東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

保証金/敷金トラブル/原状回復/法定更新/立退料/修繕費/適正地代/借地権/譲渡承諾料/建替承諾料/更新料/保証人

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敷金返還拒む悪質業者 (東京・小平市)

2007年07月30日 | 敷金(保証金)・原状回復・消費者契約法

 小平市天神町の賃貸マンションを今年の3月末に退去したAさんは、4月に入って仲介人の不動産業者から修繕見積書が送られてきた。

 見積書では、ルームクリーニング、畳の表替え、コンセント口取替、網戸張替、襖表替え、クロス張替等で消費税込み合計28万6000円を請求してきた。Aさんは、洋室の一部とトイレのクロスの張替とコンセント口取替はこちらにも過失があるので負担するつもりでいたが、あまりにも高額な請求のため不動産業者に掛け合った。

 ところが、業者は話し合いにも応じようとせず、「みなさんこの金額で承知してもらっている」と強い口調で逆に脅してきた。困ったAさんは組合に相談した。組合では、Aさんに代わって、不動産業者が作成した契約書の原状回復特約を根拠に敷金から修理代を差引くことは、「建設省のガイドラインや裁判例からも認められない。消費者契約法第10条により特約は無効である」として、こちらが負担する修理代を差引いた残金28万4292円を返金するよう督促した。

 不動産業者は組合に回答を送ってきたが、内容は意味不明で、「ガイドラインについては手引書の類で法的な性格のものではない。例示された判例も下級審のもので好都合なものを集めたにすぎない」と反論。組合では非常に悪質な業者なたため、都住宅局民間住宅部指導課にも連絡。担当職員も不動産業者に連絡したが、「すごい業者だ。私も脅された。これ以上都には指導権限はない」となさけない態度。Aさんは組合と相談し、少額訴訟に踏み切った。

 

東京借地借家人新聞より

 

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借地の契約解除通知 (東京・八王子市)

2007年07月28日 | 地代の減額(増額)

    地代の値上げ拒否と借家人の駐車が理由

 中央線高尾駅に近い八王子市初沢町で借地をしているNさんは、昨年12月30日に突然地主の代理人から内容証明郵便が送られてきた。

 地主が平成11年4月に地代値上げを請求した金額との差額を支払うこと、Nさんが貸している店舗の借家人に借地の一部を駐車場として使用させていることは無断転貸に当たるので、借家人の土地使用を中止させること以上2点で、地主の以上の請求に1週間以内に応じない場合は、契約を解除するという脅迫的なひどい内容だった。

 Nさんは、2年前に近所の借地人と相談し、地主の地代値上げを何とかストップさせ、固定資産税や近隣の地代と比べ高すぎる現行地代の値下げを求め、土地の公租公課の資料を公開するよう地主に要求したが、地主は頑として応じようとしない。それどころかNさんのみ値上げに応じないとのことで地代の受領拒否され供託している。地主は高尾駅近くのお寺だが今回の内容証明も代理人の弁護士と組んだ嫌がらせだ。

 年が明けた今年1月に組合や顧問の弁護士と相談して、内容証明郵便で次のように反論した。①地主が請求した地代(月額坪502円)が、公租公課の3倍以内と主張するなら、平成10年から平成11年に税金がどのくらい上がったかがわかる資料を提示すること。②契約した平成10年当時に店の顧客が一時的に駐車することは地主も認めている。今年も暮れを迎えるが地主からは何らの反論もない。

 

東京借地借家人新聞より

 

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今は店を閉めたくないと頑張って明渡し拒否 (東京・足立区)

2007年07月27日 | 建物明渡(借家)・立退料

 足立区江北に住んでいるAさんは店舗兼居宅を借りて50年定食屋を営んできた。今年に入って突然「マンションに建替えるから明渡せ」と「業者」に言われた。あわてて家主に連絡したら「もう売りました」の一言。途方に暮れていたところ知人の紹介で組合に加入した。

 その後も毎日「業者」が定食を食べに来るが、顔を見るたび「明渡しできない」の気持ちが強くなる。5年前に夫が他界してから一人で細々とやっているが、開店以来の常連さんもいて「おばあちゃん頑張ってよ俺達来るとこ無くなるよ」と言ってくれる言葉に励まされている。

 「今は店を閉めたくない」頑張るぞーという気持ちで定休日を利用して、九段下(東京法務局)まで供託に行っている。

 

東京借地借家人新聞より

 

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マンションの明渡請求を撤回する (東京・大田区)

2007年07月26日 | 建物明渡(借家)・立退料

 大田区北千束3丁目にあるマンションの1室を賃借中のAさんは、明渡しを請求され組合を通じて条件を提示。業者は応じられず家主の明渡しを撤回させた。

 しばらくして求められた更新の条件は、更新料(賃料1か月分)と仲介手数料(賃料半月分)というもの。これを聞いた組合役員は、直ちに不動産業者に契約にないことを承知で更新料と家主の代理人として交渉しながら手数料を請求する根拠と整合性の説明を求めたが、業者は「家主から貰えないから」とあきれた回答。

 組合の抗議で後日業者は請求を取下げ、従前通りの条件で契約を締結した。

 

東京借地借家人新聞より

 

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共益費に疑問を抱き調停で5年分返還させる (東京・足立区)

2007年07月25日 | 借家の諸問題

 足立区関原に住んでいるAさんは、25年間借店舗で洋品店を営んで来たが、この度更新を機会に自宅で営業することにし、明け渡した。

 でも、25年間払い続けた「共益費」が気になり、明細を求めた。しかし、仲介の不動産業者を通して「説明する必要もないし、勿論返金することなど考えてもいない」の一点張り。Aさんは組合と打ち合わせて調停を申立てた。

 元家主は弁護士を代理にたててきた。その先生いわく、共益費は賃料です。清水さんはどうしても納得がいかず、頑張って、頑張ってとうとう5年分の共益費の返還にこぎつけた。

 清水さんは「今回は本当に勉強しました」と語った。

 

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 阪神・淡路大震災により、、賃貸マンションが滅失したとされた事例

2007年07月23日 | 敷金・保証金・原状回復に関する判例等

 判例紹介

 阪神・淡路大震災により、賃貸マンションが滅失したとされた事例 (大阪高裁平成7年12月20日判決、判例時報1567号104頁)
 

 (事実)
 本件建物は、鉄筋コンクリート造4階建のマンションであり、借家人は、保証金を交付して、その一室を賃借していた。
 本件居室の賃貸契約書には、「目的物件が使用不能となったとき、あるいは天災地変、火災等によって損壊したときは、本件賃貸借契約は当然効力を失う。」との約定がある。右マンションが阪神・淡路大震災により損傷した。本件建物については、神戸市発行の全壊した旨の罹災証明書があり、借家人は建物滅失により本件賃貸借契約が終了したとして保証金全額の返還を求めたが、家主は、逆に、修理可能であり滅失に当たらないとして保証金の全額返還を争った。

 (争点)
 本件の争点は、阪神・淡路大震災により損傷した借家(マンション)の滅失の有無である。

 (判決要旨)
 裁判所は、損傷が、賃貸借契約の終了事由としての定められていることに照らし、損傷により建物として社会経済上の効用を喪失し賃貸借契約を存続させることが社会通念に照らし相当でないと判断される場合をいうとし、建物の主要部分が物理的に消失した場合はもちろんであるが、損傷した部分の修復が通常の費用によって可能な場合であっても、地震等により付近一帯の建物が損傷した等の事情により修復に時間を要するような場合には、当該建物の被災状況のみならず、地震に直接間接に関係した地域全体の被災状況や置かれた状況等諸般の事情を総合考慮し、賃貸借契約を存続させることを相当とするような期間内に修復が可能か否か等の事情を加味して判断すべきであるとした。

 そして、本件建物は1階部分の鉄骨柱が建物内部で折れ曲がり傾いた状態になったほか、1階部分は階段床、天井にも崩れた部分があり、2階ないし4階部分の躯体部分は右側に傾いて1階部分に落ち込むような状態にあること、本件建物と同様の規模の建物を建替えるには2億円以上を要すること、全壊した旨の罹災証明書があること、本件居室も床面が傾いて社会通念上そのままでは居住の目的で使用できないこと、被災地における復旧への取組がなされていることなどを理由に賃貸用居住建物としての社会経済上の効用を喪失したとして、建物の滅失を認定した。

 (短評)
 本判決は、従来先例の少なかったコンクリート造建物の滅失についての判断である。本判決は、建物の滅失について、物理的な観点および社会経済的な観点ばかりでなく、建物の用途(居住建物)、補修の可能性をも判断に当たっての重要な事情としており、実務上参考になるものである。

(1996.09.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 借地上の建物への譲渡担保の設定が賃借権の譲渡にあたるとされた事例

2007年07月21日 | 借地権

 判例紹介

 借地上の建物について譲渡担保を設定することが賃借権の譲渡にあたるとされた事例 (東京地裁平成4年7月20日判決、判例タイムズ825号185頁以下)

 (事実)
 AはXから、借地上の建物を第三者に譲渡、転貸あるいは賃借権を担保に供し地上建物を第三者に譲渡するときは、事前に書面による承諾を得るとの特約で借地をしてきた。

 Aの相続人Y(1)が借地権を相続により承継した。Y(1)は借地上の建物についてY(2)に対して譲渡担保を設定し、これを原因とする所有権移転登記を了した。Y(2)は、譲渡担保設定後、借地を占有して、借地上建物を第三者に賃貸して家賃収入を得ていた。

 Xは、建物の無断譲渡を理由に賃貸借契約を解除し、建物収去土地明渡請求の訴をした。本判決はXの勝訴。

 (判旨)
 Y(2)はY(1)から本件建物の所有権移転登記を了した後、当時の賃借人から賃料を受領し、次いで**不動産を介し自らこれを他に賃貸して賃料収入を得ているのに対し、Y(1)放置するなどしており、またY(1)及びその夫は右債務を弁済するだけの資力を有さず、従って本件建物の所有権を回復することは極めて困難な状況にあるが、かかる事実に鑑みると、Y(1)において、その夫のY(2)に対する債務の弁済等により容易にY(1)とY(2)間の本件建物にかかる譲渡担保契約を終了せしめ得ること等特段の事由を主張立証しない以上、Y(1)のY(2)に対する本件建物の譲渡は、XとY(1)間の本件賃貸借契約の特約にいう本件建物の第三者への譲渡または土地賃貸借権の譲渡に該当するものといわざるを得ない。

(寸評)
 譲渡担保を賃借権の譲渡にあたると判断した例として紹介した。従来の判例は、譲渡そのものにあたらないとか、背信性がないとの理由で解除を否定したものが多かった。本判決は、譲渡担保設定後の賃借人らの実態が、実質上の賃借権譲渡にあたると判断したもので、当然の結論といえよう。
 占有移転を伴う譲渡担保は、その期間が相当のものであると、本判決と同様の結果になるので注意を要する。

(1994.02.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 店舗の途中解約の際、保証金の20%償却する特約が有効とされた事例

2007年07月20日 | 敷金・保証金・原状回復に関する判例等

 判例紹介

 店舗賃貸借の保証金について途中解約の際に20%償却する旨の特約が有効とされた事例 (東京地裁平成5年5月17日判決、判例時報1481号144頁以下)

 (事案)
 賃借人Xは賃貸人Yから期間5年、賃料月額35万3000円で約30坪の店舗を借り、保証金588万6000円を差入れた。これには「保証金は5年で20%償却する。償却分は5年目に埋めるものとする。途中解約は20%償却する」との特約がついていた。

 Xは1年後に店舗を明渡した。そこでXは、「右の保証金償却特約は、仮に1ヵ月後に明渡した場合でも保証金の20%を貸主が取得するという内容になっているから、少なくともその部分は社会通念に照らして著しく借主に不利であり、本件契約が継続していた1年間という期間に対応する4%の償却は認めるが、それを超える16%の部分は借家法の精神や民法90条に照らして無効というべきである。したがって588万6000円から4%を差引いた565万0560円を返還すべきである」と主張した。

 これに対しYは、「5年で保証金の20%を償却するという約定はごく一般的であり、借主の一方的な都合による中途解約の場合も同様に20%を償却するとの条項は十分に合理的であって有効である」と主張した。

 (判旨)
 「Xは本件償却規定の趣旨を十分に理解した上で賃貸借契約を締結していること、20%の償却額は1ヶ月の賃料の3倍には満たない金額で、借主側の負担として過大なものとまでは認められないこと、借主の交替の際には新借主を見つけるまでにある程度の家賃収入を得られない期間を生ずることは往々にして避けられず、その際には貸主において新借主獲得のための仲介業者に支払う報酬等の諸経費が必要となることが認められ、そうした事情を考えると、賃貸借契約が短期に終了することを防ぎ、ひいては安定的な収入を確保するために賃貸借契約がその期間満了を待たず、中途で解約となる場合に期間満了に比して多額の償却をして保証金を返還することは不合理とはいい得ないこと、以上を総合すれば本件償却規定が借家法の精神や民法90条に照らして無効とは認めがたい

 (寸評)
 民法90条は「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする」と定めている。
  わずか1年しか借りていないのに保証金の20%も償却するのは、あまりにも借主に酷であ利、貸主のもうけ過ぎではないか、それは民法90条によって無効であるはずだというのが借主の主張である。

  判決は右のような理由で無効とまではいえないとしたのだが、判例の中には借主の都合による中途解約の場合に保証金全額を没収する旨の特約を有効としたものもある。借地法や借家法に明白に違反したものでない限り「特約」を無効というのはなかなか難しい。

(1994.04.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 地代相当額の算定に当たり、スライド法のみを採用した事例 

2007年07月19日 | 地代の算出方法

 判例紹介

 地代相当額の算定に当たり、差額配分法及び利回り法採用せずにスライド法のみを採用した事例 ( 東京地裁平成9年2月4日判決、判例時報1623号96頁)

 (事実)
 地主は、昭和34年8月10日、豊島区池袋(以下略)の土地を、賃貸借期間30年、賃料1か月14000円、堅固建物目的で賃貸した。
 その後、賃料は順次増額され、称は55年以降1か月203000円、平成2年7月以降1か月452560円となった。
 そして、地主は、平成3年4月以降賃料を1か月497820円に増額請求し、その後、順次、平成4年4月以降同754500円平成5年3月以降同787600円、平成6年4月以降同879880円、平成8年4月以降同898012円に増額請求した。

 これに対し借地人は、従前額である1か月452560円を支払っていた。

 (争点)
 本件の争点は、各賃料増額請求時における相当賃料額はいくらかである。

 (判決要旨)
 裁判所は、賃料増額請求に対して、
 「利回り法は、賃料が前回(平成2年) の元本に対して一定の利回りにあることを基礎に、継続賃料を求める手法であるところ、この手法は、数年前の地価高騰時に求めた低い合意利回りを地価下落時の元本に乗じて継続賃料を求めるものであるから採用することが適当でない。

 また、差額配分法は、対象不動産の経済価値に即応した適正な実質賃料と実際支払賃料との間に発生している差額を貸主と借主に配分して試算賃料を求める手法であり、本件では、右実質賃料と各基準時の更地価格を基に算出している。

 ところで、正当な土地価格の変動を賃料に反映させることはそれなりに合理性があるが、一方、特に首都圏におけるバブル景気による投機的因子による地価の高騰と、その後の反動としてのバブル景気の崩壊による地価の下落は、土地の効用(収益力)の増額によって生じたものではなく、このような投機的価格部分に対応するものが相当賃料額に紛れ込むことを防止する必要がある。

 他方、スライド法は、純賃料を各種指数によってスライドし、これに公租公課を加算して求める手法で、継続賃料を求める手法としては適切なものといえ、本件では地代と関連性があると考えられる消費者物価指数家賃(区部)指数を採用しており、合理的なものであるといえる」とした。

 (短評)
 本件は、副都心池袋の高度商業地域における継続賃料相当額をどう算定するかが問題となった事案である。従来、差額配分法、利回り法、スライド法を総合して算定していたが、バブル景気とその崩壊に伴う地価の変動により、その手法が困難となり、結局、スライド法のみによる相当額の算定に当たって実務上参考となる判決である。

(1998.04.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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更新料の不払を貫き、結果、地主が底地の買取を求めて来た (東京・豊島区)

2007年07月18日 | 地上げ・借地権(底地)売買

 豊島区東池袋2丁目の山尾さんは、この程、地主から思いがけない値段で底地を買取ることが出来た。

 今年の4月、地主の代理人の不動産屋の訪問を受け、底地の買取りの意思はあるのかと尋ねられたのだ。あまりにも突然の申し出だったので、山尾さんとしては返事の仕様もなく、あいまいな返事を繰り返すばかりだった。不動産屋の示した売買価格は、山尾さんの想像していた額と比べ、それほど高い額ではなかった。

 早速組合とも相談、買取の方向で交渉を重ねた。結果、5月末には思いがけない額で売買が成立し、6月18日には、組合の立会いも受け、名義移転の手続も全て終った。

 無事に手続を終えた山尾さんは、地主との過去のいきさつ、組合への加入の経過を振り返りながら、つくづくと述懐していた。組合に加入して本当に良かった。その結果によって、今日の喜びにつながったのだ、と。

 山尾さんが組合に加入したのは、昭和58年。夫は既に亡くなり、子供はようやく成人したばかりであった。その頃、地主から大幅な地代の値上げの請求を受けたのだった。
 組合のアドバイスで、相当額(従前と同額の地代)で提供し、地主に受領拒否をされ、生まれて初めての供託をした。

 昭和62年には、驚くほどの更新料の請求を受けた。しかし、この時も山尾さんは不払を貫き、頑張ってきたのだ。

 

東京借地借家人新聞より

 

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20%の家賃値上げ請求 (東京・豊島区)

2007年07月17日 | 家賃の減額(増額)

 Kさんは、とげぬき地蔵で有名な豊島区巣鴨の地蔵通商店街の一角で店舗を借りて営業している。借りたのは一昨年の5月、店は6坪と小さいが、故郷、紀州特産の梅干の専門店だ。

 とにかく、商売熱心なことと健康食品ブームも追い風となっているようで、売れ行きは悪くない。しかし、昨年は健康を害し、3ヶ月も店を閉じたのは痛手だった。

 kさんが組合に加入したのは、今年の4月。2年目の更新に際して、20%もの家賃値上げの請求を受けたからだ。最近、家賃は下降傾向にあると聞いていたので、家賃の大幅な値上げは寝耳に水の出来事だった。

 家主代理の不動産屋に掛け合ってみたが、更新に値上げは付きものだ、値上げが嫌なら明渡す以外にはないとの態度だった。

 Kさんにとって、家の賃借は今回が初めての経験。だから、不動産屋の態度には衝撃を受けたが、組合での相談で「家賃の値上げで当事者間に協議が調わないときは相当額で支払えばよい」との規定を教えられ、一先ず安心した。

 Kさんは、思い切って値上げを断り据置きで家賃を提供し、家賃の受領拒否で供託に踏み切った。

 6月、家主が「家賃の増額調停」を簡易裁判所へ申立てたことから、裁判所から調停の呼び出しを受けた。勿論、調停も初体験だったが、すぐに組合に相談し、比隣の家賃実態も等も調べ、自信をもって調停に臨んだ。結果、第2回期日で不調に終った。また、一つの自信が生まれた。

 

東京借地借家人新聞より

 


 

参考条文 (借地借家法)
(借賃増減請求権)

第32条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

 建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。

 建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年1割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

 

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アパートが突然売却に (東京・豊島区)

2007年07月16日 | 建物明渡(借家)・立退料

 豊島区千早町の寺前さん夫婦は、2年前に現在のアパートを借りた。 3人目の子が生まれた直後で、今までの家では手狭になったのと、共稼ぎの寺前夫婦にとり、すぐ近くに保育園があるのが魅力だった。スペースも、10畳・8畳・6畳の他、キッチン・バスもあり、5人家族の寺前夫婦にはピッタリの家だ。

 ところが今年の6月、某社管財部長の名刺を持つ男が突然訪ねてきた。家を買取った、取壊すので9月中に明渡せとの話。寺前夫婦の知らない間にアパートが売られていたのだ。

 その後、男は毎週土曜日ごとに、賃貸物件のチラシを持って現われ、契約費用だけは出すから、移転先を一緒に探そうと、しつこく言ってきた。

 寺前さんも最初は釣り込まれて物件を見てまわったが、どうにも納得がいかず、初めて組合を訪れた。

 「順序が逆です。仮に明渡すにしても、移転先を探すのは立退補償の合意が成立してからです。借り続ける権利もあります」との話に目が覚める思いだった。 

 寺前さんは今、納得できる立退補償を求め堂々と交渉している。

 

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借地の更新料を今回も不払で押通した (東京・豊島区)

2007年07月14日 | 更新料(借地)

 東池袋で40坪を借地しているBさんは、今年の元旦を、とりわけさわやかな気持ちで迎えることが出来た。

 Bさんが組合に加入したのは、今から21年も前のことだ。その頃は毎年のように地代が値上げされていた。固定資産税や都市計画税の引き上げがその理由だった。

 Bさんとしても、将来の地代を考えると不安だったし、近所には供託している人もあるようだったが、すぐ近所に住む地主との関係を考えると、供託に踏み切る気にはなれず、地主に言われるままに値上げをしていた。

 そんなBさんに、坪当り8万円、総額320万円の更新料の請求があったのだ。とても支払える金額ではなかった。地主宅を訪れ、何とか支払える100万円程度にしてくれるようお願いしたが、受け入れては貰えなかった。

 玄関に置かれた小さな椅子に掛けさせられ、一段高い位置に座った地主と話した時の屈辱感は、Bさんにとって今でも忘れられない。

 そのときが組合との出会いだった。地主の一方的な更新料請求には支払い義務はない、不払を貫きましょうと励まされた。Bさんは思い切って不払に踏み切り、その後20年間地代の供託を続けてきた。

 昨年8月、2度目の借地の更新時期を迎え、更新料を再度請求されたが、Bさんは今回も自信をもって断った。さすがの地主も遂に更新料を断念。

 昨年12月20日、新契約書を取交し合意更新が成立したのだ。

 

東京借地借家人新聞より

 


 

 地主の一方的な更新料請求に対し、借地人には更新料支払義務が無いという最高裁判決がある。

 

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借地人が無断で建物名義を変更 (東京・豊島区)

2007年07月12日 | 登記

 豊島区に借地して50数年経過している本沢さん宅に、先月、不動産業者が訪問してきた。話の内容は、地主が税金滞納で、今年中に公売になる予定なのでそのまえに明渡してくれないのかという話だった。

 寝耳の水の話で不安になった本沢さんは、以前、城北借組の世話になったという知人から組合のことを知って電話してきた。西武デパートで相談会を行っていること知らされ相談に行った。地主は平成4年にある金融会社から本沢さんの借地も含め土地を担保に抵当権を設定した。その後、この借金に追われるようになって、税金の支払いが滞るようになり、今回、公売予定になった。

  更新契約時に契約した本沢さんの夫が、こちらも借金まみれになる中で、建物だけは担保にしたくないと考えた本沢さんは、地主の承諾なく名義を夫から自分(妻)名義に切り替えてしまったという点とその名義変更が、平成7年で、地主の抵当権設定後であった。このまま公売になった場合、落札した新しい貸主に対抗できないために、明渡しを求められた場合、明渡しをせざるをえないという説明を組合から受けた。

  本沢さんの夫名義の建物の名義変更に際して、地主の承諾と夫との共同名義にしておけば、公売になっても新しい貸主に対抗できる権利をもっていたので安心して住み続ける事ができたのであった。名義変更に際しては十分な注意が必要である。  

東京借地借家人新聞より

 


   (*)関連するのでこちらも参考に覗いて見て下さい。

 

 

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調停で現行家賃212か月分で和解(東京・武蔵野市)

2007年07月11日 | 建物明渡(借家)・立退料

 中央線の武蔵境駅から徒歩5分程の一戸建の借家に住むAさんは、戦前の昭和18年から借りているが家主が昨年借地権付建物を地主に売却してしまった。

 新家主は、切替が法律で認められていない期間を2年とする定期借家契約を締結するよう求めてきた。Aさんは組合に相談し、組合を通じて定期借家契約への切替を拒否するとともに、今後の話し合いは組合を通じて行なうよう通知した。

 その後、今年2月に新家主は弁護士を代理人に立て、月額4万2500円の家賃を7万円に増額する調停を武蔵野簡易裁判所に申立ててきた。

 調停は、2回目以降から家賃の増額ではなく立退料の条件について話し合うことになった。最初は、家賃の数か月分の条件の提示があったが、次回には金額が跳ね上がり、結局4回目の調停で協議が成立。

 Aさんは、建物の状況も考え、家賃の212か月分(901万円)の立退き料で、半世紀以上住み続けた借家を今年の11月に明渡すことで和解した。

 

東京借地借家人新聞より

 

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