地法6条による更新の規定が適用される(最高裁昭和47年2月22日判決)とされているので、借主は法定更新を主張できる。勿論、借地法4条の更新請求による法定更新も主張できる。

 なお、借地法4条、6条による法定更新の場合は朽廃による借地権の消滅が問題になるが、7条による法定更新の場合は期間の途中で朽廃があっても借地権は消滅しない点に違いがある。

  結論、 相談者の場合は、平成15(2003)年に貸主が堅固建物への建替えを承諾しているから、貸主からの異議申立ては無かったことになる。従って、借地法7条の規定から借地権 の存続期間延長の起算点は旧建物滅失した時からである。即ち、旧建物を解体し、取壊しが完了した日が起算点となり、存続期間30年の借地契約が法定され、平成15(2003)年から30年間の借地期間の延長を主張出来る。借地権の存続期間は2033年迄である。
 貸主には18年後が更新時期と主張し、更新料問題に蓋をして、先送りしておけば、問題は終了である。更新料の不払いは18年後の宿題である。

 参考として借地法7条の条文上は存続期間の起算点は「建物滅失の日」となっている。しかし、20年以上も時間が経過すると滅失日が確定できない場合もある。そこで「建物保存登記日」を存続期間の起算点とした例もある(東京地裁昭和48年7月25日判決)。

 また、建替承諾の許可の裁判確定の時を存続期間の起算点とした例もある(千葉地裁昭和43年7月11日判決)。

 借地借家法(7条1項)では「借地権は、承諾があった日又は建物が築造された日のいずれか早い日から20年間存続する。」となっている。

参考法令 (借地法
第7条 借地権の消滅前建物が滅失したる場合に於て残存期間を超えて存続るべき建物の築造に対し土地所有者が遅滞なく異議を述べざりしときは借地権は建物滅失の日より起算し堅固の建物に付ては30年間、其の他の建物に付ては20年間存続す
但し残存期間之より長きときは其の期間に依る

 

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【判例紹介】 借地契約上の無催告解除特約による契約解除の効力が否定された事例

2012年10月17日 | 契約・更新・特約

判例紹介

借地契約上の無催告解除特約による解除の効力が否定された事例 東京地裁平成24年1月13日判決 判例時報2146号)

【事案】
(1) 地主ⅩはAに対し、本件土地を建物所有目的で、期間平成19年12月1日から20年間、賃料月額13万6060円で賃貸した。

(2) この借地契約には、①賃料の滞納額が2か月分に達したとき、②Aにつき競売、破産があったときには、Ⅹは無催告で契約を解除できる旨の特約があった(無催告解除特約)。

(3) 平成21年8月3日 Aは破産宣告を受け、平成22年5月17日本件建物について競売開始決定があった。

(4) Ⅹは、平成22年6月11日 Aに対し、同年4月分と5月分の賃料が破産管財人からもAからも支払われなかったことを理由に本件借地契約を解除した。

(5) Yは平成23年1月4日、競売代金4533万円余りを納付して本件借地権と本件建物を取得した。

(6) そこでⅩは新賃借人Yに対し、建物の収去と土地の明渡を求めて提訴した。


【判決要旨】
1)賃料不払を理由とする解除について
 無催告解除特約は、催告をしなくても不合理とは認められないような事情が存する場合には、催告なしで解除権を行使することが許されるとの趣旨の約定として有効である。

 これを本件についてみると、滞納額2か月分27万2120円は競売代金4533万円余りに比し僅少であること、未払期間は半月から1か月半程度と比較的短く、それ以外に賃料不払いはなかったこと、抵当権者(競売申立人)は裁判所から地代代払許可を得た上で、Ⅹ側に対し、本件解除前に地代代払の意向を何回も電話で伝え、平成22年6月22日には遅延損害金も含め全額供託し、その後も供託をしており、背信性は認められない。

 また、ⅩがAに賃料支払の催告をすれば、Aを通じて借地契約解除の可能性があることを抵当権者が知り、賃料の代払いをすることも十分考えられるのであるから催告をする実益がないとは言えない。

 以上によれば、賃料支払の催告をしないことが不合理とは認められないような事情があったということはできないから、本件解除は無効である。


(2)破産または競売を理由とする解除について
 破産又は競売を理由とする無催告解除の特約が事情の如何を問わず無条件に賃貸人に契約解除権を認めるものであるとすれば借地借家法9条(借地権の存続に関する借地借家法の規定で借地人に不利なものは無効)により無効である。

 この点についても(1)と同じ理由で、無催告で解除しても不合理であるとは認められないような事情があるとも言えないから、本件解除は無効である。


【寸評】
 この判決は、借地・借家契約書にほとんど必ずと言ってよいほど記載のある無催告解除特約について、確立された判例理論に従うものであり、もとより正当である。要するに、無催告解除の特約をそのまま適用すれば不合理である場合はその効力を認めないというものである。「特約」に怯えることはない。

 

(2012.10.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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地主の相続人から契約書の作成要求 (東京・足立区)

2011年08月31日 | 契約・更新・特約

 足立区興野で土地を賃借しているAさんは、今年7月に昨年11月に死亡した地主の相続人から「新しく契約書を作成したいので」という通知をもらった。

すぐに2軒隣の組合役員に相談。役員が契約書を見てみると、契約は平成22年3月で期間が満了し、法定更新に入っているとの説明を受けた。また、組合では更新期日後も地代を受け取っている事実を含め、地主側に内容証明郵便で通知するよう助言した。

 

東京借地借家人新聞より

 

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地主が死亡し、相続が確定していないのに係らず、借地契約の内容を質問 (東京・足立区)

2011年06月20日 | 契約・更新・特約

 2010年11月に組合員のAさんの地主が死亡し、2011年5月に地主の長男の代理人弁護士から手紙が届いた。組合にAさんから、どのような対応をしたらよいのかという相談を受けた。

 手紙の内容は「私は、貴殿の賃貸人Yの代理人としてお願い申し上げます。Yの父Xは平成22年11月に死亡し、長男であるYが父の遺産を相続する手続きをしているところです。Xの死亡で所有する土地の賃貸借の経過が判らず、Yが相続するにあたり、貴殿との間の賃貸借を少し詳しく説明してください」とのことだった。

 Aさんは土地の賃貸借契約書を交わしておらず、現在供託中。組合との話し合いで、疑うわけではないが代理人を名乗るのであればYの実印を押してある委任状を添付してもよいのではないか。

 また、相続人の人数も判らない現状で手続き中とあり不確定な要素もあるので、今回は「Xさんの遺産分割協議が調った時点で、私は賃貸借の詳しい経緯をお話しさせていただきます」との返事を送る予定である。

 

 

東京借地借家人新聞より 

 

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なお続く、借家人いじめ (京都・右京区)

2011年06月15日 | 契約・更新・特約

 約60年間借家住まいをしてきた右京区のAさん。このほど家主の代理人と名乗る会社員がやってきて「今の契約は賃貸契約書がないため、新たに契約書交わしてほしい」と新しい賃貸契約書案なるものを持参してきました。

 内容を読んでみると、今まで無かった更新料規定があったり、契約期間が1年であったりする一方的に家主に有利なものでした。

 さっそく組合に相談されて、どんな契約書でもあるよりは無いほうがよい。それで通用するものだと確信した上で、交渉の糧として、組合作成の賃貸借契約書をもって対処しよう、もし拒否されたなら、契約書を交わすことはないという構えで目下折衝中です。

 

全国借地借家人新聞より

 

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【Q&A】 借地借家法施行前に設定された借地権が施行後に譲渡された場合の存続期間は

2011年05月30日 | 契約・更新・特約

 (問) 私は、昭和49年に建築した借地上の建物(註1)を地主の承諾をえて家屋所有者から平成11年に購入しました。
 この時の借地契約は、旧法が適用されるのでしょうか。また、借地期間はいつまでになるのでしょうか。


 (答) 平成4年8月1日に現行の借地借家法(新借地借家法)が施行されました。それ以前には、借地契約は借地法、借家契約には借家法が適用されていました。

 新借地借家法は、「土地の利用について双方の必要性の度合い」「利用状況」「契約の経緯」のほか、新たに「金銭を提供すること」(立ち退き料)によって正当事由を補完することが加わりました。

 また(さらに)、定期借地制度が加わりました。

 お問合せの方は、平成11年に家屋を購入し、借地契約を締結されておられますので、新借地借家法が適用されることになります。

 新借地借家法による借地期間は、堅固なる建物の場合は、30年以上、更新後も30年の期間となります。木造家屋の場合は、20年以上で更新後も20年の期間となります。

大借連新聞 4月号


 ここからの文章は東京・台東借地借家人組合が記述したものです。


 大借連新聞4月号では以上のように掲載されていた。

 5月号の「お詫びと訂正」で「新借地借家法の適用される借地契約の場合の借地期間の回答が、誤って旧借地法の契約期間で回答していました。改めて新借地借家法が適用する借地契約期間について回答させて頂きます」ということで、(新借地借家法)が追加され、「また」が→「さらに」へ変更されている。

また、以下の説明が、
新借地借家法による借地期間は、堅固なる建物の場合は、30年以上、更新後も30年の期間となります。木造家屋の場合は、20年以上で更新後も20年の期間となります。

次のように加筆訂正された。
 「新借地借家法による借地期間は、従来堅固な建物と非堅固な建物に区別されてきましたが、新借地借家法の適用される借地では堅固・非堅固を問わず一律となりました。
 具体的には、①新規契約の場合は30年以上の契約になります。ただし、合意がない場合は、30年になります。②更新後の存続期間は原則として最初のの更新20年となり、その後は10年となります。
」(大借連新聞 5月号)


 問題点は、上記のことではない。「借地借家法」の施行前(平成4年8月1日)に締結した借地契約の場合で、「借地借家法」(新法)の施行後に借地権の譲渡、又は借地権を相続する場合は、即ち借地人の交代があった場合の存続期間・更新後の期間はどうなるのか。

 その場合、「旧借地法が適用」されるのか、或いは「新法(借地借家法)が適用」されるのかが問題である。

 借地人の権利に関することで重要である。旧借地法が適用されずに借地借家法(新法)が適用されると、借地人の権利は弱められる(註2)。

 大借連新聞では、借地借家法(新法)が適用されると解説されている。果たして、そうなのだろうか。

 「明解Q&A 新借地借家法」(三省堂1992年版)では、「Q18 借地権を譲渡・相続する場合はどうなるか」で新法施行前に借地契約を締結している場合の譲渡・相続に関しては、次のように「Q&A」で説明している。

【Q18】 新法施行前に借地契約を締結しています。新法施行後、借地権を譲渡する場合は、存続期間や更新後の期間はどうなるのでしょうか。また、借地権を相続する場合はどうなるのでしょうか。

【回答】 新法施行後、借地権を譲渡しても、その借地権の内容は従来の契約がそのまま引き継がれ、存続期間や更新後の期間についても旧法が適用されます。借地権を相続する場合も同様です(「明解Q&A 新借地借家法」56頁)。

【解説】►借地権の譲渡  新法施行後、借地権を譲渡する場合、新法施行前に締結された契約の内容がそのまま効力をもちます(法附則4条)。存続期間も更新後の期間も従来の契約のままで、何ら変更されることはありません。

 もっとも借地権の譲渡に際して、存続期間を譲渡のときから20年とか30年とかに延長することはできます。・・・・・また借地権の譲渡に際して、更新後の期間について「これからは新法による」と定めることはできません。更新後の期間について新法の規定は旧法よりも明らかに不利ですので、無効となります。再び借地権を譲渡しても同様です(「明解Q&A 新借地借家法」57頁)。

【解説】►土地の譲渡・相続 新法施行後に、地主が土地を譲渡したり、相続により地主が変わる場合も同様です。新法施行前に締結された契約の内容がそのまま効力をもち、旧法の正当事由の規定が適用されます(「明解Q&A 新借地借家法」90頁)。


地震に伴う法律問題」(近畿弁護士会連合会編(1995年3月16日初版) 社団法人商事法務研究会」でも同様の問題が「Q&A」で取扱われ、次のように解説されている。

【Q2】 私の借地権は、昨年(新法施行後)に前の人から譲渡を受け、地主の承諾を得たものですが、どちらの法律が適用されますか。

【A】 滅失と更新については、借地権の「設定」が新法施行前か後かで適用が分かれます。その「設定」とは、当初の契約時点のことです。その後に、更新が繰り返されたり、借地権の譲渡とか相続があっても当事者が変更しても、当初の契約時点をいいます(一問一答・新しい借地借家法19頁商事法務研究会)。

 したがって、新法施行後に譲渡を受けた借地権でも、当初の借地人の契約が新法施行前ならば旧法の適用となります(「地震に伴う法律問題」2頁)。


 「借地借家法」の改正に際し、法務大臣談話(1991年9月20日発表)が出された。
「特に、現在ある借地・借家関係には、新法の契約の更新及び更新後の法律関係に関する規定を一切適用しないことを法律自体で明らかにしており、現在ある借地・借家関係が新法になっても従前と変わらない扱いを受けるようにしている。」と明確に施行前に設定された借地契約の「更新」及び「更新後の法律関係」に新法が適用されないことを明言している。これらは「借地借家法」の「附則」(法規定)で明確にされている。

 「また、更新の際に、「新法が成立したら、それに応じて契約を改める」ということをあらかじめ特約することを貸主側が要求する例もあると報道されているが、このような特約をすることは法律上許されていない。したがって、貸主からそのようなことを要求されても、それに応じる必要はないし、仮にそのような特約をしてしまっても、その特約は、無効である。」(法務大臣談話)。

 平成3年8月30日の衆議院法務委員会で次にように政府答弁している。
「この法律の施行前にされた借地契約についてはすべて従前の規定が適用される。これをこの借地関係が相続されて相続人に承継され、あるいは他に譲渡されて移転するというようなことがございましても、借地関係は同一性を持って移ることになりますので、やはり旧法の規定に従って更新等が規律されることになる。」


【Q&A】 借地契約書に特約で「建物使用の用途制限」がある

2011年04月26日 | 契約・更新・特約

【問】 借地契約書で、土地上の建物を居宅として使用するとの契約内容になっています。この度、店舗として使用したいと思いますが、地主は承諾しません。どうしたらいいでしょうか。 


【答】 借地契約は、本来、賃貸借の目的物は土地であり、その土地上の建物の所有者は、借地人ですから、建物の使用方法については、借地人の自由であってよいはずなのですが、借地借家法では、借地条件の1つとして建物の用途が入りましたので、今後は借地契約書上に、建物の用途についての制限が加えられるケースが増えてくるものと思われます。

 ところで、これまで、建物の種類について、非堅固建物所有から堅固建物所有へ変更する場合については借地条件の変更に当たるものとして地主の承諾を必要とし、地主の承諾が得られないときには、借地人が裁判所に借地非訟手続の申立をし、裁判所が地主に代わって許可を与える制度がありました。

 今度は、建物の非堅固から堅固への変更の場合だけでなく、建物の種類、構造、規模、用途についての制限がある場合に、その変更につき地主の承諾が得られない場合に、借地人は、裁判所に借地非訟手続の申立をして、裁判所が地主に代わって許可を与える制度になりました(借地借家法17条1項)。

 そこで、借地契約書に、ご質問のような用途制限がある場合、借地人が建物を居宅使用から店舗使用に変更しようとするときには、あらかじめ、地主にその変更についての承諾を求める必要があり、地主が承諾をしなかったり、高額な承諾料を請求するような場合には、借地人は、裁判所に借地非訟手続を申立てる必要があります。もし、この借地非訟手続をとらずに、無断で建物の用途を変更しますと、借地契約違反として契約を解除され、借地権を失う恐れがあります。

 この借地非訟手続を申立てますと、裁判所は、当事者双方から事情を聴き、用途変更の必要性の有無・程度・地主への影響等を判断して許否の決定をすることになります。

 ところで、裁判所が許可を与える場合の財産上の給付(承諾料)については、今後裁判所の決定例の蓄積の中で一定の基準が形成されていくものと思われますが、一般的には、建物の種類、構造の変更許可の場合は増改築許可の場合よりも、低額になると思われます。

 なお、この制度は、既存の借地契約に用途制限がある場合にも適用されますので、用途変更をする場合には、改めて借地契約書を確認してください。

 

東借連常任弁護団解説

Q&A あなたの借地借家法

(東京借地借家人組合連合会編)より


借地条件の変更及び増改築の許可

第17条 建物の種類、構造、規模又は用途を制限する旨の借地条件がある場合において、法令による土地利用の規制の変更、付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更により現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず、借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、当事者の申立てにより、その借地条件を変更することができる。

 増改築を制限する旨の借地条件がある場合において、土地の通常の利用上相当とすべき増改築につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、その増改築についての借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。

 裁判所は、前2項の裁判をする場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、他の借地条件を変更し、財産上の給付を命じ、その他相当の処分をすることができる。

 裁判所は、前3項の裁判をするには、借地権の残存期間、土地の状況、借地に関する従前の経過その他一切の事情を考慮しなければならない。

 転借地権が設定されている場合において、必要があるときは、裁判所は、転借地権者の申立てにより、転借地権とともに借地権につき第1項から第3項までの裁判をすることができる。

 裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、第1項から第3項まで又は前項の裁判をする前に鑑定委員会の意見を聴かなければならない。

 

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【Q&A】 「契約の更新」

2011年03月09日 | 契約・更新・特約

【問】 借家の契約期間が満了したので家主が出ていってくれと突然言ってきました。どうしたらいいでしょうか。


【答】 家主の言い分は、借家契約の更新を拒絶するから借家を明渡してくれということです。家主が借家契約の更新を拒絶する場合、次の要件を満たさなければ更新拒絶はできません。

 第1に、家主は借家期間が満了する1年前から6か月前までの間に借家人に対して更新を拒絶する旨の通知をしなければなりません。借家契約でこの通知の期間を短縮するという約束をしても家主ついては無効です(借地借家法26条1項、同法30条)。

 第2に、第1で述べた更新拒絶の通知をしても、借家人が借家期間満了後も依然として借家を使用している場合は、家主は借家人に遅滞なく異議を述べなければなりません(借地借家法26条2項)。

 第3に、家主に自分の方でどうしてもその借家を使用しなければならない等の正当事由が必要です(借地借家法28条)。この正当事由については【Q&A】 「正当事由とは何か」を参照して下さい。この正当事由は、更新拒絶の通知をした時から借家期間満了の時まで存在しなければなりません。

 家主の更新拒絶がこれら3つの要件満たさない場合には、借家契約は自動的に更新され、前の契約と同じ条件で契約をしたものとみなされます(更新が確定したものとして取扱われる)。これを法定更新といいます。ただし、借家期間については例外で更新後の借家契約は期間の定めのない契約になります(借地借家法26条)。

 ご質問の場合、借家の期間満了後に家主が突然出ていってくれといてきたというこのですから第1の要件を満たしておらず、借家契約は法定更新されています。家主の要求に応じる必要はありません。

 ただ、家主が法定更新後に明渡を求めた場合には、借家契約の解約の申入れと考えられます。なぜなら家主の明渡請求には解約申入れの意味もあるというのが判例(最高裁判所昭和36年11月7日判決)で、法定更新後の借家契約は前記のとおり期間の定めのない契約になり、期間の定めがない場合には家主はいつでも解約の申入れをすることができるからです。

 では、家主から解約の申入れがされると借家契約はどうなるのでしょうか。解約の申入れが次の要件を満たすと、借家契約は解約申入れの日から6か月後に終了することになります(借地借家法27条1項)。

 第1に、解約申入れから6か月経った後も借家人が依然として借家を使用している場合は、家主は借家人に遅滞なく異議を述べなければなりません(借地借家法27条2項)。

 第2に、更新拒絶の場合と同じように、家主に正当事由がなければなりません(借地借家法28条)。この正当事由は、解約申入れのときから6か月間存在しなければなりません。

 これら2つの要件を満たさない場合、借家契約は終了せずに続いていくことになります(借地借家法27条2項)。

 

東借連常任弁護団解説

Q&A あなたの借地借家法

(東京借地借家人組合連合会編)より 

 


借地借家法
建物賃貸借契約の更新等
第26条 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。 

 前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。

 建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。

 

解約による建物賃貸借の終了
第27条 建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6月を経過することによって終了する。

2 前条第2項及び第3項の規定は、建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に準用する。  


建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件
 第28条  建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

 

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【Q&A】 店舗契約で借地借家法を回避する脱法的な経営委託契約があるので要注意

2010年10月05日 | 契約・更新・特約

(問) 5年前から建物所有者から厨房設備一式を居抜きで引継ぎ、テイクアウトの焼餃子屋を営業している。家主は儲かっていると判るや期間満了を理由に明渡し請求をしてきた。
 契約は建物賃貸借ではなく経営委託となっている。貸主は経営には全く関与していない。契約時から委託料は、売上げに関係なく定額となっており、事実上は家賃と同じである。私の場合、借地借家法の適用を受けるのではないのか。



(答) 貸店舗では、契約内容によって借地借家法の保護を受けるかどうかで差異がある。

 ①店舗賃貸借契約。使用者が場所使用の対価として賃料を支払う。当然借地借家法が適用される。

 ②経営委託契約。店舗使用者(借主)は、売上の一定割合を報酬として経営委託者(貸主)に支払う。この場合は、借地借家法の保護はない。貸主はいつでも経営委託契約を解除出来る。借地借家法を回避するための方法として、利用されている。

 今回の相談者と同様の問題で争われた裁判例で検討してみる。賃借人は契約書では経営委託契約になっているが、実質は建物賃貸借であると主張し、賃借権の確認を求めて提訴した。

 裁判所は「契約書では店舗経営委託契約とされているものの、そこでの店舗の経営は経営者の名義で、その計算と裁量により行われ、建物オーナーがその経営に関与することはなく、分配金、共益費の名義の金員は店舗経営による収益にかかわりなく定額であることからすると、本契約は、店舗経営委託契約の性格を持たず、かえって経営者に本件物件を内装、器具を飲食店のために自由に使用収益して、その収益の取得することを許し、その対価として一定額の金員を受領することとする建物賃貸借の性格を有することは明らかである」(大阪高裁平成9年1月17日判決 判例タイムズ941号)

 委託契約か賃貸借契約かの分かれ目は、①店舗の経営が賃借人の裁量で行われ、経営権の実質が受託者(借主)にあるか否か、②委託者(貸主)は毎月一定額の金銭を受領するに過ぎないか否かということにある。相談者の場合は判例に徴しても明らかのように、借地借家法の適用がある建物賃貸借と認められる。

 最終的に裁判所で貸主の正当事由が立証され、店舗の明渡し請求が裁判所によって認められない限り、契約は借地借家法の規定に依って自動的に法定更新される(借地借家法法26~28条)。従って、期間が満了したからといって、勿論契約関係は終了しないし、今後も営業を引続き行えることは当然の事である。

関連記事
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地主に都合のいい特約入りの借地契約書の作成を執拗に要求 (東京・練馬区)

2010年06月23日 | 契約・更新・特約

 練馬区桜台に住むKさんは、5年前に相続した地主から更新期間が満了になるので契約書を作成し、更新料を支払って更新するようにとの通知をもらった。

 組合から「更新の時期、更新料の支払いについての法的な根拠などを示す事を求める」文書を送ったところ地主の回答がなかった。

 その後、契約書が存在しないのでという理由で、一方的に増改築の承諾、更新料の支払い特約などの項目が入った契約書を送りつけてきた。契約書については組合とも相談し、増改築承諾や更新料の支払い特約などが一切ないものを作成したところ、また回答がなくなってしまった。

 その後、毎年5月(契約期間満了の月)になるとさまざまな文書が地主から送られてきた。今年の5月には「屋上に用途不明の建物を設置している。土地賃貸借契約で約定した使用方法に反するので速やかに撤去せよ」と通知してきた。

 組合と相談し、そもそも本契約は契約書が存在しないものであり、増改築の承諾が必要のないと通知を出した。Kさんは「地主は嫌がらせを言って更新料か承諾料が欲しいのではないか。そんなことには負けないで頑張ります」と話した。

 

東京借地借家人新聞より

 

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【Q&A】 両親が死亡し、「契約を解消するか、新規契約をするか」の選択を迫られている

2010年03月25日 | 契約・更新・特約

(問) 私は、父が戦前から借りている借家に住んでいます。父は、3年前に死亡し今年2月に母親も病死しました。家主からは、両親には家を貸したがあなたには貸していないので明け渡して欲しい。応じなければ新規契約をしてもよいが敷金50万円と家賃は10万円の条件になると言い、「契約を解消するか新規契約をするか」の選択をせまられています。どうしたらよいでしょうか。


 (答) 借家の賃借権は、相続されます(註1)。また、内縁関係のある事実上の夫婦については継承されることになっています(註2)。

 お問い合わせの方の場合、家賃は決められた時期にきっちりと支払っていれば賃借権は継承されることになっています。

 ご両親が死亡し、同居していたあなたが同一条件で賃借権を継承できるのですから、改めて契約書を取り交わす義務はありません。また、改めて家賃を改定する必要もありません。

 

 

大借連新聞より

 

 


 

(註1) 民法896条は「相続人は、相続の開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と規定している。

 相続によって遺産は包括的に承継される。遺産中の不動産・動産だけではなく、債券や債務を承継するもので、被相続人の地位の承継と解されている。勿論、借家権も財産的価値を持ち相続され、賃借人の地位も承継される。相続人が数人ある場合には、借家権は共同相続され、それらの相続人が共同賃借人となる。居住していない相続人も借家権を相続することは出来る。


(註2)  借家人が死亡した場合、同居の内縁の配偶者や事実上の養子は、相続人でないから、居住していても、借家権を受け継ぐことが出来ない。従って、居住していた借家に住むことが出来なくなる。

 しかし、死亡した借家人に相続人がいない場合は、借地借家法36条1項によって同居していた内縁の配偶者や事実上の養子が賃借権を承継できると規定し、限定的ではあるが借家権を保護している。

 しかし、相続人がいる場合は、特別の理由がない限り借家権を放棄しないから、内縁の配偶者や事実上の養子の居住権を保護する必要がある。

 そこで、判例は相続人の借家権を同居者が援用して、家主の明渡請求に対抗出来るとしている。事実上の養子の居住権を、家主の明渡請求に対して保護している(最高裁昭和42年4月26日判決)。内縁の妻(最高裁昭和42年2月21日判決)や内縁の夫(最高裁昭和37年12月25日判決)に対しても同様の理由で賃借権の承継を認め、居住権を保護している。

 このように判例と借地借家法36条1項とによって内縁の配偶者や事実上の養子の居住権は保護されている

 また、内縁の配偶者や事実上の養子に対する相続人からの明渡請求は「権利濫用」になり認められないとしている(最高裁昭和39年10月13日判決)。

 なお、借地借家法36条の保護を受けるのは、居住用借家(店舗併用住宅も含む)であって、営業用の借家(店舗、事務所、倉庫、工場)には適用されない。また、保護の適用対象は死亡した借家人と同居していたことが必要である。

 (註1)、(註2)は東京・台東借地借家人組合

借地借家法
(居住用建物の賃貸借の承継)
第36条 居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。
 ただし、相続人なしに死亡したことを知った後1月以内に建物の賃貸人に反対(❊賃借人の権利義務を承継しない旨)の意思を表示したときは、この限りでない。

 

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地主の代理弁護士が更新料と10年の借地契約を要求 (東京・豊島区)

2010年03月11日 | 契約・更新・特約

 豊島区高田に住むYさんは、昨年の9月に地主(寺院)の代理人弁護士から「来年4月に更新期間が満了を迎えるが、当方で自己使用するから更新を拒絶し明け渡すよう求める」との通知書が送られてきた。

 驚いたYさんは、組合に相談に来た。組合では、Yさんに「借地の更新を拒絶し、契約を解除するには正当な事由が必要なこと」を話し、相手の地主が寺院であることなどから自己使用で明け渡しを求めてきても「正当な事由」がないことを説明した。その上で、明渡し請求については拒絶し、建物が存在しているので、更新して引き続き賃借する旨の通知を相手に出すことにした。

 その後、代理人の弁護士から、契約を更新するなら、更新料の支払いと更新契約書案に署名捺印するよう請求してきた。その内容は、更新料支払い特約がなくとも、前回支払ったから当然支払うものであるという見解と更新契約書案もこの借地契約が旧借地法の適用を受けているにもかかわらず更新期間は10年間とするなど到底弁護士が代理人になっているとは思えない中身であった。

 組合と相談し、支払い特約のない更新料については支払わないということと10年という契約期間(✳)の法的不備を指摘した通知書を出すことにした。

 

 

東京借地借家人新聞より

 

(✳)参考記事
【Q&A】 借地更新の条件は期間10年で、更新は今回限りという厳しい内容

【判例】 *更新料支払の慣習を否定し、更新料支払義務なしとした最高裁昭和51年10月1日判決 (1)

【判例】 *更新料支払の慣習を否定し、更新料支払義務なしとした最高裁昭和53年1月24日判決 (2)

【判例紹介】 かつて更新料を支払った事実があっても更新料の合意とは認められない

 

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【Q&A】 「契約書のない建物賃貸借」

2010年02月26日 | 契約・更新・特約

(問) 私は、昨年10月夫をなくしたので、相続人の私の名義で、供託しました。ところが、家主から契約書が届けられ、その中に、「連帯保証人」をつけること、「本契約の終了後の相続権は認めません」との特約事項が記載され、署名捺印して送り返すようにとの申し出を受けました。
 私は、約50年住んでいますが、賃貸契約書を見たこともありません。契約書に印鑑を押して家主へ届けなければなりませんか。


(答) 借家契約(借家権)は、相続することが出来ます。また、元々契約書のない契約であれば改めて契約書を作成することはありません。

 改めて契約書を結ぶと借家人に有利な契約条件よりも不利な条件が求められる事例が多くあります。

 また、契約の更新は、当事者が合意をして契約書を交わすことを「合意更新」と云います。契約書を書き換えずに契約期間が過ぎて契約を継続する場合を「法定更新」と云います。

 ご相談の方は、借家権の相続が認められていますので、改めて新規の契約書を交わす必要はありません。

 どうしても家主との信頼回復のために、新規契約を結ぼうとする場合でも、「連帯保証人」「相続権を放棄する」特約は応じないようにしましょう。

 その結果、話合いができなくなったら、これまで通り、家賃を供託していけば契約は存続します。

 

 

大借連新聞より

 

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借地契約の改悪要求を撥ねつける・・・従前の契約内容で契約書作成 (東京・大田区)

2010年02月15日 | 契約・更新・特約

 大田区南馬込地区の宅地約90坪を賃借しているAさんは、地主代理人の不動産業者から賃貸人及び賃借人の死去による賃貸借契約書の改正の申し入れを了承した。だが、その条件の説明を聞くたびに疑問に思うことが多くなり、弁護士に相談するが理解できず、知人の紹介で組合を知って事務所を訪ねた。

 組合役員が従前の契約等の書類を見て驚いたのは、前事務局長の立会いの下で10数年前に作成したもので、Aさんは直ちに再入会した。

 問題は、新たに権利金や保証金の請求、中途解約・原状回復義務など従前と異なる条件を提示され、さらに仲介手数料の請求をされていることだ。

 組合は直ちに業者を事務所に招いて、今後は組合を通して協議を行うことを申し伝えるとともに、従前の契約作成に当組合の役員が関わっており、契約内容は十分承知していることを確認。従前と同一条件の内容で契約書を作成することで合意した。

 また、長年地代を増額せず近隣より低額であることを踏まえて、税金の上昇分を値上げすることで合意し、この程契約書を取り交わした。

 今度の交渉のカギは、借地権の相続人らが力を合せて対応したことにある。Aさんは、「組合の存在は私たちを励まし今後も相談できるので安心しています」と語っている。

 

 

東京借地借家人新聞より

 

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