東京・台東借地借家人組合1

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【判例】*借地人が建物買取請求権を行使すると明渡の強制執行の阻止理由になるとされた事例

2018年11月29日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

①建物収去土地明渡請求訴訟の事実審口頭弁論終結後に建物買取請求権を行使することができるとされた事例
②借地人が建物買取請求権を行使すると明渡の強制執行の阻止理由になるとされた事例

(最高裁平成7年12月15日判決 判例時報1553号86頁 判例タイムズ897号247頁 民集49巻10号3051頁)

 


       主   文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人(賃貸人)の負担とする。


       理   由
 上告代理人林正明の上告理由1について

 借地上に建物を所有する土地の賃借人が、賃貸人から提起された建物収去土地明渡請求訴訟の事実審口頭弁論終結時までに借地法4条2頃所定の建物買取請求権を行使しないまま、賃貸人の右請求を認容する判決がされ、同判決が確定した場合であっても、賃借人は、その後に建物買取請求権を行使した上、賃貸人に対して右確定判決による強制執行の不許を求める請求異議の訴えを提起し、建物買取請求権行使の効果を異議の事由として主張することができるものと解するのが相当である。何故なら、

(1) 建物売買請求権は、前訴確定判決によって確定された賃貸人の建物収去土地明渡請求権の発生原因に内在する瑕疵に基づく権利とは異なり、これとは別個の制度目的及び原因に基づいて発生する権利であって、賃借人がこれを行使することにより建物の所有権が法律上当然に賃貸人に移転し、その結果として賃借人の建物収去義務が消滅するに至るのである、

(2) 従って、賃借人が前訴の事実審口頭弁論終結時までに建物買取請求権を行使しなかったとしても、実体法上、その事実は同権利の消滅事由に当たるものではなく(最高裁昭和52年(オ)第268号同52年6月20日判決・裁判集民事121号63頁)、訴訟法上も、前訴確定判決の既判力によって同権利の主張が遮断されることはないと解すべきものである、

(3) そうすると、賃借人が前訴の事実訴口頭弁論終結時以後に建物買取請求権を行使したときは、それによって前訴確定判決により確定された賃借人の建物収去義務が消滅し、前訴確定判決はその限度で執行力を失うから、建物買取請求権行使の効果は、民事執行法35条2項所定の口頭弁論の終結後に生じた異議の事由に該当するからである。これと同旨の原審の判断は正当であり、原判決に所論の違法はない。論旨は採用できない。


 同2について
 原審の適法に確定した事実関係の下において、被上告会社(賃借人)が本件各建物買取請求権を放棄したものとはいえないとした原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は採用できない。

 よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。


    最高裁裁判長裁判官河合伸一、裁判官大西勝也、同根岸重治、同福田博

 

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