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【「追加」緩和≒「追加」値上げ】高騰電気代:アベノミクスの優等生④

2014-04-19 00:17:57 | 日本

(前回からの続き)

 先日、安倍首相と会談した日銀の黒田総裁は、金融政策については必要があれば躊躇なく調整すると首相に語ったそうです。「調整」―――さまざまな解釈ができる微妙な言い方ですが、同氏は2%のインフレ率達成はまだ道半ばとの認識を示しているので、この場合は物価上昇トレンドをさらに強める方向、つまり「追加緩和」の実施をイメージしているのでしょう。消費税率が引き上げられ、景気や上場企業の業績のこの先に不透明感が漂うなか、株式市場の活性化を願うわが国の金融マーケットには、日銀のこの追加緩和への期待感が高まっているように見受けられます。

 で、日銀が計画している追加緩和の具体的な中身はともかく、それによって「円」のマネタリーベースがさらに拡大されるわけだから、当然、為替は円安に振れるでしょう。そうなれば外国人投資家の日本株投資が促され、株の資産効果が高まり、消費増税にともなう経済への悪影響を緩和できる・・・といったような思惑が政府・日銀にはあるのではないでしょうか。まあアベノミクスは「カブノミクス」(円安株高だけ[?]がウリということ)ですからね・・・。

 しかしこの追加緩和、肝心の個人消費とか企業活動といったわが国の実体経済のほうにはマイナスに作用するとみています。これによって円建て輸入燃料価格がさらに上がり、本稿で懸念している電気料金をはじめとするエネルギー価格が「4たび」上昇するおそれがあると予想するからです。4たび―――原発停止→円安誘導インフレ→消費増税、のこれまでの3つの値上げプロセスに、4つめのプロセス「追加緩和」が加わるということです。もっとも、これこそアベノミクスの目論見どおりといってしまえばそれまでなのですが・・・。

 というわけで、近いうちに実施されそうな日銀の金融緩和で、実体経済において「追加」されるのは「コスト」といえそうです。つまり、「追加」緩和≒「追加」値上げ、といった感じで、この策には、電気代を筆頭に、ガス代、ガソリン代などが「追加的に」上がる事態を引き起こすリスクがあるということ。

 さらにいえば、追加緩和で円安誘導を進めても、マクロ経済的には、わが国にはメリットはほとんどありません。こちらの記事などに書いてきたように、現状の日本の産業構造の下では、円安にしたところで輸出額はそれほど増えない一方で、輸入額のほうが輸出額以上に増加してしまうからです。したがってアベノミクス開始以降、円安になればなるほど、輸出額と輸入額の差引である貿易収支の赤字額が膨らんで経常収支が悪化し、その分だけ「貯蓄」が減る(あるいは伸び悩む)といった傾向が顕著になっています。

 以上のように考えているため、個人的には「追加緩和」と聞くと、「ミクロ面でもマクロ面でも、国民生活の面でも国益の面でも、いいことなんてないじゃん・・・」と憂鬱な気持ちになります。それにしても・・・消費増税が始まったばかりのこの時期、国民の経済的負担を少しでも和らげようとするのが政府・日銀の本来の使命でしょ!と思うのは私だけでしょうか・・・。

 とにもかくにも、いろいろな意味でアベノミクスを映し出す「鏡」のような「電気料金」にはこれからも注目していきたいと思っています。

(「高騰電気代:アベノミクスの優等生」おわり)


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