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【判例紹介】 *賃料増額請求権は一定期間が経過しなくても、賃料が不相当になれば認められる

2007年10月30日 | 家賃の減額(増額)

 判例紹介

 賃料増額請求権の行使には、現行の賃料が定められた時から一定の期間が経過していることは不要であり、右一定期間が経過しなくても、賃料が不相当になれば、賃料増額請求は認められる。 最高裁第2小法廷平成3年11月29日判決

 (事案)
 X(賃貸人)は、その所有建物を賃貸していたY(賃借人)に対し、昭和63年4月12日、賃料を同年5月20日から現行の月額40万円余から60万円へと増額する旨の意思表示をし、訴訟を提起した。

 現行賃料に改定されたのが昭和61年10月1日で、今回の増額請求がされるまで1年半余しか経過していなかったため、裁判では、増額請求の効力が争われた。

 1審判決は、
 現行賃料が改定されてから約1年半しか経過していない場合、その間によほどの事情の変化がなければ、現行賃料が不相当になったとはいえず賃料増額請求は認められない、本件ではそのような事情の変化はない、として、Xの請求を棄却。Xは控訴。

 2審判決は、
 ①賃料増額請求には、現行賃料の改定時期から相当期間(本件では2年)が経過していることが必要だから、Xの賃料増額請求は要件を満たしていない、

 ②しかしXの賃料増額の意思表示は、訴訟の提起・追行によって維持されているから、2年を経過した昭和62年10月1日の時点で効力を生じる、として、昭和63年10月1日から1審の鑑定額(月53万4700円)の限度で賃料増額を認めた。Y上告。

 (判決)
 基本判決は、2審判決の①の判断を否定し、現行賃料の改定時からの一定期間の経過は賃料増額の要件ではないとした。その理由は以下のとおり。

 「建物の賃貸人が借家法7条1項の規定に基づいてした賃料の増額請求が認められるには、建物に対する公租公課その他の負担増減、土地又は建物の価格高低、比燐の建物の賃料に比較して不相当となれば足りるものであって、現行の賃料が定められた時から一定の期間を経過しているか否かは賃料が不相当となったか否かを判断する一つの事情にすぎない。

 従って、現行賃料が定められた時から一定の期間を経過していないことを理由として、その間に賃料が不相当となっているにもかかわらず、賃料の増額請求を否定することは、同条の趣旨に反するものといわなければならない」。

 また、2審判決の②の判断について、判決は、過去の最高裁判例を引用して、賃料増額の裁判を追行していてもXの賃料増額請求の意思表示が維持されることはなく訴訟継続中に賃料増額を相当とする事情が生じた場合には、改めて賃料増額の意思表示をしなければ、賃料増額は認められないとした。

 (寸評)
 この最高裁判決は、賃料増額請求が認められるかどうかは、現行賃料が不相当となったか否かに尽きるということを明らかにしたものである。バブル崩壊後、賃料の値崩れ現象も生じている現在、賃料減額請求を考えるにあたっても参考になると思われる。 

(1993.05.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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2007年度宅建試験問題(借地借家法関係)

2007年10月26日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

【問 13】
 
Aが所有者として登記されている甲土地上に、Bが所有者として登記されている乙建物があり、CがAから甲土地を購入した場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

(1)Bが甲土地を自分の土地であると判断して乙建物を建築していた場合であっても、Cは、Bに対して建物を収去して土地を明け渡すよう請求できない場合がある。

(2)BがAとの間で甲土地の使用貸借契約を締結していた場合には、Cは、Bに対して建物を収去して土地を明け渡すよう請求できる。

(3)BがAとの間で甲土地の借地契約を締結しており、甲土地購入後に借地権の存続期間が満了した場合であっても、Cは、Bに対して建物を収去して土地を明け渡すよう請求できない場合がある。

(4)BがAとの間で期間を定めずに甲土地の借地契約を締結している場合には、Cは、いつでも正当事由とともに解約を申し入れて、Bに対して建物を収去して土地を明け渡すよう請求できる。

 

【問 14】
 
借地借家法第38条の定期建物賃貸借(以下この問において「定期建物賃貸借」という。)と同法第40条の一時使用目的の建物の賃貸借(以下この問において「一時使用賃貸借」という。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。

(1)定期建物賃貸借契約は書面によって契約を締結しなければ有効とはならないが、一時使用賃貸借契約は書面ではなく口頭で契約しても有効となる。

(2)定期建物賃貸借契約は契約期間を1年以上とすることができるが、一時使用賃貸借契約は契約期間を1年以上とすることができない。

(3)定期建物賃貸借契約は契約期間中は賃借人から中途解約を申し入れることはできないが、一時使用賃貸借契約は契約期間中はいつでも賃借人から中途解約を申し入れることができる。

(4)賃借人が賃借権の登記もなく建物の引渡しも受けていないうちに建物が売却されて所有者が変更すると、定期建物賃貸借契約の借主は賃借権を所有者に主張できないが、一時使用賃貸借の借主は賃借権を所有者に主張できる。

 

  【解答】

  【問13】 4
  【問14】 1

 

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「賃貸借契約と破産・民事再生・会社再生」 (東借連夏季研修会)

2007年10月23日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

  東借連夏季研修会「賃貸借契約と破産・民事再生・会社再生」要旨

 

2005年9月11日
報告者 弁護士 榎本武光
東京都生協連会館会議室

 

一 賃貸借と破産
 賃貸借契約と破産の問題は、借地借家の相談を受ける際に避けて通れない問題になっている。今日話すことは、これさえ押さえて置けば大丈夫であることについて詳しく報告するのでしっかりと理解をしてもらいたい。

 日本経済の大きな流れの中でリストラがすすみ、借家契約をどう位置づけていくか考え方が大きく変わった。今までは、貸主借主の当事者の間の利害の調整だけを考えればよかったが、賃貸借契約を大きな枠組みの中で考えていく必要が出てきた。

 これからの問題は、貸主・借主以外の債権者との係り、破産・倒産したときの社会的仕組みの中で、借主はどういう立場に置かれているのか、借主の権利をどうやって守っていく手段があるのか考えなければならなくなった。そういう問題意識があったため今回の研修テーマに取り上げた。

<1賃借人が破産した場合>
 ①賃貸借契約はどうなるか
 お店を借りて商売したが売り上げが上がらず、借りたお金が返せなくなり破産してしまった。しかし、破産しても何とか営業を続けていきたい場合、これまでの民法621条では賃借人が破産してしまうと、その時点で貸主は賃貸借契約の解約を申入れすることができた。

 ところが、破産法制の一環として、何とか挽回の機会を与えようと、平成16年の法改正(平成17年3月1日施行)で民法旧621条は削除された。その結果、賃借人が破産しても賃貸人は賃貸借契約の解約ができなくなり、家賃さえ支払っておけば営業を続けることも住むこともできるようになった。

 借地についても同じだが、銀行から融資を受けて建物を建築し、支払いが出来なくなった場合、破産手続をとらず、建物の任意売却或は競売で資金の回収をするので破産というケースをとることは少ない。

 ②賃料はどうなるか
 賃借人が自己破産の申立てをする。裁判所から破産手続き開始決定が出され、それまでにたまっていた賃料は破産債権になる。

 破産した場合に破産者が有していた財産、例えば売掛金、商売道具は財産となり、破産管財人が回収し財源を作る際に債権者は自分の債権をそれぞれ届け出る。家主は滞納家賃の債権を届け出る。そういう債権を破産債権という。

 そうして回収した債権を割り振って払っていくことになるが、戻ってくることがほとんどなく、保護されない債権となる。家主は延滞賃料を全額回収することは困難となる。

 破産手続き開始決定後の賃料については、財団債権となる。賃借人への解約の権利を奪ったためにその見返りとして、賃貸人には賃料の受領が財団債権の中で一番優遇され優先的に保障される。

<2賃貸人が破産した場合>
 ①賃貸借契約はどうなるか
 家主が破産すると破産管財人が必ずつく。家主の地位権限が破産管財人の方に全て移ってしまう。破産管財人が賃貸借契約の当事者になり、全て破産管財人と交渉することになる。

 組合に家主が破産したと言う相談があったとき、誰が破産管財人になったか聞き、通常は弁護士が破産管財人になるが、今後のことは破産管財人(弁護士)との関係でやっていく必要があると助言する必要がある。家主が家賃を取りに来ても相手にしてはならない。

 破産管財人は賃借人が対抗要件(借家の場合は引渡し、借地の場合は登記=借地上の建物登記)を備えている場合には賃貸借契約を解除できない。引渡しを受けて使っていれば普通の借家契約は対抗要件が備わっているので大丈夫。家主が破産しても心配することはない。破産管財人が家主の役割をしてくれる。

 賃借人が対抗要件を備えていない時は、破産管財人から賃貸借契約を解除されて明渡さざるを得なくなる。このケースは、お店を借りて権利金等も払って準備している途中、契約して引渡しを受けてない状態で家主が破産してしまう場合で、借家の対抗力がないのでこれは大変不利になる。

 ②請求権の性質
 賃借人が破産管財人に対して有する請求権は、賃貸借契約の目的物は使用収益することができる権利であり、これは財団債権となる。(破産法第56条2項)=このことは、賃借人が破産管財人から賃貸借契約が保護されることを意味する。

 ③賃料について
 これは今までと変わったのでしっかりと覚えておく必要がある。家主は破産直前になると困って家賃を前払いするよう借家人にいってくる場合がある。
 今までは前払いしても家主が破産すると前払いの回収が駄目だった。従って二重払いの危険があった。
 これからは前払いしてあることを領収書など示せば、前払いしていたことを主張できるようになった。従って二重払いをする必要がなくなった。

 家主が破産する前に、賃料債権を他に譲渡していたときは、破産管財人はその賃料債権を取り立てることはできない。家賃を破産管財に支払いをすることは不可である。賃貸人は賃料債権の譲渡を破産管財人に対して対抗できる。その場合は、賃料の債権譲渡を受けた方に借家人は家賃を払わないといけない。

 不動産が証券化し、リートという金融商品がどんどんできている。不動産業者がオフィスビルやショッピングセンターを造って貸すと家賃が入る。今までだと銀行からお金を借りて建物を建てて家賃で少しずつ回収していたが、まどろっこしい。入ってくる家賃を配当に回し、物件の価値はこのぐらいですよといって証券にして売り出す。銀行は借りたお金は売り出したお金で回収し利益を上げられる仕組みになっている。

 その時にこの仕組みにしないと金融商品は動いていかない。売り出したときに家賃前払いは、いくらするという取り決めをする。いい物件は前払いするケースが多い。自分の身内に未払い債権を回収するために売り、わざわざ家賃の取立てをしない。そういう時売ったものが保護されないとその仕組みが動かなくなってしまう。

 どういう結果を生むかといえば、破産財団がやせ細ってしまう。一般の債権者には配当しなくても構わないという仕組みにしている。金融資本が有利になるよう法制度が変えられている事例である。

 ④賃借人の有する債権と賃料相殺の可否について
 借家人が家主に対して有する債権とは、例えば屋根が壊れて自分の費用負担で修繕した。本来なら、必要費は直ちに家主に支払ってもらえるものである。家主が支払いを拒む場合は、内容証明で必要費分を家賃で相殺すると通告して、それを実行し、費用負担した修繕費を回収する。

 しかし、必要費を請求し、払ってもらえないうちに家主が破産してしまった。破産がなければ将来の家賃と相殺するという内容証明を出していたが、それと同じことでいいことになった。

 破産の手続きが開始されると、借家人の方で家主に対して持っている債権、普通だと破産債権になるが、それはあまりに可哀想だということでこれから払う家賃で相殺が無制限に出来ることになった。必要費については賃料債権と相殺することで回収が出来る。

 但し、比較的規模の大きいところ、貸主の関係で民事再生になってしまうと無制限ではない。民事更生とか会社更生は将来生かしていく目的があるので、無制限に家賃から相殺してしまうと立ち直る原資が不足してしまうからである。

 民事再生、会社更生の場合には、手続開始後に弁済期が到来すべき賃料債務のうち6か月分相当額についてのみ相殺できる(民事再生法第92条2項、会社更生法第48条2項)。
 例えば、借主の方に200万円の債権がある場合は、家賃30万円だと180万円だけ回収できる。家賃が50万円だと6か月で300万円なので200万円は全額回収できる。家賃の6か月分に限定・制限される。
 だけれど、借主の方が家主に債権を有することはできるだけ避けた方がいい。修理などは自分でやらないで家主にやらせる方が良い。立替えた修理費用が全額回収出来なくなる恐れがあるからだ。

 ⑤保証金・敷金について 
 預けたお金の性質をはっきりさせる必要がある。保証金と敷金の性質をはっきりさせて、敷金は建物を明渡した後返してもらえる。保証金というのは借家人が家主に対する貸金として分離して扱った方がよい。

 今までは保証金は家主が破産すると返って来ないので敷金の方が有利だよという話をしていた。今度はまるっきり逆で、保証金については貸金ということで、借家人が家主に対して債権を有するパターンに当て嵌まり、家賃で直ちに相殺することが出来るように変わった。従って、保証金は破産になると自動的に償却できることになった。

 敷金を保護するために、これからは返るべき敷金をとっておいてもらうために賃借人は破産管財人に対して寄託の請求をすることができる(破産法第70条)。しかし、寄託の請求手続を破産管財人に対して自ら行わないと敷金は戻ってこない場合がある。従って必ず賃借人は破産管財人に対して、支払額の寄託を請求する必要がある。

 出来るということは怖いことで言わないと破産管財人はやってくれない。家主が破産したという通知があったときに、破産管財人に対してこれから払う家賃を敷金としてとっておいてほしいと、家賃の5か月分の敷金であれば「寄託してくれ」と5回内容証明郵便で通知する必要がある。寄託の請求をしておけば敷金は返ってくる。

 民事再生、会社更生の場合には、寄託請求の制度が無いので手続はとれない。手続開始後に賃料債務を支払ったときは、敷金の返還請求権は賃料の6か月分の範囲内における支払額を限度として共益債権とする(民事再生法第92条3項、会社更生法第48条3項)。従って敷金返還請求権は6か月までに制限される。

 保証金については、従来は敷金として取扱った方が法的に保護されていた。しかし今後、保証金は貸金債権として扱った方が、直ちに賃料債務と相殺できるので有利となった。今後、保証金は貸金と主張する必要がある。6か月分以上の敷金は返ってこない。

 

二 競売と賃貸借契約

 <1抵当権設定前の賃貸借契約について>
 抵当権設定前から借りている場合は、新しい買受人に対して賃貸借契約を主張できる。買受人は前の所有者と賃借人との契約内容をそのまま承継しなければならないので契約は継続され、居住権は守られる。

 ところがそういうケースはまれで、建物を建築する場合には銀行から建築資金を借り、建物の保存登記とあわせて抵当権の設定登記がされ、抵当権の設定登記の後に借りる方が一般的である。

 <2当権設定後の賃貸借契約について>
 競売によって買受けた人に対しては賃借人は対抗できない。借家人は弱く原則では負けてしまうが、例外的に今まで民法の395条では建物については3年間だけ抵当権の後に借りた人でも保護される。2004(平成16)年の4月1日にこの規定が廃止された。

 平成16年4月1日以降は買受人に対して猶予期間として6か月間だけしか借りることができなくなった。さらに、買受人の方から家賃とはいわず使用の対価につき1か月分以上の支払いを催告されたにもかかわらず払わないと、6か月の保護はなくなって明渡さなくてはいけなくなるというように法律が変わってしまった(改正民法第395条2項)。

 平成16年3月31日までに締結された契約期間3年以内の契約は395条の短期賃貸借の保護がある(付則第5条短期賃貸借契約に関する経過措置)(注)。相談を受ける際には、何時から借りたかを押さえて置く必要がある。


(注) 「短期賃貸借に関する経過措置」により次の条件を満たしていると「短期賃貸借の保護」が継続される。
 即ち、「この法律の施行の際現に存する抵当不動産の賃貸借(この法律の施工後に更新されたものを含む。)のうち民法602条に定める期間を超えないものであって当該抵当不動産の抵当権の登記後に対抗要件を備えたものに対する抵当権の効力については、なお従前の例による。」(担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律・平成15年8月1日法律第134条、「短期賃貸借に関する経過措置」附則第5条)。

 この附則第5条により抵当権設定後の建物賃貸借であっても平成16年3月31日までに契約された対抗力のある期間3年以内の建物賃貸借契約の場合は「短期賃貸借の保護」が適用され、その後の更新も認められる。

 

 質疑応答>

(Q1)借主は、管財人に対して家賃も含めて契約の内容を解るように通知書を出さないといけないのか。
(A1)破産した人は、賃貸借契約の内容を破産管財人に説明しなければいけない。貸主の説明は一方的なものなので正しいかどうか解らない。従って、借主の方として差し入れているお金の内容を説明し、誤解のないようにしておく必要はある。敷金だというのは注意が必要だ。保証金の名目はいろいろな要素が入っている。例えば敷金や貸金、保証金の償却など入っているが、位置づけについて貸金の部分が圧倒的多いということを言っておく必要がある。

(Q2)言っておくだけでいいのか。
(A2)
最終的にはもめることになる。保証金が敷金でもめることになる。今までと逆で保証金と言った方が有利だ。保証金であれば家賃で落とすことが可能になる。

(Q3)破産管財人が任意売却できなくて、競売になるとどうなるか。
(A3)
一般的にいうと競売の方が賃借人に不利になる。家主が破産して破産管財人がついても銀行は独自に担保持っているので拘束されない。独自に競売しようとする。そこで折衝する。任意売却するときに、破産管財人と銀行とで双方で値段をつけ、いくら破産財団にお金を回してくれるかで任意売却先が決まる。任意売却だと賃貸借契約を引き継ぐ形のパターンとなる。それがまとまらないと破産でいくか競売でいくか又分かれてしまう。競売は買受人がいくらで買うか判らないのでどれだけ回収できるか銀行としては不安がある。多少損をしても確実に改修できる方法を選ぶ。ただし、売却しても利益がでないと破産管財人は放棄してしまうので、銀行だけが競売に回すケースも出てくる。

(Q4)寄託の請求はどういう方法でやるのか。
(A4)
請求をしたかどうかでもめるので内容証明で行なう。

(Q5)寄託とは何か。
(A5)
破産管財人は入ってくるものを一つの財布に入れてしまう。寄託の請求をすると、破産管財人は別の財布にして銀行の方に入れるようにする。借家人は敷金返還のために寄託を請求致しますと文書をつける。

(Q6)寄託請求は家賃を支払う際に毎回するのか。
(A6)敷金が5か月分あったら5回寄託の請求をした方が間違いはない。

(Q7)賃借人が破産して契約を継続しても、また家賃を滞納した場合はどうなるか。
(A7)
一般の賃貸借の条項に基づいて判断される。家賃が少し遅れたことだけで契約解除が有効になるのではなく、信頼関係破壊かどうか総合的に判断される。破産管財人と連絡が取れず、家賃が2か月滞納するケースもある。

(Q8古い契約書には、よく「賃借人が破産した場合は契約解除できる」という条項が書かれているが、これは有効なのか。
(A8)
今度の改正で無効である。

(Q9)建物明渡し猶予期間中の使用の対価について、相手側が今までの家賃額が安いからといって高い金額を言われても払わないといけないか。
(A9)
本来の家賃が15万円の家賃なのに8万円しか払っていないケースは、買受人は15万円を請求する。これを使用の対価という。当然争いになる。借家人は10万円と主張し、10万円を払っておけば解約にならない。6か月の猶予期間は認められるが、のちのち差額の5万円めぐってお金の請求という問題は残る。

(Q10)使用の対価を払わないとどうなるか。
(A10)
払わないと裁判所から引渡し命令が出て、追い出されてしまう。


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(問題10) マンションの会社契約からの変更

2007年10月22日 | 契約・更新・特約

 (問題10) マンションの会社契約からの変更
 賃貸マンションを会社契約しているが家賃は個人で家主に支払っている。都合により会社を退職した。個人の契約にして今まで通り住み続けたいが、家主は新規契約なので敷金と礼金を支払うよう請求されたが支払わないといけないか。


  (①支払って契約する。 ②支払う必要はない。)


  
 (解答)
 ①支払って契約する

  (解説)
 会社から家賃補助を得て個人で家賃を支払っていたとしても,それは賃借人である会社の家賃支払債務を個人が第3者払いしていた関係で,契約当事者はあくまで会社なので,個人に変更したいときは,新規契約となる。

 

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(問題8)地主の相続人と正当事由~(問題9)立退き料の残金の未納

2007年10月20日 | 土地明渡(借地)

(問題8) 地主の相続人と正当事由
 地主の死亡で、次女が借地部分を相続した。新地主は賃貸マンションに住んでいるので自己使用の必要性があるからと明渡しを請求してきた。明渡しに応じなければならないか。借地人は他に住むところがない。

 (①明渡しに応じなくてよい。 ②応じるしかない。)


 解答・解説は田見高秀弁護士(東借連常任弁護団)です。

 (解答)
  (問題7)番と同じ。 ①明渡しに応じなくてよい

 (解説)
 ・ ・・相続した地主が,賃貸マンションに住んでいたからといって,借地している自己所有地の明け渡しを受けて自分が住めばマンション賃貸料が浮くというだけで,経済的に有利だという事情<借地人の居住利益。

 


 (問題 9) 立退き料の残金の未納
 家主と明渡しの交渉が合意し、立退き料を半金支払ってもらったが、約束した明渡し当日になって家主は資金がないと後の半金を払わない。立退き料の残金を支払ってもらうまで借家の引渡しに応じないで頑張って住み続けようと思う。明渡し期日を過ぎると1日1万円の違約金を支払う約束があるが、このまま住み続けても大丈夫だろうか。

  (①後の半金もらうまで立退く必要ない。 ②立ち退いた後に、家主に半金を請求する。)


 (解答)
 ①後の半金もらうまで立退く必要ない

 (解説)
  「家主と明渡しの交渉が合意し」ているので,具体的な立退き料の請求権が借家人に生じています。家主には,逆に,合意で定まった金額の立退き料の支払義務がある訳です。この家主の立退き料の支払義務と借家人の借家の引渡し義務は同時履行の関係にあります。

 したがって,一方の家主の立退料残金の提供がない間は,他方の借家人の借家引渡義務の不履行もなく,違約金を払う必要はありませんが,明渡時期以後の借家の使用相当金(不当利得)として,元来の家賃同額は発生すると思われ,使用を継続すると立退料が相殺となる可能性があります。

 その意味では,②立ち退いた後に、家主に半金を請求するの方が妥当か?。

(①後の半金もらうまで立退く必要ない。 ②立ち退いた後に、家主に半金を請求する。)

 

 

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(問題1)  借家の連帯保証人の責任

2007年10月19日 | 連帯保証人

(問題1)  借家の連帯保証人の責任
 友人の借家契約の保証人になったが、保証人に一度も連絡がないまま、友人が1年間滞納した賃料を督促されたが、支払わないといけないか。


 解答・解説は田見高秀弁護士(東借連常任弁護団)です。

 (解答)
 ③全額は支払わず交渉する。ただ、①支払う義務があるとされる危険はある。

 (解説)
 東京・台東借地借家人組合1 「判例紹介」 参照

 判例紹介

 ①賃料の自動改定の特約の効力を制限した事例 ②ビルの管理・修繕の不備を理由に賃料の減額を認めた事例 ③賃貸借契約の連帯保証契約の解約を認めた事例 (東京地裁平成9年1月31日判決、判例タイムズ952号220頁以下)

 (事案)
 Y①はXから飲食店経営の目的でビルの一室を賃借していた。このビルの管理状態が悪いため、建物の使用に一部支障を来たす状況であった。Y①は、これを理由に賃料の減額請求をした。この店舗の契約には3年毎に家賃を15%増額する特約があったため、XとY①間で紛争となり、Y①は家賃の支払を一部拒絶した。

 Xはこれに対し、契約解除の通知をし、Y①に対し店舗の明渡しを求め、Y①とその連帯保証人Y②に対し、未払い金及び損害金の支払を求めた事案。

 判決はXの一部勝訴(建物の明渡し、減額賃料の支払を認容。Y②に対する請求棄却)。

 (判旨)
 ①「賃料を一定年数毎に定率で自動的に増額する条項は、相手側からそれによるのを不相当とすると特段の事情の存在に関する主張、立証のない場合を除き、一定年数経過時に約定どおり賃料を自動的に増額させる趣旨の契約であると解すべきであり、また、その反面として、相手方から、その条項による賃料の増額を不相当とする特別の事情の主張、立証があった場合には、その条項の効力は失われるものと解すべきものである」

 ②「本件店舗については、少なくても昭和63年5月以降、貸主に求められる管理、修繕の義務を尽くしたものとは認めがたく、これによる本件店舗の使用上の不都合は重大なものがあり、本件店舗は、本件賃貸借契約が想定した通常の賃貸店舗からみて、少なくともその効用の25%が失われていたものと認めるべきである。従って、本件店舗の賃料は平成元年10月内にXに到着したY①の意思表示により、同年11月分以降、約定賃料を25%減じた額……に減額されたものと認めるのが相当である」

 ③「このようなXの姿勢によるXとY①との間の本件店舗の明渡しをめぐる紛争の長期化は、Y②の予期しないところであり、……のような事情からY①の連帯保証人となったY②に対し、平成8年3月6日以降になっても、なおY①の明渡し遅滞による責を負わせるのは酷に失し、正義の観念に反する。従ってY②については、信義則上右時点で解約を認め、Y①の連帯保証人としての地位から離脱を認めるべきである

 評論)
 ①の判旨は、定率自動改定条項の効力について、有効性を認めつつ特段の事情による効力の否定を認めるもので同種の特約の解釈について参考になる判例といえる。

 ②については、法律的に特別な意味はないが、修繕義務を尽くさない貸主に対し、減額請求で争うこともあり得るのであえて紹介した。

 ③については、貸主側の不誠実な態度が紛争の要因となっている特別の場合には、信義則による連帯保証契約の特別解約権を認めた事例である。

  (1998.6.)            

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より  

 


 

 (参考)
 最高裁の判例に「更新後も連帯保証人は借主の債務保証義務がある」という連帯保証人に苛酷な責任義務を負わせる判例がある。最高裁判決とは逆に特段の事情がある場合は債務保証義務を負わないという東京地裁判決もある。

 

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貸工場の全焼で建替承諾料(地価の3%)で合意 (東京・大田区)

2007年10月18日 | 承諾に関して

 大田区多摩川*丁目に居住のTさんは、95・5坪の土地を普通建物所有目的に借地して、自宅と貸工場を所有している。2年前には高額な更新料を支払い、合意更新し円満な環境にあった。

 今年春に借家人が原因の出火によって、貸工場が全焼した。共同住宅建設の承諾を求めたが、地主の代理人は執拗に等価交換を主張し、交渉は長期化した。組合に入会し交渉の結果、地価の3%の承諾料で合意し、建築工事に着工した。

 更新料を払って円満な状況でも、求めるものは当然のごとく求めるのが貸主であることの事例である。

 

東京借地借家人新聞より 

 


 

  (*)  火災後の再築に関しては、こちらも参照して下さい。

 

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地主が底地を不動産業者に一括売却してしまった (東京・豊島区)

2007年10月17日 | 地上げ・借地権(底地)売買

 豊島区上池袋で借地している斉藤さんたちは、今年の春にいきなり地主から「底地を売買し、今後はA不動産が地主になった」と通知された。

 業者は一方的に「更地価格は○○万円でその借地権割合の3割でいくらになるから買い取ってほしい」と言ってきた。いきなりの底地の売買と言うことで、不安になった斉藤さんは地元の元区議で組合の役員のところに相談に来た。

 そここで、借地人全員が組合に入会し、買取った業者に対抗していくことにした。

 借地問題の勉強会を行い、今までの借地契約はそのままであること売買に応じるかどうかは自由であって借地のままでもかまわないことを話した。

 また、国に地主などが物納した場合は路線価の借地権割合で売買に応じていることなどを話し、全員がそのような話合いなら応じることにした。この業者は組合とは別に個別に売買しようとしているので全員がまとまって対処していくことで確認した。

 

東京借地借家人新聞より

 

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更新料650万円の請求を拒否すると・・・・(東京・荒川区)

2007年10月16日 | 更新料(借地)

 荒川区町屋で共有名義50坪を借地しているBさん夫婦は、昨年秋に更新料として20年前の倍額の650万円の支払いを要求されたが、きっぱりと支払い拒否し法定更新をした。その後、地主から何度も「非人間だとか、人の土地を奪い取るのか」等々の手紙を何通も受け取った。

 Bさんはその都度、借地人の権利義務の関係を地主に訴え、対応の正当性を主張し続けた。今年5月になって、地主の代理人の弁護士2名より突然、Bさんのご主人名義で家を建てたのは借地の無断譲渡との理由で契約を解除する旨の内容証明が送られてきた。Bさん夫婦は、現在の住居を数十年前に建てた時先代の地主との間で話し合い合意が成立の上、承諾書も交わしてあったので無断譲渡ではないと代理人に回答した。

 6月に入ると代理人の弁護士から再度通知があり、「Bさんを正式に借地人として認める。但し特約事項で、①更新時に更新料を支払うこと、②現賃貸人の亡夫が地主当時合意した事実も一切承認しないのでご主人亡き後地主の承諾なしでは借地権の相続は認めない」との契約書の作成をしたい旨の申し出があった。Bさん夫婦はこんな契約は断固拒否すると返答した。

 その後、弁護士は沈黙しているが、更新料を不払いだからと6月から更に5000円の値上げを請求し、契約書の作成と更新料と地代値上げは絶対に譲歩しないと主張している。Bさんは不当な請求を拒否して頑張る決意だ。

 

東京借地借家人新聞より

 

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(問題7) 立退料と正当事由

2007年10月15日 | 土地明渡(借地)

(問題7) 立退料と正当事由
 地主は土地の有効利用を理由に更新を拒絶し、立退き料として地代の42年分を提示してきている。立退き料のみで正当事由が認められるか。

(①立退き料だけでは正当事由としては認められない。 ②立退き料が借地権相当に見合う金額であれば正当事由として認められる


 解答・解説は田見高秀弁護士(東借連常任弁護団)です。

 (解答)
 ①立退き料だけでは正当事由としては認められない


 (解説)
 (問) 地主から土地を借り自宅を建てて使用しています。間もなく借地期間が満了しますが、地主から「息子夫婦の家を建てたいので、契約の更新はしない。土地を明渡してくれ」と言われました。地主は立退料を出してもいいと言っていますが、借地期間の満了とともに土地を明渡さなければならないでしょうか。また地主から、土地を明渡さないのであれば、更新料を支払えと言われています。契約を更新してもらうためには、更新料を支払わなければならないでしょうか。

  (答)  1.土地明渡請求の正当事由と立退料
 (1)借地期間が満了する場合、地主が契約の更新を拒絶するためには、自ら土地を使う必要性があるなどの正当事由が必要とされています (借地借家法第・6・条)。すなわち、地主としては、借地期間が単に満了するということだけでは、契約の更新を拒絶して借地人に対して土地の明渡を請求することができないことになっています。

 (2)ところで地主が契約の更新を拒絶できるための正当事由の有無を判断するためには、地主と借地人双方のさまざまな事情が考慮されます。
すなわち、
イ、地主及び借地人が土地の使用を必要とする事情、
ロ、借地に関する従前の経過、
ハ、土地の利用状況、
ニ、地主が財産上の給付をするという申出をしたときはその申出の内容、などが総合的に考慮されることになります。

 (3)具体的には、
上記イの事情としては、地主が土地を返してもらって建物を建てたいという希望とか、地主が相続税の支払のために土地を売却しなければならないという必要性とか、あるいは借地人に他に利用することができる土地があるかどうかなどの点、

ロの事情としては、借地人が以前において地主に権利金や更新料を支払っているかどうか、借地人に賃料の不払いや無断改築などの契約違反事由があったかどうかなどの点、

ハの事情としては、近隣の土地の利用状況において建物の高層化が進んでいることや、借地人の建物が老朽化してきたことなどの事情、

ニの事情としては、地主が借地人に立退料の支払いや、代替地の用意の申出をしているかどうかなどの事情などが考慮されます。

 (4)しかしこの場合、上記イの土地使用の必要性の事情が主として考慮され、その他の事情は従たる要素として補完的に考慮されることになりますので、地主は立退料を提供したというだけでは正当事由が認められることにはなりません。地主と借地人との土地使用の必要性を比較し、地主側に有利な事情があるけれども、なお正当事由があるとまではいえないような場合に始めて、地主からの立退料の提供の有無が補完的に考慮されることになるのです。

 (5)冒頭の(問)の事例では、借地人が自宅用地として引き続き土地の使用を継続する必要があるという事情と、地主が息子夫婦の家を新築したいという事情とが主な事情として対立することになると思われます。この点に限って言えば、借地人の事情が優先される可能性が大きく、地主側の更新拒絶には正当事由がないとの結論になる可能性が大きいと思われます。

 また立退料提供が補完的に考慮される場合でも、その立退料の金額の多寡、明渡時期の延長猶予、他に代替土地または建物の提供の申出、などの事情が正当事由を補完する要素として判断されることになります。

 

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(問題11) 告知されなかった前入居者の死亡

2007年10月13日 | 仲介手数料・不動産業者とのトラブル

 (問題11) 告知されなかった前入居者の死亡
 
入居して1ヶ月が経つが、今借りている部屋が3年前に入居者が自殺した部屋だった。不動産屋から知らされていなかったが、気持ちが悪いので部屋を出たいが、礼金や手数料、引越し代を家主に払ってもらえるか。

    (①払ってもらえる。 ②自費で引越すしかない。)


 解答・解説は田見高秀弁護士(東借連常任弁護団)です。

 (解答)
  ①払ってもらえる

 (解説)
  設問は【家主に対して】
 [事例 ―過去に自殺の事実があった事例]

 借主がアパートに入居した。ところが、その部屋で「2ヶ月前」に首つり自殺があったことが判明した。借主はこの事実について何も説明されていなかった。仲介業者に確認すると、仲介業者も、貸主から何も説明されていなかった。しかし、調査してみたら、自殺は事実で、貸主が隠していたことが判明した。

(1)借主は、賃貸借契約を解除し損害賠償請求できるか?

 【答】 一般的にはできる。

 【解説】 
① 賃貸ではなく売買の事例であるが、建物において過去に自殺があった事実が「瑕疵」にあたるとされた裁判例(横浜地方裁判所平成1年9月7日判決)()がある。そのため、瑕疵担保責任に基づく契約解除・損害賠償の主張が認められる可能性がある(民法570条、559条)。
)売主の妻が6年前に首吊り自殺した事例(判例時報1352号126頁)。・・・・<東京・台東借地借家人組合>

② 契約締結交渉過程で自殺の事実を告げないことは、情報提供義務違反の契約締結上の過失があるとして、契約締結上の過失に基づく契約解除・損害賠償の主張が認められる可能性がある(民法1条2項)。

③ 不法行為に基づく損害賠償の主張が認められる可能性がある(民法709条)。

 

(2)自殺が2年前の場合も解除し損害賠償請求できるか?

 【答】 一般的にはできる。

 【解説】
 自殺から2年間経っていても、通常の借主は気にすると思われ、「瑕疵」となる可能性がある。同様に、契約締結上の過失、不法行為が成立する可能性もある。


(3)自殺後、既に何人も、借主が入れ替っていたらどうか?

 【答】 一般人から見て重大な嫌悪すべき事情にあたらなければできない。

 【解説】
 自殺後、長い期間が経ち、更に既に何人も借主が入れ替っていたら、嫌悪すべき事情は薄まると見ることができる。したがって、客観的に見て通常の借主は気にしないだろうと判断されるならば、瑕疵担保責任も、契約締結上の過失も、不法行為責任の問題は生じない。


  ところで【不動産仲介業者に対して】
 入居決定に重要な影響を及ぼす事項は説明しなくてはならない

 賃貸を仲介する不動産業者は、入居希望者に対して自殺者が出たことを説明する義務があるでしょうか
 宅地建物取引業法は、宅地建物取引業者に対して重要事項の説明義務を科していますが、自殺者が出たことを説明しなければならないとは規定していません。

 しかし、重要事項として列挙されていなくても、アパートを借りるかどうかの意思決定に重要な影響をおよぼす事項は、賃貸借契約に付随する義務として、入居希望者に説明する義務があります。自殺者の出たアパートであることは、通常、入居を決める上で、極めて重要な事項だと考えられますので、入居希望者に説明しなければならないといえます。

 ところで、自殺者が出たことを説明しなかった場合、入居後に入居者が知って退去に至ることも考えられます。その際、入居者は、説明義務違反および債務不履行に基づいて、損害賠償請求、契約解除をすることができます。損害の中には、当然、敷金、礼金、引っ越し費用が含まれます。説明を受けていれば、入居者は、支払う必要のない費用だったのですから。

 では、いつまで自殺者が出たことを説明すべきかという問題ですが、永久にというわけではありません。次第に忘れ去られるものですから、常識的に判断するほかないと思われます。

 

Owners誌2003年9月号より

 

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(問題6) 借地の契約面積と実測面積の違い

2007年10月12日 | 借地の諸問題

(問題6) 借地の契約面積と実測面積の違い
 (1)借地の契約面積が実測面積より少ないようです。地主に計測しなおしてほしいと申し出たが断られた。借地人自ら測量したら、地主にその費用を請求できるか。

   (①請求できる 請求できない。)


  解答・解説は田見高秀弁護士(東借連常任弁護団)です。

 (2)実測面積が契約面積より少なかったときは、地主に多く払いすぎた地代を返還請求できるか。

   (①返還請求できる。 ②請求できない。)

 (解答)
 
借地料を借地面積の単位当たりの倍数で定めていたか(数量指示)どうかで変わってくる。数量指示なら,(1)・(2)とも,①請求できる。そうでなければ,(1)・(2)とも,②請求できない

 

 (解説)
  「土地賃貸借契約書には借地面積50坪と書かれており、今まで50坪あると信じて地代を払ってきました。地代も1坪当たり600円で月3万円と決められていました。
 ところが、今回、測量をしたら私が使っている土地は48坪しかないと事がわかりました。 今まで払い過ぎていた地代は返してもらえますか?」

 この場合、地主から借地をした当初、測量をして50坪あることを確認し、契約書にも測量図が添付されるなど地主も50坪あることを保証しているとみられるとき(法律学の分野では、「数量指示賃貸借」といいます)は、その後、周辺の人が土地を侵食したとかの事情で2坪へったんですから過払い分の返還の問題が出てきます。

 しかし、昔から設定されている大部分の借地は、借地をする際に専門家による測量をして面積を算出するようなことはしていません。したがって、契約書上の坪数はあくまでも地代を算出するための一応の基準として目見当の坪数や登記簿上の坪数を表示しているにすぎないと考えられます。このため、契約書上の坪数と実際に使用している土地の面積とが相違することはよくあることです。

 この場合、地主と借地人の双方は、現実に使用している土地48坪分の対価(地代)として「月3万円にしましょう。 いいです」と合意してきたのです。したがって、一坪当たり600円で50坪という計算方法は地代を算出するための一応の目安に過ぎないので、「実際は2坪少なかった」からといっても「当然,地代が改定されるべきだ」ということにはなりません。

 契約書上の面積より実際の坪数が多かったときも同じ理屈で、地主は、当然に過去の不足分を請求できるわけではありません。

 しかし、昨今は、借地権の価格も高くなっています。 契約更新時などに地主・借地人・周辺地権者立ち会いの上で借地境界を定めて測量をし、契約書に測量図面を添付して契約内容を明確にしておくことは必要であると思われます

 

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(問題15) 店舗の定期借家契約への切替

2007年10月11日 | 定期借家・定期借地契約

(問題15) 店舗の定期借家契約への切替
 店舗の普通借家契約が期間満了で契約更新に当り、更新ができるので今までの契約と変わりはないと言われ、2年間の定期借家契約に変更しました。家主からは定期借家契約について事前の説明は受けておりません。定期借家契約を取消して普通借家契約に戻すことはできますか。

 

(①取り消すことはできない。 ②取り消すことができる。)


 解答・解説は田見高秀弁護士(東借連常任弁護団)です。 

(解答)
 ②取り消すことができる


(解説)
東京・台東借地借家人組合2【2007年4月17日 (火)】 (参考)

 無効な定期借家契約

 仙台市でアンティ―クの雑貨のお店を営業している斉藤さんは今年の8月に建物を取り壊すので明渡して欲しいと言われた。突然の話しで困っていると家主はいきなりこの契約は今年の2月までの定期借家契約で期限が過ぎているので6ヶ月の予告で解約できると言ってきた。

 心配になってインターネットや本などで借地借家人組合と言う組織の存在を知って相談にきた。電話での相談で困難な面があったが、契約書などをファックスで送付したところ、定期賃貸借契約だという家主の主張には定期借家契約に必要な書面による通知がなかった。その上、家主の夫は宅建主任の免許をもっており、その仲介での契約であった。家主の代理人である弁護士からは」「定期借家契約に基いて、引き続き契約するならば定期借家契約。それ以外ならば明渡しを求める」との通知がきた。

 組合では斉藤さんと相談し「この『定期借家契約』そのものが借地借家法第38条2項の文書がないことで無効となり、通常の賃貸借契約であること。又、期限が過ぎての契約解除通告は無効である」と主張することにした。

 

東京借地借家人新聞より

 


 

 参考法令は「借地借家法
 (定期建物賃貸借
第38条
 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。

 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。

 建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。

 第1項の規定による建物の賃貸借において、期間が1年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から6月を経過した後は、この限りでない。

 第1項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が200平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から1月を経過することによって終了する。

 前2項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。

 

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(問題16) 借地人の名義変更と対抗力

2007年10月10日 | 登記

 (問題16) 借地人の名義変更と対抗力
 夫名義の借地契約で、事情があって3年前に地主の承諾を受け建物の登記名義を妻名義に変更した。地主の土地には10年前に抵当権が設定されていた。地主の土地が競売になり、競落した新しい地主から明渡しを請求されているが、新しい地主に対して借地人は対抗できるか。


 (①借地人は対抗できる。 ②借地人は対抗できない。)

 解答・解説は田見高秀弁護士(東借連常任弁護団)です。

 (解答)
 夫の借地契約は,抵当権設定の10年前より更に前と前提。原則として,「②借地人は対抗できない。」となってしまう。

 
(参考)
 東借連【借地借家人新聞】2001年4月15日第409号「借地借家相談室」
 東京・台東借地借家人組合2ブログ参照

<父親名義の借地に息子名義の建物を
             建てたらどのような問題が生ずるか >

(問) 借地契約の名義は父です。新築の建物は銀行融資の関係で息子である私の名義にしようと思っていますが、何か不都合がありますか。

(答) 「借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる」(借地借家法第10条1項)。

 借地上の建物につき、借地人が登記をしておけば、土地の所有者が代わっても新所有者に対し、自分の借地権を主張できるので借地の明渡しを求められることはない。この建物登記が借地人本人の所有名義でなされていれば問題はない。

  だが、相談者の場合のように建物登記を長男名義にしなければならない場合も出てくる。また、借地人の死後の相続問題を顧慮して、借地上建物の登記名義を予め妻子名義にしておく場合もある。その場合、借地権を第三者(土地の新所有者)に対抗(主張)出来るのかという問題がある。

 従前は①長男名義の建物登記(東京地裁1951年2月2日判決)、②母名義の建物登記(同1952年6月5日判決)、③未成年の子を名義とする建物登記(東京高裁1954年5月11日判決)に関して第三者に対抗できると判断されていた。

  しかし、最高裁(大法廷)は、借地人が同居の長男名義で建物の登記をした場合について「地上建物を所有する賃借権者が、自らの意思に基づき、他人名義で保存登記をしたような場合に、当該賃借権者は、その賃借権を第三者に対抗する事はできない」(1966年4月27日)としてその借地権の対抗力を否定した。1審・2審の借地人勝訴の判決を破棄し、借地人に建物収去・土地明渡を命じた。

 その後も最高裁は、①妻名義の登記(1972年6月22日判決)、②子名義の登記(1975年11月28日判決)、③義母名義の登記(1983年4月14日判決)について大法廷判決の趣旨に従い終始一貫、借地権の対抗力を否定し続けている。

 以上のことから窺えることは、最高裁の判例の変更の可能性は殆どない。借地人としては、こういう厳格な形式論の判例があるということを承知して借地名義と借地上の建物名義を一致させておく努力は必要である。

 結論としては、最高裁の判例の変更がない限り、借地人と一致しない家族名義の建物登記では第三者には対抗できない。

 

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(問題14) 地主の死亡と地代の支払先

2007年10月09日 | 弁済供託

 (問題14) 地主の死亡と地代の支払先
 地主が亡くなった。今までは亡くなった地主の銀行口座に地代を送金していた。亡くなった直後に、複数の相続人の一人より、地主が経営していた会社の銀行口座に地代を送金するよう指示されたが、その通り支払った方がよいか。


 (① 地主の相続人の指示通り送金する。  ②相続人が不確定なので法務局に供託する。)

 解答・解説は田見高秀弁護士(東借連常任弁護団)です。


 (解答)
 一応,「①地主の相続人の指示通り送金する。」ことで良いと考えられるが,2005(平成17)年に最高裁判例(後記)が出て,「② 相続人が不確定なので法務局に供託する。」の方が無難となった。

 (解説)
 共有不動産の賃貸での,賃料債権は不可分債権

 東借連【借地借家人新聞】2004年4月15号第469号
 借地借家相談室
 共有による複数の貸主に対して賃料は別々に持分割合に応じて払うのか

  (問) 建物や土地の所有者が死亡し、複数の相続人による共同相続により、単独所有から共同所有によって建物や土地が共有に変わった。その場合、借主は賃料を各人に分割し、それぞれの相続割合に応じて各人にそれぞれ支払わなければならないのか。

  (答) 土地や建物の貸主が死亡した場合、相続人は土地や建物の所有権を相続すると同時に貸借関係についての貸主の地位を承継する。相続人が数人あるときは、相続財産は、共同相続人の共有に属する(民法898条)。

  最近は、不動産小口化商品の1つとして投資者等が細分化された建物の共有持分を買受けるケースが多くなっている。

 共同相続人や共有持分取得者が貸主人の地位を承継した場合貸主が複数になる。その場合、借主は相続割合に応じて賃料を各人にそれぞれ分割して支払わなければならないのか、それとも、貸主の内の1人に賃料を全額支払えば、それで全員に弁済したことになるのかが問題になる。

  この問題に対して、共有物件の賃料は「不可分債権」であるという判例(東京地裁1972年12月22日判決)がある。

  家賃・地代は金銭で支払う債務であるから一見したところは分割債務とするのが素直なように思われる。即ち分割が出来る可分債権に思える。しかし、共有賃料を可分債権とみなすと色々不都合が生じる。

  例えば貸主の各自は自分の共有持分の賃料しか請求・受領が出来ないし、借主からすれば、複数貸主の各人に別々に賃料を支払わなければならず、どちら側からも不便である。

 そこでこの不都合を避けるために判例は、共有賃料はその性質上不可分債権とみなした。
①不可分債権には性質上不可分給付と意思表示による不可分給付がある。
不可分債権においては、債権者の1人が債務者に履行を請求すると、総ての債権者が履行を請求したのと同様の効果が生じる。
債務者が債権者の1人に履行すると、総ての債権者に履行したものと同様の効果が生じる
(①②③は民法428条)。

  このことから、共有賃料は共同貸主の内の1人に賃料の全額を支払えば、それで総ての貸主に弁済したことになる。

 弁済供託を行う場合も同様に考えればよいことが判る。

 


 下記の最高裁判決が,遺産分割未了の共有不動産の賃料債権は,各相続人の単独債権としたことから,供託が無難

 相続と賃料/共同相続における遺産分割までの不動産賃料の行方
解説
  川島法律事務所 弁護士 早川篤志

 オーナーの死亡により相続が発生した場合において、相続人が複数存在するときは、オーナーが所有していた不動産は、相続人の共有となります(民法第898条)。その後、遺産分割協議が成立した場合、当該不動産を相続した者は、遺産分割の効力が相続開始時にさかのぼる(民法第909条)として、相続開始後に発生した当該不動産の法定果実である賃料も相続開始時にさかのぼって取得することになるのでしょうか。

 それとも、当該賃料自体は、遺産ではない以上、相続開始時にさかのぼることはないのでしょうか。

 本判決は、相続開始から本件遺産分割決定が確定するまでの間に不動産から生じた賃料債権は、相続人がその相続分に応じて分割単独債権として取得し、確定的に取得した賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けないと判断しており、実務上参考になると思われるので紹介します(最高裁平成17年9月8日判決、最高裁ホームページ)。

 1 事案の概要
 (1) Fは、平成8年10月13日、死亡しました。その法定相続人は、妻であるBのほか、子であるA、C、D及びE(以下、この4名を「Aら」といいます)です。

 (2) Fの遺産には、第1審判決別紙遺産目録1(1)~(17)記載の不動産(以下「本件各不動産」といいます)があります。

 (3) B及びAらは、本件各不動産から生ずる賃料、管理費等について、遺産分割により本件各不動産の帰属が確定した時点で清算することとし、それまでの期間に支払われる賃料等を管理するための銀行口座(以下「本件口座」といいます)を開設し、本件各不動産の賃借人らに賃料を本件口座に振り込ませ、また、その管理費等を本件口座から支出してきました。

 (4) 大阪高等裁判所は、平成12年2月2日、同裁判所平成11年(ラ)第687号遺産分割及び寄与分を定める処分審判に対する抗告事件において、本件各不動産につき遺産分割をする旨の決定(以下「本件遺産分割決定」といいます)をし、本件遺産分割決定は、翌3日、確定しました。

 (5) 本件口座の残金の清算方法について、BとAらとの間に紛争が生じ、Bは、本件各不動産から生じた賃料債権は、相続開始の時にさかのぼって、本件遺産分割決定により本件各不動産を取得した各相続人にそれぞれ帰属するものとして分配額を算定すべきであると主張し、Aらは、本件各不動産から生じた賃料債権は、本件遺産分割決定確定の日までは法定相続分に従って各相続人に帰属し、本件遺産分割決定確定の日の翌日から本件各不動産を取得した各相続人に帰属するものとして分配額を算定すべきであると主張しました。

 (6) BとAらは、本件口座の残金につき、各自が取得することに争いのない金額の範囲で分配し、争いのある金員をAが保管し(以下、この金員を「本件保管金」といいます。)、その帰属を訴訟で確定することを合意しました。 本件は、Bが、Aに対し、B主張の計算方法によれば、本件保管金はBの取得すべきものであると主張して、上記合意に基づき、本件保管金及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成13年6月2日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるものです。

 2 裁判所の判断
 遺産は、相続人が数人あるときは、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。遺産分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものであるが、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した上記賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けないものというべきである。

 したがって、相続開始から本件遺産分割決定が確定するまでの間に本件各不動産から生じた賃料債権は、B及びAらがその相続分に応じて分割単独債権として取得したものであり、本件口座の残金は、これを前提として清算されるべきである。そうすると、上記と異なる見解に立って本件口座の残金の分配額を算定し、Bが本件保管金を取得すべきであると判断して、Bの請求を認容すべきものとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、本件については、更に審理を尽くさせる必要があるから、本件を原審に差し戻すこととする。

 3 コメント
 本判決は、
(a)相続開始から遺産分割までの間に遺産である賃貸不動産から生ずる賃料債権は、遺産とは別個の財産、
(b)各共同相続人は、これをその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得する、
(c)賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けない、
と明確に判断しています。

 本判決により、テナントは、オーナーの死亡により相続が発生した場合、賃料について、各共同相続人からその相続分に応じて支払請求を受けることになります。もっとも、テナントには、そもそも誰が相続人か分からないのが通常であると思われます。また、遺産分割協議が成立した後は、当該不動産の相続人から賃料の支払い請求を受けることになりますが、同様に、遺産分割協議の成否について、関係者でないテナントには分からないのが通常であろうと思われます。テナントとしては、オーナーが死亡した場合、相続人全員により賃料支払用の銀行口座が指定されでもしない限り、債権者不確知を理由として供託による対処をせざるを得ないと思われます。そして、遺産分割協議書が別途提示されでもしない限り、供託を続けざるを得ないと思われます。

 

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