東京・台東借地借家人組合1

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調停で地代40%減額に成功 (東京・足立区)

2012年12月25日 | 地代の減額(増額)

 本紙5月号で紹介した足立区内で借地をしているAさんは、裁判所から11月に地代減額の調停の結果が調書になって送られてきた。現在坪当1000円の地代が、坪600円に減額され月額7万5000円になった。申立の手続きから6回の調停を経て半年で和解が成立した。

Aさんは「我家は125坪の土地を借りて自宅とアパートを所有しています。母が度重なる地代増額請求に渋々支払う姿に疑問を抱き、押し入れに散乱したメモ・書類を収集、役所から取寄せた関係書類を整理し終えたのが昨年12月。今年4月に組合を訪ね、地代減額請求の申立てのやり方・姿勢を教えていただきました。組合から提供された近傍地代は有効な情報となり、地代を減額することができました。

 調停の要諦は二人の調停員に『魂の響く言動』と借地人の論理を伝えるメモを渡し、一貫した姿勢を取ったことに尽きると思います」との感想が寄せられた。

 

東京借地借家人新聞より

 

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地主が地代増額調停の申立て? (東京・練馬区)

2012年08月22日 | 地代の減額(増額)

 東京の練馬区に借地して住んでいるAさんは更新をめぐり地主と争いになって、現在供託しています。

 平成24年の1月にその地主が死去し、3月に新しく相続したという地主から「私たちが相続しました」という通知と併せて相続人の弁護士から「現在供託中の地代は適正な賃料とはいえないので近々簡易裁判所に賃料増額の調停申立をして、適正な賃料を決めたい」と通知してきました。

 その後、測量を行いたいという通知もきました。Aさんは心配になって組合に相談に来ました。Aさんが借地しているところはいわゆる囲い地で現在、この地主とは関係ない土地を通路として確保しています(註)。そこで、賃料の値上げの調停が行われた場合も想定し、今回、測量も行われたことで、この通路の確保をこちらの請求として通知することにしました。

 Aさんは「一人では自信がないけれど組合と一緒にがんばってみます」と決意を語りました。

 

全国借地借家人新聞より


(註)民法
(公道に至るための他の土地の通行権)
第210条
 ① 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。

 ② 池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。

 民法210条①のような他人の土地に囲まれている土地を袋地といい、②のような土地を準袋地という。これら袋地や準袋地の周りを囲んでいる土地を、囲繞地という。また、囲繞地を通行する権利を囲繞地通行権という。

  この囲繞地通行権を主張する場合、袋地の所有権取得の登記は不要である。また、囲繞地通行権を持つのは袋地の所有者であるが、通行するのは所有者に限定されない。

 

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地代約51パーセントの値上げ請求 (東京・大田区)

2012年05月21日 | 地代の減額(増額)

 大田区南馬込地域に約90坪を賃借中のAさんは、地主より6月分の地代から約51%値上げした金額で支払うよう請求されて組合事務所に相談に訪れた。

 平成22年に地主の代理人の不動産業者と6カ月におよぶ時間をかけた協議により、約5%の増額で合意していることを踏まえて、業者に問い合わせると、今回は地主が直接請求しているので、この件には関わっていないと組合を避けるような対応だった。

 岩田さんは前回の増額を考慮し、交通の便の悪い地域を考えると10%の値上げが相当と地主に伝えて、地代を受領拒否なら供託も、賃料増額裁判も望むと決意している。

 

東京借地借家人新聞より

 

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地代一挙に倍に増額 (東京・荒川区)

2012年05月17日 | 地代の減額(増額)

 荒川区荒川3丁目で昭和31年頃から約40坪を父親の代から借地をしているAさんは、7年前に父親が他界し、Aさんが借地権を相続した。ところが3年前に月額坪650円だった地代を100円値上げし、現在750円で毎月3万円を支払っている。

 ところが平成24年2月末に地主から近隣の地代に合わせるといって4月から倍額の坪1500円に値上げし、月額6万円を支払うよう通告された。Aさんは、地主に対して「値上げの根拠を明らかにすること。周りの借地人で誰がいくら、平均いくら払っているのか資料を示してほしい」と要求し、「資料を示さなければ値上げは認められない」と回答した。地主は、平成22年秋に木造2階建から4階建のマンションに改築した借地人の地代が坪1500円だと主張し、領収書の写しを見せた。

 Aさんは、「木造から建固な建物に変わり、用途変更もされたのだから、その条件と同様に扱われるのはとんでもない。そんな無理な要求をするのならみんなに呼びかけますよ」と主張した。

 その後地主は「4月から税金が変わるからぜひ認めてほしい」と再度言ってきたが、物別れに終わった。大野さんは値上げには応じない決意である。

 

東京借地借家人新聞より

 

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4月1日から地代を一斉に倍額の請求 (東京・荒川区)

2012年04月19日 | 地代の減額(増額)

 荒川区西日暮里3丁目で広範囲に土地を所有している地主は、数十世帯の借地人に対して4月1日より現行地代を倍に値上げすると文書で一方的に通告してきた。

 理由は、同じ借地人で以前から裁判で係争中であったホテルの地代が昨年末に月額坪1000円の地代が4割値上がりして坪1400円で解決したことを根拠にして、他の借地人には倍額の不当な増額請求をしてきた。

値上げ請求を受けた借地人の中には8名に組合員がいる。数人が組合に相談に来ている。「こんな値上げを認めれば坪1000円にもなってしまう。みんなで団結して借地人の権利を守ろう」と訴えているが、中には応じてしまう人もいる。引き続き借地人の結束を呼びかけている。

 

東京借地借家人新聞より

 

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現行地代の1.5倍の値上げ請求 (東京・板橋区)

2012年03月13日 | 地代の減額(増額)

 戦前から板橋区本町で120坪の借地をしていたAさんは、地主の先代とは親同士が幼馴染で仲良く暮らしていた。

 地主が親から子の代に代替わりすると様相は一変した。度重なる地代の値上げなどが当たり前のように請求された。そして更新の時期を迎えると、高額な更新料の請求がされた。この高額な更新料については支払うことが出来ないと話すと急に地主が等価交換の話をしはじめた。

 次から次へと話が変わるので、とても太刀打ちできないと考えて弁護士に代理人を依頼した。すると地主は等価交換はやめて地代の値上げを現行の1・5倍請求してきた。困って代理人の弁護士に相談すると「等価交換については依頼されたが地代の値上げ問題については依頼されていないので追加料金が発生する」と言われ困惑した。

 知り合いから組合があることがわかり、相談会に来た。地代の値上げは双方の合意が原則で、今まで一度も値下げしたことはなく、今回の値上げも大幅な値上げで承服できないとし、地主が主張する値上げの根拠を示すよう通知し、納得いくまで現行の地代を支払うことにした。

 

東京借地借家人新聞より

 

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【判例】 賃料確認裁判 名古屋簡易裁判所(平成19年3月30日判決)

2012年03月08日 | 地代の減額(増額)

判例

名古屋簡易裁判所

平成19年3月30日判決言渡し

平成18年(ハ) 第4095号 賃料確認等請求事件

(判示事項の要旨)

 賃料確認等請求で,当事者間の賃貸借契約の経緯や個別事情等を総合的に斟酌して,鑑定結果よりも値上げ幅を緩和した額とした事例

 

主          文

 

 1 原告と被告との間で,別紙一物件目録記載の土地についての賃貸借契約における賃料は,平成16年1月1日から平成18年7月31日までは月額金1万8000円 同年8月1日以降は月額金2万0000円であることを確認する。

 2 被告は,原告に対し,金16万0000円及びその内金である別紙二未払賃料一覧表左欄記載の各金員に対し,それぞれ対応する右欄記載の各期日から支払済みまで年10パーセントの割合による各金員を支払え。

 3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。

 4 訴訟費用は,これを3分し,その1を原告の,その余を被告の負担とする。

 5 この判決は,第2項に限り,仮に執行することができる。

 


事 実 及 び 理 由

第1 請求

 1 原告と被告との間で,原告が被告に賃貸している別紙一物件目録記載の土地の賃料は,平成16年1月1日から平成18年7月31日までは月額金1万9510円,同年8月1日以降は月額金2万2024円であることを確認する。

 2 被告は,原告に対し,金21万8954円及び別紙三未払賃料損害金一覧表記載の各未払賃料に対する各起算日から支払済みまで年10パーセントの割合による各金員を支払え。

第2 事案の概要

 1 本件は,原被告の各先代が締結した賃貸借契約に基づく原被告間の土地の賃料について,原告が被告に対し,平成16年1月からは月額金1万4000円を金4,5万円(その後月額金1万9510円に減縮)に,平成18年8月1日からは金4万円(その後月額金2万2024円に減縮)にそれぞれ改定する旨の意思表示をしたのに対し,被告が値上げ幅が多過ぎるとしてその適正賃料を争った事案である。

 2 争いのない事実,証拠及び弁論の全趣旨で認められる事実

 (1) 訴外亡Aは,訴外亡Bとの間で,昭和38年10月1日,別紙一物件目録記載の土地を木造建物所有の目的で,期間の定めなく,賃料月額金2200円(当初賃料はその後逐次改定,翌月分を当月30日払いの約定は,その後当月分を当月払い状態が続いたが,約定は当初のとおり )で賃貸借契約を締結し,同日,同Bに対し上記土地を引き渡した。

 (2) 訴外亡Aは昭和53年3月14日死亡し,原告は相続により上記土地所有権を取得し,賃貸人の地位を承継した。他方,訴外亡Bは平成15年5月23日死亡し,被告は相続により上記建物所有権を取得し,本件土地の賃借権を承継取得した。

 (3) 本件土地の賃料は,平成15年10月当時,月額金1万4000円であったが,長年低額に据え置かれ,租税等の増加や地価の上昇等近隣地代との均衡を欠き不相当となったことから,原告は被告に対し,平成15年10月16日,口頭で本件土地の賃料を平成16年1月1日から月額金4万円ないし5万円に増額 (その後月額金1万9510円に減縮) するとの意思表示をし,更に,平成18年7月29日到達の書面で本件土地の賃料を平成18年8月1日から月額金4万円(その後月額金2万2024円に減縮)に増額するとの意思表示をした。

  (4) 被告は,原告との話合いでは賃料値上げ額に合意できず,平成16年1月以降,引続き従前の賃料月額金1万4000円を現実に提供し,原告は賃料内金として受領していたが,同年12月末頃,原告に賃料持参の際,領収書交付を求めたことから原告と諍いとなり,被告は同年12月分賃料から以後毎月,月額金1万4000円を弁済供託し,本件土地を賃借している。 

3 争点

 平成16年1月1日から平成18年7月31日まで及び同年8月1日以降の本件土地の適正な改定継続賃料はいくらか。


第3 争点に関する判断

1 本件土地の適正な賃料額

 (1) 改定継続賃料の算定法式としては,差額配分法,利回り法,スライド法,賃貸事例比較法が存するところ,鑑定の結果によれば,本件土地の賃料について,差額配分法,利回り法及びスライド法の3方式を併用し,各方式による平成16年1月1日時点での試算賃料(差額配分法月額2万2449円,利回り法月額1万3272円,スライド法月額1万3994円)及び平成18年8月1日時点の試算賃料(差額配分法月額2万6016円,利回り法月額1万3839円,スライド法月額1万4240円)を比較考量し,3方式の長所短所を考慮し諸要因による調整として4:1:1の加重平均により算出すると,平成16年1月1日時点の適正な改定継続賃料は月額金1万9510円,平成18年8月1日時点の適正な改訂継続賃料は月額金2万2024円が相当と結論付けており,鑑定内容における各資料の数値の採用や計算結果も適正なものと認められ,各試算資料の数値調整としての加重平均方式も, 諸要因の調整割合の評価は別として合理的なものと認めることができる。

 (2) 被告は, 本件鑑定結果が, 賃貸人側に有利な差額配分法を過度に重視して, 差額配分法,利回り法,スライド法の3方式による各試算資料の加重平均を4:1:1で改定継続賃料を算出するのは不合理であり,仮に不合理でないとしても,本件事案の和解案として裁判所から提示された平成16年1月1日時点で月額金1万7400円,平成18年8月1日時点で月額1万9500円の金額と比較しても増加額が大きく,合理的とみなされる複数の適正地代に関する意見があればその結果等を平均調整するのが相当であり,被告が来年以降,定年退職による収入減で家族を扶養する経済環境にあることも斟酌されたいと主張するが,本件審理中の和解案との比較は,和解提示額が根拠に基づく計算結果であったとしても鑑定結果と平均調整することは相当でなく,被告の今後の経済状況の斟酌も事情として理解はできても,本件の適正改定継続賃料を算定する要因として考慮するのは相当でない。

 (3) 本件で,適正な改定継続賃料を算定するには,鑑定の結果も踏まえ,本件賃貸借契約の経緯や当事者間の個別事情も総合的に斟酌する必要があるところ,証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件土地の貸借は,昭和23年頃の使用貸借で始まったが,昭和38年頃,訴外亡Bが木造建物を新築した際,賃貸借契約に改められ,以後,昭和40年代後半から50年代前半の二度に亘る地価高騰期や平成初頭のインフレによる地価高騰期,その後の不況やデフレによる地価下落期等の大きな価格変動にも,期間の長短はあるものの当時1000円刻みによる賃料増加に止められ,訴外亡B生存中は比較的低額に抑えられてきたものの,被告が賃借人となった後は5ヶ月程で,直近の改定時期から1年後の大幅な増額改定要求を受けたこと,本件土地は市街地の住宅地域で最有効使用も住居等であること,本件現行賃料が,鑑定結果では,本件土地の経済的価値に基づく理論上の適正賃料とされる差額配分法による試算資料数値と大きく乖離していること等が認められ,鑑定資料の3方式による試算資料の加重平均による数値調整をするに当たっては,経済的価値に即応した性質の強い差額配分法を加重する必要性は認められるものの,現行賃料を基準要因の一つとする利回り法やスライド法による数値とも応分の均衡を保つ必要性も認められ,3方式の加重平均は2:1:1で算出した額が相当と認められることから,適正な改定継続賃料 (100円以下切捨て) は,平成16年1月1日時点は月額金1万8000円,平成18年8月1日時点は月額金2万0000円であると認めることができる。

2 以上によれば,原告の被告に対する本訴請求は,主文認容の限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。

名 古 屋 簡 易 裁 判 所

       裁 判 官  渡 邊  直 紀

 


       別紙一

                   物 件 目 録

        土地


            所 在  名古屋市C区DE丁目

            地 番   F番

            地 目   宅地

            地 積   104.16平方メートル


                                    

 

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【判例紹介】 *賃料増額請求を受けた借地人は相当と判断する金額の地代を払えばよい

2012年02月16日 | 地代の減額(増額)

判例紹介


 地主から賃料増額請求を受けた借地人が相当と考える地代を供託していたが、その地代額が後に裁判所で確認された相当賃料より低い額だったとしても債務不履行(契約違反)とならないとした事例 
最高裁平成5年2月18日判決、平成2年(オ)第1444号)。


【事案の概要】
 借地人は昭和45年に本件土地を地代6760円で賃借した。地主は昭和57年に3万6052円に、昭和61年に4万8821円に、それぞれ地代増額請求をした。

 借地人は6760円を支払おうとしたが地主が受領を拒否したので、昭和59年6月まで6760円、昭和62年6月まで1万0140円、昭和62年7月以降2万3000円を供託した。

 地主は借地人が請求どおりの地代を支払わないため昭和62年7月に支払いを催告し、支払わなければ賃貸借契約を解除する旨通知したが、借地人が応じなかったため土地明け渡しを求める訴訟を提起した。1審、2審とも地主の土地明け渡し請求を認めた。


【判旨】 2審(大阪高裁)判決取消し、地主の請求棄却。

(1)借地人が相当と考える地代を供託しているので、賃貸借契約解除の理由となる債務不履行(契約違反)はない。

(2)借地人が固定資産税等、本件土地の公租公課の額を知りながら、それを下回る額を供託している場合は、その額は著しく不相当であり債務不履行(契約違反)ともなりうる。

(3)借地人が供託した額は公租公課の額を上回っているから、本件土地の地代が隣地の地代に比べてはるかに低額であると知っていても債務不履行(契約違反)とはならない。


【寸評】
 借地借家法11条2項(旧借地法12条2項)は地代が「近傍類似の土地の地代等に比較して不相当」となったときは地代の増額または減額請求ができると定め(減額請求しないとの特約は無効)、同条3項は増額について地主と借地人の協議が調わないときは、借地人は裁判で増額が決まるまでは「相当と認める額の地代」を払えば足りると定めている。

 本件は「相当」の判断は借地人が相当と考える額でよいとする一方、その額が公租公課を下回る額であることを知っていた場合は借地人が相当と考えていても債務不履行(契約違反)となるとしたものである(註1)。

 なお、借地人が相当と考える地代に減額請求しても、地主は相当と考える地代を請求できる(借地借家法11条3項)ので注意されたい(註2)。

 

(2012.02.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


 以下の記述は、東京・台東借地借家人組合

註1) 【判例紹介】 *賃料増額を拒否し支払額が税額以下と知っていた時は相当賃料に当らない (最高裁平成8年7月12日判決


註2) 【判例紹介】 家賃減額を請求した場合に裁判確定前の家賃額は従前と同額とした事例

     【判例紹介】 一方的に減額賃料を支払った借家人が賃料不払で契約解除された事例

     【判例紹介】 賃料減額で従前を下回る賃料を支払い続けが、契約解除が認められなかった事例

 

東京・台東借地借家人組合

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【Q&A】 地代の増額請求と5年の短期消滅時効の成立

2012年02月02日 | 地代の減額(増額)

(問)30年前から地代の増額請求で話し合いがつかないまま地代を供託しています。地主が亡くなり、相続人となった長男の地主の代理人の弁護士から30年前からの地代の差額を支払えと請求されています。支払に応じないと裁判にかけるといわれています。どうしたらよいでしょうか。


(答)月払いの地代など賃料債権は民法169条の短期消滅時効により5年前の地代の増額は請求できません。

 地代の増額請求は、旧借地法12条により、地主と借地人との間で地代の増額について協議が成立しない場合は、借地人は相当と認める賃料の支払をもって、債務不履行として扱わないとしています。地主に相当額を提供し、受け取らない時は法務局に供託しておけばよいのです。地主がどうしても地代を値上げしたければ、調停を経て裁判を起こし、裁判で地代が確定し借地人が支払った相当額との差額が生じた場合には、年1割の利息をつけて支払わなければなりません。

 地主は、増額請求して5年間の間に地代増額請求の調停も裁判も起こさなかったわけですから、時効により地代の差額は請求できないことになります。

 時効とは、法律上の権利関係が長年決着がつかない状態にあると社会生活が安定しないことや、昔の出来事なので証拠がなくなっているということがあります。権利の行使を怠っていた債権者である地主は保護されなくても仕方がないということです。

 地主の代理人に対しては、30年間の差額は時効の成立で差額地代の請求には応じられない旨を内容証明郵便等で回答し、あらためて過去5年間の地代について固定資産税・都市計画税を調査し、相当額について協議に応じる意思がある旨を伝えましょう。内容証明郵便の書面の内容等については、組合や組合の顧問弁護士に相談して対応してください。

 

東京借地借家人新聞より


  以下の文章は東京・台東借地借家人組合。

 「地主は、増額請求して5年間の間に地代増額請求の調停も裁判も起こさなかったわけですから、時効により地代の差額は請求できないことになります」と回答しているが、説明に問題がある。「増額請求して5年間の間」と書いているが、30年前の地代増額請求をした時が消滅時効の起算点ではない。

 弁済期が定められた債権の消滅時効は弁済期が起算点になる。その翌日が起算日になり、そこから時効は進行する。起算点を取違えているから、「30年間の差額は時効の成立」という説明になる訳である。

  次の東京地裁の判例を読めば頷ける筈である。

 地主は昭和58年12月17日に、適正地代が地主の値上げ請求金額であることの確認請求訴訟を提起した。

借地人は「本件賃料債権は月払いであるから、民法169条の5年の短期消滅時効にかかる。したがって、地主が提訴した昭和58年12月17日より5年前までに支払期日の到来している昭和53年11月までの賃料債権は、時効によって消滅した」と反論して争った。

 裁判所は、「本件賃料債権は、民法169条(注1)所定の債権に該当する。

  ところで、借地法12条2項の趣旨は、賃料の増額請求があったときは、客観的に適正な賃料額に当然に増額の効果を生じ、賃借人はその額の支払義務を負うに至るのであるが、(中略)増額についての裁判が確定するまでの間は、賃借人は、自己が相当と認める賃料を支払う限り、遅滞の責を負わないものとしたのである。(中略)

 したがって、賃料債権自体は発生し、かつ、本来の賃料支払期日に履行期が到来しているものというべきである。

 賃貸人は、その支払を求める給付の訴又はその確定を求める確認の訴を提起して、消滅時効を中断することができ、又、給付判決が確定すれば強制執行をすることも妨げられないのであって、権利を行使するについて特段の障害があるものと解することはできない。

 したがって、右のような増額請求にかかる増加額についても、所定の弁済期から消滅時効が進行を始めるものと解するべきである。

 具体的な給付請求権が時効消滅した場合には、他に特段の必要のない限り、もはや確認の利益は失われるものと解すべきである。」と、5年前までの請求を棄却した。(東京地裁昭和60年10月15日判決、判例時報1210号61頁以下)。

 (註1) 民法169条「年またはこれより短い時期によって定めた金銭その他のもの物の給付を目的とする債権は、5年間行使しないときは、消滅する。」

 弁済期が定められた債権の消滅時効は弁済期が起算点になる(註2)。平成24年1月の時点を例に採れば、賃料の支払いが後払いの毎月末日払いの場合、弁済期はその月の末日であるから、1月31日である。この場合の起算点は1月31日である。

 但し、民法上の期間を算定するとき(日、週、月又は年によって期間を定めた場合)は初日を算入しない(民法140条)ということであるから、平成24年2月1日(起算日)から時効は進行する。このように請求されている地代の増額分は、毎月、毎月5年前の分が次々と時効で消滅していく。

 (註2) 民法144条「時効の効力は、その起算日にさかのぼる。」、民法166条「消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。」 

 結論、判例によれば、増額地代の差額分は例えば、後払い地代の場合、平成24年1月の時点で検討すると、弁済期が平成23年12月末日で、そこが起算点になる。従って、平成24年1月1日が時効の起算日になる。その5年前の増額賃料債権が消滅時効により、消滅する。過去25年分の増額賃料債権に関しては既に時効消滅している。

  なお、時効の利益を受ける者は、消滅時効が成立したと主張する必要がある(註3)。これを時効の援用という。勿論、黙っていたのでは時効の利益を受けられない。そこで、証拠に残すためにも、内容証明郵便で時効の援用をする。内容は、「増額請求権は民法169条の短期消滅時効により弁済期から既に5年が経過し、平成*年*月以前の分に関しては既に時効により、増額賃料債権は消滅している。従って、消滅時効部分の支払請求には応じられない」という趣旨のことを書き、配達証明付きにして地主に送り届けておく。これで時効の援用と増額請求の支払拒否の通知は終了である。

 (註3) 民法145条「時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。」

 援用の時期は何時までにしなければ、援用権が無くなるということはないが、要は債権者から請求があったときに援用すればいい訳である。勿論、裁判との関係で最終期限はある。第2審の口頭弁論終結までに時効を援用しなければならない(大審院大正7年7月6日判決)。


関連記事
【判例紹介】 賃料増額請求権は5年で消滅時効により消滅したとされた事例

【Q&A】 地代の増額請求に時効はあるのか 

 

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【Q&A】 地主の代理人から土地を買わないかと言われる

2012年01月25日 | 地代の減額(増額)

 (問) 私は、14坪の土地を借りていますが、昨年12月上旬地主の代理人から突然土地を買わないかと申入れがあり断りました。ところが、12月25日になって、別の業者から「3700円の地代を2万円に値上げしてほしい。年末までに回答するように」と申入れてきました。年末なので回答を保留にしました。今後どう対応すればよいのでしょうか。


 (答) 地主の代理人から、土地を「買い取るか」「大幅な地代値上げか」は、地上げ屋が借地借家人を追い出すための言いがかりに使われていました。一方的な要求には、応ずる必要はありません。あなたが買い取る意思がないことを毅然として伝えたことは正しい対応でした。地代の改定は、当事者の合意または裁判上の和解または判決によるものでなければ出来ません。

 地代の改定理由には、
 ①賃貸中の土地の税負担の変動があった場合。最寄の区役所で現在の地代を確定した時期の税負担額と現在の税負担額を比較し、便乗値上げを許さないようにしましょう。また、現在の地代がその土地の税負担額の2~3倍が適正地代(最高裁執務資料1991年12月)であると示されています。

 ②周辺類似の相場から比較して検討する必要があります。

 ③地価の変動が具体的に地主側から示されなければなりません。現在、地価は下落しており、固定資産税等も安くなっています。法務局で土地の全部登記謄本をあげて、土地所有者を確認しておくことです。さらに、直接地主へその真意を確認することが必要です。

 

全国借地借家人新聞より

 

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地代の減額請求を拒否され、3年後の契約更新も拒絶の回答 (大阪・生野区)

2011年12月13日 | 地代の減額(増額)

 大阪市生野区桃谷で、戦後直後から38坪の借地で「豆腐屋」を営むSさんは、今年新年早々ご主人が病死し廃業しました。

 平成7年1月から地代が月額7万6,000円で合意していましたが、廃業により収入がなくなり、地代の支払に途方にくれ、月額5万円に減額して欲しいと地主へ申し入れました。地主代理人から減額請求を拒否すると共に、3年後の契約更新を拒絶するとの通知をしてきました。

 Sさんは、大阪簡易裁判所へ5万円に減額するよう調停を申し立てるつもりで、心当たりへ相談に行くが説明が難しく理解できず、区役所の市民相談で、大借連(全大阪借地借家人組合連合会)を知りました。

 相談を受けた大借連は、あまりにも高い地代を減額させるために、平成7年度から平成23年度の固定資産税・都市計画税の負担を調査しました。平成23年度の税額が平成7年度と比較して46%に減額され、地代に占める税負担との割合が8.35倍であったのが平成23年度では18.39倍となっていることが大阪市市税事務所で調べた結果明らかになりました。 

 平成7年度の税額は、本来Sさんの借地は小規模住宅用地(註1)の税負担であるのにもかかわらず、課税証明(註2)では、事業用地と小規模住宅用地が混在しており、税負担が正確に証明されていなかったから割高であったことが明らかになりました。

 Sさんは、生野借地借家人組合に入会し、大借連の支援と弁護士の協力で地代減額調停を勝ち取るために奮闘しています。

 

全国借地借家人新聞より


 以下は、東京・台東借地借家人組合の文章です。

 Sさんは現在、地代を月額7万6,000円(1坪当たり2,000円)を支払っている。地代は平成23年度で公租公課の18.39倍ということであるから、公租公課(固定資産税と都市計画税との合算)は38坪で月額約4,132円である。

 最高裁判所事務総局から1991(平成3)年12月付で「民事裁判資料第198号」として「民事調停の適正かつ効率的な運用に関する執務資料」が出されている。

 その1つに「民事調停事件処理要領案 (裁判官・書記官用)(東京地方裁判所 管内簡易裁判所」がある。そこには「最終合意賃料の公租公課との倍率(地代について)」として「最終合意賃料が公租公課の2~3倍に収まっているときは、加減要素として考慮しない。」(23頁)と記載されている。

 言い換えれば、地代は固定資産税と都市計画税との合算の2~3倍の範囲内であれば適正地代と言える。従って、今回の場合であれば適正地代は月額約8,264円~12,396円の範囲となる。仮に調停で5万円へ減額されても、1坪当たり1,315円の支払となり、まだ割高ということになる。

) ①住宅用地は200㎡以下の部分を「小規模住宅用地」と言い、固定資産税課税標準額が6分の1に軽減され、都市計画税課税標準額は3分の1に軽減される。

    ②住宅用地は200㎡を超える部分を「一般住宅用地」と言い、固定資産税課税標準額が3分の1に軽減され、都市計画税課税標準額は3分の2に軽減される。

    (*)東京23区の場合は、200㎡以下の場合、都市計画税課税標準額は更に2分の1に軽減されている。

<関連記事
註2) 課税証明書の発行を受け、地代が税額の28倍と判り、増額請求を拒否 (大阪・三島郡) 

 

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【Q&A】 7割の地代値上げ 適正な地代とは?

2011年10月12日 | 地代の減額(増額)

 (問) 私は、祖父の代から借地に住んでいます。先日、地主から手紙で地代を16年も据え置いたからと言って7割近くの値上げ請求が来ました。あまりに大幅な値上げで応じることができません。どう返事をしたらよいか困っています。また適正な地代とはどのくらいか教えてください。


 (答) 当然、地代は貸主・借主合意で決めるものですが、最高裁判所事務局総局が平成3年12月に出した「民事調停の適性かつ効率的な運用に関する資料」の中に「最終合意賃料が公租公課の2~3倍に収まっているときは、加減要素としては考慮しない」つまり、地代はその土地にかかる固定資産税等の公租公課の2~3倍の範囲なら適正と言えるということです。

 これで いけばあなたの今の地代は、固定資産税等の4倍近いのですから適正地代の範囲と言えません。従って、このことを地主に示して話し合うことが必要です。また、長い間値上げしなかったのは、地主が値上げの必要がなかったとも取れるので、あくまでも固定資産税などの公租公課との関係を中心に交渉することをお勧めします。

 尚、現在は毎年地価が下がっている状況の中であまりに高い地代については地代の値下げを要求することもできます。そのために地方自治体の証明する該当土地の「固定資産税額」をよく調査し、地主を説得できる資料をもって交渉にあたることが必要です。詳しくは、最寄の借地借家人組合へ相談するとよいでしょう。

 

全国借地借家人新聞より


参考記事
①「【Q&A】 固定資産税台帳を用いて借地人にも適正地代を計算することが出来るか

②「借地借家人へ固定資産課税台帳公開 (東京・台東)

③「地代の値上げ(相続税路線価から地代を計算してみた) (東京・台東区)

④「地代を値下げ(固定資産税路線価から地代を計算してみた) (東京・台東区)

 

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地主の値上げ要求に、拒否回答 (東京・板橋区)

2011年08月25日 | 地代の減額(増額)

 東京の板橋区に住むAさんに今年の夏に「地代の値上げのご通知」という書類が届けられました。

 2年前の春に地代値上げの通知が送られてきて、交渉事が苦手で面倒くさいと考え、「坪100円の値上げならば」と承諾して払ってしまいました。

 今回の通知には、3年間(値上げの時期さえ間違え)値上げしなかったのだからとあたりまえのように、坪あたり100円の値上げを請求し、一方的に7月分より入金するよう通知して来ました。

 その上、この通知には、4年後の更新時には、本人の居住を理由に更新拒絶を行い、話合いにはいつでも応じる用意がありますと書かれていました。

 そこで借地借家人組合の相談会に来ました。組合では地代の増減は①経済事情の動向②公租公課の増減③近隣との比較の要素があることが説明し、今回の値上げには応じられないとする通知を出すことにしました。

 

 

全国借地借家人新聞より

 

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地主の執拗な地代の増額請求の調停・訴訟攻撃 (大阪市・東住吉)

2011年05月24日 | 地代の減額(増額)

減額請求訴訟を提起
 借地人らは、協議して「地代の減額請求訴訟」を起こすことを決めました。まず最初に取り組んだのは、近隣地域の地代調査でした。

 調査は、思ったいた以上に骨が折れました。まず借地契約の条件や建物の構造の相違など同一性の選別が大変でした。それでも一同は町内の知人を頼り、その方に紹介をお願いして、輪を拡げました。ようやく20数名の調査票が集まりました。

 訴訟の提起は、吉岡良治弁護士が代理人になり強靭な主張の準備をしていただきました。
 ところが、ほぼ同時に地主は、借地人の2人を相手取り増額請求の調停を提起していました。証拠として地主が依頼した「鑑定評価書」が出されていました。


7人中5人の減額を勝ち取る
 双方の提訴は、併合されました。賃借人(申立人)らは、裁判所の判断を酌み、鑑定を申請しました。この鑑定調査では、申立人が集めた近隣地代調査が大いに役立ちました。鑑定士より「丁寧で、正確に調査されていますね」との感想も。

 結果の鑑定評価は申立人7人の内5人が18か月遡及して《大幅に減額》。2人が増額でした。裁判所より、この鑑定通りの和解案が示され、双方合意し、確定しています。この和解では、減額請求が認められた以上に、借地人全員の賃料改定時期が同一になったことも大きな成果でした。

Hさん、自宅の修繕を始める
 この申立の前年、借地人の1人Hさんは、屋根が相当傷んでいるので、この際修繕が必要な個所の修理を建築業者に依頼しました。この工事を見つけた地主は、無断増改築を理由にした契約解除の提訴をしてきました。

 調停では、
①賃料は、別途賃借人らが申立てている減額請求訴訟により定める。
②賃借人は、賃貸人に保証金として135万円を差し入れる。
③賃貸人の明渡請求は失当。
との調停が成立していました。

地主、調停と訴訟を連発
 減額請求訴訟の和解が確定後、8か月も経たない2009年1月地主は、Hさんに地代増額の調停を提起しましたが、即日「不調」に。

 同年秋、地主は本訴を提起しました。審理の中で、新たな鑑定の必要性が「争点」になりましたが、原告(賃貸人)の費用で実施することに。

 鑑定調査は、3時間以上に及び工事に使用した建材や施工方法など詳細な質問がありました。鑑定結果は、「当該工事は、改築ではなく、大規模修繕工事になる」と建築基準法の条文を示しての鑑定でした。

 そして賃料の増額は、時期からしても不相当との意見が付記されました。この地裁判決でも、鑑定通りの判決になっています。

 さらに加えて、「原告(地主)はこれまでも、短期間で繰り返し賃料増額の意思表示を行い、被告(賃借人)はその対応に苦慮してきたことがうかがえるのであって」と述べ、「かかる短期間での賃料増額は、賃借人を不安定な立場に立たせることになって相当ではない」と異例ともいえる見解を判決に盛り込んでいます。

賃貸人が控訴を
 審理が尽くされた判決にも拘らず、賃貸人は「控訴」を申立てました。控訴理由書は、代理人弁護士が「原判決」内容を論じるのではなく、地主本人の「陳述書」形式で、鑑定費用(21万円)は、原告が出しているにも拘らず、増額の必要はないとの結論に疑義を述べ、さらには、鑑定を勧奨した裁判官にまで鑑定指示が、無駄であったとさえ論じている。
 当然、公判では即日に結審していますが、その「高裁判決」も、異例の内容なっています。

高裁も賃貸人を叱責
 高裁判決は、一般的には「控訴理由には、原判決(地裁判決)を覆すに足りる主張がない。よって本控訴は棄却する」との簡潔な判決多いものです。この判決は、地裁判決の大部分を引用していますが、原判決で「原告の意向を善意に解釈したとしても、主張が不充分」との下りを削除し、原告の意向を取り上げることさえ不要であると判示しています。

【賃借人側は、全部本人が対応】
 地主側は、最初から弁護士が代理人でしたが、賃借人は、高裁の対応もすべて本人訴訟で奮闘しました。

 

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地代値上請求を拒否 (東京・足立区)

2011年03月22日 | 地代の減額(増額)

 足立区大谷田で約90坪の土地を賃借しているAさんへ昨年11月に地代値上げの通知が送られてきた。地代の額が他の賃借人と比べ公平性を欠くという理由だった。早速組合へ相談に行った。組合では、賃料の値上げ・値下げについては双方の合意が原則であること、一方的な通知に応じる必要がないことを説明した。

 そして地主に対して「一方的な値上げの請求は認めない。地代額は当事者間の協議によって決定することを原則として考えており、現行地代額で引続き支払うこと」を書面にして通知した。

 12月末にいつも通り地主の所に地代を持っていくと、現行地代額では受け取れないと拒否された。今年1月5日に東京法務局に組合役員と一緒に行って貰い供託して来た。念のため地主に対して文書で通知した。現在、地主から何ら連絡はなく今後地主の出方を待ち、対処していくことを組合と確認した。

 

東京借地借家人新聞より

 

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