東京・台東借地借家人組合1

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一票の格差違憲判断、背景に国民の意識の高まり 選挙制度見直し急務 (産経)

2009年12月28日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 衆院選での一票の格差をめぐっては、最高裁はこれまで2.92倍でも「合憲」としてきた。にもかかわらず、大阪高裁がわずか2.05倍でも違憲とし、「2倍を超える状態に固定するのは立法府のあり方として憲法上許されない」と国会の不作為を指弾した背景には、格差に対する国民の意識の高まりがある。

 意識の高まりを示したのが、8月の衆院選と同時に行われた最高裁裁判官の国民審査だ。最大格差2.17倍だった平成17年の衆院選を合憲と判断した裁判官2人について、市民団体が「不平等を肯定する裁判官を不信任に」と呼びかける運動を展開。2人は罷免こそされなかったが、不信任率はほかの裁判官に比べて突出していた。

 また、19年の参院選の格差をめぐる訴訟で、最高裁は9月末、4.86倍を「合憲」と判断しつつ、「大きな不平等。国会で速やかに適切な検討を行うことが望まれる」と指摘した。市民運動に参加し、今回の訴訟で原告側代理人を務めた升永英俊弁護士は「驚くべき判決で、これまでとは明らかに違う」と評価した。

 しかし、国会側に厳しい判断に傾き始めた司法に対して、格差をなくすための政策は進んでいない。参院改革協議会(座長・高嶋良充民主党参院幹事長)は今月、来夏の次期参院選での選挙区定数の見直しを断念した。「大きな不平等」は当面、維持されることが確実となっている。

 今回の高裁判決はおそらく上告され、最高裁で改めて判断が示されることになるだろう。それでも大阪高裁が、格差の是正を促す強いメッセージを発したことは一定の重みをもつ。国民審査の結果を見れば、独りよがりな判断ではなく、国民の意思を反映しているといえるからだ。格差是正のため、政府が選挙制度の見直しを早急に検討すべきときが来ている。

 

2009年12月28日 産経ニュ-ス

 

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現行の小選挙区「違憲」「格差2倍超放置」…大阪高裁判決 (読売)

2009年12月28日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 8月30日に投開票された衆院選の小選挙区で、議員1人当たりの有権者の格差(1票の格差)が最大2・30倍だったのは憲法違反だとして、大阪府箕面市の男性が府選管に選挙無効(やり直し)を求めた訴訟の判決が28日、大阪高裁であった。成田喜達(きたる)裁判長(菊池徹裁判長代読)は「格差が2倍を超える状態を放置するのは立法府のあり方として憲法上許されない」として「違憲」を宣言したうえで、選挙自体については「無効とした場合、公の利益に著しい障害が生じ、公共の福祉に適合しない」とする事情判決の法理を適用し、原告の請求自体は棄却した。

 1994年の小選挙区比例代表並立制導入後、衆院選が「違憲」とされたのは初めて。この衆院選を巡っては、大阪以外に全国7高裁・支部に同様の訴訟が起こされている。府選管側は上告する見込み。

 小選挙区比例代表並立制と同時に制定された衆院選挙区画定審議会設置法(区画審設置法)は、選挙区間の有権者数の格差が2倍以上にならないことを基本として区割りするよう定めている。しかし、過疎地域への配分を手厚くすることを目的に、小選挙区の総定数300をまず47都道府県に1ずつ割り振り、その上で残り議席を人口比に応じて配分する「1人別枠方式」を採用したため、当初から2倍を超える選挙区が存在することになった。

 成田裁判長は「憲法は選挙権に関し、徹底した平等化を志向し、投票の価値の平等をも要求すると解される」と判断。そのうえで、1人別枠方式について「従来の著しい格差を改善させる方式として、過渡期の改善策としてそれなりの合理性と実効性があったが、現時点では憲法の趣旨に反する」とした。

 8月の衆院選では、選挙当日の有権者が最も少なかった高知3区と最も多かった千葉4区の格差は2・30倍。原告の男性が居住する大阪9区との格差も2・05倍で、全選挙区300のうち、2倍以上の格差がついた選挙区は45に上った。

 この点について、成田裁判長は「格差が2倍に達する事態は、大多数の国民の視点から耐え難い不平等と感じられてきた」として、原則2倍に達した場合は違憲との考えを示し、「この格差は1人別枠方式という憲法の趣旨に反する選挙区割りにより生じたと認められ、本件選挙は違法との評価は免れない」と結論付けた。

 事情判決の法理 行政事件の取り消し訴訟で、行政処分や裁決が違法でも、取り消しで公益に著しい損害を与えると判断される際、原告の請求を棄却できる。判決は主文で処分が違法であることを明確にする。係争中にダムが完成した場合などに用いられるが、選挙の効力に関する訴訟では公職選挙法がその準用を排除しているため、これまでの定数訴訟では法の理念を引用する形で言い渡されてきた。

(2009年12月28日  読売新聞)

 

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衆院選、2倍強の票格差「違憲」 選挙は有効 大阪高裁 (朝日)

2009年12月28日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 8月の衆院選で、有権者が多い選挙区と少ない選挙区の間で一票の価値に最大2倍強の格差が生じたのは、法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、大阪府箕面市の60代男性が地元・大阪9区の選挙無効を求めた訴訟の判決が28日、大阪高裁であった。成田喜達(きたる)裁判長(菊池徹裁判長代読)は、現行の選挙区割りについて「違憲」と判断。選挙無効の請求については棄却した。

 現行の小選挙区比例代表並立制に基づく初の衆院選があった1996年以降、「一票の格差」をめぐる司法の違憲判断は初めて。総務省の記録によると、高裁レベルでの違憲判断は、90年の総選挙をめぐる91年5月の大阪高裁判決以来、18年ぶり。

 先の衆院選で一票の格差を問う訴訟は、各地の有権者が、札幌、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡の全国7高裁と福岡高裁那覇支部に提訴。大阪訴訟が初の判決となった。公職選挙法は選挙の効力を問う裁判の提訴先を高裁と定めている。

 府選管の提出資料によると、政権交代に至った8月30日投開票の衆院選で、当日有権者数が最多の千葉4区(48万7837人)と最少の高知3区(21万1750人)の間では一票の格差が2.30倍あった。男性が住む大阪9区(43万3290人)と高知3区でも2.05倍の差が生じた。

 訴訟で男性側は、法の下の平等を定めた憲法14条や、選挙人の差別を禁じた憲法44条を根拠として、「すべての有権者は『一人一票』が保障されている」と主張。一票の格差が2倍強もある中で行われた選挙の結果は、有権者の意見を平等に反映したものとはいえず正当性がないとした。

 一方、被告の府選挙管理委員会側は、衆院選で3倍未満、参院選で6倍未満の格差なら「合憲」としてきた過去の最高裁判例の流れを踏まえ、請求棄却を求めた。また今回の格差は「国会の裁量の範囲内」と反論していた。

 一票の格差が最高裁判決で「違憲」または「違憲状態」とされたのは72、80、83、90年の衆院選、92年参院選の5回あるが、混乱を招くとして選挙無効となった例はない。

 

2009年12月28日 asahi.com(朝日新聞)

 

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不動産管理業者に登録制導入へ 借り主と家主、双方保護 (朝日)

2009年12月28日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

 賃貸住宅の滞納・明け渡しトラブルを防止するため、国土交通省は全国に約8万ある不動産管理業者などを対象に登録制を導入する方針を決めた。借り主と家主双方を保護し、市場の健全化を図る。

 新制度の対象は、賃料の徴収や賃貸借契約の更新・解約業務を担う管理業者と、賃貸住宅を一括借り上げして転貸するサブリース業者。賃貸借契約の際、借り主と家主に対する重要事項の説明と書面の交付をルール化する。借り主に対する契約に基づかない金銭の請求、行き過ぎた取り立て・追い出し行為などを禁止。不正行為があった場合、登録を削除する。国交省で登録を受け付けてホームページなどで公開。ただし、新制度は任意のため、法的強制力を伴わない。政府が次の通常国会に提出予定の「追い出し規制法案(通称)」の施行に合わせて導入する。

 国交省の調べでは、民間賃貸住宅(約1300万戸)の8割以上が個人家主で、そのうちの7割超が管理業務を委託している。国民生活センターによると、賃貸住宅をめぐる相談は2008年度で約3万3千件で、1999年度の2.3倍と急増。退去時の原状回復や敷金返還などのトラブルが目立っている。

 

2009年12月27日  asahi.com

 

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公営住宅へ定期借家制度 規制改革会議が全面的導入を提言

2009年12月25日 | 定期借家・定期借地契約

 12月4日、政府の規制改革会議(議長草刈隆郎日本郵船(株)取締役)は、「更なる規制改革の推進に向けて」~今後の改革課題~を内閣へ提言しました。

 この提言「住宅・土地分野で改革の課題の一つに「公営住宅における新規入居者への定期借家契約の全面的な導入等」をあげています。

 そして、「住宅困窮者に対して住居を提供するという公営住宅の本来の目的を適確に果たすために、入居後の収入の超過等、入居基準に関するチェックを定期的に行い、入居基準を満たさない入居者への住み替えを促す仕組みとして、定期借家契約の締結は極めて有効であり、その全面的な導入を図る。併せて収入超過者に課せる割増家賃の設定にあたっては、市場家賃水準以上とし、収入超過者の自主的な住み替えを促すインセンティブとすべきである。」と提言でその理由を述べています。

 10年前に定期借家制度が国会で審議された時、当時の建設大臣は、「定期借家制度は、公営住宅制度の性格上なじまない。公営住宅には適用しない」と答弁し、その後もこの建設大臣の方針を全借連は確認しました。

 万一、公営住宅の居住者へ定期借家制度が適用されることになれば、住宅セーフティネットはなくなり、ハウジングプアが急増し深刻な住宅貧困の原因となりかねません。

 

全国借地借家人新聞より

 

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【判例】 更新料特約が,消費者契約法10条に違反し無効 (京都地裁平成21年7月23日 判決)1

2009年12月24日 | 更新料(借家)判例

 判例紹介

事件番号:平成20年(ワ)第3224号
事件名:敷金返還請求事件
裁判年月日:H21.7.23
裁判所名:京都地方裁判所部:第6民事部
結果:認容
判示事項の要旨:
 居住用建物の賃貸借契約における保証金の解約引き特約及び更新料特約が,消費者契約法10条に該当し無効であると判断された事例

 

主      文

 

 1 被告は,原告に対し,46万6000円及び内35万円に対する平成20年7月31日から,内11万6000円に対する同年10月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 2 訴訟費用は被告の負担とする。
 3 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由第

 

1 請求
  主文同旨

第2 事案の概要など
 1 事案の概要

  原告は,被告(貸主)との間のマンション賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)の締結時に保証金35万円を,契約更新時に更新料特約(以下「本件更新料特約」という。)に基づき更新料11万6000円(以下「本件更新料」という。)をそれぞれ支払ったが,本件賃貸借契約の約定中,解約引き特約(以下「本件敷引特約」という。)及び本件更新料特約が消費者契約法(以下「法」という。)10条により無効である旨主張して,敷金契約終了に基づき被告が返還すべき義務があることを自認した5万円を含めた保証金35万円及びこれに対する賃借物件明渡し後である平成20年7月31日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,不当利得返還請求権に基づき,更新料11万6000円及びこれに対する訴えの変更申立書送達の日の翌日である同年10月23日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。

 2 前提事実(証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる事実)
  (1) 原告は,平成18年4月1日,被告との間で原告を賃借人,被告を賃貸人として,以下の内容の本件賃貸借契約を締結した(甲1)。

   ア 賃貸借物件・・・・  京都市 a区b町 c-de号室(以下「本件物 件」 という。)
   イ 契約期間・・・・  平成18年4月1日から平成20年3月31日まで
   ウ 賃料・・・・  1か月5万8000円
   エ 保証金・・・・  35万円
   オ 解約引き・・・・  30万円(以下「本件敷引金」という。)
   カ 更新料・・・・  賃料2か月分

  (2) 本件賃貸借契約にかかる契約書(以下「本件賃貸借契約書」という。)には以下の条項があった(甲1。なお,同契約書中「甲」は賃貸人たる被告のことであり,「乙」は賃借人たる原告のことである。)。

  第2条(敷金または保証金)
  ① 乙は,敷金(保証金)として頭書(3)記載の金額(35万円)を本契約締結時と同時に甲に差し入れるものとする。但し,敷金(保証金)には,利息を付さない。

  ② 前項の敷金(保証金)は,乙の甲に対する賃料の支払及び損害賠償その他の本契約から生ずる一切の債務を担保する。

  ④ 甲は,敷金(保証金)を返還する際,未納の家賃損害金,滞納損害金,原状回復の為の費用等,乙が甲に支払うべき金額を控除して,その残金を明渡し後60日以内に乙に返還する。但し,敷金(保証金)の額が不足するときには,乙は不足額を直ちに甲に納付しなければならない。

  第3条(賃料及び共益費等)
  ① 賃料及び共益費は,頭書(3)に記載(賃料5万8000円,共益費5000円)するとおりとする。第4条(契約期間)1契約期間は,頭書(2)記載(平成18年4月1日から平成20年3月31日まで)のとおりとする。但し,契約期間満了の2か月以上前に,乙が甲に対し書面により更新拒絶の申出をしない限り,契約は当然に更新されるものとする。但し,第11条第2項に該当する場合(乙の責に帰すべき事由による契約の解除)は本契約を更新することができない。

  ② 乙は合意更新または,前項による法定更新にかかわらず,頭書(3)記載の更新料(賃料2か月分)を支払わなければならない(本件更新料特約)。

  第5条(賃料・共益費の改定)
 第3条に定める賃料及び共益費等が,物価の変動,住宅の維持管理,公租公課等,その他の事由により不相当となるに至ったときは,契約期間中といえども,甲は,家賃・共益費・敷金等を改定することができる。

  第6条(延滞金)乙が賃料及び共益費等の全部又は一部の支払を怠ったときは,乙は甲に対し納付期日から延滞日数に応じ年率(365日あたり)14.6パーセントの割合を乗じて算出した額に相当する延滞金を支払わなければならない。但し,天災等その他不可抗力によるものと甲が認めたときは,これを減免することができる。

  第10条(契約期間内の解約)
  ① 乙は契約期間中といえども,甲に対して書面により2か月以上前の予告期間を定めて,本契約の解約を申し入れることができる。この場合,予告期間満了と同時に本契約は終了する。但し,乙は予告期間にかえて2か月分の賃料相当額を甲に支払うことにより,直ちに解約することができる。

  ③ 甲は契約期間中といえども,乙に対し,6か月以上の予告期間を定めて本契約を解約することができる。

  第13条(原状回復)
  乙もしくは頭書(4)記載の同居人,又はそれらの来訪者その他の乙の関係者が目的物件,本建物設備,及び諸造等を変更,又は毀損した時は,乙は直ちにこれを原状に回復しなければならない。もし,乙が原状に回復しない場合は,甲は乙の費用負担において回復することができる。

 (3) 原告は,被告に対し,平成20年1月15日,本件賃貸借契約を更新するに際し,本件更新料特約に基づき,2年間の契約期間に対する更新料として11万6000円(本件更新料)を支払った。

 (4) 原告は,被告に対し,平成20年5月8日,本件賃貸借契約の解約の申入れを行い,同月31日,本件物件を明け渡した(甲2)。

 (5) 原告は,被告に対し,平成20年6月2日,2か月分の賃料相当額として11万6000円を支払った。
 

「3 争点及び争点に対する当事者の主張」へ続く


【判例】 更新料特約が,消費者契約法10条に違反し無効 (京都地裁平成21年7月23日 判決) 2

2009年12月24日 | 更新料(借家)判例

3 争点及び争点に対する当事者の主張


(1) 本件敷引特約及び本件更新料特約は,法10条に該当するものとして無効といえるか

 ア 原告
 (ア) 賃貸借契約は,賃貸人が賃借人に対して目的物を使用収益させる義務を負い,賃借人が賃貸人に対して目的物の使用収益の対価として賃料を支払う義務を負うことによって成立する契約であり,賃貸目的物の使用収益と賃料の支払が対価関係にあることを本質的な内容とする。そして,民法上,賃借人に賃料以外の金銭的負担を負わせる旨の明文規定は存しないから,賃借人に債務不履行がある場合を除き,賃借人が負担する金銭的な義務としては賃料以外のものを予定していない。
   よって,本件敷引特約及び本件更新料特約のように,賃借人に賃料以外の金銭的負担を負わせる内容の合意は,民法の賃貸借契約に関する任意規定の適用に比し,賃借人の義務を加重するものである。

 (イ) 本件敷引金の法的性質について
   被告は,本件敷引金の法的性質につき,①自然損耗料,②リフォーム費用,③空室損料,④賃貸借契約成立の謝礼,⑤当初賃貸借期間の前払賃料,⑥中途解約権の対価といった要素が渾然一体となったものである旨主張する。
   しかしながら,本件賃貸借契約に際し,本件敷引金がそのような性質を有するものであるとの説明は一切なく,そもそも前記要素は以下のとおりいずれも合理性がない。

 a ①自然損耗料及び②リフォーム費用について
   目的物の通常の使用に伴う自然損耗の修繕費用は賃料で考慮されており,賃料に加えて自然損耗の修繕費用の負担を強いることは賃借人に二重の負担を強いることになることから,本件敷引金に自然損耗料及びリフォーム費用としての要素を含ませることには合理性がない。

 b ③空室損料について
   賃貸借契約は,賃貸目的物の使用収益とこれを使用収益する期間に対応する賃料の支払が対価関係に立つ契約であるから,賃借人の使用収益しない期間の空室賃料について賃借人が負担を強いられる理由はない。

 c ④賃貸借契約成立の謝礼について
   賃料以外に賃借人が謝礼を支払わなければならないというのは不合理であって,賃貸借契約成立の謝礼という要素を含ませることには合理性がない。

 d ⑤当初賃貸借期間の前払賃料について
   現実に使用収益する期間の長短を一切考慮せずに一定金額で賃料を前払させることに合理性はない。そもそも,前払を要するほど賃料が減額されているのか,減額されているとしていくら減額されているのか明らかでないことから,前払賃料という要素を含ませることには合理性がない。

 e ⑥中途解約権の対価について
   中途解約権は,原告のみならず被告にも留保されているから,原告のみが賃貸人(被告)に対して対価を支払わなければならない理由はない。

 (ウ) 本件更新料の法的性質について
    被告は,本件更新料の法的性質につき,①更新拒絶権放棄の対価,②賃借権強化の対価,③賃料の補充,④中途解約権の対価といった要素が渾然一体となったものである旨主張する。
 しかしながら,本件賃貸借契約に際し,本件更新料がそのような性質を有するものであるとの説明は一切なく,そもそも前記要素は以下のとおりいずれも合理性がない。

 a ①更新拒絶権放棄の対価について
   賃貸人の更新拒絶は,正当事由があると認められる場合でなければすることができず(借地借家法28条),居住用建物の賃貸借契約の場合,正当事由が認められることはほとんどない。また,賃貸人の更新拒絶は,期間満了の6か月前までに行使しなければならず(同法26条1項),合意更新がなされる場合,すでに賃貸人による更新拒絶権行使の期間が徒過しており,更新拒絶権が発生しないことが確定している場合がほとんどである。よって,本件更新料を更新拒絶権放棄の対価とみることはできない。

 b ②賃借権強化の対価について
   本件賃貸借契約において,賃貸人に中途解約権が留保されており,賃借権は全く強化されていない。また,居住用建物の賃貸借の場合,契約期間が短く,法定更新の場合と比べ,合意更新によって賃借権を確保するという実質的な意味はほとんどない。そもそも,賃貸人の正当事由に基づく解約が認められる場合はほとんどなく,本件更新料には賃借権を強化するという要素はない。

 c ③賃料の補充について
   現実に使用収益する期間の長短を一切考慮せず,一定金額で賃料を補充させることに合理性はない。そもそも,賃貸借期間が1,2年と短期に設定されている居住用建物の賃貸借の場合,その期間内に賃料の不足分が生じるとは考えにくく,更新料によって賃料を補充する必要性に欠ける。法定更新の場合に更新料が支払われないことについて全く説明ができないことからも,その不合理性は明らかである。

 d ④中途解約権の対価について
   賃借人が中途解約権を留保している一方,賃貸人も中途解約権を留保しているのであり,賃借人だけがさらに対価を支払わなければならない理由はない。そもそも,本件賃貸借契約においては,更新前からすでに中途解約権が留保されており,更新料と対価関係を見出すことはできない。

 e そして,全国的には居住用建物の賃貸借において更新料の定めを設けることは例外的であること,国土交通省が推奨する賃貸住宅標準契約書においても更新料の定めはないこと,公営住宅の賃貸借契約においては更新料の定めがないこと,住宅金融公庫融資物件について,更新料支払条項を設けることは賃借人に不当な負担を課すことから上記定めを設けることが罰則により禁止されていたこと等からしても,本件更新料特約が不合理であることは明らかである。

 (エ) 賃貸事業者と消費者である賃借人との交渉力の格差からすれば,敷引特約及び更新料特約を賃借人が交渉によって排除することは事実上不可能である。仲介業者は賃貸物件を媒介する業者であり,賃借人の情報の質及び量並びに交渉力の格差を是正することを業務とはしていない。また,契約内容につき説明され理解したようにみえても,実は情報の質及び量並びに交渉力の格差を背景に,賃貸事業者によって定められた契約内容が賃借希望者に対して一方的に押しつけられているのが現実であるから,契約条項自体が不当であれば無効となる。

 そして,前記(イ)及び(ウ)のとおり,本件敷引金及び本件更新料にはいずれも合理的な法的性質は認められないにもかかわらず,賃借人(原告)に対してそれぞれ30万円(敷引率約86パーセント,賃料の約5.2か月分)及び11万6000円(賃料の2か月分)もの金員の負担を強いている。

 賃借人の金銭的な義務は,あくまで賃料支払義務であり,それ以外に敷引金及び更新料を賃借人に負担させる正当な理由は何ら存在しないところ,本件賃貸借契約における賃料額が近隣同種物件の標準賃料額に比し低額に設定されている事実はない。

 (オ) 以上の事情を総合考慮すると,本件敷引特約及び本件更新料特約は,民法1条2項の規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるから,法10条により無効である。


イ 被告
 (ア) 本件敷引金の法的性質
   本件敷引金は,以下のとおり,①自然損耗料,②リフォーム費用,③空室損料,④賃貸借契約成立の謝礼,⑤当初賃貸借期間の前払賃料,⑥中途解約権の対価といった要素が渾然一体として含まれる金員であり,合理性を有する。

 a ①自然損耗料について
   自然損耗についての修繕費用を月々の賃料という名目だけで回収するか,月々の賃料という名目だけではなく,保証金・敷引金という名目によっても回収するかは,地域の慣習などを踏まえて,賃貸人の判断に委ねられている事柄であり,本件敷引特約は,自然損耗料を賄うものである。

 b ②リフォーム費用について
   リフォームの程度は,賃貸期間の長短と直接の関係はなく,1,2年程度の短期間の賃貸借であっても,相当程度のリフォームが必要となるところ,賃貸借期間がどの程度継続するか予測し難いため,リフォームを含めた適正な賃料額を設定することは困難である。そのため,リフォーム費用を賃借人の負担とし,かつ,それを固定額として賃料とは別の名目で回収することは合理的である。

 c ③空室損料について
   賃貸事業は,ある賃借人に賃貸してから次の賃借人に賃貸を開始するまでを1クールとして完結する事業であるところ,空室期間の賃料相当分を賃借人の負担とし,かつ,それを固定額として賃料とは別の名目で回収することは合理的である。

 d ④賃貸借契約成立の謝礼について
   不動産の賃貸借契約は賃貸人と賃借人の人的信頼関係で結ばれていること,賃貸借契約により賃借人が取得する権利はそれ自体が経済的価値を持つ権利性の強い権利であること等から,かかる賃借人たる地位を得た対価としての礼金を授受することには十分に合理性がある。

 e ⑤当初賃貸借期間の前払賃料について
   本件賃貸借契約においては,月払の賃料額を低額に抑えつつ,一部を賃料の前払として敷引金に含ませ,その合計をもって実質賃料としているのであるから,何ら不合理なものではない。

 f ⑥中途解約権の対価について
  本件賃貸借契約で留保される賃貸人の中途解約権は,借地借家法30条に反し無効であるから,実質的には中途解約できない。すなわち,期間の定めのある本件賃貸借契約の場合,正当事由があったとしても賃貸人の意思のみによって中途解約権を行使することはできない。仮に,賃貸人の中途解約権を定める条項が有効であったとしても,賃貸人が中途解約権を行使するためには正当事由が必要であり,その有無は厳格に判断されるため,両当事者に対等性はなく,賃借人に有利な中途解約権が付与されている。

 (イ) 本件更新料の法的性質
   本件更新料は,以下のとおり,①更新拒絶権放棄の対価,②賃借権強化の対価,③賃料の補充,④中途解約権の対価といった要素が渾然一体として含まれる金員であり,合理性を有する。

 a ①更新拒絶権放棄の対価について
   本件更新料は賃貸人の更新拒絶権を放棄することの対価としての性質を有し,また,更新料の支払を約することによって,画一的に更新拒絶権行使に伴う紛争を回避する目的もあり,合理性を有する。

 b ②賃借権強化の対価について
   本件更新料の支払により,本件賃貸借契約が期間の定めのある賃貸借契約として更新され,賃貸人からの解約申入れがなされないこととなり,これにより賃借権が強化されることの対価としての性質を有する。なお,賃貸人の中途解約権は,借地借家法30条により無効である。

 c ③賃料の補充について
   賃貸人及び賃借人は,月額賃料等と同様,更新料について目的物件を使用収益させる(する)対価として把握していると考えるのが合理的意思解釈として妥当である。そして,本件更新料は,2年間の更新期間ごとに支払われることが約定されており,使用収益期間と更新料支払との相関関係が肯定されることから,本件更新料は,賃借人の使用収益期間に対応した賃料の補充的性質を有する。

 d ④中途解約権の対価について
   賃貸人の中途解約権は,借地借家法30条により無効であることから,賃借人にのみ片面的に中途解約権が付与されることになる。仮に,賃貸人の中途解約権を定める条項が有効であったとしても,賃貸人が中途解約権を行使するためには正当事由が必要とされ,その有無は厳格に判断されるため,中途解約に関して両者間に対等性はなく,賃借人に有利な中途解約権の付与にあたる。

 (ウ) 本件敷引特約及び本件更新料特約は,前記の法的性質や契約当事者の意識等から,契約の要素と主たる給付の対価という核心的部分又は中心的部分の条項に該当し,専ら当事者の自由意思によって決定される事項であり,比較すべき適切な対象基準がそもそも存在しないことから,法10条は適用されない。

 (エ) 居住用建物の賃貸借において賃借人は,物件の所在・設備・広さ等とともに経済的な負担(賃料・共益費・礼金・敷金・更新料等)を比較検討した上で賃借する物件を選択する。このことから,賃貸借契約の締結にあたっての賃料額の算出において,さまざまな要素を斟酌し盛り込むことは,民法が当然に予定し,許容しているものである。そして,本件敷引金及び本件更新料は,前記の法的性質のとおり,賃借人の使用収益と対価関係に立つものであるから,月額賃料と合算して全体として実質賃料を構成するから,その総額が不合理でない限り,民法601条に比して消費者の義務を加重するものではなく,法10条1項前段に該当しない。また,敷引及び更新料については,事実たる慣習となっており,法10条1項前段所定の「民法その他の法律の公の秩序に関しない規定」に含まれる(民法92条)から,本件敷引特約及び本件更新料特約が法10条1項前段に該当することはない。

 (オ) 法10条1項後段の要件は,当該契約条項を有効とすることによって消費者が受ける不利益と当該契約条項を無効とすることによって事業者が受ける不利益とを利益衡量し,消費者の受ける不利益が信義則に反し均衡を失するといえるほどに一方的に大きいといえる場合にのみ,当該契約条項を無効とするものと解すべきである。

 居住用建物の賃貸借においては,平成12年時点において,空家率が15パーセントを超えるなど賃借人が自己の希望する条件に適合する,あるいはこれに近い物件を選択することが十分に可能な状況となっていたこと,賃貸人が個人経営者であるのに対して,賃借人はインターネット・情報誌等により容易に大量の情報を手に入れることができること,本件賃貸借契約の締結にあたっては,京都ライフが原告の仲介業者としてその契約締結交渉及び手続をしていたことなどから,両当事者に法が想定するような情報及び交渉力の格差はなかった。

 そして,本件賃貸借契約における賃料は,本件敷引特約及び本件更新料特約を前提として,近隣類似物件に比し,低廉に設定されている。

 また,本件敷引特約及び本件更新料特約は,本件賃貸借契約にかかる契約書に明示されており,原告はこれを十分に理解した上で本件賃貸借契約を締結し,本件敷引特約については誓約書まで提出している。

 原告は,本件敷引特約及び本件更新料特約を納得・了承して本件賃貸借契約を締結しており,これらの特約が有効とされても,もともと自ら承知していた負担を負うだけのことであり,不測の損害を被ることはない。他方,被告は本件敷引金及び本件更新料を含めてマンション経営全体の収支を計算し,その上で月額賃料額を設定しており,仮にこれらの特約が無効とされると,被告は不測の損害を被る。

 以上のとおり,本件敷引特約及び本件更新料特約は,内容に合理性があり,社会的にも承認されていたこと,原告被告間に情報力や交渉力の格差は存せず,原告の受ける不利益が被告の受ける不利益に比べて一方的に大きいとはいえないことなど諸般の事情を総合考慮すると,本件敷引特約及び本件更新料特約は法10条1項後段に該当しない。

「(2) 本件賃貸借契約を清算する和解が成立したといえるか」へ続く


【判例】 更新料特約が,消費者契約法10条に違反し無効 (京都地裁平成21年7月23日 判決) 3

2009年12月24日 | 更新料(借家)判例

(2) 本件賃貸借契約を清算する和解が成立したといえるか
 ア 被告
   本件物件の明渡しに際し,原告と被告代理人有限会社アドバンスは,原状回復費用その他本件賃貸借契約にかかる清算問題について協議した。その結果,①被告が原告に対し特別損耗にかかる原状回復費用を請求しないこと,②被告が預かっている保証金35万円につき本件敷引特約を適用し,5万円を平成20年7月31日までに原告に返還すること,③原告が被告に対し2か月分の賃料相当額を速やかに支払うこと,を内容とした和解(以下「本件和解」という。)が成立した。原告は,本件賃貸借契約書第10条1項により,2か月以上前の予告期間を定めてするか,2か月分の賃料相当額を解約権行使時に支払うことによって本件賃貸借契約の解約告知を行うことができるが,本件ではそのいずれの要件も満たしていなかった。それにもかかわらず,被告は,原告に対し,本件賃貸借契約を平成20年5月31日をもって終了させる点で譲歩している。また,2か月分の賃料相当額について,本件賃貸借契約書第6条により,年14.6パーセントの割合による3日分の遅延損害金の支払義務を負うところ,被告は原告に対し,この遅延損害金の支払義務を免除した点で譲歩している。20日までに退去する旨誓約していたにもかかわらず,この違反を不問とする点で譲歩している。

  そして,原告は被告に対し,本件和解に基づき,平成20年6月2日,11万6000円を支払った。
  本件和解は,本件賃貸借契約の終了にかかる問題をすべて解決する趣旨のものであり,本件和解により,原告は,被告に対し,本件敷引特約適用後の預かり保証金残額5万円の返還請求権のみを有するものであり,本件敷引金及び本件更新料の返還請求権を有しない。


 イ 原告
   被告の前記アの主張は否認ないし争う。
   和解は,当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約する契約であるところ,被告主張の本件和解は,賃借人である原告のみに譲歩を強いるもので互譲がない。原状回復費用はそもそも賃貸人が負担すべきものであるから,被告が原告に対して請求しないのは当然である。本件賃貸借契約において,特別損耗部分は生じていない。また,敷引部分に該当しない金員を賃貸人が賃借人に返還するのは当然である。
  なお,本件契約の中途解約は,2か月以上前の予告期間を定めてするか,2か月分の賃料相当額を支払うことによって行うことができるが,あらかじめ2か月分の賃料を支払うことまで要求するものではない。また,誓約自体有効性に疑義があるし,原告は31日に退去することにつき被告から了解を得ていた。

 (3) 原告の本件請求が信義則に反するといえるか
 ア 被告
  (ア) 本件賃貸借契約における賃料は,近隣同種物件の標準賃料に比し,低額に設定されている。

  (イ) 原告は,被告に対し,駐車場に空きがないにもかかわらず,駐車場がなければいずれ出て行かなければならなくなる旨申し向けて,駐車場の賃貸を申し込んだ。被告は,原告の申込みに困惑したが,原告に退去される事態を避けたいとの思いから,平成19年12月23日,やむなく自らが使用していた駐車場を空け,原告に賃貸した。その際,原告は「マンションも借りてるんだから,安くしてよ。」と値段交渉を行い,被告はやむなく月額1万7000円のところを月額1万6000円とする減額に応じた。これにより,被告は自動車通勤をすることができなくなり,自転車通勤を余儀なくされた。さらに,原告は被告に対し,平成20年1月ころ,駐車場が狭いことを理由に駐車場の場所の変更を何度も要求していたところ,別の駐車場が空くことから被告はこれにやむなく応じ,本来その場所に決まっていた者との交渉をしてまで対処した。原告は,これにより自己の自動車を新たな駐車場に移動する必要があったが,期日までに移動させず,被告は,本来そこに駐車する予定であった者からのクレーム対応に忙殺された。

  (ウ) 前記(イ)のとおり,被告は原告が本件物件の賃借人であることから,駐車場契約をし,利用することができるよう種々の便宜を図ってきたにもかかわらず,原告が本件請求をすることは信義則に反し,許されない。


 イ 原告
  被告の主張は否認ないし争う。

 (4) 被告による弁済の提供があったか
 ア 被告
  被告は,原告代理人A(以下「A」という。)に対し,平成21年9月1日,本件賃貸借契約に基づき本来返還すべき5万円を含めた20万円を返金する旨申し出た。しかし,Aは,その受領を拒否した。
 イ 原告
  被告の前記アの主張は認める。Aは,原告から本件敷引金及び本件更新料の合計46万6000円の返還請求を依頼されていたため,20万円では応じられないことから,上記のとおり拒否した。

「第3 当裁判所の判断」へ続く


【判例】 更新料特約が,消費者契約法10条に違反し無効 (京都地裁平成21年7月23日 判決) 4

2009年12月24日 | 更新料(借家)判例

第3 当裁判所の判断

 1 本件敷引特約及び本件更新料特約は,法10条に該当するものとして無効といえるか(争点(1))
 (1) 前提事実及び弁論の全趣旨によれば,原告は法2条1項の「消費者」に,被告は同条2項の「事業者」にそれぞれ該当し,本件賃貸借契約に法が適用される。

 (2) 本件敷引特約及び本件更新料特約が民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の権利を制限し,又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項といえるかについて検討する。

ア 本件敷引特約について
   賃貸借契約は,賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払を内容とする契約であり(民法601条),賃借人が賃料以外の金員の支払を負担することは賃貸借契約の基本的内容に含まれない。そして,居住用建物の賃貸借の場合の保証金は,敷金と同様,賃料その他の賃借人の債務を担保する目的をもって賃貸借契約締結時に賃借人から賃貸人に交付される金員であり,賃貸借契約終了の際に賃借人の債務不履行がないときは賃貸人はその金額を返還するが,債務不履行があるときはその金額中より当然弁済に充当されることを約束して授受する金員を指すことが多く,本件賃貸借契約書(甲1)第2条にも,その趣旨が規定されている。

   しかしながら,本件敷引特約については,全く返還を許さない趣旨のものなのか,原状回復にその程度の費用を要することがあることを考慮して,基本的には返還しないが,そのような費用を要しなかったことが具体的に明らかになった場合には,本件敷引特約を適用しないこととするかについて,明瞭な約定がされていたものとは評価し難い。

   さらに,将来返還される余地のない金員として,本件敷引金のような金員を授受することが慣習化していることを認めるに足りる証拠はない。

   こうしたことを考慮すると,本件敷引特約は,その法律上の性質ないし意味合いを明確にしないまま,民法その他公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の義務を加重したものといえる。

イ 本件更新料特約について
  前記アのとおり,賃借人が賃料以外の金員の支払を負担することは賃貸借契約の基本的内容に含まれないところ,本件更新料特約では,賃借人が賃貸人に対し,契約更新時に賃料の2か月分相当額の更新料を支払うこととされている(前提事実(1)カ)。そして,本件更新料が,賃料の補充としての性質を有しているといえるかは後記のとおり疑問であるし,仮にその性質を有していたとしても,その支払時期が早い点(民法614条参照)で賃借人の義務を加重する特約であるといえる。
    さらに,更新料を授受することが慣習化していることを認めるに足りる証拠はない。
    そうすると,本件更新料特約は,民法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の義務を加重したものといえる。

 (3) 本件敷引特約及び本件更新料特約が民法1条2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するといえるかについて検討する。

 ア 民法1条2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するか否かは,消費者と事業者との間に情報の質及び量並びに交渉力の格差があること(法1条)にかんがみ,当事者の属性や契約条項の内容,そして,契約条項が具体的かつ明確に説明され,消費者がその条項を理解できるものであったか等種々の事情を総合考慮して判断すべきである。

   前提事実及び弁論の全趣旨によれば,原告は,居住用として本件物件の賃借人となった者であるのに対し,被告は,貸家業を営み,多くの借家人と賃貸借契約を締結してきたのであって,建物賃貸借に関する情報(礼金,保証金,更新料等を授受するのが通常かどうか,同種の他の物件と比較して本件賃貸借契約の諸条件が有利であるか否か)を継続的に得ることができる立場にあり,このような情報に接してきた期間にも差があるものと推認できるのであって,両者の間に情報収集力の格差があることは否定できない。

 イ 本件敷引特約について
  (ア) 本件敷引特約は,保証金35万円からそのうち30万円を無条件に差し引くものであるが,賃借人(原告)としては本件物件を借りようとする以上,支払わざるを得ないものであり,特に本件賃貸借契約のように4月から入居しようとする場合,賃借希望者が多数存在することから競争原理が強くはたらく結果,原告としては本件敷引特約について交渉する余地はほとんどなかったものと考えられる。そして,本件敷引金は,保証金の約85パーセントに相当し,月額賃料の約5か月分にも相当するものであり,保証金,賃料に比して高額かつ高率であり,消費者である原告にとって大きな負担となる。

  (イ) 被告は本件敷引金の法的性質について,①自然損耗料,②リフォーム費用,③空室損料,④賃貸借契約成立の謝礼,⑤当初賃貸借期間の前払賃料,⑥中途解約権の対価といった要素があり,これらの要素が渾然一体として含まれる本件敷引金には合理性がある旨主張するので,各要素について検討する。

 a ①自然損耗料及び②リフォーム費用について
   賃貸借契約は,賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払を内容とするものであり,賃借物件の損耗の発生は,賃貸借という契約の本質上当然に予定されているものである。そのため,建物の賃貸借においては,賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗にかかる投下資本の減価の回収は,通常,賃貸人が減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行われているところ(最高裁平成16年(受)第1573号同17年12月16日判決・判例タイムズ1200号127頁),本件全証拠をもってしても,京都市内においてこれと異なる慣習等が存在するとは認められない。そうすると,通常損耗の回復費用は賃料を適正な額とすることによって回収するのが通常というべきであって,敷引金という形で賃借人に負担を転嫁することには合理的理由があるとはいえない。
  また,リフォーム費用も,通常損耗部分の補修のために支出される側面が多く,本件全証拠をもってしても,本件物件について通常損耗がなかったが,良質な居住環境を提供するためにリフォームを行うこととしているなど,そうしたことへの対価として返還を要しない礼金を授受することが適当とみられるような状況が存在したとまでは認め難い。そうすると,本件においては,リフォーム費用を敷引金という形で賃借人に負担を転嫁することには合理的理由があるとはいえない。

 b ③空室損料について
   賃貸人による投下資本(賃貸物件)の回収は,原則として賃料の支払を受けることにより行われているのであるから,空室期間(すなわち,賃借人が使用収益しない期間)の賃料が得られないことによるリスクは賃貸人が負うべきである。そのため,建物の賃貸借契約では,賃貸人のリスクを避けるため,賃借人からの解約も一定期間の経過をもって終了することとされている(民法617条,本件賃貸借契約書第10条1項参照)。
   そうすると,賃借人が賃貸事業者である被告に対して,使用しない期間の空室損料を支払わなければならない合理的理由があるとはいえない。

 c ④賃貸借契約成立の謝礼について
   賃貸借契約が成立することにより賃貸人も利益を受けるのであり,賃借人のみに賃貸借契約成立の謝礼を一方的に負担させる合理的理由があるとはいえない。

 d ⑤当初賃貸借期間の前払賃料について
   本件賃貸借契約において,本件敷引特約が設定されていることにより賃料が低額にされているかは本件全証拠によっても明らかではない。また,前記aのとおり,賃貸借契約は,賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払を内容とするものであるから,実際に賃借人が使用する期間にかかわりなく,本件敷引金に賃料前払の要素があるとする合理的理由は見出せない。
   さらに,更新後の賃貸借期間については更新料という名目で同様の趣旨の金員支払を求め,本件賃貸借契約を締結する当初には解約引きとして,この意味合いを有する金員支払を求めることは,賃貸人に都合の良い説明であるといわざるを得ず,本件敷引特約が具体的かつ明確に説明され,消費者がその条項を理解できるものであったかという観点からすると,消費者(原告)が上記5の要素があるものと理解することはできなかったと考えざるを得ない。

 e ⑥中途解約権の対価について
   本件賃貸借契約書第10条2項により,賃貸人にも中途解約権は留保されており,その対価を賃借人に一方的に負担させる合理的理由があるとはいえない。

 (ウ) 以上のとおり,被告が主張する本件敷引金の性質に合理的理由は認められず,その趣旨は不明瞭であるといえる。

 (エ) 前記(ア)ないし(ウ)で指摘した点を考慮すると,本件敷引金を賃借人に負担させるには,その旨が具体的かつ明確に説明され,賃借人がその内容を認識した上で合意されることが必要であり,そうでない以上,民法1条2項に規定する基本原則(信義則)に反して賃借人の利益を一方的に害するものというべきである。

 (オ) 前提事実及び弁論の全趣旨によれば,原告は仲介業者を介し,契約内容の説明を受けていたこと,本件賃貸借契約書(甲1)に「解約引き30万円」の記載があったことが認められ,原告は本件敷引特約の存在自体は認識していたといえる。しかしながら,原告が被告から被告主張のような本件敷引特約の趣旨,すわなち,本件敷引金30万円がどのようにして決められたのか,自然損耗料,リフォーム費用,空室損料,賃貸借契約成立の謝礼,当初賃貸借期間の前払賃料,あるいは,中途解約権の対価の要素を有するのかということについて,具体的かつ明確な説明を受けていたとは本件全証拠によっても認められない。
 (カ) よって,本件敷引特約は,法10条に該当し,無効である。


ウ 本件更新料特約について
 (ア) 本件更新料特約は,賃料2か月分として11万6000円を支払うものであるが,賃借人として本件物件を(たとえ1か月でも)継続して借りようとする以上,その全額を支払わなければならないものであり,原告としては本件更新料特約について交渉する余地がほとんどない。また,賃借人としては,遠隔地に居住する必要がある場合等の外は,引き続いて当該物件を借りるのが一般的であるところ,証拠(甲21)によれば当該物件を選ぶ際に更新料の存在及びその額を知り得ないこともあり,更新料まで考慮して契約を締結することは困難である。そして,本件更新料特約による更新料は,契約期間2年に対し月額賃料の2か月分を支払うものであること,正当事由(借地借家法28条)の有無に関係なく支払わなければならないこと,法定更新なら全く金員を支払う必要がないことからすると,原告にとって大きな負担となる。

 (イ) 被告は本件更新料の法的性質について,①更新拒絶権放棄の対価,②賃借権強化の対価,③賃料の補充,④中途解約権の対価といった要素があり,合理性がある旨主張するため,各要素について検討する。


 a ①更新拒絶権放棄の対価について
   建物の賃貸借において,賃貸人に明渡しの正当事由(借地借家法28条)がない限り,賃借人は何らの対価的な出捐をする必要がなく,継続して賃借物件を使用することができるところ,居住用建物の賃貸借において,賃貸人が当該物件の使用を必要とする事情は通常想定できず(本件においても,弁論の全趣旨から,一般に行われている居住用建物の賃貸借と同様,専ら他人に賃貸する目的で建築された居住用建物の賃貸借であることが認められる),正当事由が認められる可能性はほとんどないことから,更新拒絶権放棄の対価という要素に合理的理由があるとはいえない。

 b ②賃借権強化の対価について
   居住用建物の賃貸借の場合,前記aのとおり,正当事由が認められる可能性はほとんどないため,期間の定めのない賃貸借と定めのある賃貸借とで賃借権の保護の度合いは実質的に異ならず,賃借権強化の対価という要素に合理的理由があるとはいえない。

 c ③賃料の補充について
   本件更新料特約では,更新後の実際の使用期間(前提事実のとおり,本件では更新後2か月経過時点で明け渡している)の長短にかかわらず,賃料の2か月分を支払わなければならないのであり,使用収益に対する対価である賃料の一部として評価することはできない(上記のように更新後,短期間で賃貸物件を明け渡した場合でも,残期間に対応する更新料が返還されることはうかがえない。)。
   さらに,賃料増減額請求訴訟において,その対象に更新料も含まれることを前提としていることはほとんどないこと及び同請求訴訟の審理において賃料の適正額を判断する際,通常,更新料の額まで考慮されることは稀であることからも,更新料が賃料の補充の性質を有しているとはいえず,本件更新料に賃料の補充という要素があるという点に合理的理由があるとはいえない。

 d ④中途解約権の対価について
   本件賃貸借契約書第10条2項により,賃貸人にも中途解約権が留保されており,その対価を賃借人に一方的に負担させる合理的理由があるとはいえない。

 (ウ) 以上のとおり,被告が主張する本件更新料の性質に合理的理由は認められず,その趣旨は不明瞭であるといえる。

 (エ) 前記(ア)ないし(ウ)で指摘した点を考慮すると,本件更新料を賃借人に負担させる場合は,その旨が具体的かつ明確に説明され,賃借人がその内容を認識した上で合意されることが必要であり,そうでない以上,民法1条2項に規定する基本原則(信義則)に反して賃借人の利益を一方的に害するものというべきである。

 (オ) 前提事実及び弁論の全趣旨によれば,原告は仲介業者を介して契約内容の説明を受けていたこと,本件賃貸借契約書(甲1)に「更新料賃料の2か月分」の記載があったことが認められ,原告は本件更新料特約の存在自体は認識していたといえる。しかしながら,原告が被告から被告主張のような本件更新料特約の趣旨,すわなち,本件更新料が更新拒絶権放棄の対価,賃借権強化の対価,賃料の補充,あるいは,中途解約権の対価の要素を有するということについて,具体的かつ明確な説明を受けていたとは本件全証拠によっても認められない。

 (カ) よって,本件更新料特約は,法10条に該当し,無効である。


2 本件賃貸借契約を清算する和解が成立したといえるか(争点(2))
  被告は,本件和解により,原告は被告に対し,本件敷引特約適用後の預かり保証金残額5万円の返還請求権を有するのみであり,本件敷引金(30万円)及び本件更新料(11万6000円)の返還請求権を有しない旨主張する。

  しかしながら,賃貸借契約解除・金銭明細書(甲2)には,「尚,保証金等のお預けしています金銭より私の支払うべき費用(下記諸費用・別紙見積書・請求書)を全て清算することに了承いたします。また,清算後不足金が有る場合は,下記お約束の期日までに遅滞なくお支払いいたします。」と記載されていることが認められるが,それ以上に原告が不当利得返還請求権を有する場合にどのように処理するのかについては特段の記載がされていないし,本件全証拠をもってしても,その点に関する何らかの合意がされていたとは認められない。そうすると,被告が利得分を保持すべき法律上の原因が存在するとはいえない。

  また,民法705条の趣旨に照らせば,本件敷引特約及び本件更新料特約が法10条により無効である以上,賃借人(原告)が上記無効により本件敷引金及び本件更新料の返還を求めることができることを知りながら,あえて契約を締結するとか,こうした請求権を放棄する旨の明確な意思表示がされていない限り,不当利得返還請求権を有するものと解するのが相当である。

  本件において,被告が本件和解の証拠として掲げる賃貸借契約解除・金銭明細書(甲2)を含む本件全証拠によっても,原告が上記に述べる返還請求権を放棄する意思を明確に表示していたとは認められない。よって,被告は本件賃貸借契約を清算する和解が成立したとして不当利得返還 義務を免れることはできない(争点(2)についての被告 の主 張は 理由 がない。)。

3 原告の本件請求が信義則に反するといえるか(争点(3))
  被告は,上記第2の3(3)アのとおりの事情を述べて,本件請求をすることは信義則に反し許されない旨主張する。
  しかしながら,本件全証拠によっても,本件賃貸借契約に定める賃料が低額に設定されているかは明らかでないこと,駐車場に関する被告主張の事実が認められるとしても,本件賃貸借契約とは直接関連しない事情であることや,前記1で検討した本件敷引特約及び本件更新料特約の不合理性を考慮すると,原告が本件請求を行うことが信義則に反するとは評価できず,被告の上記主張は失当である。

4 被告による有効な弁済の提供があったか(争点(4))
  弁論の全趣旨によれば,被告は,Aに対し,平成21年9月1日,本件賃貸借契約に基づき本来返還すべき5万円を含めた20万円を返金する旨申し出たこと,Aはその受領を拒否したことが認められる。しかしながら,前記1で検討したとおり,原告は被告に対し,46万6000円の返還請求権を有しているところ,被告の弁済の提供は,その半額以下の20万円であるから,有効な弁済の提供とはならない。したがって争点(4)についての被告の主張は理由がない。

5 結論
  以上によれば,原告の請求は理由があるからこれを認容することとし,訴訟費用の負担につき民訴法61条を,仮執行の宣言につき同法259条1項を,それぞれ適用して,主文のとおり判決する。


     京都地方裁判所第6民事部


           裁判長裁判官  辻 本  利 雄

           裁判官      和 久   田 斉

           裁判官      戸 取   謙 治

 

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家賃滞納で追い出し、管理会社と家主に賠償命令 (読売)

2009年12月23日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

 家賃滞納を理由に賃貸マンションのドアのカギ部分にカバーを付けて追い出したのは生存権の侵害として、兵庫県姫路市の飲食店員の男性(53)が、同市内の不動産管理会社と家主に140万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、姫路簡裁であった。


 近藤哲裁判官は「社会的行為として許されるものではない」として、両者に計40万5000円の支払いを命じた。一方で、男性にも家賃の未払い分約36万円の支払いを求めた。

 弁護士や司法書士らでつくる「全国追い出し屋対策会議」によると、賃貸住宅の追い出し行為で、管理会社と家主に同時に支払いを命じた判決は初めて。

 同会議の堀泰夫事務局長は「直接の追い出し行為に及んでいない家主にも使用者責任があることを示した意義ある判決」と話している。

 判決によると、管理会社は家主から家賃の集金を委託され、昨年6月と今年5月の計23日間、カギにカバーを付けるなどして、男性が室内に入れないようにした。

 

(2009年12月22日  読売新聞)

 

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不法追い出し:家主にも慰謝料支払い命令 姫路簡裁 (毎日)

2009年12月23日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

 不法な追い出し行為によって賃貸マンションから閉め出されたとして、兵庫県姫路市の飲食店員の男性(53)が市内の管理会社と家主を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、姫路簡裁(近藤哲裁判官)は22日、管理会社に業務委託した家主にも責任があると認め、両者に慰謝料など計40万5000円の支払いを命じた。「全国追い出し屋対策会議」によると、鍵の交換など直接的な行為を行っていない家主の責任を認めたのは全国初。

 簡裁は一方で、男性にも未払い分の家賃約36万円の支払い義務があると認定。このため被告側の支払いは事実上、ほぼ相殺された。

 判決によると、管理会社は家主から男性の家賃取り立てを依頼され、昨年6月の3日間と今年5月の20日間、玄関ドアの鍵部分に専用カバーを付けるなどして男性を不法に部屋から閉め出した。この間、男性は車の中での生活を強いられた。

 男性の代理人を務めた対策会議事務局長の堀泰夫・司法書士は「追い出し屋被害の予防につながる意義ある判決」と評価した。一方、管理会社は「詳細を把握していないのでコメントできない」としている。

 

毎日新聞 2009年12月22日 

 

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追い出し屋被害、家主にも賠償責任 姫路簡裁判決 (朝日)

2009年12月22日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

 家賃の未払いを理由に「追い出し屋」被害を受けたとして、借り主の男性(53)が兵庫県姫路市の不動産管理会社「姫路リアルティー」と家主に140万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、姫路簡裁であった。近藤哲裁判官は同社によるドアロックなどを不法行為とし、家主側の使用者責任も認定。双方に慰謝料など計40万5千円を、男性に6カ月余りの滞納家賃など36万円の支払いを命じた。

 男性側代理人の「全国追い出し屋対策会議」によると、同様の訴訟で、管理会社と「追い出し行為を直接していない」家主の賠償責任を認めた判決は初。政府は次の通常国会に追い出し規制法案(通称)を提出する方針で、国会審議に影響を与えるとみられる。

 判決によると、男性は2003年、姫路市内で家賃5万8500円のアパートに入居。滞納を続けたため、家主は管理会社に委任し、同社従業員が08年6月と09年5月、玄関ドアの鍵穴にカバーをかけるなどし、計23日間閉め出した。

 家主側は管理会社に「違法な行為を委託していない」と主張したが、判決は「家主が取り立てなどを個別に委任した結果、管理会社が追い出しを図った」と退けた。同社は「担当者がいないのでコメントできない」としている。

 

2009年12月22日 asahicom(朝日新聞社)

 

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追い出し屋に法規制を 法規制を求め国会集会開催

2009年12月22日 | 家賃保証会社・管理会社・(追い出し屋)

追い出し屋に法規制を

法規制を求め国会集会開催

国交省が法規制を検討

家賃保証会社が滞納情報DB化を促進

 家賃を滞納した入居者を強制的に追い出す、追い出し屋被害が急増する中で、追い出し屋規制問題は大きな山場を迎えている。

 全国追い出し屋対策会議の「追い出し屋の法規制を求める院内集会」が、11月16日午後3時30分から参議院議員会館第1会議室で開催され、60名が参加した。

 集会には、政党から民主党の藤末健三参議院議員、日本共産党から穀田恵二衆議院議員が参加し、他に国会議員秘書が多数参加した。

 全国追い出し屋対策会議の代表幹事の増田尚弁護士は、追い出し屋規正法(仮称)の制定等に向けた論点と課題について報告し、追い出し屋の違法行為を禁止するために、管理業・サブリース業者、家賃保証会社を含め脱法行為を許さない実行力のある規正法の制定を強く求めた。また、保証会社による家賃滞納者のデーターベース化の動きについては、「賃貸人や家賃保証会社の利益確保を優先し、社会的弱者・入居差別につながる」と強く批判した。

 被害事例の報告では、林治弁護士より横浜にある家賃保証会社のラインファクトリーの社員との電話による生々しいやりとりの録音が流され、「荷物の撤去は入居者の同意書があるからかまわない。警察は呼ばれたけど自分は捕まっていない。明日にも荷物を撤去するからその費用を請求する」と違法行為を開き直る様子が明らかにされた。

住宅差別のブラックリスト

 次に、追い出し屋被害全国一斉110番の結果について堀泰夫司法書士より大阪の事例が報告された。47件の相談について、被害者の大半は派遣やアルバイトなど不安定雇用で解雇や雇い止めにあった人で、経済的にも不安定で家賃の滞納もやむにやまれぬ事情も持つ人たちであることが強調された。

 追い出し屋問題は、業界側の弱者を民間賃貸住宅市場から締め出す家賃滞納者の個人信用情報のデーターベース化など巻き返しの動きがある一方、ようやく法規制に向けて動き出した。国会でも前原国土交通大臣が「法規制を検討中」と答弁し、国土交通省は家賃保証会社や管理会社等に対し許可制か登録制を検討している。許可制になれば、鍵の交換等不正行為があれば許可を取り消せるようになる。今後は、家賃滞納のブラックリスト化を止めさせることが急務となっている。

 

東京借地借家人新聞より

 

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生協が借地セミナー

2009年12月21日 | 更新料(借地)

 生協・消費者住宅センター主催の「借地セミナー」が11月27日午後1時15分から中野区の東京都生協連会館3階ホールで開催され、40名が参加した。

 第一部では、東借連の細谷事務局長が「借地の契約更新と更新料問題」と題して、45分にわたって講演した。細谷事務局長は、パワーポイントを使って、契約更新の仕組みと借地法の更新に関する条項を説明し、更新料に関しては契約書に次回の更新時に更新料を支払う旨の合意をしないよう注意を呼びかけた。

 次に、同センターの久保理事長が「借地権と増改築問題」について講演した。増改築の承諾料の適正額はどのくらいか、自由にできる工事の範囲について具体的に指摘した。

 第2部の個別相談では、14名の相談があり、東借連の役員6名が応対した。来年1月に契約の更新を迎え高額な更新料を請求されている等切実な相談が多かった。

 

東京借地借家人新聞より

 

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「追い出し屋」に刑事罰 政府、来春までに法案 (朝日)

2009年12月18日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

 家賃を滞納した借り主が、強制的に退去を迫られる「追い出し屋」被害が相次ぐ問題で、政府が次の通常国会に提出する「追い出し規制法案(通称)」の概要がわかった。借り主の連帯保証を請け負う家賃債務保証業者に国への登録を義務づけ、悪質な取り立て行為には刑事罰を科す。滞納履歴など個人の信用情報を扱うデータベース(DB)の事業者も登録制にして国の監督が及ぶようにする。

 国土交通省によると、民間賃貸住宅(約1300万戸)の約4割が家賃保証業者と契約し、急速に市場が拡大。これに伴い、一部業者による追い出し行為が社会問題化した。政府は借り主の住まいの安定確保に向けた新規立法が必要と判断し、来年3月までに法案を提出する方針だ。国交省と消費者庁が連携し、効果的な被害救済の体制づくりを図る。

 新法は「家賃保証業の適正化及び家賃の取り立て行為規制法(仮称)」。貸金業法を参考に「人を威迫し、私生活の平穏を害する言動」を条文で禁止するとともに家賃滞納者への深夜・未明の督促▽無断での鍵交換▽家財撤去――などの強引な取り立て・追い出し行為を禁じる。規制対象は家賃保証業のほか、不動産賃貸・管理業、賃貸住宅を一括借り上げし、第三者に貸すサブリース業、家賃回収代行業など業種を問わず、個人家主も含める。違反した場合、懲役刑や罰金刑を科す。

 家賃保証業は登録制にし、役員に犯歴がないことなどを開業条件とする。借り主との契約時に保証金や保証期間などを記した書面の交付を義務化。無登録営業や暴力団員の使用なども禁じる。

 一部業界団体が来年2月からの稼働に向け、準備している借り主の滞納歴などの信用情報を盛り込むDBについても、事業者を新法で規制し、登録制を導入。事業者にDB運用時に借り主の同意を取り付け、借り主の要求に応じて登録情報の開示を義務づけるほか、秘密保持の徹底を求め、目的外使用を禁じる。

 家賃保証、DBの事業者が違反した場合、業務停止や登録取り消しなどの行政処分、刑事罰を科す。(室矢英樹)

 

2009年12月18日 朝日新聞

 

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