米国にいるからにはできるだけ日本の小説は読まないで、こっちの本を読んでおこうと意味もなく決めているのだが、こればかりは例外でよいでしょう。しかもタイトルが僕が一番好きな小説のひとつである「1984」を明らかに意識している、とあれば発売を知ってから居ても立ってもいられず、出張に来る後輩に頼んで入手した次第。最近のハルキ的に相当長い(1,2あわせてハードカバーで1000ページ以上)けど、ほぼ二日間の間に読みきった。
今まさに読みきった段階なので何と言うか感想をまとめて書きにくいのですが、とにかくてんこ盛りですね。宗教とかイデオロギーとか個人主義とか(おそらく団塊の世代的な)時代感とか、そういったこれまでの村上春樹の小説・エッセイ・翻訳他全ての仕事からの抽出物が怒涛の様に噴出しているわけですが、そこは驚異的な文章力と構成力で違和感なく纏め上げているのはやっぱりすごいですね。もちろん小説としてもとてつもなく重層的で面白いです。
ただこの小説を、たとえば僕が大学時代に「ダンス ダンス ダンス」何度も読み直したように愛好するようになるかというとおそらくそれはないと思う。まあ長すぎるというのもあるんですが、何と言うかちょっと息苦しいんですよね。村上春樹があるエッセイで「スタンゲッツの晩年の演奏は音楽的にはすばらしい達成ながら、あまりにもフルであり聴き続けられない」というようなことを書いていたけど、感覚としてはそれに近いのではないだろうか。
少なくとも僕は小説に対して、それ自体の達成よりも、自分自身の何かを(それがいかに限定的な一部分であっても)激しく揺さぶってくれるものを求めているわけで、あんまり色々な部分を一度に揺らされても何だかどこが動いているのか良く分からなくなってしまうからかもしれません。
今まさに読みきった段階なので何と言うか感想をまとめて書きにくいのですが、とにかくてんこ盛りですね。宗教とかイデオロギーとか個人主義とか(おそらく団塊の世代的な)時代感とか、そういったこれまでの村上春樹の小説・エッセイ・翻訳他全ての仕事からの抽出物が怒涛の様に噴出しているわけですが、そこは驚異的な文章力と構成力で違和感なく纏め上げているのはやっぱりすごいですね。もちろん小説としてもとてつもなく重層的で面白いです。
ただこの小説を、たとえば僕が大学時代に「ダンス ダンス ダンス」何度も読み直したように愛好するようになるかというとおそらくそれはないと思う。まあ長すぎるというのもあるんですが、何と言うかちょっと息苦しいんですよね。村上春樹があるエッセイで「スタンゲッツの晩年の演奏は音楽的にはすばらしい達成ながら、あまりにもフルであり聴き続けられない」というようなことを書いていたけど、感覚としてはそれに近いのではないだろうか。
少なくとも僕は小説に対して、それ自体の達成よりも、自分自身の何かを(それがいかに限定的な一部分であっても)激しく揺さぶってくれるものを求めているわけで、あんまり色々な部分を一度に揺らされても何だかどこが動いているのか良く分からなくなってしまうからかもしれません。