商社マン-東京→ニューヨーク→東京→Liverpool→東京→Ann Arbor→Austin日記

07年8月から5年間NY、帰国して2年半東京、その後何故か英国Liverpoolに。。引き続き思った事書いて行きます。

「アッシュベイビー」by金原ひとみ を読んで

2007-07-26 23:34:25 | Weblog
デビュー作で芥川賞をとった「蛇にピアス」以来彼女の作品を読んだが、予想以上に強烈な作品だった。畳み掛けるような「下品な」表現にさすがに最初は「ちょっとキワモノを狙いすぎでは」と思ったが、読み進むにつれ、そこはかとないやりきれなさとか悲しさが結構響いてきた。
単にうまいな、とかしみじみ感動するとかじゃない、「あー、この人はこういうこと書かずにはいられないんだろうなー」という切迫感みたいなものが次第に伝わってきて一気に読んでしまった。間違いなく、と僕が行ってもどーしようもないが才能ある作家でしょうね。
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「反転‐闇社会の守護神と呼ばれて」by 田中森一を読んで

2007-07-17 00:09:33 | Weblog
日経新聞かなにかに広告が出ていてえらい面白そうだな、と思って買って読み始めたらもう止まらなかった。元エリート検察官その後弁護士になって、さまざまなバブル時代の大物達の顧問弁護士やら相談にのっていた人の自伝。ある一件で起訴され有罪判決を受け、現在上告中だそうだ。
この本は大きく分けると三部構成になっており、最初が貧乏しながら司法試験に受かるまで、次が検察官時代、最後が弁護士になって有罪判決を受けるまでの家庭だが、1,2の部分が異常に面白いのに、3の部分、すなわち弁護士になって暴力団とかバブルで大もうけした事業家とかの弁護をした末に逮捕されるまでの話は逆にイマイチだった。3の部分の結論は「自分は逮捕されるようなことは何もしていないのに逮捕されてしまったが、そうなったのは自分にも責任の一旦はあったような気もするしそうでもないような気もするし、でもやっぱりやりきれない」という悶々とした堂々巡りが続く感じがしてちょっと読んでいてだれる感じ。
とまあちょっと批判的に書いたが、その瑕疵を補って余りまくるほど1,2の部分は面白い。1の貧乏な中、司法試験まで受かるまでの過程は「角栄の時代か?」と思うほど(この話は戦後ね)、「日本という国はつい最近まで本当の貧しさを抱えていたんだなあ」と驚嘆した。2は「検察」という制度、そこでの出世の過程、ヒエラルキーのあり方等、僕が今まで知らなかった世界が詳しく描かれており、興味深かった。
一番面白かったのは、検察官を辞めた後弁護士に転職した所謂「ヤメ検弁護士」がいかに実社会で重宝されているか、ということ。全員が全員ではないが、確かに「検察がどう考えるか」を熟知した弁護士がいたら心強いだろう。そういう世界は「ヤメ政治家実業家」でも「ヤメ通産省サラリーマン」でも同じように、機能しそうだし、たとえ表面的に所謂「天下り」はなくなっていったとしても、政治・司法→実業界の流れは止めようがないし、その当事者はけっこうおいしい思いをしていくんだろうなあ、何となく思った。
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送別会

2007-07-07 18:31:26 | Weblog
昨日は、なぜか会社の女性で仲良かった人達(既にやめた人も含む)が送別会を開いてくれた。女性5名に囲まれて楽しい時間をすごすことが出来た。こうやって個別にやっていただくと素直に嬉しいですな。

来てくれた女性はみんな派遣社員か、もしくは子会社から逆出向している人達だったが、よく考えて見ればうちの会社は最近までここ10数年間ほとんど事務職の人をやとってこなかったんだなあ、と改めて思った。

20台後半、つまり2000年前後大学を卒業した女性の派遣の人たちは、僕から見てもなかなか優秀で、でもきっと不景気のあおりを受けて正社員として就職できず(もしくは就職しようと思うほどの気合を就職活動で入れられず、or 入れる必要がなく)、派遣社員になったのだと推察される。

そんな彼女達と食事をしながら色々は話をしていく中で、「派遣と女性正社員」という話が出てたいへん興味深かった。
彼女達にとっては、やはり「社員」との間にある壁は厚く、何をするにしても意識してしまう壁のようだ。例えば何か提案したり意見したりしようとしても、その壁、(「派遣社員なのに」と思われるのでは、というもの)を意識してしまい言い出すことが出来ない、とのこと。
もちろん僕もある程度壁はあるだろうと思っていたが、正直それほど厚いものではないだろう、と勝手に思っていたのでちょっと驚くと同時に、自分も似たような経験がある事に思い当たった。

僕は今年組合の「代議員」という役職をやっていた。まあ簡単に言うと組合員の代表みたいなものだ。この役職を持つと、「労使」という観点から会社の結構偉い人達と頻繁に接点を持つことになる。その様々な接点の場で、いつも「偉い人」がいうのは、「もっとコミュニケーションが必要だと思うのなら、下からどんどん言ってきて欲しい」というものだ。そして僕らは、「そんなこといわれたって、そんなのこっちから言えるわけないじゃん、どんな評価受けるかもわかんないし。。」と思い、結局大した行動が起こせないわけだ。

「正社員と派遣」、「管理職と組合員」この共通点は建前論は無視すると、後者の側が圧倒的に弱者である、という事実だ。そして人は弱者の側に立たされると、ボトムアップしていくことに相当躊躇する、ということだろう。

またもう一つの共通点は、派遣にしても組合員にしても、ボトムアップした際の目に見えるリターンがない、ということだろう。派遣社員がどんなにいい提案したって、派遣会社と契約している給料が目に見えて上がることはないだろうし、組合員の代表という立場で物申しても、これも給料や評価とは全く関係ない(組合活動は普段の業務とは別物なので)。弱者で且つ行動を起こしてもリターンが(殆ど)ない、と思えばふつーの人なら算盤弾いた結果、「なにもしない」という意思決定を行うでしょう。

送別会でこんなに考えさせられるとは思わなかった。まあ学んだことは「人に行動してもらいたかったら、その人の立場とその人のリターンを考慮せよ」ということでしょうか。。。
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VISAの取得

2007-07-03 22:45:12 | Weblog
赴任が決まり、まずやらなければならないことはVISAの取得だ。
と、米国VISA取得のための書類を書いていくと、「過去10年間の海外渡航歴は」という質問があり、パスポートとか出張のレポートを確認しつつ書いていくと、けっこういろいろなところいったなー、としみじみと思い出してしまった。

妻の関係上当然プライベートで中国には相当行っているが、それ以外ではやはりヨーロッパが多い。思えば北から南まで色々な国に行った。これだけ色々見たとはいえ、世界にはまだまだ行ったことがないところがたくさんあり、楽しみでもあるが、自分の世界がいかに狭いのかと知ってちょっと愕然ともする。

もちろん行った、行かないは副次的な要素で、べつに世界を理解するために必ずしも現地に赴かなければいけないわけではないのだろうが、やはりその土地なりの空気感を体感することで、少なくとも僕のような凡人は「分かった」ような気分になってしまう。

今までアフリカやインドは行ったことがないし、そういえばロシアとかカナダもない。中国はたくさん行っているがシルクロードも行ってない。そういう行ったことのない国々がどんな感じなのか想像するだけでわくわくしてくる。

その一方、どんなに色々な国に行って学んだとしても、自分自身ってそんなに変わんないなあということ。中国の妻の実家に行けば全く違う夫婦のあり方や人生観や生活スタイルを目の当たりにするけど、日本にいて日本の会社で働いている限り、やはりそっちの価値観にどっぷり漬かってしまい抜け出すことは容易ではない。それに実は抜け出すことも望んでいないのかも知れない。そんな事をわらわらと考えていくと、個人の人生でさえ国際化していくのってそんなに簡単な事ではないなー、としみじみ思ってしまうわけです。
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NYに赴任することになった

2007-07-01 23:48:13 | Weblog
先週末に社内で正式に発表があり、NYに赴任することになった。
それなりに希望はしていたが、まだまだ日本でやりたい仕事もあり、また生来の怠け者癖もあると思うが、一方で複雑な心境。

面白かったのは、それを赴任の件を報告したときの反応だった。社内でも社外でも「よかったねー」とか「おめでとう」とかそういう感じで正直ちょっと意外だった。もちろんどこに赴任が決まったって「そりゃあ困ったことになったねー」とか「それは残念だね」とは言われないだろうが、「NY」と言ったときの他人の反応はお世辞とかではなく総じてポジティブな感じだった。
やはり現代日本人のDNAには「米国、特にNY=中心」の図式が刷り込まれているのだろうか。そこまで深読みするのはチョットうがちすぎか。。

まあでも引越しとか面倒くさいなあ。。物価も最近NY高いしなあ。最近海外に行くたびに所謂「先進国」の中で今の日本は物価が安いなあと感じる。特に外食とかファッションとかサービスとか驚異的ですよ。消費者側にとっては「失われた10年」によって得られた数少ないメリットだろう。まあ給料も増えなかったわけだが。。。
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