東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

【判例】*借家人による建物賃貸人(借地人)の有する借地法10条の建物買取請求権の代位行使はできるのか

2018年11月09日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

最高裁判例

借家人は賃貸人(借地人)に変わって地主に対し、借地法10条の建物買取請求権の代位行使をすることが出来ないとされた事例
(最高裁昭和38年4月23日判決 民集17巻3号536頁)


       主   文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人(借家人)等の負担とする。


       理   由
 上告(借家人)代理人馬場秀郎の上告理由について。
 論旨は、上告人(借家人)両名は原審において、本件建物の各一部についての賃借権保全のため建物所有者たる訴外A(借地人)に代位して本件建物の買取請求権を行使し、その結果、本件建物の所有権はAより被上告人(地主)に移転し、その賃貸人たる地位もまた被上告人(地主)に移転するから、被上告人(地主)の本訴請求は失当として棄却さるべきであるにも拘らず、原審が建物賃借人による買取請求権の代位行使は許されないとしてその請求を認容したのは、買取請求権の経済的機能を誤解し、法律解釈の判断を誤ったもので破棄を免れない、というのである。


 しかし、債権者が民法423条により債務者の権利を代位行使するには、その権利の行使により債務者が利益を享受し、その利益によって債権者の権利が保全されるという関係が存在することを要するものと解される。然るに、本件において、上告人(借家人)らが債務者である訴外A(借地人)の有する本件建物の買取請求権を代位行使することにより保全しようとする債権は、右建物に関する賃借権であるところ、右代位行使により訴外A(借地人)が受けるべき利益は建物の代金債権、すなわち金銭債権に過ぎないのであり(買取請求権行使の結果、建物の所有権を失うことは、訴外A(借地人)にとり不利益であって、利益ではない)、右金銭債権により上告人(借家人)らの賃借権が保全されるものでないことは明らかである。されば、上告人(借家人)らは本件建物の買取請求権を代位行使することをえないものとした原審の判断は、結局、正当である。所論は、独自の見解の下に原判決を非難するに過ぎず、(所論引用の判例も以上の判断となんら矛盾するものではない)採用のかぎりでない。


 よって、民訴401条、95条、89条、93条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。


  昭和38年4月23日

    最高裁裁判長裁判官石坂修一、裁判官河村又介、同垂水克己、同五鬼上堅磐、同横田正俊

 

 

東京・台東借地借家人組合

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