(前回からの続き)
先述した「ポンド暴落」こそ、「Brexit」(英国のEUからの離脱)後の英国をお先真っ暗にする最悪の元凶にほかなりません。そしてBrexitを目前に、英国との経済面での関わりにおいて日本がもっとも懸念し、かつ対処を急がなければならないリスクも、これになります。
具体的には今後、英国相手の商売の対価、そして対英投資のリターンとして受け取るポンドの価値が激減するから、一刻も早く債権回収を図るとともに、ポンド建ての資産を手放せ、といったことになります。これ、英国に工場進出をしている企業の場合には、こちらの記事に書いたホンダのように、これをさっさとたたんで英国から出ていくべきだし、英国債投資家は大やけどをする前に、多少の損失は覚悟で「いま」これらを手放すのが適当かと・・・っても、投資判断は自己責任でお願いいたします。
当該記事で綴ったように、英国は「何もない国」―――付加価値の高い財やサービスを生めない国―――といえます。わが国からすれば、絶対に不可欠なメイド・イン・UKなど、ありません。したがって日本が英国から得られるべきほとんど唯一の価値がポンドになります。ポンドは上記から「英国製品交換券」としての価値は乏しいものの、ハード・カレンシーのひとつとして円やドルに換えることができるからです。でも、それはポンドがこれらの通貨に対して一定の価値を維持していた場合に限って、での話。上記のように、今後は前記したようにポンド暴落は必至だから、対価としてこれを得る対英ビジネスとか投資は・・・少なくとも円を持つわたしたちにとって割に合うことはないでしょう。ゆえに、英国が「Brexit」するなら日本は「Jaxit」(私的造語:日本の英国とポンドからの脱出)を急げ、というわけです。
「たしかにBrexitからしばらくの間は英国もポンドも動揺するだろう。けれど、しばらくたって、英国がEUと何らかの貿易協定を結んだり、日本を含む他国と経済的な連携を強めたりしていけば、同国の政治経済的な混乱も収束し、ポンドの価値も回復するのでは」―――こういった見方もできるかと思います。が、こちらの記事等で書いた理由から、個人的には英国の将来には依然として悲観的です。ようするに、英国の衰退とポンドの下落は構造的なものであって、Brexitするかしないかとは関係がない、ということです。もっともBrexitしたほうがその衰退&下落のペースが速まるでしょうが・・・(?)