商社マン-東京→ニューヨーク→東京→Liverpool→東京→Ann Arbor→Austin日記

07年8月から5年間NY、帰国して2年半東京、その後何故か英国Liverpoolに。。引き続き思った事書いて行きます。

「The Nuclear Age」by Tim O'Brien を読んで

2014-10-26 21:06:22 | Weblog
この本、「そーいえば村上春樹が何かのインタビューで絶賛してたな」と思って代官山の蔦屋書店で発見した際に購入して読んだ次第。

で、結論は、「すげーな」と。ここ最近読んだ小説の中では出色の出来かな。調べてみると1985年の作品、という事はもう30年近く前ということになるけど、それほどの時間の流れは全く感じないですね。むしろ今の時代の方が自然に心に響いてくるのではないかな。なんと言うか80年代みたいなイケイケ感の強い時代にはそぐわなかったのではないかと。

そういう「時代を間違えた感じ」のおかげかどうか分からないけれど、この小説、殆どの作品で高く評価されているこの作家の中では(少なくとも母国アメリカにおいては)めっぽう評価が悪い。村上春樹はインタビューでこの小説に関して「アメリカの読者は何か大事なものを見落としているのでは」と指摘していたけど、この点に付いては全く意見は同じですな。この小説が今書かれたのであれば評価は若干異なる気がするけど、特に80年代に顕著であったであろう「ストレートで分かりやすい文脈」を求めた時代の中では、この小説も「なんかよくわからん。筋もごちゃごちゃしているし、登場人物は誰一人まともじゃないし」という感じに捉えられてしまったのではないだろうか。

話としては、「ベトナム戦争という時代背景の中で精神的に翻弄されて行く主人公と、そこに関わる恋人やら友人?やらとの関わり」という感じになると思うんだけど、その最後まで狂気を突き詰められない登場人物達とその人間模様、そしてある愛の形(らしいもの)がバラバラと提示されて行く中で、「うーん、なんでこうなっていくんだろう」と疑問に思いながらも何となく納得してしまいながら読みました。そして何かね、読んだ後に心が非常に揺さぶられるんですよ。

まあともかく、世間的な評価はともかくお勧めですね(今Amazonでみたら、日本の読者には高く評価されてるみたいね。訳がいいのかね?それとも翻訳の関係で、日本では若干時間が経ってから読まれた事も影響しているのかな)。
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「賞」by 松崎ナオ を聴いて

2014-10-19 23:08:32 | Weblog
まあ、友達の事を書くというのは、若干ルール違反であるとは認識しているんだけど、でもこのブログを読んで頂いている方々の中にはおそらく共通の知り合いはいないという前提で。

昔彼女とはバンド一緒にやったり、まあ友達な訳なんだけど、「音楽を目指しました」という友達の中でも、ここまで誠実に続けて来たというのはちょっと驚愕しますな。

売れたり売れなかったりすると、人間迷ってしまう訳ですけど、まあ彼女の場合、「超売れました」という瞬間がない中で、これだけ素敵な音楽を創り続けているという所は尊敬する。

で、このアルバム、ぶっちゃけ、買った時は1回聴いて、で「けっこういいな」と思った程度だったけど、先日ライブに久しぶりに行って、このアルバムの中の曲を聴いてですね、結構揺さぶられたんですよ。いや、感動すらしたと言ってもいいと思う。

仲間って褒め合ったり、「お前いいよね」みたいなのって結構言いにくいじゃないですか。で、ライブの後彼女と一緒に飲んでいるときにも言えなかったんだけど、この歳になると「揺さぶられる事」って減って行くので、その意味でも結構しびれましたね。

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「プロット アゲインスト アメリカ」by フィリップ・ロスを読んで

2014-10-12 21:42:50 | Weblog
いや、2004年頃にアメリカで発表された小説が、しかもロスですよ、10年待たないと翻訳が出ないというのはどうなのだろう。まあとにかくこの本、とりあえず読み終わりました。

まあアメリカで今ロスの本がどの程度売れているのか分からないけど、全般的にアメリカ文化に対して日本が持つ強い同時代的な興味からすると、この10年遅れ、って何かそうとう違和感有るよなあ。いや、それとも「とにかくアメリカに起こっているものを同時代的に把握したい」という熱狂みたいなものは、薄れて来ているのだろうか。そういえば確かに音楽だって僕が高校生くらいの頃の方が、よっぽど同時代のアメリカ音楽を追っていたような気がする。今、一部の超メインストリーム(レディガガとかケイティ・ペリーとか)を除くと、日本でそれほど知られていないもんね。
そういうアメリカ文化、というモノに対する価値が日本において相対的に低下しているというのは、日本のポップアートシーンのレベルが上がったから、というよりはおそらく特異化(AKBとかさ)して行ったから、なのではと個人的には思う。まー、だから何だって話では有るし、「文化」という国や民族やなにかに帰属するものが「特異」で有る事が何か悪いか?それが自然ではないか、と言われるとまあそれはそうなんだけどさ。

全く話が逸れたけど、この小説、ぶっちゃけ「まあまあ」かなあ。。あくまで個人的な感想だけど、なんかフィリップ・ロスってあんまり肌に合わないんだよね。。そうとう練れているプロットだし、表現とかすげーな、と思うんだけどなんか説明的すぎるっていうか、説教臭さすら感じちゃうんですよね。よって「米国がもし第二次大戦時に反ユダヤ国になったら」という、ある意味現実的なテーマが一人歩きしちゃってる(ような気がする)というか。。まああくまで個人的な感想です。ロスが書くような「隙のない」小説って、実はあんまり好きじゃないのかも。後、この人の本、英語で読むのは相当きつい。前に「Goodbye Columbus」は確か英語で読んだけど、かなり苦労したもんな。小説ってやっぱりニュアンスとか文化的背景とか大事なので母語じゃないとさらっと読めないのはやむないんだけど、それでもロスはキツい。今回のも(英語読んでないけど)英語で読んだら挫折した自信あり。日本語でもキツかったからなあ。。。
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NHKドラマ「聖女」に付いて

2014-10-07 22:48:53 | Weblog
いや、今最終回を見終わったんですが、これ良かったっすねー。いや、NHKのドラマにはまるとは思わなかったけど、火曜日10時のドラマ、相当いいっす。いい理由は、

①演技がいい
いい俳優使っているんですよ。岸部一徳とかさ。ぶっちゃっけ、日本のドラマを見ていて一番キツいのが演技力なので、その点において、この枠は安心してみれるんですよね。脇役に至るまで。

②脚本がいい
いやあ、このドラマ、このドロドロ感。ていうかNHKでやることすらもはや事件ではないだろうか。。全7話にこれだけ飽きさせない紆余迂曲、どんでん返しを盛り込んだ点には拍手を送りたいですね。でも最後に主人公がちょっといい感じになったのは若干残念。ここまでやったら行き着くところまで言って欲しかったなあ。

③広末のポテンシャルは半端ない
いや、世代的な問題も否定は出来ないと思うのですが、やっぱりね、振り切っているレベルのモノとかヒトって、やっぱりいつまでたってもポテンシャル高いんだな、と思いましたね。思えば僕が高校生くらいだっけ? 広末涼子のヤンジャンあたりのグラビアを見て驚愕した事を思い出しますが、まあ今でも、というか今だからこそ、その本質的な美しさみたいなのにやられますね。宮沢りえとか、菅野美穂とか(あ、二人ともヌード写真集出したね。。。後者は買いました。。。)にも似たようなポテンシャルは感じたりします。ドラマとは関係ないんですけど、「あの広末がこの汚れ役を。。。しかも演技結構巧い。。。」と思うと意味もなく興奮しますね。

て、どうでもいい話ですいません。。。。
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Rancidの新譜が出るらしい

2014-10-05 22:16:45 | Weblog
って言って反応してくれる人がどの程度いるのか、もはや全く推測すら出来ないんですが、とりあえず出ますわ。10月27日に出るってサイトに書いてあった。

たしかTimって64年生まれだったと思うのでもう50歳か。。。よく考えるとすげーな。で、このビデオクリップ、普通にいい。全盛期程の勢いはないかもしれないけど、相変わらずTimのパフォーマンスとパンク的な歌唱力は特筆に値すると思う。この音の外し方とかサイコーですわ。

で、ちょっと思ったのはLarsも歳とってちょっと歌が良くなったね。昔はこの男汁満載のヴォーカルが相当鬱陶しくて、スタイル自体は今も変わらないんだけど、歳とってほんのちょっと枯れてきた感じがあって、それによって若干中和されて許容できるっていうか。。。まー、どうでもいいって言えばどうでもいいが。。。

しかし今の10代、20代って、多分パンク聴かないんだろうなあ、って話を今日バンドの練習の合間にメンバーと話しておりました。だよなあ。。。ヒットチャート見ても全く出てこないもんね。オフスプリングとか、そりゃーコマーシャル寄りのパンクだろうけど、あの頃そこそこメインストリームだったよなあ。。。
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Amazonすげえ

2014-10-04 23:12:33 | Weblog
と、思ったので記録しておく事にします。

先日、本屋に行ったらフィリップ・ロスの新作(って、言っても2004年くらいの作品だと思うんだけど。なんで今頃翻訳がでるんだ?)が出ていたので購入したんですよ。別にロスの作品は必ず読んでいる、という訳ではないのですが、その本のテーマ(アメリカがもし第二次大戦でヒットラーのドイツを共同路線をとる国になったら、という前提で書かれている)が刺さった、というのも有るのですが。。

まあともかく、そして買った後1日後、Amazonからメールが着て(あの、「あなたにおすすめの作品です」てやつね」)、その一個目が冒頭の小説ですよ。さすがにビックリしましたね。「こいつは何で俺の好みが分かるんだ」と。。。まあ考えれば、ある程度好みが比較的明確な人の方がおすすめってしやすい訳なんですよね。確かにまあ、自分の好きな事にはそれなりに傾向というものはある。
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