東京・台東借地借家人組合1

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【Q&A】 借地上の建物の賃貸借

2011年09月29日 | 借家の諸問題

 【問】 家計の足しにしようと思い、建物の一部を家賃を取って人に貸しましたが、地主は無断又貸しで契約違反だから承諾料を払えといいます。払わなければならないのでしょうか。


 【答】 結論からいいますと、承諾料は、一切払う必要はありません。それは、建物の一部(又は全部)を人に貸すことが、地主の主張するような無断転貸には当たらないからです。

 借地人は、地主から、賃貸する目的物は、土地であり、その土地上に建物を建築所有して、使用収益することになりますが、あくまでも目的物は土地に過ぎません。

 したがって、借地人が、土地の一部を他人に貸すならば、それは土地についての転貸というになり、地主の承諾を得なければなりませんが、その土地とは別個の不動産である建物は、地主の所有でなく、借地人の所有するものですから、借地人が自ら所有するものを他人に貸したとしても、なんら地主に文句を言われる筋合いはないのです。

 たしかに、土地と建物は、別個といっても建物を借りた人が建物を使用するときには、必然的に、建物の下の土地を使うことになったり、また、建物の周りの土地を通行や花壇に使うこともあるでしょうが、それは、建物賃貸に伴う土地の利用に過ぎず、土地自体を目的とした使用ではありませんから、土地を転貸したということにならないのです。

 借地人は、借地上の建物を、自分で使おうが、また、建物全部又は一部を他人に貸そうが、それは、自ら所有するものの利用方法の問題であり、地主にとやかく言われることはないのです。

 この建物の他人への賃貸がいいのなら、建物の他人への譲渡も、自ら所有するものの処分だからかまわないと思われるかもしれませんが、後者の場合、建物を材木として譲渡するなら別ですが、そうでない場合は、当然に、借地権を伴って譲渡されることになりますから、この点において地主の承諾が必要になるのです。

 したがって、借地人としては、地主の承諾を得ずに借地を有効に利用したいならば、借地上の建物を他人に貸して、家賃収入を得るという方法をとることになります。

 ところで、ご質問の場合、何のかんのといって承諾料を請求してきているようですが、いまだに、地主の中には、地主は土地を持っているがためにえらいと思い、他方借地人は地主から土地を借りているために卑屈になって、いわば、封建的な身分関係のような前近代的なことが行われています。借地関係は、地主は土地を貸す対価として地代を得ているのであり、他方借地人は土地を借りる対価として地代を支払うという対等の当事者の契約関係であり、借地人として、何らお世話になっていなと正当な主張をすべきであり、安易に承諾料などといって金を地主に支払うことはやめなければなりません。

 

東借連常任弁護団解説

Q&A あなたの借地借家法

(東京借地借家人組合連合会編)より

 

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【Q&A】 相続と名義書換

2011年09月28日 | 承諾に関して

 【問】 父親が死亡し、息子の私が相続しましたが、地主は契約書を書換えるから名義料を3.3㎡当り5万円払えといいます。契約書は地主側も先代の名前になっています。


 【答】 わが国では建物と土地は別個の不動産として取扱われていますので、借地上に建物があるときには、建物と借地権それぞれが相続の対象となります。借地権は、財産権の一つとして被相続人(父親の)財産の一つを構成することは間違えありませんので、借地権を相続人が取得したときに地主との関係でどのようなことが問題になるかを考えておくこととします。

 親が死亡しますと相続が開始されます(民法882条)。相続開始によって死亡者(父親)の有していた法律上の地位が当然に相続人に移る効果が発生します。このように死亡した者の法的地位が、一体として相続人に移転することを包括承継といいます。したがって、相続人は死亡者の権利・義務を死亡した時点から承継することになり、死亡者と同じ立場に立つということになります。たとえば売主の地位、買主の地位、本人の地位というものを承継するということになるのです。

 では、借地権者が死亡した場合、借地権を相続した相続人は地主との関係でどのような地位に立つのかということを考えて見ましょう。先ほど述べましたように、相続は死亡者の権利・義務を包括承継しますので、死亡者が地主に対して有していた権利・義務を一切引き継ぐことになります。

 別の言葉で言いますと、土地賃貸借契約の当事者である地主とあなたの父親の賃貸借契約に伴う権利・義務、たとえば地代支払義務、賃貸借期限等が、そのまま相続人であるあなたの権利・義務となるということです。したがって、相続人のあなたは父親が地主に約束した地代支払い等をしておれば、地主から借地人ではないから地代は受け取れないといって、土地を返してくれせという請求をはねつけることができるのことは勿論、父親が死亡したというので相続人が借地権を譲り受けたので承諾して欲しいと求める必要もありません。

 ご質問では、地主は名義書換料を3.3㎡当り5万円払えと言っているようですが、これまで述べてきたことから明らかなように、父親が死亡したことによってその時点から、父親と同じ地位をあなたは取得しているので、借地権を第三者に譲渡することに伴い地主から名義書換料の支払いを求められるのと異なり、借地権を相続した場合は名義書換えの問題は発生しませんので地主の要求を拒否することができます

 このように、地主の中には、法律上なんら地主の承諾を要しない場合にも、承諾料を請求する人がおり、ひどい場合には、先代の地主が死んで新しく地主になった相続人が、借地人に対し、「借地契約は、先代の地主とであっ、て自分は契約していないから、名義書換えをするから名義書換料をくれ」と請求することがありますが、これもまったく問題になりません。

 

東借連常任弁護団解説

Q&A あなたの借地借家法

(東京借地借家人組合連合会編)より

 

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4年前に法定更新しているにも拘らず、家賃の2か月分の更新料請求 (東京・渋谷区)

2011年09月27日 | 更新料(借家)

 2005年に渋谷区代々木の分譲マンションの一室を賃貸マンションとして借りて住むようになったGさんは、住みはじめた途端に水道工事ですと言われ数週間、その後内装工事ですと言われまた数週間、まともに生活できない状態が続いた。

 実はこの分譲マンションは大手不動産会社がサブリースとしてそのほとんどを賃貸していた。その結果、2007年の更新時には更新料の支払いについては迷惑をかけたので免除するという合意が出来た。しかし、その後、2011年の5月入って更新料として2カ月分の請求をしてきた。2007年の当時の社員はすでに退職し、前のことを話してもらちが明かず、組合が行っていた相談会に来て相談した。

 組合で契約書などをみたところ2007年の更新料の支払いを免除したときに新しい契約書を締結することなく法定更新になっていることがわかり、法律上は期限の定めのない契約であり、2年ごとの更新の時期はないこと、更新料の支払いはしなくていいことがわかった。Gさんは「組合に相談して、安心しました」と話した。

 

東京借地借家人新聞より

 

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東日本大震災理由の明渡し (東京・足立区)

2011年09月26日 | 建物明渡(借家)・立退料

 足立区綾瀬で賃貸住宅に居住しているAさんのもとに家主と新管理会社を名乗る「アレップス」という会社から7月16日付で「東日本大震災において建物が大変危険な状態で早急に建物の解体を行う必要が生じたので解体工事を平成23年10月1日から行う予定なので各入居者との契約を平成23年9月30日をもって終了する」、また家主から「天災不可抗力によりやむを得ない処置で理解頂きたくお願いします」という旨の通知が届く。

 区議の紹介でAさんは組合事務所を訪ね相談した。
 Aさんは、家主の言う通りの危険な建物を4ヶ月も賃貸させたとしたら憤りを覚えるし、業者に依頼して建物診断をした様子もなく、「危険」の根拠を示すデーターもない。修繕の説明もないまま明渡しを要求する家主の態度に不信感を覚える。また、3ヶ月前の申入れで簡単に入居先を見つけるのは難しく、引越し代等の初期費用も掛かる。Aさんは「建物診断の調査結果もないまま、簡単な通知のみで納得がいかない。契約の解除には直ちには応じられない」と通知して家主側の返事を待つことにした。

 

東京借地借家人新聞より

 

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【Q&A】 家賃の値下げと供託

2011年09月23日 | 弁済供託

 (問) 私はテナントビルの13坪の店舗を月額家賃18万円で賃貸し、商売をおこなっています。最近の不況で家賃の負担が重く、月額家賃を13万円に値下げして欲しいと、家主に交渉していますが、納得してもらえずに13万円で供託しようと法務局へ相談しましたが、供託できないと伺いました。ちなみに周辺の家賃相場は、坪当たり月額1万円ですので、家賃の値下げ要求は合理性があると思いますが、いかがなものでしょう。


 (答) 家賃の減額は、家主の合意又は、裁判所の判決や和解で確定しなければできません。家賃の供託手続きは、確定家賃を家主が受取を拒否した場合にしか出来ず、供託額は確定家賃で行います。

 ご相談の方は、月額18万円が合意家賃であり確定家賃です。したがって、18万円の家賃でしか供託することは出来ません。その場合でも供託手続きは、家主が現行家賃の受取を拒否した場合に限られます。

 仮に、法務局が月額13万円で供託を認めた場合であっても、家主から家賃の一部不払いとして訴えられますと、契約解除の理由とされます。

 家賃が、周辺相場より高く、月額13万円が相当額であったとしても、家主との間で合意するか、裁判所で調停し和解するか、家賃減額訴訟を行い、裁判所で確定する以外には、減額できません。

 したがって、家賃を減額して供託することは、賃借権を守るためにも出来ません。

 

全国借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 一義的で具体的更新料特約は高額でなければ有効と判断した最高裁判決

2011年09月22日 | 更新料(借家)判例

 判例紹介

 更新料特約を有効と判断した最高裁判例 (平成23年7月15日第2小法廷判決

 これまで裁判所の結論が分かれていた更新料条項について、最高裁判所が有効と判断した事例を紹介します。ただ、この判例の射程は限定的ですので、誤った理解をしないよう注意して下さい。

 【事案の概要
 
この事件は、京都市内の共同住宅の1室についての借家契約が問題となっています。契約は、賃貸期間1年・賃料月3万8000円となっており、更新の際は更新料として賃料の2カ月分を支払うことが契約書に記載されていました。契約は4回更新された(最後の1回は法定更新を主張して更新料を支払っていない)ところ、賃借人が3回の更新の際に支払った合計22万8000円の返還を求めたのに対し、賃貸人が法定更新の際にも更新料を支払うべきと主張して最後の1回の法定更新の際の更新料の支払いを求めました。この更新料条項が消費者契約法10条に反するかが争点です。

 【判旨
 
この事案に対し、最高裁は、更新料の性質について、「更新料は、賃料と共に賃貸人の事業の収益の一部を構成するのが通常であり、その支払により賃借人は円満に物件の使用を継続することができることからすると、更新料は、一般に、賃料の補充ないし前払い、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有する」としています。その上で、更新料は、民法等の規定に比べて、消費者である賃借人の義務を加重するものとして、消費者契約法10条の要件の一つに該当することは認めました。しかし、賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条のいう「消費者の利益を一方的に害するもの」とはいえないとし、もう一つの要件は満たさないとしました。

 つまり、契約書に明確に更新料の金額まで記載されている場合、その更新料の合意は消費者契約法に反せず、法定更新を選択した場合でも更新料を支払う義務があるとしたのです。

 【寸評
 
この判例の問題点を指摘すればきりがありませんが、最高裁判所の判断ですので、今後の借地借家の問題に強い影響を及ぼすことは明らかです。一般的に借家契約では、更新料条項として金額まで明示されている場合が多く、首都圏では2年ごとに1~1・5カ月の更新料条項というのが多いので、著しく高額とまでいえず、契約書の更新料条項を無効とするのは難しいと思います。

 他方、借地契約の場合、そもそも契約書に更新料条項がなかったり、あっても金額まで記載されていなかったりする事例がほとんどです。とすると、最高裁が指摘する「一義的かつ具体的」な更新料の合意がありませんから、従来どおり法律上も慣習上も支払義務のない更新料を支払う必要はありません。また、最高裁の判断だと、仮に更新料条項が明確に規定されていたとしても、更新料が著しく高額な場合は無効となる余地がありますので、この点も注意して下さい。

 

(2011.09.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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更新料支払請求調停を起こされた (東京・新宿区)

2011年09月21日 | 更新料(借地)

 新宿区西新宿に住むAさんは、親の代から借地して住んでいました。

 23年前に高額な更新料を支払った上に次回の更新時にも更新料を支払うという特約の入った借地契約を結ばされてしまいました。その後、地主は借地人が家の修理修繕を行うたびに文句をつけてきました。また、近所の借地人が、壁のペンキを塗っていただけで業者を脅して帰させてしまった。このような状況の中で組合に入会しました。

 3年前に更新の時期を迎えましたが、地主の相続問題で、身内内でごたごたがあった末に法定更新となってしまいました。その後は、業者などが多額な更新料の請求を行ってきましたが、話合いがまとまらずに過ぎてしまいました。

 今年の5月に、弁護士が代理人となって、更新料の支払いの話合いに応じないことなどを理由に借地契約の解除と更新料の支払請求の調停を起こしてきました。調停では、まず、明渡請求には応じられないことをはっきりと回答し、そのうえで、更新料の支払いについても建替え承諾も含めて検討することにした。2回の調停では、調停員が不動産鑑定や多額な更新料の支払いを受けるように提案されました。

 これに対して、Aさんは、更新料の支払いについては東京高裁の「法定更新されたものについては支払い義務がない」という判決や東京地裁の「更新料支払いの特約があっても数字的な明確な請求がなされていない場合は請求する権利がないとした」判決等を書いた答弁書を提出し、建替え承諾などを含め、頑張ることにしました。

 

 

全国借地借家人新聞より


【判例】 *(借家) 更新料支払特約があっも法定更新した場合には更新料の支払義務が無い (最高裁判決 昭和57年4月15日判決

【判例紹介】 (借家) 更新料支払特約があっても法定更新された場合は更新料の支払義務がない (東京高裁判決 昭和56年7月15日判決

【判例紹介】 更新料支払請求権は客観的に金額を算出できる具体的基準が必要とされた事例 (東京地裁 平成23年3月31日判決

 

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「家主の都合」は正当事由に当たらない (大阪・茨木市)

2011年09月20日 | 建物明渡(借家)・立退料

 大阪府茨木市の一戸建て木造2階造りの借家を月額13万5000円の家賃で平成21年1月から賃借中のAさんは、家主の代理人と称した不動産業者N社が突然「平成23年9月末を持って解約する」という旨の「賃貸借契約解約申入書」が平成23年3月22日付で届けられました。

 驚いたAさんは、N社とは面識もなく、家賃を滞納したこともなく建物もまだまだしっかりしており老朽化していることもないし、平成22年12月26日に家屋の火災保険の更新もしており賃貸借契約は法定更新(注① 借地借家法26条)がされているのではないかと、実家の紹介で大借連へ相談。

 大借連は、「通知書」で「家主の都合により」としか解約の理由が示されていないことから、借地借家法でいう解約の「正当事由」(注② 借地借家法28条)には当たらないので賃借権は守られる。引き続き住み続けられることを助言。

 そこで、Aさんは、N社へ「これまで家主に対する背信行為もしておらず、法定更新もされており、6ヶ月前の解約通知(注③ 借地借家法27条)であっても「正当事由」が示されない限り契約の解約ができないことから解約に応ずる意思がないことを内容証明郵便で返事をしました。

 その後、N社からは、なんらの応答もなく現在に至っています。

 Aさんは、「9月までは心が休まらなかったが、組合に入会して応援して貰えるので心丈夫」と語っています。

 

全国借地借家人新聞より


(注①~③)は東京・台東借地借家人組合 

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賃借人保護の法理に背く不当判決

2011年09月16日 | 更新料(借家)

弁護士 増田尚(敷金問題研究会共同代表)

 7月15日、最高裁第二小法廷(古田佑紀裁判長)は、更新料は消費者契約法10条により無効とはならないとの不当判決を言い渡しました。

 最高裁判決は、更新料を賃料の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するといいます。

 しかし、賃料は物件使用の対価であって、更新料として毎月の家賃以外に一時金の形で支払わせる合理性を検討した形跡もありません。また、「使用」と「使用を継続すること」が別の対価性のある利益ということはできないでしょう。

 そもそも、賃貸人側からの更新拒絶には正当事由が必要であり、法定更新制度によって賃借人が継続して居住する権利は保障されています。

 更新料を支払わなければ賃貸借契の継続が保護されないという最高裁判決の論理は、借地借家法をないがしろにするものといわざるを得ません。

 最高裁判決は、更新料が消費者契約法10条にいう「民法1条2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」であるかどうかの判断について、前記のような法的性質に照らし、民法等の適用される場合に比較して消費者である賃借人の利益をどう侵害しているのかの具体的な検討もなしに、単に、「更新料の支払にはおよそ経済的合理性がないなどということはできない」とか、「一定の地域において、期間満了の際、賃借人が賃貸人に対し更新料の支払をする例が少なからず存することは公知であることや、従前、裁判上の和解手続においても、更新料条項は公序良俗に反するなどとして、これを当然に無効とする取扱いがなされてこなかったことは当裁判所に顕著である」などと述べて、「更新料条項が賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載され、賃借人と賃貸人との間に、更新料の支払に関する明確な合意が成立している場合に、賃借人と賃貸人との間に、更新料条項に関する情報の質及び量並びに交渉力について、看過し得ないほどの格差が存するとみることもできない」などと結論づけます。

 しかし、消費者契約法施行前には公序良俗に反しないとされた契約条項であっても、同法により無効とされる例として、大学の前期授業料の不返還特約があるのですから、かつて公序良俗違反でなかったということが消費者契約法10条により無効とされない理由にはなりません。また、「持てる者と持たざる者」という賃貸住宅契約の本質的格差に加え、事業者として反復継続して賃貸事業を営んでいる賃貸人と、一生のうちに数度あるかないかの契約をするにすぎない賃借人との間の構造的な格差を無視して、格差がないなどと決めつけるのは非常識というほかありません。

 最後に、最高裁判決は、「更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情」があれば消費者契約法10条により無効となる余地があるかのようにいいます。しかし、同日の最高裁判決で無効ではないとされたのは、最大で1年で2・2カ月分にものぼります。このような更新料でさえ、「高額に過ぎる」といえないというのは、あまりに庶民の懐事情を知らないものと批判せざるを得ません。

 判決は、総じて、消費者契約法が施行されたことなどなかったかのようなむきだしの「契約の自由」論であり、合意している以上仕方がないという弱肉強食の論理です。これまでの賃借人保護の司法判断や法制度を踏みにじる不当判断というほかありません。

 現在すでに「更新料なし」の賃貸物件も増えており、最高裁の判断は、そのような時代の流れからもはるかに取り残されたものというべきです。

 

全国借地借家人新聞 8月・9月号より

 

東京・台東借地借家人組合

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