世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【輸入インフレと増税・年金カットの間を行き来か】ゆうちょ銀の預入限度額倍増が暗示する「戻り地獄」の悲惨さ⑥

2019-04-09 00:01:34 | 日本

前回からの続き)

 以前のこちらの記事、そして前回、アベノミクスは「進むも地獄、戻るも地獄」と書きました。ではアベノミクスに誘われて(?)わたしたちは最終的にどちらの地獄に落ちるのか?・・・って、微妙なところですが、やはり本稿のタイトルのとおり、「戻り地獄」―――これまで綴ってきたような、アベノミクス米国債に代表されるリスク資産の「高値掴み」のせいで発生する巨額の評価損を埋め合わせるための増税や年金カットなどなど―――のほうだと思われるわけです・・・

 今月5日、米ドナルド・トランプ大統領は記者団に、FRB(米の中銀)は利下げをすべきだ、と語ったうえ、FRBに対して「量的引き締め」(quantitative tightening)を止めて「量的緩和」(quantitative easingQE)を再発動するよう求めました。一般的に、中央銀行の金融政策は政治からの独立性が保たれるべきだとする考え方が強いわけですが、このトランプ氏の一連の発言はこれに反して中銀の政策に口を挟むもので、そのあたりを問題視する論調が米国内外のメディアを賑わせている感じがしますが・・・

 ・・・って、個人的にはトランプ大統領の発言は、中銀の独立性を脅かすものといった次元で論じるべきものではなく、為政者としての素直な政策的見解を述べたものと捉えるのが適当だと思っています。というのも、以前から何度も指摘しているとおり、アメリカにはQE以外の道はない、すなわちドル刷りまくる以外の政策的な選択肢はゼロ(?)なわけで、誰もが知っていながら言い出せなかったそのことを、トランプ氏がストレートな物言いで口にしてしまっただけだと考えるからです。そう、アメリカには、トランプ政権が始まるず~っと前から、もはやQEしか、ありません・・・

 その意味するところを日本からみると、いくら日銀が金融緩和を進めても―――結果として上記「進み地獄」に行こうとしても―――FRBがそれに輪をかけてQEを発動(≒ドルを増刷)してしまうから、どうしても円高ドル安になりがちだということ。このときは当然、円安局面のみで機能する「カブノミクス」(私的造語:アベノミクスの取り柄は「株のみ」)が崩壊して上記「戻り地獄」に舞い戻ってしまうわけです。そこでアベノミクス各位としては、これを防ぐべく、上記で吐き出されるドルを買い支える必要に迫られます。そのために・・・マネーがアメリカに向かうよう日銀が金融緩和を一段と強化して日本の金利を引き下げるとともに、今回のようにドル・米国債買いの原資を増やすべく郵貯マネーの増強に動いたりするわけです。その結果「戻り地獄」はいったん回避するものの、今度は円安インフレで「進み地獄」が出現して実体経済が沈没。そうこうするうちにFRBがまたもやQEを強化して・・・ってことを永遠に繰り返す・・・

 まさに「地獄の石積み」―――日銀が金融緩和をいくら進めても、郵貯マネーを増強しても、「進み地獄」(円安インフレ)と「戻り地獄」(増税&年金カット?)の間を行ったり来たり―――に苦しめられているわけです、アベノミクス日本人は・・・。この不毛の連鎖を断ち切るには、不可避の「戻り地獄」は覚悟のうえで・・・

(続く)

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【米国債投資の成功がトホホって、なぜか?】ゆうちょ銀の預入限度額倍増が暗示する「戻り地獄」の悲惨さ⑤

2019-04-07 00:03:22 | 日本

前回からの続き)

 前回まで、今月1日から預入限度額がこれまでの2倍に当たる2600万円に引き上げられた「ゆうちょ銀行」そして同行と同じ政府系金融機関・・・というより政府系ヘッジファンドの「農林中金」は、アベノミクス政府の前述2つの目的―――円安株高維持&アメリカ支援―――達成の実行部隊として、この極端ともいえる円安ドル高局面で米国債を大量に「高値掴み」し、これがもとで巨額の評価損を抱えて債務超過に転落し、結局は国民がその救済資金の負担をさせられるだろう、といった私的な見通しを書きました・・・

 「ふ~ん、でも、名目上の利回りは日本よりもアメリカの方が大きい(現時点の長期金利は日本が0%でアメリカ2.5%ほど)から、ゆうちょ銀のドル・米国債買いが合理的ではないとはいえないのでは」たしかにそうですね、米国債投資がその狙いのとおり、利益をもたらしてくれる投資になれば、同行が経営危機に陥ることはないでしょうから、わたしたちが税金を余計に払って同行を救う事態は免れそうですね・・・

 ・・・けれど、それには絶対的な条件が必要になります。つまりそれは、ドル円レートが最低でも現時点と同じか、ドル高円安にならなければならない、というもの。では現在の同レート(1ドル111円ほど)がもたらしている日本経済≒GDPの現状はどうなのか?ですが・・・これ、さんざん本ブログで書いているとおり、アベノミクス開始直前の2012年と比べると何と!20%あまりも減少してしまっているわけです。そして国民の金融資産額も同様です。一見、大いに増えている・・・ようですが、こちらの記事でご紹介のように、じつは7年近くも前のアベノミクス前からほとんど増えていない、いやむしろ減っているともいえるわけです。これらのトホホな状況に至った元凶は、「現状のレート」すなわちアベノミクスが意図してもたらした超過剰な円安ドル高レートといっても言い過ぎではありません・・・

 上記を踏まえると、ゆうちょ銀が米国債投資で成功を収めることができる状況では、わが国の実体経済が現状のとおり低迷し、わたしたちも豊かになった実感を得られない、むしろ輸入インフレ等で暮らし向きが悪化することは明白です。ちなみに昨年の日本のGDPは約5.1兆ドル。アベノミクス直前の2012年の同約6.2兆ドル(戦後最高値)から1兆ドル以上もの人類史的な激減です。であれば、大昔(?)に達成済みの2012年水準値に回復するだけでも、いったいこの先、どれほど長い年月がかかるというのか・・・と、ため息が出てしまうわけですよ、ゆうちょ銀の米国債投資でプラスリターンが出るほどの超~円安レートならば・・・って、まず不可能でしょ1兆ドル超ですよ?

 以前こちらの記事に、アベノミクスは「進むも地獄、戻るも地獄」と綴りました。前者はこのことを指します。要するに円安誘導を続ければ本邦実体経済は衰退の一途をたどり、国家国民まで弱体化していくということ。そして後者は本稿で書いているようなこと、つまり、(日銀「異次元緩和」縮小・停止等 and/or 米FRBのQE再開等により)本来のドル円レートへの回帰で、あちらこちらにアベノミクス的「高値掴み」がもたらした評価損・含み損が発生し、国民全体が増税とか年金カットなどのかたちでその尻拭いをさせられる、ということ。まあ、その際は・・・さすがに、ゆうちょ銀の経営者等は責任をとって辞めさせられるのでしょうが・・・っても各位、退職金は満額ゲットでしょうね・・・(?)

(続く)

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【郵貯・農中、税金での救済不可避?】ゆうちょ銀の預入限度額倍増が暗示する「戻り地獄」の悲惨さ④

2019-04-05 00:01:27 | 日本

前回からの続き)

 前記のように、政府が今般「ゆうちょ銀行」の預入限度額をそれまでの2倍に当たる2600万円に引き上げたのは、それによってさらに集まる郵貯マネーで同行に米国債を購入させ、巨額の円売りドル買いを促して「カブノミクス」(「アベノミクス」の私的造語:取り柄は「株のみ」)円安株高モードを維持するとともに、これで米国債価格の押し上げ、すなわち米長期金利の上昇抑制を図り、資産バブルに依存する以外に道がない同国を支えよう、というアベノミクス政府の意図から、といった見方を綴りました。

 しかし、これまた先述のとおり、このタイミングでの米国債&ドル投資は「高値掴み」必至で(?)、多額の評価損を発生させる恐れが非常に大きいわけです。それでも、ゆうちょ銀にそんな無茶を強いることができるのは・・・同行が政府傘下の金融機関であるからにほかなりません。つまり、民間銀行などとは異なり、ゆうちょ銀行の経営者には、株主のチェックや代表訴訟への恐れなどといった、過剰なリスクテイクに対するブレーキが十分に働かない、ということです。というか、同行に言わせれば、株主である現政府自らが米国債投資を欲しているからその指示に従うしかない、といった感じなのでしょう・・・

 ・・・ですが、あらためて強く意識されるべきは、ゆうちょ銀・・・の株式の過半を保有する「日本郵政」の一番の株主が現時点で政府すなわち国民だということ。であれば、ゆうちょ銀が上記の米国債「高値掴み」投資に突っ込んで、約束通りに(?)被るであろう大損害は、わたしたち一人ひとりのダメージになるわけです。それは具体的には、債務超過に陥った同行を救うのに必要な兆円単位(!?)もの巨大財政資金を工面するべく大増税が実行される、みたいなかたちを取るのではないでしょうか・・・って、もちろんその際は、財政健全化のために増税するのであって、米国債投資に失敗した、ゆうちょ銀の救済原資を集めることが第一の目的ではない、などと弁明するのでしょうねアベノミクス政府は・・・

 同じような懸念は、こちらの記事で書いた「農林中金」についても想定されます。この金融機関も、ゆうちょ銀と同じくアベノミクス政府の米国債等「高値掴み」専門(?)ヘッジファンドです。したがって、その破綻とベイルアウトBailout:税金注入による救済)のタイミングも、ゆうちょ銀と同時になるようなイヤ~な予感がするものです・・・

 ここでもし、ゆうちょ銀も農林中金も、完全な民間金融機関であれば、万一経営破たんした場合でも、その損害はそれらの利害関係者がそれぞれ責任を負う―――株主は株価ゼロになることで責任を負い、債権者は債権放棄に応じ、預金者はペイオフ以上の預金を失う―――ことで、国民全体へのダメージ波及は食い止められたことでしょう・・・って、そもそも民間銀だったら破綻につながる上記高値掴みなんぞしないだろうけれどね、おそらく・・・

(続く)

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【カブノミクス維持・米国支援が目的】ゆうちょ銀の預入限度額倍増が暗示する「戻り地獄」の悲惨さ③

2019-04-03 00:01:45 | 日本

前回からの続き)

 今月1日、ゆうちょ銀行」の預入限度額がそれまでの1300万円から2600万円に引き上げられた真の目的は、アベノミクス政府が、これによって郵便貯金にいっそう流入するであろうマネーで同行に米国債を買わせよう!というもの、との憶測を綴りました。

 前述したことから、いまの金融・為替環境では米国債(を含む外貨建て金融資産全般への)投資は割に合わない(高値掴みで評価損を食らう羽目になりかねない)ため、株主利益や預金の保全等の観点からは民間金融機関には忌避すべきアクションになります。むしろ逆に、以前高値で掴んだ外貨建て資産を売って利確し、次のチャンスが来るまで円貨をホールドして待つ、というのが常識的な経営判断になるところ・・・

 そんななか、どうして、ゆうちょ銀に米国債購入をさせられるのか、といえば、同行が現時点で政府管理下の銀行、すなわち政府が株式の過半数を持つ「日本郵政」の子会社だから。であれば、大株主であるアベノミクス政府は同行の意思決定に関与できるわけで、ゆうちょ銀の経営陣に働きかけ、目下のドル高円安の局面でも無理矢理(?)ドル債を同行に掴ませることが可能となるはずです(?)・・・って、当然ですが同行はこのあたり、米国債を爆買いする!といったダイレクトな宣言ではなく、貯金の安全運用に努めるなかで利回りの大きな外債投資の比重を高めていく、みたいなソフトな言い方をするのでしょうが・・・(?)

 では、そこまでしてなぜアベノミクス政府は米国債を買いたいのか、ですが・・・こちらの記事等で述べたとおりでしょう。つまり、同購入に充てる大量の郵貯マネーで円売りドル買いを促し、「円安株高」モードを維持し続けたい、というものです。本ブログで何度も指摘しているように、アベノミクスは「カブノミクス」(私的造語:取り柄は「株のみ」)であり、この一枚看板を死守するには円安が絶対的な条件であるところ、それには誰かに円を売ってドルを買ってもらわなくてはなりません。しかし、上述した現行の金融環境における合理的なポジションはその真逆のドルショート・円ロングだから、株主等の厳しい目が光る民間金融機関には巨額のドル買いは不可能。したがって、ここは理不尽だろうが何だろうが、アベノミクスが意のままに操れる(?)、ゆうちょ銀にドルを逆行買い(円を逆行売り)させるしかない!となったという次第なのでしょう、おそらく・・・

 そしてお次は・・・アメリカ様サポート、要するに米資産バブルの崩壊阻止です。これも、こちらの記事等を含めて何度も書いていることですが、安倍政権・・・というより黒田日銀は、その金融政策「異次元緩和」によって、わが国の、ではなくアメリカの長期金利を低めに抑制することを最重要のミッションにしている、と考えています。けれどこれだと上述のように本邦金融機関が運用難にあえぐことになりますが、それでも日銀は「日:米=4:6」つまり邦銀等には超長期債等をちょっとだけ買わせる余地を与えながらも、アメリカ支援の方を優先します。具体的には、日本の金利を極端に低くなるように国債を高値買いして、日米金利差を意図的に拡大し、マネーがアメリカに向かうように(アメリカから抜けて日本にこないように)するわけです・・・

(続く)

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【ゆうちょ銀に米国債を買わせるのが狙い】ゆうちょ銀の預入限度額倍増が暗示する「戻り地獄」の悲惨さ②

2019-04-01 00:01:05 | 日本

前回からの続き)

 本日4月1日より「ゆうちょ銀行」の預入限度額が、これまでの1300万円から2600万円へ何と!2倍に増額されますが、これを決定したアベノミクス政府の狙いはたった一つ、つまり・・・事実上の国営ヘッジファンドである同行に対して、本措置でさらに集まるであろうマネーで・・・「米国債」(等のドル建て金融資産)を買わせよう!というものだと理解しています。

 以前から郵便貯金の肥大化には民業圧迫との批判があり、だからこそ政府は郵政民営化委員会での議論等をふまえて日本郵政の民営化を進めてきました。したがって、その本来の流れからいえば、実質的な政府保証が付く、ゆうちょ銀貯金の同限度額はせいぜいが据え置きか、むしろ以前の1千万円程度にまで引き下げてもおかしくはなく、今回のように増額・・・どころか一気に2倍増だなんて、上記趣旨からすれば逆行も甚だしく、ありえない!はずでした(?)。にもかかわらず安倍政権が今般、上記に踏み切った理由は、(こうした金融国営化につながる政策に積極的だという)その社会主義的な政策スタンスもありますが、下記の金融情勢の下、こうでもしなければジャパンマネーに米国債投資を促せないため、なのでしょうね・・・

 ご存知のように、日銀の金融政策「異次元緩和」の影響で、わが国の金融機関はいま、深刻な運用難に陥っています。このあたり何度も本ブログに書いていることですが、その理由は、日銀が同政策によって、それまでの主要な投資対象であった日本国債を説明がつかないくらいの高値でかつ大量に買い上げてしまっているため。これによって国債市場では適当な価格で購入できる国債が払底し、本邦銀行は預かったおカネの運用に行き詰ってしまったわけです。もちろん各行は新規ローンを開拓したり、わずかに残された超長期債などに投資したりと、少しでもプラスリターンを得ようと企業努力をしているでしょう。とはいっても無茶をしてリスク投融資に突っ込んで失敗し、結果として自己資本を傷つけるわけにはいきません。当然ですが各行にはステークホルダーの目があり、ヘタなことをやって会社に損害を与えたら、その経営者らは株主代表訴訟を起こされかねませんからね・・・

 さてここで、事実上、投資が困難になった日本国債に替わる新たな運用対象候補として外国の債券、中でも流動性があって格付けも高い米国債(や、米国債に準ずる格付けを持つ不動産担保証券など)が浮上することになります。これらなら安全で利回りも日本国債より大きいからイイのではないか、って、ついつい感じてしまいがち。けれど・・・実際にはこちらもまた日銀政策のせいでスゴイ高値になってしまっているわけです。要するに実質実効レートから大きく乖離するほどの円安ドル高になっているということ、であれば、ドル円がやがて本来のレートに至る―――円高ドル安に向かう―――ことが十分に予想されるので、高値掴みのリスクを考えれば、いまはドル債に手を出すべきではない(むしろ逆に売却するべき)、となるのが「金融のプロ」としての常識的な投資判断のはずです・・・っていうか、金融や経済の「ド素人」でさえもそう思うでしょうが・・・

 さらにいうと、米国債の実質利回り(=名目金利-インフレ率)が日本国債を下回ることにも注意が必要です。これ本ブログで何度も書いている「円>ドル>ユーロ>新興国通貨」(実質金利の高い順を示す不等式)のことで、つまりよほどタイミング等を上手に捉えないと、米国債投資で日本国債投資以上のリターンを得るのは難しいということ。で、そのタイミング、現時点はどうか、ですが・・・上記のとおりで超~NG!でしょう・・・

 以上のような金融情勢の下では、必然的に投資に回らないのキャッシュが積み上がることになります。そのあたりはこちらの記事でご紹介の数字等にハッキリと表れています。実際、民間金融機関の合理的な投資行動としては、市中にわずかに残った日本国債を高値承知で買うか、残りは日銀当座預金口座に「ブタ積み」するか、くらいしかないでしょう。それでも・・・各社が外貨建て債券等を買い増したりはしていなそう(?)な分だけ、まだ救いがある、といったあたりではないでしょうか(?)。

(続く)

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