商社マン-東京→ニューヨーク→東京→Liverpool→東京→Ann Arbor→Austin日記

07年8月から5年間NY、帰国して2年半東京、その後何故か英国Liverpoolに。。引き続き思った事書いて行きます。

「ウォルト・ディズニーに学ぶ七転び八起き経営」を読んで

2006-08-31 22:58:38 | Weblog
内容のある、ビジネスマンにとって為になる良い本だと思う。
ウォルト・ディズニーという稀有の「起業家(と呼ぶのが正しいのかどうか微妙だ
が)」の人生で起こったことを伝記として纏めながら、転機となる場面でウォルトがどのように行動し、そこから我々が学べることをわかりやすく説明している。
伝記としての面白さとビジネス書としての実用性の両方を兼ね備えているという点で一冊で二度おいしい本だと思った。

まあこういう内容が成り立つというのもウォルト自身が非常に独創的で魅力的な人だったからだと思う。今までウォルト・ディズニーという人物に付いては、曖昧な印象しかなかったが、この本でたくさんの新しいことを知った。特に僕は彼を「天才的なアニメーター」だと思っていたのだが、実は彼は「アニメーター」としての才能は大した事はなく、むしろその類まれな創造力、組織を纏める力、実行力等において「ディズニー」というビジネスを大きくしていったという事初めて知ることができた。

ただこの本には不満が2点ある。一つは邦題で二つ目は翻訳。原題のは「How to be like Walt」が、邦題では「ウォルト・ディズニーに学ぶ七転び八起き経営」となっている。あくまでビジネス書を求める人をターゲットにする為にこのタイトルになったのだと思うが、この本で筆者が伝えたかったこと、「いかに我々が、ウォルトのような真に独創的な人間に近づけるか」というテーマを的確に伝えていないと思う。素直に直訳したほうが良かったのでは?

また翻訳の文章もいまいち固い感じですっと頭に入ってこない。原文を見てないの
でなんとも言えないが、もう少し日本語として流れるような文章にしたほうが良いのではないか、と感じた。

まあとにかく、内容的にはお勧めですが。
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「平壌ハイ」by石丸元章を読んで

2006-08-24 22:39:29 | Weblog
石丸元章はSPAに昔(今もか?最近SPAを読んでないからしらんが)連載していたときにたまに読んでいたので知っていたが、ジャンキー系のライター位の認識しかなかったが、あるとき彼と結婚していたOka-Changの本を読んで、それから急速に興味が高まった。
そのため、彼の著作を数冊読んでみたが、どれもかなり面白い。この人は変なことばかりやってるし、書く題材も自分が覚醒剤保持の現行犯で逮捕された顛末とか、変なものが多いが、物書きとしてはかなり誠実な人だと思う。

そこで今回のこの「平壌ハイ」北朝鮮のツアー旅行に参加した時の話を虚飾を(わざと)交えながら描いているが、書かれている内容がうそかほんとか、というか幻か、という点はどうでもよく、北朝鮮という国の持つ空気感をうまく伝えている、という点でかなり面白かった。あまりに昨今の国際社会とはかけ離れた体制化にある国家において、僕たち日本に住んでいる人たちが決して理解し得ない空気を、理解し得ないことを前提に、別に一生懸命分かろうともせず書いてあるところに共感を覚えた。

後書きだった思うが、彼が在日朝鮮人の女性に「あなたは意図的に差別的な表現を使うことで、逆に自分がリベラルであることをアピールしていて、そういうやりかたがあざとい」みたいなことを言われて、死にたいくらい自分を恥じた、みたいな話があったが、このエピソードを聞くだけで、「あー、この人はかなり誠実に物事を考える人なんだなー、そのくらい誠実だから耐え切れなくてドラッグにはまっちゃったのかなー」と思った次第。
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「芸術起業論」by 村上隆 を読んで

2006-08-21 23:34:45 | Weblog
気鋭の芸術家による「熱い」芸術論、というか自分が日本の芸術界を飛び出して欧米の芸術界を相手に戦ってきた方法論を書いた本。

読みやすいこともあり、一気に読んでしまったがめっぽう面白い。村上隆の名前は知っていたが、才能があって、自分の好きなことを描いていたら世界でも成功した日本人芸術家、位に思っていたから、これほど確信犯的に、意図的に、分析的に、良くも悪くも欧米の文脈に支配された芸術界に乗り込んでいった人だと知り驚いた。
彼の主張で一貫して述べられていた、「評価される芸術とは、新しい発見を歴史の文脈に客観的に位置づけていくこと」というような主張は非常に説得力があるし、芸術というととかく「説明とか、解釈とかを超越したもの」と捉えがちな一般人の固定観念をぶち壊す威力のある主張だな、と思った。

そしてこういう考え方は何も芸術だけではなくて、ビジネスの世界でも応用できることだろう。確かに仕事をしていても、「この人の考えはいいな」と思う発想はたいてい独創的に見えてもそれまでの顧客との関係や、会社のポジションや、市場の状況などと自然に関連付けられていることが多い。

そんな普遍的な匂いを感じさせてくれる本というのは、大体良い本だという経験則から、この本も僕としては結構お勧めしたい。
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映画「マッチポイント」を見て

2006-08-19 23:34:11 | Weblog
基本的にウディ・アレンの映画は大好物で、一作として「つまらん」と思った作品はなかった。
そんな僕だが、最新作の「マッチポイント」は、色々な映画評にかなり好意的に取り上げられており、いつもにもまして期待が高まっていた。公開初日に映画を観にいくなんて相当久しぶりだが、とにかく今日早速観にいってみた。

結果はもう期待以上。映画って期待しすぎていくと、たいてい裏切られるけれど今回はもう高まっていた期待の3倍くらいの感じ。いかにもウディ・アレン、という感じの演出とか登場人物がありながら、普通のエンターテイメントとしての仕上がりも一級だった。映画の端々で見え隠れする皮肉っぽさはいつものアレン風なんだけど、本人が出演していないからだろうか、意外と抑制が効いていた気がする。逆に蓋をしているからこそ、隙間からぐつぐつと皮肉が吹き出るように湧いてきていて、そんな矛盾した感じにずっと痺れまくってしまいました。

特に最後のどんでん返しと、そのための複線としての冒頭のシーンとかは圧巻。単純で分かりやすくてでも気が利いている、というのは簡単に出来ることではないだろう。70歳でこんな映画作れるなんてほんと感心した。
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靖国

2006-08-17 00:22:51 | Weblog
やっぱり小泉さんが靖国参拝しましたね。
妻が中国人の身としてはやはりどうしても注目せざるを得ません。

妻の実家は中国の南京です。南京というとやはり日本人としては身構えてしまうところがありますが、少なくとも妻の両親、親戚が強い反日感情を感じていると思ったことは一度もありません。

妻の父の兄の一人に耳の聞こえない人がいます。もう恐らく70歳を超えているでしょう。その人と一度会ったときに、手話で「子供の頃、日本人が南京に攻めてきてとても怖かったことを覚えている」という事を話してもらったことがあります。彼の口調(というか表現)に、ことさら誰かを責めるようなニュアンスを僕は感じませんでした。

ただ日本人だという僕に会って、自分の日本人への思い出を素直に話しただけだと感じました。そういう時に人はどういう風に反応したらいいんでしょうね。僕には正解が分かりませんでした。だからただ頭をたれて頷きながら話を聴くことしか出来ませんでした。今ではそれでよかったんだと思っています。
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映画「太陽」を見て

2006-08-15 00:24:30 | Weblog
今日はお盆ということもあり、客も結構休み。そのお陰で7時くらいには会社を出れそうになり、久しぶりに映画を観に行くことにした。

というのもちょうど見たいな、と思っていた昭和天皇を描いたロシア映画「太陽」の最終回が8時からだったことを思い出したからだ。
そそくさと帰り支度をして東銀座のシネパトスに行くと、お盆で月曜日で最終回なのにかなりの人がいてビックリ。さすが(一部で)かなり話題となっているだけはある。結局立ち見はないもののほぼ満席だった。

しかし残念ながら映画は全く面白くなかった。「これこそ映画だ!」とか評価する映画ファンの方々もいるのかもしれないが、全く抑揚のないストーリー展開にただ退屈な時間が流れていった。特に前半は救いようがないくらい冗長。イッセー尾方の演技はさすがにうまいとは思うが、それが特に映画の中で活きているという感じでもない。まあ「天皇」を真っ向から扱ったという点で日本では撮れないし、日本で撮れないなら、海外では天皇をテーマに映画を撮ろうというマニアックな人がたくさんいるとは思えないので、まあ希少価値はあるだろう。でもそれだけの価値しかないように僕は感じた。
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「八月の路上に捨てる」を読んで

2006-08-13 21:34:11 | Weblog
芥川賞を取ったとのことで、文藝春秋に掲載されていたので早速読んでみた。
一言で言うと前の恩田なんとか(すいません。陸だったか睦だったかうろ覚え。。)さんの作品で感じたのと同じ感想でした。うまいし、結構読後感も独特でしみじみと訴えかけるものもあるんだけど、心の奥底をわしづかみにするような切迫感というか切実な感覚をどうしても持てなった。

この小説にあるような静かな感情の起伏、つまり怒っていても、泣いていても、笑っていても何か本気じゃないような感覚というのは、まあ自分自身がいつも感じているような感覚に近いしその点共感もできるんだけど、僕の中では「そうだねえ」で終ってしまった。共感は心地いいけど、それだけだとやっぱり心が揺り動かされないのかもしれない。

選評で村上龍が「テーマとかそういう表層的な事を越えた『書きたいこと』が伝わってこない」みたいなことを書いていたけど、まあ確かにその通りかもしれません。

それにしても、文藝春秋のつり革広告には「新しい『フリーター文学』誕生!」みたいな(正確には思い出せない)キャッチコピーが書いてあったが、あれはあんまりなんじゃないかと思う。確かに主人公はフリーターだけど、内容的にはフリーターだからこと、というものじゃないので。売るためにはキャッチコピーも必要だろうがちょっと安易かと。
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極私的大失敗

2006-08-12 23:27:20 | Weblog
今日から妻が中国に2週間ほど旅行に行ってしまった。中学だか高校だがの友達と広州あたりを旅行するとのこと。香港にもよるらしい。
というわけでまたFreedom週間になる。楽しいような寂しいような。

僕はここ10年以上自分で髪を切っている(というか坊主なので刈っている)が今日つい出来心で床屋に行ってみたらこれが大失敗。シャツをクリーニングに出しにいくついでに、ふと見たら「カット1,000円」の文字。「これが最近よくあるカットだけ安くやってくれると言う床屋か、もう三十にもなって自分で切ってるというのもなんだから、たまにはこういうところで切ってもらうか」と入ってみた。

と、自分で切るとやりたくてもなかなか出来ない、「前髪は結構短くて頭のてっぺんの髪がちょっと長い坊主にしてください(要するにサッカーの中田のイメージ)」とオーダーした。実は10年間に以前一度だけちゃんとした美容院でそういう髪型にしてもらってなかなかよかったというイメージがあったので、同じような感じになればな、と期待して頼んだわけだ。

結果は、、、、散々。確かに前が短くててっぺんが長い、言葉にすればその通りなんだが、バランスが変。前髪が短すぎるしてっぺんは長すぎる。家に帰って即効鏡の前で自分で調整したが当然完全リカバリーは出来ず。。。

まあ髪型というのは、えてして自分が気にするほど他人は気にしないので、人が見れば「たいしていつもと変わらないじゃん」となるのかも知れないが、個人的には結構気になるのも事実。やっぱり自分で切ろう、もし切ってもらうならちゃんとした美容院に行こう、と心に誓った次第。中途半端はよくないね。
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仕事

2006-08-11 23:53:45 | Weblog
最近仕事がやたらと忙しく、ブログを書く気力もわかなかった。
部署を異動したわけではなく相変わらず営業にいるのだが、今あるプロジェクトに携わっておりデスクワークが中心の日々。
改めて思うが机の前でペコペコとエクセルやらパワーポイントやらをやっているより、外に出て「いやー!」とかいいながら営業しているほうが正直楽しい。
社内の管理部門に気を使いながら、「頼みますよー」とか言っていると、「なんでこいつらにここまでしなきゃいけないんだ」と珍しく憤りを感じることすらある。

でも最近商社の機能の低下が叫ばれて久しいことからも分かるとおり、「あいつの営業力はすごい!」なんていうことでははっきり言って全然評価されない時代になりつつあるのも、これまた事実である。
むしろ、財務諸表が読める、FSできる、事業投資管理能力がすごい、といった、まあ目に見えやすい能力を持った人間の方が、今の時代の商社では評価されている。時代の流れといえばそれまでだが。

今まで何人かの上司を持ったが、人間的に優れていていかに客に好かれようが、やはり細かいことまで気配りが出来ないと評価もされていない。

という危機感?に悩まされ、つい「M&A戦略なんとか」とか「成功する企業投資なんたら」といった本を濫読してしまう。それでどうなるものでもないんだが。。
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