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【判例紹介】 *貸主の失火で焼失した賃貸建物の商品について貸主の賠償を認めた事例

2007年01月30日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

   判例紹介

 建物賃貸人の失火による火災で焼失した賃貸建物の衣料品類の損害について賃貸人の債務不履行責任を認めた事例最高裁平成3年10月17日判決 判例時報1404号)

 (事件)
 本事件の賃貸建物は木造2階建である。賃借人は、1階の道路側部分と衣料品類販売店舗として賃借し、1階の裏部分と2階は賃貸人が居住として使用していた。昭和55年2月、賃貸人の風呂場から失火し、借家店舗も焼け、中の商品、内装等が燃えてしまった。借家人は、損害賠償として2000万円を請求して裁判を起した。借家人は地方裁判所で敗訴、高等裁判所で勝訴、本判決は、その後の最高裁のものである。

 (判決の要旨)
 「上告人(賃貸人)は、その所有に係る木造2階建の本件建物の1階1部を総合衣料品類販売店舗として被上告人(借家人)に賃貸し、その余の1階部分及び2階全部を自ら住居として使用していた。本件建物の火気は、主として上告人の使用部分にあり、上告人の火気の取扱いの不注意によって失火するときは、被上告人の賃貸部分に蔵置保管されている衣料品類も被害が及ぶことが当然予測されていたところ、上告人の使用部分である1階風呂場の火気の取扱いの不注意に起因する本件失火によって被上告人の賃貸部分に蔵置保管されている衣料品類も被害が焼失し、被上告人はその価額に相当する損害を被ったものというべきであるから、上告人は右被害について賃貸人として信義則上債務不履行に損害賠償義務を負うと解するのが相当である。

 (解説)
 失火による損害賠償義務については法律が込み入っている。家事を出した人と被害を受けた人が、単に隣近所にいたというだけの間柄であったときは、失火の責任に関する法律によって、不始末の程度がよほど重いときでなければ損害賠償の義務はないが、本件のように建物賃貸借関係にあるときは、不注意が特に重くなくとも損害賠償義務がある。賃貸人は建物を貸す義務があるし、賃借人は借りた建物を良心的に保管する義務があり、お互いに建物に関し特別の義務を負担し合っているから、失火の責任に関する法律は適用されない。

 本件では、建物賃貸人の失火なので、賃貸人に、火事によって賃借人が被った損害を賠償する義務が発生したわけだが、何処まで賠償すべきかが問題になった。建物を貸せなくなったことによる転居費用などの他に、賃貸建物内に置いてあった商品等についても、賠償する義務があるといたのが本判決である。
 なお、本件では賃貸人の失火であるが、賃借人の失火においても理屈は同じ。

(1992.04.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 底地を買い受けた第三者が、背信的悪意者とされた事例

2007年01月27日 | 地上げ・借地権(底地)売買

   判例紹介

 底地を買い受けた第三者が、背信的悪意者とされた事例 東京地裁平成3年6月28日判決、判例時報1425号89頁)

 (事実)
 数人の借地人から、借地権を譲り受けたものが、借地上の建物を取壊したところ、地主が底地を第三者に譲渡し、その第三者が、借地権の譲受人に対し、借地権の存在を否認した。

 これに対し、借地権譲受人が、その第三者を相手どって、借地権確認の訴訟を提起した事案である。

 (争点)
 借地権譲受人は、建物所有権移転登記無くして新土地所有者に対抗できるか、すなわち底地を買い受けた第三者は、背信的悪意者であるか。

 (判決の要旨)
 借地人が建物を取壊した土地について、新土地所有者に対して、建物無しに借地権を対抗することができるか問題となるところ、本件において、新土地所有者は借地権譲受人と旧土地所有者との間の協定(堅固建物を建築する予定、そのために借地権を買い進む予定)およびその後の借地権譲受人の借地権買い進みと、借地上の10筆の建物のうち7筆の建物を取り壊したことを知って、借地権の存在を否定すれば莫大な利益を手にすることができると考えて底地を安価で取得したものであり、このような事情、目的でなされた行為はもはや自由競争の範囲以内にある正当な取引行為として是認することはできず対抗要件の欠缺を主張することについて正当な利益を有するとは言えないとして、借地上の建物が無いために対抗要件の存在しない土地についての借地権も新土地所有者に対抗できると判示した。

 (短評)
 原則は、借地人は、借地上の建物が存在しその建物について登記がなされていない場合には、建物保護法第1条(借地借家法10条1項)に基づき新土地所有者に対して対抗できないとされている

 しかし、例外的に、新土地所有者が背信的悪意者の場合には、借地人は建物登記がなくても対抗できるとされる。

 ところで、世上では、借地上の建物を登記していない例がまま見られるところであるが、本件のように背信的悪意者と認定されるケースばかりではないので、原則にしたがって、早急に建物を登記するように注意する必要がある。

 なお、借地借家法10条2条で、既存の借地契約についても、建物の滅失があった場合、滅失から2年間は掲示をしておけば建物が無くても対抗力が失われないようになったので、この点も留意する必要がある。

 

(1992.10.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


 


 借地借家法
 (借地権の対抗力等)
第10条 借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。

 前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から2年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。

 

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【判例】 大阪高裁平成18年5月23日判決(敷金返還請求)

2007年01月25日 | 敷金・保証金・原状回復に関する判例等

 判例紹介

平成18年5月23日大阪高等裁判所判決言渡
平成17年(ネ)第3567号敷金返還請求控訴事件
(原審 京都地方裁判所平成16年(ワ)第2671号)

 営業用物件の賃貸借契約において、賃貸借物件の通常損耗分の原状回復費用を賃借人に負担させる旨の特約の合意があると認めることはできないとされた事例


                   判      決

                 主      文

1 原判決を次のとおり変更する。
(1) 被控訴人は,控訴人に対し,55万8600円及びこれに対する平成16年2月14日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
(2) 控訴人のその余の請求を棄却する。
2 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。

 


                   事 実 及 び 理 由

第1 当事者の求めた裁判
1 控訴人
(1) 原判決を取り消す。
(2) 被控訴人は,控訴人に対し,55万8600円及びこれに対する平成16年1月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
(3) 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。


2 被控訴人
(1) 本件控訴を棄却する。
(2) 控訴費用は,控訴人の負担とする。

第2 事案の概要
1 本件は,株式会社A(以下「A」という。)を賃貸人,控訴人を賃借人とする建物賃貸借契約の終了後,控訴人が,Aの承継人である被控訴人に対し,Aに預託した敷金140万円から,約定の敷金控除額42万円,未払光熱費2万2114円及び既に返還を受けた39万9286円を控除した残額55万8600円の返還と,これに対する賃借建物の明渡し後の平成16年1月1日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払いを求めたのに対し,被控訴人が,1前記賃貸借契約には,通常の使用に伴う損耗(以下「通常損耗」という。)を含めて,賃借人の負担で契約締結当時の原状に回復する旨の特約がある,2約定の敷金控除額42万円に対する消費税相当額2万1000円は賃借人が負担すべきである等と主張して,敷金140万円から,約定の敷金控除額とこれに消費税相当額を加えた44万1000円,未払光熱費2万2114円,原状回復費53万7600円及び既払金39万9286円を控除すると,控訴人に返還すべき敷金残額はない等として争った事案である。

 本件訴えは,京都簡易裁判所に提起され,当初は同裁判所が審理していたが,その後京都地方裁判所に移送された。
  原審である京都地方裁判所は,上記1の特約の存在を認める等して,控訴人の請求を棄却する判決をした。これに対し,控訴人が,請求を認容することを求めて控訴した。


2 基礎となる事実
原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の「1 基礎となる事実」と同じであるから,これを引用する。

3 争点及び争点に対する当事者の主張
原判決8頁9行目の「付帯請求」を「附帯請求」に改めるほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の「2 争点及び争点に対する当事者の主張」と同じであるから,これを引用する。

第3 当裁判所の判断
1 無権代理か否かについて
 当裁判所も,Bが,京都簡易裁判所で控訴人の訴訟代理人として行った訴訟行為は有効であると解する。その理由は,原判決の「事実及び理由」中の「第3 争点に対する判断」の「1 争点(1)について」と同じであるから,これを引用する。

2 原状回復義務についての特約の成否について
(1) 認定事実
 次のとおり補正するほか,原判決の「事実及び理由」中の「第3 争点に対する判断」の「2 争点(2)及び(3)について」の「(1)」と同じであるからこれを引用する。
ア 10頁17行目の「15」を「17」に改める。
イ 12頁6行目の次に改行して,次のとおり加える。
「エ 被控訴人は,控訴人から本件貸室の明渡しを受けた後,本件貸室について全く内装工事を行わないまま,平成16年12月10日から,Cに賃貸している。」


(2) 判断
そこで,本件賃貸借契約において,通常損耗も含めて控訴人が原状回復義務を負う旨の特約が締結されたか否かについて,検討する。

ア 建物の賃借人は,賃貸借契約が終了した場合には,賃借物件を原状に回復して返還する義務があるところ,賃貸借契約は,賃借人による賃借物件の使用とその対価として賃料の支払を内容とするものであり,賃借物件の損耗の発生は,賃貸借という契約の本質上当然に予定されているものである。そのため,建物の賃貸借においては,通常損耗により生ずる投下資本の減価の回収は,通常,減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行われている。そうすると,建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは,賃借人に予期しない特別の負担を課することになるから,賃借人に同義務が認められるためには,少なくとも,賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているか,仮に賃貸借契約書では明らかでない場合には,賃貸人が口頭により説明し,賃借人がその旨を明確に認識し,それを合意の内容としたものと認められるなど,その旨の特約が明確に合意されていることが必要であると解するのが相当である(最高裁判所平成17年12月16日第二小法廷判決・裁判所時報1402号6頁参照)。

イ これを本件についてみると,前記のとおり,本件賃貸借契約には,契約が期間満了または解約により終了するときは,終了日までに,賃借人は本件貸室内の物品等一切を搬出し,賃借人の設置した内装造作諸設備を撤去し,本件貸室を原状に修復して賃貸人に明け渡すものとするとの条項(本件賃貸借契約書22条1項)がある。

 しかしながら,上記の条項は,その文言に照らし,賃借人の用途に応じて賃借人が室内諸設備等を変更した場合等の原状回復費用の負担や一般的な原状回復義務について定めたものであり,この規定が,賃借人が賃貸物件に変更等を施さずに使用した場合に生じる通常損耗分についてまで,賃借人に原状回復義務を認める特約を定めたものと解することはできない。

 したがって,同条項は,賃借人が通常損耗について補修費用を負担すること及び賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲を明記するものでないことは明らかであり,また,本件全証拠によっても,賃貸人がこれらの点を口頭により説明し,賃借人がその旨を明確に認識し,それを合意の内容としたと認められるなど,その旨の特約が明確に合意されていることを認めるに足りる証拠はないから,本件賃貸借契約において,通常損耗分についても控訴人が原状回復義務を負う旨の特約があることを認めることはできない。

ウ 被控訴人は,1営業用物件の場合には,賃借人の用途はさまざまであり,賃借人の用途に応じて,室内諸造作及び諸設備の新設,移設,増設,除去,変更が予定され,原状回復費用は,賃貸人に予測できない賃借人の使用方法によって左右されるから,賃貸人が,通常損耗の原状回復費用を予め賃料に含めて徴収することは不可能であること,2本件賃貸借契約においては,そのような営業用物件の賃貸借契約の特徴を踏まえて,15条及び16条において,内装の変更工事等について,事前に賃貸人の書面による承諾を得た上で,賃借人の責任と費用負担により,賃貸人の指定した工事人によって行うものとされ,修繕についても,共用部分及び賃借人の所有以外の造作,設備の破損もしくは故障に関する修繕は,賃借人の通知により,賃貸人が必要と認めたもののみその費用を負担して実施し,貸室内の建具類,ブラインド,ガラス,照明器具,スイッチ,コンセント等および付属品の修繕や貸室内の壁,天井,床等に関する修繕(塗装および貼り替えを含む。)は賃借人の負担とするものとされ,22条において,賃借人に対し,原状回復義務を負わせていることを挙げ,本件賃貸借契約中には,通常損耗分についても控訴人が原状回復義務を負う旨の特約があると主張する。

 しかしながら,前示のとおり,賃借物件の損耗の発生は,賃貸借という契約の本質上当然に予定されているものであって,営業用物件であるからといって,通常損耗に係る投下資本の減価の回収を,減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行うことが不可能であるということはできず,また,被控訴人が主張する本件賃貸借契約の条項を検討しても,賃借人が通常損耗について補修費用を負担することが明確に合意されているということはできないから,被控訴人の上記主張は,採用することができない。

3 本件貸室の汚損等状況及び原状回復費用の額について
(1) 本件貸室の汚損等の状況は,前記2(1)において引用する原判決記載のとおりであり,これらの汚損等の内容及び程度,被控訴人がこれらの汚損について全く補修することなく,新たに賃貸していること並びに「原状回復をめぐるトラブルガイドライン(改訂版)」(国土交通省住宅局)別表1(甲15)において家具の設置による床,カーペットのへこみ,設置跡,フローリングの色落ち,生活必需品であるエアコンの設置による壁のビス穴等が通常の使い方をしていても発生する損耗に区分されていることに照らすと,これらの汚損等が通常損耗の範囲を超えたものであることを認めることはできない。

 被控訴人は,本件特約の存在が認められないとしても,本件貸室の汚損については,控訴人は,善管注意義務違反による損害賠償義務を負うと主張するが,本件貸室の汚損が,通常損耗の範囲を超えるということはできず,善管注意義務違反によって生じたことを認めるに足りないから,被控訴人の主張は理由がない。

(2) 被控訴人は,控訴人は,壁クロス張替工事,壁巾木取替工事及びタイルカーペット張替工事等に必要な費用中,減価償却割合に照らし,72.5%を負担する義務があると主張するが,その主張は独自の見解に基づくものであって,控訴人がこのような義務を負う根拠はないから,上記主張は,採用することはできない。

(3) 以上によれば,控訴人が負担すべき原状回復費用を認めることができない。

4 敷引分の消費税相当額の負担について
(1) 本件賃貸借契約の契約書(甲1)によれば,敷金は,契約開始日から10年未満に賃貸借契約が終了する場合は,7割を返還する旨の規定(6条7項)があるが,この場合に賃貸人が差し引くことのできる敷金の3割相当額について,その消費税相当額を賃借人が負担する(消費税相当額を差し引いて返還する。)のであれば,実際には7割を下回る額しか返還しないことになるから,その旨明記するのが通常であると考えられるところ,上記契約書には,その旨を定めた規定は存しない。

 他方,賃料等の支払については,賃料及び諸費用については,前記契約書8条において,消費税が課せられる場合には賃借人の負担とする旨の規定がある。
 これらの規定を対比すれば,本件賃貸借契約において,消費税相当額を賃借人である控訴人が負担する合意があるものと認めることはできない。

(2) なお,重要事項説明書(乙6)には,「契約内容の諸条件と費用」として,敷金から控除すべき金額を「償却費」とし,それに関する消費税の有無について「有」と明記されており,被控訴人は,これをもって控訴人が,控除される金額についての消費税を負担することを裏づけるものであると主張するが,前記契約書においては,敷金から控除すべき金額を「償却費」とする旨の規定はないから,この記載のみから,控訴人と被控訴人との間で,控訴人が被控訴人の主張する消費税相当額を負担する合意があったと認めることはできず,他に,そのような合意を認めるに足りる証拠はない。

(3) よって,この点に関する被控訴人の主張は理由がない。

5 附帯請求の起算日について
 本件賃貸借契約の契約書(甲1)の第6条によれば,敷金は,本件賃貸借契約に基づく控訴人の債務の履行を担保するために控訴人から被控訴人に対して預け入れられたものであり,控訴人が被控訴人に対し,本件賃貸借契約が終了し,本件貸室の明渡しが終了した後,賃借人である控訴人の電気料等諸費用のすべての債務について精算した上で,遅滞なくその残額を返還すべきであり,また,同契約書の第22条によれば,控訴人は,被控訴人に対し,明渡しまでの電気料等諸費用を支払うものとされているから,この部分の精算が済んだ後,速やかに控訴人に残額を返還すべきであると解される。

 そして,預敷金清算書(甲5)及び弁論の全趣旨によれば,遅くとも平成16年2月13日までには精算が終了し,残額を返還すべきであったと解される。

 したがって,附帯請求の起算日は,平成16年2月14日であると認めるのが相当である。


6 結論
 以上によれば,控訴人の請求は,敷金残額55万8600円及びこれに対する平成16年2月14日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し,その余の請求は棄却するのが相当である。

 これと一部結論を異にする原判決は相当でないから,原判決を上記の趣旨に変更することとする。


       大阪高等裁判所第9民事部

    (裁判長裁判官  柳 田 幸 三   裁判官  礒 尾 正  裁判官  金 子 修)

 

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【Q&A】 更新料支払特約があっても法定更新した場合には支払い義務がない

2007年01月23日 | 更新料(借家)

  更新料支払特約は法定更新の場合には
       適用が無く更新料支払義務は無い

 (問)京都地裁(2004年5月8日判決)で更新料支払特約があっても契約を法定更新した場合には、借主に更新料支払義務は無いという借家での判決があった。他に約定更新料の支払義務無しという借家に関する高裁又は最高裁の判例はあるのか。


  (答)東京では更新料特約がある場合、契約を法定更新した時に更新料の支払義務の有無が裁判で幾度となく争われている。

 具体的な判例で検討してみる。借主Aは、賃貸マンションを期間2年、更新の際は新家賃の2ヵ月分の更新料を支払うという更新特約が有る契約を結んだ。2年後の更新時に家賃の増額で紛糾し、合意更新ができなかった。Aは更新料を拒否し、相当と思われる家賃を供託し、法定更新の途を選択した。貸主は増額家賃・更新料の不払を理由に契約解除を通告し、未払家賃・更新料の支払と建物明渡を求めて提訴した。

  地裁は、約定更新料は法定更新には適用されず、支払義務は無いとしてAの主張を全面的に認め、貸主の請求を棄却した。

 控訴を受けて東京高裁は「法定更新の場合、賃借人は何らの金銭的負担なくして更新の効果を享受することができるとするのが借家法の趣旨であると解すべきものであるから、たとえ建物の賃貸借契約に更新料支払の約定があっても、その約定は、法定更新の場合には適用の余地がない」(東京高裁1981年7月15日判決)とした。

 この判決を不服として貸主が上告したが、最高裁は上告を棄却した。最高裁は「本件建物賃貸借契約における更新料支払の約定は特段の事情の認められない以上、専ら右賃貸借契約が合意される場合に関するものであって法定更新された場合における支払の趣旨までも含むものではない」(最高裁1982年4月15日判決)と明快な判断を下している。

  このように更新料支払特約は合意更新を想定したもので、法定更新には適用されない。これは当然の結論である。借地借家法は経済的負担の無い法定更新を定めている。更新料特約は法の趣旨に反して借主に不利益な経済的負担を課している。特約が法定更新の場合にも適用されるとすれば、それは実質的に経済負担を強制する合意更新を義務付け、無償の法定更新を排除するに等しい。換言すれば法定更新制度の否定である。

                 当ブログ2005年7月19日の再録

             更新料支払特約は法定更新には適用されない。
                参照 (1) (2) (3) (4) (5)  

 

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最高裁判決(2005年12月16日)と消費者契約法の活用  (東京・台東)

2007年01月21日 | 敷金・保証金・原状回復に関する判例等

       最高裁判決(2005年12月16日)と消費者契約法の活用

 原状回復をめぐる法的争いは、
 ①「原状回復」の文言は社会通念上通常の方法により目的物の使用収益をしている限り、原則として返還時の状態で返還すれば足り、通常損耗について原状回復義務はないという解釈論
 ②通常損耗を含む明文化された原状回復特約は新たな義務を設定する規定であるから、賃借人が義務の内容を認識し、その義務負担を意思表示していることが必要という意思表示論
 ③通常損耗を借主が負担するという原状回復特約が民法90条(公序良俗)違反や、消費者契約法10条に違反し無効であるとする効力論、 以上三つ段階を追って争われてきた。

 最高裁(2005年12月16日判決)は①の見解を採用し、通常損耗の修復費用は家賃の中に含まれており、これらの費用は「貸主負担」が原則であり、これを借主に負担させることは許されないとした。この原則に反して通常損耗の修復費用を借主に負担させる原状回復特約は家賃の二重取りであり、借主に「不当な負担」を課するものである。従って、判決では原状回復特約が認められる条件を厳しく制限した。

 最高裁は②の見解から「賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているか、仮に賃貸借契約書では明らかでない場合には、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、それらの合意の内容としたものと認められるなど、その旨の特約が明確に合意されていることが必要である」と述べ、例外的に通常損耗の補修費用を借主に負担させる場合の基準を示した。これにより最高裁判決は①と②の法的争いに終止符を打った。

 このような厳しい成立要件の下でのみ特約が認められ、現実的には通常損耗を借主に負担させる不当な原状回復特約の排除を意図している。

  ③に関しては、住宅供給公社と争って原状回復特約は民法90条の公序良俗に違反して無効という借主勝訴の大阪高裁(2004年7月30日)判決がある。

 また、原状回復特約は、消費者契約法10条に違反して無効という判決は2004年の画期的な京都地裁(3月16日及び6月11日判決)の二つの判決から始まり、大阪高裁(2004年12月17日、2005年1月17日、同年4月20日、同年12月8日判決)で既に4例の借主勝訴の判決が出ている。

 またそれに加えて敷引特約は消費者契約法10条違反の判決は、2005年の大阪地裁(4月20日判決)、神戸地裁(7月14日判決)から始まり、2006年に入り大津(6月28日判決)・京都(11月8日判決)・大阪(12月15日判決)と立続けに借主勝訴判決が出ている。大阪地裁の3例を含めて、既に関西を中心に6例の判決が下されている。

 消費者契約法10条を適用した一連の判決は、特約の成立を認定した上で、その特約条項の不当性に着目し、その特約自体の違法性を認定するという画期的なものである。従って契約時における特約の説明の有無、署名・捺印等、借主の意思表示の有無等は特約の有効性の判断に関係しない。あくまでも特約の内容によって判断される。特約の内容が借主の義務を加重するものであり、且つ借主に一方的に不利益なものであれば消費者契約法10条により無効とされる。不当な特約を押し付ける賃貸借契約であっても消費者契約法で救済可能ということになる。

 このように消費者契約法は居住用の原状回復特約・敷引特約に関しては借主にとっては強力な味方へと確実に成長して来たことが判る。

 だが、営業用借家(店舗・事務所等)に関しては、通常損耗を借主の負担とする原状回復特約の成立を認め、借主に修復費用を負担させる判例が多い。問題は、消費者契約法が営業用の借家には適用出来ないという弱点があり、営業用借家には無力であるということである。

 しかし、営業用借家に関して最高裁(2005年12月16日)判決以後新しい動きが出て来た。店舗の原状回復特約を不成立とする借主勝訴の大阪高裁(2006年5月23日)判である。

 大阪高裁判決は前記最高裁判決を引用した後に「賃貸物件の損耗の発生は、賃貸借という契約の本質上当然に予定されているものであって、営業用物件であるからといって通常損耗に係る投下資本の減価の回収を原価償却費や修繕費の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行うことが不可能であることはできず、また、被控訴人(貸主)が主張する本件賃貸借契約の条項を検討しても、賃借人が通常損耗について補修費用を負担することが明確に合意されているということはできないから、被控訴人の上記主張は、採用することができない。」として貸主が主張する「営業用と居住用」を区別する考えかを否定した。その上で営業用借家に関して原状回復特約の合意成立に最高裁の限定的な認定基準で判断したことである。

 阪神大震災時における敷引特約の適用を否定した最高裁(1998年9月3日)判決では「居住用家屋の賃貸借契約における敷金につき」と対象を居住用に限定していた。今回の最高裁判決(2005年12月16日)は、通常損耗を含む原状回復特約の合意成立に関しては居住用と限定していない。営業用と居住用の区別せずに、営業用借家も借家一般として同様の基準で認定すべきとい態度を基本にしている。これは注目に値する借主保護の認定基準である。

  原状回復特約以外に、①賃料改定合意、②更新料支払特約、③保証金・敷金償却特約、④使用損害金倍額支払特約、⑤明渡し合意、⑥地上げ・時下げ合意等に活用が考えられる。

 

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家賃調停で1万円減額 (大阪・摂津市)

2007年01月18日 | 家賃の減額(増額)

      家賃月額1万円減額で和解
        徴収根拠のない共益費ゼロ

 大阪市に隣接する摂津市別府3丁目で店舗付き借家を借りているAさん等3名は、12年前に月額13万円の家賃で入居しました。ところが、昨年9月に隣接の店舗付き借家へ新規契約者が7万1600円で入居してきました。

 Aさん等は、古くから借りている借家人よりも最近契約した借家人の家賃が格安であることに驚き、昨年10月から数度にわたって家賃減額交渉を続けてきました。だが、家主側は2000円の減額しか応じようとしませんでした。

 Aさん等は、昨年12月、民主商工会から全大阪借地借家人組合連合会を紹介され学習会を開き、東淀川借地借家人組合に入会。組合の支援を受けて家主側へ内容証明郵便で家賃の減額請求を通知したが、家主側は話合いを拒否してきました。

 そこで、Aさん等は、吹田簡易裁判所へ賃料減額調停を申立て「不況による売上の減少」「近隣で同種の店舗の賃料と比べ大きな差額がある」などを主張し、さらに、「共益費を支払う具体的な理由は皆無であるから負担する必要がない」と訴え、粘り強く頑張りました。

 その結果、家賃は1万円を減額すること、共益費は徴収しないこと、を条件に和解が成立しました。

 この減額請求を支援した東淀川借地借家人組合の麻畠朝男事務局長は、「和解が成立すれば裁判の判決と同じ効力になります。3店舗の皆さんの努力をねぎらい、共に喜びたいと思います」と語っています。

 

全国借地借家人新聞より

 

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新規の空家募集は既存居住者よりも1万6000円も安い家賃だ(兵庫・尼崎)

2007年01月16日 | 家賃の減額(増額)

 佐藤さんが住んでいる共同住宅は、新規の空家募集ではリフォームを行い家賃月額5万円で貸し出しています。

 ところが佐藤さんたち古くからの借主には35年前に入居以来、風呂釜、水洗トイレ、浴槽取替え費用など、家主は修理を怠り佐藤さんたちは55万円の負担を強いられてきました。しかも、家賃は月額6万6000円で1万6000円も高くなっていることがわかりました。

 家主に家賃値下げを申し出ても応じてもらえず尼崎借組に相談してきました。佐藤さんは内容証明郵便で値下げしてもらいたいとの意思を伝えましたが、家主は値下げの意思はないと拒否回答をしてきました。

 話し合いがダメなら調停しかなく、今年の7月から家賃月額4万5000円に減額するよう調停を申し立てました。2回の調停で10月分から月額8300円の値下げで和解しました。申立ての通りにはなりませんでしたが、家賃が5万円台になり了解しました。やはり声を上げなければと語っています。

 

全国借地借家人新聞より

 

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借地権価格の10%の更新料突然請求される (東京・福生市)

2007年01月15日 | 更新料(借地)

 福生市志茂に住む借地人の西田さんは、11月に地主から借地契約が12月で満了するので更新料として借地権価格の10%、72坪で192万7000円の更新料を請求されました。

 西田さんは、昭和31(19956)年に当時約2万円の権利金を支払い、借地契約を口頭で結び契約書を作成せず、今日まで来ました。先代の地主さんからも更新料など請求されたこともなく、全く寝耳に水の話。おまけに契約書を作成するといって契約書の案文を渡されました。

 この暮れに来て、200万円弱の高額な更新料を請求されてほとほと困った西田さんは、組合に相談に来ました。契約期間を旧借地法で計算すると昭和31年から当初の存続期間30年で、その後地主は何も言わず20年間法定更新しているので、平成18(2006)年の12月に期間が満了します。

 西田さんは、組合から「更新料は相場も法的根拠のない金銭なので地主の請求額を認める必要はなく、契約書も借地人との合意で作成するので借地人にとって不利な条項を削除、訂正してよい。」とアドバイスを受け、「地主と交渉してみます」と元気を取り戻しました。

 

東京借地借家人新聞より

 

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交渉で地代の段階的減額に成功 (東京・八王子市)

2007年01月13日 | 地代の減額(増額)

   八王子市長房町に住む加藤さんたち借地人12軒は、近くのお寺が地主で、平成11年まで毎年のように地代が値上がりし、平成12年の値上げの時はさすがに借地人一同結束し、地主と交渉した。

 地主の値上げの理由は、毎回同じで「税金が上がった」、「周りと比べて安い」というもの。当時の加藤さんの地代は坪430円だった。

 組合に相談に訪れ、地価も物価も下がり税金も上がっていないのに、値上げはおかしい。八王子の近隣地代と比べて高過ぎるとのアドバイスを受け。加藤さんたちは交渉し、平成14年に坪330円に値下げさせた。

 加藤さんは、今年固定資産税と都市計画税を調査したところ、平成15年の税金が月額坪当り64・7円、16年が62・7円と値下がりし、現行地代は税金対比で5・2倍と高額。今年再度値下げの交渉を行い、地主には代理の不動産業者が入り、今年の7月分から月額282円に値下げさせた。

 最高時の地代から35パーセントも値下げさせたことになる。それでも、税金対比で4・5倍と高い。地主の抵抗で中々難しい地代減額ができたのは、加藤さんたち借地人一同が結束して頑張った貴重な成果である。

 

東京借地借家人新聞より

 

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1カ月家賃を滞納した事を口実にして明渡訴訟(京都市)

2007年01月12日 | 建物明渡(借家)・立退料

 波路さんは、1年契約で借家に入居し、うっかり1ヶ月分の家賃を滞納したら、家主から間髪を入れず明渡しの裁判を提訴されました。波路さんは弁護士を依頼することなく本人で裁判を受けて立ちました。

 初めての公判で裁判官は、事実関係に争う点がないことから、話し合って和解の方向を指示してきました。波路さんも初めての経験から「円満にいくのならば」と和解の方向に同意しました。

 しかし、家主側の「直ぐに出て行け」「立退き料は払えない」などの態度に我慢できず正面から闘いに挑みました。
そもそも家主側の本音は、波路さんを借家から追い出し、そこを高く売って利益を得たいということでした。

 裁判の争点となった家賃の滞納については、波路さんは裁判に提訴される以前に払い込み、家主側も受け取っています。にもかかわらず一言の前触れもなく提訴されたものです。正面から争っても敗訴はないと判断できましたが、家主側との信頼関係が破壊され、これ以上のおつき合いは御免被りたい、という気持ちが強くなったことから、条件が合えば明渡すことに合意しようと思いました。

 この裁判、当初からせかされる進行でしたが、そのテンポに応じず、波路さんの要求を粘り強く主張し、7回の弁論の末、どうにか家主側も折れて要求が認められました。根負けせず主張を貫いたことが今回の教訓です。

 

全国借地借家人新聞より

 

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居住しないまま退去したマンションの敷金・家賃・仲介手数料を取り返した(静岡・浜松市)

2007年01月11日 | 敷金(保証金)・原状回復・消費者契約法

       強い臭気で頭痛・吐き気に襲われ、
         居住しないまま退去したマンションの
           敷金・家賃・仲介手数料を取り返す。

  
 8月下旬、全国借地借家人組合連合会から浜松借地借家人組合を紹介されたAさんは、河岸組合長へ連絡し、契約書をめぐるトラブルの相談をしました。

 Aさんは7月23日、入居予定の賃貸マンションの部屋に入りました。ところが、契約した5月28日に下見した部屋と違って、部屋に入った途端に接着剤か消毒臭のような強い臭いに、「頭痛や吐き気」に襲われました。一緒に部屋を訪れた身内の者も余りの臭気に驚き、早速仲介業者に原因を明らかにするよう求めました。

 ところが、管理会社のM社は「臭気のもとは判らない」と原因も調べずに入居を迫るなど、原因不明のまま1ヵ月以上も経過し、Aさんは、8月末で解約を申し出ました。

 M社は「借主の都合で解約するのだから敷金の返還はできない」、「解約した翌月の家賃も契約どおり払って戴く」、「入居はしていないが、荷物を搬入しているので契約によりクリーニング代も戴く」とAさんへ解約時の負担を押し付けてきました。

 Aさんから相談を受けた浜松借地借家人組合は、Aさんと組合の連名で「①臭気の原因の説明②契約書の特約条項は国土交通省等の「ガイドライン」や消費者契約法第10条にも反すること」を指摘し、「敷金の全額返還と既に口座から引き落とされている家賃と仲介手数料の半額を返還」を文書で申し入れました。
 文書が到着後、管理業者から「仲介2社とも相談して、請求された金額を全額返還する」と通知してきました。

 管理業者の返事について報告のため浜松借地借家人組合を訪ねたAさんは、早速その場で組合に入会しました。

 

全国借地借家人新聞より

 

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少額訴訟で敷金全額返還の判決 (大阪・大東市)

2007年01月10日 | 敷金(保証金)・原状回復・消費者契約法

 大阪府大東市の賃貸マンション「ハピネス」一室を平成3年6月に入居し、今年4月に退去したAさんは、契約時に納めた敷金27万円が返還返還されていないことからオーナーに返還請求通知をした。

 Aさんは、家賃が高いので平成14年8月に家賃減額を交渉し、敷金40万円を支払うことを条件に月額2万3000円を引下げさせ再契約をしました。

 Aさんは、今回の契約解約時にオーナーから当初契約時の敷金27万円が返還されるものと考え、敷金の返還を請求しましたが、オーナーは再契約時の条件に27万円も敷金の一部として含まれていると主張し支払いに応じようとしません。

 そこで、今年7月枚方簡易裁判所へ本人自身で少額訴訟を提起しました。その中で裁判官は「再契約時敷金を返還することを条件にしていない」とのオーナーの主張をオーナーが自ら立証するように求めました。ところが、その後2回開かれた公判にオーナーは出廷せず、裁判所は10月17日に敷金27万円全額をAさんへ返還するよう執行付きの判決を言い渡し確定しました。

 Aさんは、支払を督促しましたが、オーナーはこれを拒否したため執行手続を進めています。

 

全国借地借家人新聞より

 

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母子家庭家賃3ヶ月滞納で「鍵交換する」と脅される (東京・昭島市)

2007年01月08日 | 建物明渡(借家)・立退料

 昭島市上川原町のアパートに居住する森田さんは、家賃を3ヶ月滞納したところ、不動産会社から滞納賃料を清算しないと契約の更新はしないといわれた。森田さんは、4月から8月までの5ヶ月間で滞納賃料を分割払いで支払うことを約束し、支払いを怠ったときは退室するとの念書に署名捺印した。

 その後、前の約束を翻して、不動産会社が突然次のような文書を送付してきた。「賃貸借契約を解約した。直ちに貸室を明渡すこと。本契約が解約されたときは、借主は直ちに本物件を原状に復し退去しなければならない。借主がこれを怠り明渡さなかったときは、貸主は直ちに明渡しを執行することができる。その際、貸主は玄関のドアの鍵を交換し、本物件内の家財一式を処分するも異議なき事とする。明渡しに要した費用は全て借主の負担とする。┅┅┅鍵交換日平成17年2月20日」。

 森田さんは母子家庭で、生活も大変で途方にくれ、組合に相談にきた。組合では、「家賃の滞納はよくないが不動産会社のやり方はひどすぎる」。相談に来た2月18日に内容証明郵便を作成し、「鍵の交換や家財道具を勝手に処分すれば、住居侵入等で刑事告訴や民事上の損害賠償も辞さない。今回のような不法不当な行為を止めるように通告します」と通知した。森田さんは、娘さんが4月に就職が決まり、通勤の時間も考え4月中に移転先を見つけ、滞納賃料は4月中に清算することも予告した。

 組合の通告に驚いたか、2月20日は何事もなく、不動産会社からはその後も何も言ってこなくなった。3月中に移転先も見つかり、4月4日には引越しを終え、無事に移転した。滞納家賃は敷金と相殺し、残金を4月中に清算した。結局、不動産会社からは何も言ってこなかった

 

東京借地借家人新聞より

 

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国土交通省(平成18年12月19日)が発表した宅地建物取引業者の違反行為に対する監督処分の基準の概要

2007年01月05日 | 住宅・不動産ニュース

 本日、国土交通省では、事業者等によるコンプライアンス向上の取組を促進し、不正行為の未然防止を図るため、国土交通大臣が監督処分を行う場合の統一的な基準として「宅地建物取引業者の違反行為に対する監督処分の基準」及び「マンション管理業者の違反行為に対する監督処分の基準」を策定し、各地方整備局、北海道開発局、沖縄総合事務局及び関係業界団体等に通知いたしました。当該基準の概要は別添のとおりです。

 なお、本基準の策定に当たっては、本年10月24日~11月23日まで、意見募集を行ったところであり、頂いた意見に対する当省の考え方及び本日、各地方整備局等へ通知した本基準については、国土交通省ホームページの「パブリックコメント」の欄に掲載しております。
 平成18年12月18日

 


      宅地建物取引業者の違反行為に対する監督処分の基準の概要 (別添)  

1. 趣旨
   事業者等によるコンプライアンス向上の取組を促進し、不正行為の未然防止を図るため、国土交通大臣が監督処分を行う場合の統一的な基準として「宅地建物取引業者の違反行為に対する監督処分の基準」を作成するものである。

2. 基準(案)の概要
  (1)個々の違反行為毎に業務停止期間の明確化・標準化[具体例]・重要事項説明書に虚偽の記載があった場合は、標準の業務停止期間を7日とし、関係者の損害の程度により15日、30日とする。・契約締結等の時期の制限違反については、標準の業務停止期間を15日とし、関係者に損害が発生した場合には、30日とする。・専任取引主任者設置義務違反については、7日とする。

(2) 処分の加重・軽減措置
   ①主な加重措置
   イ 違反行為により発生した関係者の損害の程度が特に大きい場合や違反行為の態様が暴力的行為による等、特に悪質である場合は、業務停止期間を2分の3倍に加重することができる。
   ロ 複数の違反行為を行った場合は、次の業務停止期間のうち、より短期である日数とする。
    a 各違反行為に対する業務停止期間のうち最も長期であるものの2分の3倍又は2倍の日数。
    b 各違反行為に対する業務停止期間を合計した日数
   ハ 過去5年間に監督処分を受けていた場合は、業務停止期間を2分の3倍に加重する。

  ②主な軽減措置
   イ 違反行為による関係者の損害が発生せず、かつ、今後発生が見込まれない場合、または関係者の損害補填に関する取組を直ちに開始した場合であって、当該補填の内容が合理的であり、かつ、当該業者の対応が誠実であると認められる場合は、指示処分とすることができる。
   ロ 直ちに違反状態を是正した場合は、指示処分とすることができる。

(3) 地域を限定した業務停止処分業務停止処分について、一定の要件の下、地域を限定して処分を行うことができる旨規定。

(4) 処分内容の公表処分の内容について、国土交通省の各地方整備局、北海道開発局及び内閣府沖縄総合事務局のホームページへの掲載により公表。

 

 


        マンション管理業者の違反行為に対する監督処分の基準の概要

1. 趣旨
  事業者等によるコンプライアンス向上の取組を促進し、不正行為の未然防止を図るため、監督処分を行う場合の統一的な基準として「マンション管理業者の違反行為に対する監督処分の基準」を作成するものである。

2. 基準(案)の概要
  (1) 個々の違反行為毎に業務停止期間の明確化・標準化
     [具体例]
     ・重要事項説明書に虚偽の記載があった場合は、標準の業務停止期間を7日とし、重要事項説明会を開催しない場合等は、15日、30日とする。
     ・財産の分別管理義務違反については、標準の業務停止期間を30日とし、管理組合の財産に係る損害が発生した場合は、60日とする。
     ・専任管理業務主任者設置義務違反については、7日とする。

(2) 処分の加重・軽減措置
    ①主な加重措置
    イ 違反行為の態様が詐欺的である等、悪質である場合や故意により、虚偽の書面の記載又は説明をした場合は、業務停止期間を2分の3倍に加重することができる。
    ロ 複数の違反行為を行った場合は、次の業務停止期間のうち、より短期である日数とする。
     a 各違反行為に対する業務停止期間のうち最も長期であるものの2分の3倍又は2倍の日数。
     b 各違反行為に対する業務停止期間を合計した日数
    ハ 過去5年間に監督処分を受けていた場合は、業務停止期間を2分の3倍に加重する。

   ②主な軽減措置
     直ちに違反状態を是正し、かつ、違反行為の是正に向けた対応が誠実である場合は、業務停止期間を3分の2倍又は指示処分とすることができる。

(3) 地域を限定した業務停止処分
    業務停止処分について、一定の要件の下、必要に応じ地域を限定して処分できる旨規定。

(4) 処分内容の公表
    処分の内容について、国土交通省の各地方整備局、北海道開発局及び内閣府沖縄総合事務局のホームページへの掲載により公表。

 

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