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退去時の原状回復費用は借主負担の
特約があるが支払い義務はあるのか
(問) 原状回復費用については借主の負担とするという特約が契約書に記載されている。工事費用を負担して入居時の状態に戻さなければならないのか。
(答) 本来の「原状回復」の意味は民法598条・616条「借主は借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる」ということで借主が建物に持込んだ家具や家電品等は退去時に運び出し、建物に取付けた照明器具、エアコン等は退去時に取外して除去するという借主収去義務のことをいう。ところが家主や管理会社の多くは原状回復とは入居時のまっさらの状態に戻すことであるというように拡大解釈を行っている。
しかし、
①「建物賃貸借契約に原状回復条項があるからといって賃借人は建物賃借当時の状態に回復すべき義務はない」(東京簡易裁判所1995年8月8日判決)。
②「改修の費用を負担して賃貸当初の原状に復する義務を負っていたとは認められない」(京都地方裁判所1995年10月5日判決)。
借主が費用負担して入居時の状態に戻す義務はないことは多くの判例が指摘しているところである。
民法上、修繕義務は家主が負うものとされている(民法606条1項)。しかし契約自由の原則により民法の規定に反する場合でもその特約が合意されている場合は有効となる。だが、このような修繕費用の借主の全面負担特約が有効かどうかという点が問題となる。
「入居後の大小修繕を賃借人がする旨の契約条項は、単に賃貸人が民法606条1項所定の修繕義務を負わないとの趣旨にすぎず、賃借人が家屋の使用中に生ずるいっさいの汚損、破損個所を自己の費用で修繕し、家屋を賃借当初と同一の状態で維持すべき義務があるとの趣旨ではない」(最高裁判所1968年1月25日判決)として、このような特約は家主の修繕義務を免除するという意味に止まり、積極的な修繕義務を借主に全面的に負担させるというものではない。
通常使用による自然損耗を借主に費用負担させるには「賃借人がこの義務について認識し、義務負担の意思表示をしたことが必要である」(仙台簡易裁判所1996年11月28日判決)以上の要件を充たしていなければならない。そうでない場合は、契約書に原状回復費用負担特約があっても借主の故意・過失・善管注意義務違反がなければ特約に従う必要はない。
東京・台東借地借家人組合
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