東京・台東借地借家人組合1

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新家主が家賃1万円の値上げ請求 (大阪・北区)

2007年06月30日 | 家賃の減額(増額)

 大阪市北区浮田2丁目の路地裏の児童公園わきで、長年にわたってメリヤス縫製業を営んできたAさんは、6年前家主が死去しました。

 死去した家主の建物は戦後からのバラックで未登記のまま地主に地代を収めていました。亡くなった家主には相続人が全く無く、地主は簡裁を通じて建物を譲り受け、平田さんはそれまでの転借を解消し新たな「賃貸借契約を」締結しました。

 6年前の簡裁調停調書で契約は平成19年4月末日までの賃借契約であったため、営業を続けていますが引き続いて賃借を継続したいので、地主に改めて要請したところ、1万円の値上げと契約期間を2年間との意向が伝えられました。敷金の42万円の返還を保留し、家賃・契約期間について現在交渉中です。

 

全国借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 株式会社で商号や経営者が変わっても賃借権の譲渡と認められなかった事例

2007年06月29日 | 譲渡・転貸借

 判例紹介

 商号、資本及び実質的な経営者と異なっていても、株式会社として法人格を取得している以上は、法人としての継続性、同一性を有し、賃借権の譲渡にあたらない賭された事例 (東京地裁民事30部昭和62年7月28日判決、未掲載)

 (事実)
 Yの旧商号時代のA会社は、Xから使用目的に事務所、倉庫の約束で建物を賃借し、酒類の卸小売業を営んでいた。

 旧商号のAの株式は代表者が全株を有するいわゆる個人会社であったが、その代表者が経営の意欲をなくし全株式をB会社に譲渡し、併せて会社の役員も全員辞任してB会社から新役員が送られるに至った。そして、Yの社名もAから別のYとする旨の商号変更をし、従前の経営を継続するに至った。

 Xは右の変更は単なる株式譲渡ではなく、精算を伴う会社の売買であって、実質的には、賃借人の交替があったとみるべきであり、かかる場合には賃貸人と賃借人との間の信頼関係を前提とする賃貸借の特質に鑑み、YはXに対して賃借権を主張出来ないとして、建物の明渡しを求めていた事案である。

 (判示)
 「AとYとは商号も異なり資本及び実質的な経営者も異なっているが、Aが株式会社として法人格を取得している以上は、右の変動は法人としての継続性、同一性を失わせるものではないと言わざるを得ない。もっとも、賃借人が形式的に法人格を有していたとしても、そもそも法人としての実体がなくいわゆる法人格否認の法理の対象となるような場合には、株主あるいは経営主体の交替により、賃借人との関係では別個の法人として扱うべき余地もありうるところであるが、A商店がAの個人的色彩の強い会社であったことは否定できないとしても、そもそも法人としての実体がなくいわゆる法人格否認の法理の対象となるような会社があったとまで認めるべき証拠はない」

 「Aが、商法上の解散手続きを行っていない以上は、前記法人の継続性、同一性の判断を左右しない

 (寸評)
 この事件は、筆者がYの代理人として担当した事件。判旨は法人理論を素直に理解しており当然の結論である。同旨の高裁判決もある(大阪高裁昭和54年6月15日判決)。

 しかし、賃借人が法形式上同一であっても、その実態に変更があり、実質的に賃借人の交替とみなされる場合には、賃借権を主張できないとする判例(東京地裁昭和51年8月23日判決)もある。

 個人の零細法人が多い我国の実態を見ると、単純な判断ができない要素のある事案があるので参考のために紹介した。

(1987.09.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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雇用促進住宅の明渡し請求  (大阪・八尾市 )

2007年06月28日 | 建物明渡(借家)・立退料

 2月28日、財団法人雇用・能力開発機構は、雇用促進住宅に住む1532団地14万1722戸を15年かけて追い出し、更地にして民間デベロッパーへ売却する方針を明らかにしました。

 大阪府八尾市内にある別宮団地もその対象団地でベトナム人など在日外国人を含む約280世帯が住んでおり、今年の3月に「耐震強度不足で老朽家屋のため平成20年3月末までに退去するよう」「機構」から居住者へ通知書が送られてきました。また、在日外国人は、2年間の定期借家契約が圧倒的に多く、既に退去した居住者もいます。

 別宮団地自治会は、4月に「立ち退きに関してのアンケート」を行なった結果、「95%の世帯が引き続いて住み続けたいなど」と回答しています。

 5月18日、別宮団地自治会は、「明渡し問題懇談会」を団地集会所で開き、会場は超満員で場外にはみ出すほどの参加で居住者の深刻さと居住不安に満ちていました。

 この「懇談会」には、大阪法律事務所の寺沢達夫、原野早知子両弁護士と船越康亘大借連会長が参加し、船越会長から2月28日に示された「機構」の新方針について具体的に説明し、「借家法が適用されていることから簡単には明渡しはできない」との「機構」側の説明を報告しました。

 そして、「機構」側の別宮団地に対して、来年3月までに明け渡しを通知していることについては、2人の弁護士から法律で保護されていることを詳しく説明しました。

 居住者は、明渡し訴訟が提訴されても、全員一致して「機構」に対応することを確認しました。
 ベトナム人の1人は、「就職できると居住する場所を確保しなければならないので職業安定所の紹介で定期借家契約が何なのか十分理解できていないまま入居した。明け渡しをいわれても住み換え先も無い。仕事も失いかねない」と深刻に訴える姿が人目を引きました。

 

全国借地借家人新聞より

 

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それまでの家賃の10倍の値上げで家主が調停の申立 (京都)

2007年06月27日 | 家賃の減額(増額)

 安藤・沢田さんはともに戦前から3代続いた借家住まい。

 2003年秋前頃から当時の家主から明け渡しを強要されていましたが、組合に入って拒否をして闘ってきました。以後4度も家主(すべて不動産屋)が変わり、その度に明け渡しを請求され、その度に断固拒否をして闘い続けてきました。

 この度、明け渡し請求を諦めたか、それとも明け渡しを促進するためか、なんと10倍もの賃料値上げの調停を申し立ててきました。

 お2人は、1円の値上げも、まして、明け渡し請求には断固応じない強固な構えで調停に臨む覚悟です。

 

全国借地借家人新聞より

 

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無断転貸と地主が言掛り (静岡・静岡市)

2007年06月26日 | 土地明渡(借地)

 村田さん宅に、地主と宅建業者が訪れ「この土地は戦時中、地主に無断転貸した違法借地だから退去しろ」と古文書を出し退去を迫りました。

 村田さんの相談を受けた静岡借組は実情調査をした結果、名義の違いは相続によるもの、現在は村田名義で賃料を支払っていることが判明。地主に「賃貸借契約は締結されている、退去請求の法的根拠無し。むしろ地代を近隣並に値下げせよ」と要求しました。

 1ヵ月後、地主は「退去しろとは云っていない。賃料を受け取っているので退去請求はできない。賃貸借契約は存続して結構。もし、借地を買い取るとか補償金で退去できないか検討して欲しい」等と180度の変化です。

 高齢の地主の周りに胡散臭い人々の動きがあり、借地人の居住権が脅かされるばかりか、地主も被害者になるのではと心配です。

 

全国借地借家人新聞より

 

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大地主相手に値下げ請求 (静岡・静岡市)

2007年06月25日 | 地代の減額(増額)

 13年前6人の借地人は、市内屈指の大地主より地代値上げを請求され、対立は激化し供託で対抗しました。

 4年前組合に加入、全借連や弁護士の助言指導を受けながら学習会を重ね、適正地代を公租公課の2.5倍に設定し、簡裁に値下げ調停を提起しましたが不調となりました。

 即時地裁に本訴を申し立て、裁判所指名の鑑定士による鑑定結果は、5年前の古い資料を使ったり、類似賃料調査では繁華街の高額賃料を採用したりと酷い内容でした。

 口頭弁論では鑑定書の不備を指摘し値下げを主張し、和解案を引き出すことに成功しました。条件は、最高値下げ率42.5%。地代過払い分とその利息及び鑑定料の半額を解決金として支払う。精算総額1800万円余でした。

  勝利和解の要因は、最後まで6人の団結が保たれ、献身的な弁護団に恵まれ、全借連の援助、何よりも絶対に諦めなかったことでした。

 

全国借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 地代の増額請求に対して5年の短期消滅時効を認めた事例

2007年06月22日 | 地代の減額(増額)

  判例紹介

 月払いの地代は民法169条にいう5年の短期消滅時効にかかりかつ、地代値上げ請求にかかる増加額についても所定の弁済期から消滅時効は進行を始めるとして、提訴5年前までの賃料分に関する適正地代確認の訴を棄却した事例 東京地裁昭和60年10月15日判決、判例時報1210号61頁以下)

 (事案)
 地主Xは借地人Yに対し、土地を賃貸し、昭和43年6月当時賃料は月額2015円であった。
 Xは同43年、46年、48年、52年の各7月にそれぞれ賃料値上げ請求をし、更に55年8月と57年11月にも値上げ請求した。

 YはXによる右値上げ請求を争ったので、Xは同58年12月17日に、適正地代がXの値上げ請求金額であることの確認請求訴訟を提起した。

 Yは、抗弁として、本件賃料債権は月払いであるから、民法169条の5年の短期消滅時効にかかる。したがって、Xが提訴した同58年12月17日より5年前までに支払期日の到来している同53年11月までの賃料債権は、時効によって消滅した。故に消滅した分については適正地代額に確認を求める訴えは、利益がないから棄却すべきであると主張した。

 これに対し地主Xは、消滅時効は権利者が権利を行使しうるときから進行するところ、地代増額請求にかかる増加額について地主の権利行使が可能となるのは、増額を正当とする裁判が確定した時であるから、Yの消滅時効の主張は失当であるとして争った。

 (判旨)
 「本件賃料債権は、民法169条所定の債権に該当する。
 ところで、借地法12条2項は、賃料の増額につき当事者間に協議が調わないときは、増額の請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める賃料を支払えば足り、裁判が確定した場合に、すでに支払った額に不足があるときは、不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払うことを要する旨規定する。

 右規定の趣旨は、賃料の増額請求があったときは、客観的に適正な賃料額に当然に増額の効果を生じ、賃借人はその額の支払義務を負うに至るのであるが、(中略)増額についての裁判が確定するまでの間は、賃借人は、自己が相当と認める賃料を支払う限り、遅滞の責を負わないものとしたのである。(中略)
 したがって、賃料債権自体は発生し、かつ、本来の賃料支払期日に履行期が到来しているものというべきである。

 賃貸人は、その支払を求める給付の訴又はその確定を求める確認の訴を提起して、消滅時効を中断することができ、又、給付判決が確定すれば強制執行をすることも妨げられないのであって、権利を行使するについて特段の障害があるものと解することはできない。
 したがって、右のような増額請求にかかる増加額についても、所定の弁済期から消滅時効が進行を始めるものと解するべきである。

 具体的な給付請求権が時効消滅した場合には、他に特段の必要のない限り、もはや確認の利益は失われるものと解すべきである。」と、5年前までの請求を棄却した。

(1987.03.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 


 

地代の増額請求で今回と同様に消滅時効が認められた判例(名古屋地裁昭和59年5月15日判決

  民法
 (定期給付債権の短期消滅時効)
第169条
 年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、5年間行使しないときは、消滅する。

 

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【判例紹介】 *土地賃貸借権の時効取得が認められるとされた事例

2007年06月21日 | 借地権

  判例紹介

 土地賃貸借権の時効取得が認められるとされた事例 (最高裁昭和62年6月5日判決 判例時報 1260号7頁)

 (事実)
 賃借人は昭和25年5月に平野善徳から建物を買い所有権移転登記受け、土地は地代年1600円の約束で賃借して地代を平野善徳に支払っていたが、昭和55年になると、磯野吉太郎という人から、土地の所有者は自分であるから建物を収去して土地を明渡して貰いたいと要求された。

 登記簿上の所有名義は磯野吉太郎になっていた。賃借人は、所有者でない人から借地したわけであるが、土地所有者からの土地明渡請求に対して賃借権を時効取得したので明渡す義務はないと争った。

 1・2審とも賃借人の時効取得の主張が認められ、最高裁判所も賃借人の主張を認めた。

 (判決要旨)
 他人の土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、その用益が賃借の意思に基づくものであることが客観的に表現されているときには、民法163条により、土地の賃借権を時効取得するものと解すべきことは、当裁判所の判例)とする所であり、他人の土地の所有者と称する者の間で締結された賃貸借契約に基づいて、賃借人が平穏公然に土地の継続的な用益をし、かつ、賃料の支払いを継続しているときは、前記の要件を満たすものとして、賃借人は、民法163条所定の時効期間の経過により、土地の所有者に対する関係において右土地の賃借権を時効取得するに至ると解するのが相当である。

 これを本件についてみると、本件土地は、磯野泉蔵の所有であったが磯野吉太郎が相続したこと、昭和3年に磯野泉蔵から土地の提供を受けて平野定次が建物を建てて居住していたところ平野善徳が建物を相続したこと、賃借人は昭和25年5月12日平野善徳から建物を買受け、土地については賃貸借契約を結び、平野善徳に賃料を支払って居住してきたこと、昭和55年まで磯野吉太郎から土地の明渡しを求められたことがなかったこと、以上の事実関係のもとにおいては、賃借人の本件土地の継続的な用益が賃借に基づくものであることが客観的に表現されているものと認めるのが相当であるから、20年を経過した昭和45年5月12日に土地賃貸借権を時効取得したものということができる。

 (解説)
 賃借権も時効取得できるということが最高裁判所の判例になっている。時効というのは、既成事実が長期間続くと無権利者も権利者に変えてしまう効力がある。それだけに、裁判の実際では、時効を認めてもらうのは簡単ではない。

(1988.04.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 


  

最高裁昭和43(1968)年10月8日判決(最高裁判所民事判例集22巻10号2145頁)がある。


(所有権の取得時効)
第162条 20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。

 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

 

(所有権以外の財産権の取得時効)
第163条 所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、前条の区別に従い20年又は10年を経過した後、その権利を取得する。

 

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雨漏りで賃料半額提供 (東京・葛飾区)

2007年06月19日 | 修理・改修(借家)

 葛飾区内で美容業を営んでいるAさんは、1年前より雨漏りの修繕工事を貸主に要求してきた。

 1階は雨が壁を伝わり、2階はポトリポトリと数箇所において桶をいくつか置く始末。畳は使い物にならず、再三貸主に修繕を要求したが工事は始まらない。リフォームの工事業者が見積もりをしても家主と金額で合意できず、一向に工事を実行に移す事はなく畳のカビに悩まされ、2階は使用不能。

 この間現家賃8万5000円を支払うことに納得できず、再度期日までに雨漏りストップの工事を完了しない場合には賃料を2分の1とする旨を文書で通知した。家主はこれに対し無視の態度をとった。

 Aさんは貸主代理人に賃料の半額を持参。代理人はしぶしぶ受領した。その後半年家主より何の反応もない。半額の賃料提供については争ってもよいと心に決めた賃借人の実力行使である。

 

東京借地借家人新聞より

 

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明渡調停で納得のできる条件で和解 (東京・大田区)

2007年06月18日 | 建物明渡(借家)・立退料

     納得のできる条件で和解
        組合で学び自信を持って調停に

 大田区大森南*丁目所在の木造トタン葺2階建工場兼共同住宅の内、2階部分の居宅兼作業所約37・95㎡を賃借していたMさんが、移転先で感想を述べた。

 明渡しを求められた約7年前は家主に逆らうなんて考えられなかった。明渡しを拒否すれば何をいわれるかと心配していたが組合に入会して借家人として権利を主張することの大切さは知った。弁護士から改めて、明渡し請求の内容証明郵便が届くと、驚き不安も募ったが、組合は直ちに明渡しを拒否し交渉は組合を通すよう通告した。また、受領拒否された家賃も組合で供託手続きをしてくれたので安心したという。

 しかし、自分以外の居住者はすでに立退き、工場も閉鎖された時は心穏やかではなかったという。しかも工場の上に共同住宅を増築したので最近特に地震でのゆれが気になっていた。

 そんな時、明渡しの調停裁判となってびっくりしたというが、組合の研修会にも参加しているMさんは、これはチャンスと自信を持って調停裁判に臨み、納得出来る条件で合意。

 徒歩3分のマンションに住み替えて、東南角の部屋は明るくて風通しも良いし仕事の顧客も増えて笑顔で「こんなにタイミングがよく幸運が舞い込んできてよいのだろうかと、これも組合員になって権利を主張することが出来たから」と喜んでいた。

 

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 地代を固定資産税及び都市計画税の2.4倍とする約定を認めた事例

2007年06月16日 | 地代の減額(増額)

 判例紹介

 1、最近における固定資産税の増徴にかかわらず土地の賃料を固定資産税及び都市計画税の税額の2.4倍とする約定が合理性を失わない。
 2、土地の固定資産税の評価額は土地の収益力を資本還元した収益還元価格を超えることはできない。 (
東京高裁平成9年6月5日判決、判例タイムズ940号280頁以下)

 (事案の概要)
 東京銀座の土地(借地)上にある建物の増額請求を求める賃料の確認訴訟。家主は従前の賃料が近隣の賃料と比較して低額であるとして、最近における固定資産税等の増額に伴い、建物敷地の地代額が急激に上昇したため、家主が建物の賃料に転嫁しようとして大幅な賃料の増額を求めていた。一審判決は不動産鑑定の結果をそのまま採用したが、家主はこれを不服治して控訴していた事案。

 家主は、従前の賃料近隣に比較して低く、同一建物の他の貸室の賃料の5分の1に過ぎないことを一審の鑑定は無視していること、鑑定による増額後の賃料でも、家主は高騰した地代を含む経費を支払えば損失が出ること等を理由に鑑定は採用すべきでないと主張した。

 一方、借主は、最近のように固定資産税等が急激に上昇している状況のもとでは、土地の地代を固定資産税額の2.4倍とする土地所有者と借地人である家主との間の約定は、合理性を失っており、その効力はないから家主は土地所有者に対して右倍率による地代を支払う義務はないと争った。そこで右地代改定の約定の効力が争点となった事案である。

 (判旨)
 「もともと土地の固定資産税等は、土地の所有者がその土地を相当な地代で他に賃貸するなど、これを有効利用している場合にはその土地からあげることの可能な(実際に上げているということでない。)収益(賃貸の場合で権利金等の授受がなけれ賃料)の範囲内において、その一部を納税資金に充てることにより、納税することが可能であることを前提として算出される仕組みとなっている。

 すなわち固定資産税の標準税率の合計は1.7%となっているが、この税率は土地からあがる収益が固定資産税評価額のおおよそ5%程度であると想定し……その約5%の収益の内、約3分の1の1.7%を税金として徴収するという、大きな枠組未を前提として算定されている。

 ……最近における固定資産税評価の評価が土地の収益を過大に評価し収益力に見合う金額(程の収益還元価格)を上回る違法なものであるならば格別、そうでない限り固定資産税等の金額を2.4倍した金額を地代とする旨の当事者間の合意は合理性を失っていないのであって、その努力を否定するものとはいえない

 (寸評)
 判旨は税金の2.4倍を適正としているが、固定資産税の法的性質や税率の在り方など税法、税政策をほり下げたところから考えなければならない問題を含んでおり、この判決の基本認識の是非について検討する必要がある。

(1997.11.)

(東借連常任弁護団)

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【判例紹介】 賃借人の通常使用による建物の損耗・汚損の修復費は保証金の償却費の中に含まれる

2007年06月15日 | 敷金・保証金・原状回復に関する判例等

 判例紹介

 賃借人が通常使用することによって生ずる建物の損耗・汚損の修復費は、解約時の保証金の償却費の中に含まれるとされた事例 大阪高裁平成6年12月13日判決、判例時報1540号52頁)

 (事件の概要)
 XはYからビルの一室を賃貸したが、それには2つの特約があった。①保証金特約=保証金は160万円とし、YはXに解約時に100万円を控除した60万円を返還する。②損害特約=Xは貸室内の建具、壁、天井、床その他貸室及びその関連するすべてに対し、故意又は過失により損傷を与えたときは、別途その損料を支払う。

 Xは契約締結後1年2カ月経過した時点で解約して明渡し、保証金特約に従って60万円の返還を求めた。

 これに対しYは、Xが契約期間中に室内を損傷したためその修復費用として60万円が必要であるとして右の②損害特約に基づき、原状回復支払債務60万円と保証金返還債務60万円と相殺したとして、返還を拒否した。

 (判決要旨)
 1審の大阪簡裁、2審の大阪地裁とも、本件貸室の内部に、流し台東横の柱の下部などの顕著な汚れ、北西隅の柱のクロス剥がれ、入口ドア木枠の削れ、南壁のねじ釘穴、床の染みやPタイルの損傷があったことを認定し、Yの主張を入れてXの請求を棄却した。

 これに対し上告審の大阪高裁は、損傷については1・2審と同じ認定をしたが、3点にわたって疑問を呈示し、この疑問点を解明するために大阪地裁の判決を破棄し同地裁に差戻して審理のやり直しを命じた。

 3点のうちの1点は前記②損害特約の関するもので、次のように判示している。「本件特約にいう損傷には、賃借人による賃借物の通常によって生ずる程度の損耗・汚損は含まれないものと解するのが相当であり、特に、本件特約契約における保証金160万円は、契約終了時には約60%にもあたる100万円を控除して返還するものとされていることからすれば、右のような通常使用によって生ずる損耗・汚損の原状回復費用は、右保証金から控除される額によって補償されることを予定しているものというべきである」。

 (寸評)
 僅か1年2カ月しかいない借家人から保証金160万円を全額取り上げてしまおうというのであるから相当な悪徳家主である。判決は当然である。

 ただ一つ疑問なのは、前記の①の保証金特約がなくても、②の損害特約にいう「損傷」には通常の使用によって生ずる程度の損傷は含まれないと判示していると読めるかどうかである。判決文の「特に」以下が気になるところであるが、右に引用した部分以外も含めた判決文全体からの構成からすればそのように読んでも差し支えない。近時、敷金返還問題が多発している折、借家人に有利な判決として活用の余地がある。

(1996.10.)

(東借連常任弁護団)

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【判例紹介】 公道に面する一筆の土地の内公道に接しない賃借人に通行権を認めた事例

2007年06月12日 | 借地の諸問題

 判例紹介

 公道に面する一筆の土地に面する部分が所有者によって使用され公道に接しない残余の部分が賃貸された場合に、賃借人に通行権を認めた事例 (東京地裁昭和62年5月27日判決、判例時報1269合89頁以下)

 (事案)
 X(借地人)の先代は、Y(1)から乙土地を賃借して、同土地上に建物を建築して所有していたが、死亡してXが賃借人の地位を承継。

 乙土地は、4つの地番の各土地に囲繞されていて公道に接しない。各土地のうち甲土地はY(1)の所有であった。その土地の持分の一部を妻のY(2)に贈与し共有となっており、甲土地の東側は公道に面し西側は乙土地に接している。

 (その余の3つの土地は第三者の所有地)Xの先代は、賃借当初には甲土地内の南側境界線から北側に幅約3mの通路を開設させ、そこを日常的に通行していた。その後、通路は甲と地上の建物の拡張で幅員が約1.8mに狭められたが、約20年にわたり通路として使用。

 その後、Y(1)が、甲と地上の建物の増築に際し、建築確認の都合上、前記通行を建築確認が終了まで見合せてほしいと要望し、Xの先代は、北側に隣接する第三者所有の丙土地の空地部分をその者の好意で通行する至った。

 ところが、Y(1)は甲土地と乙土地との堺にブロック塀を設置したため、甲土地内の通行が事実上不可能となり、XもY(1)に通路の再開を求めないままに丙土地を通行していた。

 ところが、丙土地の所有者が同地にマンションを建築する計画を立て、Xに対し丙土地の通行をやめ、甲土地の通行を求めことから、Xは、Y(1)、甲地に隣接する丁土地所有者、丙土地所有者の間で、Xの通行について協議し、その結果、Y(1)は甲土地内に従前と同様に幅員1.8mの通路を再開し妨害物除去費用はXの負担とする。丙土地所有者は工事完成後にXに対し従前通りの通行を認める等の合意が成立。

 ところがY(1)、Y(2)は、約定の通路内にブロック塀、鉄階段、物置を設置したまま、前記合意成立直後頃からXに対し丙土地の通行をすべきとして約束を履行しないため、XがY(1)に対し、乙土地の賃借権を有することの効果として、又は前記合意に基づき、Y(2)対しては、賃借権に基づく囲繞地通行権又は前記合意に基づき、通路の使用妨害禁止および工作物の収去を求めた事案。

 (判旨)
 「公道に面する一筆の土地の所有者が、その土地のうち公道に面しない部分を賃借し、その残余の公道に面する部分を自ら使用している場合には、所有者と賃借人との間において通行に関する別段の特約をしていなかったときでも、所有者は賃借人に対し賃貸借に基づく賃貸義務の一内容として残余地を当該賃貸借契約の目的に応じて通行させる義務があるものと解される最高裁昭和44年11月13日判決)判時582号65頁」。

 「(略)賃貸人であるY(1)が準袋地を使用収益させることの義務の一内容としての、甲地を通行させる義務は、潜在的には、依然として存続していたものというべきである」

 (寸評)
 類似事案は多い.判旨の前段部分には異論はなかろう.後段の判断は事実関係に左右される。

(1988.11.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 賃貸マンションの保証金償却分の追加補充を認めなかった事例

2007年06月09日 | 敷金・保証金・原状回復に関する判例等

 判例紹介

 賃貸マンションの契約書の「更新の際には保証金を償却し、賃借人はその不足分を追加補充する」という特約は無効であり、保証金の補充を否定した事例 東京地裁昭和63年8月26日判決

 (事実)
 マンション賃借人Xは昭和48年、鉄筋コンクリート造7階建の3階を賃貸人Yより借りた。
 契約書の中には「更新の際は保証金を賃料の2.5か月分を償却し、改定後の新家賃の5か月分になるように追加差し入れる」との特約がある。

 Xは昭和50年と52年の更新の時には追加補充したが、54年の更新では特約が無効だと主張して保証金の追加を拒否したので、Yはその支払いと賃料値上げを求めて訴訟を起した。

 調停に回され、そこで(1)賃料は据置き、(2)Xは解決金を支払う、(3)契約条件は従前通り、と口頭で合意に達したが、調停委員が書くべきところの調書をYの代理人弁護士に書かせたために「解決金」を「保証金の償却補充分」にさせられていた。
 しかしXは解決金と書いていると思い、裁判書に異議をを唱えなかった。

 その後、昭和58年と60年にYは賃料値上げと保証金償却分追加補充を請求したが、Xは再契約書を交わしていない法定更新を主張し、保証金の追加の支払を断った。

 本件は昭和61年に、56年・58年及び60年の各更新は合意であり、特約に従って保証金の償却分の追加を求めて、Yが訴訟を起こしたものである。

 (判決)
 1、昭和52年と54年における更新で、保証金を償却して追加補充することに合意した点は当事者間に争いは無いものの、借家法第1条ノ2、第2条、6条によって賃貸借期間を定めた場合であっても、賃貸人は正当事由がない以上はその更新を拒絶することはできないし、賃貸借は従前の賃貸借と同一の条件をもって法定更新されるものとされ、右規定に反する特約で賃借人に不利なものは無効とされている。

 2、従って、Yが主張する昭和56年、58年および60年の各更新を合意更新と認める根拠はない。Yの追加保証金の請求には理由がない。

 (寸評)
 最近は初めの契約のときに更新料の支払い、或は保証金の追加の特約が入っている契約書に署名させられるケースが増えている。
 対価のない更新料は不当なものであるが、支払約束のあるものは有効とする判決が出ている中で、これを無効とした判決の意義は大きい。

(1989.03.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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シックハウスで退去したが、高額な原状回復費用の請求を受ける (東京・練馬区)

2007年06月08日 | 敷金(保証金)・原状回復・消費者契約法

 練馬区に住む山下さんは、シンナーなどに過敏に反応するアレルギー性の体質(化学物質過敏症・シックハウス症候群)であった。今年初め家主は、いきなり外壁の塗装工事を行ったために住み続けることが出来なくなってしまった。

 退去することにしたところ原状回復費用は50万から100万はかかるかもしれないと通知された。襖や障子のガラスなどが壊れていたり、穴があいている所もあるが、余りにも高額な原状回復費用の請求であるので、東京都のガイドラインのコピーを渡すことにした。

 明渡しの当日、本人の父親が組合の名刺とこのコピーを渡したところ貸主から組合に電話があった。組合は借主の過失の部分もあることを認めると共に原状回復はガイドラインにそって請求するよう通知した。

 貸主の態度は激変し、敷金の枠内で原状回復を行うのでいますぐ了解してほしいと父親にいってきた。余りの変わりようにびっくりした父親は「このような結果になるとは想像していなかった。あまりの結果に感動しました。今後、何かお手伝いできることがありましたら、できる範囲で協力します」と語った。

 

東京借地借家人新聞より

 

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