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【金復権:各国中銀B/Sに巨額規模で登場すること】金の復権、ドルの失権、そして円は・・・②

2019-08-13 00:01:18 | 金(ゴールド)

前回からの続き)

 目の前のゴールド)価格の上昇は、米ドルのいっそう信認低下・・・を見越した投資家、とりわけ各国の中銀や公的機関による金買いによって引き起こされていることだ、と前回、書きました。これ、本稿のタイトルのとおり、ドルの「失権」が金を「復権」させている、ということかと思います。

 このあたりについては、上のイメージで考えると分かりやすいと思います。これは中国やロシアなど、一般的には「新興国」と呼ばれる国々の中央銀行のバランスシート(貸借対照表)が、ドルの失権・金の復権によってどのように変化するのか、を表現したものです(煩雑になるので純資産等は入れていません)。

 新興国の中銀は、日銀や米FRBなどとは違って自国建て資産(国債等)の信頼度が低いため、その代わり、上記①のように、おもにドルを中銀券(紙幣)の裏付け資産にしています。その典型例がこちらの記事等でご紹介の人民元であり、だからこそ本ブログではこの中国の通貨を「疑似ドル」と勝手に呼んでいるわけです。

 で、ここでドルが失権、すなわち米「双子の赤字」膨張やFRBのQE再開によってドルの大量増発=インフレ化が進行すると、新興国の中銀B/Sは上記②のようになります。つまり手持ちのドル資産の価値が急減し、これに紐づけている自国通貨の価値も暴落するから、同国の経済と国民生活は激しいインフレによって破綻のふちに立たされかねません。これを防ぐには・・・同国は、手持ちドル資産の目減り分を、何か他の価値によって埋め合わせ、自国通貨の信認を維持・向上させてインフレを抑制する必要に迫られます。では、これまでのドルのような役割を担える資産って?・・・となれば、自国の国債が使えない以上、やはり金くらいしかないでしょう・・・?

 ということで、そのあたりを強い動機として金をかき集めた後の同国中銀のB/Sのイメージが上記③になります。これによって当該中銀は、ドル資産の減少分と同額の金準備で、ドル暴落前の①と同額の資産額を維持し、自国通貨の価値を①と同等前後に保つことができました。

 ・・・「っても、そうなると、その国の通貨はドルに対して相当に高くなってしまうのでは」・・・となりそうですが、以下のような展開になれば、じつは必ずしもそうはならない(かも?)。これ、逆の見方からすれば、当該国の通貨に対してドルが顕著に弱くなるということ。それが意味するところは、アメリカにとってはドルの恩恵が失われてしまう、つまり、輸入品のドル建て価格が跳ね上がることになります。こちらの記事等を含めて何度も指摘しているように、いまのアメリカは中国製品を筆頭に輸入外国産のモノに依存する以外にないわけで、これらの値段がドル安で急騰したら同国は存亡の危機に陥ります・・・

 ・・・って、以下はとても奇抜な予想ですが、そこでアメリカ・・・もまた上記と同じようなことを対抗策としてする(というか、せざるを得ない?)のではないでしょうか。つまりFRBが手持ちの金準備の評価額を大幅に引き上げるということ。このあたりはこちらの記事に書いたとおりです。すなわち、アメリカ(FRB)が保有する8千トンあまりの金準備を、たとえば1トロイオンス当たり1万ドル(!?)に評価替えすれば、その総額は何と!?2.6兆ドルに膨張し、FRBのB/Sは一気に改善してドルの威信はたちどころに回復する、みたいな・・・!?

 といったわけで、FRBが金の評価を何ドルに変更するのか?とか、相手国が金をどのくらい持っているのか?にもよりますが、まあこうした動きがあって、結果として、上記新興国の通貨とドルの交換レートはいまと同じようなあたりに落ち着く、といった感じになるのかな、と考えるものです(?)。けれど、これが現在と大きく違うのは、両者ともに中銀の資産勘定に、いまの市場価格をはるかに上回るスケールの巨大な金準備が突如、立ち上がるところです。これこそ本稿で呼ぶ「金の復権」の具体的な姿になります。

(続く)

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