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【Q&A】 抵当権設定前に保存登記された建物を取壊して建替えた場合

2015年12月14日 | 登記

抵当権設定前に保存登記された建物を
  取壊して建替えた場合、借地権を土地の買受人に対抗できるか

(問) 7年前、地主の建替えの承諾を得て借地上の木造建物を取壊し、鉄骨4階建ての建物へ建替え、建物保存登記も済ませた。勿論、木造建物の時も登記はしていた。
 ところが建替えの3年前に地主は土地を担保に金融機関から融資を受けていたことが発覚した。金融機関は、地主の土地建物と底地部分にも抵当権設定登記をしていた。
 今回、地主の経済破綻から、その抵当権が実行され、競売で競落した買受人から建物収去・土地明渡しを要求されている。明渡さなければならないのか。


(答) 「借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することが出来る。」(借地借家10条1項)と規定し、建物登記がある場合に、借地権に対抗力を認めた。これにより、土地所有者が代わっても、新所有者に対して自分の借地権を主張でき、明渡しを求められることはない。

 また、その登記した建物が焼失(滅失)した場合でも登記事項と再築の意思表示の掲示物を借地上の見やすい場所に掲示すれば、第三者に借地権の対抗力を維持できるとしている(借地借家10条2項)。

 ①<建物登記→抵当権設定登記>
 建物登記がされている土地(底地)に対して抵当権設定登記がなされた場合、抵当権が実行されても借地人は買受人に借地権の対抗力を主張できる。借地人は、借地上建物にそのまま住み続けることができる。

 ②<抵当権設定登記→建物登記>
 しかし、抵当権設定登記後になされた建物登記の場合、抵当権が実行されると借地権は競売の買受人に対抗できず、最終的には建物収去、土地明渡ということになる。

 要するに対抗要件の優劣は登記された時期の先後で決定される。先に登記された方が優先されるというのが原則。

 それでは、借地人が抵当権設定登記前に保存登記をしていた借地上の建物を抵当権設定登記後に取壊して再築した場合、借地権を土地の買受人に対抗することができるのか。

 今回の質問と殆ど同一の問題で争われた東京高裁(2000(平成12)年5月11日)判決(金融・商事判例198号27頁)がある。


<東京高裁判決の要旨>
 「民事執行法は、土地の買受人が借地権を引き受けるかどうかを、その借地権が抵当権者に対抗することができるかどうかによって決定している。すなわち、不動産競売では、対抗問題は、抵当権の設定時に生じ、買受人が不動産を競落するときに生じるのではない。・・・・不動産競売における買受人の所有権の取得は、抵当権者の有する換価権の実現に過ぎず、新たな物権変動ではない。そのために、競売の時点での対抗問題は生じないのであって、競売による所有権取得の場合には、借地権を買受人が引き受けるかどうかは、抵当権者に対抗できるかどうかで定まるのであり、そのことを民事執行法59条2項が確認しているのである」と判示している。

即ち、①不動産競売において対抗問題が生じるのは、抵当権設定時であって、不動産競売の買受人への売却時ではない。従って、不動産の競落時における対抗要件の存在は必要ではない。

 そして、借地上建物の滅失と借地権の対抗に関しては、「抵当権設定登記が経由された時点において、土地の建物に所有権保存登記を経由していれば、借地人は借地権を抵当権者に対抗することができる。このようにして対抗力を取得した借地権は、その抵当権者との間では、その対抗力を維持するため、建物自体を維持したり、所有権保存登記を維持していなければならないわけではない」と述べている。

 即ち、②抵当権に対する借地権の対抗要件があるかどうかは、抵当権設定時に登記があったか否かだけで定まる。従って、借地権は、抵当権設定時に既に建物保存登記があれば、その後に建物が滅失しても、また対抗要件である登記抹消されても、抵当権者・買受人に対抗できる。抵当権設定後の建物の存在や登記の存在は、抵当権に対する対抗力の存否とは無関係である。借地権の対抗力の有無は、競売時ではなく、抵当権設定時点で決定される。

 結論、質問者は木造建物を保存登記していたので、抵当権が設定された時点で借地権の対抗力がある。従って買受人の明渡し要求に応ずる必要はない。借地人は買受人と新規に契約書を締結する義務がないので、従前の契約内容で借地を続けることが出来る。買受人は従前の契約条件を履行する義務がある。

 従前は、抵当権が設定された借地での建替えは多大なリスクを伴い、危険であった。従来の判例では、後日、抵当権が実行された場合、抵当権設定に後れる建物登記は対抗力がないということで、借地人は、建物を取壊して土地を明渡さざるをえない危険があった。

 事実1審の横浜地裁(平成8年3月11日判決)では、借地人に建物収去、土地明渡しを命じている。従って、借地人は抵当権設定登記がある間は事実上建物の建替えが不可能であった。修繕の繰り返しで建物の維持をするしか方法がなかった。このような借地人の悲惨な状況が続いていた。

 東京高裁の判決が確定したので、これからは借地上建物の登記が抵当権設定前になされていれば、借地人は建物の再築・増改築が安心して出来るということである。借地人にとっては刮目に値する重要な判決である。
(同趣旨の判例、(東京高裁平成13年2月8日判決 判例タイムズ1058号272頁)

 

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