東京・台東借地借家人組合1

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借地権の買上げや底地の押売、借家の明渡しの相談が多発 (東京・武蔵野市)

2006年11月29日 | 地上げ・借地権(底地)売買

 東京が本社で大阪に支社がある不動産会社「東京都市開発株式会社」が、大阪の地上げ屋を使って、都内の借地やアパートの物件を買いまくっている。

 同社のホームページで、「底地買います」、「アパート買います」と宣伝している。宣伝文句は「資産の買い替えなど、お考えの方相続対策で底地売却をお考えの方、面積を問いません。借地権のついたまま現状で買取をいたします」と、メールで相談と無料査定を呼びかけている。この会社と組んでいるのが大阪の地上げ業者「三和住宅」で、都内の各地の組合に借地権の買上げや底地の押売、借家の明渡しの相談が寄せられている。

 武蔵野市吉祥寺南町でも、借地人のAさんは今年の3月に前地主が東京都市開発に売却。前地主から「ご挨拶」の手紙で「突然ではございますが、貴殿に賃借戴いておりました不動産につき、今般事情があって下記の方へ売り渡したので本書をもってご通知致します」といってきた。その後、新地主の東京都市開発は今後の交渉と地代の受取りを三和住宅に全権委任しているの一点張りで、地代の振込も拒否してきた。やむなく、Aさんは地代を組合に預け、交渉は全て組合に任せた。

 三和住宅は、4月からAさんの地代を毎月組合に集金に来ている。東京都市開発は借地権の買取を主張し、路線価格の60%の条件を提示してきた。Aさんは、高齢で病気のお母さんの介護をしなくてはならいない状態で、移転することは不可能であると借地権の売却を拒否した。

 

東京借地借家人新聞より

 

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底地の買取で関西系不動産会社が買取を強要 (東京・板橋区)

2006年11月27日 | 地上げ・借地権(底地)売買

 昨年の10月、「この土地は今度A会社が取得した。私は旧地主と新地主の代理人として今後底地の売買で訪問する事になった」と言って関西系不動会社が、板橋区小豆沢に住む川村さんの家を訪ねてきた。

 しかしその態度に強圧的で脅迫しているように感じた川村さんは、知人に紹介されて借地借家人組合事務所を訪問した。同じ地主から借りていた人に呼びかけて一緒に対応したほうがよいというアドバイスを受けて6人全員が組合に入会した。

 当初、底地を5分5分で買取るように威圧していた関西系不動産会社も組合が窓口になったことを通知し、面会、電話で交渉を強要する事を拒否した趣旨の内容証明郵便を送付するなどして対応した。

 その結果、新地主の代理人として弁護士が、この土地を正式に買取り登記も済ませたので底地の売買の交渉を行いたいと申し出があった。直接面会などの強要はしないことなどを約束させた上で、底地の売買など紳士的に話し合うこととした。地代も受け取る事を約束した。

 

東京借地借家人新聞より

 

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借地契約期間10年は無効 (東京・江東区)

2006年11月25日 | 契約・更新・特約

 江東区牡丹3丁目で値札製造の仕事をしているHさんは、新規の借地契約を昭和52(1977)年12月に権利金50万円を払って約11坪を期間10年、賃料は昭和62(1987)年まで年間5万円という内容の契約を交わした。

 昭和62(1987)年、この時の借地契約の10年間の期限が来たことと、地主自身が新築の建物を建てたいという理由で借地の明渡しを請求された。

 しかし、建物を建てて未だ10年であり、地主の要求はどう考えても非常識な要求である。投下資金の回収も出来ていない状態で建物を明渡すことは出来ないので地主の不当な要求を無視し続けた。

 だが地主も執拗に悪質この上ない明渡要求を言い続け、数年が経過しても不当な要求を執念でし続けた。Hさんは、ほとほと困り果てて平成5年に組合に入会した。

 組合は契約期間を10年とした場合は、最高裁の判例から「借地法2条の法定存続期間の20年に満たないため、借地法11条の規定に反し無効され、期間の定めがなかったものとして取扱われ借地権の存続期間は30年となる」ことから、平成19(2007)年まで借地期間は存続することをHさんに説明した。

 従って、借地契約の更新まで未だ14年も先のことなので、心配する事はないと激励した。加えて地主が建物を新築するために、わざわざ借地人を退けてまでする必然性があるとは到底思えないし、新築理由が借地明渡しの正当事由には当然の事としてなり得ない事を説明した。

 組合では早速話合いのために地主宅へ向かった。地主は「そちらが他人を立てるなら」と、地主は弁護士を代理人に立ててきた。その年の9月にHさんは組合役員と共に弁護士事務所で話し合った。
 代理人は「昭和62年の契約書の期間を20年とし、平成4年以降の賃料は免除する」。「但し地主が新築する場合と本件契約期間は更新しない」旨の確認書を渡されて是非協力してほしいと言われたが、Hさんは「新規契約は結びません」と契約を拒否し、そのまま今日に至った。

 地主の考える20年の契約期間、平成19(2007)年が近づいて来た為か、はたまた、前回の昭和62(1987)年の更新料の空振りの反省からか、地主は、「来年の事ではあるが、契約期間の満了が近づいて来たのでそろそろ借地の明渡しか、更新料を払って契約を更新するかのどちらかに決めておくように」と言ってきた。

 Hさんは今回も組合とよく相談し、組合と連携をとりながら更新料支払拒否を貫き、借地契約の更新を成功させる覚悟でいる。 

 

東京借地借家人新聞より

 


 

  借地期間が法定の20年より短い期間を契約で定めた場合、法律的にはどうなるのかという事に関しては、 こちらを参照して下さい。

 

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一旦支払った更新料を取り戻す (東京・練馬区)

2006年11月24日 | 更新料(借地)

      改めて更新料の支払義務が
     無いことを地主に通知した

 練馬区に住む千葉さんは、この2月に地主から、契約更新に際して、更新料の支払いとして250万円請求された。

 すでに子供さんも嫁いで他の所に住んでおり、本人は年金生活を送っていた。その中からお金を工面し、100万円を持って地主宅を訪問したが、地主は「これでは駄目だから借地を娘名義にして残りの残金を娘に出してもらえ」と言われ困っていた。知り合いの人に相談したところ組合を紹介してもらい組合事務所に来た。

 組合で、よくよく話を聞くと100万円を支払ってもまだ領収書ももらっていないという事なので、このお金を返してもらうことから考え、次に更新料については支払う必要のないことを通告する事にした。

 嫁ぎ先の娘さんに電話で連絡を取り、娘さんから地主に電話してもらい「いろいろ検討するので、一旦100万円を返してください」と言ったところ、100万円は返してもらえる事になった。

 喜びの千葉さん「今度は、更新料の支払義務のないことを地主に通告し、地代の値上げも今まで言われたとおりにしてきたけれど、今後は頑張ってやっていきたい」と話している。

 

東京借地借家人新聞より

 


 

 貸主の更新料支払要求に対して借主は、その支払を拒否出来るのか。法律上更新料の支払義務はあるのか。更新料支払に関する最高裁判決は、こちらを参照して下さい。    

 

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借家人の抵抗で家主は不当条項を全面撤回 (東京・荒川区)

2006年11月23日 | 契約・更新・特約

 荒川区西尾久2丁目で昭和48年から店舗を借りて中華料理を営んでいるSさんは、昨年9月末で3年間の借家契約の期間が満了した。その際、家主から「再契約するには特約で3年間の期間限定とし、その時点で家主側に更新する気があれば継続できるが、そうでない場合は一切の立退料を請求せずに明渡すこと」また「更新する契約書には更新料支払特約を入れる」という条件なら更新してやると言われた。

 Sさんは、とても納得できず借地借家人組合と相談しながら何度も家主と話合い、最終的に裁判も辞さない覚悟で「借家人に不利な契約書には一切サインはしない」と通告した。

 家主は最近になってやっと諦めがついたのか、当初の条件だった3年後の更新拒否や更新料支払特約等を総て撤回し、Sさんと組合とが借家人に不利益な契約条項を削除・修正した契約書に基づいて契約をすることを認めた。

 

東京借地借家人新聞より

 

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更新料と地代の値上げを拒否する (東京・荒川区)

2006年11月22日 | 更新料(借地)

 荒川区西日暮里4丁目で49坪の借地をしているAさんは、10月末日で20年目の更新を迎えたが、地主は8月頃から前回の更新料は350万円支払ってもらったから、今回は20年経過しているので倍の700万円を支払えと要求して来た。

 Aさんは長引く不況で支払えないと断った。地主は「それなら650万円にするが、それ以上はダメだ。支払は分割でも構わない。更新料の支払は慣習であり、当然借地人は支払うのが当たり前」と強気一点張りである。

 何度か地主と話合い行い、300万円まで値下げした。地主はこんなに誠意を持って値下げしたのだから更新料は間違いなく支払え。嫌なら明渡すか地代を大幅に上げると通告して来たので借地借家人組合入会した。

 早速、内容証明郵便で「更新料の支払は拒否する。地代も税額の4倍も支払っているので一方的な値上げは認められない」という趣旨の通告した。

 

東京借地借家人新聞より

 

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家主、明渡請求を撤回 (東京・荒川区)

2006年11月21日 | 建物明渡(借家)・立退料

 荒川区東尾久6丁目に住居兼工場を20数年前から借家しているWさんは、ご主人と長期間努力し営業を続けて来た。今は奥さん一人で頑張っている。

 ところが、平成14年の秋頃突然家主から、借地を地主に返さなければならなくなったので、建物を明渡すよう請求された。Wさんは知人の借地借家人組合員に相談し組合入会した。地主に借地を返す必要も理由もないことを家主に伝えながら家賃を持参したが、受領を拒否され供託を開始した。

 供託を1年間続けた昨年の暮、ついに家主が折れ、借家の明け渡しを撤回した。「供託を解除してほしい。月額4万円の家賃を2000円だけ値上げを認めてほしい」との要求に対し、Wさんは、ほんの気持ちだけ応じて現在に至っている。

 Wさんは「組合に入会して本当に良かった。今までは家主に何か言うと後が恐くて何も言えなかったが、これからは自分の住まいを守る権利は勇気をもって主張して行く」と元気で働いている。

 

東京借地借家人新聞より

 

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不動産業者が定期借家契約を押し付ける (東京・昭島市)

2006年11月20日 | 定期借家・定期借地契約

 当事者の合意の上でも居住用借家契約から
 定期借家契約への切替えは法律で禁止されている

 昭島市東町の賃貸マンションに居住するAさんは、今年に1月に突然、家主の代理人の弁護士から、「定期建物賃貸借につき、契約期間の満了により前記賃貸借契約が終了することをあらかじめ通知致します」との内容証明郵便を送りつけられた。

 事の起こりは、2年前の契約更新時に始まる。Aさんは今まで契約者だった奥さんと離婚したため、名義を変更してもらおうと不動産屋を訪ねたところ、新規契約と同じ家賃の5か月分を支払うよう請求された。Aさんは離婚した奥さんと同居していたのに5か月分は支払えないと断った。その後、不動産屋から家賃の半月分35000円を支払ってくれれば、契約を更新するので手続きをするよう言われた。

 Aさんは、不動産屋から署名捺印をするよう求められ定期建物賃貸借契約書であることもよく分からず、契約書と定期建物の賃貸借に関する説明書にも署名・捺印してしまった。後で、この契約書は2年たったら家主が更新しないと言えば無条件で追い出されてしまうとんでもない契約であることが分かった。

 Aさんが日頃から建物の管理や入居者が生活しているにもかかわらず、家主が大きな騒音をたてて貸室の改造工事をすることに苦情を述べていることから、家主にとっては追い出したい借家人だったようだ。

 Aさんは組合と相談し、2年前の契約は借地借家法第38条2項の説明義務に反し無効であること、名義変更は新規契約に当たらず、普通契約からの切替えは認められないと反論した。

 

東京借地借家人新聞より

 


 

 <参考
 (定期建物賃貸借
第38条
 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。

2 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。

3 建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。

 

 なお、2000(平成12年)年3月1日より以前に契約した賃貸借(借家)契約の場合は、「借地借家法の一部改正に伴う経過措置」附則第3条により「居住の用に供する建物の賃貸借の当事者が、その賃貸借を合意により終了させ、引き続き新たに同一の建物を目的とする賃貸借をする場合には、当分の間、改正後の借地借家法第38条の規定は、適用しない。」 

 即ち、既存の居住用借家契約から定期借家契約へは、仮に当事者が合意した上で契約を締結しても切替えは出来ない。それは附則3条で禁止措置が採られているからだ。

 但し、営業用の店舗・倉庫等は当事者の合意があれば、定期借家契約への切替えは可能である。更新契約時には、くれぐれも注意が必要である。

 

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定期借家契約 (東京・台東)

2006年11月19日 | 定期借家・定期借地契約

 定期借家契約に関して「借地借家法」には次のように書かれている。

 (定期建物賃貸借)
第38条
 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り第30条の規定にかかわらず(注1)、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項(注2)の規定を適用しない。

 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは建物の賃貸人は、あらかじめ注3、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。

 建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。

 第1項の規定による建物の賃貸借において、期間が1年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から6月を経過した後は、この限りでない。

 第1項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が200平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から1月を経過することによって終了する。

 前2項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。

 (注1) 借家人の居住の権利を保護する規定である借地借家法26条の「法定更新制度」及び28条の「正当事由制度」の規定が適用されないことを明確にしたもの。これにより、定期借家契約を選択すると借地借家法の中核である借家人保護規定の2つが排除され、借家人の居住の権利を保護する規定のない無権利状態になることを意味する。

 (注2) 借主にとって不利益な契約ということで借地借家法29条1項で禁止されている1年未満の契約も定期借家契約では認めるとしたもの。

 (注3) 書面の交付とは、定期借家契約を締結する前に賃貸人は契約書とは別に定期借家契約であることを充分認識させることが出来る書面を「あらかじめ借主に現実に引き渡していなければならないということである。

 そして賃貸人自身が直接、「契約は更新がなく、期間の満了により建物賃貸借が終了する旨」が記載された書面交付した上で定期借家契約であることを借主に理解出来るように説明する必要があり、賃貸人の説明義務である。これは宅地建物取引主任者による重要事項の説明義務とは別物でり,重要事項の説明で代用することは出来ない。

 なお、第38条3項にあるように賃貸人本人が説明義務を履行していないときは、定期借家契約中の法定更新及び正当事由排除特約の部分だけが無効とされ、契約全体が無効になる訳ではない。この場合建物賃貸借は法定更新及び正当事由が適用される普通借家契約として有効に成立する。

 ①果して、期間満了前までに賃貸人が定期借家契約の終了通知をしなかった場合は、どうなのか。

 
先ず定期借家契約を期間満了と同時に終了させるには、借地借家法第38条4項から期間満了の1年前から6ヶ月前までの間(この6ヶ月間を「通知期間」という)に期間満了により賃貸借が終了する旨を通知しなければならない。この通知請求をしない場合は、期間満了と同時に定期借家契約の終了を賃貸人は主張出来ない。

  ②では、定期借家契約の期間満了後になされた賃貸人の定期借家契約終了通知が有効なのかどうかである。

 その場合、賃貸人は、もはや定期借家契約の終了を賃借人に請求することは出来ない。「その結果、定期借家契約における「定期特約」は、事実上、消滅して期間の定めのない通常の賃貸借契約が継続することになります。」(「Q&A あなたの借地借家法」東京借地借家人組合連合会編 「別冊 Q&A 定期借家契約」19頁)

 即ち、「期間の定めのない普通の借家契約になる」というのが東京借地借家人組合連合会顧問弁護団の見解である。


 従って、賃貸人が借家契約を解除するには正当事由が必要であり、最終的には裁判所の判断に委ねられる。

 

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無効な定期借家契約 (宮城・仙台市)

2006年11月18日 | 定期借家・定期借地契約

 仙台市でアンティ―クの雑貨のお店を営業している斉藤さんは今年の8月に建物を取り壊すので明渡して欲しいと言われた。突然の話しで困っていると家主はいきなりこの契約は今年の2月までの定期借家契約で期限が過ぎているので6ヶ月の予告で解約できると言ってきた。

 心配になってインターネットや本などで借地借家人組合と言う組織の存在を知って相談にきた。電話での相談で困難な面があったが、契約書などをファックスで送付したところ、定期賃貸借契約だという家主の主張には定期借家契約に必要な書面による通知がなかった。その上、家主の夫は宅建主任の免許をもっており、その仲介での契約であった。家主の代理人である弁護士からは」「定期借家契約に基いて、引き続き契約するならば定期借家契約。それ以外ならば明渡しを求める」との通知がきた。

 組合では斉藤さんと相談し「この『定期借家契約』そのものが借地借家法第38条2項の文書がないことで無効となり、通常の賃貸借契約であること。又、期限が過ぎての契約解除通告は無効である」と主張することにした。

 

東京借地借家人新聞より

 

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【判例紹介】 *賃料増額を拒否し支払額が税額以下と知っていた時は相当賃料に当らない

2006年11月17日 | 地代の減額(増額)

判例紹介     

1、賃借人が主観的に相当と認めていない額の賃料が借地法12条2項にいう相当賃料といえるか
2、賃借人が公租公課の額を下回ることを知りながら支払う賃料が借地法12条2項にいう相当賃料といえるか
最高裁平成8年7月12日第2小法廷判決。ジュリスト最高裁時の判例Ⅱ315頁以下)     

(事案の概要)
 X(地主)はY(借地人)に対して平成6年11月分以降の賃料の増額請求(月額6万円を12万円)をしたが、Yはこれに応じることなく従前の地代額の支払を続けた。Xらは平成2年2月に増額分の支払催告を1週間以内に支払がないときは契約解除をする旨通知した。     

 そして、Xらは、建物収去土地明渡等を求める訴を提起。Xらは「Yは月額6万円が公租公課にも満たないことを知り、主観的にも月額6万円は相当でないと認識しながら、増額請求以後も従前額の支払を続けたから、借地法12条2項にいう相当と認める賃料の支払をしたものとはいえず、債務不履行に当る」と主張。     

 原審は、Yは増額を正当とする裁判の確定までは従前の賃料額を支払う限り債務不履行責任はないとして、Xらの明渡請求を棄却。     

 本判決は、Yがその支払額を主観的に相当と認めていたか、その支払額が公租公課の額を下回ることを知っていたかを審理して解除原因の存否を判断させるため、明渡請求に係る部分を原審に差し戻した事案である。     

(判旨)
 1、賃料増額請求につき当事者間に協議が調わず、賃借人が請求額に満たない額を賃料として支払う場合において、賃借人が従前の賃料額を主観的に相当と認めていないときは、従前の賃料額と同額を支払っても借地法12条2項にいう相当賃料を支払ったことにはならない。
 2、賃料増額請求につき当事者に協議が調わず、賃借人が請求額に満たない額を賃料として支払う場合において、賃借人が自らの支払額が公租公課の額を下回ることを知っていたときは、賃借人が右支払額を主観的に相当と認めていたとしても特段の事情のない限り、借地法12条2項にいう相当賃料を支払ったことにはならない。     

(寸評)
 判旨1、は、賃借人が従前額以上の賃料を支払う場合には、その主観的な認識如何にかかわらず、相当賃料として、債務不履行にならないか、という問題である。
 借地法12条2項の解釈について最高裁の判断として注目される。判旨2、は、かつての最高裁第一小法廷判決(平成5年2月18日)が傍論として、公租公課額を下回ることを知っていた場合には、債務不履行になると示していたが、その事件は、公租公課額を下回ることを知らなかった事案であった。
 若干の判例の動きを経ての最高裁の判決である。公租公課額を下回る賃料の支払について、注意を要するので紹介した。

(2004.10.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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80歳を超える借地人には無理難題な契約条件を強要 (東京・台東区)

2006年11月16日 | 契約・更新・特約

 台東区根岸に住むGさんは、80歳を超える年齢で、既にご主人に先立たれ、子供もいない全くの単身生活である。50坪の借地の殆どを駐車場及び倉庫として賃貸し、その賃料が生活費になっている。

 3月末借地契約が満了し、その更新に際して地主から新しい契約条件を提示された。その内容は①地代は月当り15万円を4万円値上げの19万円に改定する②更新料は500万円とする③特約として相続を認めない契約者本人一代限りの契約とする、というものであった。現在の暮らしからはとても金額的に呑めるような条件ではなく、一人途方にくれていた。

 近所に住み日頃身の回りの世話をしている姪御さんがこの話を聞きつけ借地借家人組合に相談し加入した。その後、地主代理人の弁護士から話合いをしたいとの申し入れがあり、Gさんはご高齢なので姪御さんが組合指導の下に代理交渉に臨み、提示された3点には応じられない旨を伝え、従前の契約内容で更新したい意思も伝えた。

 しかし、地主側弁護士は3条件を呑んで貰えないのであれば、更新に応じられないという態度を崩さない。結局、話合いは物別れに終った。

 その後、取敢えず、4月以降の地代を地主に送金し、加えて借地法4条に基づく「借地更新請求」を配達証明付き内容証明郵便を送り付けた。

 今後の対応は組合の顧問弁護士と相談しながら進めていくことを確認した。

 

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建物の老朽化を理由に明渡請求 (東京・台東区)

2006年11月15日 | 建物明渡(借家)・立退料

 台東区蔵前地区に20数年前より共同住宅形式の店舗併用住宅を借家しているKさんの元に家主の代理人より内容証明郵便が届いた。

 他の共同住宅の10名の借家人にも同一内容の内容証明郵便が届けられていた。それは設計事務所の鑑定書を添付したもので、建物の老朽化が激しいためにガスの配管・電気の配線が修理不能で危険な状態なので借家契約を中途解約するので6ヵ月後に明渡して欲しいとの内容であった。

 入居者は永年地元の固定客を相手に居酒屋・飲食店・印刷所・雀荘等を営業しており、突然の明渡請求に困惑してしまった。

 その後、民商の役員の紹介で入居者は借地借家人組合に加入した。取敢えず、組合役員の指導の下に書面より家屋は未だ使用に耐えられる状態にあり、契約の中途解約には応じる意思のない旨を伝えた。

 すると、その後代理人から入居者にその件に関して面談したいとの要望があった。組合員は事前に班会を開き、移転しての営業は難しく、住み慣れた当地を離れたくないとの各自の意思を確認した。そこで今後は組合役員と班長を窓口にして話合いに臨むよう対応が固まった。

 Kさん達は組合役員の説明を受けて、家主には建物明渡請求に関する正当事由がなく、居住者は従来通りに営業と居住が出来ることを知り安堵した。

 

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更新後の借地期間を契約書に10年間と記載される (東京・練馬区)

2006年11月14日 | 契約・更新・特約

借地の契約期限を10年と地主記載

 練馬区旭丘で借地して40年を経過した酒井さんは、この10月で期間が満了し、更新の時期を迎えた。 地主から今回、更新後の契約書が送られてきた。契約書案には、その第2条で、契約期間を10年とするというものであった。

 組合の新聞その他で、借地借家法が改定される以前に契約したものは旧借地法が適用されると聞いていた酒井さんは、心配になった組合事務所に相談に来た。

 組合では、酒井さんが賃借している借地は旧借地法が適用されること並びにその期間については20年以上とすること。それ以下の期限を定めた場合はその条項は無効となり、期限の定めのない契約となって、堅固でない木造の場合は20年となることを説明した。(

 相手の地主は、平成4年に施行された借地借家法で2回目以降の更新は10年とするという条項を勘違いして契約書に記載してきたものと考えられるとし、相手の地主に通知することにした。

 酒井さんは「これで安心しました。ゆっくり眠れます」と話した。

 

東京借地借家人新聞より

 


 

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賃料減額で和解 (埼玉・春日部市)

2006年11月13日 | 家賃の減額(増額)

 春日部で和菓子の製造販売を行っている宮地さんは、2年前に司法書士を代理人として減額請求をしたが、成果はなかった。近隣並みの賃料にしたいという希望で組合に入会した。

 賃料減額については双方の合意が必要なこと。出来ない場合は調停を行い、合意が出来ない場合は、裁判で決着することなどを説明した。

 相手は弁護士を代理人にして、「近隣の相場と比較しても高くない」と主張した。宮地さんは知合いの不動産業者の資料などもとに高額であると主張したが合意できず、不調に終わった。

 裁判で決着をつけることにし、組合の援助で裁判所に賃料減額の裁判をおこした。同時に「話合いで合意したいと言うならば応じる用意があるが、だめならば鑑定の申し出を行い、判決をもとめる」と通知した。

 弁護士はここにきて賃料減額に応じ、4万円の減額を申し出た。不服はあるものの宮地さんは合意に応じ和解。
 「弁護士も使わずに一人で調停、裁判までできたのも組合のおかげです。ありがとうございます」と宮地さんは話した。

 

東京借地借家人新聞より

 

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